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【告知】プロフェッションジャーナル掲載の連載第1回の無料公開開始について

【告知】 プロフェッションジャーナル掲載の 連載第1回の無料公開開始について 平素より株式会社プロフェッションネットワークのサービスをご愛用いただき、厚くお礼申し上げます。 当社が運営しております税務・会計Web情報誌プロフェッションジャーナル(Profession Journal)は、当社プレミアム会員様への有料サービスとなっておりますが、このたび、会員2万人の突破を記念して、本誌の『試し読み』という位置づけで、2025年10月1日(水)午前11時より、本誌掲載の連載第1回をすべて無料公開とさせていただきます。 なお、連載第1回の無料公開については下記のQ&Aもご覧ください。 ◆   ◇   ◆ Q どの記事が無料で読めますか? A 本誌で掲載されている連載の第1回が会員登録不要ですべて無料でお読みいただけるようになります(※1回読み切りの記事は除きます。)。 Q 無料公開されている記事はどこで確認できますか? A 「無料公開記事」のページにまとめられていますので、そちらからご興味のある記事をご選択の上、閲覧ください。 Q どれくらいの記事を無料で読むことができますか? A 本誌に収録されている約9,400記事のうち、約490記事を無料でお読みいただけるようになります。なお、現在連載中の連載(60本)及び終了した連載(427本)については「連載記事一覧」からご確認いただけます(9月17日時点)。 Q 記事が多くてどれを読めばいいのか迷ってしまいます。 何かオススメの連載があれば教えてください。 A プロフェッションジャーナルの人気連載の一部を下記にご紹介いたします。ご興味のある連載バナーをクリックの上、閲覧ください(バナーをクリックすると連載の第1回が別ページで開きます。)。 【税務】 【会計】 【労務】 【法務】 ◆   ◇   ◆ 今後ともプロフェッションジャーナルをご愛読賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

#Profession Journal 編集部
2025/09/18

令和8年度税制改正に関する《資料リンク集》(更新)

令和8年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和8年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。   - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2025/09/18

プロフェッションジャーナル No.636が公開されました!~今週のお薦め記事~

2025年9月18日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.636を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2025/09/18

