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経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第31回】企業結合会計③「株式移転の会計」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第31回】 企業結合会計③ 「株式移転の会計」   仰星監査法人 公認会計士 許 仁九   〈事例による解説〉 〈X2年3月期の連結修正仕訳〉 〇開始仕訳 〇当期純利益の振替 〈会計処理及びその解説〉 株式移転により親会社と子会社が共同で完全親会社を設立する場合、この取引は「共通支配下の取引」に該当することになります(企業結合に関する会計基準16項、「指針」204項(1))。 1 HD社の個別財務諸表上の会計処理 (*1) 株式移転完全子会社株式(旧親会社P社の株式)の取得原価は、P社の株式移転日の前日における適正な帳簿価額による株主資本の額2,000(=資本金1,700+利益剰余金300)に基づいて算定します(「指針」239項(1)①ア)。 (*2) 株式移転完全子会社株式(旧子会社S社の株式)の取得原価のうち、旧親会社持分(80%)については、S社の株式移転日の前日における適正な帳簿価額による株主資本の額1,200(=資本金1,000+利益剰余金200)に持分比率80%を乗じて算定します(「指針」239項(1)②ア)。 (*3) 株式移転完全子会社株式(旧子会社S社の株式)の取得原価のうち、少数株主持分(20%)については、少数株主A社に交付したHD社株式の時価300に基づいて算定します(「指針」239項(1)②イ)。 2 P社の個別財務諸表上の会計処理 株式移転に際して、P社がS社株式と引き換えに受け入れたHD社株式の取得原価は、S社株式の株式移転直前の適正な帳簿価額により計上します(「指針」239-4項)。 3 HD社の連結財務諸表上の会計処理 (1) P社に係る投資と資本の相殺消去 P社株式の取得原価とP社の株主資本を相殺します(「指針」240項(1)①)。 (2) S社に係る投資と資本の相殺消去 S社株式の取得原価とS社の株主資本を相殺し、消去差額はのれん(注)に計上します(「指針」240項(1)②)。のれんは、資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却します(「指針」76項)。 (注) 平成25年9月13日に公表されました、改正後の「企業結合に関する会計基準」等(原則、平成27年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用)においては、資本剰余金として計上することとなりましたが、現行の基準に基づき記載しています。 (3) P社所有HD社株式の自己株式への振替 P社がS社株式と交換により受け入れたHD社株式は、連結財務諸表上、自己株式に振り替えます(「指針」240項(2))。 (4) 資本項目の振替 HD社の株主資本の額は、株式移転直前のP社の連結財務諸表上の株主資本項目に少数株主との取引により増加した払込資本の額を加算します(「指針」240項(3))。 株式移転前のP社の連結貸借対照表上の株主資本2,160(=資本金1,700+利益剰余金460)に、少数株主との取引により増加した払込資本300(HD社株式の時価)を加算した額が、HD社の株主資本2,460(=資本金1,700+資本剰余金1,100+利益剰余金460-自己株式800)となります。 なお、株式移転前後で、利益剰余金の額を一致させるために、HD社個別貸借対照表上の資本剰余金を連結仕訳により利益剰余金に振り替えます。 (了) ※2月は税効果会計を取り上げます。

#No. 53(掲載号)
#許 仁九
2014/01/23

減損会計を学ぶ 【第7回】「減損の兆候の例示②」~使用範囲・方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合~

