公開日: 2016/03/22
文字サイズ

平成21年度税制改正(相続と事業承継の税制)

筆者:

 

税制改正情報へ戻る

〔Ⅰ〕 相続と事業承継の税制 改正のポイント

1 非上場株式等についての相続税の納税猶予制度等の創設(措法70の7の2、措令40の8の2)

経営承継相続人等が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継相続人等が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に限ります。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予することとされました。

経営承継相続人等とは
被相続人から相続又は遺贈により認定承継会社の非上場株式等を取得した個人で一定の要件を満たしたものをいいます。また、経済産業大臣の確認や認定の手続等について定めている「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下「経営承継円滑化法」といいます。)にも同様の規定が設けられています。この経営承継相続人は、相続税の申告期限後5年間は毎年、その後は3年毎に継続届出書を税務署長に提出しなければなりません。

(注) この〔Ⅰ〕では、原則として租税特別措置法をベースに解説していますが、経済産業大臣への手続に関する項目については、経営承継円滑化法施行規則に基づいています。


【相続税の納税猶予制度の概要】
経済産業大臣 確 認 事業承継の計画的な取組み ・ 後継者の確定 ・ 株式の計画的承継など  ①②③の場合、確認不要 ①先代経営者が60歳未満 ②平20.10.1~平22.3.31  までの相続 ③後継者が公正証書遺言により取  得する株式と合わせて、発行済  議決権株式の過半数所有  (②③は、後継者が相続前に役  員であったことなどの条件あり) 事業承継の計画的な取組み ・ 後継者の確定 ・ 株式の計画的承継など  ①②③の場合、確認不要 ①先代経営者が60歳未満 ②平20.10.1~平22.3.31  までの相続 ③後継者が公正証書遺言により取  得する株式と合わせて、発行済  議決権株式の過半数所有  (②③は、後継者が相続前に役  員であったことなどの条件あり) 事業承継の計画的な取組み ・ 後継者の確定 ・ 株式の計画的承継など  ①②③の場合、確認不要 ①先代経営者が60歳未満 ②平20.10.1~平22.3.31  までの相続 ③後継者が公正証書遺言により取  得する株式と合わせて、発行済  議決権株式の過半数所有  (②③は、後継者が相続前に役  員であったことなどの条件あり) 相 続 株式 相続人(後継者) ◆会社の代表者であること ◆先代経営者の親族である  こと ◆相続人と同族関係者で  50%超の株式を保有し、  かつ、同族内で筆頭株主  ※一つの会社で適用され   るのは一人 ◆資産保有型会社 ―――――――――――――×100≧70% ―――――――――― ×100≧75% 資産の価額の合計額 ◆資産運用型会社 特定資産の運用収入 総収入金額 ◆事業実態基準 次のすべてを満たした場合には、資産 保有型会社、資産運用型会社に該当し ないものとされます。 ・事務所・店舗などの固定施設を所有  又は賃借 ・常時使用する従業員の数が5人以上 ・相続開始の3年以上前から引継ぎ営業 対象会社 ◆中小企業基本法の中小企業である  こと ◆非上場会社であること ◆資産保有型会社に該当しないこと ◆資産運用型会社に該当しないこと ◆直近の総収入金額が零を超えるこ  と ◆常時使用する従業員の数が1人以  上であること、等 継続要件を 満たさない 場合には、 猶予税額の 全額と利子 税の納付 株式を譲渡 した場合、譲 渡株式数に 応じて、猶 予税額と利 子税を納付 事業継続期 間(5年間) 5 認定 経済産業大臣 認定 事業継続チェック ・代表者であること  一括譲渡 ・雇用の8割以上を維持 ・相続した対象株式の継続保有 など 株式の継続保有中 は、納税猶予継続。 次の場合には免除 ・後継者の死亡 ・対象株式を同族  関係者以外へ一  括譲渡 ・次の後継者への ・代表者であること  一括譲渡

(経済産業省・中小企業庁資料より)

【1】 猶予税額の計算

  相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、経営承 継相続人等の相続税額を算出します。   経営承継相続人等以外の相続人の取得財産は不変としたうえで、経営承継相続人等 が、特例適用株式等(100%)のみを相続するものとして計算した場合の経営承継相 続人等の相続税額と、特例適用株式等(20%)のみを相続するものとして計算した場 合の経営承継相続人等の相続税額の差額が、経営承継相続人等の猶予税額とされます。    により算出した経営承継相続人等の相続税額から の猶予税額を控除した額が経 営承継相続人等の納付税額となります。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