日本の企業税制 【第143回】「各府省庁の令和8年度税制改正要望が公表」

日本の企業税制 【第143回】 「各府省庁の令和8年度税制改正要望が公表」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 魚住 康博   8月下旬に、各府省庁からの令和8年度税制改正要望が公表された。 今回の要望項目数は、単純合計で国税215項目、地方税212項目で、昨年がそれぞれ163項目、187項目であったことから、全体として項目が大きく増えている。重複排除ベースでは、国税146項目、地方税140項目であり、昨年はそれぞれ110項目、130項目であった。 自由民主党の総裁選が10月4日に行われる予定で、政治の不透明感が高まる状況にあるが、各府省庁ともに期限切れを迎える重要な租税特別措置項目を多く抱える中で重視する政策項目が並んでいる。 (※) ( )は重複排除ベース 廃止・縮減項目数は、単純合計で国税23項目、地方税13項目で、重複排除ベースで国税13項目、地方税7項目であった。 国税では、復興庁の11項目が最多で、農林水産省と国土交通省の各5項目、経済産業省の2項目であった。東日本大震災からの復興支援目的で特定復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除の特例措置や、同区域における開発研究用資産並びに機械及び装置等の特別償却等の特例措置といった所得税や法人税に係る項目のほか、印紙税、登録免許税に係る項目が並んでいる。 地方税では、復興庁の7項目、国土交通省の4項目、農林水産省と経済産業省の各1項目であった。内容としては国税同様に東日本大震災からの復興支援目的の特例措置が含まれ、法人住民税や事業税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税に係る項目が並んでいる。   〇所得税 所得税の主な項目としては、金融庁、農林水産省、厚生労働省、経済産業省が共同で、生命保険料控除制度の拡充の恒久化等を要望している。令和7年度税制改正では、新生命保険料に係る一般生命保険料控除について、居住者が年齢23歳未満の扶養親族を有する場合には、1年間の時限措置として令和8年分における控除額を2万円引き上げて最高6万円とすることが措置された。しかし、生命保険料控除制度の拡充により、国民一人ひとりのニーズに沿った多様な生活保障の準備を推進し、安心かつ豊かでゆとりのある国民生活を確保する目的で、今年度はその恒久化を求めている。 また、経済産業省が単独で、食事支給に係る所得税非課税制度の見直しを求めている。6月13日に閣議決定された「骨太の方針2025」等では、物価上昇が継続していることを踏まえ、予算、税制における長年据え置かれたままの様々な公的制度に係る基準額や閾値について、国民生活へ深刻な影響が及ばないよう、省庁横断的・網羅的に点検し、見直しを進めることとされている。そのため、1984年の見直し以降、食料品価格が上昇する中で、40年以上据え置かれている食事支給に係る所得税の非課税限度額(現行月額3,500円以下)についても速やかな見直しが必要とされている。 さらに、金融庁が単独で、NISAに係る所在地確認の手続きの簡素化等を求めている。金融機関は、顧客が新NISA(及びつみたてNISA)の口座開設をした後、10年経過時(その後5年経過ごと)に顧客の氏名及び住所を確認することとされており、当該確認ができない場合は新規買付が停止となり、顧客の資産形成プランに影響を及ぼすおそれがある。現在求められている郵送等による確認方法では、顧客及び金融機関の負担が大きいことから、金融機関の負担にも配慮しつつ、資格のない者による取引が行われないよう実効性のある代替策の検討が必要となるため、手続の更なる簡素化により、投資家の利便性を向上させ、NISAの更なる普及・利用促進を図ることを目的としている。 その他、厚生労働省が単独で、セルフメディケーション推進のための医療費控除の特例措置の拡充を要望している。令和8年末までの時限措置を恒久化するとともに、医療費適正化効果が見込まれる非スイッチ OTC医薬品や OTC検査薬、薬局製造販売医薬品も税制対象医薬品に追加し、所得控除額の算出方法も見直すことで上限を20万円(現行8万8,000円)に引き上げることを求めている。   〇法人税 法人税の主な項目としては、9,479億円と最大の減税項目で今年度適用期限を迎える試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の拡充及び延長が注目される。経済産業省をはじめ、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省、防衛省、内閣府、復興庁による共同要望である。現行の一般型を土台として民間の創意工夫を分野を問わず支えた上で、戦略技術領域に対する研究開発投資の拡大、大学等における戦略研究拠点との産学連携の促進、中長期的な研究開発投資を促し国際的にイコールフッティングな投資環境の整備等に向けた見直しを求めており、既存の一般型等とは別に、日本の戦略技術領域を対象とした戦略技術領域型の創設が盛り込まれている。 また、経済産業省の単独要望として、大胆な投資促進税制の創設がある。2030年度に135兆円、2040年度に200兆円の新たな官民国内投資目標を設定した中、その達成に向けて、官民一体となった国内投資の拡大を通じて、日本企業の「稼ぐ力」を向上させ、賃上げを含めた好循環を形成するため、5年間を集中投資期間と位置づけた上で、高付加価値化のための大胆な設備投資を促進する税制の創設を求めている。 その他、文部科学省が単独で、地元企業の地域学校協働活動への参画促進に向けた法人税の税額控除の創設を要望している。地元の学校における教育活動へ参画し、地域人材の育成、学校運営上の課題解決等に貢献する地元企業について、当該企業が支出した貢献に係る費用の一定割合を、当該企業の法人税額から控除する3年間の時限措置要望である。人口減少社会における持続可能な地域経済の振興、持続可能な充実した学校教育活動の展開に向け、寄附の損金算入による軽減効果に加え、税額控除のメリットを付与することにより、企業の地域学校協働活動への参画を促進することを目的としている。   〇その他 昨年の与党税制改正大綱において、令和8年度改正において結論を得るとされた車体課税については、経済産業省から抜本見直しの要望が出されている。米国の追加関税等の国内自動車産業への影響も踏まえつつ、市場の活性化に寄与し、2050年カーボンニュートラルの実現にも積極的に貢献するものとすべく、環境性能割の廃止等取得時の負担の軽減を行い、保有時において重量及び CO2排出量削減に資する環境性能に応じて負担を決定する公平・中立・簡素な制度とするとともに、自動車の枠を超えたモビリティ産業の発展に伴う経済的・社会的な受益者の広がりや保有から利用への移行等を踏まえつつ、受益と負担の関係も含め、中長期的な視点に立って検討を行うことを求めている。 (了)

