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《速報解説》 国税庁、予定納税及び確定申告関係の「定額減税Q&A」を新たに公表~年調適用済みでも確定申告書への同一生計配偶者等のマイナンバー等記載は必要~

 《速報解説》 国税庁、予定納税及び確定申告関係の「定額減税Q&A」を新たに公表 ~年調適用済みでも確定申告書への同一生計配偶者等のマイナンバー等記載は必要~   Profession Journal 編集部   令和6年分の所得税の定額減税(特別税額控除)(措法41の3の3~3の10)については、対象者によってその実施方法・実施時期が異なり、給与所得者についてはいよいよ来月、6月1日以後最初に支払を受ける給与等の源泉徴収税額から、特別税額控除額(本人3万円、同一生計配偶者・扶養親族1人につき3万円)の控除が実施される。この源泉徴収に係る実務については本誌でもたびたび取り上げている通り、国税庁が税制改正関連法の成立前から特設ページを開設しQ&A等の資料を公表、その後、内容の追加・更新を行っている。 一方、事業所得者については令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除され、第1期分予定納税額から控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は第2期分予定納税額(11月)から控除される仕組みがとられる。 また、本人の同一生計配偶者・扶養親族の特別控除については、予定納税額の減額の承認申請により適用を受けることができ、このため令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額の納期が令和6年7月1日から9月30日までの期間(例年は7月1日から7月31日まで)と、減額の承認申請の期限も7月31日(例年は7月15日)とそれぞれ延長されている。 このたび国税庁は4月30日に、新たに「令和6年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)」を公表、定額減税に関する事項のうち「予定納税」及び「確定申告」に関する事項を全13問のQ&Aで解説している。 従前の源泉実務に係るQ&Aの方は、内容の更新等はされていないが、上記に合わせ「概要・源泉所得税関係」という副題が追加されている。今後、2つのQ&Aが随時更新される可能性も高いことから、混同しないよう留意されたい。 今回「予定納税・確定申告関係」として公表されたQ&Aは以下のとおり。 このうち「令和6年分の所得税に係る予定納税」の問1-2では、予定納税の対象となる予定納税基準額(15万円以上の場合は予定納税が必要)は、原則として令和5年分の申告納税額(所得税額及び復興特別所得税額)と同じ金額となり、定額減税額がないものとして計算されることが示されている。その上で、令和6年6月以降に通知される令和6年分の予定納税額からは、本人分に係る定額減税額に相当する金額(3万円)が控除される。 また、減額申請に当たって申請書に記入する申告納税見積額についても、予定納税基準額と同様に、定額減税額がないものとして計算し、さらに令和6年分の総所得金額の見積額の中に給与所得の金額又は公的年金等に係る雑所得の金額がある場合には、これらの所得につき源泉徴収される所得税の額の見積額についても、定額減税の適用がないものとして計算するとされている(問1-3)。 他に予定納税関係では、定額減税制度下で予定納税額の減額申請をすることができるケース(問1-4)や、減額申請をする場合の第1期分・第2期分の予定納税額の計算方法(問1-6、1-7)が明らかにされている。 次に「令和6年分の所得税に係る確定申告等」の問2-2では、すでに年末調整において同一生計配偶者等に係る定額減税の適用を受けている場合で、確定申告で医療費控除の適用を受ける際に、確定申告書に対象となる同一生計配偶者等の氏名やマイナンバーを記載する必要があるかとの問いに対し、配偶者控除や扶養控除等については、年末調整においてそれらの控除を受け、控除額及びその合計額に変更がない場合は、対象となる配偶者及び扶養親族の氏名等について確定申告書に記載を要しないとされているものの、定額減税の計算の対象となる同一生計配偶者等の氏名、生年月日、マイナンバー等については、年末調整においてその同一生計配偶者等についての定額減税の適用を受けている場合であっても、確定申告書に記載する必要があるとしている。 また、支払を受けた給与等に係る源泉徴収税額と、厚生労働大臣等から支払を受けた公的年金等に係る源泉徴収税額の両方から定額減税の適用を受けている場合、確定申告をする必要があるかとの問いに対し、給与等に係る源泉徴収税額と、公的年金等に係る源泉徴収税額の両方から定額減税の適用を受けていることだけをもって、確定申告の義務は発生しないとしている(問2-3)。 この点、「概要・源泉所得税関係」のQ&A(問2-3)では、公的年金等に係る源泉徴収税額から定額減税の適用を受ける人についても、主たる給与の支払者のもとで定額減税の適用を受けることになり、給与等と公的年金等との定額減税額の重複控除については、確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算が行われるとの見解も示されていることから、今後の情報追加を待ちたい。 問2-4では、令和6年6月1日以後に準確定申告書を提出する場合(提出期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内)に定額減税が適用されるのかとの問いに対し、令和6年6月1日以後に令和6年分の準確定申告書を提出する場合には、その準確定申告の際に定額減税の適用を受けることとなるとし、令和5年分の確定申告書の様式を用いた特別税額控除の記載方法(申告書第一表「災害減免額」の欄を使用)について解説されている(令和6年分の確定申告書の様式は、本稿公開時点で未公表)。 (了) ↓お勧め連載記事↓
#Profession Journal 編集部
2024/05/02
New お知らせ その他お知らせ

プロフェッションジャーナル No.567が公開されました!~今週のお薦め記事~

2024年5月2日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.567を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2024/05/02
New 税務 税務・会計 解説 解説一覧

monthly TAX views -No.135-「進むか、マイナンバーの金融資産への活用」

