公開日: 2016/04/25
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平成27年度税制改正(その他の税制)

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〔Ⅶ〕 その他の税制 改正のポイント

1 納税環境の整備

【1】 財産債務明細書の見直し

財産債務明細書について、次の見直しを行い、新たに、「財産債務調書」として整備されました(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律6の2、6の3)。

① 提出基準の見直し

改正前その年分の所得金額が2,000万円超であること 改正後 ①その年分の所得金額が2,000万円超であること かつ ②その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であ ること、または、同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等 の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること

② 記載事項の見直し

改正前の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、国外財産調書の記載事項と同様の事項の記載を要することとされました。

(注) 財産の評価については、原則として「時価」ですが、「見積価額」とすることもできることとされます。また、有価証券等については、取得価額の記載も要することとされます。

③ 過少申告加算税等の特例

国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置が講じられました。

④ その他

イ財産債務調書の提出に関する調査に係る質問検査権の規定が整備されました。 ロ 改正前の財産債務明細書と同様、国外財産調書に記載した国外財産については、財 産債務調書への内容の記載は要しないこととされました。 (注)この場合、運用上、財産債務調書の備考に「国外財産調書に記載のとおり」と記載する こととされます。 ハ財産債務調書の記載に係る事務負担が過重なものとならないよう、運用上、適切に 配慮することとされました。

《適用期日》
この改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されます。

【2】 マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置

国税通則法が改正され、銀行等に対し、マイナンバー(個人番号及び法人番号)によって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務が課されます。

番号利用法の改正により、預金保険・貯金保険においてマイナンバーが利用できるようになります。社会保障給付関係法、預金保険・貯金保険関係法令の改正により、社会保障給付事務や預金保険・貯金保険事務において、マイナンバーが付された預貯金情報の提供を求めることができることとなります。

(注) 「個人情報保護法及び番号利用法等の一部を改正する法律案」の施行の日から適用されます。

【3】 税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し

国税関係書類に係るスキャナ保存制度について、次の見直しが行われました(電子帳簿保存法施行規則3)。
① 見直し 内容 スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準(改正前:3 万円未満)が廃止されました。 ② 手続要件 重要書類(契約書・領収書等)について、業務処理後にスキャナ保存を行 う場合に必要とされている関係帳簿の電子保存の承認要件が廃止されまし た。 重要書類については、適正な事務処理の実施を担保する規程の整備と、こ れに基づき事務処理を実施していること(適正事務処理要件を満たしてい ること)がスキャナ保存に係る承認の要件とされました。 (注)上記の「適正事務処理要件」とは、内部統制を担保するために、相互けん制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規程等において整備するとともに、これ に基づいて事務処理を実施していることをいいます。 ③ 電子署名 要件 スキャナで読み取る際に必要とされている入力者等の電子署名が不要とさ れ、タイムスタンプを付すとともに、入力者等に関する情報の保存が要件 とされました。 ④ 大きさ情 報・カ ラー保存 要件 重要書類以外の書類について、スキャナで読み取る際に必要とされている その書類の大きさに関する情報の保存を不要とするとともに、カラーでの 保存を不要とし、グレースケール(いわゆる「白黒」)での保存でも要件 を満たすこととされました。

《適用期日》
この改正は、平成27年9月30日以後に行う承認申請について適用されます。

(注) 地方税関係書類についても同様に措置されました。

【4】 地方税の猶予制度の見直し

地方税法総則に定める猶予制度について、納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点から、納税者の申請に基づく換価の猶予制度を創設するなどの措置が講じられました。その際、地方分権を推進する観点や、地方税に関する地域の実情が様々であることを踏まえ、換価の猶予に係る申請期限など一定の事項については、各地域の実情等に応じて条例で定める仕組みとされました。

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〔Ⅶ〕 その他の税制 改正のポイント

1 納税環境の整備

【1】 財産債務明細書の見直し

財産債務明細書について、次の見直しを行い、新たに、「財産債務調書」として整備されました(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律6の2、6の3)。

① 提出基準の見直し

改正前その年分の所得金額が2,000万円超であること 改正後 ①その年分の所得金額が2,000万円超であること かつ ②その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であ ること、または、同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等 の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること

② 記載事項の見直し

改正前の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、国外財産調書の記載事項と同様の事項の記載を要することとされました。

(注) 財産の評価については、原則として「時価」ですが、「見積価額」とすることもできることとされます。また、有価証券等については、取得価額の記載も要することとされます。

③ 過少申告加算税等の特例

国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置が講じられました。

④ その他

イ財産債務調書の提出に関する調査に係る質問検査権の規定が整備されました。 ロ 改正前の財産債務明細書と同様、国外財産調書に記載した国外財産については、財 産債務調書への内容の記載は要しないこととされました。 (注)この場合、運用上、財産債務調書の備考に「国外財産調書に記載のとおり」と記載する こととされます。 ハ財産債務調書の記載に係る事務負担が過重なものとならないよう、運用上、適切に 配慮することとされました。

《適用期日》
この改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されます。

【2】 マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置

国税通則法が改正され、銀行等に対し、マイナンバー(個人番号及び法人番号)によって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務が課されます。

番号利用法の改正により、預金保険・貯金保険においてマイナンバーが利用できるようになります。社会保障給付関係法、預金保険・貯金保険関係法令の改正により、社会保障給付事務や預金保険・貯金保険事務において、マイナンバーが付された預貯金情報の提供を求めることができることとなります。

(注) 「個人情報保護法及び番号利用法等の一部を改正する法律案」の施行の日から適用されます。

【3】 税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し

国税関係書類に係るスキャナ保存制度について、次の見直しが行われました(電子帳簿保存法施行規則3)。
① 見直し 内容 スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準(改正前:3 万円未満)が廃止されました。 ② 手続要件 重要書類(契約書・領収書等)について、業務処理後にスキャナ保存を行 う場合に必要とされている関係帳簿の電子保存の承認要件が廃止されまし た。 重要書類については、適正な事務処理の実施を担保する規程の整備と、こ れに基づき事務処理を実施していること(適正事務処理要件を満たしてい ること)がスキャナ保存に係る承認の要件とされました。 (注)上記の「適正事務処理要件」とは、内部統制を担保するために、相互けん制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規程等において整備するとともに、これ に基づいて事務処理を実施していることをいいます。 ③ 電子署名 要件 スキャナで読み取る際に必要とされている入力者等の電子署名が不要とさ れ、タイムスタンプを付すとともに、入力者等に関する情報の保存が要件 とされました。 ④ 大きさ情 報・カ ラー保存 要件 重要書類以外の書類について、スキャナで読み取る際に必要とされている その書類の大きさに関する情報の保存を不要とするとともに、カラーでの 保存を不要とし、グレースケール(いわゆる「白黒」)での保存でも要件 を満たすこととされました。

《適用期日》
この改正は、平成27年9月30日以後に行う承認申請について適用されます。

(注) 地方税関係書類についても同様に措置されました。

【4】 地方税の猶予制度の見直し

地方税法総則に定める猶予制度について、納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点から、納税者の申請に基づく換価の猶予制度を創設するなどの措置が講じられました。その際、地方分権を推進する観点や、地方税に関する地域の実情が様々であることを踏まえ、換価の猶予に係る申請期限など一定の事項については、各地域の実情等に応じて条例で定める仕組みとされました。

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