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〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第14回】 「類似業種比準方式の考え方」

〔しっかり身に付けたい!〕 はじめての相続税申告業務 【第14回】 「類似業種比準方式の考え方」   税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   〔3つの評価方法をおさらい〕 前回は非上場株式の相続税評価について、概略を説明した。非上場株式の評価方法には、類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式があり、保有する議決権割合、会社規模により、適用される評価方法が異なることを説明した。 復習すると、少数の議決権しか保有しない場合には、配当還元方式が適用され、支配権を有するような議決権を保有する場合には、会社規模が大会社であれば類似業種比準方式が適用され、会社規模が小会社であれば純資産価額方式が適用される。支配権を有するような議決権を保有する場合で、会社規模が中会社の場合には折衷方式(類似業種比準方式と純資産価額方式を一定割合でそれぞれ考慮する評価方法)にて評価される。 図1(再掲) 〔上場株式との比較で推定〕 類似業種比準方式は、評価対象である非上場株式が、仮に上場した場合にいくらの株価になるか、という推定計算である。評価対象である非上場株式の発行会社の業種と類似業種の上場株式とを比較して株価を推定する考え方であり、株価は配当、利益、純資産に比例して決定されるという考え方に基づいて推定を行う。 図2   上記図の例でいうと、評価対象である非上場株式の発行会社については、配当10、利益10、純資産10であったと仮定する。また、評価対象である非上場株式の発行会社の業種と類似する業種の上場会社について、配当10、利益10、純資産10、株価100円であったとする。このケースでは、評価対象会社と、類似業種の上場会社の配当、利益、純資産が一致しているため、評価対象の非上場株式は、類似業種の上場株式価格100円と同じ金額になると推定される(厳密な類似業種比準方式では、斟酌割合などあるため、完全に一致するわけではないが、ここでは理解しやすくするため、考え方を簡便的に説明している)。 このように類似業種比準方式では、評価対象である非上場株式について、その類似業種である上場株式の「配当」、「利益」、「純資産」を比較することで、その類似業種である上場株式株価から、非上場株式株価を推定するものである。したがって、類似業種比準方式を適用する前提として、評価対象である非上場株式の株価と、類似業種の上場株式の株価とに、一定の関連性(相関関係)がある必要がある。   〔推定計算できない特殊なケース〕 このように考えていくと、一定の場合には、評価対象である非上場株式の株価と、類似業種の上場株式の株価とに、一定の関連性(相関関係)が認められないと考えられるケースもある。その場合には、上場株式の株価から推定計算が成り立たないことになり、結果として、類似業種比準方式による株価計算は理論的に適用できないことになる(*)。 そのような一定の場合として、財産評価通達では、以下のものを挙げており、これらを特定の評価会社の株式と呼ぶ(財産評価基本通達189)。 要するに、特殊な状況にあるため、上場株式から株価を推定することが合理的でないケースであり、類似業種比準方式が適用できないケースである。 詳細な定義の説明は割愛するが、1及び2は、総資産に占める株式・土地等の割合が大きい会社であり、3、4、5、6は収益力が著しく悪化している会社または通常の事業活動を行っている状態ではない会社を意味している。このような会社と、上場会社とは、所有財産の構成内容や事業活動状況が著しく異なると考えられ、したがって上場株式の株価との関連性が乏しいと考えられ、上場株式の株価から推定して株価を導くことは合理的ではないと考えられる。これらの会社の株価については、類似業種比準方式は適用できないため、基本的には純資産価額方式による株価計算を行うことになる(財産評価基本通達189-2~189-6)。 (了)

#No. 54(掲載号)
#根岸 二良
2014/01/30

経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第11回】「グループ内合併と税金(その1)」―被合併法人からの未処理欠損金の引継制限―

経理担当者のための ベーシック税務Q&A 【第11回】 「グループ内合併と税金(その1)」 ―被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継制限―   仰星税理士法人 公認会計士・税理士 草薙 信久   1 適格合併における欠損金の制限措置 適格合併における欠損金については、次のような3つの制限措置を受ける可能性があります。   2 被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継制限 適格合併の場合には、被合併法人の支配関係前未処理欠損金は、原則として合併法人に引き継ぐことができます(法法57②)。 しかしながら、同一グループ内の適格合併において、被合併法人の未処理欠損金の引継ぎを無制限に認めた場合には、未処理欠損金を利用した不当な租税回避行為がなされる可能性があります。例えば、多額の未処理欠損金を有するグループ外の法人の発行済株式のすべてを取得した上で同一グループ内の収益性の高い他の法人に適格吸収合併させた場合には、このような引継制限を課さないと、当該他の法人において容易に節税することが可能となります。 そのため、同一グループ内の適格合併においては、次のような3つのケースを除き、被合併法人の支配関係前未処理欠損金の合併法人への引継ぎを制限しています。 以上の被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継制限の用件をフローチャートにすると次のようになります。 ご質問のケースでは、合併の日の属する事業年度開始の日が、支配関係が発生した後5年を経過しておらず、みなし共同事業要件も満たしていないため、被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継ぎに制限が課されます。   4 合併法人における未処理欠損金の帰属事業年度 合併法人に引き継ぐことができる被合併法人の未処理欠損金は、未処理欠損金が発生した被合併法人の事業年度開始の日が属する合併法人の事業年度において生じたものとみなされます(法法57②)。 そのため、合併法人と被合併法人の事業年度が異なる場合には、引き継いだ未処理欠損金の繰越期間は、1年決算の場合、本来の繰越期間より決算月の差の月数だけ短くなります。また、期中で合併した場合であっても、被合併法人の最終事業年度(適格合併の日の属する事業年度の開始の日から適格合併の日の前日までの期間)において発生した未処理欠損金も同様です。 ご質問のケースでは、合併法人と被合併法人の事業年度が異なるため、次のように未処理欠損金の発生事業年度が3ヶ月早くなり、繰越期間が3ヶ月短くなります。 すわなち、S社において平成25年3月期に発生した未処理欠損金は、平成24年4月1日が事業年度の開始の日なので、平成24年4月1日が属するP社の事業年度である平成24年12月期が帰属事業年度になります。また、期中で合併しているため、平成25年4月1日に開始した被合併法人の最終事業年度において発生した未処理欠損金は、合併法人の合併事業年度の前事業年度である平成24年12月期において発生した未処理欠損金とみなされます。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   5 引継制限を受ける被合併法人の未処理欠損金 被合併法人の未処理欠損金のうち、次の①及び②の金額は合併法人に引き継ぐことができず、切り捨てられます。 ご質問のケースでは、平成23年7月1日にS社の株式を取得していることから、平成23年12月期が支配関係の発生した事業年度となります。そのため、支配関係が発生する前の平成22年12月期において生じた被合併法人の未処理欠損金は、全額が引継制限を受け、切り捨てられます。また、支配関係が発生した以後の平成23年12月期及び平成24年12月期において生じた被合併法人の未処理欠損金のうち、特定資産の譲渡等損失相当額に対応する部分については引継制限を受け、切り捨てられます。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   6 合併法人の支配関係前自社繰越欠損金の控除制限 多額の資産の含み益を有するグループ外の法人の発行済株式のすべてを取得した上で同一グループ内の他の法人に適格吸収合併をさせた場合には、被合併法人から帳簿価額で引継ぎを受けた資産の含み益を実現させることにより、合併がなければ控除期間の制限から切り捨てられていたであろう合併法人の未処理欠損金を当該実現利益で相殺控除することが可能となります。 そのため、同一グループ内の適格合併においては、次のような3つのケースを除き、合併法人の支配関係前自社欠損金についての繰越控除が制限されています(法法57④)。 なお、控除制限の適否については、被合併法人からの未処理欠損金の引継制限と同様の検討を行うことになります。 また、自社繰越欠損金の控除制限は、適格合併以外の適格組織再編成又は100%グループ内の非適格合併の場合にも適用がありますので注意する必要があります。 ★  ★  ★ 今回は、「被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継制限」と「合併法人の支配関係前自社繰越欠損金の控除制限」に着目して説明しましたが、次回(2月27日公開)は、「特定資産譲渡等損失額の損金算入制限」と「欠損金の引継等制限における特例計算」について説明したいと思います。 (了)