monthly TAX views -No.135- 「進むか、マイナンバーの金融資産への活用」   東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹   2024年4月1日より、「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」(口座管理法)に基づく預貯金口座へのマイナンバー付番が開始されている。預金者にマイナンバー届出義務を課すのではなく、あくまで金融機関窓口での預金者のマイナンバー付番に対する意思確認だ。 *  *  * 預貯金口座へのマイナンバー付番の必要性は、「負担能力に応じた公平な負担のためには、所得だけでなく金融資産等の保有状況も考慮に入れることが必要」という10年近く前に閣議決定されている政府の方針に由来している。 2015年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015について」は、以下のように記述している(33頁)。 さらに昨年暮れには、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について(素案)」(2023年12月5日経済財政諮問会議提出資料、全世代型社会保障構築会議作成)が、以下のように記述している(4頁)。 その上で、「こども・子育て支援加速化プラン」の実施が完了する 2028 年度までに実施について検討する取組として、以下の2つを指摘している(16頁)。 この歳出改革ができなければ、その分予定している少子化対策の財源が不足することになる。岸田総理は繰り返し、「歳出改革の範囲内で支援金制度を構築するので、実質的な国民負担増は生じない」と明言しており、それとの整合性が問題になる。 一方、そのために必要となるマイナンバーの活用、とりわけ「預貯金口座へのマイナンバー付番」については、筆者が知る限り具体的な検討が進んでいるようには思えない。そもそも、どの省がリーダーシップをとって(所管して)行うのか決まっていないのが現状だ。 マイナンバーを所管するのは総務省、デジタルガバメントを推進するのはデジタル庁である(筆者は、「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」の構成員)。銀行口座に付番するとなると金融機関との調整が必要となり、それは金融庁の役目・所管である。社会保障負担との連携を進めるとなると、厚労省が責任を持つことになる。マイナンバーの活用は、経済財政諮問会議のアジェンダの1つとなっていることから、内閣府でも議論がされてきた(筆者は、経済財政諮問会議に設置された「マイナンバーの利活用拡大のための検討タスクフォース」の構成員)。 *  *  * 2024年4月から始まった口座管理法によっても口座付番が進まなければ、いよいよ預金者によるマイナンバー告知の義務付けが議論になるだろう。社会保障負担の抑制のためということで、国民の賛同が得られるのだろうか。 (了)
#567(掲載号)
#森信 茂樹
2024/05/02
New 法人税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例62】「時価を超える対価で購入した土地を売却した場合の売上原価」

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例62】 「時価を超える対価で購入した土地を売却した場合の売上原価」   拓殖大学商学部教授 税理士 安部 和彦   【Q】 私は、中国地方のある地方都市に本社を置き、不動産の賃貸や売買の仲介等を行う株式会社X(資本金1,000万円で3月決算)に勤務しており、現在経理部長を務めております。私は平成に入ってから不動産業界に入ったため、バブル崩壊前の地価高騰に伴う「おいしい時期」のことを知らない世代ですが、最近コロナ禍を抜けてようやくこの業界にも春が訪れようとしています。 東京近辺では今年は新築マンションの平均売り出し価格が1億円越えと報道されており、インバウンド需要のみならず、ダブルインカムのパワーカップルの購入意欲も引き付けているようで、私の地元とは異次元の世界ではないかとの驚きもあります。とはいえ、この流れは地方の政令指定都市にも及びつつあり、広島や岡山でもマンション価格は着実に上昇しております。 さて、そのような不動産業界の活況に水を差すかのような指摘が、先日の税務調査でありました。地元の税務署の調査官から、わが社が所有する土地の売却について異議を申し立てられたというわけです。その内容は、わが社が広島市内のある企業の社宅跡地を買収し、それをマンション業者に売却するという取引につき、当該敷地の買収価額が時価(鑑定評価額)よりも相当程度高いため、その金額をその後の売買取引の売上原価とすることはできないというものでした。 当該敷地は広島市内では希少なマンション適地であり、また、昨今の土地上昇傾向を勘案すれば、税務署がいう「時価」よりも、資本関係がなく価格に関し操作可能性が生じる余地がないと言える第三者との間の「契約価格」の方が、より公正な「市場価格」に近いと言えるものと確信しております。実際のところ、税法上はどのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。 【A】 法人税法上の寄附金とは、金銭等の資産の贈与又は経済的利益の無償の供与のことを指し、金銭等の資産の贈与又は経済的利益の供与がその時価相当額よりも低い対価で行われた場合において、その差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額があるときには、その金額も寄附金とされます。 資本関係のない第三者との間の取引において合意した不動産の価格は、一般に市場価格と考えられますが、仮に当該不動産の価格が鑑定評価額等を用いた公正な時価と乖離し高額な場合には、時価と取引価額との差額は買手から取引相手方(売手)への経済的利益の供与に該当し、寄附金として損金算入に制限がかかることとなります。 また、当該不動産を更に売却した場合には、その譲渡益の算定に際しては、取得価額(売上原価)は取引価額ではなく、それよりも低い「時価」になるものと考えられます。 ■ ■ ■ 解 説 ■ ■ ■   (1) 法人税法上の寄附金の取扱い 法人間取引で、資本関係がない第三者間の取引の場合、その当事者同士で合意した価格は一般に、市場価格(時価)として取り扱われる。国際課税(移転価格税制)の世界では、このような取引価格のことを独立当事者間価格(arm’s length price)といい、正常対価として扱われているが、それとは外れた価格で取引を行っている場合には、移転価格税制が適用され、現実の取引対価ではなく、正常対価(独立当事者間価格)に引き直して課税されることとなる。ただし、わが国の法人税法では、移転価格税制の適用があるのは国際取引に限定され、国内取引は適用対象外である(措法66の4)。 国内取引において、資本関係がない第三者間の取引の場合であっても、その当事者同士で合意した価格が常に市場価格(時価)として取り扱われるわけではない。すなわち、その取引価格が時価(客観的な市場価格(※1))よりも低い場合(低額譲渡)、その差額につき売手から買手に対して経済的利益を供与したこととなり、寄附金として取り扱われるのである(法法37⑧)。 (※1) 金子宏『租税法(第24版)』(弘文堂・2021年)418頁参照。 〇 時価と取引価格が乖離している場合の法人税の取扱い:その1(低額譲渡) 逆に、その取引価格が時価よりも高い場合(高額譲受け)、その差額について買手から売手に対して経済的利益を供与したこととなり、今度は買手に対して寄附金課税がなされることとなる(法法37⑧)。寄附金に係る当該規定の文言だけ見ると低額譲渡のみ対象であるかのように読めるが、それは売手側から見た場合であり、買手側から見れば、高額譲受けも対象となるのが正しい解釈であると言えよう。 〇 時価と取引価格が乖離している場合の法人税の取扱い:その2(高額譲受け)   (2) 租税法と私法 租税法は、その適用対象として、様々な経済活動ないし経済現象を扱っているが、それらは第一次的には私法(民法、商法、会社法など)によって規律されている。それを前提にすれば、租税法律主義の目的である法的安定性を確保する観点からは、課税関係の検討は、原則として私法上の法律関係に即して行うべきと考えられる(※2)。経済活動ないし経済現象は、多くの場合、私人間の契約(例えば売買契約)によって成立することから、課税関係を検討する際には、契約の内容とその法的効果を確認することが不可欠となる。