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《速報解説》 国境を越えた電子商取引に係る課税の見直し~令和8年度税制改正大綱~

 《速報解説》 国境を越えた電子商取引に係る課税の見直し ~令和8年度税制改正大綱~   税理士 石川 幸恵   令和7年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正大綱」では、課税の公平の観点から「国境を越えた電子商取引に係る課税の見直し」が盛り込まれた。これは、昨年度の税制改正大綱において検討項目とされていたものである。以下、概説する。   1 背景 1万円以下の商品をインターネット上のショッピングサイトを経由して国外事業者から購入した場合と、国内事業者から購入した場合とで競争上の不均衡が生じている。これは、国外事業者から個人輸入により購入した場合、1万円以下の商品は消費税が免除され(関税定率法14⑱、輸徴法13①)、海外事業者が表示価格を低く設定できるためである。 この免税制度を背景として、少額貨物の輸入許可件数は急増しており、過去5年間で5倍超、4,258億円に達している。 こうした輸入貨物の増大は、不正薬物や知的財産侵害物品の流入を防止するための水際対策を行う税関の業務にも負担になっている。 また、国外事業者が国内のプラットフォーム事業者によるフルフィルメントサービス(国内倉庫での商品保管や配送等を代行する仕組み)を利用して販売を行う形態は、本来、国内取引として課税の対象となるものの、無申告となっているケースも指摘されている。 こうした状況を踏まえ、国境を越えた電子商取引に係る消費税の適正化が図られることとなった。   2 課税の対象の見直し 通信販売の方法により国内以外の地域から国内に宛てて発送される資産(一の資産の対価の額が1万円(税抜き)以下であるものに限る)の譲渡を「特定少額資産の譲渡(仮称)」として定義し、この特定少額資産の譲渡については販売者に納税義務を課すこととされた。輸入者については引き続き免税とする。 特定少額資産の譲渡として販売時に課税されたにもかかわらず、為替の影響や混載により課税価格が1万円を超える場合も想定される。この場合、販売時と輸入時の双方で課税される恐れがあることから、国外事業者に対して販売時に課税されたことを証明する仕組みとして、「特定少額資産販売事業者」(仮称)という登録制度を設け、二重課税が生じないような措置が講じられる。 特定少額資産の譲渡を行う事業者の納税義務判定については所定の経過措置を設け、特定少額資産販売事業者については、事業者免税点制度は適用しない。   3 物品販売に係るプラットフォーム課税の導入 一定規模を超えるデジタルプラットフォームを介して行われる下図のような取引で、プラットフォーム事業者が対価を収受するものについては、プラットフォーム事業者が行ったものとみなして、納税義務を販売事業者から転換する。 ここでいう「一定規模を超える」とは、高い税務コンプライアンスや事務処理能力が求められること等を考慮し、(イ)及び(ロ)の取引の合計額(税込み)が50億円を超えるプラットフォーム事業者を対象とする。これらのプラットフォーム事業者については届出義務を課すとともに国税庁長官がそのプラットフォーム事業者を第2種プラットフォーム事業者として指定する。 なお、電気通信利用役務の提供に係る特定プラットフォーム事業者の名称は第1種プラットフォーム事業者とする。   4 適用時期 本改正は令和10年4月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れ並びに保税地域から引き取られる課税貨物について適用される。 また、関税には「課税価格決定の特例」が設けられていた。これは個人使用貨物については関税の課税価格を海外小売価格の0.6とするものである。この特例により、課税貨物の引き取りに係る消費税の課税価格についても引き下げられていた。今回の改正でこの特例も廃止されることとなり、上記の改正と合わせて国内外事業者間の競争の平準化が図られることとなる。   (了)

#石川 幸恵
2026/01/05

《速報解説》 金融庁、金融審議会による「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告を公表~開示規制の緩和・見直し及びセーフハーバー・ルールの創設等を検討~

《速報解説》 金融庁、金融審議会による「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告を公表 ~開示規制の緩和・見直し及びセーフハーバー・ルールの創設等を検討~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2025(令和7)年12月26日、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」は、「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」を公表した。 これは、スタートアップ等の資金調達ニーズの高まり、非財務情報の開示の拡充等などについて検討したものである。 報告書は、今後、金融審議会総会・金融分科会において報告されるとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 スタートアップ等の資金調達ニーズの高まり、非財務情報の開示の拡充等、情報開示を巡る環境変化を踏まえ、投資判断に資する企業情報の開示のあり方やその実現に向けた環境を整備するため、次のことを行う。 (了)