#No. 54(掲載号)
#草薙 信久
2014/01/30

貸倒損失における税務上の取扱い 【第10回】「子会社支援のための無償取引⑥」

貸倒損失における税務上の取扱い 【第10回】 「子会社支援のための無償取引⑥」   公認会計士 佐藤 信祐   本事件についての第一審判決の内容は、第9回で解説した通りである。 本稿においては、控訴審判決、最高裁判決について触れたうえで、低利貸付けについての法人税法上の考え方について考察を行うこととする。 (2) 控訴審・福岡高裁宮崎支部平成14年10月29日判決(税資252号順号9222) 第一審判決とほぼ同じ判断が下されている。なお、利率だけみればわずかな供与であっても、本件各貸付けの元本額が巨額である結果、控訴人が子会社に供与したこととなる利益の額もまた巨額となるから、利率だけをみて本件各貸付けによる低利融資が寄付金に該当しないとは到底いえないことが補足された。 (3) 最高裁平成15年4月25日判決(税資253号順号9332) 上告理由が民事訴訟法に規定する事由に該当しないことから、不受理となった。 (4) 本事件についての評釈 本事件においては、適正利率をどのように算定すべきであるかという点と、法人税基本通達9-4-2に定める「相当の理由」があるか否かという点が争われた事件である。 実務上、いずれとも重要な内容ではあるが、本連載は貸倒損失についての連載であり、当該判例を紹介した理由としては、法人税基本通達9-4-2の内容を分析するためであるため、本稿では後者についてのみ解説を行うこととする。 本事件については、平野敦士氏達は、 としている。 たしかに、控訴審判決については、説示の補足として、①低利貸付けを受けた子会社は一貫して営業利益を計上し続けていたこと、②株式取引によって被る損失を対象となった子会社1社に集約させたことによって債務超過になったことから、 とまで言っているため、そういった印象を受けるのもやむを得ない点である。 しかしながら、本事件が租税回避的な要因が強かったかといえば、少なくても、被告(鹿児島税務署長)の主張や、裁判所の判断においては、そこまで強く影響を与えたものではなく、単純に安い金利で貸し付けたから寄附金として認定したという程度のものであると考えられる。 また、大淵博義教授は、第1審判決が下された後に、 としたうえで、 と指摘されている。 控訴審判決において、僅かな金利差であっても貸付金額、経済的利益が多額であるという点が補足されているため、控訴審判決後であれば違った文章であったのかもしれないが、当時において、納税者にとって厳しい判断が下されたという印象を受けていたことは窺える文面である。 さらに、法人税基本通達9-4-2の適用の可否については、①例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためやむを得ず行われるもの、②合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付等をしたことについて相当な理由があると認められるときの2つを挙げたうえで、 と指摘されている。 すなわち、被告の主張や裁判所の判断については、倒産寸前まで至らないと無利息貸付けや低利貸付けを行うことができないと言っているに等しく、法人税基本通達9-4-2の趣旨を敢えて狭く解釈するものであるということである。 この点については、実務においても悩ましい点であり、法人税基本通達9-4-2の適用がかなり難しい実態を表すものである。 著者の経験上、法人税基本通達9-4-2に基づいて、子会社に対する債権放棄や無利息貸付けなどの支援が認められた事例はあることはあるが、国税局に対する「再建支援等事案に係る事前相談」を行いながら、かなり慎重に行う必要があり、むしろ、当該事前相談を行わないと法人税基本通達9-4-2を適用することすらできないのではないかという印象を受けたことも少なくない。 そのため、組織再編税制や子会社支援の事例が積み重なると、むしろ、子会社に対する債権放棄や無利息貸付けは行わず、組織再編成を利用した手法や、第2会社方式を利用した貸倒損失の認識などによる手法を採用するようになったというのが実感である。実際に、少なくても、ここ10年くらいの著者の経験によれば、債権放棄や金利の引下げに伴う法人税基本通達9-4-2の適用は、金融機関による融資先の支援が中心であり、私的整理ガイドラインや中小企業再生支援協議会等を利用するものである。 このように、大淵博義教授が懸念されたように、法人税基本通達9-4-2を適用し、子会社に対して無利息貸付けや低利貸付けを行うことはかなり難しくなっているというのが実態であると言える。 また、「書面による合理的再建計画」の存在が必要か否かという点については、あくまでも、「相当な理由があること」の例示であるとしたうえで、 と指摘されている。 この点についても、債権放棄はともかくとして、緊急融資については、資金繰りのために行われるものであり、わざわざ再建計画を作成する時間的な余裕は存在しないというのが当然であり、理解できる主張である。そうなると、実際に、無利息貸付けや低利貸付けが認められる場合はかなり限定的であると言わざるを得ない。 さらに、被告の主張や裁判所の判断を見てみると、グループ会社からの借入金については、支払利息について未払利息として計上するだけにして、実際の支払いについては後回しにすれば、資金繰りに窮することはないという理論構成のように思われる。 しかしながら、その理屈を持ち出せば、資金繰りさえ何とかなれば、赤字であっても会社は倒産しないことから、親会社や他のグループ会社が健全であれば、倒産の危機に瀕している会社は存在しないことになる。 言い換えれば、損益計算書を改善させないと倒産の危機に瀕してしまう業界でないと、倒産の危機に瀕していないとも言えてしまい、法人税基本通達9-4-2の適用がかなり難しいことを物語る事実である。 それが故に、金融機関の不良債権処理については、法人税基本通達9-4-2を適用するための事前相談を避けるために、私的整理ガイドライン、RCC企業再生スキームなどが生み出されたことを考えると、子会社に対する債権放棄、無利息貸付けなどの支援のために法人税基本通達9-4-2を適用することはかなり厳しいということができる。 本事件だけでなく、子会社支援に係る判例や裁決例等を見てみると、法人税基本通達9-4-2の適用が想像以上に厳しいものであり、実務上、これを適用することは限定的であるということができる。 次回以降においては、所得税法における無償による金銭の貸付けである平和事件について解説し、法人税法における無利息貸付けと所得税法における無利息貸付けの取扱いの相違点について、それぞれ分析を行う予定である。 (了)