その際、租税法の規定から契約内容とその法的効果を理解しようとすると、誤った結論に達する可能性があるため、注意を要する。 (※2) 金子前掲(※1)書129頁参照。   (3) 時価を超える対価で購入した土地を売却した場合の売上原価の金額が争われた事例 ここでは、本件と同様に、時価を超える対価で購入した土地を売却した場合の売上原価の金額が争われた事例(東京地裁令和元年10月18日判決・税資269号-105(順号13328)、TAINSコード:Z269-13328)について、以下で確認してみたい。 ① 事案の概要 本件は、不動産の売買等を目的として昭和40年3月に設立された株式会社である原告が時価を超える額の対価で購入した土地を売却し、購入価額全額を売上原価として損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ、津山税務署長から、購入価額のうち時価との差額は損金の額に算入できないとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、これらの処分の取消しを求める事案である。 取引の詳細は以下のとおりである。 原告は、平成22年6月14日、B株式会社との間で、Bから、岡山県勝田郡の各土地を代金合計1億8,421万7,112円で購入する旨の売買契約を締結した。 原告は、平成21年8月31日現在で、その帳簿上、Bに対し、貸付金及び未収入金として合計1億6,838万572円の債権を有していた。他方、Bは、平成21年6月30日現在で、その帳簿上、原告に対し、本件債権に対応する債務として1億8,421万7,112円の債務を負っていた。 原告及びBは、本件売買に際し、Bの原告に対する債務と原告のBに対する売買代金債務1億8,421万7,112円とを対当額で相殺する旨の合意をした。 原告の帳簿上、本件債権の額は上記のとおり合計1億6,838万572円であったから、上記相殺処理により、差引1,583万6,540円分の売買代金債務が残ることとなったが、原告は、同額をBに支払うことなく、原告の受贈益として処理した。本件土地の本件売買時点における時価は、7,283万9,889円であった(ただし、その根拠は何であるのかについては判決文中で明確に述べられていない)。 原告は、平成22年9月1日から平成23年8月31日までの事業年度の間に、本件土地につき、合筆、分筆等を行った上、乙ほか10名に対し、代金合計4,913万9,600円で売却した。 原告は、平成23年10月28日、平成23年8月期の法人税について、所得金額を△1億4,722万1,023円、納付すべき税額を△1万614円、翌期へ繰り越す欠損金を2億2,754万4,828円等とする確定申告を行った。この申告額は、本件売買価額の全額を、棚卸資産である本件土地の売却に係る「売上原価」として損金の額に算入することを前提としたものであった。 〇 取引関係図(高額譲受け) ② 事案の争点 土地の譲渡代金(1億8,421万7,112円)と土地の時価(7,283万9,889円)との差額(土地に関する高額譲受けの差額:1億1,137万7,223円)を「売上原価」として平成23年8月期の損金の額に算入できるか否か。 ③ 裁判所の判断 なお、本件は控訴されたが棄却され(東京高裁令和2年12月2日判決・訟月67巻9号1354頁・TAINSコード:Z270-13490)、確定している。 ④ 本裁判例から学ぶこと 本裁判例で注目されるのは、法人税法第37条第8項の意義に関する解釈である。すなわち、まず、寄附金課税を規定した法人税法第37条における寄附金とは、その名義を問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的利益の贈与又は無償の供与を指すことを明らかにした上で、さらに、第8項において、内国法人が経済的な利益の供与をした場合において、その供与の対価の額が経済的な利益の時価に比して低いときは、当該対価の額と当該時価との差額のうち実質的に無償の供与をしたと認められる金額は、「寄附金の額」に含まれるものとする規定があることを示している。 法人税法の条文のうち、当該規定は独特で分かりにくいところがあるが、誤解されやすいのは、当該規定が私法上の取引を租税法の観点から「再構成(租税法による私法上の法的効果の上書き)」しているというわけではない、、、、、という点である。この点につき、裁判所は、法人税法第37条第8項の規定は、「例えば時価よりも低額の売買代金により法人所有の不動産等の資産を売却した場合に、売買契約という当事者の選択した法形式を否認して時価による売買と差額分の金銭の贈与という二つの法律行為があったとみなすものでも、当該法律行為を売買と贈与の混合契約であるとみなすものでもなく、当該法律行為は私法上の性質としては売買契約であることを前提に、売買代金と時価との差額は、売主たる法人から買主に「供与」された「経済的な利益」であ」るというように解している。私法上の取引の法的性格(売買契約)はいじらずに、その結果時価と(時価よりも低い)対価の額との間に差額がある場合には、当該差額は法人税法上損金算入に制限がある「寄附金」に該当すると解しているのである。租税法と私法との関係を理解する上でも参考になる裁判例ではないかと考える次第である。   (4) 本件へのあてはめ 法人税法上の寄附金とは、金銭等の資産の贈与又は経済的利益の無償の供与のことを指し、金銭等の資産の贈与又は経済的利益の供与がその時価相当額よりも低い対価で行われた場合において、その差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額があるときには、その金額も寄附金とされる。資本関係のない第三者との間の取引において合意した棚卸資産である不動産の価格は、一般に市場価格と考えられるが、仮に当該不動産の価格が鑑定評価額等を用いた公正な時価と乖離し高額な場合には、時価と取引価額との差額は買手から取引相手方(売手)への経済的利益の供与に該当し、寄附金として損金算入に制限がかかることとなる。また、買手が当該不動産を更に売却した場合には、その譲渡益の算定に際しては、取得価額(売上原価)は取引価額ではなく、それよりも低い「時価」になるものと考えられる。 (了)
#567(掲載号)
#安部 和彦
2024/05/02
New 所得税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

金融・投資商品の税務Q&A 【Q89】「ベンチャーキャピタルファンドへの投資と株式譲渡に係る損益の通算」

金融・投資商品の税務Q&A 【Q89】 「ベンチャーキャピタルファンドへの投資と株式譲渡に係る損益の通算」   PwC税理士法人 金融部 ディレクター 税理士 西川 真由美   ●○ 検 討 ○● 1 ベンチャーキャピタルファンドから得る株式の譲渡益に係る課税の取扱い (1) ベンチャーキャピタルファンドから得る株式の譲渡益に係る所得区分 個人投資家が投資するベンチャーキャピタルファンドは、一般に、投資事業有限責任組合として組成されます。ベンチャーキャピタルファンドは事業を立ち上げて間もない未公開企業の株式等に投資をすることが多く、その収益源は主に投資先企業の株式等の譲渡益です。 このようなファンド(投資事業有限責任組合)を通じて稼得する株式の譲渡による収益の所得税法上の所得区分について、国税庁が公表している文書回答事例「投資事業有限責任組合及び民法上の任意組合を通じた株式等への投資に係る所得税の取扱いについて」では、下記のすべての要件が充足され、かつ、投資組合契約書等に記載されている場合には、株式等の譲渡に係る雑所得(事業として行う場合は株式等の譲渡による事業所得)に該当することが明らかにされています(【Q34】参照)。 (2) ファンド決算書に記載された必要経費の取扱い 個人投資家は、ファンドから交付される決算書に基づいて確定申告することになりますが、上記(1)①から⑥の要件を充足して、ファンド内で生じる株式の譲渡益を株式等の譲渡に係る雑所得(株雑所得)として取り扱うことになる場合には、当該決算書に掲載されているファンド運営上の必要経費を、株雑所得の金額の計算上必要経費として控除するものと考えられます。 ファンド運営上の必要経費にファンドの無限責任組合員(GP)に対する管理報酬が含まれる場合は、ファンドから生じる所得の種類ごとに配賦する必要がありますが、前述の文書回答事例では、ファンドが投資する事業に対して投下した財産の額の比率によって当該管理報酬の総額を按分することが合理的な方法として示されています。つまり、株雑所得に配賦される金額は、管理報酬をファンドが投下する事業資産の合計額のうちに株式のキャピタルゲインを得ることを主たる目的とする事業に投下する資産の占める割合で按分するものと考えられます。 そして、未公開企業の株式等への投資というファンドの事業目的に鑑みると、ファンド内で毎事業年度に株式の譲渡収入が生じるとは限りませんが、株式の譲渡収入がない事業年度において生じる必要経費についても、株式等の譲渡収入を得るための必要経費であることには変わりがないことから、個人投資家の他の一般株式等の譲渡に係る雑所得から控除することも可能であると考えられます。   2 未公開企業の株式等の譲渡による譲渡所得等の損益通算 非上場株式等の譲渡による譲渡益は、「一般株式等の譲渡に係る事業所得、雑所得及び譲渡所得」として申告分離課税の対象となり、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率で課税されることになります。ファンド投資に係る株雑所得はこれに該当し、確定申告が必要です。 一般株式等の譲渡に係る譲渡損失は、他の一般株式等の譲渡益との損益通算は認められていますが、上場株式等の譲渡に係る譲渡益との通算は認められていません。   3 本件へのあてはめ ファンドから分配された収益は、当該ファンドが保有していた未公開企業の株式を他の企業に売却したことに伴うものとのことです。したがって、そのファンドが上記1(1)①から⑥の要件を充足することを前提とすると、当該収益は株雑所得に該当するものと考えられます。この場合、当該未公開企業の株式の譲渡に係る収入金額から、ファンド決算書におけるファンド運営に係る必要経費を控除して、所得の金額を計算することになります。 この株雑所得の金額は、他に一般株式等の譲渡に係る損失が生じている場合、例えば、他のベンチャーキャピタルファンド投資において未公開企業の株式に係る譲渡損失が生じた場合などには、その譲渡損失と損益通算することが可能ですが、同一年に上場株式の譲渡に係る損失が生じていたとしても、当該上場株式に係る譲渡損失と損益通算することは認められませんので注意が必要です。   (了)
#567(掲載号)
#西川 真由美
2024/05/02
New 国際課税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第40回】「外国税額控除が適用される時期」

〈判例・裁決例からみた〉 国際税務Q&A 【第40回】 「外国税額控除が適用される時期」   公認会計士・税理士 霞 晴久   〔Q〕 法人税法69条1項にいう、外国法人税を「納付することとなる」場合というのは、どのタイミングをいうのでしょうか。 〔A〕 平成27年の東京地裁判決において、控除の対象となる外国法人税に係る租税債務の確定の時点を基準として、我が国の外国税額控除制度の適用の可否を判断するということが改めて確認されました。 ●●●〔解説〕●●● 1 外国税額控除制度について (1) 外国税額控除制度の趣旨 法人税法69条1項は、内国法人が各事業年度において外国法人税を納付することとなる場合には、一定の方法により計算した金額を限度として、その外国法人税の額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する旨を定めており、同外国税額控除の制度は、我が国の企業の海外における経済活動の振興を図るという政策的要請の下に、国際的二重課税を防止し、海外取引に対する課税の公平と税制の中立性を維持することを目的として設けられた制度である(下線筆者)。 (2) 控除限度超過額及び控除余裕額の繰越し 内国法人が納付することとなる控除対象外国法人税の額が当該事業年度の控除限度額と地方税控除限度額の合計額を超える場合、前3年内事業年度の控除限度額のうち当該事業年度に繰り越される部分(国税又は地方税の控除余裕額)があるときは、その繰越額を限度として、その超える部分の金額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する(法法69②)。 また、控除対象外国法人税の額が当該事業年度の控除限度額に満たない(控除余裕額が生じた)場合、その前3年内事業年度において納付することとなった控除対象外国法人税の額のうち当該事業年度に繰り越されている部分(繰越控除対象外国法人税額)があるときは、控除余裕額を限度として、その繰越控除対象外国法人税額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する(法法69③)。 以下では、法人税法69条1項にいう、外国法人税を「納付することとなる」の意義について争われた事例を取り上げる。   2 過去の裁判例 ➤《東京地裁平成27年10月8日(平成25年(行ウ)第685号)》(TAINSコード:Z265-12732) ➤《東京高裁平成28年7月14日(平成27年(行コ)第381号)》(TAINSコード:Z266-12881)(棄却・確定) (1) 事案の概要 本件は、内国法人X(原告・控訴人)が、保有する中国企業A社の出資持分を台湾に所在するB社に売却し、これによって得た譲渡益に対して中国において課されることとなる中国企業所得税額を当時の法人税法69条1項に定める外国税額の控除の規定により平成23年2月期(本件事業年度)の法人税の額から控除して確定申告したところ、所轄税務署長Yが、本件中国企業所得税額については、本件事業年度において外国税額控除の規定を適用できないとして、更正処分等をしたことから、Xが各処分の取消しを求めた事案である。 Xは当初A社の70%の出資持分を有していたところ、平成22年7月5日付で、その50%を1,190万米ドルでB社又はその子会社に売却する契約を締結し、平成22年12月2日、B社が間接に支配するC社(香港に所在)から同額の支払を受けた。 次に、Xは、平成22年12月9日付で、A社から中国企業所得税相当額として89万米ドル(※1)の請求を受けたため、同月15日に上記金額を送金した。その後、A社は、平成24年1月13日、Xの譲渡所得について、上海の税務機関に対し、我が国の納税申告書に相当する中国企業所得税源泉徴収報告表を提出し、同月18日、同税額を納付した(※2)。 (※1) 同額は、譲渡対価である1,190万米ドルから譲渡原価の300万米ドルを控除した残額に、軽減された中国企業所得税率10%を乗じて求められたものである。 (※2) A社による申告納付が遅れた理由について、Xは、「A社の督促にもかかわらず、上海の税務機関が本年度は予算を十分達成したから申告納付しなくてもよいと言ってきたからであり、その時点で税務機関は課税権やその額を掌握し、A社は逃れようがなかった」と主張している。 (2) 中国税法による課税関係 出資持分譲渡によりXに生じた所得は、企業所得税の対象とされ(企業所得税法(以下「中国企業法」という)3条及び企業所得税法実施条例(以下「中国条例」という)6条)、A社の所在地が中国国内であることから、中国国内源泉所得に該当する(中国条例7条3号)。 中国の非居住者企業であるXが取得する中国国内源泉所得に係る企業所得税の課税方法については、原則として、源泉徴収の方法によるが(中国企業法37条)、源泉徴収義務者が法に基づき源泉徴収を行っていない場合又は源泉徴収義務を履行できない場合、非居住者企業は源泉徴収義務者の支払日又は支払うべき支払期限から7日以内に、所得の発生地の管轄税務機関に企業所得税を申告納付しなければならず(非居住者企業所得税源泉徴収管理暫定弁法(以下「中国源泉法」という)15条1項)、持分譲渡取引の双方がともに非居住者企業で、中国国外で取引する場合、所得を取得する非居住者企業が自ら又は代理人に委託して、持分が譲渡された国内企業の所在地の管轄税務機関に申告納付しなければならないとされている。 本件出資持分譲渡は非居住者企業間の取引に当たり、また、その対価の支払が、いずれも中国の非居住者企業であるC社とXとの間で行われていることからすれば、中国国外で行われたものといえ、Xの譲渡所得に係る企業所得税については、申告納税の方法による課税がされることになる(中国源泉法15条2項)。 (3) 争点及びXの主張 本件の争点は、本件更正処分の適否であり、具体的には①外国法人税を「納付することとなる」の意義、及び②本件事業年度において本件中国企業所得税に係る租税債務が確定したか否かである(他の争点は省略)。 Xは、「納税義務の確定を要する場合は納税義務の確定という用語を使うはずである。しかるに、法人税法69条1項は『納付することとなる場合』という表現をしているから、文理解釈上、納税義務の確定とは違う意味に解釈するべきである。」、あるいは「確定という手続の目的は、税額を確定させることによって税額の納付・徴収の段階に進むことを可能にすることにあるから、課税要件である事実が明白で税額の計算が容易であるとき、すなわち、①租税債務が成立して、②課税要件である事実が明白で、③税額の計算が容易であるときは、納付すべき税額の確定の手続を要しないところ、本件では、租税債務が成立していて、株式譲渡の内容が、法規の定めに基づいて出資持分譲渡対象会社であるA社によって中国税務機関に届けられているから、中国税務機関にとって課税要件事実は明白であり、また、所得及び税額の計算方式が法規で定められていて税額の計算が容易であった。したがって、この時点で『納付することとなった』と解して差し支えない。」などと主張した。 (4) 裁判所の判断 本件第一審である東京地裁は、本件各処分はいずれも適法であるとし、Xの請求を棄却した。Xはこれを不服として控訴したが、控訴審である東京高裁も原判決を一部補正した上で、その判断を支持した、以下判決文を引用する。 ① 外国法人税を「納付することとなる」の意義について ② 中国企業所得税に係る租税債務の確定時期について ③ 控訴審におけるXの主張の排斥   3 検討 所得の発生時期と納税債務の確定のタイミングは通常一致しないが、上記2(4)①のとおり、我が国外国税額控除制度では、外国法人税の対象となる所得の発生年度に遡って(国内外における所得の発生とタイミングを一致させて)税額控除するのではなく、タイミングが不一致であることを前提として、あくまで「納付」の時点で、我が国における二重課税の調整を認める仕組みが採用されている(※3)。 (※3) 青山慶二「最近の判例から見る国際課税に関する課税のリスク 第10回:外国税額控除が可能とされる時期」(TKC税情2018年4月)52頁参照。 そのため、かかる不一致を解消する手段として、控除限度額及び控除余裕額の3年間の繰越しの規定が設けられているのである(上記1(2)参照)。なお、我が国では、所得課税については確定申告等により税額が確定するとされている(通則法17条)が、外国法人税の税額確定時期を規定する国内法は存在しない。 Xは平成22年12月15日付で、A社に89万米ドルを送金したことをもって、法人税法69条1項にいう「納付することとなる」と解したものと考えられるが、上記(※2)の事情があり、実際に中国当局へ申告したのは送金から13ヶ月後となった。 したがって、結論的にいえば、Xは本件事業年度の確定申告では、外国税額控除の控除余裕額を計算し、翌事業年度に繰り越した上で、翌事業年度において、当該繰越控除余裕額を、確定した控除対象外国法人税額に充当すればよかったものと思われる。しかしながら、中国における上記の事情を逐一我が国で把握するのは容易ではなく、その意味で、納税者に酷な事例であったといえる。 (了)
#567(掲載号)
#霞 晴久
2024/05/02
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〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第17回】「財産評価基本通達205項柱書の「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」とは」

〈事例から理解する〉 税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第17回】 「財産評価基本通達205項柱書の「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」とは」   公認会計士・税理士 大橋 誠一   1 大阪国税不服審判所平成28年7月25日裁決(TAINSコード:F0-3-499) (1) 事実関係の概要 (2) 請求人らの主張の概要 (3) 「見込まれるとき」の法令解釈 評価通達第205項の(1)から(3)が、貸付金債権等の回収の見込みがない場合として、債務者の経済状態等が破綻していることが客観的に明白である事由を掲げていることに鑑みれば、これと並列的に定められている「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」とは、上記事由と同視できる程度に債務者の経済状態等の悪化が著しく、その貸付金債権等の回収の見込みがないことが客観的に明白であることをいうものと解するのが相当である。 (4) 審判所の判断の概要・請求人らの主張の排斥   2 法令解釈の出所 上記1(3)の法令解釈、とりわけ「客観的に明白」という表現は、大阪高裁平成15年7月1日判決(TAINSコード:Z253-9386)に見ることができるが、当該判決は、債権には市場性がなく時価を容易に算定できず、算定しようとしても納税者の恣意を許し課税庁に過大の負担を強いることになることを理由として、客観的に明白な事由が存在しない限り評価通達第204項に定める額面評価に拠るべきとしている。 また、これより比較的最近の裁判例である福岡高裁平成28年7月14日判決(TAINSコード:Z266-12880)においても、列挙された評価通達第205項の(1)から(3)の各事由を特に緩和する趣旨で規定されたと考える合理的理由は見当たらないと判示している。   3 債務者を取り巻く事情が影響するか否か (1) 同族会社としての特性 同族会社は所有と経営が一致しており、オーナーの同族会社に対する債権は「ある時払いの催促なし」であることが多い。 しかし、上記の大阪高裁判決は、その債務者の規模や閉鎖性に限らず同様に解されるべきと判示しており、これが「見込まれるとき」の判断に影響を与える可能性は薄いと考えられる。 (2) 一括弁済する資力がない 債務金額が営業キャッシュ・フローの創出能力をはるかに超える場合、返済は細々としており延滞状態にもないが、全額の弁済には程遠いという事例がある。 