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プロフェッションジャーナル No.653が公開されました!~今週のお薦め記事~

2026年1月22日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.653を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2026/01/22

日本の企業税制 【第147回】「OECD/G20のBEPS包摂的枠組みが共存システムに関する合意を公表」

日本の企業税制 【第147回】 「OECD/G20のBEPS包摂的枠組みが共存システムに関する合意を公表」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 魚住 康博   147ヶ国・地域で構成されるOECD/G20のBEPS包摂的枠組み(Inclusive Framework)は、新年早々の1月5日、デジタル化・グローバル化した経済環境におけるグローバル・ミニマム課税制度の協調的運用に向けた道筋を示すパッケージの主要要素について合意したことを公表した。 2025年6月28日にG7の財務省がグローバル・ミニマム課税に関する共同声明を公表したことで、米国連邦議会に提出された税制改正法案に当初盛り込まれた報復措置が撤回されて以降、数ヶ月にわたる緊密な協議を経て発表された「共存システム(side-by-side system)」に関する包括的合意は、国際税制の安定性と確実性の基盤を築く重要な政治的・技術的合意である。これにより、グローバル・ミニマム課税の枠組みで従来までに達成された成果が維持され、特に開発途上国を含む全ての管轄区域が、自国で生み出された所得に対する第一課税権を確保する能力が保護される。 2025年12月19日に自由民主党と日本維新の会による与党が取りまとめた令和8年度税制改正大綱においては、「グローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)については、国際課税システムの安定化等を目的とした、グローバル・ミニマム課税と米国をはじめとする一定の要件を満たす国の税制との共存等に係る国際的な議論が継続している状況にあり、近く国際合意に至る場合には当該合意に則り早急に見直しを検討する等、議論の状況を踏まえて今後対応を検討する。あわせて、令和8年度税制改正において、OECDにより発出されたガイダンスの内容等を踏まえ、制度の明確化等の観点から所要の見直しを行う。」旨が明記されていた。そのため、本合意を踏まえて、今後、国内における所要の措置が講じられることとなる。   〇 5つのポイント 公表された合意文書においては、次の5つの主要ポイントが明記されている。   〇 コーマン事務総長による声明 OECDのマティアス・コーマン事務総長は、本合意の公表にあたり、「147の国と地域が参加する包摂的枠組みによる本合意は、国際税務協力における画期的な決定である」旨とともに、「税務上の確実性を高め、複雑性を軽減し、税基盤を保護する本パッケージを最終決定した包摂的枠組みの加盟国による功績は称賛に値する。包摂的枠組みが本パッケージの実施を推進するとともに、グローバル・ミニマム課税制度とコンプライアンス負担のさらなる簡素化に向けた今後の提案を進めることを期待している」と述べている。   〇 ベセント財務長官による声明 米国のスコット・ベセント財務長官は、本合意を受けて、次のような声明を公表した。 トランプ大統領の就任初日の大統領令は、バイデン政権が提案したOECD第2の柱合意が米国に対して効力を有しないことを明確にした。 本日、当政権はその公約を果たした。米国財務省は議会と緊密に連携し、OECD/G20包摂的枠組みに参加する145ヶ国以上との合意形成に努めた結果、米国に本社を置く企業は米国のグローバル・ミニマム課税のみの対象となり、第2の柱からは免除されることとなった。この共存システムに関する合意は、米国企業の全世界的な事業活動に対する米国の課税主権と、他国が自国領土内の事業活動に対して有する課税主権を認めるものである。 さらに本合意は、米国における投資と雇用創出を促進する米国議会が承認した研究開発税額控除やその他の優遇措置の価値を保護し、イノベーションと技術進歩における米国のリーダーシップという共通目標を達成するものである。 本合意は、米国の主権を保持し、米国の労働者と企業を域外適用による過剰な課税から保護する歴史的勝利を意味する。 米国財務省は、合意の完全な実施を確保し、国際的な税制の安定性を高め、デジタル経済の課税に関する建設的な対話に向けて前進するため、引き続き諸外国との対話を継続する。   〇 実務ガイダンス OECDは本合意とともに実務ガイダンスを公表しており、その概要は次のとおりである。 (了)

