昼休みに、中尾統括官は、爪楊枝をくわえながら、新聞を読んでいる。
「年金制度の改正か・・・」
中尾統括官は、唇で爪楊枝を上下させながらつぶやく。
「・・・政府は、年金の受給開始年齢を75歳まで延長する気なのか・・・」

本連載で9回にわたりお伝えさせていただいている私の会計事務所経営論も、残すところあと3回となりました。
ここまで多くの方にお読みいただいておりますこと、心より感謝と御礼申し上げます。
最後の仕上げとして残りの3回は、私のビジネスそのものでもある「営業」についてお話していきます。営業マンに対する「営業の先生」、また、税理士先生の「パーソナルコーチ」をさせていただいている私が、30年に及ぶ営業経験から培った「営業における気構え」やセールスする上での精神論についてお伝えさせていただきます。

中尾統括官は、険しい顔をしながら、新聞を読んでいる。
「これは厳しいな・・・」
そう言いながら、中尾統括官は、ため息をつく。
「・・・何が厳しいのですか?」
傍らで書類を整理していた浅田調査官が尋ねる。

組織論についてだいぶ長くお伝えさせていただきましたが、今回の評価制度編をもって、いったん「人」に関する事務所経営のお話については終わりとさせていただきます。
経営において、「人」がいかに重要な要素を占めているか、これまでの連載からご理解いただけてたのではないでしょうか。
さて、人が定着しない問題に「社員間のコミュニケーション」や「働きがい」、「働きやすさ」など「組織風土」から生じるものがあるとともに、給与等に影響のある「評価制度」にも問題があるケースが多いのではないかと思います。

「統括官、さっきから何を読んでいるのですか?」
浅田調査官は自席に座ったまま、中尾統括官に尋ねる。
中尾統括官は顔を上げて、苦笑いをする。
「・・・昔の税制調査会の答申を読んでいるのだが・・・」
中尾統括官は、コピーされた税制調査会の答申を浅田調査官に見せる。
「必要経費と家事費について・・・ですか・・・」

ラグビーワールドカップで日本中が熱を帯びる中、その準決勝の日に筆を進めています。
日本代表のリーチ・マイケル主将の「One Team」とともに、ラグビーの精神論を語る上で「One for All, All for One」という言葉をよく耳にします。
「1人はチームのために、チームは1人のために」という解釈がされていますが、実はフランスの作家である、アレキサンドル・デュマの小説「三銃士」の中で、主人公とその仲間の三銃士が発した誓いの言葉として出てきます。
諸説ありますが、「1人はチームのために、チームは1つの目的のために」が本来の意味だそうです。
そう考えると、ラグビーはグラウンドで闘う15名の選手一人一人に役割があります。
一人一人がその役割を果たすことで1つの目的である「勝利」を掴む、そう解釈してもよいのかもしれませんね。

所得課税第三部門にある壁時計は、午前9時10分を指している。
中尾統括官は、机の上に積んである確定申告書を見ながら、調査対象の選定を行っている。
「これ・・・どうしましょう?」
浅田調査官は、右手にゆうメールを握っている。
「?」
中尾統括官は、浅田調査官の顔を見る。
「なんだい・・・そのゆうメールは?」
中尾統括官は怪訝そうに、尋ねる。
「返信用の・・・ゆうメールです・・・」
浅田調査官は、そのゆうメールを中尾統括官の机の上に置く。

未曽有の人材不足に直面し、そもそも採用の本来の目的を忘れていることはないでしょうか。
「面接時に見込んだ能力で、最高のパフォーマンスを仕事で発揮してもらうこと」
これが採用の本来の目的のはずなのに、どうも採用ばかりに躍起になってしまって、本末転倒の状態になってしまってはいませんか?
さらに、採用した社員がただ単に個のパフォーマンスのみを追求するような組織風土では、そもそも組織である必要すらありません。
組織とは様々な個性のある人達が、たった1つの目的を達成するために力を合わせるから「組織」というのではないでしょうか。

「・・・ところで、昨日、納税者から問い合わせがあったのですが・・・」
浅田調査官は急にメモ書き用紙をポケットから取り出して尋ねる。
「・・・同族会社の役員甲が退職することになって、これまで契約者を会社、被保険者を役員甲、死亡保険金受取人を会社とする終身保険に加入していたのですが、これを役員甲の退職金の一部として、現物支給(名義変更)するということなのです・・・」
浅田調査官は、一枚目のメモ書きを中尾統括官に見せる。

ところで、現在、先生の事務所の人手は足りていますか?
間違いなく言えることは、今までの採用戦略ではなかなか人を採用できないということです。
では、どのような戦略を取るべきか。
1つは「事業戦略」を見直すことで「組織戦略」を変更すること。つまり、既存の事業を見直し、人手に左右されないビジネスモデルを構築することです。

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