税法基本判例 Ⅰ

  • 2,970 円 (会員価格) (税込)
  • 定価: 3,300 円 (税込)
  • 著者

    谷口勢津夫 著

  • 出版社

    清文社

  • 発行日2023年09月19日
  • 判型A5判 288 頁
  • ISBN978-4-433-73713-9

「課税権」概念にはどのような意義・種類があるか、税法の解釈において「一般人の理解」はどのような意味をもつか、借用概念論の実践的意図は何か、個別的否認規定と一般的否認規定との「重畳的適用」等、税法の重要な判例から論点を取り上げ、問題点や考え方を検討。

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【商品説明】

「課税権」概念にはどのような意義・種類があるか、税法の解釈において「一般人の理解」はどのような意味をもつか、借用概念論の実践的意図は何か、個別的否認規定と一般的否認規定との「重畳的適用」等、税法の重要な判例から論点を取り上げ、問題点や考え方を検討。

【目次】

1 憲法上の租税概念
  旭川市国民健康保険条例事件
  最[大]判平成18年3月1日民集60巻2号587頁
2 租税立法の違憲審査基準
  大嶋訴訟・最[大]判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁
3 課税要件法定主義と委任命令
  ふるさと納税不指定事件・最判令和2年6月30日民集74巻4号800頁
4 課税要件明確主義と立法者の説明責任
  ホステス報酬源泉徴収事件・最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁
5 遡及立法禁止原則と財産権の「制約」
  「損益通算廃止」年度内遡及[千葉]事件
  最判平成23年9月22日民集65巻6号2756頁
6 租税法規の文理解釈と租税通達の文理解釈
  タキゲン事件・最判令和2年3月24日訟月66巻12号1925頁
7 税法の文理解釈における「一般人の理解」の意義と限界
  レーシングカー「普通乗用自動車」事件
  最判平成9年11月11日訟月45巻2号421頁
8 課税減免規定の限定解釈の意義・性格と射程
  外国税額控除余裕枠利用[りそな銀行]事件
  最判平成17年12月19日民集59巻10号2964号
9 課税減免規定の解釈のあり方
  判例にみられる課税減免規定固有の問題の検討
10 税法における類推解釈の許容性
  税法解釈原理としての「疑わしきは納税者の利益に」の妥当性
11 納税者に有利な「実質的」遡及課税とその問題性
  国税不服審判所平成31年3月25日裁決による法令解釈と
  閣議決定によるその変更
12 借用概念論の伝統的・本来的意義とその形式的外縁
  サプリメント購入費医療費控除事件
  東京高判平成27年11月26日訟月62巻9号1616頁
13 借用概念論の実践的意図とその実現
  株主優待金事件に関する最判昭和35年10月7日民集14巻12号2420頁と
  最大判昭和43年11月13日民集22巻12号2449頁
14 要件事実論的解釈の意義と限界
  消費税帳簿等不提示事件
  最判平成16年12月20日判時1889号42頁を素材として
15 「租税法上の一般原則としての平等原則」と事実認定による否認論
  財産評価基本通達総則6項事件・最判令和4年4月19日民集76巻4号411頁
16 課税要件事実の認定に関する実質主義
  未経過固定資産税等相当額清算金の性質決定に関する裁判例の検討
17 外国組織体の法人該当性判断枠組み
  米国デラウェア州LPS法人該当性事件
  最判平成27年7月17日民集69巻5号1253頁
18 瑕疵ある法律行為等の課税上の取扱い
  特別土地保有税「経過的事実」事件
  最判平成14年12月17日判時1812号76頁
19 課税要件事実の認定における「疑わしきは納税者の利益に」
  明文の規定がない場合における推計課税の許容性
20 租税回避の意義と類型
  未処理欠損金額引継規定濫用[ヤフー]事件
  最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁
21 租税回避の法的評価とリベラルな租税回避観
  住所国外移転[武富士]事件・最判平成23年2月18日訟月50巻3号864頁
22 個別分野別不当性要件の統一的解釈
  ヤフー事件最判とユニバーサルミュージック事件最判
23 租税回避の個別的否認規定と個別分野別一般的否認規定との適用関係
  ヤフー事件最判による「重畳的」適用と
  TPR事件東京高判による制定法踰越的法創造
24 租税回避の否認と租税法律主義
  土地相互売買[岩瀬]事件・東京高判平成11年6月21日訟月47巻1号184頁
25 事実認定による否認論をめぐる判例の動向
  「租税法上の一般原則としての平等原則」は
  事実認定による否認論を正当化することができるか

【著者紹介】

谷口 勢津夫(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(「谷口教授と学ぶ」シリーズ1・清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)など。