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プロフェッションジャーナル No.648が公開されました!~今週のお薦め記事~

2025年12月11日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.648を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2025/12/11
New 税務 税務・会計 解説 解説一覧

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第82回】

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第82回】   東洋大学法学部教授 泉 絢也   オ 暗号資産の分散性 暗号資産について、スーパータックスヘイブンとなる可能性を秘めているという見解を示したMarianは、「仲介役の金融機関の不存在」に着目していた(本連載第78回参照)。 通常の銀行取引では、必ず銀行や決済業者などの仲介者が関与し、その記録は中央のサーバーなどで管理される。しかし、ビットコインなどの暗号資産では、こうした中央の管理者や仲介者が存在しない取引が可能になる。 このような特徴は、「中央集権的に運用されるものではない」という意味における暗号資産の分散性と言い換えることができる。 暗号資産の文脈で「分散性」という語が使われる場合、主に次のような側面が含まれる。 このような分散性の要素は、伝統的な金融機関に依存しないエコシステムを構築する基盤として機能している。 特に、分散化された運営構造は、国家権力や特定企業による恣意的介入を回避しうる制度的枠組みとして理解されており、その意味では「政治的中立性」、「検閲耐性」といった制度的自律性の確保を志向した仕組みとも理解される。 暗号資産の分散性については、ノードの分布、コンセンサスメカニズムによる合意形成のあり方、意思決定権限の所在など種々の考慮要素を検討する必要がある。 参考として、FSB(金融安定理事会)は、金融サービスの分散化とは、伝統的に金融サービスの提供に関与してきた1つ以上の仲介機関や中央集権的なプロセスの排除又は役割縮小を指し、場合によっては伝統的な仲介業者からのリスクテイクの分散化を意味し、一般に、以下の3つの形態をとると説明している(FSB, DECENTRALISED FINANCIAL TECHNOLOGIES: REPORT ON FINANCIAL STABILITY, REGULATORY AND GOVERNANCE IMPLICATIONS 1-4(2019))。 このような分散性は、分散型台帳技術(DLT: Distributed Ledger Technology)に支えられている。 ここでいう「台帳」とは取引記録を管理する帳簿のようなもので、銀行では中央サーバーに保管されている。一方、ブロックチェーンなどの分散型台帳では、全ノードが同じ台帳を持ち、互いに検証し合う仕組みとなっている。 分散型台帳技術により、ノードは、信頼できるデータを得るために、中央集権的な機関に依存することなく、ネットワークのノード全体で一貫した状態変更又は更新を提案、検証、記録することが可能となる(FSB, DECENTRALISED FINANCIAL TECHNOLOGIES, at 26)。 このように、分散型台帳とは複数のノードに分散されたデータの集合体であり、その整合性は分散型台帳を通じて情報を記録する分散型台帳技術によって確保される。 より具体的には、次のような仕組み等で成り立っている。 このような構造により、分散型台帳は、単なるデータの分散保存ではなく、制度的権力の分散=ガバナンスの脱中心化を可能にする技術であると位置づけられている。 また、このような分散型台帳は、単一障害点の除去、改ざん耐性のほか、実行されたトランザクションやプログラムが公開されることからくる透明性や事後検証の容易さ(暗号資産の追跡可能性・透明性)という種々の利点を有するといわれる(デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会「中間論点整理」(2021)2-3頁)。 これらの点にこそ、暗号資産が金融インフラとしての信頼を得つつも、国家主導の課税・規制システムと構造的に緊張関係に立つゆえんがあるといえる。 ところで、暗号資産の取引については、次のような異なる潮流が観察されている。 多くの利用者は、本人確認を実施し、法定通貨との交換や使いやすいインターフェースを提供するCEXを利用している。これにより、当初の分散性とは裏腹に、中央集権的な仕組みが中核的な役割を果たすこととなった。 他方、暗号資産の利用者の一部は、手元の暗号資産を運用する際にDeFi(分散型金融)を利用している。 DeFiの台頭により、仲介機関を介さない金融取引の仕組みが現実化している。 DeFiとは、スマートコントラクトなどの技術を活用し、誰でも自由にアクセスできるパーミッションレス型のブロックチェーン上で構築された金融サービスである。 ネットワーク上でデータを記録し、共有する分散型技術の1つであるブロックチェーン技術に基づく分散型金融システムでは、仲介者や中央集権化されたプロセスの必要性を低減又は排除したピアツーピア、つまりコンピュータ同士が直接的につながり、データを送受信するネットワークモデルの金融取引が可能となる。 例えば、暗号資産に関わる貸付・借入・保険・資産運用などの金融取引を、銀行などの仲介なしに自動で実行する仕組みが提供されている(DeFiの意義及びDeFi取引の課税関係については、本連載第65回参照)。 つまり、このようなDeFiの出現は、暗号資産が単なる「価値移転手段」にとどまらず、制度的金融インフラの代替物として機能し得る段階に達しつつあることを意味する。その実現には分散性が不可欠な要素として組み込まれており、分散性は理念ではなく、制度技術の中核となっている。 もっとも、分散性が制度的優位性を意味するとは限らない。DeFiには、スマートコントラクトの脆弱性、プロトコル設計の瑕疵、ハッキングリスクなどの構造的課題が存在し、利用者保護や内部統制の不在といった問題も浮き彫りとなっている。 したがって、分散性=透明・公正・安全とは必ずしも直結しないという視点が必要である。 分散性が高まることによって規制回避が容易になり、同時に情報非対称性が拡大するという逆説も内包している。   (了)
#648(掲載号)
#泉 絢也
2025/12/11
New 消費税・地方消費税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〈適切な判断を導くための〉消費税実務Q&A 【第15回】「インボイス発行事業者である国外事業者から受けた事業者向け電気通信利用役務の提供」

