公開日: 2015/03/05 (掲載号:No.109)
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贈与実務の頻出論点 【第1回】「税務署に否認されない贈与の方法」

筆者: 税理士法人チェスター

贈与実務の頻出論点

【第1回】

「税務署に否認されない贈与の方法」

 

税理士法人チェスター

 

クライアントに生前贈与による生前対策をアドバイスしようと考えていますが、税務署に否認されない贈与の方法を教えてください。

贈与は契約ですので贈与者と受贈者双方の合意が必要となります。贈与成立の証拠を贈与契約書等の書面により保存しておいたほうがいいでしょう。

解 説

生前贈与は計画的にやれば相続税対策として有効ですが、誤った方法で贈与をした場合には、税務署から指摘をされ、名義預金として相続財産に含めなければならない場合もあるため、注意が必要です。名義預金と認定されるということは贈与が成立していないといわれることと同義です。

贈与の成立を適正に立証するために、下記に重要なポイントをまとめます。

[1] 贈与契約書の作成

民法上、贈与契約は口頭でも成立しますが、口頭の贈与契約は取消しができるため、贈与契約書を作成し、贈与契約の内容を明確に書面で記録しておくことがいいでしょう。

[2] 贈与契約の実行

贈与契約書を作成しただけで、贈与を実際に行わなければ、贈与が成立したとはいえません。よって、作成した贈与契約書に基づき必ず贈与を実行してください。また、贈与の実行は現金ではなく、できるだけ客観的な記録が残る預金を通して行うべきでしょう。

[3] 贈与後の管理支配

受贈者は、贈与を受けた預貯金等を実質的に管理支配する必要があります。すなわち、受贈者の意思で自由に使える状態になければ贈与が成立したとはいえません。たまに親が子どもに内緒で子ども名義の預金通帳を作成しているケースが見受けられますが、これでは贈与の成立を立証することは困難です。

よって、問題なく贈与を成立させる方法のひとつとして、受贈者の普段使っている預金口座に振り込むことが考えられます。

[4] 贈与税の申告

贈与税の基礎控除額である110万円を超える贈与をし、贈与税の確定申告をすることも贈与を立証するために有効です。
例えば、120万円の贈与であれば贈与税は1万円ですむため、比較的低コストで行うことが可能です。

(了)

贈与実務の頻出論点

【第1回】

「税務署に否認されない贈与の方法」

 

税理士法人チェスター

 

クライアントに生前贈与による生前対策をアドバイスしようと考えていますが、税務署に否認されない贈与の方法を教えてください。

贈与は契約ですので贈与者と受贈者双方の合意が必要となります。贈与成立の証拠を贈与契約書等の書面により保存しておいたほうがいいでしょう。

解 説

生前贈与は計画的にやれば相続税対策として有効ですが、誤った方法で贈与をした場合には、税務署から指摘をされ、名義預金として相続財産に含めなければならない場合もあるため、注意が必要です。名義預金と認定されるということは贈与が成立していないといわれることと同義です。

贈与の成立を適正に立証するために、下記に重要なポイントをまとめます。

[1] 贈与契約書の作成

民法上、贈与契約は口頭でも成立しますが、口頭の贈与契約は取消しができるため、贈与契約書を作成し、贈与契約の内容を明確に書面で記録しておくことがいいでしょう。

[2] 贈与契約の実行

贈与契約書を作成しただけで、贈与を実際に行わなければ、贈与が成立したとはいえません。よって、作成した贈与契約書に基づき必ず贈与を実行してください。また、贈与の実行は現金ではなく、できるだけ客観的な記録が残る預金を通して行うべきでしょう。

[3] 贈与後の管理支配

受贈者は、贈与を受けた預貯金等を実質的に管理支配する必要があります。すなわち、受贈者の意思で自由に使える状態になければ贈与が成立したとはいえません。たまに親が子どもに内緒で子ども名義の預金通帳を作成しているケースが見受けられますが、これでは贈与の成立を立証することは困難です。

よって、問題なく贈与を成立させる方法のひとつとして、受贈者の普段使っている預金口座に振り込むことが考えられます。

[4] 贈与税の申告

贈与税の基礎控除額である110万円を超える贈与をし、贈与税の確定申告をすることも贈与を立証するために有効です。
例えば、120万円の贈与であれば贈与税は1万円ですむため、比較的低コストで行うことが可能です。

(了)

連載目次

- お 知 ら せ -

『税理士が本当に知りたい 生前贈与相談〔頻出〕ケーススタディ』
(税理士法人チェスター 編)


相続大増税時代の今だからこそ、有効な対策となる「生前贈与」にスポットをあて、実務上の注意点や具体的な方法を解説した税理士・実務家待望の一冊!

年間200件を超える相談実績から“よくあるケース”を厳選!

  • 発 行:2015年3月6日
  • 判 型:A5判260頁
  • 定価:2,376円(税込)
  • 会員価格:2,138円(税込)

 

筆者紹介

税理士法人チェスター

相続税申告を専門に取り扱う税理士法人で、扱う案件は年間200件以上、累計で1,000件を超える税理士業界トップクラスの実績を誇る。相続税の節税や、もめないための相続の生前対策、遺言の作成、相続関連セミナー等、相続に関する相談全般に対応。低価格(1案件15万円~)で、スピーディー(最短1か月)に質の高い相続税申告を行うスタイルは、業界でも高く評価されている。ネット上でも「税理士法人チェスター」のほか、「相続税還付.jp」などを運営、幅広く活動している。

代表者は、福留正明(公認会計士・税理士・行政書士)及び荒巻善宏(公認会計士・税理士・行政書士)、専務役員に角田壮平(税理士)、大阪事務所代表に伊原慶(税理士)。

◆ホームページ:http://chester-tax.com/
◆税理士・公認会計士向け支援ページ:http://chester-tax.com/support.html

【主著】
『相続はこうしてやりなさい』(ダイヤモンド社、2010年9月)
『新版 相続はこうしてやりなさい』(ダイヤモンド社、2013年5月)
『「華麗なる一族」から学ぶ相続の基礎知識』(亜紀書房、2011年9月)
新版/相続相談[頻出]ケーススタディQ&A』(清文社、2014年2月)
『ストーリーでわかる! 今までで一番やさしい相続の本』(ダイヤモンド社、2014年8月)
『オーナー経営者のための事業承継「決定版」』(パブラボ、2014年11月)
生前贈与〔頻出〕相談ケーススタディ』(清文社、2015年3月)
そのほか、「日本経済新聞」「週刊文春」「AERA」などの取材多数。

 

関連書籍

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公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

民法・税法2つの視点で見る贈与

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税理士 笹岡宏保 著

相続税 税務調査[指摘事項]対応マニュアル

弁護士・税理士 米倉裕樹 編者 弁護士・税理士 橋森正樹、弁護士 元氏成保、弁護士 阪本敬幸、税理士 徳田敏彦 著

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税理士 寺内 正夫、税理士 山下 雄次 著

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