#No. 54(掲載号)
#佐藤 信祐
2014/01/30

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第1回】「資産除去債務~計上から履行まで~」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第1回】 「資産除去債務~計上から履行まで~」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   「資産除去債務」とは、「有形固定資産(投資不動産を含む)の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるもの」をいう(「資産除去債務に関する会計基準」(以下「基準」という)3(1))。 資産除去債務の会計処理は、簡潔にいうと、将来、法令や契約等で義務付けられた除去費用が発生する(可能性がある)場合、その除去費用を将来ではなく、現時点で負債に計上するというものである。 具体的な資産除去債務の会計処理の検討は、以下の4つのステップに分けることができる。     この4つのステップをフロー・チャートにすると、以下のようになる。 ※ 画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 全体の流れを確認しながら、以下ステップごとの解説をご覧いただきたい。   まず、【STEP1】固定資産の取得時では、計上要否の判定を行う。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   (1) 資産除去債務が有形固定資産に存在するか? 具体的には、以下の2つの要件をいずれも満たすかどうかを検討する(基準3(1))。 以下の2つの要件のうち、いずれかを満たさない場合には、【STEP1】(2)以降の検討は不要である。 ②の法令上又は契約による義務としては、以下のような例が挙げられる。 《法令上の義務の例》 PCBの除去 アスベストの除去 土壌汚染 等 《契約による義務》 建物等の賃貸借契約による原状回復義務 定期借地権契約による原状回復義務 等 なお、資産除去債務の対象にならない場合でも、引当金や固定資産の減損の対象になる場合がある。 (2) 資産除去債務を合理的に見積もることができるか? 資産除去債務が発生する(可能性がある)としても、合理的に見積もることができない資産除去債務は財務諸表に計上しない(基準5)。そのため、ここでは資産除去債務を合理的に見積もることができるかどうかを検討する。 資産除去債務の金額(割引前将来キャッシュ・フロー)を合理的に見積もることができない場合や資産除去債務の履行時期を合理的に見積もることができない場合(基準35)、資産除去債務の計上は行わない。 ここで、「合理的に見積もることができない場合」とは、決算日現在において入手可能なすべての証拠を勘案し、最善の見積りを行ってもなお、合理的に金額を算定できない場合をいう(「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(以下「適用指針」という)2)。 なお、資産除去債務の履行時期や除去の方法が明確にならないことなどにより、その金額が確定しない場合でも、履行時期の範囲及び蓋然性について合理的に見積もるための情報が入手可能なときは、資産除去債務を合理的に見積もることができる場合に該当する(適用指針17)。 検討した結果、「合理的に見積もることができる」と判断した場合、【STEP2】以降を検討する。 「合理的に見積もることができない」と判断した場合には、【STEP2】以降の検討は不要である。 また、資産除去債務を合理的に見積もることができない場合には、財務諸表上「資産除去債務の概要、合理的に見積もることができない旨及び理由」を注記する(基準16(5))。他方、計算書類では、当該注記は必ずしも求められてはいない。 なお、当初は合理的に見積もることができなかったが、その後、合理的に見積もることができるようになった場合は、その時点で貸借対照表に計上する(基準5)。   【STEP2】資産除去債務の発生時では、3つの数値の算出及び会計処理について検討する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (1) 数値の算出 ① 割引前将来キャッシュ・フローを見積もる。 (1)では、具体的な資産除去債務の金額を算出する。まず、割引前将来キャッシュ・フローを算出する。 具体的には、将来支出する(可能性のある)除去に直接要する費用の他、除去に至るまでの保管や管理のための費用を見積もる(基準6)。 見積もる際の参考となる情報としては、以下のものが考えられる。 平均的な処理作業に対する価格の見積り 過去の類似資産における除去費用の実績 投資の意思決定を行う際に見積もられた除去費用 業者からの見積書、業者のホームページ 有形固定資産の取得の際に取引価額から控除された売り手に原因がある除去費用 等 ② 割引率を設定する。 次に割引率を設定する。割引率には、無リスクの税引前の割引率を用いる(基準6(2))。 この際、将来キャッシュ・フローが発生するまでの期間に対応した国債の利回りなどを参考に設定することが考えられる。 ③ 割引後将来キャッシュ・フローを算定する。 3番目に上記(1)①で見積もった割引前将来キャッシュ・フローと(1)②で設定した割引率をもとに、割引後将来キャッシュ・フローを算定する(基準6)。 (2) 会計処理 - 貸借対照表に計上する。 (1)③で算定した金額を資産除去債務として貸借対照表に計上する。また、同額を有形固定資産の帳簿価額に加える(基準7)。 有形固定資産の帳簿価額に加えるのは、取得に係る付随費用であるためである。有形固定資産の取得に係る付随費用は取得原価に含めるが、除去費用も取得に係る付随費用の1つであるため、有形固定資産の帳簿価額に加える。 また、有形固定資産の帳簿価額に加えることで、資産への投資について回収すべき金額を引き上げることになり、会社が回収すべき金額や保有している資産からどれだけ利益を獲得できているかの判断にとって、有用な情報が提供されることになる。 会計処理は以下のとおりである。 【会計処理(税効果は除く)】 また、財務諸表上、重要性が乏しい場合を除き、以下の内容を注記する(基準16(1)~(3))。他方、計算書類では、当該注記は必ずしも求められていない。   【STEP3】決算時では、資産除去債務発生時及び翌期以降に分けて考える必要がある。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (1) 資産除去債務発生時の決算時 - 減価償却費及び時の経過による費用を損益計算書に計上する。 資産除去債務を計上した後、減価償却費と利息費用を毎期計上する(基準8、9)。 資産計上された資産除去債務に対応する金額は、減価償却を通じて、各期に費用計上する。 資産除去債務は割引「後」将来キャッシュ・フローで計上されることから、時の経過による資産除去債務の調整額(=期首の資産除去債務×割引率)を費用として計上する。また、この費用は減価償却費と同じ区分に計上する。 【会計処理(税効果は除く)】 (2) 資産除去債務発生の翌期以降の決算時 ① 割引前将来キャッシュ・フローに「重要な」見積りの変更が生じたか? 割引前将来キャッシュ・フローに「重要な」見積りの変更がある場合、資産除去債務の金額を変更する必要がある(基準10)。 そのため、「重要な」見積りの変更とは、どれくらいの「重要性」かを、会社の規模に応じて社内で決定する必要がある。 「重要な」見積りの変更が生じた場合、資産除去債務及び関連する有形固定資産の帳簿価額を修正する。 その際には、割引率は、以下のものを用いる(基準11)。 また、資産除去債務の見積りを変更したときは、財務諸表上、重要性が乏しい場合を除き、「その変更の概要及び影響額」を注記する(基準16(4))。他方、計算書類では、当該注記は必ずしも求められていない。 ② 減価償却費及び時の経過による費用を損益計算書に計上する。 上記(2)①で見積りを変更した場合は、変更後の金額をもとに減価償却費及び利息費用を計上する。また、見積りを変更しなかった場合は、元々の計上額をもとに減価償却費及び利息費用を計上する。 具体的な会計処理については、上記【STEP3】(1)を参照。   最後のSTEPである【STEP4】履行時では、以下の会計処理を行う。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 具体的には、資産除去債務を履行した時(有形固定資産の処分等を行った時)に、資産除去債務を取り崩す会計処理を行う。 【会計処理(税効果は除く)】 なお、履行差額は、原則、減価償却費と同じ区分に計上する(基準15)。ただし、履行差額が異常な原因により生じた場合(例えば、当初の除去予定時期よりも著しく早期に除去することとなった場合)には、特別損益に計上することができる(基準58)。 *   *   * 以上、4つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 (※)画像をクリックするとPDFが開きます。  (了)