〈適切な判断を導くための〉 消費税実務Q&A 【第15回】 「インボイス発行事業者である国外事業者から受けた 事業者向け電気通信利用役務の提供」   税理士 石川 幸恵   【Q】 国外の事業者にインターネットによる広告配信を依頼しました。この国外事業者は日本のインボイス発行事業者として登録を受けているので、日本に消費税の申告・納税を行っていると考えられます。 この場合、広告配信に係る消費税はその国外事業者が納め、当社はリバースチャージの対象とならないという理解でよろしいでしょうか。 なお、当社は当課税期間について簡易課税制度や2割特例の適用はなく、課税売上割合は95%未満です。 【A】 リバースチャージ方式による申告が必要です。 インターネットによる広告配信は、通常「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当し(詳しくは後述の「解説」参照)、リバースチャージ方式の対象となります。リバースチャージでは、サービスの受け手が納税義務者となります。 ここで、上記【Q】のケースのように、サービス提供者が日本に申告・納税している場合、「サービス提供者である国外事業者が、この広告配信についても課税売上げとして納税するのでは?」と感じられるかもしれません。 消費税法においては、課税資産の譲渡等を行った事業者が、その課税資産の譲渡等に係る申告・納税を行いますが、「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、リバースチャージ方式によって国外事業者からその役務の提供を受けた事業者が「特定課税仕入れ」として、申告・納税を行います(リバースチャージQ&A問1)。 さらに、「事業者向け電気通信利用役務の提供」について、消費税法第2条第8の4項は次のように定義しています。 (※) 下線は筆者追記 ここでポイントとなるのは、「国外事業者が行う」ことのみが規定されており、「国外の免税事業者が行う」とは書かれていない点です。 そのため、サービス提供者が申告・納税を行う事業者であっても、リバースチャージ方式の対象となります。同時に、サービス提供者である国外事業者が消費税申告する場合も「事業者向け電気通信利用役務の提供」について、課税売上げに含める必要はありません。 ◆ ◆ 解 説 ◆ ◆ 以下では、平成27年度に導入されたリバースチャージ方式の整理と、インボイス制度との関係について主なポイントを改めて確認する。   1 リバースチャージ方式による納税が必要かどうかの確認ポイント (1) 役務の性質又は取引条件等により、事業者向けか消費者向けかを判断 国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等からその役務の提供が通常事業者に限られるものが「事業者向け」に該当する。 なお、EU諸国においてはサービスの受け手が課税事業者番号(VAT-ID)を有している場合、その取引はリバースチャージ方式の対象とされている。 一方、日本でリバースチャージ方式が導入された平成27年10月時点ではインボイス制度が存在しなかったこともあり、役務の性質又は取引条件等から「事業者向け」を定義して、リバースチャージ方式の対象とした。現在、日本にも登録番号制度が整備されたため、将来的に見直しが議論される可能性に留意されたい。 (2) 事業者向け電気通信利用役務の提供である旨の表示 国内において「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者は、当該役務の提供に際し、カタログ等の取引相手が容易に認識できる場所に、あらかじめ「当該役務の提供に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税を納める義務がある旨」を表示する必要がある(消法62)。 ただし、表示がなかったとしても当該役務の提供が「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当するものであれば、仕入れた事業者において消費税を納める義務が生じる(リバースチャージQ&A問20、21)。 (3) サービスの受け手がリバースチャージ方式による納税が必要となる事業者であるか 「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合であっても、次の①又は②に該当する課税期間については、当分の間、リバースチャージ方式による申告は不要となる。同時に仕入税額控除も適用されない(リバースチャージQ&A問16)ので、会計処理上は不課税仕入れとして取り扱われる。   2 国外事業者によるインボイス発行事業者の登録申請 (1) インボイス発行事業者の登録申請 国外事業者もインボイス発行事業者の登録を受けることが可能である。ただし、消費税に関する税務代理の権限を有する税務代理人や納税管理人の届出等、国内事業者と異なる登録の要件があるので、注意が必要である。 なお、登録国外事業者制度はインボイス制度に移行したので、下記拙稿も参照されたい。 (2) 「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた事業者における仕入税額控除の要件 「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受け、リバースチャージ方式による納税が必要となる事業者は、その取引について仕入税額控除を受けることができる。 この場合、インボイスの保存は不要で、一定の事項が記載された帳簿の保存のみで、仕入税額控除が可能である(インボイスQ&A問103-3)。   (了)
#648(掲載号)
#石川 幸恵
2025/12/11
New 税務 税務・会計 解説 解説一覧 財産評価

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第72回】「複数の価格で行う外部株主からの株式集約」

事例でわかる[事業承継対策] 解決へのヒント 【第72回】 「複数の価格で行う外部株主からの株式集約」   太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) パートナー 税理士 梶本 岳   相談内容 私は、Y社の代表取締役を務めるCです。当社は、私を含む取締役4名と古参の従業員3名が、創業者(A氏の父)からY社株式を低廉な価格で譲り受ける形で非同族承継を行っており、7名で総株主の議決権の55%を保有しています。 先日の定時株主総会終了後、創業家株主のA氏から株式の買い取り要請を受けました。A氏は当社の筆頭株主ですが、会社経営には関与しておらず、総株主の議決権の25%しか株式を保有していません。役員・従業員が協力して55%の議決権を保有している私たち経営陣から見ると、A氏は少数株主であり、株式を買い取るとしても少数株主に見合った比較的低廉な対価しか支払いたくないと考えています。 当社は純資産が10億円、発行済株式総数10,000株(一株当たり純資産価額100,000円、配当還元価額1,000円)の会社ですので、A氏の純資産価額による持分は2億5,000万円になります。自己株式として取得することを想定しているため、A氏から「税引後の手残りを1億円にするために、2億円程度で買い取ってほしい」との要望を受けています。 顧問税理士に確認したところ、当社には議決権の30%以上を保有する「同族株主」がいないため、15%以上の議決権を有するA氏から自己株式を取得する場合は、純資産価額や類似業種比準価額を用いた原則的な評価方法により算定した価格で取引しないと、想定外の課税がなされてしまう可能性があるそうです。 また、個人間売買であれば税務上の評価額と売買金額の差額が贈与となるため、低廉な価格で取得してもA氏に課税関係が生じることはないようですが、各取締役の議決権割合が15%以上になると買主側に課税関係が生じてしまうため、取締役が株式を取得することは避けてほしい、とのアドバイスでした。 当社としては、最大限譲歩した場合でも1億5,000万円までしかお支払いできないと考えていますが、A氏からの要請に応じて2億5,000万円で自己株式を取得するしか方法がないのでしょうか。 〈図1〉Y社の株主構成 ■ □ ■ □ 解 説 □ ■ □ ■ 1 「同族株主のいない会社」における株式集約 Y社は、総株主の議決権の30%以上を有する「同族株主のいない会社」に該当するため、15%以上の議決権を有するA氏は、純資産価額や類似業種比準価額により算定する「原則的な評価方法」により算出された価格が税務上の評価額となります(財産評価基本通達188ならびに〈図2〉参照)。 