しかし、東京地裁平成30年8月27日判決は、たとえ一括弁済する資力がないとしても「見込まれるとき」には当たらないと判断しており、営業キャッシュ・フローの数年分のみを元本に算入するといった取扱いが認容される可能性は薄いと考えられる。 (3) 法人税法における貸倒引当金との互換性 「弁済期が5年超のものについては全額」「担保保全額を超える債権額の50%」といった法人税基本通達の個別貸倒引当金の取扱いが「見込まれるとき」の判断に直接影響を与える可能性は薄いと考えられる。 (4) その他 評価通達第205項が論点となる債権の債務者は、継続した「延滞状態」「債務超過」「赤字決算」に陥っていることが多いが、これは「見込まれるとき」の直接の事由というよりも、むしろその事由に至る背景事情であって、それら事情の帰結として顕現化した法的破綻の状態に至ってはじめて「見込まれるとき」に当たると考えられる。 一方、債務者の営業に不可欠な資産に抵当権が実行されたといった、法的破綻の軌道に乗ったといわざるを得ないような客観的な事象が生じた場合には、「見込まれるとき」の該当性につき現実味が増すことになるであろう。 (了)
#567(掲載号)
#大橋 誠一
2024/05/02
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決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第2回】「土地再評価差額金の取崩しと包括利益の関係」

◆◇◆◇◆ 決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第2回】 「土地再評価差額金の取崩しと包括利益の関係」   公認会計士 石王丸 周夫   「包括利益」という名称を聞いたことはあるけれど、イメージがわかないという人が結構います。イメージがわかなければ、完成した決算短信に間違いがあっても気がつきません。 そこで訂正事例の登場です。他社で間違いが起きた箇所は、自社でも同じように間違う可能性があります。まずは、間違いやすい箇所がどこなのかを学んでみましょう。   訂正事例の概要 連結包括利益計算書において、「土地再評価差額金」を計上したものの不要だったことに気づき、これを削除したという決算短信の訂正事例があります。 〈訂正箇所のイメージ〉(数字はすべてXで表示) その結果、土地再評価差額金のほかに、その他の包括利益合計と包括利益の金額も訂正となり、さらに、上記には表示していませんが、内訳として開示する「親会社株主に係る包括利益」と決算短信の「サマリー情報」で引用した包括利益の数値についても連動して訂正を行っています。   包括利益とは 包括利益は、現状、連結財務諸表のみで登場する概念です。個別財務諸表では、当面の間、この概念は適用されないことになっています。 その名称からも想像がつくとおり、利益より広範囲に及ぶ利益概念で、広義の利益といってもよいです。連結損益計算書で計算された当期純損益にその他の包括利益を加えたものが包括利益です。また、その他の包括利益とは、一言で言い表すなら含み損益です。 以上を踏まえて、正確な定義を確認します。 包括利益というのは、「ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分」(企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」第4項)のことです。つまり、前期末と当期末の純資産額を比べて、その変動額のうち、たとえば増資による資本金の増加といった企業と株主等の直接取引を除いた部分ということです。 その他の包括利益は、この「包括利益のうち当期純利益に含まれない部分」(企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」第5項)をいいます。   土地再評価差額金とは 次に、土地再評価差額金とは何かを確認します。これは連結貸借対照表及び個別貸借対照表の純資産の部に計上される科目です。 土地再評価差額金というのは、今から25年ほど前の1998年から2002年にかけて、時限立法により計上が認められた項目です。その期間内の一決算期に限り、事業用土地を時価評価して簿価を改定することが認められました。この時価評価により発生した旧簿価との差額のうち税効果相当額を控除した額を、土地再評価差額金として純資産に計上しています。 上記訂正事例では、この土地再評価差額金の取崩額をその他の包括利益に計上していました。土地再評価差額金という純資産項目が変動しているので、包括利益の定義に照らして問題ないようにも見えますが、何が間違っていたのでしょうか。   土地再評価差額金の取崩しの意味 土地再評価差額金は、再評価を行った事業用土地の売却や減損の際に取り崩されます。その際に留意しなければならないのは、再評価後の価額が会計上の簿価であるという点です。 たとえば、旧簿価が400で再評価後に500となった事業用土地を考えてみます。実効税率を40%とすると、再評価による差額100のうち税効果相当額の40を再評価に係る繰延税金負債に計上し、60を土地再評価差額金に計上します。 その後、この土地を500で売却したとすると、売却益はいくらになるでしょうか。 旧簿価が400だったので、再評価による差額100が実現したかのように捉えたくなりますが、そのようには考えません。再評価後の簿価は500なので、簿価500の土地を500で売却したと考えます。すなわち、売却益は0です。 では、売却時に取り崩す土地再評価差額金60はどうするかというと、売却益0なので、これは利益に計上するわけにはいかないため、損益計算書を経由せずにその他利益剰余金に計上します。 なお、その際、再評価に係る繰延税金負債については、「法人税等調整額を相手勘定として取り崩す」(企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第14項)ことになります。 以上を踏まえて、包括利益との関係を会計基準で確認してみます。次のとおりです。 (企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」第31項) つまり、純資産の中で、土地再評価差額金が減少すると同時に利益剰余金が増加するため、純資産全体では増減はなく、包括利益には該当しないということです。 おそらく、訂正事例は再評価された土地を売却した事例とみられ、それに伴う土地再評価差額金の取崩しをその他包括利益に含めてしまったことによる訂正と考えられます。 なお、他社では、土地を減損したケースで同様の訂正事例が出ています。減損損失を計上した土地に係る土地再評価差額金を取り崩す際に、当該取崩額をその他包括利益に含めてしまったというミスだとみられます。   開示前のチェックポイント 以上の知識を前提に連結包括利益計算書を作成することになりますが、正しく作成できたことを開示前にチェックすることも必要です。 その他の包括利益の内訳項目に土地再評価差額金が表示されている場合は、その妥当性を確認します。その他の包括利益として計上されることが妥当と考えられるケースとしては、次のようなものがあります。 第一は、実効税率の変更です。再評価に係る繰延税金を計算し直すため、それに伴い土地再評価差額金が増減します。これはその他の包括利益に含まれます。 第二は、再評価に係る繰延税金資産について、その回収可能性に変化が生じた場合です。その変動差額も土地再評価差額金を増減させ、その他の包括利益に含まれます。 (了)
#567(掲載号)
#石王丸 周夫
2024/05/02