#No. 54(掲載号)
#西田 友洋
2014/01/30

林總の管理会計[超]入門講座 【第19回】「目指すべき原価計算システム」

林總の 管理会計[超]入門講座 【第19回】 「目指すべき原価計算システム」   公認会計士 林 總   システムを導入する目的は何か?   原価計算システムは3階層 (了)

#No. 54(掲載号)
#林 總
2014/01/30

派遣労働者と派遣先の労働契約の成否と実務対応~マツダ防府工場事件一審判決~

派遣労働者と派遣先の労働契約の成否と実務対応 ~マツダ防府工場事件一審判決~   弁護士 薄井 琢磨   1 はじめに 平成11年以降の労働者派遣法の相次ぐ改正によって、製造業の労働者派遣の解禁を含む大幅な規制緩和が行われ、製造業分野で労働者派遣の切替えが進むなど労働者派遣の利用が加速した。 こうした状況のなか、派遣先企業(以下「派遣先」)が、派遣労働者から、労働契約が成立していることの確認を求めて提訴されるケースが目立つようになった。 派遣労働者は派遣先の施設でその指揮命令を受けて就労するが、労働者派遣が労働者派遣法に従って行われる限り、派遣労働者と派遣先との間に労働契約関係は生じない。 ところが、昨年、両者の間に労働契約の成立を認める下級審判決(マツダ防府工場事件・山口地裁平成25年3月13日判決)が出されるに至った。 本件は控訴されており、この結論が控訴審でも維持されるか不明ではあるが、派遣労働者を巡る派遣先の運用のあり方に一石を投じる判決だと思われる。 そこで本稿では、本件の概要を紹介するとともに、実務対応について触れたい。   2 問題状況 労働者派遣は臨時的・一時的に労働力を利用する仕組みであり(常用雇用の代替防止)、就業場所ごとの同一業務について派遣先が派遣可能期間を超えて派遣労働者を受け入れることはできない。 一方、厚生労働省の指針(平成11年労働省告示第138号)を受けて、派遣先で3ヶ月を超えて派遣が中断されれば(いわゆるクーリング期間)派遣可能期間の計算がリセットされるものと考えられていた。 これを受けて、派遣可能期間の満了前に、派遣先がクーリング期間に対応して労働者派遣から3ヶ月超の有期の直接雇用に切り替え、その終了後に再び労働者派遣に切り替えることを繰り返すことで、派遣労働者を受け入れ続けるケースが見られるようになった。 こうしたケースのうち、派遣労働者が派遣先を相手取って労働契約が成立していることの確認を求めて提訴したのが本件である。   3 マツダ防府工場事件・山口地裁判決の概要 (1) 事案の概要 Xらは派遣労働者として、Y社の工場で自動車製造等の業務に従事していた。 Y社は派遣可能期間の経過後も人員を確保する必要がある場合の対応策として、派遣労働者を3ヶ月と1日の間、直接雇用する「サポート社員制度」を導入した。 この制度の説明は主に派遣企業(以下「派遣元」)から派遣労働者に向けて行われたが、そこでは「法律で1年以上は働けないから、一度Y社の社員になってもらい、3ヶ月してまた戻ってきてもらう。」旨が説明されていた。 Xらは、派遣可能期間満了後サポート社員としてY社に直接雇用され、派遣労働時と同じ職場で同じ作業に従事していた。 その後、Y社は、職務への期待値から派遣労働者をランク付けするランク制度等を導入した。ランク制度の導入に合わせて派遣料金の体系も変更され、派遣労働者のランクも派遣料金に反映されるようになった。 その後、Y社は、景気低迷を受けて、生産台数を減らすとともに派遣労働者の受入人数も減らすこととし、Xらは、派遣元から雇止めされた。 そこで、Xらは、派遣元との間の派遣労働契約は無効であり、かつ、Y社の間で黙示の労働契約が成立している等と主張して、Y社を提訴した。 (2) 判決のポイント (ア) Xらと派遣元との間の派遣労働契約が無効か 本判決は、派遣可能期間の制限違反があったか否かについて、形式的にクーリング期間をクリアするか否かではなく、「恒常的労働の代替防止」という制度趣旨から実質的に判断すべきことを明らかにしたうえで、サポート社員制度に関する説明のあり方や、実際に多くの派遣労働者が同じ職場で「労働者派遣→サポート社員→労働者派遣」を繰り返していたことといったサポート社員制度の運用実態から、派遣可能期間の制限違反があったことを認めた。 そして、Y社と派遣元が協働してサポート社員制度を利用した派遣可能期間の制限違反が行われたことや、Y社がランク制度等を導入して常用雇用の代替防止という労働者派遣法の根幹を否定する施策を実施したことといった法違反の実態から、もはや労働者派遣の実質がないとして、サポート社員制度が適用された派遣労働者について、派遣元との間の派遣労働契約を無効と判断した。 (イ) Y社とXらとの間に黙示の労働契約の成立が認められるか 本判決は、黙示の労働契約の成否について、XらとYの間に、使用従属関係や労務提供関係、賃金支払関係があるかといった事実関係から判断することを明らかにした。 そして、使用従属関係や労務提供関係については、Y社が、自社の従業員と同様に、Xらに作業上の指揮命令や出退勤の管理をするだけでなく、派遣労働者の配置・配置変更も決めていたと認定した。賃金支払関係についても、ランク制度の導入に伴って派遣元から派遣労働者にランクに応じた給与が支払われることがY社・派遣元・派遣労働者の共通認識となっていたことや、Y社が派遣労働者のランクを決定していたことから、Y社が派遣労働者の給与等の名目で派遣元から受領する金員の額を実質的に決めていたと認定した。 以上から、Y社とXらとの間に黙示の労働契約が成立していることを認めた。   4 実務対応 本判決に対しては、Y社の派遣可能期間の制限違反の違法性を強調して、派遣先と派遣労働者の労働契約の成立まで認めること等について、疑問が呈されている。 もっとも、派遣先が派遣可能期間後に派遣労働者を直接雇用し、その後に派遣元から再度派遣労働者として受け入れることを派遣元と合意する、あるいはその旨を派遣労働者に説明することに対しては、厚生労働省から職業安定法違反となり得るとの見解が出されているところでもある(平成20年9月26日職発第0926001号)。 また、平成24年の労働者派遣法改正で、派遣可能期間の制限を超えて派遣の受入れが行われた場合、他の要件も満たされれば、派遣先が派遣労働者に派遣労働と同じ労働条件で直接雇用の申込みをしたとみなされる制度が導入された(平成27年10月1日から施行)。 この制度によって、派遣労働者が直接雇用を求めれば、両者の間で労働契約が成立することになるから、本件同様の事案の派遣労働者の多くが救済されることになる。 したがって、派遣先は、クーリング期間の正確な理解に努めるとともに、予期せずに派遣労働者を直接雇用しなければならないような事態に陥らないよう、現行の制度や運用を見直す必要がある。 (了)