#No. 653(掲載号)
#魚住 康博
2026/01/22

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第78回】「合併無効判決の確定と役員退職給与」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第78回】 「合併無効判決の確定と役員退職給与」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 被合併法人による役員退職給与の支給 合併で法人が消滅することを機に役員が退職したことで、法人が役員退職給与を支給すること自体は一般的といえる。ここで、実際に役員が退職し、法人内で所定の決議をした上で支給した役員退職給与の額が過大ではない場合、その支給額が問題なく損金の額に算入されることに疑義はないと思われる。 ここで、対象役員が、支給額や退職自体に不満がある等の理由で、会社法828条1項7号等で定められている合併無効の訴えを行った結果、合併無効の判決が確定してしまった場合には、合併によって消滅したとする被合併法人が復活することになる。この場合、合併を機に退職した役員に支給した役員退職給与について、損金の額に算入できるのかが問題となる。 税務上、法人税法や国税通則法をはじめとする法律や通達、そして事務運営指針等には、合併無効判決の確定を想定した規定や取扱いが示されていない。したがって、会社法に準拠して処理をすることとなると思われる(※1)。この点、会社法839条では、「会社の組織に関する訴え・・・に係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされ、又は取り消された行為・・・は、将来に向かってその効力を失う。」と規定されているため、遡及して合併の効果が否定されるわけではない。加えて、合併無効判決の確定後における被合併法人の役員については、合併前の役員が当然に復職するのではなく、存続会社の取締役・監査役がその権利義務を有するべきと解されているのが通説である(※2)。 (※1) 同旨の見解及び今回取り上げるテーマの先行記事として、衛藤政憲「合併無効判決の確定と合併時退任役員の地位及び支給した役員退職給与」国税速報6428号13頁がある。 (※2) 江頭憲治郎『株式会社法 第9版』(有斐閣、2024)936頁。 ここで、裁判例や裁決例においては、合併無効判決の確定があったことにより被合併法人の役員に支給した役員退職給与の額について更正の請求がなされたという事例は、少なくとも筆者がリサーチする限り見られなかった。 しかし、合併無効判決が確定したことで清算所得課税について更正の請求を行ったところ、合併無効判決の効力は課税関係においても遡及しない旨が示された事例がある。具体的には、合併無効判決が確定したことを理由に更正の請求を行ったところ認められなかった事例があるため、以下(2)にてその概要を紹介する。   (2) 合併無効の訴えと税務上の取扱い 合併無効判決が確定したことを理由に更正の請求を行ったところ認められなかった事例として、大阪地裁平成14年5月31日判決(※3)、大阪高裁平成14年12月26日判決(※4)がある。以下がその概要である。 (※3) 判例タイムズ1098号140頁。 (※4) 判例タイムズ1134号216頁。評釈として、渡辺徹也「合併無効と課税」別冊ジュリスト207号33頁がある。 本件裁判例において争点となった旧商法110条は、「合併ヲ無効トスル判決ハ合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社、其ノ社員及第三者ノ間ニ生ジタル権利義務ニ影響ヲ及ボサズ」と規定されていたものである。このように判決によらなければならないことにつき、最高裁平成9年1月28日判決では(※5)、「会社と取引関係に立つ第三者を含めて広い範囲の法律関係に影響を及ぼす可能性があるために、・・・遡及して覆し得ることとするのは相当でなく、また、認容判決の効力が訴訟当事者間においてのみ相対的に生ずるとするのも相当でないことから、・・・法律関係を早期かつ画一的に確定することにあると解される」と示されている(※6)。 (※5) 最高裁判所民事判例集51巻1号40頁。 (※6) 沼田渉「合併等の組織法上の行為が無効とされた場合の法人税の取扱いに係る一考察」税務大学校論叢97号22頁。 本件裁判例においては、地裁が旧商法110条の趣旨に照らして同旨を示した上で、新たな会社分割が行われるために遡及効とならないとして、更正の請求を認めなかった。 また、控訴審においては、納税者は、旧商法110条の「影響ヲ及ボサズ」の解釈について、「合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社、其ノ社員及第三者ノ間ニ生ジタル権利義務」について影響を及ぼさないだけであり、それ以外の私法上の一般原則には遡及効が生じると付加主張した。 これに対し高裁は、「会社の合併と合併無効判決確定との間においても、会社の経済活動は行われ、課税問題をもたらす損益が生じているのであり、この損益を遡及的に無効にすることはできず、・・・復活した消滅会社の取締役・監査役については、合併当時の取締役・監査役が当然に復職するのではなく、復活後新たに選任がされるまでの間は、合併無効判決確定時における存続会社又は新設会社の取締役・監査役が消滅会社の取締役・監査役としての権利義務を有すると解されていることなどからも、合併無効判決に遡及効がないことが裏付けられるものである。」として、上記の通説に沿う見解が示されている。   (3) 本件裁判例の意義 (2)の裁判例は、現行法令ではない旧商法110条が争点となったものである。 旧商法110条は現在、上記の通り会社法839条の規定に改められているが、両者についてはその趣旨を同じくしており、その規定内容の意味するところに相違はないと考えられる(※7)。 (※7) 酒巻俊雄・龍田節編『逐条解説会社法 第9巻 外国会社・雑則・罰則』(中央経済社、2016)179-180頁では、実質面に変更がないとする見解が説かれている。 これにより清算所得課税は現行税制には存在していないが、非適格合併が行われた場合における保有資産の含み損益課税等が生じるため、無効判決の確定によって税務にどのような影響があるのかという点を検討する際、本件裁判例を検討することは今日でも意義があるとされている(※8) (※9)。 (※8) 金子宏・佐藤英明・増井良啓・渋谷雅弘『ケースブック租税法 第6版』(弘文堂、2023)494頁。太田洋・生方紀裕「合併無効判決が課税関係に及ぼす効果─旧商法110条と会社法839条の相違」T&Amaster324号20頁。 (※9) なお、無効判決の確定後における復帰資産等、資産調整勘定や負債調整勘定等の税務上の取扱いについては、沼田・前掲(※6)60頁以下に詳しい。 被合併法人の役員に支給した役員退職給与について検討する場合にも、本件裁判例が示した内容は参考となる。すなわち、会社法上の通説及び本件裁判例では、合併無効判決の確定によっても、被合併法人の役員は当然に復職しないとされているため、役員の退職はそのまま有効となる。加えて、支給した役員退職給与についても、無効判決が確定するまでに行われた会社の経済活動による損益に影響を与えており、この損益を遡及効により無効にすることはできないのであるから、支給した役員退職給与は返還されないため、そのまま損金の額への算入を維持されるべきであると思われるのである。 (了)