減損会計を学ぶ 【第7回】 「減損の兆候の例示②」 ~使用範囲・方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合~   公認会計士 阿部 光成   「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損適用指針」という)では、減損の兆候として、資産又は資産グループ(以下「資産等」という)の使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化があるケースを例示している。 なお、資産グループについては、減損適用指針13項なお書き及び87項に注意する。 以下では、上記の減損の兆候を識別する際の留意点を解説する。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   1 事業の廃止又は再編成 資産等が使用されている事業を廃止又は再編成する場合、減損の兆候に該当する(減損適用指針13項(1))。 事業の再編成には、重要な会社分割などの組織再編のほか、事業規模の大幅な縮小などが含まれる(減損適用指針13項(1))。 留意点は次のとおりである(減損適用指針82項)。 取締役会・常務会等の意思決定機関で決定された段階で減損の兆候に該当するとの規定があるので、実務においては、減損の兆候の識別と意思決定のタイミングについて注意する必要があると考えられる。   2 早期の資産等の処分 当初の予定よりも著しく早期に資産等を除却や売却などにより処分する場合、減損の兆候に該当する(減損適用指針13項(2))。 この事象は償却資産に限らないことに注意が必要である(減損適用指針13項(2))。 留意点は次のとおりである(減損適用指針83項)。   3 異なる用途への転用 資産等を当初の予定又は現在の用途と異なる用途に転用する場合、減損の兆候に該当する(減損適用指針13項(3))。 「異なる用途への転用」は、これまでの使い方による収益性や成長性を大きく変えるように使い方を変えることと考えられ、例えば、事業を縮小し余剰となった店舗を賃貸するような場合が該当する(減損適用指針13項(3))。 留意点は次のとおりである(減損適用指針84項)。   4 遊休状態 資産等が遊休状態になり、将来の用途が定まっていない場合、減損の兆候に該当する(減損適用指針13項(4))。 留意点は次のとおりである(減損適用指針85項)。 ②の期間について、減損適用指針は具体的な年数を示していない。このため、各社の状況に応じて適切に判断することになると考えられる。 通常は、長期間にわたり資産の利用方法が決定されないという状況は考えにくく、年度決算があることを考えると、資産をほとんど利用しなくなってから間もない場合であって、将来の用途を定めるために必要と考えられる期間としては、おおむね1年程度がめどになるものと考えられる(監査法人トーマツ編『Q&A減損会計適用指針における会計実務』(清文社、2004年4月)69ページ)。 また、将来の使用見込みのない遊休状態にある資産かどうかの判定は、取締役会等の意思決定を経た合理的な使用計画の存在が重要であると考えられる。恣意的な判定を行うことにより、遊休状態かどうかを操作することは認められない(監査法人トーマツ編『Q&A減損会計適用指針における会計実務』(清文社、2004年4月)69ページ)。   5 稼働率の著しい低下 資産等の稼働率が著しく低下した状態が続いており、著しく低下した稼働率が回復する見込みがない場合、減損の兆候に該当する(減損適用指針13項(5))。   6 陳腐化等の機能的減価の存在 資産等に著しい陳腐化等の機能的減価が観察できる場合、減損の兆候に該当する(減損適用指針13項(6))。 留意点は次のとおりである(減損適用指針86項)。 従来、臨時償却が行われていたが、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)57項において、臨時償却は廃止されている。また、これにあわせて、「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第81号)が公表されている。   7 建設仮勘定に係る建設計画の中止等 建設仮勘定に係る建設について、計画の中止又は大幅な延期が決定されたことや当初の計画に比べ著しく滞っている場合、減損の兆候に該当する(減損適用指針13項(7))。 (了)

#No. 53(掲載号)
#阿部 光成
2014/01/23

「消費税の取扱事項」に関する法人間契約の注意点と対応策 【第3回】「請求者と支払者との税率の齟齬が生じる場合の対応策と法的問題点」

「消費税の取扱事項」に関する 法人間契約の注意点と対応策 【第3回】 (最終回)  「請求者と支払者との税率の齟齬が生じる場合の対応策と法的問題点」   弁護士・税理士 米倉 裕樹   請求者と支払者との間で消費税率の齟齬が生じる場合としては、例えば、以下のような場合が想定される。 上記〔事例1〕から〔事例3〕では、いずれの場合においても、請求者は5%での課税売上、支払者は8%での仕入税額控除を行えそうであり、一見、請求者と支払者との間で消費税率の齟齬が生じている。 このような場合、いずれの消費税率にて統一されるべきかが問題となるが、いずれの場合においても請求者側の税率となる5%にて処理されるべきである。 理由は以下のとおりである。 したがって、例えば、以下のような合意を契約当事者間において締結したとしても、課税庁から否認されることとなる。 ※画像をクリックするとPDFファイルが開きます また、経過措置の適用があることを見過ごして、請求者が8%にて請求した場合も同様である。このような場合には、差額3%相当額について請求者は支払者に対し、不当利得として返還しなければならない。 もっとも、請求者において8%にて請求することが認容されている場合、例えば、国税庁消費税室作成による「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」問4(施行日を含む1年間の役務提供を行う場合)での との取扱いに従う場合には、施行日前であっても、請求者において8%にて請求することが可能であり、支払者においても8%にて仕入税額控除を行うこととなる。  (連載了)