#No. 636(掲載号)
#魚住 康博
2025/09/18

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第75回】「法人課税信託に係る課税の適正化」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第75回】 「法人課税信託に係る課税の適正化」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 改正前の取扱い 令和7年度税制改正以前は、受益者等の存在しない法人課税信託を設定した後に受益者等が指定された場合には、その指定された受益者等が受託法⼈から信託財産の帳簿価額(簿価)を引き継ぐこととされており、かつ、その簿価の引継ぎにより⽣じた経済的利益については課税されないとされていた(旧・所法67の3①②)。 この取扱いを適用することで、一部では「株式交付型スキーム」と呼ばれる法人課税信託を利用した税負担の軽減を行うことが可能となっていた。具体的には、①委託者が法⼈課税信託に⾦銭を信託する、②受託者が新株予約権を購⼊した後、③受託者が権利⾏使をして取得した株式を、④役員等を受益者に指定して(この時点で法人課税信託ではなくなる)、⑤役員等の個人に株式を交付するという流れとなる。つまり、受益者となった役員は、交付を受けた株式について、当該株式の譲渡時まで課税を繰り延べると同時に、申告分離課税を適⽤することができていたのである。 この点につき、自由民主党税制調査会資料には以下のような図が用いられており、当該スキームが問題視されていることがわかる。 〈改正前の取扱い〉 (※) 「自由民主党税制調査会資料」(令和6年12月12日)より抜粋の上、一部加工   (2) 改正された背景 ここで、このようなスキームが台頭したのは、国税庁が令和5年5月に「ストックオプションに対する課税(Q&A)」(最終改訂令和6年11月)を公表し、いわゆる信託型ストックオプションの課税関係の取扱いが示されたことが背景にあるのではないかと思われる。というのも、従来から信託型ストックオプションについては、有償ストックオプションと同様に権利行使時に課税関係が生じないものと考えられてきたところ、当該Q&Aの問3では、「役職員が当該ストックオプションを行使して発行会社の株式を取得した場合、その経済的利益は、給与所得となります(所法28、36②、所令84③)」と示されている(※1)。 (※1) なお、これらに関しては【第57回】参照。 これにより、信託型ストックオプションについては実務上、権利行使時に給与所得課税となるという取扱いが浸透したといえるため、この代替手段として株式自体を受益者に交付する当該スキームにニーズがあったのではないかと思われるためである。   (3) 令和7年度税制改正にて手当された内容 しかし、令和7年度税制改正にて、当該スキームに蓋がされることとなった。その趣旨として、「信託財産に属する株式を受益者等として指定した役員等に交付する場合には、株式の譲渡時まで課税を繰り延べることが可能となっていました。このような場合にも給与所得等として課税を行うことで給与等を現金で得ている者とのバランス等を図る観点から、・・・受益者等が指定されて法人課税信託に該当しなくなった場合には、その時に、受益者等のその株式の取得に係る経済的利益について給与所得等として課税を行うこととし、その受益者等はその時の価額によりその株式を取得したものとされました」と説明されている(※2)。 (※2) 島谷和孝他編「令和7年版 改正税法のすべて」(大蔵財務協会、2025)101頁。 改正の具体的な内容は、一定の要件を満たす特定法人課税信託の信託財産に属する特定株式について、受益者等が指定されたために法人課税信託に該当しなくなった時は、当該受益者等のその株式に係る経済的利益を給与所得等とみなして課税がなされることとなった。そして、当該受益者等はその時の価額によってその株式を取得したものとされることとなった(所法67の3③)。 ここで、「特定法人課税信託」とは、その信託財産に属する特定株式に係る発行法人等が委託者となる受益者等の存在しない信託である法人課税信託で、当該特定株式の発行法人の役員等の勤続年数等を勘案して当該役員等が受益者等として指定されるものをいう(所法67の3④一)。また、「特定株式」とは、譲渡制限その他の条件が付されている株式以外の株式をいうとされている(所法67の3④二、所令197の3②)。 これらの内容を図示すると以下の通りとなる。 〈改正イメージ〉 (※) 「自由民主党税制調査会資料」(令和6年12月12日)より抜粋の上、一部加工 なお、令和7年度税制改正大綱には適用時期が明記されていなかったが、当該改正は令和7年4月1日以降に効力が生じる特定法人課税信託について適用されることとなっている(改正法附則5)。 (了)

#No. 636(掲載号)
#中尾 隼大
2025/09/18

国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第5回】

国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正 -防衛特別法人税等の企業への影響- 【第5回】   公認会計士・税理士 荒井 優美子   12 課税標準法人税額から納付税額の計算 【第4回】は基準法人税額から課税標準法人税額の計算の過程について解説を行ったが、【第5回】では課税標準法人税額から納付税額の計算の過程を説明する。 防衛特別法人税の額は、各課税事業年度の課税標準法人税額に4%の税率を乗じて計算される(防衛財確法14①、15)。ただし、基準法人税額に留保税額が含まれている場合の課税標準法人税額は、加算前基準法人税額から基礎控除額を控除した金額である(防衛財確法14②)。 防衛特別法人税の納付税額の計算においては、法人税や地方法人税と同様に、外国税額控除、控除対象所得税額等相当額の控除、分配時調整外国税相当額の控除及び仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う減少法人税額(防衛特別法人税額)の控除の制度が適用される。なお、税額控除の順番も法人税や地方法人税における税額控除の適用がある場合と同様で、①分配時調整外国税相当額の控除、②控除対象所得税額等相当額の控除、③仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除、④外国税額の控除の順番とされる(防衛財確法20)。 【図表7】防衛特別法人税の納付税額の計算   13 外国税額控除 内国法人が外国税額控除(法法69①、地法法12①)の適用を受ける場合において、その課税事業年度の控除対象外国法人税の額が法人税の控除限度額(法法69①)及び地方法人税控除限度額(地法法12①)の合計額を超えるときは、防衛特別法人税の控除限度額の範囲内で控除することとされる(防衛財確法16①)。 防衛特別法人税の控除限度額は、以下の算式で計算される(防衛特別法人税に関する政令(以下「防衛特法令」)3①)。 法人税の外国税額控除の適用に係る「控除限度超過額」は、当期の控除対象外国法人税の額が、当期の法人税の控除限度額、地方法人税の控除限度額及び防衛特別法人税の控除限度額と地方税の控除限度額の合計額を超える場合におけるその超える部分の金額に相当する金額として計算される(【図表8】の「控除されない」金額)。この「控除限度超過額」は、3年間の繰越による控除が可能である。 一方で、「国税の控除余裕額」は、当期の控除対象外国法人税の額が、当期の法人税の控除限度額に満たない場合における差額の金額として計算され、防衛特別法人税についてはそのような仕組みは設けられていないため、「国税の控除余裕額」は従前と同様である。「地方税の控除余裕額」については、当期の控除対象外国法人税の額が防衛特別法人税からも控除される結果、「地方税の控除余裕額」が増大することが考えられる。 当該控除制度の適用は、申告書への明細書の添付が要件とされている(防衛財確法16⑮)。 【図表8】防衛特別法人税における外国税額控除の仕組み (出典:財務省ホームページ「令和7年度税制改正の解説」)   14 分配時調整外国税相当額の控除 分配時調整外国税相当額控除とは、集団投資信託の収益の分配等の支払を受ける場合に、所属税法等により源泉徴収される金額から控除された金額のうち分配時調整外国税相当額については、法人税の額から控除する制度である。 分配時調整外国税とは、外国の法令に基づき信託財産につき課される税で、源泉徴収に係る所得税に相当するもののうち、その外国所得税の課された収益を分配するとしたならばその収益の分配につき所得税を徴収されるべきこととなるものに対応する部分をいう。 内国法人が各課税事業年度において法人税及び地方法人税における分配時調整外国税相当額の控除(法法69の2①、地法法12の2①)の適用を受ける場合に、その課税事業年度の分配時調整外国税相当額がその内国法人のその課税事業年度の基準法人税額及び基準法人税額に対する地方法人税の額(所得地方法人税額、地法法11)の合計額を超えるときは、その超える金額をその課税事業年度の防衛特別法人税の額から控除することとされている(防衛財確法17①、防衛特法令4①)。当該控除制度の適用は、申告書への明細書の添付が要件とされている(防衛財確法17④)。   15 控除対象所得税額等相当額の控除 控除対象所得税額等相当額とは、内国法人が外国子会社合算税制の適用を受ける場合において、外国関係会社に対して課される所得税等の額のうち、その課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額に対応する部分の金額に相当する金額をいい(措法66の7④)、外国税額控除制度とは別枠で、内国法人の法人税及び地方法人税の額から控除される(措法66の7④、⑩)。 内国法人が課税事業年度の控除対象所得税額等相当額が、当該課税事業年度の法人税の額及び地方法人税額の合計額を超えるときは、その超える金額をその課税事業年度の防衛特別法人税の額から控除することとされる(防衛財確法18①、43①)。当該控除制度の適用は、申告書への明細書の添付が要件とされている(防衛財確法18③)。 課税事業年度の控除対象所得税額等相当額が、法人税の額、地方法人税額及び防衛特別法人税の額の合計額を超える場合には地方税(住民税)から控除される。   16 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除 法人税について仮装経理に基づく過大申告があった場合には、納税者の減額更正の請求に基づき、税務署長が行った更正による減少法人税額は、その減額更正の日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税の額から控除される(法法70、135)。防衛特別法人税の算定の基礎となる基準法人税額は、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除適用前の金額であることから、仮装経理に基づく過大申告により法人税額が過大であるときは、防衛特別法人税額も過大となる。 そこで、防衛特別法人税においても、法人税法第70条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)及び第135条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)と同様の制度が設けられている(防衛財確法19、35①)。 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正があった場合、すなわち内国法人の各課税事業年度開始の日前に開始した課税事業年度の防衛特別法人税につき税務署長が更正をした場合には、その更正に係る仮装経理防衛特別法人税額を、その更正の日以後に終了する各課税事業年度の防衛特別法人税の額から控除する。内国法人の各課税事業年度開始の日前に開始した課税事業年度には、適格合併が行われた場合の被合併法人課税事業年度を含むこととされており、この場合は合併法人の課税事業年度の防衛特別法人税から控除されることになる。   (続く)

