件すべての結果を表示
New
お知らせ
その他お知らせ
令和8年度税制改正に関する《資料リンク集》(更新)
令和8年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和8年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
New
お知らせ
その他お知らせ
プロフェッションジャーナル No.633が公開されました!~今週のお薦め記事~
2025年8月28日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.633を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
New
税務
税務・会計
解説
解説一覧
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第51回】「類推解釈と「疑わしきは納税者の利益に」」-借地権利金「経済的実質」事件・最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁-
谷口教授と学ぶ 税法基本判例 【第51回】 「類推解釈と「疑わしきは納税者の利益に」」 -借地権利金「経済的実質」事件・最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁- 大阪学院大学法学部教授 谷口 勢津夫 Ⅰ はじめに 今回は、借地権の設定に伴い授受される権利金(以下「借地権利金」という)に係る所得税法上の所得区分が争われた事件に関する最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁(以下「本判決」という)を検討する。 本判決は次のとおり判示して(以下「判旨A」という。下線筆者)、昭和34年法律第79号による改正前の所得税法(昭和22年法律第27号。以下「旧所得税法」という)の下で一般論としては類推解釈により一定の借地権利金の譲渡所得該当性を認めたものであり、税法の分野では類推解釈ないし類推適用を認めた(と解される)数少ない判例の1つである(他の判例については拙著『税法創造論』(清文社・2022年)147-149頁[初出・2021年]参照。なお、類推解釈と類推適用は、類推すなわち「ある事案を直接に規定した法規がない場合に、それと類似の性質・関係をもった事案について規定した法規を間接的に適用すること」(田中成明『現代法理学』(有斐閣・2011年)468頁)を法適用過程における法適用者の視線(同459-460頁参照)の「先」に着目して別異に表現したものであると解されるので、以下では特に区別することなく用いることにする)。 Ⅱ 実質主義に基づく類推解釈と「疑わしきは納税者の利益に」 本判決は、「土地賃貸借における権利金授受の慣行」の一般化及び権利金の額の高額化や「借地法等による借地人の保護」というような土地賃貸借をめぐる法状態の変化に基づく借地権利金の「経済的実質」の変化に着目し(判旨A第2段落。「借地権価格の発生と権利金授受の慣行化」については白石満彦「借地権課税80年のあゆみ」税大論叢6号(1972年)209頁、240頁以下参照)、実質主義の考え方に基づき類推解釈を認めたものと解される(富沢達「判解」最判解民事篇(昭和45年度)1041頁、1046-1047頁参照)。 実質主義は「実質課税の原則」とも呼ばれ、税法の解釈の場面では、「租税法の基礎原則の1つ」としての「租税負担の公平の原則」に基づく「実質課税」を要請する「解釈原理」(田中二郎『租税法〔第3版〕』(有斐閣・1990年)128頁)であり、国税通則法の制定に当たって、「税法の解釈及び課税要件事実の判断については、各税法の目的に従い、租税負担の公平を図るよう、それらの経済的意義及び実質に即して行なうものとするという趣旨の原則規定をもうけるものとする」(税制調査会『国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)』(昭和36年7月)4頁)と答申されながらその実定法化が見送られたものであるが、判例では「税法上条理として是認されていたもの」(最判昭和39年9月17日集刑152号837頁)とされてきた(谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」第6回、拙著『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)【42】等参照)。 ただ、類推解釈は、一般に、租税法律主義の下では許容されないと考えられており(清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)35頁、金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)123頁等参照)、租税法律主義との相克が問題とされてきた実質主義に基づく場合はなおさらである。夙に、「租税法律主義は、納税義務の限界の租税法による明確化を要請しているのであるから、納税義務者に不利な税法の類推適用の禁止を要請する(・・・・・・)と共に、納税義務者にとつて有利な恣意的な税法の類推適用の禁止をも要請するのである。」(中川一郎『税法の解釈及び適用』(三晃社・1961年)155-156頁)とさえ説かれていたのであり、これらの「要請」は、執行上の原則としての租税法律主義(形式的租税法律主義)すなわち合法性の原則(前掲拙著『税法基本講義』【37】参照)が税法の解釈適用について要請するところである(同【41】参照)。にもかかわらず、本判決が一定の借地権利金の所得区分について旧所得税法9条の類推解釈を認めたのはなぜであろうか。 確かに、借地権利金のうち「借地権設定契約が長期の存続期間を定めるものであり、かつ、借地権の譲渡性を承認するものである等、所有者が当該土地の使用収益権を半永久的に手離す結果となる場合に、その対価として更地価格のきわめて高い割合に当たる金額が支払われるというようなもの」(判旨A第3段落)については、実質主義に基づき、「経済的、実質的には、所有権の権能の一部を譲渡した対価としての性質をもつものと認めることができる」(同段落)として、所得の「経済的実質」(判旨A第2段落)の類似性の観点から、「公平な課税の実現のために」(同第2段落)、「譲渡所得に当たるものと類推解釈する」(判旨A第3段落)という法律構成は、形式論理的には成り立つであろう。 しかし、そのような法律構成は、「法文からはなれた自由な解釈」(清永・前掲書35頁)に帰結するものであり、「すべての法解釈の出発点」(田中成明・前掲書467頁)で「最も説得力のある権威的論拠とされる法文および文言に忠実な文理解釈」(前掲拙著『税法基本講義』【44】)が可能である場合に採用すべきものではない。