#No. 653(掲載号)
#中尾 隼大
2026/01/22

相続税の実務問答 【第115回】「相続時精算課税が適用される贈与の課税漏れがあった場合の贈与税額控除」

相続税の実務問答 【第115回】 「相続時精算課税が適用される贈与の課税漏れがあった場合の贈与税額控除」   税理士 梶野 研二   [答] 相続時精算課税の適用に係る贈与者に相続が開始したことにより相続税の申告をする際には、相続時精算課税に係る贈与税の金額を、算出相続税額から控除することとされていますが、贈与税の課税処分の除斥期間が徒過してしまい、課税されることのなかった贈与税額については、相続税額からの控除はできません。   ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 はじめに 【第114回】「贈与税が課税されていない相続時精算課税贈与の相続税の課税価格への加算」では、相続時精算課税の適用を選択した年以降にその相続時精算課税の適用に係る贈与者から贈与を受けた財産の価額は、実際に贈与税が課税されたかどうかにかかわらず、相続税の課税価格に加算しなければならないと説明しました。 この点については、相続時精算課税制度の仕組みから理解を得られたとして、そうであるならば、本来、課されたであろう贈与税額の控除が認められるべきではないかとの疑問が生じます。このような税額控除が認められないとするならば、贈与税の課税処分の除斥期間が徒過したこと、及び贈与税の徴収権の消滅時効が完成したことによる効果が事実上、消し去られてしまうからです。   2 相続時精算課税に係る贈与税額の控除 (1) 相続時精算課税選択届出書を提出した年以降に、その届出書に記載された贈与者から贈与を受けた財産(贈与により取得したものとみなされる財産等を含みます。)の価額は、その贈与者の相続開始の際の相続税の申告において、相続税の課税価格に加算又は算入されることとなります(相法21の15①、21の16①)。そして、この相続時精算課税の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、算出された相続税額から当該贈与税の税額に相当する金額を控除した金額をもって、納付すべき相続税額とされます(相法21の15③、21の16④)。 この「課せられた贈与税」には、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産に対して課されるべき贈与税も含まれるものとして取り扱われます(注)が、相続税法第37条⦅贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則⦆第1項及び第2項の規定による更正又は決定をすることができなくなった贈与税、すなわち、原則として贈与税の申告書の提出期限から6年が経過したことにより課税されなかった贈与税は除かれています(相基通21の15-3前段、21の16-1)。 (注) 贈与税が課されるべきであるにもかかわらず課税されていない場合には、速やかに贈与税の申告をすべきですし、申告がなされない場合には、当局による更正又は決定の手続きが執られることとなります(相基通21の15-3後段)。 (2) 相続税法第21条の15第1項は、相続時精算課税に係る贈与があった場合には、適正に贈与税の申告及び納付がされていることを前提に、算出相続税額から「課された贈与税」を控除すると定めており、申告漏れ(課税漏れ)がある場合には、この定めを適用する前提を欠いているといえます。一般的に同項の「課された贈与税」は「課されるべき贈与税」と同義と解してよいと思われますが、あくまでも適正な贈与税の申告(課税)が行われていることが前提ですから、実際に相続時精算課税に係る贈与について申告漏れ(課税漏れ)があり、相続税法第37条第1項及び第2項の規定により更正又は決定をすることができなくなった贈与税を相続税額から控除することは、課税の公平に反することとなり容認できるものではありません。一般的に「課された贈与税」と「課されるべき贈与税」とは同義であるとしても、法律上の文言が「課された贈与税」である以上、相続税法基本通達21の15-3等の定めのとおり更正又は決定をすることができなくなった贈与税を控除対象から除くことは、文理解釈の観点からも相当です。 なお、このように税額控除が認められないと解すると、贈与税の課税処分の除斥期間が徒過したこと、及び贈与税の徴収権の消滅時効が完成したことによる効果が、事実上、なくなってしまうとの見方もあるかもしれませんが、贈与税の更正又は決定の期間制限により贈与税が課されないことと、実際に課税されていない贈与税について、相続税の計算上、税額控除の対象とするかどうかは、別の問題であり、それぞれ、法律の規定振りとその合理的な解釈により処理されるべきものと考えます。   3 質問の場合 相続時精算課税の適用に係る贈与者に相続が開始したことにより相続税の申告をする際には、相続時精算課税に係る贈与税の金額を、算出相続税額から控除することとされていますが、贈与税の課税処分の除斥期間が徒過してしまい、課税されることのなかった贈与税額については、相続税額からの控除は認められません。 あなたが、平成20年に、お父様からのみなし贈与について贈与税の申告を失念し、既に贈与税の更正又は決定の除斥期間を徒過している以上、被相続人をお父様とする相続税の申告において、このみなし贈与財産の価額を加算しても、それに対応する贈与税額の控除をすることはできません。 なお、平成16年の株式の贈与に係る贈与税については、算出された相続税額から控除することができます。 (了)