したがって、経営権を有していない株主であることや、高値で買い取りたくないことを理由に低廉な価格で自己株式取得を行ってしまうと、みなし譲渡課税(所法59①)など、A氏に想定外の課税関係が生じてしまう可能性があることに注意が必要です。 比較的低廉な価格で株式を取得することを望む場合には、税務上の評価額と取引価格との差額が買主に対する「みなし贈与」(相法7)となり、売主に想定外の課税関係が生じない個人間の取引とし、買主に「特例的な評価方法」である配当還元価額によることが可能な少数株主を用意することになります。従業員持株会などの少数・個人株主で株式を取得することができれば、発行会社の金銭的な負担を抑えることが可能です。 C氏を含む取締役がA氏から株式を取得し、株式取得後の議決権割合が15%以上になると、買主である取締役が原則的評価の対象となります。原則的評価による評価額と売買金額との差額が買主に対する「みなし贈与」(相法7)となるため、各取締役の議決権割合は15%未満に留めるべく自己株式として取得するのが現実的でしょう。ただし、Y社が自己株式を取得して総株主の議決権数が減少する場合など、株式取得後における各取締役の議決権割合には注意を要します。 〈図2〉株主の態様による評価方法の概要 (出所)「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)令和2年9月30日 国税庁資産課税課   2 複数の価格で行う株式集約スキーム A氏が保有する株式の全てを純資産価額、あるいは、小会社方式(純資産価額と類似業種比準価額の折衷法)による価額で取得することが難しい場合は、一部の株式は高めの価格で自己株式として取得し、残りの株式は比較的低廉な価格で株式を取得することが可能な相手を斡旋して株式を譲渡してもらうような、複数価格での株式買い取りスキームを受け入れてもらえないかを提案してみることをお勧めします。 株主への提案にあたっては、会社法上の買取義務が生じていない現時点においては、買主不在では株式を売却することができないこと。非上場株式の取引価格は一物一価ではなく、売主・買主の立場によりその価値が異なること。この2点を丁寧に説明したうえで、Y社が現実的に支出可能な範囲で自己株式を取得する意思があり、残りの株式については従業員持株会など比較的低廉な価格で株式を取得することが可能な安定株主に譲渡していただきたい旨を一つのパッケージとして提案すると、売主の理解が得られやすくなるでしょう。 低廉な価格で譲渡することに抵抗を感じにくい相手、具体的には、従業員持株会や公的機関である中小企業投資育成などを組み合わせることが売主の理解を得るためのポイントになります。 〈図3〉複数価格による買取提案の一例   3 結論 株式の売却を希望する株主が、「原則的な評価方法」により評価しなければならない株主であったとしても、必ずしも原則的な評価方法により算定した価格で売買しなければならない訳ではありません。 会社として支出できる金額の限度が1億5,000万円だと仮定した場合、一株当たり100,000円で取得することが可能な1,500株だけを自己株式として取得したのでは、ほぼ確実に、将来、残りの1,000株についても買い取りを求められることになります。したがって、高値での取得が難しい部分については、継続保有を求めるのではなく、配当還元価額など低廉な価格で取得することが可能な相手に譲渡してもらえるように、複数価格での取引を組み合わせてパッケージ化した株式買い取りスキームを提案することが必要でしょう。 具体的な対策については、税理士等の専門家と相談の上、実行されることをお勧めします。   (了)
#648(掲載号)
#太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2025/12/11
New 相続税・贈与税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〔実務で差がつく!〕相続時精算課税制度Q&A 【第4回】「特定贈与者である父と母から贈与を受けたその年の中途で父が亡くなった場合の相続税及び贈与税の課税価格に加算される贈与財産の価額」

〔実務で差がつく!〕 相続時精算課税制度Q&A 【第4回】 「特定贈与者である父と母から贈与を受けたその年の中途で父が亡くなった場合の相続税及び贈与税の課税価格に加算される贈与財産の価額」   税理士 徳田 敏彦   【Q】 子Cは、令和7年2月に特定贈与者である父Aから現金2,000万円の贈与を受け、同じく特定贈与者である母Bから令和7年7月に株式200万円の贈与を受けた。 その後、令和7年8月に父Aが亡くなった。 子Cは過去に父A、母Bいずれからの贈与にも相続時精算課税制度を選択している。 この場合に、父に係る相続税の課税価格に加算する金額、母からの贈与に係る贈与税の課税価格に算入される金額はどのようになるのか。 【A】 父A、母Bからの贈与について贈与税の基礎控除額を按分し、その按分後の基礎控除額を控除した金額が相続税の課税価格に加算され、贈与税の課税価格に算入される。 ◆ ◇ ◆ 解 説 ◆ ◇ ◆ 相続開始の年に被相続人父A(特定贈与者でもある)から贈与により取得した財産について、相続時精算課税制度を選択する場合には、贈与税の申告は不要である。 その代わりに、特定贈与者である父Aに係る相続税の計算において、特定贈与者からの贈与により取得した財産の価額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額を、相続税の課税価格に加算することになる。 父Aからの贈与にのみ相続時精算課税を選択しているのであれば、父Aからの贈与金額から相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を控除した金額を相続税の課税価格に加算すればよいが、父Aに相続が発生した年において、他の特定贈与者(本事例では母B)からも贈与を受けている場合には、相続時精算課税に係る基礎控除額をどのように取り扱うのか。 このような場合には、死亡した特定贈与者(父A)からの贈与により取得した財産の価額も贈与税の課税価格に含めて、父Aと母Bの相続時精算課税に係る基礎控除額を算出することになる。 ① 父Aの死亡に係る相続税の課税価格に加算される金額 ② 母Bからの贈与に係る贈与税の課税価格に算入される金額   (了)
#648(掲載号)
#徳田 敏彦
2025/12/11
New 国際課税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第85回】「オウブンシャホールディング事件 (地判平13.11.9、高判平16.1.28、最判平18.1.24)(その1)」~法人税法22条2項の「取引」の解釈~

〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第85回】 「オウブンシャホールディング事件 (地判平13.11.9、高判平16.1.28、最判平18.1.24)(その1)」 ~法人税法22条2項の「取引」の解釈~   税理士 中野 洋     1 はじめに 株式会社における新株発行手続きは、私法上の法律関係から見ると「発行法人」と「新株引受人」の「取引」である。しかしながら、一定の新株発行手続きには株主総会の決議を要するため、決議に参加する「既存株主」も間接的に取引に影響を与える。 本事案は、既存株主に株式価値の希釈化が生じる新株発行(有利発行による第三者割当増資。以下「非按分的有利発行増資」又は、文脈により「同増資」)が行われ、これによって生じた既存株主から新株引受人への「持分の移転」ないし「株式価値の移転」に対して、支配関係にもとづく「合意」を認定し、かかる合意が法人税法(以下、単に「法」)22条2項にいう「取引」に当たるとして、既存株主に課税した事案である。 事件当時の課税実務では、新株発行は発行法人と新株引受人間の取引という認識の下、非按分的有利発行増資が行われた場合には、新株引受人に受贈益課税が行われるが、既存株主には課税が行われないと考えられていた(※1)。しかしながら、新株引受人が外国法人である場合、わが国の既存株主が喪失した「持分」ないし「株式価値」については、日本で課税できないことになる。本事例では、既存株主と新株引受人間に事実上の「合意」を認定し、これを「取引」と解したが、裁判所のこのような判示には、批判的な意見が多数見受けられる。 (※1) 但し「株式の発行は、有利な条件による場合も資本等取引に該当するため、発行法人に対する無償譲渡(寄附金)課税はないと思われるが(22条5項)、非按分的な場合には、資本等取引と並行して損益取引(贈与)が認定される可能性はある」という見解がある。(岡村忠生『法人税法講義[第3版]』成文堂(平19)242頁。) 【図1】 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (※2) 【図1】は、太田洋・伊藤剛志『企業取引と税務否認の実務』大蔵財務協会(平27)334~335頁_に掲載のオウブンシャホールディング事件関係図を一部加筆等したもの 本件一連の取引の目的は、内国法人が保有する株式の含み益に対する課税を回避しつつ、株式の帳簿価額を時価に置換えることであった。その手段として、株式譲渡益非課税国において設立したグループ法人間の株式売買を通じて、その帳簿価額を時価に置換え、速やかに国内のグループ法人に時価で還流し、グループ外部に売却する、という手法が採用された。 近い将来、大幅な値上がりが見込まれる株式の譲渡益課税を回避しつつ、時価で売却するためのスキームである。   2 取引の概要   3 本件スキームについて 以下、【図1】に付した番号順に、納税者の節税若しくは租税回避の意図を簡潔に説明する。   4 課税処分の概要 X社は平成7年9月期の法人税について、所得金額を0円、納税額約2億6千万円余りとする確定申告書を提出したが、平成10年12月本郷税務署長(以下「Y」)は、X社が、時価を著しく下回る新株をB社に発行する株主総会決議をすることにより、X社が保有していたA社株式の資産価値を減少させ、その差額相当額を何らの対価も得ずにB社に移転させたものと認め、このような行為は営利を目的とする法人の行為としては不自然・不合理であり、法人税の負担を不当に減少させる行為であるとして、法132条を適用し、上記資産価値の移転をB社に対する寄附金と認め、X社に対し、課税所得金額を次のアのとおり約250億円、納付すべき税額を約96億円とする更正処分等をした。 ((その2)へ続く)
#648(掲載号)
#中野 洋
2025/12/11
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国際課税レポート 【第21回】「多国籍企業課税制度と課税ベース」~ワールドワイドvsテリトリアル~

国際課税レポート 【第21回】 「多国籍企業課税制度と課税ベース」 ~ワールドワイドvsテリトリアル~   税理士 岡 直樹 (公財)東京財団上席フェロー   多国籍企業の課税制度(二重課税の排除措置)は、親会社所在国が子会社の所得を課税上どう扱うかという点をめぐって、次の2分法で語られてきた。 「ワールドワイド課税」:子会社の所得だが、親会社にとって未実現(まだ配当等されていないため)の所得の親会社段階(親会社居住地国)での合算課税+外国税額控除。 「テリトリアル課税」:親会社段階(親会社居住地国)での国外所得免除方式。 (注) いずれの方式でも、子会社所在国では子会社に源泉地国課税が行われる(軽課税とする場合もある)が、親会社所在国での国外所得の取扱いが異なる。 しかし、課税ベースの考え方、実体がある場合のカーブアウト、外国税額控除等の設計によって、現実の各国の制度におけるこれら制度の境界線には“でこぼこ”がある。 以下では、各国の具体的な制度として、米国のSubpart F、日本のタックスヘイブン対策税制(CFC税制)、OECD Pillar 2(IIR)、米国のGILTI及びその後継制度であるNCTI(いわば新GILTI税制)を取り上げ、これら多国籍企業課税ルールの設計について整理し、併せて、本年6月にG7が合意したPillar 2と米国制度の“共存” (※)の多国籍企業課税制度における本質を探ることとする。 (※) 詳しくは、本連載の【第18回】「G7共存システムの具体化とピラー2」参照。   各国の制度はワールドワイド“的”かテリトリアル“的”か 【表】 多国籍企業課税制度(予備的な整理) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所)筆者作成。制度の評価については筆者による。 以上を整理すると、Subpart F・GILTI・NCTI・日本 CFC はいずれも「ワールドワイド課税を基調としつつ、どこまで源泉地国の実体所得を尊重するか」の度合いが異なる制度であり、Pillar 2はそのうえに国別実効税率テストとQDMTT/SBIEを重ねた、テリトリアル課税的な新しい合算ルールと評価することができる。   課税権の配分の基準 源泉地国の課税権をどう位置付けるかについて、最高裁平成21年10月29日判決(グラクソ事件)は次のように述べる(筆者による要約)。 特定外国子会社等であっても、独立企業としての実体を備え、その所在する国又は地域において事業活動を行うことにつき十分な経済合理性がある場合にまで上記の取扱いを及ぼすとすれば、当該内国法人の海外進出を不当に阻害するおそれがある。 判決は、タックスヘイブン対策税制(租税特別措置法66条の6)が海外進出を不当に阻害しないよう、経済合理性のある事業活動には適用除外(経済活動基準)を設けていることを強調している。GILTI の QBAI や Pillar 2のSBIEは、いずれも「有形資産や雇用といった実体に対応する正常利潤」を控除する点で、グラクソ事件判決のロジックと通底している。すなわち、 QBAIの10%のリターンは、生産拠点国の工場・設備に対応する所得を米国へのトップアップ(合算)から守るバッファとして機能していた。 Pillar 2の SBIE(資産×5%・給与×5%など)は、低税率国であっても実体投資に対応する部分については国別 GloBE 所得から除外するルールである。 これに対し、2025年の税制改正で米国が導入したNCTIにおけるQBAIの廃止は、こうした実体を伴う投資からの利益を細らせるための仕組みを削るものである。源泉地国での実体投資についても、米国居住地国課税の射程を広げる方向に働くという批判が一定程度成り立つ。日本の CFC 制度が グラクソ事件判決にあるように、経済活動基準による合算課税からの除外を維持していることとは対照的でもある。同じワールドワイド課税でも、源泉地国の実体をどこまで尊重するかで政策選択が分かれている。   G7共同声明と米国のPillar 2からの実質的カーブアウト 2025年6月のG7共同声明は、米国のGILTI/NCTIとPillar 2のIIRを並立させる“side-by-side” 方式を検討するという『共通理解(shared understanding)』を示している。米国のGILTI/NCTIを Pillar 2のIIRと「実質的に同等」とみなす方向性と言えるだろう。これは、米国については自国の制度を維持したまま、Pillar 2の追加的な負担を大きく回避する「政治的カーブアウト」と言えるだろう。 ここまでみてきたように、多国籍企業課税において、Pillar 2がテリトリアル課税的な方向に進んだ一方、米国の制度がワールドワイド課税を強化する方向に進んでいる。