※この記事は会員以外の方もご覧いただけます。
《編集部レポート》
東京財団、「給付付き税額控除」導入に向けた具体的制度設計を政策提言
~勤労者向けの新たなセーフティネットとして迅速な導入に言及~
Profession Journal 編集部
公益財団法人東京財団(以下「東京財団」という)は、2026年4月10日(金)に公表した「政策提言「『給付付き税額控除』の導入に向けた具体的な制度設計」」について、メディア・政策関係者向けに4月20日(月)に記者懇談会を開催した。
本会では、提言を取りまとめた研究メンバー(下記参照)が登壇し、提言のポイントや政策的意義についての発表と質疑応答が行われた。

〈研究メンバー〉
- 森信 茂樹 氏:東京財団シニア政策オフィサー(取りまとめ責任者、写真右上)
- 佐藤 主光 氏:東京財団上席フェロー/一橋大学大学院経済学研究科、国際・公共政策大学院教授(写真左上)
- 土居 丈朗 氏:東京財団上席フェロー/慶應義塾大学経済学部教授(写真右下)
- 小黒 一正 氏:東京財団上席フェロー/法政大学経済学部教授(写真左下)
本会では、まず「給付付き税額控除」についてすでに欧米等で導入されている4つの類型(①勤労税額控除、②児童税額控除、③社会保険料負担軽減税額控除、④消費税逆進性対策税額控除)について説明が行われた。
その上で、日本において長年の課題となっている就職氷河期世代の非正規雇用者など、既存の制度でカバーしきれていない中低所得勤労者への支援として、就労支援と所得再分配の両立を図る「給付付き税額控除」を、日本に即した形で実現するための具体的制度設計として、以下6つの提言の紹介がされた。
提言1:勤労者個人を対象とした支援
まずは社会保険(厚生年金等)に加入する勤労者個人を対象とし、就労促進の観点から個人単位とする。同一世帯の他の構成員の所得は支給要件に反映させない。年金受給者・パート労働の第三被保険者・学生アルバイト等は対象外とする。個人事業者については確定申告に基づき実施する。
提言2:年収の壁を作らないよう給付を段階的に減額
年収300万円程度までを対象とし、基準超過後は段階的に減額することで「年収の壁」を排除する。所得情報の精度が確保されるまでの当面は定額部分+減額部分で構成し、精度向上後は米国EITCのような逓増方式への移行も視野に入れる。130万円の壁への対応としても活用できる。
提言3:公金受取口座を通じた給付で実施
手法は原則「給付」とする。中低所得の勤労者への支援なので、税額控除と給付の2つが考えられるが、「公金受取口座」を活用して給付に一本化することが効率的である。
提言4:自治体の所得情報とガバメント・データ・ハブ(仮称)の活用
当面は市町村保有の「合計所得金額」を活用してデータベースを構築し、速やかな実施を優先する。3年後以降はガバメント・データ・ハブ(仮称)で企業からの直接・毎月の情報連携(英国型)に移行する。個人事業主・フリーランスはマイナポータルとe-Taxを活用した申告を進めていく。
提言5:給付は国の事務
給付付き税額控除は国の制度であるため、国が責任主体として所得情報把握・給付額決定・振込を一元管理する。申請不要の「プッシュ型」を理想とし、システム整備が間に合わない場合はオンライン申請から開始する。地方自治体の活用や支援も視野に入れる。
提言6:財源は所得税制の見直しと社会保障制度改革
1年後に既存の税制・社会保険制度との調整を要さない形で先行導入・3年後に本格実施する。令和7・8年度税制改正における基礎控除の上乗せ特例の見直し・人的控除の税額控除化・給与所得控除縮減、社会保障制度の見直し等で財源を捻出する。低所得勤労者の負担が増えないよう給付額を調整することを原則とする。
(※) 東京財団ホームページより引用
上記のとおり、今回の提言は給付付き税額控除導入の目的を明確化し、勤労者に対する新たなセーフティネットとして具体的な制度設計を示した。
その上で、早期の実施が望ましいことから、1年後に市町村保有の所得情報と公金受取口座を活用して給付付き税額控除を先行導入し、3年後にガバメント・データ・ハブ(仮称)を活用して企業から直接・毎月の所得情報連携を行い(英国型)、本格稼働する2段階の制度設計を提言している。
(了)
「編集部レポート」は、不定期の掲載となります。






















