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令和7年度税制改正に関する《資料リンク集》(更新)
令和7年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和7年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
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《速報解説》 環境性能割の廃止等含む自動車関係諸税の見直し~令和8年度税制改正大綱~
《速報解説》 環境性能割の廃止等含む自動車関係諸税の見直し ~令和8年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士 菊地 弘 令和7年12月19日(金)、与党(自由民主党及び日本維新の会)が「令和8年度税制改正大綱」(与党大綱)を公表した。 大綱に示された自動車関係諸税についての主な改正事項等は、次のとおりである。 1 自動車重量税(国税) 「自動車重量税のエコカー減税」(排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に係る自動車重量税の免税等の特例措置)について、次の見直しを行った上、その適用期限が2年延長される。 (1) 乗用自動車 ① 燃費性能に関する要件の見直し ② 新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税の軽減 (2) トラック(車両総重量が2.5t以下の揮発油自動車に限る) 平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ない自動車に係る燃費性能に関する要件を次のとおりとする。 (3) トラック(車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の揮発油自動車及び軽油自動車に限る) 揮発油自動車のうち、平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの及び軽油自動車のうち平成30年排出ガス規制に適合するものについての自動車に係る燃費性能に関する要件を次のとおりとする。 (4) バス・トラック(車両総重量が3.5tを超えるものに限る) 2 自動車税環境性能割等(地方税) (1) 自動車税環境性能割等の廃止 自動車税環境性能割、軽自動車税環境性能割が、令和8年3月31日をもって廃止される。 これに伴い、現行の自動車税種別割を自動車税とし、現行の軽自動車税種別割を軽自動車税とするなど所要の措置を講ずる。 (2) 「グリーン化特例」の適用期限延長等 「グリーン化特例」(自動車税及び軽自動車税において講じている燃費性能等の優れた自動車の税率を軽減し、一定年数を経過した自動車の税率を重くする特例措置)について、適用期限が2年延長される。 「グリーン化特例」について、次の措置を講ずる。 (3) 軽油取引税の当分の間税率の廃止(都道府県税) 軽油取引税の当分の間税率(注)を令和8年4月1日に廃止するほか、所要の措置を講ずる。 (注) 地方税法附則による当分の間税率(1キロリットルにつき、32,100円)。〔参考:本則税率は1キロリットルにつき、15,000円〕 (了)
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《速報解説》 事業承継税制の見直し(相続税・贈与税)~令和8年度税制改正大綱~
《速報解説》 事業承継税制の見直し(相続税・贈与税) ~令和8年度税制改正大綱~ 太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) パートナー 税理士 西田 尚子 令和7年12月19日に公表された「令和8年度税制改正大綱」において、中小企業等の経営者の円滑な世代交代を通じた生産性の向上・成長を支援する観点から、事業承継税制の特例措置(贈与税・相続税ともに100%納税猶予)に係る承継計画の提出期限が延長された。 この制度に係る承継期限の延長は予定されていないため、実施スケジュールを含めた計画の策定に早期に取り組む方が望ましい。 措置の適用期限到来後の制度については、世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念に加えて、本措置の適用状況や課税の公平性の観点を踏まえて多角的に検討するとされている。 (了)
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《速報解説》 分離課税の導入含めた暗号資産取引等に係る課税の見直し~令和8年度税制改正大綱~