#No. 653(掲載号)
#梶野 研二
2026/01/22

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第88回】「外国子会社配当益金不算入規定における外国子会社の判定基準(地判令3.9.28)(その1)」~法人税法23条の2第1項、法人税法施行令22条の4第1項~

〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第88回】 「外国子会社配当益金不算入規定における 外国子会社の判定基準(地判令3.9.28)(その1)」 ~法人税法23条の2第1項、法人税法施行令22条の4第1項~   滋賀大学准教授・税理士 金山 知明     1 はじめに 平成21年度に導入された外国子会社配当益金不算入制度(法人税法23条の2第1項)は、法人課税の分野において、全世界所得課税という基本構造を維持しながら、一部に国外所得免除型のポリシーを導入するものであったといわれる。その方策は、従来の間接外国税額控除の適用基準をそのまま利用しつつ、間接外国税額控除を廃止して、対象外国会社からの配当を益金不算入とするものである。 これにより、改正による税制の混乱は最小限に抑えられたという側面がある一方(※1)、内国法人による持株割合25%以上という適用基準を満たす場合は配当益金不算入(テリトリアル型)となり、それを満たさないときは全世界所得型で課税される結果となるため(※2)、簡素ではあるが適用の可否による対照性は拡大したともいえるだろう。 (※1) 青山慶二「外国子会社配当益金不算入制度の考察」筑波ロー・ジャーナル6号(2009)105頁。 (※2) 増井良啓「外国子会社配当の益金不算入制度は何のためにあるか」村井正先生喜寿記念論文集『租税の複合法的構成』清文社(2012)214頁。 本件は、まさにその持株割合25%以上という適用基準の充足を争点とし、具体的には、外国子会社への当否の判定を単に所有株式数のみで行うか、それとも株式数だけでなく、払込金額や議決権の割合による判断も可能か否かを巡り争われた事案である。その争点自体は単純であるが、外国子会社配当益金不算入制度の適用基準に関する検討経緯や、外国子会社合算税制との関係から重要な論点を含んでいる。   2 事案の概要 原告Xは、平成24年6月に設立された、大阪府岸和田市に本店を置き、海外企業に対する企業進出に関するコンサルティング等を目的とする、資本金300万円の株式会社である。 F社は、平成24年12月、カナダのブリティッシュ・コロンビア州事業法人法に基づき、カナダに所在していた2法人が新設合併することにより設立された外国法人である。 Xは、平成25年7月30日(本件配当日)、F社から645万7,500カナダドルの剰余金の配当を受け、その円換算額6億1,700万円あまりを受取配当金勘定に計上する会計処理をした。 本件配当日におけるF社の発行済株式の種類、株主の状況等は下表のとおりである。X以外にGとHが株主となっており、Xの持株数はわずか1株ではあるが、議決権割合としては26%を有している。なお、F社の設立時及び本件配当日以前6ヶ月の間における株主及び株式の状況もこれと同様であった。 〈配当日におけるF社の株主構成表〉 Xは、平成26年7月31日、Y(岸和田税務署長)に対し、当該事業年度に係る法人税等の確定申告をした。その際Xは、本件事業年度の法人税について、本件配当は、法人税法23条の2第1項(外国子会社配当益金不算入)に規定する「外国子会社」から受ける剰余金の配当等の額に該当するとして、本件配当の額からその5%相当額を控除した金額の円換算額5億8,600万円あまりを、益金の額に算入しなかった。 Yは、平成29年6月27日付けで、F社は法人税法23条の2第1項にいう「外国子会社」に該当しないから同項の規定の適用はないとして、Xの本件事業年度の法人税等について、更正処分を行った。 Xは、平成29年9月19日、本件各処分を不服として、再調査の請求をした。これに対しYは、同年12月22日付けで再調査の請求を棄却する旨の決定をした。 Xは、平成30年1月19日、再調査の請求を棄却する決定を不服として、審査請求をした。これに対し、国税不服審判所長は、同年12月14日付けで審査請求を棄却する旨の裁決をした(※3)。 (※3) 国税不服審判所は、外国子会社に該当するか否かは、外国法人の経営判断への内国法人の支配力(影響力)をもって判断すべきであるとしながら、Xの議決権割合を考慮することなく、F社の発行済株式総数に占めるXの所有株式数1/10301と、F社の議決権のある株式数に占めるXが所有する議決権のある株式数1/201がいずれも100分の25を下回るためF社は外国子会社に該当しないとの裁決を行っている。 Xは、令和元年5月15日、本件訴訟を提起した。 〈事案の概要図〉   3 関係法令等の定め (1) 法人税法の定め 《外国子会社から受ける配当等の益金不算入》 法人税法23条の2第1項は、内国法人が外国子会社(当該内国法人が保有しているその株式又は出資の数又は金額がその発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の25以上に相当する数又は金額となっていることその他の政令で定める要件を備えている外国法人をいう)から受ける剰余金の配当等の額がある場合には、当該剰余金の配当等の額から当該剰余金の配当等の額に係る費用の額に相当するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない旨規定する。 (2) 法人税法施行令の定め 《「外国子会社」の要件》 法人税法施行令22条の4第1項(平成27年政令第142号による改正前のもの。以下同じ)は、法人税法23条の2第1項に規定する政令で定める要件は、次に掲げる割合のいずれかが100分の25以上であり、かつ、その状態が同項の内国法人が外国法人から受ける剰余金の配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上継続していることとする旨規定する。 《租税条約の二重課税排除条項の定めによる「外国子会社」の要件の例外》 法人税法施行令22条の4第5項(平成26年政令第138号による改正前のもの。