「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例151(贈与税)】 「期限内の相続時精算課税選択届出書及び贈与税申告書の提出を失念したため、結果として暦年課税制度での申告となり、過大納付が発生してしまった事例」
令和X年に貸家及びその敷地の贈与を実父から受け、相続時精算課税制度による贈与税の申告を依頼されたが、相続時精算課税選択届出書及び期限内の贈与税申告書提出を失念してしまったため、結果として暦年課税制度での申告となってしまった。これにより贈与税が過大納付となり、過大納付税額につき賠償請求を受けた。
〔実務で差がつく!〕相続時精算課税制度Q&A 【第3回】「特定贈与者より先に相続時精算課税適用者が死亡し、相続税申告で相続時精算課税適用財産の申告漏れがあった場合の対応と加算税の取扱い」
父Aから子Bへ令和2年1月に贈与があり、子Bは相続時精算課税を適用した。
令和4年2月に子Bが父Aより先に死亡した。子Bの相続人はBの子である孫Cの1名である。
令和6年6月に父Aが死亡し、相続財産は代襲相続人である孫Cが1名で全て相続した。
孫Cは父Aに係る相続税の期限内申告で、子Bの相続時精算課税適用財産を申告漏れしていた(子Bの氏名等を相続税の期限内申告書に記載していない)。
このような場合に申告期限後に相続時精算課税適用財産の申告漏れを是正するために孫Cはどのように申告すべきか。また、加算税はどうなるのか(この申告漏れを是正する申告は更正決定等を予知してされたものではない)。
相続税の実務問答 【第112回】「平成15年に相続時精算課税を選択し住宅取得資金贈与の特例を受けていた場合の相続税の課税価格への加算」
令和7年2月に父が亡くなりました。相続人は、私だけです。父の遺産は、土地や建物、銀行預金など併せて3億円ほどありますので、相続税の申告をしなければなりません。
私は、平成15年に住宅取得資金として父から2,500万円の贈与を受けましたが、相続時精算課税を選択し、かつ、当時の住宅取得資金贈与の特例を適用して贈与税の申告をしましたので、贈与税は納付していません。下の表は、平成15年分の贈与税の申告書の控えから抜粋した平成15年分贈与税の申告内容です。
相続時精算課税を選択した場合には、その時期がいつであるかにかかわらず、贈与者に相続が開始した場合には、相続時精算課税に係る贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算しなければならないとのことですが、私の場合、相続税の課税価格に加算する金額はいくらになりますか。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第71回】「遺産の一部が未分割財産である場合の課税上の留意点」
私は、不動産賃貸業を営むX社を経営しており、X社の株式については、父から8年前に生前贈与により取得しました。
X社の先代経営者である父が今年1月に亡くなり、これまで父が残してくれた遺産について、母と妹との間で遺産分割協議を行ってきました。自宅は母が相続することで遺産分割が成立していますが、遺産のなかの山林については売却が難しく、年間の維持費も必要になるため、私も含め相続人全員がその相続に難色を示し、遺産分割協議が難航しています。そのため、相続税の申告期限が近付くなか、申告期限までにすべての遺産の分割協議が成立しない可能性が出てきました。
相続税の申告期限までに、遺産のすべて又は一部について分割協議が成立しない場合に、相続税申告書や相続税額への影響について、留意事項がありましたらご教示ください。
街の税理士が「あれっ?」と思う税務の疑問点 【第10回】「自宅以外で亡くなった場合の小規模宅地等の特例の適用」~ホスピスの場合~
父はがん治療のために入院しましたが、回復の見込みがないのでホスピス(緩和ケア病棟のある病院)に転院し、退院することなく亡くなりました。母は父の入院時には死亡しており、長女は父の入院時から死亡に至るまで、賃貸住宅に居住していました(いわゆる「家なき子要件」を満たす)。父の死亡後、その建物と敷地は長女が相続しました。
この場合、父の土地は相続開始直前において父の居住の用に供されていた宅地等に当たり、特定居住用宅地等として小規模宅地の特例は受けられますか?