#No. 636(掲載号)
#荒井 優美子
2025/09/18

相続税の実務問答 【第111回】「非課税特例の適用を受けた住宅取得等資金の相続税の課税価格への加算-令和6年以降に相続時精算課税を適用した場合」

相続税の実務問答 【第111回】 「非課税特例の適用を受けた住宅取得等資金の相続税の課税価格への加算-令和6年以降に相続時精算課税を適用した場合」   税理士 梶野 研二   [答] お父様から贈与を受けた住宅取得等資金の額40,000,000円から、住宅取得等資金の非課税特例を適用した金額10,000,000円と相続時精算課税に係る基礎控除額1,100,000円を控除した残額28,900,000円が相続税の課税価格に加算される金額となります。   ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 生前贈与財産の相続税の課税価格への加算等 被相続人からの生前贈与が相続時精算課税の適用に係るものでない場合には、相続税法第19条第1項の規定により、相続開始前7年以内に被相続人から贈与により取得した財産の価額を、相続税の課税価格に加算しなければなりません(※)。 (※) 平成12年までに相続が開始した場合には、経過規定により加算対象期間が縮小されています(平成5年所得税法等の一部を改正する法律附則19②③)。また、加算される贈与により取得した財産のうち、相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産については、その合計額から100万円を控除した残額が相続税の課税価格に加算されます(相法19①)。 また、被相続人からの生前贈与が相続時精算課税の適用に係るものである場合には、相続税法第21条の15及び同法第21条の16の規定により、生前贈与を受けた財産の価額を相続税の課税価格に加算又は算入することとなりますが、令和6年以降の相続時精算課税の適用に当たっては、受贈者ごとに110万円の基礎控除が認められていますので、当該生前贈与を受けた金額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額が相続税の課税価格に加算又は算入されることとなります(平成5年所得税法等の一部を改正する法律附則19④、相法21の11の2①②、措法70の3の2①)。   2 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例 父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、この住宅取得等資金のうち非課税限度額までの金額は贈与税の課税価格に算入しません(措法70の2①)。この特例が、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例です(本稿ではこの特例を「住宅取得等資金の非課税特例」といいます。)。 この非課税特例を適用した金額については、相続税法第19条第1項の規定の適用においても、相続税法第21条の15第1項及び同法第21条の16の規定の適用においても、相続税の課税価格への加算又は算入の対象とはなりません(相法19①、21の15①、21の16①、措法70の2③)。   3 ご質問の場合 あなたは、お父様から相続により預金などを相続されるとのことですので、お父様からの生前贈与で、相続時精算課税の適用に係るものの金額は、相続税法第21条の15第1項の規定により、相続税の課税価格に加算しなければなりません。 しかしながら、あなたが、お父様から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、住宅取得等資金の非課税特例を適用した金額については、その贈与が相続時精算課税の適用に係るものであったとしても、相続税の課税価格に加算する必要はありません。 また、令和6年以降の相続時精算課税に係る贈与については、基礎控除額を控除した残額を相続税の課税価格に加算することとされています(相法21の15①)。 一方、相続時精算課税に係る特別控除額に相当する部分については、この金額を加算の対象から除外する旨の特段の規定は設けられていませんので、相続税の課税価格に加算することになります。 したがって、令和6年にお父様から贈与により取得した住宅取得等資金40,000,000円のうち、住宅取得等資金の非課税特例を適用した10,000,000円及び相続時精算課税に係る基礎控除額1,100,000円を控除した残額28,900,000円を相続税の課税価格に加算することとなります。 なお、あなたが令和6年分の贈与税として納付した780,000円は、算出された相続税額から控除し(相法21の15③)、控除しきれない金額がある場合には、その控除しきれない金額の還付を受けることができます(相法33の2①)。 (了)