すなわち、真に共通のルールを作ると言いながら、実際には大国ごとに例外・特例が積み上がっていくという構図である。 国際課税の論壇で影響力を持つミシガン大学教授のAvi-Yonah教授は、2025年12月に東京で行った講演で、Substance carve-out(SBIE)の扱いについて「むしろ縮小し、より純粋なミニマム税に近づけるべきだ」といった指摘をしている。これは、SBIEを弱める方向、すなわち源泉地国の実体を伴う課税ベースの保護よりも居住地国のミニマム税を優先する方向であり、結果として Pillar 2をNCTI(新GILTI)の下での米国型のワールドワイド課税へ近づける提案と理解できる。 実際、「共存システム」(Side by Side)について、教授は、「OECDはSBIEを廃止すべきである。Pillar 2は米国のGILTIとBEATに着想を得ているのであるから、OECDはPillar 2を米国の制度・CAMT(大法人ミニマム税)やNCTIに寄せるべきだ」と指摘し、講演を締めくくっている。   日本CFCと源泉地国課税権との調整 では、日本はどうか。日本の CFC はエンティティ・アプローチであり、ある意味、米国のSubpart F(タックスヘイブン対策税制)+ NCTI(新CFC税制)同様のワールドワイド課税である。 一方、グラクソ事件判決が指摘したように、経済活動基準を通じて源泉地国課税を尊重している。源泉地国における日本多国籍企業の実体を伴う投資に対するリターンの除外(経済活動基準による除外)を縮小する方向性は、日本のCFC税制の基本的考え方に抵触するかもしれない。 G7声明にある共存システムをOECDがどのように受け入れるのかについては、2025年末までに Inclusive Frameworkで議論が本格化すると報じられており、近々何らかの方針が示される可能性がある。 ワールドワイド課税を強化しつつ、源泉地国における実体を伴う投資をどのように扱うべきかという問題は、CFCの留保利益の国内還流をいかにして促すかという重要な政策テーマとも関係している。 実は、思ったより大きな国際課税の潮流の変化につながるかもしれない。こうした動きを横目に、日本としての立場を検討しておくべきだろう。   (了)
#648(掲載号)
#岡 直樹
2025/12/11
New 会計 固定資産 税務・会計 解説 解説一覧 財務会計

〈注記事項から見えた〉減損の深層 【第16回】「インドのイースト(酵母)事業が減損に至った経緯」-インフレ鈍化との関係-

〈注記事項から見えた〉 減損の深層 【第16回】 「インドのイースト(酵母)事業が減損に至った経緯」 -インフレ鈍化との関係-   公認会計士 石王丸 周夫   〈はじめに〉 今回は、インドにおいて、主としてパン酵母(イースト)を製造、販売している事業での減損損失計上事例を取り上げます。 製粉業界の最大手として知られるこの会社は、2017年7月に、子会社を通じてインドにイースト工場を建設することを決定しました。その後、2022年8月に当該工場が稼働開始しましたが、2026年3月期中間(第2四半期)に至って、インドイースト事業の固定資産について減損損失を計上しています。稼働から丸3年経過した時点での減損です。 さっそく、事例を見ていきましょう。   〈今回の注記事例〉 (出所:半期報告書) (※) 下線は筆者 上記事例のとおり、この会社は、2026年3月期中間にインドイースト事業に係る固定資産について、8,721百万円の減損損失を計上しています。減損損失を認識するに至った経緯も記載されており、上記事例の下線部のとおり、製造コストの高止まりと価格転嫁の遅れが原因です。 製造コストの高止まりについては、ウクライナ危機等を背景とした原材料や燃料関連相場の高止まりと説明されており、また、価格転嫁の遅れについては、競争の激化であると説明されています。 このように、製造原価の増分を販売価格に上乗せできなければ、利益が減少します。その結果、収益性が低下するので、その事業に係る固定資産について収益性の低下を反映させる措置、減損処理を行ったというのが本事例です。   〈前期末時点ではどうだったか〉 概要は以上のとおりですが、前期以前においてはどのような状況だったのかという点も気になります。 製造コスト高止まりの端緒になったとみられるウクライナ危機は2022年から始まっており、その影響はじわじわと進行していたはずです。そうであるならば、本事例の半年前の前期末時点においても、減損処理の要否を慎重に検討したはずだと考えられます。 そこで、前期の有価証券報告書に記載されている「重要な会計上の見積り」の注記を参照してみます。この注記では、次年度以降に減損損失が発生する可能性のある固定資産について言及されることがあります。 実際、本事例の会社の前期有価証券報告書(2025年3月期)にも次のような注記が記載されていました。 (出所:有価証券報告書) (※) 下線は筆者 「重要な会計上の見積り」として、Oriental Yeast India Pvt. Ltd.という連結子会社の有形固定資産について言及しています。この会社は、本注記を読めばわかるとおり、今回の減損事例の対象であるインドにおけるイースト事業を行っています。 上記注記の「1.当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額」にあるように、2025年3月期末時点における当該事業の有形固定資産の帳簿価額は10,590百万円でした。半年分の減価償却を無視するとして、このうち8,721百万円を2026年3月期中間において減損処理したと解されるので、その理解であっているのであれば、帳簿価額の約8割を損失処理したことになります。 そして、2025年3月期においてはどのような状況だったのかというと、「重要な会計上の見積り」の下線部のとおり、回収可能価額が帳簿価額を上回るため、減損損失を認識していません。その半年後に、回収可能価額が帳簿価額の約2割まで減ってしまうことになるのですが、この時点では回収可能額が帳簿価額を上回っていたのです。 このことを考慮すると、本事例の減損処理については少々唐突な印象を受けますが、何があったのでしょうか。   〈事業計画の変更〉 前期末以降の半年の間に何が起こったのか。そのあたりを確認しておきたいですね。 そこで、この会社の他の開示書類を当たってみました。 すると、2025年10月30日付で、「インドイースト事業における減損損失の計上及び2026 年3月期第2四半期( 中間期) の連結業績予想と実績値の差異並びに通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」という資料が見つかりました。 その資料には、インドイースト事業について、現在の事業計画を検証し、新たな事業計画を策定したとあります。当初の事業計画から大きく乖離したようで、事業計画を下方修正したとのことです。 2026年3月期中間で減損を実施した理由はこれです。 2025年3月期時点においても、インドイースト事業を取り巻く経営環境は厳しいものだったと思われますが、その時点での事業計画を前提とした減損の判定では減損実施に至らなかったということなのでしょう。   〈インフレの鈍化〉 では、なぜここにきて減損実施に至るほどの事業計画の下方修正となったのでしょうか。 この点については、経営判断の問題であり、外部からは知り得ません。 ただし、その背景の1つとして、インドのインフレ率に着目すると、2025年において顕著な変化が起きていることがわかります。 〔図表1〕に、直近4年間のインドのインフレ率をグラフに示してみました。 