相続税の実務問答 【第111回】「非課税特例の適用を受けた住宅取得等資金の相続税の課税価格への加算-令和6年以降に相続時精算課税を適用した場合」
私は、令和6年に67歳の父から、4,000万円の贈与を受け、いわゆる省エネ等住宅に該当する自宅の購入代金に充てました。今年の3月に、住宅取得資金贈与の特例を適用し、かつ、相続時精算課税を選択し、次のとおり贈与税額を計算して、贈与税の申告をしました。
この父が、今年の8月に、急逝してしまい、私は、父の預金などを相続することになりました。父からの生前贈与で、相続時精算課税を適用した財産の価額は、相続税の課税価格に加算しなければならないとのことですが、令和6年に父から贈与を受けた4,000万円は全額を相続税の課税価格に加算するのでしょうか。
〈令和7年度税制改正〉『物納制度における物納許可限度額の計算方法』の見直し
いわゆる「老老相続」や相続財産の構成の変化など、相続税を取り巻く経済社会の構造変化を踏まえ、納税者の支払能力をより的確に勘案した物納制度となるよう、延納制度も含め、物納許可限度額の計算方法について令和7年度税制改正において見直しが行われた。
相続税の実務問答 【第110回】「遺産分割期限の延長が認められるやむを得ない事情の承認を受けなかった者の同意等」
父が令和3年2月に亡くなりました。相続人は私と妹の2名です。父の遺産は、父と私が居住の用に供していた自宅建物及びその敷地、アパート1棟及びその敷地並びに銀行預金など合わせて3億円ほどです。
相続税の申告期限である令和3年12月までに遺産分割ができていませんでしたので、法定相続分の割合で父の遺産を取得したものとして、それぞれが別の税理士に依頼して相続税の申告をしました。その後、妹との間の遺産分割協議はまとまらず、相続税の申告期限から3年を経過した時点(令和6年12月)では、遺産分割の審判手続きが進められていました。
令和7年7月に審判が確定し、私は、自宅建物とその敷地、妹がアパートとその敷地を取得することとなりました。なお、私は、引き続きこの自宅建物に居住しています。
相続税の申告期限から3年を経過する日の翌日から2か月以内に、妹は自分の住所氏名のみを記載して「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出し、税務署長の承認を受けたようですが、私はこの申請書の提出を失念していました。
このため、アパートの敷地を取得した妹は、その敷地について小規模宅地等の特例を適用することが可能ですが、私が自宅敷地について同特例を適用することはできないとのことでした(【第109回】「遺産分割期限の延長が認められるやむを得ない事情の承認申請者」参照)。
そこで質問ですが、妹が小規模宅地等の特例を適用するためには、私の同意が必要となるのでしょうか。また、妹が小規模宅地等の特例を適用した場合、私の相続税額の計算はどのように行うのでしょうか。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第70回】「類似業種比準価額による株式の贈与」
私は、【第9回】「多額の資本金等となる場合の合同会社の利用」で相談したXです。コロナ後のインフレの影響もあり、不動産事業(G社)の業績は順調に推移しています。現在も私一人で事業を行っていますが、顧問税理士より一度株価を計算して今後の事業承継計画を立てましょう、と提案を受けています。
私は今年60歳になりましたが、まだまだ元気であり、子供たち(社会人と大学生)に経営権や株式を譲る気はありません。ただ、せっかくの提案なので話だけは聞いてみようと思います。何か注意点等はありますでしょうか。
ちなみに、G社の概要は以下のとおりであり、税理士より直近の相続税評価額は総額で約14億円との報告を受けています。
〔実務で差がつく!〕相続時精算課税制度Q&A 【第2回】「父からの贈与につき相続時精算課税を選択し期限内申告をした後に、母からの贈与が申告漏れになっていたことが判明した場合の対応」
甲は令和6年7月に父から現金1,500万円の贈与を受けた。
甲は相続時精算課税制度を適用するため、令和7年3月の贈与税申告において相続時精算課税を選択して期限内申告を済ませた。
その後、令和7年7月になり、令和6年中に母から500万円の贈与を受けていたことが判明した。
母からの贈与については、令和5年に贈与があり、その際に相続時精算課税選択届出書を提出済みである。
この場合に贈与税の修正申告はどうなるのか。
父から贈与を受けた部分の特別控除額や納税額に影響はあるのか。