 

税制改正情報へ戻る

〔Ⅰ〕 相続と事業承継の税制 改正のポイント

1 非上場株式等についての相続税の納税猶予制度等の創設(措法70の7の2、措令40の8の2)

経営承継相続人等が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継相続人等が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に限ります。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予することとされました。

経営承継相続人等とは
被相続人から相続又は遺贈により認定承継会社の非上場株式等を取得した個人で一定の要件を満たしたものをいいます。また、経済産業大臣の確認や認定の手続等について定めている「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下「経営承継円滑化法」といいます。)にも同様の規定が設けられています。この経営承継相続人は、相続税の申告期限後5年間は毎年、その後は3年毎に継続届出書を税務署長に提出しなければなりません。

(注) この〔Ⅰ〕では、原則として租税特別措置法をベースに解説していますが、経済産業大臣への手続に関する項目については、経営承継円滑化法施行規則に基づいています。


【相続税の納税猶予制度の概要】
経済産業大臣 確 認 事業承継の計画的な取組み ・ 後継者の確定 ・ 株式の計画的承継など  ①②③の場合、確認不要 ①先代経営者が60歳未満 ②平20.10.1~平22.3.31  までの相続 ③後継者が公正証書遺言により取  得する株式と合わせて、発行済  議決権株式の過半数所有  (②③は、後継者が相続前に役  員であったことなどの条件あり) 事業承継の計画的な取組み ・ 後継者の確定 ・ 株式の計画的承継など  ①②③の場合、確認不要 ①先代経営者が60歳未満 ②平20.10.1~平22.3.31  までの相続 ③後継者が公正証書遺言により取  得する株式と合わせて、発行済  議決権株式の過半数所有  (②③は、後継者が相続前に役  員であったことなどの条件あり) 事業承継の計画的な取組み ・ 後継者の確定 ・ 株式の計画的承継など  ①②③の場合、確認不要 ①先代経営者が60歳未満 ②平20.10.1~平22.3.31  までの相続 ③後継者が公正証書遺言により取  得する株式と合わせて、発行済  議決権株式の過半数所有  (②③は、後継者が相続前に役  員であったことなどの条件あり) 相 続 株式 相続人(後継者) ◆会社の代表者であること ◆先代経営者の親族である  こと ◆相続人と同族関係者で  50%超の株式を保有し、  かつ、同族内で筆頭株主  ※一つの会社で適用され   るのは一人 ◆資産保有型会社 ―――――――――――――×100≧70% ―――――――――― ×100≧75% 資産の価額の合計額 ◆資産運用型会社 特定資産の運用収入 総収入金額 ◆事業実態基準 次のすべてを満たした場合には、資産 保有型会社、資産運用型会社に該当し ないものとされます。 ・事務所・店舗などの固定施設を所有  又は賃借 ・常時使用する従業員の数が5人以上 ・相続開始の3年以上前から引継ぎ営業 対象会社 ◆中小企業基本法の中小企業である  こと ◆非上場会社であること ◆資産保有型会社に該当しないこと ◆資産運用型会社に該当しないこと ◆直近の総収入金額が零を超えるこ  と ◆常時使用する従業員の数が1人以  上であること、等 継続要件を 満たさない 場合には、 猶予税額の 全額と利子 税の納付 株式を譲渡 した場合、譲 渡株式数に 応じて、猶 予税額と利 子税を納付 事業継続期 間(5年間) 5 認定 経済産業大臣 認定 事業継続チェック ・代表者であること  一括譲渡 ・雇用の8割以上を維持 ・相続した対象株式の継続保有 など 株式の継続保有中 は、納税猶予継続。 次の場合には免除 ・後継者の死亡 ・対象株式を同族  関係者以外へ一  括譲渡 ・次の後継者への ・代表者であること  一括譲渡

(経済産業省・中小企業庁資料より)

【1】 猶予税額の計算

  相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、経営承 継相続人等の相続税額を算出します。   経営承継相続人等以外の相続人の取得財産は不変としたうえで、経営承継相続人等 が、特例適用株式等(100%)のみを相続するものとして計算した場合の経営承継相 続人等の相続税額と、特例適用株式等(20%)のみを相続するものとして計算した場 合の経営承継相続人等の相続税額の差額が、経営承継相続人等の猶予税額とされます。    により算出した経営承継相続人等の相続税額から の猶予税額を控除した額が経 営承継相続人等の納付税額となります。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#