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〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第48回】「士業別のM&A対応、企業の見方に関する留意点とポイント」~公認会計士編~

〔中小企業のM&Aの成否を決める〕 対象企業の見方・見られ方 【第48回】 「士業別のM&A対応、企業の見方に関する留意点とポイント」 ~公認会計士編~   公認会計士・税理士 荻窪 輝明   《今回の対象者別ポイント》 買い手企業 ⇒士業の特性に応じて異なる企業の見方を知り、検討と相談の際に活かす。 売り手企業 ⇒士業の特性に応じて異なる企業の見方を知り、検討と相談の際に活かす。 支援機関(第三者) ⇒士業の特性に応じて異なる企業の見方を知り、支援や提案に活かす。 その他の対象者 ⇒士業の特性に応じて異なる企業の見方を知る。   前回と同様に、士業の種類によって微妙に異なるM&Aに対する視点を取り上げます。この視点の違いを知ることで、M&Aの買い手、売り手、支援機関などの第三者は、ご自身のおかれた環境に応じて士業を使い分けられると思います。   1 公認会計士の特性 公認会計士という職業は1つしか存在しないわけですが、どのような環境で業務を行っているか、行ってきたかによって、かなり個人の特性が異なります。 前回、税理士を取り上げましたが、ある意味で、税理士の特性の違いに近いかもしれません。例えば、所得税に強い税理士、法人税に強い税理士、資産税に強い税理士、国際税務に強い税理士などがいるように、「○○に強い公認会計士」というカテゴリーが公認会計士にもあります。 私個人の経験に基づく私見になりますが、公認会計士の特性は大まかに、「オーディター(Auditor)」、「アカウンタント(Accountant)」、「税理士転向者」、「アドバイザー」の4つに区分されると考えられます。 (1) オーディター(Auditor) まず、「オーディター」は監査人の意ですので、主に監査法人勤務者、会計監査人や、監査法人にバックグラウンドのある方の多くが該当します。 属人的な特徴の違いはありますが、会計監査の業務の特性上、どうしても内向きになりやすく、会計や監査のルールも厳格ですので、ルールブックとしての機能は発揮するものの、専門性が高すぎるせいで、視点が細かくなりがちな面があります。この点で、中小企業で必要となる視点と異なることも多く、「大企業でもないのに、ここを突いてどうするつもりだろうか」と思った経験が私にも過去何度かあります。 一般的に経験年数と専門性の高さは比例すると考えられ、オーディターとして長い経験を積むほど、専門性の高さが際立ち素晴らしい反面、中小企業の求める実務と乖離する可能性が高いため、基本的に熟練のオーディターは、中小企業M&Aには不向きなのではないかと私は思います。 (2) アカウンタント(Accountant) 公認会計士のキャリアは多くが監査法人からスタートしますが、途中から転向する方も多く、「アカウンタント」として、経理を中心に、財務、経営企画などの業務に携わる事業会社勤務を選択する場合も少なくありません。本稿ではいわゆる「企業内会計士」と呼ばれる層をアカウンタントと考えることにします。 公認会計士がアカウンタントとして勤務する職場は、上場企業や、非上場企業であってもそれなりの売上高や従業員規模の企業に限られますので、基本的に、大企業実務経験者だと思った方がよいです。これらの人材は、勤務先企業でM&A経験を積む機会が少なくありません。経営戦略、戦略的投資の観点からM&Aはスタンダードになりつつありますので、相当の確率でM&Aの実務経験があります。 ただし、経験しているのは“大”企業のM&Aであることが多く、大企業が中小企業を買収するケースはあっても、中小企業が中小企業を取得するパターンの経験はないと思われます。 この場合、大企業側で行う組織再編の会計・税務・法務(手続)、バリュエーション(いわゆる株価算定など)を得意としており、中小企業側で求めるレベルとしては不要な知見が多いです。 ですから、もし、中小企業M&Aにアカウンタントの公認会計士が携わる場合は、手法、手続、進めるスピード感などが、中小企業の求めるレベル感に合わない(オーバースペックである)ことがありますので、多少気を付けた方がよいかもしれません。 ただ、上記(1)のオーディターと比べると、事業会社勤務経験者だけあって、企業視点の発言や考え方が身についている点では、買い手にとっても売り手にとっても味方になりやすい存在といえます。 (3) 税理士転向者 公認会計士が税理士登録をして税理士としても業務を行うケースは多く、名刺に書く際も「公認会計士・税理士」ではなく、「税理士・公認会計士」とする方を見かけることがあります。 公認会計士と税理士のどちらが本業になるかによって、特性や企業に対する視点が異なりますが、税理士転向者の場合は、税務の視点を持ちながら公認会計士としてのバックボーンが活かされているケースが多いように感じます。 現在も人気があるゲームのジャンルにRPG(ロールプレイングゲーム)があります。そのジャンルの人気ゲームの1つ「ドラゴンクエスト」シリーズの中には、「転職」というイベントが用意されている作品があります。税理士転向者は、このゲームにおける転職によく似ていて、元々のキャリアのすべてが失われることなく、転向後の新たなキャリアを足していくとお考えになるとイメージがしやすいと思います。 原則として、すべての公認会計士は会計と監査の実務を通して、会計的視点と監査的視点が備わっているのが特徴で、試験と実務経験の2段階で本人の実力として定着しています。この経験の部分に関しては、税理士のみの方にはどうしても身に付けようがなく、公認会計士と税理士では、まるで物事の見方が異なると思った方が私はよいと思います。なお、どちらが好みかは中小企業によると思いますので、良否はありません。 その前提での税理士転向者は会計・監査的視点を持ちながら、税の知見も上乗せされる点で中小企業M&Aにとってメリットは大きいですが、一方で、初めから税の知見一本で経験値を積んできた税理士の方々に比べると、条文、通達などの法令や判例などに関するインプットとアウトプット力は相対的に見劣りすると実感しています。 これらの長短を踏まえた上で付き合えば、他の特性を持つ公認会計士と比べて中小企業との親和性は高いのではないでしょうか。 (4) アドバイザー 公認会計士の4つ目の区分を「コンサルタント」ではなく「アドバイザー」としたのは、公認会計士ではコンサルタントと名乗るほどには、経営そのものに深く入り込んで実務を回していく力はないだろうとの見解からです。 もちろん、例外的に経営全般に対応できる方がいるのも事実ですが、基本的には、過去に経験を積まれた専門分野の知見を活かして、助言を行う、実行支援を行う方がほとんどですので、経営全般にまで範囲を広げて業務を行える方はさほど多くはありません。アドバイザーの対応分野は数えきれないほどありますので一概にはいえませんが、決算・開示、内部統制、仕組みの導入、管理部門業務など公認会計士として関わりそうな業務領域で、手を動かす必要もある特定業務での腕のある方が心強いアドバイザーとなりえます。 この特性の1つに「M&Aアドバイザー」があり、公認会計士としてその分野のバックボーンがある方、金融機関やM&A仲介会社経験者などであれば、公認会計士としての専門性にプラスアルファが加わりますので心強い場合があります。なかでも、中小企業実務経験のある方ならば、中小企業M&Aにもマッチしますので、先に挙げた(1)~(3)の特性と比較すると、最も中小企業M&Aに合う方が見つかりやすいと思います。   