#阿部 光成
2026/01/05

《速報解説》 パーシャルスピンオフ税制の恒久化等の見直し~令和8年度税制改正大綱~

《速報解説》 パーシャルスピンオフ税制の恒久化等の見直し ~令和8年度税制改正大綱~   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   令和7年12月19日公表の与党税制改正大綱において、パーシャルスピンオフ税制の見直しが行われることとなった。本稿ではその概要について解説を行う。   1 改正の背景 令和5年度税制改正により、親会社に持分を一部残す株式分配(パーシャルスピンオフ)についても、一定の要件を満たせば、適格株式分配とする特例措置(パーシャルスピンオフ税制)が創設され、令和6年度税制改正において、新事業活動要件を追加した上で、適用期限が令和10年3月31日まで延長された。 経済産業省は、スタートアップの創出だけでなく、ノンコア事業を切り出し、コア事業に専念するための事業ポートフォリオの組替えも促進できるように、適用要件を見直した上で、恒久化のための所要の措置を講ずることを求めていた。 これを受け、「令和8年度税制改正大綱」において、パーシャルスピンオフ税制の見直しが盛り込まれた。   2 現行制度 パーシャルスピンオフ税制の適用要件は以下の通りである。   3 令和8年度税制改正大綱の内容 大綱に盛り込まれた改正の内容は次の通りである。 令和10年3月31日までの時限措置とされているパーシャルスピンオフ税制については、次の要件に該当するものを、適格株式分配に該当することとする措置に見直すこととする。   4 適用時期及び適用期限 適用時期については、令和8年4月1日以後に産業競争力強化法の事業再編計画の認定を受けた法人が行う認定株式分配に適用される予定である。 令和8年度税制改正大綱における経済産業省関係の税制改正に関する資料によると、「事業再編は企業の状況に応じて恒常的に検討されるべきであることも鑑み、期限の定めのない措置とする」とあり、適用期限の定めがなくなり、恒久化されることとなる。   5 今後の留意点 今回見直された適用要件の詳細について、法令等で明確化されることが予想されるため、今後の留意が必要である。 (了)

#川瀬 裕太
2026/01/05

《速報解説》 金融庁、「記述情報の開示の好事例集2025」を公表~気候変動関連、人的資本等のサステナビリティ情報の開示例を追加~

《速報解説》 金融庁、「記述情報の開示の好事例集2025」を公表 ~気候変動関連、人的資本等のサステナビリティ情報の開示例を追加~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2025(令和7)年12月25日、金融庁は、「記述情報の開示の好事例集2025(サステナビリティ情報の開示)」を公表した。 今回の事例集では、「全般、気候、個別テーマ」の開示例、「人的資本、従業員の状況」の開示例を取り上げている。「定量分析」も記載している。 今後、「MD&A」、「事業等のリスク」、「コーポレート・ガバナンス(株式の保有状況)」、「重要な契約」に関する開示例を追加し、「記述情報の開示の好事例集2025(最終版)」として公表・更新することを予定しているとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 投資家・アナリスト・有識者が期待する主な開示のポイント 例えば、次のことが記載されている。   Ⅲ 全般、気候、個別テーマの開示例 主な開示のポイントとして、例えば、次のことが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組みが記載されている(ESG部門として、ISSB/SSBJの動向を継続的にモニタリングするとともに、昨年度の金融庁の好事例勉強会等で得られた知見をIR、経理、コミュニケーション部門に適時共有したこと、気候関連のリスク・機会の評価では、WGでの各部門との対話をもとにリスクマトリックスで客観的な評価を実施したことなど)。 好事例のポイントとして、例えば、次のことが記載されている。   Ⅳ 人的資本、従業員の状況の開示例 主な開示のポイントとして、例えば、次のことが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組みが記載されている(有価証券報告書や統合レポートを、人的資本の価値創造プロセスにある各取り組みと紐づいた形の構成とすることで、わかりやすく伝わるよう工夫したことなど)。 好事例のポイントとして、例えば、次のことが記載されている。 (了)

#阿部 光成
2026/01/05

令和8年度税制改正に関する《資料リンク集》(更新)

令和8年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和8年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。   - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2025/12/26