《速報解説》 分離課税の導入含めた暗号資産取引等に係る課税の見直し ~令和8年度税制改正大綱~ 弁護士 下尾 裕 令和7年12月19日に与党(自由民主党・日本維新の会)から公表された令和8年度税制改正大綱においては、暗号資産取引等に関する課税の見直しが盛り込まれている。 これらの改正は、現在、議論が進んでいる暗号資産に関する金融規制の見直し、具体的には、現在、資金決済法において規制されている暗号資産が新たに金融商品取引法において規制されることになることを前提としている。 1 所得課税 所得課税において一番大きな改正は、暗号資産を新たに規制対象とする金融商品取引法(改正金融商品取引法)の下、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して、金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産(特定暗号資産)を譲渡等した場合について、税率20%(所得税15%、個人住民税5%)による申告分離課税の対象とされた点である。 また、税制改正大綱の文言からは、税制改正以降における暗号資産の譲渡による所得は雑所得ではなく、原則として、譲渡所得として整理されることが読み取れる。 主な改正の内容は以下のとおりである(令和8年度税制改正大綱52~53頁)。 2 消費課税 現行の消費税法においては、暗号資産の譲渡は支払手段に類するものとして非課税である一方、暗号資産の貸付けは課税取引になっている。 これに対し、令和8年度税制改正においては、改正金融商品取引法の施行を前提に、暗号資産の譲渡を有価証券に類するものとして引き続き非課税とするとともに、暗号資産の貸付けについても、新たに非課税となる(令和8年度税制改正大綱130頁)。 また、消費税の課税売上割合の計算上、暗号資産の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入するとされている。 これらの改正は、上記適用開始日以降に行われる取引について適用される。 3 まとめ 今回の改正は、従前から自由民主党デジタル社会推進本部Web3プロジェクトチームの「ホワイトペーパー2024」等において提言がなされ、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)や日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)等の業界団体からの税制改正要望が出ていた暗号資産に係る申告分離課税等について、対象を「特定暗号資産」に限定しつつ結実した内容になっている。これにより、個人の暗号資産税制は一歩前進したこととなる。 また、上記改正のうち、一般株式等における申告分離課税の対象に、「特定暗号資産を投資の対象とする投資信託の受益権」を追加したのは、特定暗号資産に係る暗号資産ETFの課税関係を同様に申告分離課税の対象とすることで、現物である暗号資産との課税関係の均衡を維持しようとしたものと理解される。 一方、具体的にどの暗号資産が申告分離課税の対象となる「特定暗号資産」となるのか、暗号資産の「譲渡」以外の取引に関する税務上の取扱い等、税制改正大綱からは読み取れない部分も多く、今後の議論を注視する必要がある。 (了)
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《速報解説》 青色申告特別控除の見直し~令和8年度税制改正大綱~
《速報解説》 青色申告特別控除の見直し ~令和8年度税制改正大綱~ 税理士 油谷 景子 令和7年12月19日(金)に公表された「令和8年度税制改正大綱」(与党大綱)において令和9年分以後の所得税に係る青色申告特別控除の見直しが明記された。 以下、本稿ではその見直し内容について解説を行う。 1 改正内容 改正案では、青色申告特別控除は、次の区分に従ってそれぞれ次の控除額とされる。 55万円の青色申告特別控除について、その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、提出期限までに e-Taxを使用して行うことが要件とされ、控除額が「65万円」に引き上げられる。 上記に加えて、その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する国税帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(「電子帳簿保存法」)に定めるところにより電磁的記録の保存等を行っていること(次のいずれかに限る)の要件を満たす場合には、控除額が「75万円」に引き上げられる。 (注1) 「特定電子計算機処理システム」とは、国税庁長官の定める基準に適合する電子計算機処理システムをいう。 (注2) 「特定電磁的記録」とは、次の電磁的記録をいう。 ① 保存要件に従って保存が行われている電子取引の取引情報に係る電磁的記録 ② 災害その他やむを得ない事情により、保存要件に従って電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合又は納税地等の所轄税務署長が保存要件に従ってその電磁的記録の保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認めた一定の場合に、保存要件にかかわらず保存が行われているその電磁的記録 また、青色申告の承認を受け、簡易方式又は現金主義により取引の記録を行っている個人に対する「10万円の青色申告特別控除」は、所得要件が追加され、事業所得又は不動産所得に係る前々年の収入が1,000万円を超える納税者は対象から除かれる。この場合の所得判定は、前々年の収入、、、、、、で行うことに留意する。 2 改正前と改正後の比較と影響 改正前後を比較すると、次のとおりである。 65万円控除を受けるためには、提出期限までにe-Taxによる申告が必須となる。したがって、e-Taxを使用せず書面申告を行う場合には、令和8年分の所得税までは55万円の控除であるが、令和9年分以後の所得税においては、「10万円」の控除となる。 また、事業所得又は不動産所得に係る前々年の収入が1,000万円超の場合は、簡易簿記による「10万円控除」の対象外とされる。 なお、優良な電子帳簿等を行う場合には、「75万円」の控除が可能となる。 本改正は、①より一層の電子申告の促進、②帳簿の電子化の推進、③一定規模以上の所得者に対して簡易簿記から「複式簿記」へ移行を促す趣旨があると考えられる。 なお、本改正は、令和9年分以後の所得税から適用が予定される。 (了)