そうすると、「所得税法は最初の九つの種類の所得に属しないものをもってすべて最後の所得分類である雑所得に含ましめているのであるから、なぜ雑所得に該当しないと判断したのかその理由も必要であったと考えられる。」(清永敬次「判批」民商法雑誌65巻3号(1971年)437頁、444頁。下線筆者)との指摘は、法解釈方法論の観点からみた本判決の問題の核心を突くものであると考えられる。 上記の指摘の前に、「本件の場合、不動産所得に属するかそれとも譲渡所得に属するか疑わしい場合であったとして、その場合、なぜ譲渡所得に属するものと判断したのか必ずしも十分な説明が与えられているとは思えない。」(清永・前掲「判批」444頁)との指摘もされているが、これらの指摘はいずれも正鵠を射たものといえる。そうすると、本件借地権利金の所得区分につき雑所得該当性を検討せず不動産所得と譲渡所得との対比において後者と類推解釈するという本判決の法律構成を、前記のように実質主義に基づき形式論理的に理解するだけでは本判決の表面的な理解にとどまることになろう。本判決の真意を理解するには、上記の法律構成を正当化する価値判断を明らかにする必要があるように思われるのである。 その価値判断は本判決では明示的には述べられていないが、本判決は原審・東京高判昭和41年3月15日訟月12巻5号768頁(以下「原判決」という)の次の判示(下線筆者)を原則として是認したものと解される。 上記判示のうち「法律の解釈上疑わしい場合には、国民の利益に解するのが当然であるというべきであ[る]」という考え方は、「疑わしきは納税者の利益に(in dubio contra fiscum)」として税法の解釈原理たり得るか否かが夙に議論されていたところであるが(中川・前掲書128-135頁等参照)、下記の見解(清永・前掲書37頁。下線筆者)の説くところからすると、「疑わしきは納税者の利益に」は法解釈者の価値判断の問題として理解するのが妥当であるように思われる。下記の見解は「不明確な立法をしたことによる不利益を課税する側に負担させること」に対する積極的・肯定的価値判断に基づくものと解されるからである(岡村忠生ほか『租税法〔第4版〕』(有斐閣・2023年)29-30頁[岡村忠生執筆]も参照)。 要するに、本判決は原判決の前記判示を原則として是認し、その判示に含まれる「疑わしきは納税者の利益に」という価値判断をもって類推解釈を正当化する立場を踏襲したものと解される。 Ⅲ 実質主義及び遡及適用の禁止による類推解釈の限界づけ もっとも、原判決は、本判決と異なり、借地権利金の「経済的実質」について言及していない。むしろ、原判決は本件借地権利金について次のとおり判示し(下線筆者)その性質を明らかにすることができないことを自認している。 これに対して、本判決は下記のとおり判示し(以下「判旨B」という。下線筆者)、「性質の明らかでない権利金で・・・・・その後の法律の改正により譲渡所得と擬制されることになつた要件を充たすようなもの」(判旨B第2段落)について「法の改正前においても」(同段落)譲渡所得と類推解釈することを相当とした原判決には「法律の解釈を誤り、その結果審理を尽くさなかつた違法」(同段落)があるとして、原判決を破棄し本件を原審に差し戻した(差戻控訴審・東京高判昭和46年12月21日民集24巻11号1638頁では、本件借地権利金は「性質のあいまいな権利金」として不動産所得に該当するとされた)。 本判決は判旨Bで原判決に「法律の解釈を誤」った違法を認めたが、その理由について調査官解説は次のとおり解説している(富沢・前掲「判解」1047-1048頁。下線筆者)。 この調査官解説は、類推解釈の「限界」を「譲渡所得に当たると類推解釈すべき経済的実質」の有無に見出していると解される。すなわち、本判決について、これを類推解釈が実質主義に基づくものであるかどうかによって類推解釈の許容性を判断した判決とみて、解説を行っていると解されるのである。この解説によれば、「疑わしきは納税者の利益に」という価値判断によって正当化される類推解釈であっても、「譲渡所得に当たると類推解釈すべき経済的実質」を有しない権利金を譲渡所得とする類推解釈は、「法律の解釈を誤[ったもの]」(判旨B第2段落)であるということになろう。 これに加えて、本判決は、「性質の明らかでない権利金で・・・・・その後の法律の改正により譲渡所得と擬制されることになつた要件を充たすようなもの」(判旨B第2段落。下線筆者)について「法の改正前においても」(同段落)譲渡所得と類推解釈することを相当とした原判決には「法律の解釈を誤り、その結果審理を尽くさなかつた違法」(同段落)があると判断したが、これは、「租税法律主義の原則を強調し、経済生活の法的安定と予測可能性の必要を説き、税法の厳格解釈、税法における類推の禁止、遡及適用の禁止等を解釈原理として主張する論」(富沢・前掲「判解」1046頁。下線筆者)に立って、原判決が「その後の法律の改正により譲渡所得と擬制されることになつた要件」について「解釈原理」としての「遡及適用の禁止」に反する「法律の解釈」を行った、と判断したものと解される。 なお、昭和34年の所得税法改正による一定の借地権利金の譲渡所得扱いについて、次の説明(税制調査会『税制調査会答申及びその審議の内容と経過の説明』(昭和36年12月)558頁。下線筆者)がされている。 この説明からも明らかであるように、昭和33年所得税法改正は、実質主義の考慮に基づいてのみ借地権利金の譲渡所得該当性の要件を定めたのではなく、他の「諸点」をも考慮してその要件を定めたものであり、この点について次の解説(金子・前掲書266-267頁。下線筆者)は正鵠を射たものである。 これらの説明・解説によれば、原判決は、昭和34年所得税法改正の趣旨ないし理由に照らしてみると、本判決における実質主義に基づく類推解釈と異なり、いわゆる過剰包摂(overinclusion)をもちらす類推解釈を採用した点でも、「法律の解釈を誤[ったもの]」(本判決判旨B第2段落)として破棄され、「性質の明らかでない」(同段落)本件借地権利金について「権利金の性質等につき審理する必要がある」(同段落)として、原審に差し戻されたと解される。 本判決は、本件直後の昭和34年所得税法改正に「先導」されて安心して(恣意的判断の誹りの憂いなく)類推解釈を行ったことも否めないであろうが、ただ、同改正を「前倒し」して類推解釈を行ったのではなく、あくまでも実質主義に基づき類推解釈を行ったものとみるべきであろう。 Ⅳ おわりに 今回は、本判決が借地権利金の所得区分につき採用した実質主義に基づく類推解釈に関する法律構成を検討し、その類推解釈の正当根拠と限界を明らかにした。 問題は、その正当根拠としての「疑わしきは納税者の利益に」という価値判断を税法の解釈方法論の観点からどのように位置づけるかである。この点について、筆者は以下のように考え(前掲拙著『税法基本講義』【44】参照)、「疑わしきは納税者の利益に」という価値判断に基づく類推解釈が、法創造根拠理由の1つとしての実質主義に基づき許容されると考えるものである(前掲拙著『税法創造論』151-153頁[初出・2021年]参照)。 