以下同じ)は、租税条約の二重課税排除条項において法人税法施行令22条の4第1項各号に掲げる割合として100分の25未満の割合が定められている場合には、同項の規定の適用については、同項中「100分の25以上」とあるのは、当該租税条約の二重課税排除条項に定める割合以上とする旨規定する。 《剰余金の配当等の額から控除する金額》 法人税法施行令22条の4第2項は、法人税法23条の2第1項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、剰余金の配当等の額の100分の5に相当する金額とする旨規定する。 (3) 日加租税条約の定め 《二重課税排除の方法》 日加租税条約21条2項(b)は、日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令に従い、カナダにおいて取得される所得が、カナダの居住者である法人によりその議決権のある株式又はその発行済株式の少なくとも25%を所有する日本国の居住者である法人に対して支払われる配当である場合には、日本国の租税からの控除を行うに当たり、当該配当を支払う法人によりその所得について納付されるカナダの租税を考慮に入れるものとする旨規定する。   4 争点 本稿においては、《争点1》についての考察は省略する。   5 Xの主張の要約 (1) 各争点についてのXの主張要旨 Xは次のように主張して本件更正処分の取消しを求めた。 ① F社が法人税法施行令(以下「施行令」という)22条の4第1項2号に規定する「外国子会社」に該当すること《争点2》 「外国子会社」に該当するか否かの判断において、施行令22条の4第1項2号の「議決権のある株式又は出資の数又は金額」は、「議決権のある株式の数」の保有割合に係る要件のみならず、発行株式の引受けのための金銭の払込額である「議決権のある出資の金額」又は「議決権のある株式の金額」の各保有割合に係る要件によって判断することもあり得るというべきである(※4)。 (※4) このほかXは、OECDモデル租税条約10条2項(a)が、株式や出資という文言を避けて「資本の25パーセント以上」と規定していることや、カナダ事業法人法が、1株ごとに出資額や議決権の数(議決権割合)を異にする株式の発行を許容していることからも、株式の数だけを基準に利益分配や支配関係を判定することは適当ではないと主張する。 本件では、F社の発行株式の引受けはその新設合併による設立時にされただけであるから、F社がXの「外国子会社」に該当するか否かは、引受けのための金銭の払込みの額を「出資の金額」又は「株式の金額」として、「議決権のある出資の金額」又は「議決権のある株式の金額」の各保有割合に係る要件を満たすか否かによって判断することができる。 本件配当日において、F社の出資のうちの議決権のある出資の金額の総額(65,211カナダドル)のうちにXの出資の金額(65,200カナダドル)が占める割合は約99.98%であって、100分の25以上である。したがって、F社はXの「外国子会社」に該当する。 また、「外国子会社」に該当するか否かは、外国法人の経営判断に対する内国法人の支配力(影響力)をもって判断すべきであるから、施行令22条の4第1項2号に定める「割合」には当然に議決権割合が含まれると解すべきである。 Xは、本件配当日において、F社の議決権の100分の26を保有していた。したがって、F社は、Xの「外国子会社」に該当する。 ② 施行令22条の4第1項が法人税法23条の2第1項に適合しないこと《争点3》 施行令22条の4第1項2号に定める割合には、議決権割合が含まれないと解さざるを得ないとすると、同項は、法人税法23条の2第1項の規定の趣旨に反した違法な規定である。 したがって、違法な施行令22条の4第1項の規定に基づいてされた本件各処分もまた違法である。 ③ 法人税法23条の2第1項及び施行令22条の4第1項が憲法14条1項に反すること《争点4》 仮に、法人税法23条の2第1項及びその委任を受けた施行令22条の4第1項が、議決権の数又は議決権割合を「外国子会社」の判定基準として定めていないのであれば、株式会社に対する企業支配力を端的に示すものが議決権の数又は議決権割合であるにもかかわらず、100分の25以上の割合の議決権を保有している内国法人が外国子会社配当益金不算入制度の適用から排除されてしまうことになる。 一方で、外国法人の発行済株式等の数又は金額の100分の25以上を有する内国法人は保有する議決権の数又は議決権の割合にかかわらず、外国子会社配当益金不算入制度の対象となり得ることになるから、不合理な差別であるというべきである。 したがって、法人税法23条の2第1項及び施行令22条の4第1項の規定は、憲法14条1項に定める納税者間の平等(租税公平主義)に明らかに反する不合理なものである。 ④ 法人税法23条の2第1項及び施行令22条の4第1項2号が日加租税条約21条2項(b)に反すること《争点5》 租税条約においては、日本語正文で「議決権のある株式」と統一的に表記されている文言が、日加租税条約21条2項(b)の英語正文では「the voting shares」、日英租税条約10条2項(a)では「shares representing ・・ the voting power」とされるなど、異なる表記となっている。 これは直接所有の株式のみならず、間接所有の株式も含めて判定する場合を想定した相違であると考えられるが、直接保有のみに限定して考えれば、「25 percent of the voting shares of the company」は、「shares representing 25 percent of the voting power of the company」と同義であることを示しており、租税条約においては議決権の割合でも判定することが認められているものと解される。 租税条約が、法律と同様に政令よりも上位の法規範であり、また施行令22条の4第5項の規定からも明らかなとおり、上記の判断基準は、同条1項各号に掲げる割合の判定に含まれていなければならない。 (2) 訴訟の結果 Xは以上のように主張して課税処分の取消しを求めたが、判決は上記Xの主張をすべて退け、各争点についてYの主張をほぼそのまま認めている。次回においては、Yの主張内容を省略し、判決の要旨を示す。 ((その2)へ続く)