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《速報解説》 適格請求書等保存方式に係る経過措置の見直し~令和8年度税制改正大綱~
《速報解説》 適格請求書等保存方式に係る経過措置の見直し ~令和8年度税制改正大綱~ 税理士 石川 幸恵 令和7年12月19日に公表された「令和8年度税制改正大綱」(与党大綱)では、「インボイス制度導入に伴う経過措置」について、小規模事業者への配慮を示しつつ、これを利用した租税回避に対しては厳格に対応する姿勢が示されている。 租税回避の例としては、グローバル企業傘下の日本法人が同傘下の外国法人等(免税事業者)から商品を仕入れるに当たり、日本国内の倉庫に搬入(これにより輸入消費税を回避)されたものを仕入れることで、免税事業者である外国法人等からの国内仕入れとしていわゆる80%控除(28年改正法附則52)を適用する事例があり、税制の公平性の観点から問題視されている。 さらに、「インボイス制度導入に伴う経過措置」により、消費者が負担した消費税相当額の一部が納税されないという実態も踏まえ、各種の経過措置は最終的に終了する方針を堅持しつつ、一方で、個人・中小事業者に配慮した見直しを行うとしている。 1 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(28年改正法附則51の2①②、いわゆる2割特例)の取扱い いわゆる2割特例は、令和8年9月30日までの日の属する課税期間について適用を受けられる。個人事業者で2割特例の適用を受けてきた事業者は、令和9年中に当年分から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した簡易課税制度選択届出書を提出して、簡易課税に移行することが想定されていた(28年改正法附則51の2⑥)。 今般、事務負担への配慮がより必要と考えられる個人事業者(免税事業者がインボイス発行事業者となったこと等により事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる課税期間に限る。)については、これまで2割特例の対象となっていた個人事業者も含め、令和9年及び10年について納付税額を売上税額の3割とすることができる措置が講じられる。 一方、法人については、同様に免税事業者がインボイス発行事業者となったこと等により事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる課税期間であっても、3割の特例適用は想定されていないものと考えられる。これまで2割特例の適用を受けてきた法人についても同特例への移行はないものと考えられるが、今後の改正内容を詳しく確認する必要がある。 また、インボイス制度の導入により新たに課税事業者となった個人事業者の消費税確定申告状況については、インボイス発行事業者全体(申告義務があると考えられる者の95%)と比較すると93%とやや低いものの、概ね順調とされている。今後はさらなる適正な申告・納税を促す方策も検討されるようだ。 2 免税事業者等からの課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置(28年改正法附則52、53、いわゆる80%控除・50%控除)の取扱い (1) 租税回避への厳格な対応 いわゆる80%控除・50%控除については、制度上、適正に適用された場合であっても、消費者が払った消費税相当額の一部が納税されず、事業者の収入となる構造となっている。こうした構造が租税回避等に利用されている実態を踏まえ、当経過措置については令和6年度税制改正において、一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額がその年又はその事業年度で10億円を超える場合にはその超えた部分の課税仕入れについて80%控除の経過措置の適用を認めないこととされた(令和6年10月1日以後に開始する課税期間に適用)。 令和8年10月1日以後に開始する課税期間より10億円が1億円とされ、更なる引き下げについても検討されている。 (2) 小規模事業者への配慮 一方で、小規模な国内事業者への配慮として下表のように、適用期限を2年延長したうえで、控除割合を段階的かつより細かく設定する見直しが行われている。 (了)
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国税通則