租税法律主義・合法性の原則の下で税法の解釈については厳格な解釈の要請が妥当するが、最も説得力のある権威的論拠とされる法文及び文言に忠実な文理解釈こそが、厳格な解釈の要請に最もよく適合する。もっとも、このことは、文理解釈が著しく不当・不合理な結果をもたらすものでない場合を前提にして、いえることである。そうでない場合のうち、文理解釈の結果が納税者にとって著しく不当・不合理な結果なものである場合には、裁判官は納税者に有利な「解釈」によってその結果を除去すべきである。 というのも、文理解釈の結果が課税権者たる国家にとって著しく不当・不合理なものである場合であれば国家は立法権を行使して法改正によりその結果を除去することができるのに対し、納税者は直接的には自らその結果を除去する権限を持たず、裁判を受ける権利(憲32条)を行使して裁判所に対してその結果の除去を請求し得るにとどまるが、裁判官は裁判を受ける権利を実質化し司法的救済を実現するためには、文理から離れた法創造によってでもその結果を除去し納税者の権利を救済しなければならないからである(司法的救済保障原則については前掲拙著『税法基本講義』【27】参照)。 (了)
New
法人税
税務
税務・会計
解説
解説一覧
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第4回】
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正 -防衛特別法人税等の企業への影響- 【第4回】 公認会計士・税理士 荒井 優美子 10 課税事業年度等 法人は各課税事業年度の基準法人税額に対して、当分の間、防衛特別法人税を課される(防衛財確法9)。課税事業年度は2026年4月1日以後に開始する各事業年度(法人税法第13条及び第14条に規定する事業年度)とされ、通算子法人については別途規定が設けられている(※1)(防衛財確法10)。納税地は法人税法の納税地と同一である(防衛財確法12)。 (※1) 通算親法人の2026年4月1日以後に開始する事業年度の期間内に開始する通算子法人の事業年度 11 課税標準と基準法人税額 (1) 課税標準法人税額 防衛特別法人税の課税標準は、各課税事業年度の課税標準法人税額とされ(防衛財確法12①)、課税標準法人税額は、法人が留保金課税がある場合とない場合とで計算が異なる。留保金課税がない場合は、各課税事業年度の基準法人税額から基礎控除額を控除した金額が課税標準法人税額とされる(防衛財確法12②一)。 【図表5】留保金課税がない法人の課税標準法人税額 各課税事業年度の基準法人税額には、留保金課税を受けた場合の留保税額(※2)を含む金額として計算されるが、この場合の課税標準法人税額は以下の金額の合計とされる(防衛財確法12②二)。 (※2) 基準法人税額のうちに特定同族会社の特別税率(留保金課税)により加算された金額 (注1) 基準法人税額から留保税額を控除した金額 (注2) 基準法人税額のうち留保税額 (注3) 基準法人税加算額から上記①で控除しきれなかった基礎控除額 【図表6】留保金課税がある法人の課税標準法人税額 (2) 基準法人税額の計算 法人税の計算過程と防衛特別法人税における基準法人税額の計算過程(地方法人税の基準法人税額の計算と同様である)は下記の【図表7】に示すとおりである。 内国法人の基準法人税額は、法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(以下の規定を除く)により計算した法人税の額である(防衛財確法10一)。すなわち、基準法人税額は、【図表7】の①から②を控除し、③~⑥を加算し、⑦を控除せずに計算される。外国法人の基準法人税額は、恒久的施設の有無により、各事業年度の国内源泉所得に係る所得の金額の区分ごとに、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(所得税額控除等の規定を除く)により計算した法人税の額の合計額である(防衛財確法10二)。 【図表7】内国法人に係る法人税の計算過程と防衛特別法人税における基準法人税額の計算過程との関係 *1 戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置による税額控除(措法42の12の6⑥⑦)、控除対象所得税額等相当額の控除(措法66の7④・66の9の3③) *2 通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額(措法42の14①④)のうち戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置による部分 (出典:財務省ホームページ「令和7年度税制改正の解説」を基に筆者作成) (3) 基礎控除額 基礎控除額は、年500万円とされ(防衛財確法13③一)、課税事業年度が1年に満たない法人は月数で按分する(1月未満の端数は切上げ)(防衛財確法13⑧⑨)。通算法人の場合には、500万円を各通算法人の基準法人税額又は加算前基準法人税額の比で配分した金額とされる(防確法13③二)。 (続く)
New
消費税・地方消費税
税務
税務・会計
解説
解説一覧
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例149(消費税)】 「国、地方公共団体、公共・公益法人等の仕入控除税額の計算の特例を知らなかったため、特定収入がある場合の仕入控除税額の調整を行っておらず、結果として不利な原則課税により申告していた事例」
「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例149(消費税)】 税理士 齋藤 和助 《基礎知識》 ◆国、地方公共団体、公共・公益法人等の仕入控除税額の計算の特例 国、地方公共団体、公共・公益法人等(人格のない社団等を含む)は、本来、市場経済の法則が成り立たない事業を行っていることが多く、通常は租税、補助金、会費、寄附金等の対価性のない収入を恒常的な財源としているのが実態である。 このような対価性のない収入によって賄われる課税仕入れ等は、課税売上げのコストを構成しない、いわば最終消費的な性格を持つものと考えられる。また、消費税法における仕入税額控除制度は、税の累積を排除するためのものであることから、対価性のない収入を原資とする課税仕入れ等に係る税額を課税売上げに係る消費税の額から控除することは合理性がない。 そこで、国、地方公共団体、公共・公益法人等については、通常の方法により計算される仕入控除税額について調整を行い、補助金等の対価性のない特定収入により賄われる課税仕入れ等に係る税額について、仕入税額控除の対象から除外することとされている。 ◆特定収入の意義(消基通16-2-1) 国、地方公共団体等に対する仕入れに係る消費税額の計算の特例に規定する「特定収入」とは、資産の譲渡等の対価に該当しない収入のうち、次の特定収入に該当しないものに掲げる収入以外の収入をいうのであるから、例えば、次の収入がこれに該当する。 ◆特定収入に該当しないもの(消令75) 資産の譲渡等の対価以外の収入で、次のようなものは特定収入に該当しない。 ◆特定収入がある場合の仕入控除税額の調整 国、地方公共団体、公共・公益法人等が簡易課税制度を適用せず、原則課税により仕入控除税額を計算する場合で、特定収入割合が5%を超えるときは、通常の計算方法によって算出した仕入控除税額から一定の方法によって計算した特定収入に係る課税仕入れ等の消費税額を控除した残額を、その課税期間の仕入控除税額としなければならない。 ただし、国、地方公共団体、公共・公益法人等が簡易課税制度を適用している場合又は特定収入割合が5%以下である場合には、この仕入控除税額の調整をする必要はなく、通常の計算方法によって算出した仕入控除税額の全額を、その課税期間の仕入控除税額とすることができる。 ◆特定収入割合 特定収入割合は、その課税期間中の特定収入の合計額を、その課税期間中の税抜課税売上高、免税売上高、非課税売上高、国外売上高の合計額(=資産の譲渡等の対価の額の合計額)及び特定収入の合計額の総合計額で除して計算する。 (了)
New
消費税・地方消費税
税務
税務・会計
解説
解説一覧
学会(学術団体)の税務Q&A 【第20回】「非居住者に対して講演謝金を支払う場合(来日講演又はオンライン講演)の税務上の留意点」
学会(学術団体)の税務Q&A 【第20回】 「非居住者に対して講演謝金を支払う場合 (来日講演又はオンライン講演)の税務上の留意点」 公認会計士・税理士 岡部 正義 ▲▼▲[解説]▲▼▲ 学術集会の際に、海外の研究者(非居住者)に講演してもらうケースはよくあるが、その際、来日して講演してもらうケースと海外からオンラインで講演してもらうケースでは、税務上の取扱いが異なるため留意が必要である。 1 来日講演の場合 (1) 消費税 来日講演の場合、国内で講演してもらうため、国内の課税取引となる。そのため、仕入税額控除を行うためには、原則としてインボイスが必要となるが、海外の研究者が適格請求書発行事業者であるケースは考えにくいため、通常、仕入税額控除が制限されるものと考える。 インボイスの少額特例が適用可能な学会の場合、インボイスがなくても1万円未満であれば仕入税額控除を適用することが可能であるが、海外の研究者に対する講演謝金は、通常1万円以上であるケースが多いため、仮に少額特例が適用可能な学会であっても、海外の研究者に対する講演謝金に適用できるケースは多くないと思われる。 なお、令和11年9月30日まではインボイスの経過措置期間であるため、区分記載請求書の記載要件を満たした講演謝金に関する領収書(又は支払通知書)を保存しておけば、一定割合(80%・50%)について仕入税額控除が可能である。 (2) 源泉所得税 来日講演した非居住者に対する講演謝金は、原則として源泉徴収の対象となり、報酬額の20.42%を源泉徴収する必要がある。ただし、租税条約による免除規定の適用を受ける場合は免税となる。 〈講演料の支払と源泉〉 租税条約による免除規定の適用を受けるためには、講演謝金の支払い前に学会の所轄税務署に租税条約に関する届出書を提出する必要があり、講演者及び学会において一定の事務負担が生じることになる。そのため、実務においては、仮に租税条約の適用が可能な場合であっても、手続せずに20.42%で源泉徴収しているようなケースも見受けられる。 2 海外からのオンライン講演 (1) 消費税 海外からのオンライン講演は、国外から電気通信の利用を通じて役務の提供を受けていることになるため、事業者向け電気通信利用役務の提供に該当すると考えられる。そのため、当該取引はリバースチャージの対象となるが、一般的に学会では非課税売上となる取引は少なく、課税売上割合が95%以上(リバースチャージの適用対象外)の学会が大部分であると考えられるため、仕入税額控除の対象外となるケースが多いと考える。 (2) 源泉所得税 非居住者が海外からオンラインで講演を行う場合、国外源泉所得になると考えられるため、源泉徴収は不要である。 (了)
New
固定資産税・都市計画税
税務
税務・会計
解説
解説一覧
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第52回】「重ダンプは人や物の運搬を主たる目的とする車両及び運搬具と断定できず、機械及び装置に該当しないといえないから、中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等の適用が認められた事例」
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第52回】 「重ダンプは人や物の運搬を主たる目的とする車両及び運搬具と断定できず、機械及び装置に該当しないといえないから、中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等の適用が認められた事例」 税理士 菅野 真美 ▷車両運搬具と機械及び装置 機械及び装置や車両及び運搬具は 減価償却資産の種類の1つであるが(法法2二十三)、税法上明確な定義がなされていない。 そこで一般的な定義を国語辞典である「大辞林第四版」で調べると「機械」及び「装置」は次のようになる。 (※1) 松村明編 『大辞林第四版』(2019、三省堂)634頁 (※2) 松村編 前掲 1577頁 車両運搬具として掲載されていないことから「車両」、「運搬」並びに「具」に分解して定義を調べると次のようになる。 (※3) 松村編 前掲 1265頁 (※4) 松村編 前掲 277頁 この3つから、車両運搬具とは、人や物を運ぶ手段であると考えられる。 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表)の車両及び運搬具の中の特殊自動車は(この項には、別表第二に掲げる減価償却資産に含まれるブルドーザー、パワーショベルその他の自走式作業用機械並びにトラクター及び農林業用運搬機具を含まない)と定められている。つまり、自走式作業用機械は、機械及び装置に該当するから車両及び運搬具には該当しない。 また、耐用年数の適用等に関する取扱通達では、特殊自動車に該当しない建設車両等について次のように定められている。 ところで、重ダンプトラックというトラックの一種がある。これはどのようなものかJIS工業用語大辞典によると次のように定義されている。 (※5) 日本規格協会編『JIS工業用語大辞典 第5版』(2001、日本規格協会)948頁 この重ダンプトラックは、車両及び運搬具なのか、それとも機械及び装置に該当するものとして、中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除や、中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の法人税額の特別控除を適用することができるのか。この点で争われた裁決事例を検討する。 ▷どのような事案か 納税者は、採掘加工販売等を営む法人であり、措置法42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)又は42条の12の4(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)で定められた中小企業者等で、かつ、納税者の営む事業は、上記法令で規定された指定事業に該当する。 納税者は、平成27年3月期、平成28年3月期、平成29年3月期に取得した重ダンプが、機械及び装置に該当するものとして措置法42条の6を適用して申告をした。また、平成30年3月期、平成31年3月期に取得した重ダンプについては、機械及び装置に該当するものとして措置法42条の12の4を適用して申告をした。 課税庁は税務調査を行い、上記特別控除を適用した重ダンプは、車両及び運搬具に該当するものとして更正処分等を行ったところ、この課税処分に不服な納税者が審査請求したのが本件である。 ▷争点 争点は2つあったが、本稿では各重ダンプが「機械及び装置」に該当するものとして、措置法42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)又は42条の12の4(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)に規定する「機械及び装置」に該当するかを検討する。 ▷裁決 裁決は、課税庁の処分のうち、法人税額の特別控除を不適用とした部分は違法であるとして処分の一部又は、全部取消しを行った。 要旨は以下である。 (※6) ■■■等は裁決書の記載である。 本件各重ダンプが行う主たる役務が運搬であると断定することができず、「車両及び運搬具」に該当するとまでは認められないことから、更正すべき理由はなく、措置法42条の6又は42条の12の4の規定に基づく法人税額の特別控除を不適用とした部分は違法である。 このように納税者の重ダンプは、特別控除が認められた。車両及び運搬具又は機械及び装置に該当するための判断基準は、主たる目的が、人や物を運搬することか、作業現場で作業することかである。本件の場合は、主たる目的が■■■等の運搬であるとは判断できなかった。このような車両について機械及び装置として特別控除を受けるためには、主たる目的が運搬ではないということを証明できることが重要である。 (了)
New
国際課税
税務
税務・会計
解説
解説一覧
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第78回】「定期傭船契約付き船舶の評価方法が争われた事例(地判令2.10.1)(その2)」~相続税法22条~
〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第78回】 「定期傭船契約付き船舶の評価方法が争われた事例 (地判令2.10.1)(その2)」 ~相続税法22条~ 税理士 大野 道千 2 検討 【船舶の評価】 (1) 判断順序 本件では、「被告が本件各処分の適法性の根拠として本件各船舶の価格につき原処分庁鑑定価格(・・・)を主張している(・・・)ことから、以下においては、まず、原処分庁鑑定における評価対象船舶の価格評価が合理的に行われたものであるか否かについて検討し、その合理性が否定される場合に、原告鑑定における価格評価を採用することができるか否かについて検討することとする」とし、まず被告の船価方式について合理性の検討が行われ、その合理性が否定される場合に原告鑑定の検討に移るという順序で検討が行われている。 つまり、処分庁である被告鑑定に不合理な点がなかった場合は納税者である原告鑑定について検討が行われなかった可能性がある。 当判決が「(・・・)船価鑑定に一定の実績を有する訴外各専門業者からのヒアリング結果(・・・)からも明らかなように、船価鑑定の具体的な手法は精通者の間においても一様ではなく、鑑定方式の選択や価格形成要因の評価等の取扱いが異なっている(・・・)」と述べるように複数の評価額があり得る場合において原処分庁側の鑑定結果が優先的に採用される点については検討の余地がある(※1)。そこで、建替えを予定する不動産の財産評価において、評価通達によらない評価と評価通達による評価、それぞれの価額が検討された東京高判平成27年12月17日を基に検討を行う。 (※1) 渋谷雅弘は「このような判断過程においては、原処分庁鑑定の合理性が認められた場合には、X鑑定の合理性や、両者のどちらが優れているかといった点は検討されないことになる。その結果として、一応合理的であると認められる財産評価方法が複数存在する場合には、課税庁がそれらの中から優先的に評価方法を選ぶことができるということになる」とし、「納税者と課税庁との鑑定評価にまで優先劣後の関係を持たせることには、法的根拠を見出し難いように思われる」と疑問を呈している(渋谷雅弘「定期傭船契約付き船舶の評価方法」ジュリ1563号11頁(2021))。 (2) 平成27年12月17日東京高裁判決の事案の概要 贈与により建替え予定のある老朽化した不動産を取得した原告らが、不動産鑑定士の鑑定評価による当該不動産の価額を基礎として課税価格を計算し各々贈与税の申告をしたところ、各処分行政庁から、当該各不動産の価額は財産評価基本通達に定められた評価方式により評価したものとすべきであるとして、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分を受けたため、本件各更正処分のうち原告らの申告に係る課税価格及び納付すべき税額を超える部分並びに本件各賦課決定処分の取消しを求めた事案である。 原告らは鑑定評価による価額が時価であり、評価通達による評価はこの時価を大きく上回っている旨主張した。原審は、不動産の建替えが実現する蓋然性が高かったにもかかわらず、蓋然性が高くなかったことを前提として評価した鑑定評価はその評価の前提を欠くものであって、評価通達による評価額が本件各贈与時における不動産の時価を上回っていたと認めることはできないとして、控訴人らの請求をいずれも棄却。控訴人らがこれを不服として控訴した。 (3) 平成27年12月17日東京高裁判旨 相続税法22条は、贈与等により取得した財産の価額を当該財産の取得の時における時価によるとするが、ここにいう時価とは当該財産の客観的な交換価値をいうものと解される(・・・)。