《速報解説》 試験研究費の税額控除制度(研究開発税制)の見直し~令和8年度税制改正大綱~

《速報解説》 試験研究費の税額控除制度(研究開発税制)の見直し ~令和8年度税制改正大綱~   太陽グラントソントン税理士法人 プリンシパル 税理士 竹内 一樹   令和7年12月19日に公表された令和8年度税制改正大綱において、試験研究費の税額控除制度(以下、研究開発税制という)は既存の時限措置の3年の延長(令和11年3月31日まで)がされるとともに、「成長投資」による力強い経済成長を実現する観点から、更なる拡大成長が見込まれる重点戦略分野に焦点を当て、かつ、研究開発に積極的な成長企業に対してより優遇される措置となるよう、新たな制度の創設や既存制度の見直しが行われた。 各改正項目について、以下の通り解説する。   1 重点産業技術試験研究費の額に係る税額控除制度の創設 高市政権が掲げる成長戦略の一環として、17の重点投資対象分野が議論されている。また、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)でも、将来にわたって科学技術力を維持・強化するため、限られた政策資源を最大限活用する観点から、技術領域の戦略的重点化が議論されてきた。 このような中、高市総理から、基礎研究から社会実装まで一気通貫での支援を実現するための施策の1つとして、研究開発税制の見直しが指示された。これらを受け、CSTIで検討を行っている重要技術領域のうち「国家戦略技術領域(AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙)」について、既存の措置とは別枠を設け、重点的に後押しする見直しが行われることとなった。 なお、本制度の実施に当たっては、産業技術力強化法の改正が必要となり、参照した税制改正大綱は本法律の改正を前提に記載されている。 【改正内容】 〈開始日:改正産業技術力強化法の施行日〉 産業技術力強化法の改正法の施行の日から令和11年3月31日までの間に産業技術力強化法の重点研究開発計画(仮称)につき同法の認定を受けたものの適用期間内の日を含む各事業年度において、重点産業技術試験研究費の額(一般試験研究費の額に係る税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制及び特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける場合のその適用を受ける金額を除く)がある場合には、重点産業技術試験研究費の額の40%(特別重点産業技術試験研究費の額の場合には50%)の税額控除ができる(当期の法人税額の10%が上限)。 【補足:用語の意義】 ① 適用期間 重点研究開発計画の認定を受けた日(認定日)から同日以後5年を経過する日までの期間をいい、その認定に係る重点研究開発計画の計画期間の終了の日が5年経過日前の場合には、認定日から計画期間の終了の日までの期間をいう。 ② 重点産業技術試験研究費の額 改正法の施行の日から令和11年3月31日までの間に産業技術力強化法の重点研究開発計画につき、同法の認定を受けた法人が適用期間内において支出するその認定に係る重点研究開発計画に従って行う特定重点研究開発に係る試験研究費の額をいう。 ③ 特定重点研究開発 産業技術力強化法の重点産業技術(仮称)(前述のCSTIの国家戦略技術領域(AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙)を想定)のうち、特に早期の企業化が期待されるものとして、一定の基準に該当するものに関する研究及び開発であることにつき確認を受けた研究及び開発をいう。 ④ 特別重点産業技術試験研究費の額 重点産業技術試験研究費の額のうち、産業技術力強化法に規定する重点産業技術共同研究開発機関(仮称)と共同して行う又は委託する試験研究に係る金額をいう。   