10月9日、OECDから、経済の電子化に伴う課税上の課題に対する「統合的アプローチ(a possible unified approach)」に関するパブリック・コンサルテーション・ドキュメント(以下、「文書」という)が公表された。
今回の文書では、本年6月にG20会合で承認された「作業計画」の中の第一の課題(Pillar One)で取り上げられた、課税権の配分の見直し(new profit allocation rules)と、課税権の根拠(nexus)となるものの見直しについて記されている。

〈検証〉TPR事件 東京地裁判決 【第1回】

筆者:佐藤 信祐

TPR事件とは、平成22年3月1日に行われた適格合併による繰越欠損金の引継ぎに対して、包括的租税回避防止規定が適用された事件である。本事件では、平成24年7月27日付けで、平成22年3月期の確定申告について更正処分を受けていたにもかかわらず、平成27年6月26日付でもう一度更正処分を受けているが、このように同じ事業年度の確定申告について2回も税務調査を受けることは稀である。

被合併法人が適格合併により、合併法人にその有する資産・負債の移転をしたときは、最後事業年度終了時の帳簿価額による引継ぎをしたものとされるため、合併法人が受け入れる資産・負債の取得価額は、被合併法人における最後事業年度終了時の「帳簿価額」となります(法法62の2、法令123の3)。

今年の9月に母が90歳で亡くなりました。母は、九州のM県で生まれ、亡父と結婚後は関東のK県で生涯を過ごし、30年前に両親が亡くなってからは、M県の生家に帰ることもありませんでした。
母の葬儀の際に、母の長兄(乙)の子(丙)(母の甥であり、私の従兄)から、M県に母の父(甲)名義のままになっている山林があると聞かされました。この山林は、甲が亡くなった後、乙が管理し、乙が亡くなった後は丙が管理してきましたが、甲は遺言を残しておらず、また、これまでこの山林の取得者について甲の相続人間で遺産分割協議が行われたこともないとのことです。母には兄が2人、姉が2人いましたが、そのうち3人は甲の死後に亡くなっています。
被相続人を母とする相続税の申告を行う場合に、この甲名義のままになっている山林についてどのように扱えばよいでしょうか。なお、母の相続人は、私と妹の2名です。

Xは、昨年2月に死亡した父親の家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得した後に、買主側の希望によって敷地のみを売買対象として、家屋は売主側の責任で取り壊し、譲渡することとなりました。
売買契約を締結したのは昨年の10月で、同年の11月にその家屋を取り壊し、本年の2月にその敷地を引き渡しました。
相続の開始の直前までは父親がその家屋に一人暮らしをし、取壊し時までは空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でした。
譲渡所得に係る申告に当たっては、売買契約日(契約日基準)である昨年分の収入として申告しようと考えています。

当社は、経営コンサルタントから「役員の社会保険料を削減するために事前確定届出給与を利用しましょう」という指導を受けました。
そのコンサルタント曰く、この社会保険料削減スキームに難色を示す税理士が多いとのことで、事前にコンセンサスを得ておいてほしいとのことです。
このようなスキームで社会保険料を削減するという行為に、税務上の問題はあるのでしょうか。

これまで見てきたとおり、法人税法22条の2第1項は、資産の販売等に係る収益の額について、引渡・役務提供基準を採用している(本連載第10回参照)。これに対して、法人税法22条の2第2項は、資産の販売等に係る収益の額について、確定した決算における収益経理など一定の要件を満たした場合には、1項の規定にかかわらず、近接日基準の採用を認める。

2019年10月7日、日本公認会計士協会は、「法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる実務上の論点整理」(租税調査会研究報告第35号)を公表した。
これは、上場企業における役員報酬制度改革の更なる推進の一助となるため、また、日本公認会計士協会の会員の実務に資することを目的として、役員給与に関する税務上の論点を検討したものである。導入例や実務上の留意点、裁判例なども具体的に記載されており、実務に資するものと思われる。

これまでの連載では、シャウプ勧告が我が国の今日の税制を構築するに当たって極めて強いインパクトを持って迎えられ、それによって大改革が展開されたにも関わらず、その後の度重なる税制改正によって、その本旨とするところに修正が施されてきた点を確認した。
むしろ、今日的には、シャウプ勧告の理念や思想はさることながら、具体的な条文の解釈論を展開するに当たって、同勧告は直接的な参考となるものではないような事例が散見されており、租税法解釈において、シャウプ勧告は必ずしも重要視すべき参考資料としての意義を有していないようにも思われる。
しかしながら、本当にそうであろうか。

「『租税あるいは税法のあるところ必ず租税回避あり。』といってもよいほど、租税回避は税法の宿命的課題である。」(拙著『租税回避論-税法の解釈適用と租税回避の試み-』(清文社・2014年)はしがきⅰ)が、「租税回避とは何か」(今村隆『租税回避と濫用法理-租税回避の基礎的研究-』(大蔵財務協会・2015年)10頁[初出・2008年])という問いかけについては、「租税回避の意義については、実定法上の定義規定はない。学説においても、必ずしも一致したものはない。」(田中治「租税回避否認の意義と要件」岡村忠生編『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(ミネルヴァ書房・2015年)39頁)というようなことがしばしばいわれる。

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