(・・・)相続税法は(・・・)、財産が多種多様であり、時価の評価が必ずしも容易なことではなく、評価に関与する者次第で個人差があり得るため、 納税者間の公平の確保、納税者及び課税庁双方の便宜、経費の節減等の観点から、評価に関する通達により全国一律の統一的な評価の方法を定めることを予定し、これにより財産の評価がされることを当然の前提とする趣旨であると解するのが相当である。(・・・)。同法の上記趣旨を受けて、国税庁長官は財産評価基本通達を定め、この通達に従って実際の評価が行われている。 同法の上記趣旨に鑑みれば、評価対象の不動産に適用される評価通達の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、かつ、当該不動産の贈与税の課税価格がその評価方法に従って決定された場合には、上記課税価格は、その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り、贈与時における当該不動産の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認するのが相当である(・・・)。 (・・・)本件各贈与時にはAの建替えが実現する蓋然性が高かったというべきであるから、本件各贈与時においてAの建替えの実現性に不透明な部分があったということはできず、評価通達が定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することができない特別の事情が存在したということはできない。 したがって、上記建替えを前提として評価通達が定める評価方法に従って本件各不動産を評価して決定された課税価格は、贈与時における本件各不動産の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認される。 そうすると、本件各贈与時においてAの建替えの実現性に不透明な部分があるとして上記建替え前の客観的な交換価値を算定する本件各鑑定評価額は、その前提を欠くというべきであるから、(・・・)本件各不動産につき評価通達による評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情をいうに足りないことは明らかである。 3 考察 (1) 財産の評価額 相続税法22条は、財産の価額はその取得の時における時価と定め(※2)、取得の時とは、相続税の場合は被相続人等の死亡の日、贈与税の場合は贈与によって財産を取得した日をいい(※3)、「取得の時」より後に何らかの理由で財産の価格が低落した場合も課税価格の基礎となる財産の価額は、原則的には相続時又は贈与時のその財産の時価であるとされる(※4)。財産の時価については、相続税法において一部の財産のみ規定するほかは解釈適用に委ねられているが、これを客観的に評価することは困難であり、納税者間の公平性の観点から、実務上は当該一部の財産を除いて国税庁が定める財産評価基本通達に従って行われている(※5)。 (※2) 相続税法22条は、「この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による」と定める。 (※3) 金子宏『租税法〔第24版〕』734頁(弘文堂、2021)。 (※4) 同上[金子]。 (※5) 同上[金子]。 (2) 参考判例における判断順序 参考判例が概ね引用した原審判決では、「評価通達に定められた評価方式が贈与により取得した財産の取得の時における時価を算定するための手法として合理的なものであると認められる場合においては、(・・・)納税者間の公平、納税者の便宜、効率的な徴税といった租税法律関係の確定に際して求められる種々の要請を満たし、国民の納税義務の適正な履行の確保(国税通則法1条、相続税法1条参照)に資するものとして、相続税法22条の規定の許容するところである」とした上で、(ⅰ)評価通達に定められた評価方式における合理性の有無、(ⅱ)評価通達に定められた評価方式によっては適正な時価を適切に算定することのできない特段の事情の有無①鑑定評価が時価を表すものであるか否か、②評価通達に定められた評価方式による評価額が時価を上回っているか否かの順に検討が行われている。 上記(ⅱ)の検討理由として、原審は「原告らは、本件各鑑定評価額が本件各贈与時における本件各不動産の時価であり、評価通達に定められた評価方式によって本件各不動産の価額として算定された金額は上記の本件各贈与時における本件各不動産の時価を上回っていると主張しており、本件各不動産について評価通達に定められた評価方式によっては適正な時価を適切に算定することのできない特段の事情がある旨を主張しているものと解されるので、これについて検討する。」と判示している。 (3) 本判決における納税義務者の主張及び検討 判決資料(別紙4「第2 原告の主張の要旨」)による原告の主張は次の通りである。 曰く、「被告は、被告評価額は、精通者である原処分庁鑑定業者の意見価格(原処分庁鑑定価格)を参酌して評価されたものであり、かかる評価方法によって適正な時価を適切に算定することのできない特別な事情もうかがわれないから、被告評価額は本件係争船舶の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認されると主張する。しかし、(・・・)原処分庁鑑定における鑑定方法は合理性を欠くものであって、上記の特別な事情が認められることになるから、被告評価額について適正な時価を上回るものではないとの推認は及ばないというべきである。 他方、精通者である原告鑑定業者が用いた鑑定方法は、(・・・)合理的なものであるから、原告鑑定業者の意見価格(原告鑑定価格)を参酌して評価した本件係争船舶の価額(・・・)をもって、本件贈与日時点における本件係争船舶の価額と認めるのが相当である。 そして、原告評価額及び当事者間に争いのない本件売却船舶の評価額を前提にすれば、本件株式の価額は0円であり、原告について平成21年分の贈与税の課税価格に係る贈与税額はないということになるから、原告に対してされた本件各処分は違法であって、取消しを免れない」。 本判決で双方が採用した方法はいずれも評価通達に認める評価方法であり、いずれも合理的であれば特段の事情について言及する必要はないように思われる。参考判例のように、原告側の評価通達に定める評価方式が合理的であり、評価額が適正時価である、との主張をした場合、本判決の判断過程は変わっただろうか。 財産の評価は納税者の利害に大きく影響することを考慮すれば、申告納税制度の下、納税義務者が自ら採用した評価通達に定める評価方式による評価額より処分庁における評価額の妥当性の検証を優先したことはいささか乱暴であったように受け取れる。 (4) 実務上の意義 船価鑑定の具体的手法が一様ではなく、船価鑑定における鑑定方式の選択や価格形成要因の評価等の取扱いが異なっている状況下で評価方式及びその合理性の認定過程が示されたことについての実務上の意義は大きい。しかしながら、通達において複数評価方法を認めつつ課税庁側の評価を優先的に取り扱う旨の判示は、確信的な自己申告を困難にする恐れがある(※6)。