2 一般型の試験研究費の額に係る税額控除制度の控除率及び控除上限の見直し 近年の物価上昇等の状況も踏まえても継続的に研究開発投資を増やしている企業にインセンティブを措置するという考えの下、制度自体にメリハリをつける観点からの改正も行われた。 【改正内容】 〈開始日:令和9年4月1日〉 一般型の試験研究費の額に係る税額控除制度について、令和9年4月1日以後に開始する各事業年度から現行の控除率及び控除上限が、以下の通り見直された。 《図1-1》控除率の見直し ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 《図1-2》控除率の推移(y=“控除率”、x=“増減試験研究費割合”) 《図2-1》控除上限の見直し ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 《図2-2》控除上限の推移(y=“控除上限”、x=“増減試験研究費割合”) なお、中小企業技術基盤強化税制、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び控除税額の上限の上乗せ特例については現行制度のまま適用期限が3年延長される。   3 繰越控除制度の復活(重点産業技術試験研究費及び中小企業技術基盤強化税制に限る) 諸外国では研究開発税制に繰越控除制度がセットで導入されている。研究開発税制が赤字企業に対してインセンティブが働かない制度である点について、本年度の改正で緩和された。 【改正内容】 〈開始日:令和8年4月1日〉 重点産業技術試験研究費の額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制を対象に、控除超過額の3年間の繰越が認められる。なお、控除超過額の利用については、以下の要件を満たした事業年度に限り適用できる。 (※1) グループ通算を適用している企業は、通算グループ全体の額で判定。 (※2) 一般試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける事業年度は適用不可。 【補足:グループ通算制度下における取扱い】 試験研究費の額に係る税額控除制度にはグループ通算が適用される。控除超過額の繰越についても同制度の考え方が取り入れられており、それぞれ取扱いは以下の通りとなる。   4 特別試験研究費の額に係る税額控除制度の見直し 特別試験研究費の税額控除の適用については、確認手続きの煩雑さや、要件が厳しいことから制度適用の障壁となっている部分がある旨の指摘があった。本制度の趣旨である大学等との共同研究の促進や高度研究人材の活用、引いてはその知見の社会への還元をより促進する観点から一部の確認手続きについて省略ないしは適用要件を緩和する改正も行われた。 【改正内容】 〈開始日:令和8年4月1日〉 ① 大学等との共同研究及び委託研究に係る試験研究費の額 適用にあたり、1)大学等の相手方の確認を受けること、2)第三者による監査を受けること、とされていた部分について、一定の要件を満たしたうえで経済産業大臣の指定を受けた大学等については、学長が認定した金額をそのまま適用金額として利用することができるようになる。 ② 新規高度研究業務従事者に対して人件費を支出して行う試験研究 イ)高度研究人材の定義の拡充 博士号取得から5年未満に加え、左記の者を採用してから5年未満が対象となる。 ロ)研究テーマの公募要件の緩和 改正前:高度研究人材のみ ⇒ 改正後:高度研究人材含む社員等   5 海外委託試験研究費の対象範囲 研究開発税制の対象となる試験研究費の範囲に関し、科学技術創造立国実現の礎となる、国内の研究人材や研究開発拠点の維持・強化の観点から、諸外国と同様、その費用の一部を対象外(医薬品等の海外治験を除く)とする改正も行われた。 【改正内容】 〈開始日:令和8年4月1日〉 現行法で対象となっている他の者への委託試験研究費のうち、国外において行われるものについては、次の区分に応じた金額を税額控除の対象とする。 (了)