#No. 53(掲載号)
#米倉 裕樹
2014/01/23

〔税理士・会計士が知っておくべき〕情報システムと情報セキュリティ 【第11回】「海外拠点への基幹システム導入を成功させるために」

〔税理士・会計士が知っておくべき〕 情報システムと情報セキュリティ 【第11回】 「海外拠点への基幹システム導入を成功させるために」   公認会計士 五島 伸二   海外進出の流れは止まらない ここ数年続いた円高の影響もあって、製造業が国内生産から撤退してアジアを中心とした海外に生産拠点を設ける動きが続いた。大企業はもちろん、その下請企業である中小企業も海外に拠点を作るようになり、その流れは、最近では流通業にまで及んでいる。 今後、円安傾向が続いたとしてもこの流れは止まらないだろう。海外、特にアジアの新興国は、流通業にとっては今後も成長が期待される有望なマーケットとして、製造業にとってはより消費地に近い生産拠点として、いずれも魅力的な進出先だからである。 企業が海外への投資に重点をおく傾向が続くのであれば、長期的に抑制傾向にあるIT投資予算も海外分野により多く配分するのが合理的である。 本稿では、今後、多くの企業が直面するであろう海外拠点における情報システムに関する課題と、基幹システム導入の重要なポイントについて説明する。   海外進出する企業が抱える情報システムの課題 海外に拠点を作った当初は、まず製造活動や販売活動を立ち上げることが主眼になり、情報システムの整備に関しては優先度が低くなるのが通常である。現地で使われている安価なパッケージを導入したり、エクセルなどで手管理して業務を回すといったことが多いようである。 しかし、一旦、拠点が立ち上がって活動が活発化すると、それまで見えてこなかった課題が顕在化する。 企業が抱える海外拠点の情報システムに関する課題としては、主に以下のようなものがある。 こういった課題に対しては、現地の人のがんばりでなんとかカバーしているというのが多く企業の現状である。 人材に厚みのある大企業であればそれでも乗り切れるかもしれないが、海外拠点の管理業務に多くの人員をあてることが難しい中小・中堅企業では、課題が積み残しになっているというのが実情ではないだろうか。   「人の問題」から「仕組みの問題」への転化を 海外進出した企業が抱える情報システムの課題をいつまでも「人の問題」にしておくわけにはいかない。 購買、生産、販売、会計といった基幹業務を適切にマネジメントするために基幹システムを導入することで「人の問題」から「仕組みの問題」に転化させることが必要となる。 「人の問題」のままでは、「その拠点に誰がいるか?」によって管理レベルが決まってしまう。「仕組みの問題」とすれば、本社からのコントロールのもとで管理レベルが統制可能となる。 ただし、基幹システムさえ導入すれば上記のような課題は即時に解消されるかというと、残念ながらそういったことにはならない。 基幹システムの導入は、単にアプリケーションソフトウェアをコンピュータにインストールして業務に使用することではない。適切な導入をしないと、期待した効果が得られないばかりか、多くの時間とお金を無駄にすることなる。 以下では、海外拠点への基幹システムの導入を成功させるポイントのうち、重要なポイントとして「導入目的を明確にすること」「スピーディに導入すること」について説明する。   明らかな導入目的はあるか? 筆者がこれまでのコンサルタントとして活動してきたなかで、システムの導入目的を最初に明確にしなかったために、その後の開発、運用のフェーズでシステムの要件が定まらず、導入プロジェクトが大きく混乱した例を多数知っている。 基幹システム導入において、最初に目的を明確にすることは非常に重要なポイントである。 では、海外進出する企業が「基幹システムを導入する目的」とは、具体的にどういったものがあるのであろうか。 以下、代表的と思われるものを5つ挙げる。 以上の(1)から(5)は、総じて言えば となる。 海外拠点に基幹システムを導入することで、個々の拠点ごとのPDCAサイクルはもちろん、グループ全体でPDCAサイクル回すことが可能となる。   導入はスピーディーに 導入目的を明確にして基幹システム導入はスタートする。 海外進出企業が基幹システムを実際に導入するプロセスで重要なのは、何をおいてもスピーディーに導入することであろう。 ビジネス環境の変化の激しいアジアなどの拠点に導入する場合、導入に時間をかけすぎると、導入が完了した時点ですでに環境が変化し、システムと業務がアンマッチを起こす恐れがある。 このため、日本企業にありがちな細かな要件にこだわったりせず、ERPなどのパッケージやクラウド製品を活用して、スピーディーかつシンプルに導入することが極めて重要である。   おわりに 海外拠点への基幹システムの導入を成功させるには、上記以外にも多くのポイントがある。 これらに関しては、本連載の【第4回】「経営者のIT導入の悩みに応える5つの視点」もぜひ一読の上、参考にしていただきたい。 (了)