#No. 54(掲載号)
#薄井 琢磨
2014/01/30

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載51〕 会社分割等における債権者保護制度の見直し

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載51〕 会社分割等における債権者保護制度の見直し   司法書士 北詰 健太郎 司法書士 森 明日香   1 はじめに 平成25年11月29日に閣議決定された「会社法の一部を改正する法律案」(以下「改正法案」という)の中で、会社分割等における債権者保護制度の見直しが図られることとなった。これにより、「詐害的会社分割」をめぐる残存債権者保護制度の見直しと、分割会社に知れていない債権者保護制度の見直しが行われることとなる。 そこで本稿では、現行法下での会社分割等における債権者保護制度が抱える問題点を確認し、法案による見直しの内容と、当該見直しが実務に与える影響について考察する。   2 「詐害的会社分割」をめぐる残存債権者保護制度について (1) 現行法下における残存債権者保護の内容とその問題点 現行法下において物的分割を行う場合、分割後も分割会社に残存する債権者(本稿において「残存債権者」という)は、債権者保護手続の対象とはされていない(会社法789条1項2号、会社法810条1項2号)。これは、会社分割により承継会社等に対して財産を移転させる対価として分割会社は承継会社等の株式の交付を受けることから、分割会社の財産に減少は生じず、残存債権者を害することはないと考えられているためである(※1)。 (※1) 「会社法制の見直しに関する中間試案の補足説明」(商事法務 No.1952)(以下「補足説明」)、55頁。 しかし、この建前を利用し、承継会社等に対して承継させる負債と承継させない負債を恣意的に選別して残存債権者を害するような会社分割が行われているとの指摘がなされている(※2)。このような会社分割は、「詐害的会社分割」または「濫用的会社分割」と呼ばれる。 (※2) 補足説明、55頁。 会社分割による資産の移転の有効性をめぐり、詐害的会社分割によって害される残存債権者が民法の詐害行為取消権(民法424条)や破産法における否認権(破産法160条1項、161条1項)を行使して会社分割を取り消そうとする訴訟提起が相次いだ。 現在は、残存債権者による詐害行為取消権の行使を認めた判例(※3)により、一応の解決がなされている。 (※3) 最判平成24年10月12日民集第66巻10号3311頁。 この詐害的会社分割について、残存債権者の保護は詐害行為取消権のような民法の一般原則に委ねるだけでなく、会社法にも規定を設けることが適切であるとの指摘を踏まえ、今回の改正法案に採用されるに至った(※4)。 (※4) 補足説明、56頁。 (2) 改正法案による「詐害的会社分割」における債権者保護制度の見直しとその内容 改正法案により、分割会社が会社分割の効力発生時に残存債権者を害することを知って会社分割をした場合には、残存債権者は承継会社等に対して、承継した財産の価額を限度に債務の履行を請求することができる(改正法案759条4項および764条4項)。これにより、会社分割手続において債権者保護の対象とならない残存債権者に対しては、承継会社等も承継した財産の価額を限度に連帯責任を負うこととなる。 (ア) 詐害性 どのような会社分割が残存債権者を害することになるかについては解釈の余地が残るものの、詐害行為取消権(民法424条)における「債権者を害する」と同様に解されると考えられている(※5)。そのため、残存債権者が有する債権の回収可能性や回収額が会社分割によって減少するような場合には、残存債権者を害する会社分割であると判断されることになる。 (※5) 補足説明、56頁。 (イ) 承継会社等が負う責任の価額 残存債権者が承継会社等に対して請求できるのは、承継会社が「承継した財産の価額」までであり、これについては承継した資産から承継した債務の価額を差し引いた価額ではなく積極財産の総額であると解されている(※6)。これは、会社分割を機に残存債権者の債権回収の可能性が損なわれないようにするという目的達成のためと説明される。 (※6) 「会社法制の見直しに関する要綱の概要」 (別冊商事法務 No.372)(以下「要綱の概要」)、48頁。 (ウ) 詐害行為取消権との関係 改正法案による債権者保護制度の創設は、裁判例の蓄積によって認められてきた詐害行為取消権(民法424条)の行使を否定するものではない。詐害行為取消権に加えて会社法に新たな制度を設けることにより、残存債権者の保護の拡充を図ろうとするものである。 これにより残存債権者は、詐害行為取消権により当該会社分割を取り消すことと、会社分割は認めた上で承継会社等に対して債務の履行を請求することの2つのアプローチを選択的に活用することができることとなった(※7)。 (※7) 補足説明、56頁。 (エ) 排除規定 残存債権者保護制度は新設分割および吸収分割のいずれにおいても定められた。ただし、吸収分割においては、取引の安全への配慮から、承継会社が会社分割の効力発生時において詐害の事実を知らなかった場合には、残存債権者による承継会社への履行請求は認められない(改正法案759条4項ただし書)。 (オ) 事業譲渡における見直し 詐害的会社分割と同様の問題は、事業譲渡においても該当する。すなわち、譲受会社に移転しない譲渡会社債権者を害するような事業譲渡がなされる場合、当該債権者保護の必要性は、詐害的会社分割における残存債権者の保護と変わりない。そのため、詐害的事業譲渡においても、会社分割と同様の規定が定められることとなった(改正法案23条の2)。   3 分割会社に知れていない債権者の保護 (1) 現行法下における、分割会社に知れていない債権者の保護 現行法下における会社分割では、会社分割について異議を述べることのできる債権者のうち分割会社に知れている債権者は、分割会社から各別の催告がなされることが保障されている(会社法789条2項)。当該債権者はこの催告を契機として異議を述べることができ、さらに当該債権者が催告を受けなかった場合には、分割会社と承継会社等の双方に請求することができる(会社法759条2項)。 他方、分割会社に知れていない債権者に対しては、分割会社は各別の催告を行うことはない。そのため、分割会社に知れていない債権者は会社分割の事実を官報公告を頼りに察知するほかない。さらに、分割会社に知れていない債権者は、各別の催告を受けなかったとしても、吸収分割契約等において定められた相手方に対してしか債務の履行の請求することを行えないと解されている(※8)。これについては、分割会社に知れている債権者と比較して、知れていない債権者の保護が劣ることは合理的でないと考えられていた(※9)。 (※8) 要綱の概要、50頁。 (※9) 要綱の概要、50頁。 (2) 法案による見直しの内容 改正法案により、会社分割に異議を述べることができる債権者であって各別の催告を受けなかったものは(分割会社が官報公告に加え日刊新聞紙に掲載するか又は電子公告による公告を行う場合には不法行為債権者に限る。)、分割会社に知れている債権者かどうかにかかわらず、分割会社および承継会社等のいずれに対しても債務の履行を請求することができることとなった(改正法案759条2項および3項)。   4 まとめ-実務における対応 (1) 詐害的会社分割への対応-承継会社等の債権者及び承継債権者の視点から 残存債権者の保護が拡充されることから、承継会社等に承継される債権の債権者や、承継会社に会社分割以前から存在する承継会社債権者の保護が問題となる。 これらの債権者は、会社分割における事前開示事項(会社法782条1項、794条1項)を検討し、承継会社等が責任を負う可能性がある場合には、当該会社分割について異議を述べる必要があるものと考えられる。 (2) 知れていない債権者への対応-承継会社の視点から 知れていない債権者による履行請求は、会社分割の当事者による取り決めによって排除することができない。そのため、吸収分割計画等で「一切の潜在的債務は承継しない」と定めた場合でも、当該履行請求を逃れることは不可能である。 改正法案が施行された場合、承継会社等は、吸収分割計画等に「承継会社が(改正法案)759条2項の責任を負うこととなった場合には、分割会社は速やかに承継会社等に対して弁済する責めを負う」などの条項を定めるのが望ましいものと考える。  (了)