#竹内 一樹
2025/12/25

《速報解説》外国子会社合算税制の見直し~令和8年度税制改正大綱~

《速報解説》 外国子会社合算税制の見直し ~令和8年度税制改正大綱~   公認会計士・税理士 霞 晴久   政府与党(自由民主党・日本維新の会)が12月19日に公表した令和8年度税制改正大綱では、グローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)について、OECDから発出されたガイダンスの内容等を踏まえ、制度の明確化等の観点から所要の見直しが行われる。 一方、国際的なルールにおいても「第2の柱」と併存するとされる外国子会社合算税制については、「第2の柱」の実施により対象企業に追加的な事務負担が生じることから、令和8年度の税制改正において、以下のとおり見直しが行われる。 かかる改正は、外国関係会社の令和8年4月1日以後に開始する事業年度について適用される(地方税についても同様)。   1 解散した部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等に係る特例の創設 (1) 外国関係会社が清算部分対象外国関係会社(注1)又は清算外国金融子会社等(注2)に該当する場合には、その解散により最初に部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等に該当しないこととなった事業年度終了の日から原則として同日以後3年を経過した日までの期間内の日を含む事業年度(1において「特例、、清算事業年度」という)については、清算部分対象外国関係会社は部分対象外国関係会社と、清算外国金融子会社等は外国金融子会社等とそれぞれみなして、外国子会社合算税制が適用される。 (注1) 解散した外国関係会社のうち、その解散の日を含む事業年度開始の日前2年以内に開始した事業年度のいずれにおいても部分対象外国関係会社に該当していたものをいう。1において同じ。 (注2) 解散した外国関係会社のうち、その解散の日を含む事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度のいずれにおいても外国金融子会社等に該当していたものをいう。1において同じ。 本見直しにより、平成30年度税制改正で導入された、解散した部分対象外国関係会社(清算外国金融子会社等)の「特定、、清算事業年度」の特例は廃止される(以下同じ)。 (2) 特例清算事業年度については、部分合算課税の対象所得である異常所得の金額の計算において控除することとされる金額の計算の基礎となる総資産の額、人件費の額及び減価償却累計額は、その解散により最初に部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等に該当しないこととなった事業年度の前事業年度に係るこれらの金額とされる。すなわち、特例清算事業年度については、当該年度のこれら金額を改めて計算しなくてもよいことになる。 (3) 外国関係会社が清算外国金融子会社等に該当する場合における特例対象事業年度については、部分合算課税の対象所得である異常な水準にある資本に係る所得の金額はないものとして金融子会社等部分適用対象金額の計算を行う。これも簡素化の一環である。 (4) 国税当局の該当職員が上記に係る書類等の提出を求めた場合、期限までに提出等がないときは、上記(1)の適用については、その外国関係会社が清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等に、その事業年度は、特例清算事業年度に、それぞれ該当しないものとして取り扱われる。   2 ペーパー・カンパニー特例に係る資産割合要件 ペーパー・カンパニー特例に係る資産割合要件について、外国関係会社の事業年度終了の時における貸借対照表に計上されている総資産の額が零である場合には、その外国関係会社に係るその事業年度に係る資産割合要件の判定は不要とされる。 なお、ペーパー・カンパニー特例とは、①主たる事業が株式保有業でない、②収入割合要件、及び③資産割合要件の3つを満たす外国関係会社については、ペーパー・カンパニーに該当しないとするもの(措法66の6②二イ(3)、措令39の14の3⑤・⑥)で、令和元年度税制改正で導入された。   3 最高税率を用いて租税負担割合を計算することができる特例 外国関係会社の本店所在地国の外国法人税の税率が所得に応じて高くなる場合に最高税率を用いて租税負担割合を計算することができる特例(措令39の17の2②四)について、その最高税率が適用されることが通常見込まれないこと、その最高税率が適用される所得の額の区分が極めて限定される等の事情により、本特例を適用することが著しく不適当であると認められる場合には、本特例を適用しないことができる。   4 所得税における取扱い 所得税についても上記同様に見直される。 (了)

#霞 晴久
2025/12/25

《速報解説》貸付用不動産の評価見直し(相続税・贈与税)~令和8年度税制改正大綱~

 《速報解説》 貸付用不動産の評価見直し(相続税・贈与税) ~令和8年度税制改正大綱~   太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) パートナー 税理士 西田 尚子   令和7年12月19日に公表された「令和8年度税制改正大綱」において、貸付用不動産の評価方法について、以下の見直しが行われた。   1 改正の趣旨 賃貸用不動産の市場価格と財産評価基本通達による評価額との乖離を利用して相続税・贈与税が大幅に圧縮される租税回避スキームに対して、これまでは課税庁が財産評価基本通達第6項に基づく課税処分を行うことにより個別に対応されてきたが、こうした個別の対応については、納税者の予見可能性の観点から批判等があり、評価方法の明確化が要請されていた。 納税者の予測可能性を確保しつつ、評価の適正化及び課税の公平性を図る観点から今回の改正が行われた。   2 改正の内容 (1) 相続等の直前に取得した貸付用不動産 ① 対象不動産 被相続人等が相続・贈与前5年以内に有償で取得または新築した一定の貸付用不動産 ② 評価方法 (※) 課税上の弊害がない限り、取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の80%相当額によって評価することも可能。 ③ 適用時期 R9年1月1日以後の相続・贈与により取得する財産の評価に適用される。 ただし、通達の改正日までに、同日の5年前から所有している土地のうえに新築をした家屋(同日において建築中のものを含む)については上記の改正は適用されない。 (2) 商品として小口化された貸付用不動産 ① 対象不動産 不動産特定共同事業契約又は信託受益権に係る金融商品取引契約のうち一定のものに基づく権利の目的となっている貸付用不動産(取得時期の制限なし) ② 評価方法 (※) 課税上の弊害がない限り、出資者等の求めに応じて事業者等が示した適正な処分価格・買取価格等、事業者等が把握している適正な売買実例価額又は定期報告書等に記載された不動産の価格等を参酌して求めた金額によって評価することも可能。   ただし、上記の評価に該当するものがない場合は、(1)②の取得価額を基に算定する方法に準じて評価する。 ③ 適用時期 R9年1月1日以後の相続・贈与により取得する財産の評価に適用される。 【不動産小口化商品と評価方法】 (了)