#No. 636(掲載号)
#梶野 研二
2025/09/18

給与計算の質問箱 【第69回】「役員が入院のため役員報酬を減額した場合の注意点」

給与計算の質問箱 【第69回】 「役員が入院のため役員報酬を減額した場合の注意点」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 当社は12月決算です。代表取締役Aが病気のため9月から3ヶ月程度入院することになりました。入院予定の9月~11月の3ヶ月間の役員報酬を月額100万円から月額0円に減額した場合の注意点についてご教示ください。 A 以下に解説する。 * * 解 説 * * 1 定期同額給与に該当 病気のために職務執行ができないとして役員報酬を減額した場合、臨時改定事由による改定と認められ、定期同額給与に該当する(役員給与に関するQ&A[Q5]参照)。   2 傷病手当金の受給 健康保険から傷病手当金が支給される。 支給の条件として、以下の①~④の要件のすべてを満たさなければならない。   3 月額変更届の提出は不要 3ヶ月連続で2等級以上の報酬の増減があった場合には月額変更届を年金事務所へ提出しなければならないが、病欠の場合については月額変更届の提出は不要とされる。したがって、月額100万円にかかる健康保険料、厚生年金保険料は変更なしである。   4 給与計算 社会保険料は免除されない。役員報酬が月額0円だと月額100万円にかかる健康保険料、厚生年金保険料を控除できないことから、代表取締役から会社の口座に振り込んでもらうなどの対応が必要である。 (了)

