公開日: 2019/06/06 (掲載号:No.321)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例6】「機械装置の取得と減価償却費の計上」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例6】

「機械装置の取得と減価償却費の計上」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は東京都内の下町で、自動車部品等の製造を行っている町工場を運営する株式会社(3月決算)の代表取締役です。平成30年1月に工場内の機械装置の入れ替えを行うことを決定し、メーカーとの交渉を経て該当する機械装置を購入し、設置工事を経て、平成30年3月に当該機械装置を事業の用に供しました。当然のことながら、当該機械装置につき事業の用に供した平成30年3月期において、1ヶ月分の減価償却費の計上を行っております。

ところが、先日受けた税務調査で、機械装置を事業の用に供したのは平成30年4月15日と平成30年3月期の翌期であり、平成30年3月期には未だ機械装置を取得していないのであるから、その期において計上した減価償却費の計上は認められない、と調査官に言い渡されました。

確かに、当該機械装置は、弊社としてはどうしても平成30年3月中に操業を開始したいと熱望し、メーカーにもその旨を度々話してきたのですが、あいにく据付工事の後の試運転の際、ソフトウェアの不具合等もあってなかなか仕様書通りの数値を出すことができず、検収が翌期の4月15日にずれ込んだのは事実です。しかし、遅くとも平成30年3月20日には8割がた仕様書の数値をクリアしており、当該機械装置を使った部品の製作も開始され、当該部品の一部は平成30年3月中に出荷されております。

そうなると、平成30年3月期には機械装置を取得しており、損金経理により1ヶ月分の減価償却費の計上を行っていることから、当該金額の損金算入は認められてしかるべきと考えるのですが、いかがでしょうか。なお、契約上、代金の支払いは検収日に行い、その日に所有権がわが社に移転しております。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例6】

「機械装置の取得と減価償却費の計上」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は東京都内の下町で、自動車部品等の製造を行っている町工場を運営する株式会社(3月決算)の代表取締役です。平成30年1月に工場内の機械装置の入れ替えを行うことを決定し、メーカーとの交渉を経て該当する機械装置を購入し、設置工事を経て、平成30年3月に当該機械装置を事業の用に供しました。当然のことながら、当該機械装置につき事業の用に供した平成30年3月期において、1ヶ月分の減価償却費の計上を行っております。

ところが、先日受けた税務調査で、機械装置を事業の用に供したのは平成30年4月15日と平成30年3月期の翌期であり、平成30年3月期には未だ機械装置を取得していないのであるから、その期において計上した減価償却費の計上は認められない、と調査官に言い渡されました。

確かに、当該機械装置は、弊社としてはどうしても平成30年3月中に操業を開始したいと熱望し、メーカーにもその旨を度々話してきたのですが、あいにく据付工事の後の試運転の際、ソフトウェアの不具合等もあってなかなか仕様書通りの数値を出すことができず、検収が翌期の4月15日にずれ込んだのは事実です。しかし、遅くとも平成30年3月20日には8割がた仕様書の数値をクリアしており、当該機械装置を使った部品の製作も開始され、当該部品の一部は平成30年3月中に出荷されております。

そうなると、平成30年3月期には機械装置を取得しており、損金経理により1ヶ月分の減価償却費の計上を行っていることから、当該金額の損金算入は認められてしかるべきと考えるのですが、いかがでしょうか。なお、契約上、代金の支払いは検収日に行い、その日に所有権がわが社に移転しております。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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