#太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2025/12/25

プロフェッションジャーナル No.650が公開されました!~今週のお薦め記事~

2025年12月25日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.650を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2025/12/25

日本の企業税制 【第146回】「令和8年度税制改正大綱の決定」

日本の企業税制 【第146回】 「令和8年度税制改正大綱の決定」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 魚住 康博   12月19日、自由民主党および日本維新の会の与党は、令和8年度税制改正大綱をとりまとめた。自由民主党税制調査会総会が11月20日に開催されてから、与野党での協議を含めて約50回にもわたる討議を経て、150ページにも及ぶ大綱を決定した。 今回は、高市政権の発足、公明党による与党の離脱のほか、新たに与党となり税制調査会を設置した日本維新の会による議論への参画や、自由民主党税制調査会の幹部及びメンバーの大幅な入れ替えなど、昨年とは大きな変化があったと考えられる。小野寺五典自由民主党税制調査会長が、国民に近い感覚で税制のあるべき姿を政府ともしっかり意思疎通をしながら議論していく姿勢を打ち出し、令和6年12月11日に結ばれた自由民主党、公明党、国民民主党の3党幹事長間での合意に沿って、多岐にわたる論点について結論を得ることとなった。 具体的には、大胆な設備投資促進税制や研究開発税制、オープンイノベーション促進税制、賃上げ促進税制、基礎控除の引き上げ、防衛増税、食事補助などについて、それぞれ維持・拡充・見直し措置が盛り込まれており、次期通常国会で税制改正法案が審議される。   〇 大胆な設備投資促進税制 危機管理投資、成長投資による「強い経済」の実現に向け、高付加価値化のための国内での設備投資を促進する観点から、大胆な設備投資促進税制が創設されることとなった。 対象業種は、総合経済対策における17の戦略分野を中心としつつ、全ての業種が対象となる。このため、戦略分野以外の事業領域であっても、産業競争力強化法による経済産業大臣の確認手続きを経た生産性向上設備等として、機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウエアの生産等設備を構成する減価償却資産に該当する場合には対象資産になり得る。適用要件として、生産性向上設備等の取得価額の合計額が35億円以上(中小企業者等は5億円以上)であることのほか、年平均の投資利益率が15%以上となることが見込まれる必要がある。 措置内容としては、即時償却又は税額控除率7%(建物、建物附属設備、構築物は4%)の選択適用とし、控除上限は法人税額の20%であるほか、3年間の繰越控除が可能である。措置期間としては、令和10年度末までに設備投資計画につき産業競争力強化法の確認を受け、確認を受けた日から5年の間に取得し、事業の用に供した設備等が対象となる。 なお、本税制の適用を受ける場合に、投資計画期間中は、地域未来投資促進税制、カーボンニュートラル投資促進税制等の設備投資税制は適用されないことに留意が必要である。   〇 研究開発税制 今年度末で適用期限を迎える研究開発税制について、「一般型」と「オープンイノベーション型」に加えて、戦略分野の研究開発促進のため、新たに「戦略技術領域型」が創設される。具体的には、産業技術力強化法の重点産業技術(AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙)を対象とし、当該技術に係る試験研究費について、既存の措置と別枠として、控除率40%の税額控除が設定される。また、当該技術に係る大学等の認定を受けた研究開発機関と企業の共同・委託研究については控除率が50%となる。ただし、控除税額は法人税額の10%を上限とし、3年間の繰越税額控除が認められる。適用期間は、令和10年度末までに産業技術力強化法の認定を受けた計画が対象で、認定日から5年間である。 一方、科学技術創造立国の実現に向けて、国内の研究人材や研究開発拠点の維持・強化の観点から、海外への委託研究については、現行の100%から、令和8年度に70%、令和9年度に60%、令和 10 年度に50%と一定の制限が設けられる。ただし、国内での試験研究に馴染まない海外での治験については制限の対象外とされる。 