#No. 54(掲載号)
#北詰 健太郎、森 明日香
2014/01/30

現代金融用語の基礎知識 【第2回】「クラウドファンディング」

現代金融用語の基礎知識 【第2回】 「クラウドファンディング」   事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹   1 クラウドファンディングとは クラウドファンディング(crowd funding)とは、一般的に、企業や個人と資金提供者をインターネットサイト上で結びつけ、多数の資金提供者から少額ずつ資金を集める仕組みと定義される。 したがって、クラウドファンディングの「クラウド」は、「cloud(雲)」ではなく「crowd(群集)」である(クラウドコンピューティング(cloud computing)の「クラウド」は「cloud(雲)」だが)。   2 様々なクラウドファンディング クラウドファンディングには様々な形態があるが、 の4種類に分類できるかと思われる。 まず寄付型とは、文字どおり資金提供者が一切の見返りを求めないというものである。これは慈善活動の資金集めなどに利用される。 この仲介者(企業や個人と資金提供者を結びつけるインターネットサイトを運営する者)としては、既にJustGiving Japanなどが存在する。 次に購入型とは、資金提供者が金銭以外のモノやサービスでの見返りを見込むことができるというものである。 これは、資金を必要とする企業等からすると、その製品等の代金を前受けで集めるというものであり、資金提供者(この場合は製品等の購入者)から前受けで集めた代金を元手に製品等を開発した後、資金提供者に完成した製品等を提供することになる。 この仲介者としては、既にCAMPFIRE、READYFOR?などが存在する。 そして、貸付型とは、インターネットサイトを通じた資金の貸し借りであり、ソーシャルレンディング(social lending)とも呼ばれる。 あたかもインターネットサイト上で資金の貸し借りを行っているように見えるが、その仕組みは、仲介者が資金提供者(この場合は投資者)から出資を募り、匿名組合契約に基づき、集めた資金を資金需要者に対して貸し付けるというものである。 この仲介者としては、既にAQUSH、maneo、日本クラウド証券などが存在する。 最後の投資型は、さらに「ファンド形態」と「株式形態」の2種類に分類できる。 ファンド形態の方は、仲介者を通じて、資金提供者(この場合は投資者)と事業者の間で匿名組合契約を結び、事業者に対して出資するというものであり、この仲介者としては、既にミュージックセキュリティーズなどが存在する。 株式形態の方は、仲介者を通じて、事業者の株式を資金提供者(この場合も投資者)が購入するというものだが、これは現在のところ日本では行われていない。 最近話題になるクラウドファンディングとは、特に株式形態の投資型クラウドファンディングを指しており、それを日本において実現するに当たっての要件について検討されているのである。 【クラウドファンディングの分類】   3 株式形態の投資型クラウドファンディングの実現に当たっての要件 金融審議会の「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」において、株式形態の投資型クラウドファンディングを日本において実現するに当たっての要件について検討され、平成25年12月25日にその結果が報告された。 それに基づき、今後金融商品取引法などの改正が行われることになると思われる。 金融審議会の報告では、株式形態の投資型クラウドファンディングを日本において実現するに当たっての要件として、 などが示されている。 そのうち、仲介者の参入要件の緩和とは、現行の第一種金融商品取引業者の登録の特例を設けて(現行の金融商品取引法のもとでは、株式の募集取扱いを行うには、第一種金融商品取引業者の登録が必要)、インターネットサイトを通じた少額(発行総額1億円未満かつ一人当たり投資額50万円以下)の非上場株式の募集取扱いのみを行う場合は、登録に当たっての財産規制等を緩和するというものである(現行の第一種金融商品取引業者の登録に当たっては資本金が5,000万円以上必要)。 また、投資者保護のための必要な措置としては、仲介者に対して、発行者に対するデューデリジェンスおよびインターネットサイトを通じた適切な情報提供等のための体制整備や、インターネットサイトを通じた発行者や仲介者自身に関する情報の提供を義務付けることなど示されている。   4 株式形態の投資型クラウドファンディングは機能するか 中小ベンチャー企業の経営者など、株式形態の投資型クラウドファンディングに期待している方は多いのではないだろうか。 しかし、それへの対応の仕方については冷静に考えた方がいいだろう。 まず、そもそも利用する投資者は少ないはずである(したがって、資金調達が難しい)。 株式形態の投資型クラウドファンディングは、株式市場とは異なり、株式の流通を想定していないため、投下資本の回収手段が限定されるからである(基本的に配当益しか期待できない)。 また、仲介者として参入する者も少ないはずである。 金融審議会の報告において投資者保護のための必要な措置として示されているものは、かなりハードルの高いものであり、それを達成できるのは証券会社などに限られるだろう。 しかし、資金調達規模が小さく(発行総額1億円未満)、株式の流通を想定しておらず、売買手数料も得られないことから、参入する証券会社は少ないはずである。 株式形態の投資型クラウドファンディングは、すべての会社が利用し得るものではないと思われる。 それを利用し得るのは、例えば、社会性の高い事業を行うスタートアップ期の会社といった、投資者の共感を得られる、あるいは、投資者が支援したいと思うような会社に限定されるはずである。 株式形態の投資型クラウドファンディングは、そうした会社が資金調達をする仕組みとしてならば、機能するだろう。 (了)

#No. 54(掲載号)
#鈴木 広樹
2014/01/30

顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第33回】「予算管理のKPI(計画統制プロセス確立)」