〔図表1〕インドのインフレ率の推移 (出所:「CONSUMER PRICE INDEX NUMBERS ON BASE 2012=100 FOR RURAL,URBAN AND COMBINED FOR THE MONTH OF AUGUST, 2025」を参照し筆者作成) 〔図表1〕をみると、2025年のインフレ率が明らかにその前3年間より低下していることがわかります。インフレが鈍化しているのです。 一般論からいえば、インフレが鈍化すると値上げを実施しにくくなります。前年と比べて物価の上がり方が緩和されてきたなかで、価格を引き上げることは、取引先(買い手)の理解を得にくいからです。 その一方、インフレが鈍化したといっても、物価が下がったわけではありません。これまで上昇してきた物価が高止まりしているのです。このことは、〔図表2〕の消費者物価指数の推移をみるとわかります。 〔図表2〕インドの消費者物価指数の推移 (出所:「CONSUMER PRICE INDEX NUMBERS ON BASE 2012=100 FOR RURAL,URBAN AND COMBINED FOR THE MONTH OF AUGUST, 2025」を参照し筆者作成) 〔図表2〕のとおり、2023年のグラフは2022年のグラフの上にあり、2024年のグラフは2023年のグラフの上にあり、2025年のグラフは2024年のグラフの上にあります。年々、物価が上昇して現在に至っていることがわかります。 上がり方は鈍化していますが、下がったわけではなく、高止まりしているのです。しかも、グラフの下に英文で記載されていますが、この消費者物価指数は2012年を100と置いたときの指数です。2025年では190を超えており、13年間で物価がほぼ2倍になっています。 この結果、一般論としては、製造コストが結構な水準で高止まりすると考えられます。 以上から、物価上昇が累積した結果、製造コストが高止まりしているなかで、インフレ率の鈍化により価格転嫁を言い出しにくい状況となっていることが推察されます。この状況が当面続くと考えるなら、それを前提とした事業計画を策定することになります。本事例の会社が事業計画を再検討した背景には、このような経営環境の変化があったといえるかもしれません。 (了)
#648(掲載号)
#石王丸 周夫
2025/12/11
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第178回】株式会社旅工房「特別調査委員会調査報告書(公表版)(2025年8月29日付)」

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第178回】 株式会社旅工房 「特別調査委員会調査報告書(公表版)(2025年8月29日付)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   【株式会社旅工房外部調査委員会の概要】   【株式会社旅工房の概要】 株式会社旅工房(報告書上は「TBK社」、以下「旅工房」と略称する)は、1994(平成6)年4月設立の旅行代理店。 設立当初は海外航空券の取扱いを目的としていたが、2004年11月から国内旅行の取扱いも開始。新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない 2020年3月期の売上高は33,355百万円、経常利益は138百万円であったが、その後、2021年3月期から2024年6月期(決算変更により15ヶ月決算)まで、4期連続して経常損失となっている。2024年6月期の売上高は3,342百万円、経常損失353百万円、資本金3,358百万円、従業員数96名(いずれも訂正前の2024年6月期連結実績)。 本店所在地は東京都豊島区。2017年4月、東京証券取引所マザーズ市場上場、2022年4月グロース市場へ移行。 会計監査人は2022年3月期まで、EY新日本有限責任監査法人東京事務所(以下、「新日本監査法人」と略称する)。2023年3月期及び2024年6月期はやまと監査法人。2024年9月25日付で、太陽有限責任監査法人が会計監査人に就任。   【調査報告書の概要】 1 特別調査委員会設置の経緯 旅工房は、東京労働局から、2025年3月11日付で、「雇用調整助成金及び緊急雇用安定助成金受給事業主様への自主調査のお願い」と題する書面を受領したことを契機として、自主的に社内調査を開始したところ、その過程において、実際の勤務状況と受給申請の内容に齟齬が生じており、旅工房が受給した雇用調整助成金及び緊急雇用安定助成金(以下「雇用調整助成金等」という)累計802,230,837円(判定基礎期間は、2020年3月16日から2022年11月30日まで)に関して、受給申請の内容について精査を要する疑義(以下「本件事案」という)が判明したことから、旅工房は、より客観性と信頼性の高い調査を行う必要があると判断し、2025年6月5日開催の取締役会の決議により、外部専門家を中心とした特別調査委員会を設置したものである。   2 本件事案に係る事実関係 (1) 旅工房による社内調査の結果 旅工房の社内調査では、雇用調整助成金等を申請した休業日と各従業員が旅行手配の予約管理等の業務に使用していた予約登録システム及びOffice365のログ、交通費申請等を突合して齟齬の有無・状況を確認したところ、雇用調整助成金を申請した休業日にログ等が存在する齟齬が認められ、雇用調整助成金の申請休業日数が合計68,523日であるのに対して、各従業員の休業日にログ等が存在する日数は24,088日であり、全体で35.2%もの齟齬が発生していることが判明した。 一方、緊急雇用安定助成金については申請休業日数自体が僅少であり(合計850日)、齟齬もほとんど確認されなかった(齟齬の割合:約0.47%)。 (2) 雇用調整助成金の受給申請に至る経緯 旅工房では、新型コロナウイルス感染症に起因する2020年3月期第4四半期以降の急激な業績悪化や財政状態の悪化を背景として、2020年2月20日、元代表取締役社長兼会長の高山泰仁氏(2023年2月辞任。報告書上の表記は「A前社長」。以下、「高山元代表取締役」と略称する)が元取締役菊地直俊氏(報告書上の表記は「D元取締役」。以下、「菊地元取締役」)に対して、雇用調整助成金について、労働局への相談を指示したことがきっかけとなり、コーポレート本部人事セクションが中心となって受給申請に関する検討が開始された。社内での検討会議や、労働局への相談等を経て、社内で雇用調整助成金等の受給申請を行う方針が固まり、2020年3月16日から各従業員の休業日の設定が開始された。 なお、旅工房では、当時、雇用調整助成金等の制度趣旨や不正受給とならないための留意事項等がコーポレート本部から社内に周知された形跡はない。 (3) 高山元代表取締役による休業中の稼働に関する指示 旅工房では、高山元代表取締役の指示を受けて、各部門において、休業中の読書及びレポート提出が指示されていたところ、2020年3月27日、高山元代表取締役は、雇用調整助成金等について、「もっと過激に書くと、出勤は自由。ただし休み扱いで助成金を貰う、という議論をしたいと思います。」という内容のメールを送信し、業績に貢献できる役職員以外は自由出勤にしつつ出勤日は休業日に設定して雇用調整助成金等を受給するという明らかに不正受給に該当する発案がされている。 特別調査委員会は、これが全社的な方針として採用された形跡はないものの、業績に貢献する事業部門として高山元代表取締役の直接的な影響を強く受けていた法人営業部門とレジャー部門で休業中の稼働指示(読書や読書レポート提出の指示ではなく通常業務の指示)が出されていたことを示唆する複数のメールを確認している。 (4) 不正受給に関する内部通報 2021年1月12日、法人営業部門の従業員から、外部通報窓口を務めるQ弁護士に対して、法人営業部門における幹部2名からのパワーハラスメント及び休業日の稼働指示に関する内部通報が行われた。 