循環取引(特に「架空循環取引」等と呼ばれるもの)は、昭和の時代から登場する企業不祥事の一類型であるが、企業担当者等において問題の大きい取引であることが概ね認識されながらも、根絶に至ることなく定期的に発生しており、なお企業不祥事類型としての重要性は高いと言える。

前回述べたとおり、役員インセンティブ報酬は、報酬の交付物が金銭かエクイティかに大きく分けることができる。今回は、役員インセンティブ報酬のうち、平成28年度までの株式報酬、かつ将来株式発行型について取り上げる。いわゆるパフォーマンス・シェアと呼ばれるものである。

今回取り上げる適時開示は、株式会社東芝(以下「東芝」という)が平成29年5月15日に開示した「2016年度通期業績見通しに関するお知らせ」である。
この連載で同社の開示を取り上げるのは、【事例1】の平成27年11月17日「当社子会社であるウェスチングハウス社に係るのれんの減損について」、【事例11】の平成28年12月27日「CB&Iの米国子会社買収に伴うのれん及び損失計上の可能性について」に続いて、実に3回目である。
この開示の最初には、次のような記載がある。要するに、決算短信を開示する予定であったが、開示できないので、代わりに「業績見通し」なるものを開示するというのである。

一方、コーポレートガバナンスの観点からは、社長・CEOなど経営陣に対する「適切なリスクテイクを促す適切なインセンティブ」によって中長期的な企業価値の向上が図られることから、CGSガイドラインでは、次の2つの提言がなされている(CGSガイドラインp28,p31)。
(1)経営陣の報酬体系を設計する際に、業績連動報酬や自社株報酬の導入について、検討すべきである。
(2)中長期的な企業価値に向けた報酬体系についての株主等の理解を促すために、 業績連動報酬や自社株報酬の導入状況やその内容について、企業が積極的に情 報発信を行うことを検討すべきである。

役員インセンティブ報酬には大きく分けて、報酬の交付物が「金銭」か「エクイティ」かに分けることができる。今回は、役員インセンティブ報酬のうち、金銭報酬について取り上げる。
なお、平成29年度税制改正により、インセンティブ報酬の法人税法上の損金算入の可能性が高まったことから、今後多様なインセンティブ報酬プランが設計されてくると考えられるが、今回は平成29年度税制改正前のプランについて検討する。

これまで、安倍政権は発足時から働き方改革を重点施策に位置付け、この文脈でダイバーシティ推進の取組が関係省庁によって進められてきた。その中で、経済産業省は企業経営の視点からのダイバーシティに注目し、企業の競争力強化のため、性別、国籍、障がい等の属性を含め、個人が能力を発揮して企業価値創造に参画する「ダイバーシティ経営」を推進してきた。

CGSガイドラインでは以下の4つの提言を行っているが、別添の経営人材育成ガイドラインは、このうち提言4を補足するものである。
提言1:形骸化した取締役会の経営機能・監督機能の強化
提言2:社外取締役の活用
提言3:経営陣の指名・報酬の在り方の検討
提言4:経営陣のリーダーシップ強化
CGSガイドライン提言4においては、現在のCEOや退任したCEOの役割を説明しているのに対し、経営人材育成ガイドラインにおいては将来のCEO等(いわゆる後継者)の選別、育成、環境整備について具体的に触れている。

CGコードにおいて導入された、複数の独立社外取締役選任に関する原則(原則4-8)は、平成26年改正会社法で導入された、社外取締役を選任しない企業に説明責任を課す規定とともに、日本におけるコーポレートガバナンス改革を象徴する取り組みの一つといえる。
日本におけるコーポレートガバナンス改革は、日本再興戦略(2013年6月閣議決定)において、社外取締役の機能を積極活用することにより、攻めの会社経営を後押しすることが掲げられたように、日本企業の中長期的な収益性の向上によって、日本経済の停滞を打破するという成長戦略の重要施策の一つとして進められたものである。

経済産業省が、2017年3月31日に、「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」を公表した。これは、2017年3月10日に公表された「CGS研究会報告書-実効的なガバナンス体制の構築・運用の手引-」(CGSレポート)を踏まえたものであり、2015年6月から適用が開始された「コーポレートガバナンス・コード」(以下、CGコード)の内容を補完し、企業価値向上のための具体的な行動を取りまとめたものである。CGSガイドラインの別添として「経営人材育成ガイドライン」及び「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」も策定されており、これらを合わせると膨大な情報量となっている。

今回取り上げる適時開示は、株式会社フュートレック(以下「フュートレック」という)が平成29年4月21日に開示した「監査等委員会設置会社への移行中止に関するお知らせ」である。タイトルのとおり、監査等委員会設置会社への移行を中止することにしたという内容だが、その理由について、「1.中止の理由」には次のように記載されている。

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