顧問先の経理財務部門の “偏差値”が分かる スコアリングモデル 【第33回】 「予算管理のKPI (計画統制プロセス確立)」   株式会社スタンダード機構 代表取締役 島 紀彦   はじめに 今回は、「予算管理」に関連するKPIを取り上げる。 予算管理は、記帳対象となる取引が始まらない時点で、判然としない会社の将来の絵をあらかじめ数値という形式で表現するという未来志向の作業が中核である点において、これまで紹介してきた他の業務プロセスとの間にそれらと同列に扱われることを拒む性質上の懸隔(けんかく)を持つ。 そのような性質によるのか、経理財務部門が予算管理に関与するあり方は、経営者が経理財務部門にどのような役割を期待しているのかが反映されるため、その広さや深さが会社によって大きく異なるように見受けられる。 そこで、経理財務部門が予算管理に関与するあり方に対するスコアリングモデルが想定する基本的な立ち位地を示すため、予算管理の入り口で、会社全体の計画統制プロセスの確立と経理財務部門の関係を提示するKPIを取り上げる。   KPIが設定された業務プロセスの確認 まず、経済産業省スタンダードで整理された業務プロセスを引用しながら、このKPIに対応する業務プロセスを押さえておこう。 経済産業省スタンダードでは、スコアリングモデルの予算管理に対応するのは、「中長期計画管理」と「年度予算管理」という2個の業務プロセスである。 「中長期計画管理」において、会社が担う一般的な機能を、「マネジメント計画策定支援」と「部門計画管理」に分けている。 「年度予算管理」においても、会社が担う一般的な機能を、「マネジメント計画策定支援」と「部門計画管理」に分けており、鳥瞰的な経営計画の策定と個別部門の計画の策定に区分する点において「中長期計画管理」と平仄を合わせている。 今回解説するKPIは、「中長期計画管理」の「マネジメント策定支援」、「年度予算管理」の「マネジメント計画策定支援」に関連する業務プロセスにおいて設定されている。 〈経済産業省スタンダード:中長期計画管理で会社が担う機能〉 〈経済産業省スタンダード:年度予算管理で会社が担う機能〉   (経済産業省「経理・財務サービス スキルスタンダード」より)   さらに、経済産業省スタンダードでは、「中長期計画管理」と「年度予算管理」に共通する「マネジメント計画策定支援」に関連する業務プロセスを次のようにまとめている。 〈経済産業省スタンダード:12.1.1参考データ提供〉   〈経済産業省スタンダード:12.1.2部門別計画方針示達〉 〈経済産業省スタンダード:13.1.1参考データ提供〉 〈経済産業省スタンダード:13.1.2部門別予算方針示達〉 (経済産業省「経理・財務サービス スキルスタンダード」より)   中長期計画管理は、3年間から5年間程度の将来目標の設定と管理である。その業務を具体的に突き動かす組織上の原動力は、中長期的な観点を持った経営層が定める経営理念や経営方針に求められる。このようなマネジメント方針策定の結果、部門別計画方針を示達し、さらに部門別計画の確定に連綿とつながるため、経営層の将来目標を下位部門が分かりすい数値目標に落とし込むため、過去の財務実績データ、外部市場データ等が活用される。 年度予算管理は、確定した中長期の利益計画を達成するため、1年間の部門別の業務予算を設定しそれを管理する。部門別予算の策定は、既に確定した中長期の利益計画を実現することに主眼が置かれるため、経営層が1年間の全体予算方針を策定し、それを下位部門に示達するというマネジメント予算策定が、中長期計画管理と同様、年度予算管理においても業務を突き動かす原動力となる。そして、目標を数値化する要請は、中長期計画管理に比べて格段に強くなり、1年間の業務目標を具体的な財務指標に落とし込むため、部門別過去実績データ、外部市場データだけでなく、投資計画、販売計画、生産計画等のデータ等、より多くの精緻な情報が活用される。 重要なのは、中長期計画管理と年度予算管理は、経営層と下位部門が密接な連携を取りながら、目標として設定した数値指標を通じて、あたかも一体のごとき体系を備えて突き進める計画統制プロセスであるという点である。 今回のKPIは、中長期経営計画と年度予算管理の一体的な管理を可能にする要素の1つが数値指標の設定であり、そのために経理財務部門が情報提供を通じて貢献することができるという可能性に着目し、中長期計画の経営数値目標と年度予算編成項目の数値目標の整合性を問うものである。   定義を理解する 調査項目の文言から、KPIの定義を確認しよう。以下、KPIの項目を再掲する。 「中長期計画」とは、3年間から5年間程度の将来目標と目標達成に必要な行動を明記したものをさす。すなわち、経営者の明確な経営理念と経営方針に基づき、中長期的な会社の方向性を示す経営ビジョンという定性的な目標に加えて、経営ビジョンを達成するため定量的な経営数値目標を設定した、個別事業計画を明記したものである。 「年度予算」とは、1年間の業務計画に基づく経営資源の配分と業績目標を数値で明記したものをさす。すなわち、中長期計画の達成のため主管部門が当年度管理すべき業務別数値目標を明記したものである。通常、売上高予算、販売費予算、製造費用予算、購買予算、在庫予算、経費予算、設備投資予算、資金予算、営業外損益予算として表される。 「中長期計画の経営数値目標」と「年度予算編成項目の数値目標」の「整合」とは、中長期計画で設定した定量的な経営数値目標と、年度予算編成で設定した数値目標が、数値の項目において相互に一方から他方を導出できる関係を持っているだけでなく、具体的に設定した数値の水準において相互に一方から他方を算出できる関係を持っていることをさす。   KPIの背景にある価値判断 スコアリングモデルでこのKPIを設定したのはなぜか。 このKPIは、中長期計画の達成状況を、年度予算の執行過程で適正に把握することができる計画統制プロセスを整備することが望ましいという価値判断に基づいて設定されている。 予算管理を構成する中長期計画管理と年度予算管理は、いずれも会社の将来像を決めて、それを日常業務の積み重ねを通じて実現するという未来志向の作業であるから、中長期計画に正確性を求めるとすれば、それは達成可能性の高さと言い換えることができる。 それでは、現実の実務で、3年から5年という期間にわたる中長期計画の達成可能性を、どのように日常業務の遂行という目先の活動に依存させることができるのだろうか。異動の激しい従業員が、長期的展望を持ち続けていることは稀である。株主、債権者、顧客、仕入先、同業他社等が、その会社に対して持っている関係の時間軸は、もっと短いかもしれない。 そのような現実を踏まえると、中長期計画を日常業務の積み重ねで達成するというのは、そのままでは極めて覚束ない関係であり、その関係を確立する仕掛けが必要となる。つまり、中長期計画を各主管部門が管理しやすい1年単位の年度予算に分解して年度目標を明確化し、中長期計画の達成状況を把握できるような計画統制プロセスの体系が必要と考えられる。 その仕掛けの中核をなすのは、利害関係者にとって分かりやすく、経営者にとって管理しやすいと思われる数値であろう。そして、経理財務部門に戦略性をも期待するスコアリングモデルでは、会社の中でその数値情報を提供する能力を持つはずである経理財務部門がそれを担うべきと考えるのである。 このようなKPIを設定した価値判断が共有されず、計画統制プロセスにおいて経理財務部門が数値情報の提供を適切に行わない会社では、中長期計画と年度予算の整合性が失われ、中長期計画は年度予算に裏付けられない抽象的なものになるし、日常業務を担う主管部門の目標は本来の姿から乖離する。その結果、日常業務が経営ビジョンと乖離し、中長期計画の達成状況を把握しにくくなるだけでなく、中長期計画の修正が必要な場合に目標値を適正レベルに修正するローリングプランが機能しにくくなり、中長期計画の達成が覚束なくなる。   顧問先のKPIを測定してみる では、実際にどのような手続でKPIを測定するのか。 読者は、顧問先の経理財務業務を観察し、中長期計画と年度予算の整合性を図る計画統制プロセスが組み込まれていることを確認していただきたい。 例えば、中長期計画とそれに対応する複数年度予算を閲覧し、中長期計画にROEの数値目標がある場合、その数値目標が対応する年度予算で各主管部門が目標とする売上、購買費、製造費、在庫高、経費、資金調達に分解できることを確認いただきたい。 さて、読者の顧問先において、中長期計画の経営数値目標と年度予算編成項目の数値目標を整合させていたであろうか。 *  *  * 次回から、「個別決算業務」のKPIを取り上げる。 「個別決算業務」を構成する複数のKPIのうち、まず「決算準備」に関連する業務プロセスを評価するKPIから取り上げる。 (了)