旅工房では、同年1月18日から同年4月19日にかけて、コーポレート本部長であった岩田前代表取締役、人事セクション統括マネージャであったL氏、人事セクションリーダーであったN氏、Q弁護士による調査が実施された。通報対象者2名は通報内容を否定したものの、岩田前代表取締役らによる通報者との面談により、法人営業部門全体で休業日における稼働指示が出ていたことや、直近でも従業員が忖度して稼働することもある等の情報に加え、通報者との面談議事録によると、「2020年の4月位から、コロナの猛威により、緊急事態宣言が発せられ、会社から休業指示がでた中、勤怠システム上は休業と入力させられながら、外出営業をさせられた。これは雇用調整助成金の不正受給になると思う」という申告を受けた。 調査結果は、監査役会、リスク・コンプライアンス委員会へ報告され、同年4月30日開催の懲罰委員会では、内部通報の調査結果が報告されるとともに、法人営業部門の通報対象者2名及び管理職4名に対する懲戒処分が決定され、資料として、厳重に対処すべきとのコーポレート部門の見解をまとめた「総括」が記載されていた。   3 本件事案に対する評価 特別調査委員会は、結論として、旅工房が受給した本件事案の判定基礎期間の雇用調整助成金は、不正の行為により本来受けることのできない助成金の支給を受けた不正受給に該当するという判断を示している。 その理由としては、まず、受給申請上の休業日にログ等がある割合が高いこと(齟齬の発生割合が35.2%)、判定基礎期間の全期間を通じて高い割合で推移していることも踏まえると、旅工房では休業日における従業員の稼働が常態化していたことがうかがえ、旅工房の受給申請書にはこうした実態と異なる虚偽の記載があったと認められることを挙げた。 次に、旅工房の役職員に故意が認められるかが問題となるが、2021年1月の内部通報を契機とした社内調査によって、法人営業部門内での休業中の稼働実態について具体的に把握し、2021年4月30日に開催された懲罰委員会では相当規模の不正受給である旨の報告がなされたことから、高山元代表取締役や受給申請の実務を担当するコーポレート部門の菊地元取締役、前代表取締役社長の岩田静絵氏(報告書上の表記は「G氏」。以下、「岩田前代表取締役」と略称する)及びL氏は、遅くともこの時点では雇用調整助成金の不正受給の可能性を明確に認識していたと認められると指摘した。   4 発生原因の分析(報告書61頁以下) 特別調査委員会は、調査で確認した雇用調整助成金の不正受給と不適切なソフトウェア資産計上、U氏による旅行手配ミスによる損失の先送りの発生原因を個別に分析したうえで、共通する発生原因についての分析を行っている。 (1) 雇用調整助成金の不正受給の直接的な発生原因 特別調査委員会は、雇用調整助成金の不正受給の直接的な発生原因として次の3項目を挙げている。 特別調査委員会が発生原因として挙げた「内部通報制度の問題」について、その指摘内容を確認しておきたい。特別調査委員会は、2021年1月の内部通報における通報内容には、法人営業部門の幹部や管理職によるパワーハラスメントなどに限らず、勤怠システム上は休業と入力させられながら外出営業をさせられており、「これは雇用調整助成金の不正受給になると思う」との会社としての雇用調整助成金の不正受給が含まれていたのであるから、この問題についても正面から取り上げて調査を行うべきであったにもかかわらず、コーポレート部門による調査の過程で同部門と法人営業部門の部門間の対立関係が激化し、コーポレート部門は、懲戒処分を優先し、それが雇用調整助成金の不正受給の外部リークを阻止することにつながるというスタンスで対応していると批判して、こうした状況からすると、組織的な違法行為等を速やかに認識して是正する観点での内部通報制度は適切に機能せず、雇用調整助成金の不正受給の早期発見・是正が遅れた要因となったと考えられるとまとめている。 (2) 不適切なソフトウェア資産の計上の直接的な発生原因 特別調査委員会は、調査の過程で、2022年3月期第2四半期における不適切なソフトウェア資産の計上を検出している。これは、旅工房の予約登録システムに異常が発生して、そのデータ復旧のために支出した費用を2022年3月期第2四半期においてソフトウェアとして資産計上したものを、2022年3月期の期末決算で全額減損損失を行ったものであり、その直接的な発生原因として、次の2項目を挙げている。 (3) U氏による旅行手配ミスによる損失の先送りの直接的な発生原因 法人営業を担当していたU氏は、旅行手配ミスによる損失の先送りを目的として、以下の手法により、不正を繰り返していた。 特別調査委員会は、U氏による不正が長く発覚しなかったことも含めて、旅工房が、2020年6月に公表した外部調査チームによる調査報告書に記載された原因分析をもとに次のようにまとめている。 (4) 共通する発生原因 発生原因の分析の最後に、特別調査委員会は、共通する発生原因として、次の4項目を挙げている。   5 再発防止策の提言(報告書70頁以下) 特別調査委員会は、発生原因の分析を踏まえて、次のとおり再発防止策の提言を行った。 特別調査委員会による再発防止策の中で、まず、「内部通報制度の運用改善」について見ておきたい。 特別調査委員会は、旅工房において、2021年1月以降の内部通報事案の調査により関係者の懲戒処分にまで至っており、内部通報制度は一定程度機能したものの、雇用調整助成金の不正受給の問題を正面から取り上げなかったことに加え、懲戒処分の対象者から不服申立てを受けるなどの混乱が生じていること、内部通報実績が2件しかないことなどから、内部通報制度が積極的利用されない理由を把握して運用の改善に取り組むべきであり、対応については、リスク・コンプライアンス委員会との連携をさらに強化し、外部専門家の指導を受けながら対応実績を積み上げて適切な調査対応が実施できるように改善する必要があると指摘すると同時に、リスク情報が適切な会議体等に上程されるまでにことさらに時間を要し、経営陣の関与を示唆する不正の通報もあり得ることからすると、内部通報窓口としてコーポレート本部長や外部通報窓口である弁護士に通報があった際に、直ちに通報があった事実と通報内容が監査役に情報共有されるように内部通報制度の整備・運用について必要な見直しを行うべきであるとしている。 次いで、特別調査委員会による「適正な開示や健全な事業運営に必要な誠実性及び倫理観の醸成」の提言を見ておきたい。 特別調査委員会は、旅工房が今後上場会社として事業運営を継続するのであれば、適正な開示を行うため及び健全な事業運営を行うために必要な基礎的な誠実性や倫理観を醸成することが必須であるとしながら、教育・研修のみでの改善では不十分であると述べ、健全なコンプライアンス意識やガバナンス意識を持つ経営トップによるトップマネジメントの下、役員及び従業員全体で企業風土の変革を行い、不正や不祥事や過年度決算訂正を繰り返す企業から健全な上場企業に生まれ変わるため、名実ともに第2の創業のような取組みを行って会計監査人と積極的にコミュニケーションをとって信頼関係を構築し、市場からの信頼回復を図ることが肝要と思われるとまとめている。   【調査報告書の特徴】 本連載で旅工房が設置した調査委員会報告書を取り上げるのは3回目である。従業員の不正に関する外部調査チームによる報告書の公表が2020年6月。Go Toトラベル事業に基づく給付金の不正受給問題に関する外部調査委員会による報告書の公表が2022年3月。そして、今回の雇用調整助成金の不正受給に関する調査。気になるのは、2022年の外部調査委員会による調査時期には、本件の雇用調整助成金の不正受給はすでに行われていたという点であろう。 