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「中尾統括官、私はサラリーマンにも確定申告を認めればよいのではと・・・以前から思っていたのですが・・・これについて、どう思われますか?」
浅田調査官は中尾統括官に尋ねる。
所得課税第三部門は、皆、調査に出ているため、2人しかいない。
「・・・???・・・サラリーマンに・・・確定申告は認められているだろう?」
中尾統括官は怪訝そうな顔をする。

「中尾統括官・・・賦課方式って・・・なんですか?」
浅田調査官は遠慮がちに中尾統括官に尋ねる。
昼休みで新聞を読んでいた中尾統括官は顔を上げる。
「年金制度の・・・賦課方式のことかい・・・?」

AIで士業は変わるか? 【追補】「士業は変わり続ける」-連載を終えて-

筆者:Profession Journal 編集部

税務・会計Web情報誌プロフェッションジャーナルの創刊5周年記念特集として本年2月から連載が開始され、全20回、計21名の方々にご寄稿いただいた『AIで士業は変わるか?』は、先週公開号をもって一旦その役目を終え、最終回の掲載を迎えた。
本連載ではAIを中心としたIT技術の急速な進化によって、会計・税務の世界がどのように変化するのか、あるいはすでに変化しているのか、また、公認会計士、税理士という職業自体が代替され消滅してしまうのか、各回の筆者による見解や本職に対する想いを披露していただいた。

筆者は、「税理士」という資格は、経営者の右腕として、経営者に助言・勧告する役割を担った「参謀」だと考えます。孤高の経営者が特に「お金に関する問題」について、心を許して相談できる専門家こそが税理士の理想像だと考えます。

これまでの会計事務所業界の仕事の内容や方法は、ITの進化とともに変化してきました。その昔は手で伝票を起こして手で集計していた作業が、パソコンの導入やソフト(システム)の開発によって、データさえあれば様々なものが自動的に集計され出来上がってくるようになりました。
この場合はデータの作成がポイントとなります。データを手で入力するのか、他のシステムなどから取り込むのか、データをいかに早く簡単に取得できるのかを考えることが大切です。データがあれば、消費税申告書などは会計ソフトが自動的に集計して作成してくれます。人の手は要りません。

そもそも税理士の立場からすると、確かに税務申告書作成は業務上重要な位置を占めているもの、我々はそれのみを業としているわけではなく、むしろ税務申告書に反映する前の会計上の取り扱いや、会計処理以前の取引形態の相談、契約書への反映のさせ方などの相談業務への対応が、より高い比重を占めているはずである。

AIの開発には目覚ましいものがあり、近い将来、公認会計士による財務諸表監査にも大きな影響を及ぼすことが予想される。
果たしてAIが「不正会計」の発見に有用なものか、あるいは効率的・効果的に財務諸表監査を実施するに際しての救世主となるのか、今のところ予断を許さない。公認会計士も、M&Aなどを含む会計に関連する幅広い業務を行っていることから、AIの活用場面は何も財務諸表監査に限られるものではない。

「・・・死亡した人の公的年金で、その人の死亡後に支給の到来するものは、当然、その死亡した人の所得だと思っていたのですけど・・・」
浅田調査官は、中尾統括官に尋ねる。
所得税の調査報告書を読んでいた中尾統括官は、顔を上げる。
「・・・公的年金?」

昨年10月に行われた一般社団法人日本公認不正検査士協会のカンファレンスでは、「不正調査と人工知能(AI)」がテーマとして取り上げられた。当日は、ベーカー&マッケンジー法律事務所所属の弁護士・井上朗氏が「AIを活用した不正調査の現状と今後の課題」と題して、基調講演を行い、これまで手がけてきた国際カルテル事件におけるアメリカ司法省との戦いの中で、どのようにAIを活用してきたのか、その一端を明らかにした。

日本には言語の壁があるので、これまでアメリカの企業が行ってきたような、付加価値の低いサービスをインド等の国外にアウトソースしてしまうオフショアリングはあまり進んでいませんでした。AIを含むソフトウェア開発についても、まずは英語圏で開発が先行する可能性はありますが、中国で滴滴出行が先に自国マーケットを抑えウーバーを追い出してしまったように、日本で開発されたテクノロジーがデファクトスタンダードになる日が来るかもしれません。あるいはドコモのiモードのように、一世を風靡しても、後から「ガラパゴスだった」と言われてしまうかもしれません。

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