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《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(令和7年4月~6月)」~注目事例の紹介~
《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(令和7年4月~6月)」 ~注目事例の紹介~ 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 国税不服審判所は、2025(令和7)年12月17日、「令和7年4月から6月までの裁決事例の追加等」を公表した。追加で公表された裁決は表のとおり、所得税法関係が4件、国税通則法関係が2件、法人税法関係、相続税法関係及び国税徴収法関係が各1件で、合計9件となっている。公表された裁決は、相続税法関係の1件が「全部取消し」となっている外はすべて「棄却」となっており、前回と同じく、「棄却」された事例の公表が多くなっている。 【表:公表裁決事例令和7年4月から6月分の一覧】※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された9件の裁決事例のうち、勤務先から騙取した金員を雑所得として申告しなかったことが隠蔽又は仮装行為であると認定した事例(②)、いわゆるスーパーカーの譲渡にかかる取得費の計算において、売却した車両が「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するとした事例(⑤)及び被相続人の現金として相続財産に該当するとして更正処分を受けた金員は、被相続人(審査請求人の母)の財産ではなく審査請求人の父に係る相続財産であるとして処分が全部取消しとなった事例(⑧)について、国税不服審判所の判断内容を概説したい。 なお、複数の争点がある裁決については、下記の概要の中で、その一部を割愛して、中心的な争点のみについて絞らせていただいたことを、あらかじめお断りしておく。 1 勤務先から騙取した金員を雑所得として申告しなかったことが隠蔽又は仮装行為であると認定した事例・・・② (1) 事案の概要 本件は、審査請求人が、勤務先法人H社から騙取した金員について、原処分庁が、当該金員は雑所得として課税の対象となり、また、請求人には、当該金員が自らの所得ではないかのように隠蔽又は仮装した事実が認められるとして、所得税等の決定処分及び重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、当該金員は、当該〇〇〇〇に対し〇〇〇として〇〇する旨の合意が成立しているため雑所得に係る総収入金額に算入すべきでないから、課税の対象となる所得は生じておらず、また、請求人には隠蔽又は仮装の事実はないなどとして原処分の一部の取消しを求めた事案である。 (2) 争点 (3) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、争点②について、重加算税制度の趣旨に鑑みれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当でなく、納税者が、当初から課税標準等又は税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたうえ、その意図に基づき、法定申告期限までに納税申告書を提出しなかったような場合には、重加算税の賦課要件が満たされるものと解するのが相当であるという法令解釈を述べた。 そのうえで、国税不服審判所は、審査請求人には当初から騙取した金員を申告する意図はなかったことを指摘したうえで、審査請求人による一連の行為は、単に自己の所得に関し納税申告書を提出しなかったというにとどまらず、当初から騙取によって得た所得を申告しないという確定的な意図の下、勤務先法人という第三者に対して内容虚偽の会計処理等を行い、事情を知らない勤務先法人を手足として利用して、課税機関に対する内容虚偽の確定申告をさせて請求人の所得が発覚しないようにしたといえ、これは、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに納税申告書を提出しなかったものであると評価できるから、勤務先法人による決算確定及び確定申告に結び付き得る審査請求人の行為は、国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当すると認められるとの判断を示したうえで、審査請求には理由がないから、これを棄却するという裁決を行った。 2 いわゆるスーパーカーの譲渡にかかる取得費の計算において、売却した車両が「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するとした事例・・・ ⑤ (1) 事案の概要 本件は、原処分庁が、審査請求人が売却した車両は「使用又は期間の経過により減価する資産」であるから譲渡所得が生じているとして所得税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、当該車両は「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当しないとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。 (2) 争点 審査請求人が売却した車両は、所得税法第38条第2項に規定する「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するか否か。 (3) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、ある資産が、使用又は期間の経過により減価しない資産(すなわち、所得税法第38条第2項の規定の適用のない資産であり、その範囲は、所得税法施行令第6条に規定する「時の経過によりその価値の減少しない資産」の範囲と同じであるものと解される)に該当するか否かの判断は、その資産が、その属する類型において、社会通念上想定される本来的な目的・効用を前提に、当該目的・効用が期間の経過により減少していくか否かという点から行われるべきであり、ただ、個別の資産につき、その価値が、当該類型の資産に求められる本来的な目的・効用とは異なる面に置かれていることが社会通念上確立しているといえるような例外的な場合に、これと異なる判断がされるにすぎないものと解するべきであるとの判断を示した。 そのうえで、国税不服審判所は、審査請求人が売却した車両は、自動車であるから、所得税法施行令第6条第6号に掲げる「車両及び運搬具」に該当し、自動車の本来の効用は、人や物を乗せ、原動機の動力によって車輪を回転させて路上を走ることにあるところ、経年や使用によって原動機の性能が低下したり、その構成部品が劣化したりすることによって、その機能は一般的・類型的に逓減していくものであり、逆に、およそ自動車である以上、かかる機能の劣化が一切発生しないとか、使用によってむしろ機能が向上するといった事態が生じ得ないことは、社会通念上明らかであるといえることから、自動車は、原則として「時の経過によりその価値の減少しない資産」には該当しないものというべきであると述べたうえで、審査請求人が売却した車両が、「骨とう」すなわち「古美術品、古文書、出土品、遺物等」に類するといえる程度の長期間を経てもなお確立した高い価値を維持しているような場合に当たると解することはできないから、その価値が、当該類型の資産に求められる本来的な目的・効用とは異なる面に置かれていることが社会通念上確立しているといえるような例外的な場合には該当しないこと、審判所の調査及び審理の結果によっても、「時の経過によりその価値の減少しない資産」であることをうかがわせるような事情は認められないとして、審査請求には理由がないから、これを棄却するという裁決を行った。 3 被相続人の現金として相続財産に該当するとして更正処分を受けた金員は、被相続人(審査請求人の母)の財産ではなく審査請求人の父の相続財産であるとして処分が全部取消しとなった事例・・・ ⑧ (1) 事案の概要 本件は、審査請求人が、亡母の相続に係る相続税の申告を行った後、原処分庁が、当該相続に係る遺産分割協議において請求人が取得したとする金員が申告されていないとして更正処分等を行ったことに対し、請求人が、当該金員は当該相続に係る相続財産に該当しないとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。 (2) 争点 審査請求人が本件相続により取得したとする現金は、審査請求人の母である被相続人の相続に係る相続財産に該当するか否か。 (3) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、事実認定の結果、審査請求人が本件相続により取得したとする現金は、相続開始日より前の令和元年5月時点で被相続人及び共同相続人の下で、審査請求人の父の相続に係る追加分の相続財産として整理され、納税や残余財産の清算が行われたと認められ、このような客観的状況を踏まえると、審査請求人が、相続開始日時点において、この現金を管理・所有していたと認めることはできないことから、相続開始日において審査請求人がこの現金の全額を管理・所有していたことを前提とする遺産分割協議書については、その内容が客観的状況と整合しておらず、その内容の真実性については疑義があるというほかないとして、遺産分割協議書に共同相続人3名の署名押印があることをもって、相続開始日にこの現金が存在し、審査請求人が相続に係る相続財産として取得したことを推認することはできないというべきであると結論づけて、原処分庁による更正処分等は違法であるから、その全部を取り消すべきであり、審査請求には理由があるから、原処分の全部を取り消す裁決を行った。 (了)
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《速報解説》 NISA制度の拡充~令和8年度税制改正大綱~