#No. 636(掲載号)
#上前 剛
2025/09/18

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第76回】

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第76回】   東洋大学法学部教授 泉 絢也   イ RCASPと報告暗号資産交換業者等 CARFにおいて、顧客から提出された自己証明書の妥当性を確認し(デューデリジェンス義務)、税務当局に報告義務を負うのはRCASP(Reporting Crypto-Asset Service Provider)と呼ばれる暗号資産サービスプロバイダーである。 RCASPは、事業として、顧客のため又は顧客に代わって交換取引(報告の対象となる暗号資産と法定通貨との交換及び報告の対象となる暗号資産同士の交換)を実行する(effectuate)サービスを提供する個人又は事業体である。 つまり、RCASPは、暗号資産の流通・交換の場を提供し、利用者の代わりに取引を成立させる主体として、暗号資産等に係る報告制度の要となる。 こうしたRCASPの定義は、従来の金融機関に対してCRSが課していた報告義務の枠組みを、暗号資産の実務に合わせて再構築ないし別の枠組みとして拡張しようとする試みであるといえる。 RCASPには交換取引の相手方又は仲介者として行動する者や取引プラットフォームを提供する者が含まれる。RCASPの代表は、中央集権型の取引所であるCEXであるといってよい。 他方、単に、暗号資産の保管や移転に係るサービスを提供する者、ブロックチェーンのトランザクションの検証作業のみを行う者(マイナーやバリデータ)、暗号資産関連のソフトウェアやアプリケーションを開発・販売する者はRCASPに含まれない(OECD, INTERNATIONAL STANDARDS FOR AUTOMATIC EXCHANGE OF INFORMATION IN TAX MATTERS: CRYPTO-ASSET REPORTING FRAMEWORK AND 2023 UPDATE TO THE COMMON REPORTING STANDARD 22, 53-54(2023))。 これは、報告制度の実効性を保ちつつも、技術インフラの維持・発展に関与する者に過剰な報告義務を課さないという、バランスある制度設計の表れであるとみることができよう。 かくして、純粋なカストディアンやウォレットサービスプロバイダーはRCASPに該当しないことになる(Raffaele Russo et al., Approval of the Cryptoasset Reporting Framework Is a Step in the Right Direction, 108 TAX NOTES INT’L 567, 569(2022))。 しかしながら、仮にそのカストディアンやウォレットサービスプロバイダーが、表向きには「保管サービス」を標榜していたとしても、実態として顧客の指図に応じて交換取引を実行しているのであれば、事業として、顧客のため又は顧客に代わって交換取引を実行するサービスを提供しているものに当たり、RCASPに該当すると判断される可能性が高い。 つまり、機能基準に基づく実質判断が制度上予定されており、形式的な業態区分に逃げ込む余地は少ない。 日本版CARFにおいて、RCASPに相当するのは「報告暗号資産交換業者等」である。 報告暗号資産交換業者等は、その年の12月31日において、自社との間でその営業所等を通じて暗号資産等取引を行った者(※1)が報告対象契約を締結している場合等には、次に掲げる一定の報告事項を、その年の翌年4月30日までに、その報告暗号資産交換業者等の本店等の所在地の所轄税務署長に提供しなければならない(実特法10の10①)。 (※1) CARFやCRSと同様に、脱税リスクの低いと考えられる事業体、すなわち上場法人等、上場法人の関連会社等及び国等は、報告対象外の者とされている(財務省「令和6年度 税制改正の解説」715頁)。 (※2) 外国の納税者番号に日本のマイナンバー(個人番号)は含まれない。上記の報告暗号資産交換業者等から所轄税務署長への報告事項は、CARFにおいて税務当局間で情報交換することとされている情報を踏まえたものとされており、いわゆる納税者番号については、外国の納税者番号は報告事項とされるが、日本のマイナンバーは報告事項とはされていない(財務省「令和6年度 税制改正の解説」699頁)。 上記の報告事項には、次の暗号資産等に係る公正市場価値額の合計額、総数量、合計件数などが含まれる。 報告暗号資産交換業者等とは次の〔1〕及び〔2〕のいずれの要件も満たす者である(実特法10の9⑤一、実特令6の18)である。 これにより、日本法上のライセンスを取得した事業者のうち、顧客の取引を仲介・実行する立場にある者が、RCASPと同等の義務、具体的には、情報収集・デューデリジェンス・税務当局への報告の一連の義務を担う主体となる。 いわば、ライセンス保有という形式的要件と、実質的な取引関与という機能的要件の双方が求められており、これはCARFの制度設計を国内法の枠組みに適合させるための工夫といえる。 日本版CARFにおける暗号資産等とは、①暗号資産(決済2⑭)②4号電子決済手段(決済2⑤四)、③電子記録移転有価証券表示権利等(金商29の2①八。ただし、資金決済法2条14 項各号に掲げる財産的価値に限る)である(本連載第75回参照)。 上記〔1〕の要件は、この日本版CARFにおける暗号資産等に対応する形で、報告暗号資産交換業者等に該当する者を定めていることがわかる。 CARFと同様に、暗号資産の「保管」や「移転」のみを行う事業者は報告義務者とはされない。 すなわち、媒介等に関与せずに、ウォレットサービス提供者といった技術的なインフラ提供者などは、原則として報告暗号資産交換業者等には該当しない。この点は、CARFとの整合性を意識したものと評価できよう。 このように、日本版CARFはCARFの制度趣旨を踏襲しており、課税情報の把握に実効性をもたらす主体を的確に捕捉する一方で、顧客の取引を仲介・実行するような役割を有していない事業者への過剰な規制を避けるバランスのとれた枠組みとなっている。 日本版CARFがCARFの枠組みを国内法に移植するにあたって、既存の規制法(資金決済法・金融商品取引法)との整合を図りつつ、取引当事者と媒介者との実態的関係に即した制度設計を行っていると評価することもできよう。 なお、日本版CARFにおいて、報告暗号資産交換業者等に対して、氏名や住所など所定の事項を記載した届出書を提出しなければならない利用者は、「暗号資産等取引実施者」と呼ばれている。 暗号資産等取引実施者とは、次の者である(実特法10 の9①前段)。 暗号資産等取引実施者は、特定対象者の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地、居住地国、外国納税者番号等(※)の所定の事項を記載した新規届出書を、所定の期限までに、報告暗号資産交換業者等の営業所等の長に提出しなければならない(実特法10の9①)。 (※) 外国納税者番号等とは、特定対象者の住所等所在地国と認められる国・地域(外国に限る)として特定された国・地域においてその特定対象者が有する納税者番号又は内国法人である特定法人のうちその特定法人に係る実質的支配者(住所等所在地国と認められる国又は地域が外国であるものに限る)があるものが有する法人番号をいう(実特規16の16⑥、実特規16の3⑩)。   (了)

#No. 636(掲載号)
#泉 絢也
2025/09/18

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第79回】「非居住者期間の所得を合算課税することの可否が問題となった事例(地判平28.5.13、高判平29.5.25、最判平30.4.12)(その1)」

〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第79回】 「非居住者期間の所得を合算課税することの可否が問題となった事例 (地判平28.5.13、高判平29.5.25、最判平30.4.12)(その1)」   税理士 柿本 雅一     1 事案の概要 納税者は日本で生まれたが出国し40年以上にわたり欧州(スウェーデン、デンマーク、英国、ハンガリー)で生活していた。デンマークに居住していた1987年にA社を設立し、ログハウスの輸入代行業を行っていた。 納税者は2000年に英国に移住したが、その際デンマーク税法の適用を受け、出国直前に有していた株式等を譲渡したものとみなしてこれを時価評価課税する出国税を課された(出国税は分割納付により2011年に完納)。2002年には英国からハンガリーに移住した。 2008年1月22日にA社はA社の所有するC社株式のすべてを第三者に売却する契約を締結し、同月31日に当該売買代金の80%に相当する金額の支払いを受け、残り20%相当の代金は同年3月31日に支払いを受けた。 納税者は2008年2月1日に日本に入国し東京都での居住を始めた。納税者は2008年分と2009年分の所得税確定申告書を法定期限までに提出したが、いずれの申告書にも外国子会社合算税制の適用が除外される旨を記載した書類は添付されていなかった。 東京国税局は2012年に納税者と面識する等の税務調査を実施し、2013年2月に外国子会社合算税制を適用する内容の更正処分をした。納税者は同年3月に異議申し立てを行ったが同年6月に異議申し立てを棄却された。さらに、同年7月に国税不服審判所に審査請求をしたが2014年7月に審査請求を棄却する旨の裁決が行われたため、同年10月に裁判を提訴した。 【本事案の時系列】   2 争点 本事例において争われた争点は以下の4点であるが、本稿においては納税者の所得税の額の計算上外国子会社合算税制が適用されるかに焦点を当てることにする。 外国子会社合算税制の適用に関しては、納税者が居住者であることが求められるものの法令上は居住者となった時期等について何ら明文で限定されていないことの解釈として、文理解釈を全うして制限を加えないことを正とするのかそれとも制度趣旨を踏まえて一定の制限を加えることを正とするのかという解釈論が中心的に争われている。具体的には、長年非居住者であった者が海外で外国法人を設立し、日本居住者になる前に当該外国法人が外国で稼得した所得であるため、日本での課税を回避する目的が乏しいにもかかわらず、その後日本居住者になったこと等形式的に課税要件に該当することを理由として同税制を適用することが適切かどうか問題となっている。 そこで、以下において、(1)制度趣旨、(2)非居住者の範囲、(3)条文解釈について納税者、税務当局、裁判所の主張を見ていくことにする。   3 納税者の主張 (1) 制度趣旨について 「外国子会社合算税制は、基本的に国際的な租税回避を防止するために導入された税制である。具体的には、居住者又は内国法人が軽課税国に子会社を設立し、そこに所得を留保して配当しないことにより、課税時期を遅らせる(課税繰延べ)などの租税回避行為が可能となるから、このような租税回避を防ぐことがその趣旨である」と述べ、居住者が軽課税国に子会社を設立して所得移転するケースの防止を想定している点を強調している。 (2) 非居住者の範囲について 「原告は、当時、デンマークの居住者であり、デンマークに会社を設立し、デンマークを中心に、C社の現地法人を設立しながら、北欧・ヨーロッパ全域へとビジネスを拡大していったのであって、原告、C社及びA社に日本の課税権が及ぶことはなかったのである。原告は、日本国の租税負担を回避する必要はなく、租税回避のためにC社及びA社を設立したわけではない。 また、原告が設立したデンマークの会社における利益の発生は、原告が日本国の居住者となる以前に完了しており、当該利益をデンマークの会社に留保しているという状況であったところ、それ以後に、原告は、2年という短期間のみ日本の居住者の地位を取得することとなった。 このように、たまたま日本の居住者となった原告に対し、それ以前に非居住者としてデンマークで上げた利益を、デンマークの法人に留保しているからという理由で、硬直的・形式的に外国子会社合算税制を適用するのは、措置法の趣旨を考慮しないものといわなければならないから、原告については、措置法40条の4第1項の規定が適用される理由はない。」と述べ、高裁において、さらに「措置法40条の4第1項は、非居住者が、外国において会社を設立し、そこで利益を上げて、当該利益を当該会社に留保してあるという状況にあり、かつ、当該非居住者が当該外国において利益を発生させた時点より以後の時点において、我が国の居住者の地位にあることとなったという状態などは全く想定していないのであり、このような場合に、控訴人が居住者の地位にあるとされるとしても、居住者たる地位を取得する以前に非居住者として外国で上げた利益について、日本国の課税権が及ぶことはあり得ないといわなければならないから、原告については、措置法40条の4第1項の規定が適用される理由はない。」と述べ、非居住者時代に外国子会社が稼得した利益について、その後居住者になることは法の想定していない状態である点を強調し、このような利益に対して日本の課税権が及ぶことはあり得ないと主張している。 (3) 条文解釈について 「学説、判例は、納税者の権利侵害の方向での縮小解釈ないし限定解釈を認めているのであるから、納税者の有利な方向で規定の縮小解釈ないし限定解釈をして、権利を侵害する規範の適用を否定することができるにもかかわらず、それを排除するということはあり得ない。このことは、縮小解釈ないし限定解釈をしない限り、規定の立法の趣旨に明らかに反することとなる場合は、なおのこと当然である。 措置法40条の4の規定を形式的に読む限り、特定外国子会社等に該当すれば、適用除外要件をすべて満たさない限り、外国子会社合算税制の適用があるように読める。しかしながら、同規定の立法者の意思は、そのような形式的・硬直的なものではない。 そして、本来、日本国に対する納税義務がない主体が、海外で設立した会社で上げた利益を留保し、その後、日本国の居住者となった場合には、外国子会社合算税制が予定する時系列とは時間的な順序において齟齬があることから、このような場合に、形式的に要件を満たしたというだけの理由によって、外国子会社合算税制を適用して課税するのは、措置法40条の4の立法の趣旨を理解せず、その解釈・適用を誤ったもので、違法であり、取り消されなければならない。」