〔Ⅲ〕 相続・贈与税制 改正のポイント
1 相続税の基礎控除及び税率構造の見直し等
相続税については、地価が大幅に下落する中においても、バブル期の地価上昇に対応した基礎控除や税率構造の水準が据え置かれてきた結果、課税割合が低下する等、富の再分配機能が低下しています。こうした状況を受けて、課税ベースの拡大と税率構造の見直しが行われました。
【1】 相続税の基礎控除の引下げ(課税ベースの拡大)(相法15)
相続税の基礎控除が、次のとおり引き下げられました(平成27年以後適用)。
改正により、上記の例の場合、基礎控除額は、次のようになります。
したがって、正味の遺産額が8,000万円の場合、改正前は相続税がかかりませんが、改正後は3,200万円(正味の遺産額8,000万円-基礎控除4,800万円)に対して相続税がかかります。
仮に、上記の法定相続人3人が配偶者と子2人だった場合、法定相続分に応じて財産を分けたときは、各相続人の納付税額は、次のようになります。
- 配偶者・・・0円(配偶者控除適用)
- 子2人・・・それぞれ87.5万円(合計175万円)
《適用期日》
この改正は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。
【2】 相続税の最高税率の引上げ(税率構造の見直し)(相法16)
相続税の税率構造が、8段階(改正前:6段階)とされ、最高税率が55%(改正前:50%)に引き上げられました。
《適用期日》
この改正は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。
■相続税の速算表
平成27年以後、相続税の速算表は次のようになります。
【3】 未成年者控除及び障害者控除の引上げ(相法19の3、19の4)
相続税の未成年者控除及び障害者控除が、次のように引き上げられました。
《適用期日》
この改正は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。
2 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の拡充
【1】 制度の概要
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(小規模宅地等)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合が減額されます。
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