また、相続税法が定める「時価」の追求という意味では納税者側の評価の検討という視点もあろう(※7)という点で、特に評価手法の定まらない船舶の評価において「まず、原処分庁鑑定における評価対象船舶の価格評価が合理的に行われたものであるか否かについて検討し、その合理性が否定される場合に、原告鑑定における価格評価を採用することができるか否かについて検討することとする」とした本件判旨に反対である。 (※6) 碓井光明は申告納税制度が真に機能するための前提として納税者が自己の財産を自ら評価できる状態が必要であるとし、この前提が満たされない場合は申告内容に確信が持てず不安状態に陥るとしている(碓井光明「相続税・贈与税における資産評価-土地の評価を中心として」日税7号9頁(1988))。 (※7) 相続税法が定める「時価」の追求は、租税法律主義に基づいた判断に対する国民の期待に応えるものであると考える。金子宏は現実的には通達が法源と同様の機能を果たしているといえる実際的な重要性に鑑み、通達の内容が法令に抵触するものであってはならない、すなわち、法令が要求している以上の義務を通達によって納税者に課すことがあってはならない(同時に法令上の根拠なしに通達限りで納税義務を免除したり軽減することも許されない)とする(前掲(※3)116頁)。 なお、参考判例では建替えの蓋然性について、本判決では傭船契約継続の蓋然性が評価額に影響している。財産の価額はその取得の時における時価とされているものの、そこには将来見込まれる収益価値も蓋然性によっては考慮する必要があるとされた点に注意が必要である。 (了)
New
リース
会計
税務・会計
解説
解説一覧
財務会計
新リース会計基準における実務対応-会計処理と申告調整のポイント-【第1回】
新リース会計基準における実務対応 -会計処理と申告調整のポイント- 【第1回】 公認会計士 鈴木 慧史 1 リースとは ●リース会計基準の改正 令和6年9月、企業会計基準委員会から「リースに関する会計基準」(以下、リース会計基準)が公表されました(令和9年4月1日以後に開始する事業年度から適用)。従来のリース会計基準では、リース取引を「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の2種類に分類し、前者は売買処理、後者は賃貸借処理を行うこととされていました。 新たに公表されたリース会計基準では、借り手の会計処理についてこの分類を廃止し、すべてのリースにつき同一の会計処理を適用することとされました。一方、貸し手の会計処理は従来どおり、2種類に分類し、会計処理を定めています。 ●リースの識別が重要 リース会計基準では、借り手の全てのリースについてオンバランス処理が求められるため、契約がリースに該当するか否かの判断が非常に重要になります。 リース会計基準では、リースを「原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約」と定義しています。この定義に該当するか否かを判断するに当たっては、以下の2つの要件に照らして検討することとされています。 この2つの定義に該当する契約は、契約の名称を問わずリースに該当するとされます。例えば、オフィスや倉庫などの不動産の賃貸借契約について、通常は契約の対象となる物件が特定されており(要件①)、その使用方法を借り手が自由に決定することができる(要件②)ため、リースに該当するとされます。このように、リース会社との間で締結するいわゆるリース契約のほかにも、賃貸借契約やレンタル契約など幅広い契約がリース会計基準の対象となります。 2 リースの会計処理 (1) 借り手の会計処理 ●リース期間の決定 借り手の会計処理の前提として、リース期間を決定する必要があります。リース期間とは、リースの対象となる資産を使用する期間のことですが、契約書に記載された契約期間を単純に使用すればよいというわけではなく、以下の期間の合計とされます。 不動産の賃貸借契約を例に説明します。建物の賃貸借契約で、契約期間は2年、契約期間満了後に借り手は契約期間の延長が可能、3ヶ月前に通知することにより、借り手は契約を解約できるものとします。この場合、借り手は3ヶ月前に通知することによりいつでも解約できるため、①契約上の解約不能期間は3ヶ月となります。 また、契約期間満了後、契約期間の延長が可能であるため、②延長オプションを有していることになります。このため、リース期間の決定に当たっては、解約不能期間である3ヶ月と、延長オプションとして見込まれる期間の合計として算定することとなり、例えば延長オプションを含めて5年間、賃貸借契約が継続すると見込まれる場合には、リース期間は5年となります。 このように、契約書に記載された契約期間を単純に使用すればよいわけではなく、契約の更新または中途解約も想定した上でリース期間を決定することが必要となります。 ●リース開始時の会計処理:使用権資産とリース負債を計上 借り手のリースの会計処理は、従来のファイナンス・リース取引とほぼ同様になります。リース開始日において、リース料総額から利息相当額を控除した金額を、資産・負債として計上します。この場合、借方は使用権資産、貸方はリース負債という勘定科目を使用します。 ●リース期間中の会計処理:減価償却および利息相当額の配分 使用権資産を有形固定資産または無形固定資産として計上した上で、毎期、減価償却費を計上します。減価償却費はリース期間を耐用年数、残存価額を0とし、定額法等の減価償却方法の中から企業の実態に応じたものを選択適用した方法により算定します。 なお、対象資産の所有権が借り手に移転すると認められるリースについては、耐用年数を経済的使用可能予測期間、残存価額を合理的な見積額とし、対象資産を自ら所有していた場合に適用する減価償却と同一の方法により算定します。 リース負債はリース料の支払時に取り崩しますが、その際にリース料総額から控除した利息相当額について、原則として利息法により配分します。 設例1 ×1年4月1日に次のリース契約を締結した場合の仕訳は、以下のとおりです。 〔仕 訳〕 ×1年4月1日 使用権資産およびリース負債の計上 (※) 使用権資産およびリース負債の金額は、以下のように計算します。 10,000千円÷1.02+10,000千円÷1.022+10,000千円÷1.023+10,000千円÷1.024+10,000千円÷1.025=47,135千円 ×2年3月31日 使用権資産の償却 (※) リース期間を耐用年数とし、残存価額を0として計算します。 47,135千円÷5年=9,427千円 ×2年3月31日 リース料の支払い (※) 支払利息を以下のように計算し、残額をリース負債元本の返済として処理します。 47,135千円×2%=943千円 ●簡便的な取扱い 以上の原則的な会計処理に対して、リース会計基準では借り手の会計処理について、次の(ⅰ)および(ⅱ)の簡便的な取扱いが認められています。 (ⅰ) 利息相当額の配分方法 使用権資産の総額に重要性が乏しいと認められる場合、以下のいずれかの方法を適用することができます。 (※) 重要性が乏しい場合とは、次の割合が10%未満であることとされています。 設例2 設例1のリース契約について、上記の簡便法を採用した場合の仕訳は次のとおりです。 〔仕 訳〕 〇簡便法(a)の場合 ×1年4月1日 使用権資産およびリース負債の計上 (※) 利息相当額を控除しないため、リース料総額でオンバランスします。 ×2年3月31日 使用権資産の償却 (※) 50,000千円÷5年=10,000千円 ×2年3月31日 リース料の支払い (※) 支払リース料の全額がリース負債の返済となります。 〇簡便法(b)の場合 ×1年4月1日 使用権資産およびリース負債の計上 ×2年3月31日 使用権資産の償却 ×2年3月31日 リース料の支払い (※) 支払利息をリース期間で均等に按分します。 (50,000千円-47,135千円)÷5年=573千円 (ⅱ) 少額または短期リース 以下のリースについては、使用権資産およびリース負債を計上せず、賃貸借処理によることができます。なお、②と③はいずれかの方法を選択適用します。 この場合、リース開始時の仕訳はなく、リース料の支払時に次の仕訳を行います。 (続く)
New
会計
税務・会計
解説
解説一覧
財務会計
連結会計
連結会計を学ぶ(改) 【第3回】「連結の範囲に関する適用指針①」-親会社と子会社-
連結会計を学ぶ(改) 【第3回】 「連結の範囲に関する適用指針①」 -親会社と子会社- 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)では、連結財務諸表に含まれる子会社の範囲を、支配の概念にもとづいて基本的な規定を設けている。 より具体的な指針としては、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第22号。以下「連結範囲適用指針」という)が公表されている。 今回(第3回)と第4回及び第5回では、連結範囲適用指針にもとづいて連結の範囲を解説する。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 親会社と子会社 1 議決権割合の算定 連結会計基準では、「他の企業の意思決定機関を支配している企業」として、他の企業の議決権の過半数を自己の計算において所有している企業と規定している(連結会計基準7項(1))。 子会社の判定に係る議決権の所有割合は、原則として、次の算式によって算定する(連結範囲適用指針4項、36項)。 上記算式の議決権については次の事項に注意する(連結範囲適用指針4項~7項)。 ① 議決権は、期末における議決権である。 ② 他の会社が関連会社に該当するかどうかの判定において、持株関係が複雑であり、行使し得る議決権の総数の把握が困難と認められる場合には、議決権の所有割合の算式における分母を、行使し得る議決権の総数に代え、直前期の株主総会招集通知に記載されている総株主の議決権の数により算定することができる。 ③ 行使し得る議決権の総数は、株主総会において行使し得るものと認められている総株主の議決権の数である。 したがって、次の株式に係る議決権については、いずれも行使し得る議決権の総数には含まれないこととなる。 (a) 自己株式(会社法308条2項) (b) 完全無議決権株式(株主総会のすべての事項について議決権を行使することができない株式。会社法108条1項3号) (c) 会社法308条1項による相互保有株式 ④ 所有する議決権の数は、行使し得る議決権の総数のうち自己及び子会社の所有する議決権の数による。 ⑤ 議決権の所有割合を算定するにあたっては、議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等自己以外の者となっていても、議決権のある株式又は出資の所有のための資金関係、当該株式又は出資に係る配当その他の損益の帰属関係を検討し、自己の計算において所有しているか否かについての判断を行う必要がある。 2 緊密な者及び同意している者 緊密な者及び同意している者が存在している場合には、子会社の判定について用いられる議決権の所有割合は、原則として、次の算式によって算定する(連結範囲適用指針8項)。 「緊密な者」とは、自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者である(連結範囲適用指針8項)。 「同意している者」とは、契約や合意等により、自己の意思と同一内容の議決権を行使することに同意していると認められる者である(連結範囲適用指針8項、10項)。 緊密な者に該当するかどうかは、両者の関係に至った経緯、両者の関係状況の内容、過去の議決権の行使の状況、自己の商号との類似性等を踏まえ、実質的に判断する(連結範囲適用指針9項)。 例えば、次に掲げる者は一般的に緊密な者に該当するものと考えられている(連結範囲適用指針9項)。 ① 自己(自己の子会社を含む)が議決権の100分の20以上を所有している企業 ② 自己の役員又は自己の役員が議決権の過半数を所有している企業 ③ 自己の役員もしくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めている当該他の企業 ④ 自己の役員もしくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、代表権のある役員として派遣されており、かつ、取締役会その他これに準ずる機関の構成員の相当数(過半数に満たない場合を含む)を占めている当該他の企業 ⑤ 自己が資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているもの)の総額のおおむね過半について融資(債務保証及び担保の提供を含む)を行っている企業(金融機関が通常の取引として融資を行っている企業を除く) ⑥ 自己が技術援助契約等を締結しており、当該契約の終了により、事業の継続に重要な影響を及ぼすこととなる企業 ⑦ 自己との間の営業取引契約に関し、自己に対する事業依存度が著しく大きいこと又はフランチャイズ契約等により自己に対し著しく事業上の拘束を受けることとなる企業 上記以外の者であっても、出資、人事、資金、技術、取引等における両者の関係状況からみて、自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者は、「緊密な者」に該当する(連結範囲適用指針9項なお書き)。 自己と緊密な関係にあった企業であっても、その後、出資、人事、資金、技術、取引等の関係について見直しが行われ、自己の意思と同一の内容の議決権を行使するとは認められない場合には、緊密な者に該当しない(連結範囲適用指針9項また書き)。 (了)