2021年3月期の営業外収益には、「助成金収入」として623百万円が、「受取補償金」として57百万円がそれぞれ計上されており、Go Toトラベル事業に基づく給付金の不正受給の影響で財務諸表を訂正し、「受取補償金」は23百万円に減額されたものの、多額の「助成金収入」は今回の調査結果が判明するまで計上されたままになっていた。 もちろん、外部調査委員会による調査のスコープはGo Toトラベル事業に基づく給付金の不正受給問題に限定されており、財務諸表に関しては、当時の会計監査人である新日本監査法人が適正意見を表明していること、外部調査委員会の調査結果が、「不適切とは言えない」「旅工房に何らかの責任が生ずるものではない」という結論であったこと、外部調査委員会に公認会計士が含まれておらず、弁護士だけで組成されていたことなど考慮すべき事情はあるものの、不正受給であることを認識していた取締役や社員は多かったはずなので、調査時に何らかの端緒を把握していれば、ここまで事態が長引くことはなかったと思料する。   1 代表取締役の異動 旅工房では、Go Toトラベル事業に基づく給付金の不正受給問題を受けて、2023年2月28日付で、創業メンバーであった高山泰仁元代表取締役が取締役を辞任し、取締役コーポレート本部長であった岩田静絵氏が代表取締役社長に就任していたが、特別調査委員会による報告書でも明らかなとおり、取締役又は執行役員コーポレート本部長の地位にあった岩田氏は、高山泰仁元代表取締役が主導した雇用調整助成金の不正受給を止めさせることはできなかった。 2025年9月1日、旅工房は、「代表取締役の異動に関するお知らせ」をリリースして、岩田静絵代表取締役社長が同日付で取締役を辞任すること、後任には、取締役の朝居宏文氏がいったん就任するが、その後、9月25日開催予定の定時株主総会で新たに取締役として小林祐樹氏の選任を諮ったうえで、小林氏を新たな代表取締役として選任する予定であることを公表した。リリースでは、岩田氏の辞任理由を次のように説明している。 なお、特別調査委員会は、岩田前代表取締役に関して、次のように指摘している。   2 旅工房による再発防止策と関係者の処分 2025年10月31日、旅工房は、「再発防止策の策定に関するお知らせ」をリリースして、これまでの不祥事の根本原因を真摯に受け止めるべきであるとの共通認識に至り、特に当時の経営トップに対して過度な忖度が行われ、第2線として本来果たすべき第1線のリスク管理に対する監督・支援・牽制機能を十分に発揮できなかった当時のコーポレート部門の責任は重大であると判断したことを述べるとともに、次の再発防止策を公表した。 また、関係者の処分について、旅工房は、朝居宏文取締役から、過年度決算の発表および再発防止策の決議を一区切りとして、2025年10月31日付で取締役を辞任する旨申し出があり、これを受諾したこと、当時からコーポレート部門に在籍している従業員1名につき、コーポレート部門からの異動を発令したことを公表している。   3 元代表取締役に対する損害賠償請求訴訟の提起 2025年11月7日、旅工房は、「当社の元代表取締役に対する損害賠償請求等訴訟の提起および当該元代表取締役が保有する当社株式等についての仮差押決定に関するお知らせ」をリリースして、高山泰仁元代表取締役に対し、雇用調整助成金の受給にあたり、休業中の対象従業員を稼働させることを発案し、実行させていたにもかかわらず、雇用調整助成金の受給申請を行うことが不正受給に該当することを認識していながら、実態と異なる虚偽の受給申請を行い、これを承認し続けていたものであり、会社法第423条第1項に基づく任務懈怠責任が認められると判断し、当社が被った損害について損害賠償請求訴訟を提起することを公表した。 また、同リリースでは、訴訟の提起に先立ち、損害賠償請求に関連して仮差押決定を受けており、仮差押決定に基づき、高山泰仁元代表取締役が保有する旅工房株式合計1,373,900株(数値は各証券会社提出の陳述書による)等について仮差押えが完了したことも説明されている。   4 特別注意銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求 2025年11月21日、東京証券取引所は、「特別注意銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求について」をリリースして、旅工房に対して、株式を特別注意銘柄に指定するとともに、上場契約違約金960万円を徴求することを公表した。 その理由は次のとおりである(一部抜粋)。 (了)
#648(掲載号)
#米澤 勝
2025/12/11
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〔まとめて確認〕会計情報の月次速報解説 【2025年11月】

〔まとめて確認〕 会計情報の月次速報解説 【2025年11月】   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2025年11月1日から11月30日までに公開した速報解説のポイントについて、改めて紹介する。 具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。 なお、四半期ごとの速報解説のポイントについては、下記の連載を参照されたい。   Ⅱ 新会計基準関係 次のものが公表されている。 ① 「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第47号) (内容:いわゆるバーチャル電力購入契約(Virtual Power Purchase Agreement(バーチャルPPA))に関する会計上の取扱いを示すもの) ② 「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第72号) (内容:防衛特別法人税の取扱いについて、法人税等会計基準等の見直しに係る改正後の会計基準等とは別に、実務対応報告を公表することで短期的な対応を行うもの。意見募集期間は2026年1月20日まで)   Ⅲ 企業内容等開示関係 次のものが公表されている。 〇 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(案)等 (内容:サステナビリティ開示基準の適用、人的資本開示に関する制度見直し、株主総会前の有価証券報告書の開示などについて規定するもの。意見募集期間は2025年12月26日まで)   Ⅳ 監査法人等の監査関係 監査法人及び公認会計士の実施する監査などに関連して、次のものが公表されている。 〇 倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」の改正に関する公開草案(タックス・プランニング業務及びサステナビリティ) (内容:タックス・プランニング業務及びサステナビリティ保証業務に係るQ&Aの改正の公開草案。意見募集期間は2025年12月18日まで)   Ⅴ 監査役等の監査関係 監査役等の実施する監査などに関連して、次のものが公表されている。 ① 「グループ・ガバナンスと監査役等の監査について」 (内容:グループ・ガバナンスの監査に向けた提言。日本監査役協会 ケース・スタディ委員会) ② 「会計監査人評価の現状と今後の在り方」 (内容:会計監査人の評価を効率化し、実効性向上を目的として研究したもの。日本監査役協会関西支部 監査役スタッフ研究会) ③ 「監査役等の引継ぎ手引書」 (内容:現任の監査役等が監査活動を実施する中で積み上げてきたものなどを引き継ぐためのツールとして取りまとめたもの。日本監査役協会関西支部事務局) (了)
#648(掲載号)
#阿部 光成
2025/12/11

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