#No. 653(掲載号)
#金山 知明
2026/01/22

〈経理部が知っておきたい〉炭素と会計の基礎知識 【第16回】「戦略の開示 ~企業が目指す未来を可視化する」

〈経理部が知っておきたい〉 炭素と会計の基礎知識 【第16回】 「戦略の開示 ~企業が目指す未来を可視化する」   公認会計士 石王丸 香菜子   〔ジャーナル食品社の登場人物〕 *  *  * SSBJ基準では、企業がサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する開示を行うにあたり、次の4要素を開示することが求められます(【第14回】参照)。 「戦略」の開示は、企業がどのようなサステナビリティ関連のリスク及び機会に直面し、それと向き合うためにどのような戦略をとっているのか、どのような未来像を描いているのかを示す重要な情報です。 この「戦略」に関して、SSBJ基準により開示が求められる内容は、大きく整理すると次の3点になります。 *  *  * 【ENEOSホールディングス(株) 2025年3月期有価証券報告書】 (第2 事業の状況 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 2.持続可能な地球環境の形成・保全への貢献 より抜粋) (※) 脚注(★)は筆者による *  *  * バリュー・チェーンとは、企業のビジネス・モデルや事業を取り巻く外部環境に関連する、相互作用・資源・関係のすべてをいいます。 *  *  * *  *  * 企業のサステナビリティ関連のリスク及び機会は、企業がバリュー・チェーンを通じて関係者・社会・経済・自然環境などと相互に作用することによって生まれています。そのため、情報の利用者が企業のサステナビリティ関連のリスク及び機会を評価するには、バリュー・チェーン全体に関する情報を開示することが有用と考えられています。 *  *  * *  *  * SSBJ基準では、サステナビリティ関連のリスク及び機会について、 を開示することが求められます。 *  *  * *  *  * また、このようなサステナビリティ関連のリスク及び機会の内容とその影響を踏まえたうえで、企業がどのような戦略や意思決定をとっているかを開示することが求められます(先述の《B》)。次の開示例を見てみましょう。 【カゴメ(株) 2024年12月期有価証券報告書】 (第2 事業の状況 2【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】 〈持続可能な地球環境/戦略〉より抜粋) (※) 脚注(★)は筆者による *  *  * (※) 緩和:温室効果ガス排出に対し、炭素削減又は炭素吸収などの対応を行うこと 適応:起こりつつある気候変動の影響を防止又は軽減するための備えや、変化した気候パターンに対応したビジネスを行うこと *  *  * 気候関連の移行計画とは、低炭素経済に向けた移行のために企業が設定した目標・活動・資源を示した戦略を指します。SSBJ基準では、気候関連の移行計画がある場合、その内容を開示することが求められます。 *  *  * 【移行計画の開示で利用される図表のイメージ】 *  *  * 4つのコア・コンテンツのうち「戦略」の開示は、企業がサステナビリティ関連のリスク及び機会を踏まえ、どんな未来像を描き、その実現に向けて何を重点的に進めているのかを示すものです。開示を行う企業にとっては持続可能な価値づくりを語る本筋の部分であり、情報の利用者にとっては重要な読みどころのひとつと言えます。 *  *  * *  *  * Q サステナビリティに関する戦略についてどのような開示をするの? A 企業が直面するサステナビリティ関連のリスク及び機会の内容とその影響、それを踏まえてとられている戦略や意思決定、将来の不確実性に対する戦略やビジネス・モデルの耐性を開示します。開示企業にとっては、持続可能な価値づくりを語る本筋の部分と言えます。 (了)