と述べ、条文を形式的・硬直的に読んで当てはめるのではなく、縮小解釈ないし限定解釈をして、立法趣旨に反する課税は否定されるべきだと主張している。   4 税務当局の主張 (1) 制度趣旨について 「外国子会社合算税制は、我が国の経済の国際化に伴い、子会社等を軽課税国に設立し、これを利用して税負担の不当な軽減を図る事例が見受けられたために、税負担の公平の見地からこれを防止することを目的として設けられたものであって、同規定では、特定外国子会社等が独立企業としての実体を備え、かつ、その所在地国で事業活動を行うことにつき十分な経済合理性があると認められる等一定の要件に該当する場合には、その特定外国子会社等の適用対象留保金額について、適用除外とすることを明らかにしている。」と述べ、税負担の公平の見地から租税回避の防止に制度趣旨があるとしている。 (2) 非居住者の範囲について 「いわゆるタックス・ヘイブンを利用する租税回避について税負担の公平の見地からこれを防止すべきであるとの趣旨は、我が国の居住者が軽課税国に子会社等を設立した場合のみならず、非居住者が軽課税国に子会社等を設立した後に我が国の課税権の及ぶところとなった場合も等しく妥当するものであって、居住者となった時期と子会社等を設立した時期の先後を問わないものである。 そこで、措置法は、外国子会社合算税制の規定の適用対象となる居住者については、その者に係る外国関係会社の各事業年度の終了の時において措置法40条の4第1項1号及び2号に掲げた要件に該当する者と規定するのみで(措置法施行令25条の24第1項)、居住者となった時期については何ら限定をせず、我が国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人(所得税法2条1項3号)をすべからくその対象としている。」と述べ、租税回避の防止の観点からは居住者となった時期と外国子会社が設立された時期の先後を問わないとしている。そして、その根拠を租税特別措置法の文理解釈に求めている。すなわち、条文上は外国子会社の事業年度終了時点で居住者であれば良く、居住者となった時期については何ら限定をされていない点を強調している。 (3) 条文解釈について 「租税法規は、多数の納税者間の税負担の公平を図る観点から、法的安定性の要請が強く働くから、その解釈は、原則として文理解釈によるべきであり、文理解釈によっては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合にはじめて、規定の趣旨・目的に照らしてその意味内容を明らかにする目的的解釈が行われるべきであって、みだりに拡張解釈や類推解釈を行うべきではない。 また、納税義務は、法律の定める課税要件の充足によって成立し、納税義務の内容は、専ら法律の規定によって定まるものであって、当事者の意思によって左右されるべきものではないから、明文の規定がないにもかかわらず、当事者の意思や意図といった当事者の主観的事情によって納税義務の内容等を左右することは許されない。」と述べ、税負担の公平を図る観点から原則として文理解釈によるべきであり、文理解釈によっては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合にはじめて、規定の趣旨・目的に照らしてその意味内容を明らかにする目的的解釈が行われるべきであると主張している。   5 裁判所の判断 (1) 制度趣旨について 「この規定は、我が国経済の国際化に伴い、居住者が法人の所得に対する租税の負担がないか又は極端に低い国若しくは地域(いわゆるタックス・ヘイブン)に子会社等を設立して経済活動を行い、当該法人の所得を留保することによって、我が国における租税の負担を回避しようとする事態に対処して税負担の実質的な公平を図ることを目的として、一定の要件を満たす外国会社を特定外国子会社等と規定し、その課税対象留保金額を居住者の雑所得の計算上総収入金額に算入することとしたものと解される。」と述べ、税負担の実質的な公平を図ることを目的として租税回避行為を防止することにあるとしている。これは過去の判例を踏襲したものである。 (2) 非居住者の範囲について 東京地裁は居住者の定義については触れずに2008年2月1日から2011年10月2日までの間日本に居住していたこと及びA社が特定外国子会社等に該当することを認定し、措置法40条の4第4項の適用除外要件を充足しない限り、措置法40条の4第1項が適用されるとしている。 (3) 条文解釈について 東京地裁は、「租税法規は、多数の納税者間の税負担の公平を図る観点から、法的安定性の要請が強く働くため、その解釈は、原則として文理解釈によるべきであり、文理解釈によっては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合に初めて、規定の趣旨・目的に照らしてその意味内容を明らかにする目的論的解釈によるべきであるところ、措置法40条の4の規定の文言や意味内容は、上記のとおりであって、その文言等に照らし、文理は明確であるというべきである。そして、同条4項が、経済合理性を有すると認められるための要件を法定した上、これらの要件が全て満たされる場合には同条1項の規定を適用しないこととしていることに照らすと、上記のような経済合理性を有するか否かの判断は、同項の規定する適用除外要件を満たすか否かによって判断すべきであって、同項の規定を離れてその判断をすることは予定されていないものと解すべきである。」と述べ、さらに東京高裁では具体的に、「同条は、それ以上に、居住者が租税回避の意図目的を有することや、居住者がタックス・ヘイブンに子会社等を設立し、その後、同社に所得を留保して租税回避をしたことを要件として要求していないことは規定の文言上明らかであり、また、非居住者が外国において会社を設立し、当該会社の利益が留保された状況で、その後に居住者となった場合を対象から除く旨の定めもないこと、租税法規は、多数の納税者間の税負担の公平を図る観点から、法的安定性の要請が強く働くため、その解釈は原則として文理解釈によるべきであり、措置法40条の4の規定の文言や意味内容は文理上明確であることは、前記1において説示したとおりである。」と述べ、措置法40条の4が規定する文言や意味内容が明確であるから目的論的解釈をする必要はないと判断している。 ((その2)へ続く)

#No. 636(掲載号)
#柿本 雅一
2025/09/18
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