#No. 54(掲載号)
#島 紀彦
2014/01/30

税理士・公認会計士事務所[ホームページ]再点検のポイント 【第14回】「ネットの世界の取組みでホームページへの訪問者を増やす(その2)」~あなたの事務所の“キーワード”は何ですか?

税理士・公認会計士事務所 [ホームページ]再点検のポイント 【第14回】 「ネットの世界の取組みで ホームページへの訪問者を増やす(その2)」 ~あなたの事務所の“キーワード”は何ですか?   データライズ株式会社 代表取締役社長 公認会計士・税理士 河村 慎弥   今回から2回にわたり、ホームページのアクセス数を上げるためのSEO(エス・イー・オー)について、具体的な方法をお話します(SEOの意味と大切さについては、前回の記事をご覧ください)。 SEOは、「内部SEO」と呼ばれる方法と「外部SEO」と呼ばれる方法に大きく分けられます。 そこで今回は「内部SEO」について、次回は「外部SEO」についてお話します。 内部SEOには「効果が出るまでに時間がかかる」が「一度効果が出ると持続しやすい」という特徴があります。 ◆  ◆  ◆ 前回「相続 税理士 東京」というキーワードで検索する例を見ましたね。 このように、検索はキーワードによって行われますので、SEOでは、まず、「対策を実施するキーワード」を選ばなくてはいけません。 そして、選んだキーワードで検索された時に検索結果の1ページ目に表示されるための対策を実施するのです。 そこで、自分の事務所のホームページの訪問者を増やすためには、 必要があります。 あるキーワードが月間何回くらい検索されているかは、Google AdWords(グーグル・アドワーズ(くわしくは次回ご説明します))というサービスを使って無料で調べることができますので、興味のある人はネットで検索して試してみてください。 自分で調べるのは面倒という人は、ホームページ管理会社に相談してみるとよいでしょう。 月間の検索数が非常に多いキーワードを『ビッグワード』と呼びます。一般に、ビッグワードであればあるほどライバルのページも多くなり、検索結果の1ページ目に表示させることは難しくなります。 キーワードを選ぶ際に注意しなければならないのは、 ということです。 どういうことか、お分かりでしょうか。 例えば、単に「税理士」というキーワードで検索している人の中には、税理士を探している人のほかにも、「税理士試験」について調べている人や、「税理士の求人」について調べている人が含まれているはずです。 このような「潜在顧客ではない人たち」は、たとえあなたの事務所ホームページを訪れたとしても、顧客になってくれることはありません。 そこで、 キーワードを推理(!)しなければいけません。 一般的には、複数の単語の組み合わせにして、対象を潜在顧客に絞り込みつつ、ある程度の検索数があるキーワードを探していくことになります。 このように複数の単語の組み合わせにしたキーワードは「ロングテール・キーワード」と呼ばれ、近年のSEOでは非常に多く採用されています。 税理士の場合、一般に地域密着型の営業になりますので、 などとして、地域で絞込みをかける組み合わせにすることが考えられます。 ◆  ◆  ◆ 組み合わせるキーワードを増やせば増やすほど、同じ組み合わせによる検索数は減りますが、潜在顧客が含まれる比率は多くなると考えられます。 また、検索数が減ることで通常はライバル数も減りますので、検索結果の1ページ目に表示させることも容易になっていきます。 しかし、あまりにも少ない検索数のキーワードにしてしまっては、検索結果の1ページ目に表示されるとしても、ほとんど見る人がいないということになってしまい、「ホームページの訪問者を増やす」という最終的な目的から外れてしまいます。 そのサジ加減については、ホームページ制作会社と相談した方が良いでしょう。 ◆  ◆  ◆ こうして対策するキーワードが決まったら、あなたの事務所ホームページを「決めたキーワードに対して有用なページだ」とクローラー(検索サイトの自動登録システム【前回参照】)に判断されるようなページに書き換えていきましょう。 クローラーはホームページ上のテキスト(文字情報)を解析して、上記の有用性を判断していると考えられています。 そこで基本的には、文章として不自然でない範囲で、テキストの中にキーワードを多く含めていくことから始めます。 ちなみに、あるページについて、キーワード中の単語がどれくらい含まれているのかという比率を「キーワード出現率」といいます。 ネットで検索すれば、キーワード出現率の解析ツールがすぐに見つかりますので、試しにご自分の事務所ホームページページを調べてみるのもよいでしょう。ご自分が対策したいキーワード出現率が高いのなら合格です。 このキーワード対策をするにあたり注意しなければいけないのは、画像ファイルです。 例えば、「相続税のことならお任せ!」なんてキャッチフレーズを、ガッツポーズをしたあなたの写真に組み合わせたバナー(第7回参照)を制作したとします。 次のようなものですね。 このバナーは画像ファイルですので、その中にキーワード(例えば「相続税」)が表示されていても、テキスト(文字情報)ではありません。 このためクローラーには認識されず、「相続税」の検索結果には反映されないことになります。 このように、画像ファイルはキーワード対策にはなりませんので、画像だらけでテキストの少ないホームページは、どんなに見栄えが良くとも、内部SEOとしては弱くなるのです。 逆に、キーワード対策として有効なのは、テキスト(文字情報)を確実に積み重ねることができる「ブログ」です。 ホームページ内にブログページを開設して、例えば「相続 税理士 東京」をテーマにした記事を書いていくことで、このキーワードの組み合わせで検索すると、あなたの事務所ホームページが上位に表示されやすくなります。 このように、選択したキーワードに関連する記事を書いていくことは、継続的にご自分で内部SEOを充実させていることになるのです。 ◆  ◆  ◆ 次回はもう1つのSEOである「外部SEO」についてお話します。 (了)

#No. 54(掲載号)
#河村 慎弥
2014/01/30
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