相続(民法等)をめぐる注目判例紹介
【第1回】
「法定相続分の預金返還等請求事件」
-最高裁平成29年4月6日判決-
弁護士 阪本 敬幸
1 事案の概要
最高裁平成29年4月6日判決(以下、「本件判決」という)は、信用金庫に債権(普通預金債権、定期預金債権及び定期積金債権)を有していた被相続人の共同相続人の一部が、信用金庫を相手方として、法定相続分相当額の支払いを求めたという事案である。
原審(大阪高裁平成27年11月28日判決)は、従前の裁判所の判例に従い、預金債権は相続と同時に当然分割されるとして、相続人の請求を一部認容したため、信用金庫側が上告。
2 判決要旨
(1) 結論
「共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない」として、相続人(被上告人)の請求を棄却(原審破棄・自判)。
なお、普通預金債権については、既に最高裁平成28年12月19日決定(以下、「平成28年最決」という)(注)において、「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる」旨判示されたため、平成28年最決を引用して相続人の請求を棄却。
(注) 平成28年最決については本誌掲載の下記拙稿を参照されたい。
(2) 理由
以下の通り、平成28年最決の定期貯金債権における判断と同様に、契約上、払い戻し制限がある(解約しない限り払い戻しを受けられない)ことを理由としている。
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