2 公認会計士を選ぶ際の留意点 公認会計士は会計と監査のバックボーンがある経験値が幸いして、M&Aの現場でよく耳にするデューデリジェンス、なかでも財務デューデリジェンスという財務面を中心とした調査業務に従事する割合が高いことから、中小企業M&Aには向いている職業の1つだと思います。 しかしながら、どうしても過去の経験や職業特性上、中小企業M&Aで公認会計士を選ぶ際に留意した方がよいと考える点がいくつかあります。 (1) 横文字文化 本稿を執筆する私自身がこれまでの解説の中で横文字を多用しており恥ずかしい限りですが、公認会計士、特に大規模な監査法人系の事務所出身者は、中小企業実務には不要な横文字を多用するケースがあります。自然に使っているというよりは、見栄で使っている場合もあるように私は感じますので、あまりに多用される方とはお付き合いしないのも手です。 「アジェンダ」、「スキーム」、「エビデンス」など、他の言葉で言い換えられる内容は多いため、話していて違和感があれば、どうしてその言葉を使用しているのか確認してみてもよいのではないでしょうか。 なぜ、わざわざこの項目を設けたかといいますと、わかりやすい言葉や表現、内容をあえてわかりにくくするのが習慣になっている方は、大事な局面で最も伝えなければならないことを避けたり、知らないのに知ったかぶりをしたりと、中小企業に寄り添った実務ができない恐れがあるからです。 細かい点ほど重要なことが多いのは、何においても同じです。横文字を使うのが問題なのではなく、横文字に逃げることが問題なので、その見極めの1つの判断基準として、目の前の公認会計士のタイプを診断される際に使われるとよい視点かもしれません。 (2) 視野が広すぎてオーバースペックになりやすい 公認会計士の圧倒的な強みは、大企業の複数の管理実務の知見が、企業外部の視点から会計と会計監査の実務経験を通して身についている点です。弁護士、税理士、中小企業診断士には決してない視点ですので、強みと捉えられる一方で、その視点は、相当規模の企業の実例に偏るという弱点があります。大企業に通用するお手本はよく知っていても、従業員数名の企業に当てはまる一般論ではない点に気を付けなければならないのが、公認会計士の特性です。 ですから、会計、内部統制といった公認会計士ならではの業務の水準が、中小企業が求めるレベル感を遥かに超えている場合があります。どの職業にもいえることかもしれませんが、自分に目線を合わせて対応してくれる方かどうかが大事だということです。 (3) オーナー視点になりづらい 弁護士や税理士と決定的に違うのが、代理人たる地位で業務を行う経験値が少ないという点です。公認会計士は中立な第三者の立場を求められる職業特性ですので、企業から少し距離を置いて意見する、業務する環境に慣れています。このため、人によりますが、顔の見える中小企業、経営者と距離の近い中小企業からすれば、公認会計士の距離感に物足りなさを感じるかもしれません。 (4) 報酬感 (2)の経験値によって業務のレベル感に価値を感じていただける方や、弁護士や公認会計士に有資格者としての価値を感じられる方のおかげもあり、公認会計士の報酬感は他の士業と比べて高い印象を受けます。M&Aの何の業務を行うかにもよりますが、安くはない報酬である点も加味しつつ、公認会計士を選ぶかどうかをご判断いただくとよいと思います。 (了)
#567(掲載号)
#荻窪 輝明
2024/05/02
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〈一から学ぶ〉リース取引の会計と税務 【第15回】「リース取引の法律知識」

〈一から学ぶ〉 リース取引の会計と税務 【第15回】 (最終回) 「リース取引の法律知識」   公認会計士・税理士 喜多 弘美   本連載では、これまで日本におけるリース取引の会計や税務上の取扱いを中心に解説し、前回、リースに係る国際的な動向を確認しました。最終回となる本稿では最後に、リース取引に係る法律知識について簡単に整理します。   1 リース契約に関する法律知識 【第3回】で整理したとおり、リース取引の登場人物は、①ユーザー、②リース会社、③サプライヤーの3者でした。また、リース契約は、①ユーザーと②リース会社の間で締結されます。 (1) リースの実態 はじめに、リースの実態は何かを確認していきましょう。もしリース契約書がない場合、法的には、(a)売買契約、(b)賃貸借契約、(c)消費貸借契約の3つの契約を組み合わせることになります。 まず、②リース会社と③サプライヤーの間で、①ユーザーが選定したリース物件の(a)売買契約を行います。これにより、③サプライヤーは②リース会社に対してリース物件を引き渡す義務を負い、②リース会社は③サプライヤーへリース物件に対して売買代金を支払う義務を負います(民法555条)。売買契約の締結により、リース物件の所有権は②リース会社へ移転することになります。 次に、①ユーザーと②リース会社との間で、リース物件の(b)賃貸借契約を締結します。これにより、②リース会社はリース物件の使用及び収益を①ユーザーにさせる義務を負い、①ユーザーは②リース会社に対して賃料を支払う義務を負います(民法601条)。 リース契約を締結せず、(a)売買契約と(b)賃貸借契約が全く別々の契約だったとすると、契約上、①ユーザーと③サプライヤーは全く結びつかず、①ユーザーと③サプライヤーの間で行われる、リース物件を①ユーザーが選定したことも結びつかないため、リース物件のメンテンナンスや契約不適合があった場合に誰が解決するのか、民法では解決できない問題が生じてしまいます。 つまり、リースの実態を考えると、②リース会社と③サプライヤー間の(a)売買契約、①ユーザーと②リース会社間の(b)賃貸借契約を別々にすることはできず、③サプライヤーから①ユーザーへリース物件が売買され、②リース会社と①ユーザーの間で(c)消費貸借契約が締結されている(民法587条)ということになります。 (2) リース契約 リース契約に関しては、民法や商法のような一般的な法律に規定がなく、特別の法律もありません。そのため、リース契約の内容は、①ユーザーと②リース会社の合意によって定められることになります。もし、リース取引について法的な問題が生じた場合は、①ユーザーと②リース会社が合意したリース契約書の内容によって解決することになります。   2 リース契約書 では、リース契約書はどのようなものなのでしょうか。今回は、公益社団法人リース事業協会(以下「リース事業協会」という)が参考として掲載している「リース契約書の主な条項」の概要と、リース契約書の作成にあたり、①ユーザーが気をつけることを整理します。 (1) リース契約書の主な条項 リース事業協会のホームページに掲載されている「リース契約書の主な条項」は、以下のとおりとなります。以下の条項では主に、誰が責任(義務)を負うかが記載されています。 (2) ユーザーが気をつけること リース事業協会に加盟しているのはリース会社がほとんどです。そのため、リース会社がリース契約書を作成する際には、リース事業協会の「リース契約書」を基に作成することが考えられます。しかし、リース事業協会の「リース契約書」はリース会社の立場で作成されているため、以下ではリース契約書作成の際に、①ユーザーが気をつける点についていくつか記載します。 前述したように、リース契約の内容は、①ユーザーと②リース会社の合意によって定められます。つまり、必ずリース事業協会の「リース契約書」通りに契約締結しなければならないものではないので、①ユーザー、②リース会社、③サプライヤーの3者が対等な立場で契約締結に当たる必要があります。   (連載了)
#567(掲載号)
#喜多 弘美
2024/05/02
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