《速報解説》 NISA制度の拡充 ~令和8年度税制改正大綱~ 税理士 廣瀬 周平 令和7年12月19日に公表された「令和8年度税制改正大綱」(与党大綱)において、NISA制度が拡充されることが明らかとなった。 あらゆる世代の長期・安定的な資産形成の支援を目的として、制度の柔軟性・利便性の向上が図られ、以下の3点が改正された。 1 こどもNISA(未成年者つみたて投資枠) これまで18歳以上とされていた口座開設年齢が撤廃され、子育て世帯の将来設計を応援するために、0歳から17歳までの子どもを対象とした「未成年者つみたて投資枠」が創設された。 【未成年者つみたて投資枠】 この制度は、親が使用している新NISAと併用でき、祖父母から孫への生前贈与(贈与税非課税枠110万円/年)との組み合わせにより、将来の教育資金だけでなく、家族の資産形成を非課税で柔軟に行うことができる。 2 「つみたて投資枠」の投資対象商品の拡充 「つみたて投資枠」では、長期の積立・分散投資に適した金融庁の基準を満たした投資信託が対象となっている。 資産形成を始めたばかりの若年層や高齢層といった低リスクでの運用を望むニーズに応える必要性から、株式に比べてリスクが低く、より安定的なキャッシュフローが望める債券型投資信託等の低リスク商品が、つみたて投資枠の対象商品として認められることとなった。 3 手続きの簡素化 現行では、新NISAの口座開設をした後、10年経過時等に金融機関が郵送等により、利用者の本人確認が必要であり、当該確認ができない場合は、新規買付が停止となる。 この金融機関が行っていた郵送等による「住所等の確認手続き」が廃止され、各金融機関による簡易的な確認を行うことで対応することとなった。 (了)
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《速報解説》 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置における防衛特別所得税の創設~令和8年度税制改正大綱~
《速報解説》 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置における 防衛特別所得税の創設 ~令和8年度税制改正大綱~ 辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健 本稿では、令和7年12月19日に公表された「令和8年度税制改正大綱」(与党大綱)のうち、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置のうち所得税に関する部分について解説する。 1 経緯 我が国の防衛力の抜本的な強化を行うに当たり、安定的な財源を確保する必要があることから、令和5年度税制改正大綱では、令和9年度に向けて複数年かけて段階的に実施することとし、令和9年度において、1兆円強を確保することが明記され、法人税、所得税及びたばこ税について、一定の措置が講じられることとなった。 具体的には、令和7年度税制改正では、法人税について、税率4%の新たな付加税として、防衛特別法人税が創設され、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用されることになった。また、たばこ税は、加熱式たばこについて、紙巻たばことの間の税負担差を解消するため、課税方式の適正化が行われ、令和8年4月及び同年10月に実施が予定されている。 2 改正内容 所得税については、税率1%の新たな付加税として、防衛特別所得税(仮称)が創設されることとなった。すなわち、所得税の納税義務者は、基準所得税額につき、防衛特別所得税を納める義務があるとされる。防衛特別所得税額は、その年分の基準所得税額に1%の税率を乗じて計算する。課税期間は、令和9年以後、当分の間とされている。 なお、東日本大震災からの復興のための施策を実施するための財源として、平成25年から25年間、所得税額に2.1%上乗せする復興特別所得税が既に課されているが、納税者の負担を考慮し、復興特別所得税の税率が1%引き下げられることになる。その代わり、復興特別所得税については、復興財源の総額を確実に確保するため、課税期間が10年延長され令和29年までとされる。 (了)
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【重要】会員2万人突破記念! 新連載開始キャンペーンのお知らせ
【重要】 会員2万人突破記念! 新連載開始キャンペーンのお知らせ 平素より株式会社プロフェッションネットワークのサービスをご愛用いただき、厚くお礼申し上げます。 既報のとおり、当社が運営しております税務・会計Web情報誌プロフェッションジャーナル(Profession Journal)はおかげさまで会員2万人を突破いたしました。 会員2万人突破に伴い、2025年10月1日(水)より、本誌掲載の連載第1回をすべて無料公開とさせていただいておりますが、今回これに続くキャンペーンの一環として、年明けより複数の新連載を順次開始してまいります。 以下、新連載の概要及び開始時期等をお知らせさせていただきますので、どうぞご期待ください。 ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ※下記の新連載のタイトルをクリックすると詳細箇所に遷移します。 ◆ ◇ ◆ ◆ ◇ ◆ ◆ ◇ ◆ ◆ ◇ ◆ ◆ ◇ ◆ ※上記新連載の内容は随時更新し、今後も追加を予定しています。 ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ 今後ともプロフェッションジャーナルをご愛読賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
