はじめに
所得税及び個人住民税については、いわゆる三位一体改革の一環として、恒久的措置として所得税から個人住民税に3兆円規模の税源が移譲されることになりました。この税源移譲は、所得税は平成19年分から、個人住民税は平成19年度分から適用され、それに伴う措置として、所得税の税率構造は4区分から6区分に変更され、他方、個人住民税の税率構造は3区分から一律10%となりました。
安心・安全の観点からは、自発的な耐震改修を促進するための施策として、所得税における耐震改修税額控除制度、所得税及び個人住民税を通じての地震保険料控除、固定資産税における耐震改修に係る減額制度がそれぞれ創設されました。
政策減税の見直しは、幅広く行われました。その中で中小企業関連税制として、同族会社の留保金課税制度に関する同族会社の判定方法及び課税対象額の計算方法の見直しが行われ、交際費課税における金額基準が明示されました。そして、一定の同族会社に係るオーナー給与について給与所得控除に相当する部分として計算される金額が損金不算入とされました。
納税環境の整備としては、物納制度における手続や物納不適格財産が明確化され、郵送等に係る書類の提出に関して発信主義による取扱いが拡大されました。また、無申告加算税や不納付加算税の取扱いについても見直しが行われました。
平成18年5月1日に会社法が施行されることに伴って、決算・申告の実務にも大きな変化があります。特に、株主資本等変動計算書の作成については、充分に理解しておく必要がありますので、本冊子でも掲載いたしました。
本冊子では、上記のほか、平成18年度の税制改正事項を体系化・図式化し、分かりやすく解説しました。実務家や経営者をはじめとした皆様方のお役に立てれば幸いです。