#No. 653(掲載号)
#石王丸 香菜子
2026/01/22

連結会計を学ぶ(改) 【第13回】「連結会社相互間の取引高の相殺消去」

連結会計を学ぶ(改) 【第13回】 「連結会社相互間の取引高の相殺消去」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 連結損益計算書の作成に際しては、連結会社相互間の取引高の相殺消去及び未実現損益の消去等の処理を行って作成する(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)34項)。 今回は、連結会社相互間の取引高の相殺消去について解説する。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 取引高の相殺消去 親会社と子会社で取引が行われる場合(連結会社相互間の取引高)、それは企業集団としては内部取引であることから、連結損益計算書の作成に際して、相殺消去する必要がある(連結会計基準35項)。 なお、会社相互間取引が連結会社以外の企業を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の取引であることが明確であるときは、この取引を連結会社間の取引とみなして処理するので、注意が必要である(連結会計基準(注12))。 作成のイメージは、おおむね次の図表のとおりである。 【図表:連結損益計算書の作成プロセスのイメージ】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   Ⅲ 連結精算表の作成   (了)

#No. 653(掲載号)
#阿部 光成
2026/01/22

〔まとめて確認〕会計情報の四半期速報解説 【2026年1月】第3四半期決算(2025年12月31日)

〔まとめて確認〕 会計情報の四半期速報解説 【2026年1月】 第3四半期決算(2025年12月31日)   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 3月決算会社を想定し、第3四半期決算(2025年12月31日)に関連する速報解説のポイントについて、基本的に2025年10月1日から12月31日までに公開した速報解説を対象としている。 公開草案及び適用時期が将来のものは、基本的に記載の対象外としている。 具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。 なお、月ごとの速報解説のポイントについては、下記の連載を参照されたい。   Ⅱ 会計関係 次のものが公表されている。 ① 企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」等 (内容:中間会計基準及び四半期会計基準等を統合するもの。補足文書も公表) ② 「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第47号) (内容:いわゆるバーチャル電力購入契約(Virtual Power Purchase Agreement(バーチャルPPA))に関する会計上の取扱いを示すもの)   Ⅲ 監査役等の監査関係 監査役等の実施する監査などに関連して、次のものが公表されている。 ① 「グループ・ガバナンスと監査役等の監査について」 (内容:グループ・ガバナンスの監査に向けた提言。日本監査役協会 ケース・スタディ委員会) ② 「会計監査人評価の現状と今後の在り方」 (内容:会計監査人の評価を効率化し、実効性向上を目的として研究したもの。日本監査役協会関西支部 監査役スタッフ研究会) ③ 「監査役等の引継ぎ手引書」 (内容:現任の監査役等が監査活動を実施する中で積み上げてきたものなどを引き継ぐためのツールとして取りまとめたもの。日本監査役協会関西支部事務局)   Ⅳ 過年度に公表されている会計基準等 過年度に公表されている会計基準等のうち、2025年4月1日以後に適用されるもの(早期適用を含む)として、次の会計基準等がある。 ① 「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第46号)等 (内容:グローバル・ミニマム課税について、法人税及び地方法人税の会計処理及び開示の取扱いを示すもの。補足文書がある。2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する(実務対応報告第46号14項)。ただし、実務対応報告第46号13項の四半期財務諸表及び中間財務諸表における注記の定めについては、実務対応報告第46号14項の定めにかかわらず、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する(実務対応報告第46号15項)) ② 2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正 (内容:包括利益の表示、特別法人事業税及び種類株式の取扱いについて改正するもの。早期適用の可否については、各会計基準等をお読みいただきたい。改正包括利益会計基準及び改正株主資本適用指針は、2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度の期首から適用する。改正法人税等会計基準及び改正税効果適用指針は、2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。改正「種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第10号)は、2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後取得する種類株式について適用する) ③ 改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」 (内容:ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式の時価評価に関するもの。2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができる) ④ 企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等 (内容:借手のすべてのリースについて資産及び負債を計上するリースに関する会計基準。2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができる) (了)