加えて、控除率カーブ・控除上限にかかる時限措置については、令和10年度末まで延⻑されるものの、研究開発費増加へのインセンティブ強化のため、物価や賃金の上昇を考慮した3%分の控除率カーブの見直しが図られる。このため、増減試験研究費割合がマイナス10%以下の場合は控除率が0%とされる。   〇 オープンイノベーション促進税制 スタートアップの新規発行株式を一定額以上取得する場合や、スタートアップの成長に資するM&Aを行った場合、その株式の取得価額の25%を所得控除できるオープンイノベーション促進税制について、令和7年度末の適用期限が2年延長される。また、M&A型の対象を拡充し、50%(現行:25%)以下の発行済株式の取得・吸収合併も対象に追加される。   〇 パーシャルスピンオフ税制 令和5年度に創設され、令和9年度末に適用期限を迎えるパーシャルスピンオフ税制について、事業再編には検討から完了まで数年間を要することも鑑み、事業ポートフォリオの組替えを促進するために適用要件を見直した上で恒久化される。   〇 車体課税 自動車税等の環境性能割については、米国関税措置の自動車産業への影響の緩和や国内自動車市場の活性化の観点から、令和8年度末で廃止される。また、自動車重量税のエコカー減税については、燃費基準達成度の要件を引き上げた上で、適用期限が2年延長される。そのほか、電気自動車(EV)等については、異なる動力源(パワートレイン)間の税負担の公平性、道路への負荷等の観点から、自家用の乗用車のうちEV及びプラグインハイブリッドについて、特例加算分として、令和10年5月1日施行で車両重量に応じた一定の負担が求められることとなり、令和9年度税制改正において法制化される。   〇 賃上げ促進税制 令和6年度税制改正で措置された時から状況が大きく変化しているとの考え方を踏まえ、大企業向けについては、令和8年度末の適用期限を待たずに令和7年度末で廃止される。また、中堅企業向けについては、令和8年度において、より高い賃上げを促す方向で継続雇用者の給与等支給額の前年度比増加率要件を4%(現行:3%)と強化した上で継続し、令和8年度末の適用期限をもって廃止される。一方、中小企業向けについては、現行制度を維持することとし、適用期限の到来時に適用状況等を踏まえ、必要な見直しが検討される。 なお、教育訓練費にかかる上乗せ措置については、教育訓練費の増加額を税額控除額が上回る場合があるという会計検査院の指摘を踏まえて廃止される。   〇 基礎控除 令和7年度税制改正の議論から継続課題となっていた所得税の基礎控除引上げについて、12月18日、自由民主党の高市早苗総裁と国民民主党の玉木雄一郎代表が党首会談を行い、いわゆる「103万円の壁」を178万円まで引き上げることで合意に至った。 これを踏まえ、物価高対策として、直近2年の消費者物価指数(総合)の上昇率を勘案して基礎控除等を引き上げる措置が創設される。令和8年度税制改正においては、令和8年及び9年分所得に適用される控除額として、令和5年10月から令和7年10月までの2年間の消費者物価指数(総合)の上昇率6.0%を踏まえ、基礎控除の本則については現行58万円を62万円に、給与所得控除の最低保障額については現行65万円を69万円にそれぞれ4万円引き上げられる。 また、令和8年及び令和9年の2年間の時限措置として、令和7年度税制改正で措置された基礎控除の特例のうち、現行37 万円が5万円引き上げられるとともに、対象が現行の年収200万円から年収475万円に拡大されるほか、給与所得控除についても同様に5万円引き上げられる。加えて、年収475万円から665万円までを対象としている現行10万円の基礎控除の特例が32万円引き上げられる。   〇 防衛増税 昨年度の税制改正で令和8年4月から適用される防衛特別法人税とたばこ税に加えて、新たに防衛特別所得税(仮称)が創設される。これは、所得税額に対して税率1%の新たな付加税として、令和9年1月から課税されるもので、実態としては、足下で家計負担が増加しないよう復興特別所得税の税率を1%引き下げることで振り替えられる。このため、復興財源の総額を確実に確保する観点から、復興特別所得税の課税期間が令和29 年まで10 年延長される。   〇 食事補助 従業員が食事価額の50%以上を負担し、企業が負担した金額が月額3,500円以下の場合に、食事に係る所得税を非課税とする制度について、1984年以来、非課税限度額の見直しが行われていなかったことから、足元の物価上昇等を踏まえて限度額が月額7,500円に引き上げられる。 (了)

#No. 650(掲載号)
#魚住 康博
2025/12/25
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