#No. 653(掲載号)
#阿部 光成
2026/01/22

給与計算の質問箱 【第73回】「役員の社会保険料の削減」

給与計算の質問箱 【第73回】 「役員の社会保険料の削減」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 役員報酬を低く、役員賞与を高く設定し、事前確定届出給与に関する届出書を提出することで、役員の社会保険料を減らせると聞きました。その内容について教えてください。 A 役員は40歳未満(介護保険対象外)とし、協会けんぽ東京支部の2025年3月分(4月納付分)~2026年2月分(3月納付分)の社会保険料を前提として、以下、解説する。 * * 解 説 * * 〈図表1〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 〈図表2〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 〈図表1〉は、役員報酬月額5万円×12ヶ月、役員賞与11,400,000円×1回、年額12,000,000円の社会保険料である。 これより本人及び会社負担の年間の社会保険料はそれぞれ以下のとおりとなる。 〈図表2〉は、役員報酬月額100万円×12ヶ月、年額12,000,000円の社会保険料である。 これより本人及び会社負担の年間の社会保険料はそれぞれ以下のとおりとなる。 よって社会保険料の差額は、以下のとおりとなる。 役員報酬を低く設定し、役員賞与を高く設定することで社会保険料を減らせるといえる。一方で、以下の点に留意する必要がある。 (了)

#No. 653(掲載号)
#上前 剛
2026/01/22

《税理士のための》登記情報分析術 【第32回】「「国籍」が登記事項に?」

《税理士のための》 登記情報分析術 【第32回】 「「国籍」が登記事項に?」   司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎   2025年の終わりごろに不動産を取得し登記申請を行う際に、「国籍」を届出ることを義務化するという報道が大きくなされた。我が国では外国人による不動産の取得について制限が緩やかであるため、安全保障上の懸念が高まっていることや、所有者不明土地問題への対応といったことが背景にある。税理士は顧客の不動産取得等について関わることも多いと思われるため、現在検討されている制度の概要等について解説を行う。   1 所有権に関する登記事項 所有権に関する登記は登記記録の「甲区」に記録されるが、登記事項は不動産登記法に定められており、主なものとしては次のものがある。 【所有権に関する主な登記事項】 1 登記の目的 2 申請の受付年月日及び受付番号 3 所有者の住所、氏名、共有である場合は持分 4 所有者が法人であるときは、会社法人等番号 5 国外居住者である場合には、国内連絡先に関する事項 (国内連絡先がない場合には、「なし」とすることができる)   登記事項は登記記録に記載をされるため、誰でも手数料を払えば情報にアクセスできることになる。もし、今回話題となっている「国籍」も登記事項となるのであれば、所有者の国籍を第三者が閲覧可能になるが、プライバシーの観点からは懸念が生じる。   2 検索用情報とは 2026年4月1日に不動産の所有者の住所や氏名の変更登記の申請が義務化される。これは2024年4月1日にスタートした相続登記の申請義務化と同様に、所有者不明土地問題に対応するために行われるものである。 住所等の変更登記の申請義務化と同時に、所有者の負担を軽減するために、法務局が住基ネット情報を検索し、所有者の住所等に変更があれば職権で登記を行う「スマート変更登記」制度が開始される。法務局が所有者の住所等の変更の情報を調べて、所有者に代わって住所等の変更登記を行ってくれるのである。スマート登記制度の利用の対象となるためには、法務局が所有者の住基ネット情報を検索するために必要となる「検索用情報」を、法務局にあらかじめ申出ておく必要がある。検索用情報としては次のものがある。 【検索用情報】 検索用情報には、登記事項となっている(1)氏名や(3)住所などの情報もあるが、(2)ふりがなや(4)生年月日、(5)メールアドレスのように登記事項とはなっていない情報もある。検索用情報はあくまで法務局内部の事務処理に利用されるものであり、外部に公示される性質のものではない。 2025年4月21日以降に所有権を取得する登記を申請する場合には、登記申請書に検索用情報を記載して申出ることになっている。既に不動産の所有権を取得している人は、検索用情報の申出を独自にすることができる。   3 国籍を検索用情報として届出る 2025年12月23日に不動産登記規則の一部を改正する省令案がパブリック・コメントに付され、話題となっていた不動産登記申請時における「国籍」の届出は、検索用情報として申出ることが明らかとなった。検索用情報は公示されるものでないため、プライバシー保護の観点での懸念は少なくなったといえる。 国籍の申出は外国人に限らず日本人も必要となり、登記申請時に国籍が判る公的書面などを添付することが求められることになる。制度の施行は2026年中に予定されているが、国籍の届出をさせること自体に反対する声も多いと聞く。今後の動向に注目が必要であろう。   (了)

#No. 653(掲載号)
#北詰 健太郎
2026/01/22
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