#No. 53(掲載号)
#五島 伸二
2014/01/23

顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第32回】「経費管理のKPI(その⑥ 経費分析)」

顧問先の経理財務部門の “偏差値”が分かる スコアリングモデル 【第32回】 「経費管理のKPI (その⑥ 経費分析)」   株式会社スタンダード機構 代表取締役 島 紀彦   はじめに 今回は、経費管理を構成する複数のKPIから、経理財務部門が行う「経費分析」のサービスレベルを評価するKPIを取り上げる。 会社において、経費は原価計算対象に賦課又は配賦できないと判断された期間費用なので、財務会計上はそれを販売費及び一般管理費として計上する。しかし、事業の内容が複雑で社内に複数の部門を抱える規模の会社では、そのような費目別集計結果をそのまま経費管理に使っても、経営管理には役に立たないことがある。そこで、経理財務部門には、社内の数多くの主管部門がさまざまな使途で使っている経費に対して、企業価値の向上の観点から複数の分析の光を当てることが期待される。 そこで、今回は、経費分析を通じて経理財務部門が経費管理において担う戦略性を評価するKPIを紹介しよう。   KPIが設定された業務プロセスの確認 まず、経済産業省スタンダードで整理された業務プロセスを引用しながら、このKPIに対応する業務プロセスを押さえておこう。 経済産業省スタンダードでは、経費管理において、会社が担う一般的な機能を、「年度予算管理」と「日常管理」に分けている。 このうち、「年度予算管理」を構成する機能は、「年度予算策定」と「予算実績対比」である。 今回解説するKPIは、「年度予算管理」における「予算実績対比」に関連する業務プロセスにおいて設定されている。 〈経済産業省スタンダード:経費管理で会社が担う機能〉 (経済産業省「経理・財務サービス スキルスタンダード」より)   さらに、経済産業省スタンダードでは、「予算実績対比」に関連する業務プロセスを次のようにまとめている。 〈経済産業省スタンダード:7.2.1予算対比検証〉   (経済産業省「経理・財務サービス スキルスタンダード」より)   経費予算に対する実績の検証は、財務会計における費用計算である費目別経費予算を策定することを前提に、その経費予算額に対して、同じく費目別の集計結果である経費実績額を対比させて比較を行い、両者の乖離の原因を分析し、分析結果を日常の経費管理や次年度の経費予算の策定に役立てる。 今回のKPIは、会社の事業規模や事業構成に応じて、経費の年度予算管理において、経理財務部門が、費目別分析以外の分析の視点を持つことが、企業価値を高めるための経営判断に有用な情報の提供につながることに着目し、経費集計の視点の数を問うものである。   定義を理解する 調査項目の文言から、KPIの定義を確認しよう。以下、KPIの項目を再掲する。 「費目別経費集計」とは、財務諸表を作成するために行う財務会計上の経費集計をさす。通常は、販売費及び一般管理費の内訳となる勘定科目である。 「費目別以外の経費集計」とは、経営計画、組織編制、予算策定、目標設定、資源配分、業績管理、業績評価のために行う管理会計上の経費集計をさす。 例えば、経費の機能に着目した集計であれば、部門別集計が該当する。また、経営管理の単位に整合させる集計であれば、セグメントと呼ばれる単位の集計が該当する。セグメント別集計には、顧客別集計、製品・商品・サービス別集計、地域別集計、販売方法別集計等が該当する。   KPIの背景にある価値判断 スコアリングモデルでこのKPIを設定したのはなぜか。 このKPIは、経費の発生状況を適正に捉え、経費管理に関する経営層の適切な経営判断を支援するため、適正な細かさによる複数の視点から期間費用を分析することが望ましいという価値判断に基づいて設定されている。 すなわち、財務会計上の費目別集計以外の複数の視点で、経費を多面的に管理し、経費の発生要因やその削減方法について、経営者が適切な経営判断を下すことができるように経費集計能力を高めることが、経費管理において経理財務部門が担う戦略性であると考えている。 ところで、どうして経費分析に費目別集計方法以外の視点を使うことが有用なのか。 事業構造が単純で事業規模も小さな会社では、財務会計上の費目別集計によっても、経営者は、社内で発生する経費の発生要因を捉えて、自らの責任で適切に管理することが可能かもしれない。 ところが、会社が一定規模を超えて、事業の内容が複雑になり、社内に複数の部門を抱えるようになると、経営者が経営判断の一部を機能やセグメントを管理する部下に権限委譲し、その管理責任を負わせる。部下は、委譲された権限の範囲で経費の支出を行うため、発生する経費の中身が多岐にわたるようになるし、組織の構成が複雑になれば、経費の発生に関連する主管部門の数も増える。 そこで、そのような経費の管理はどうあるべきかが問題となるが、経営者が多種多様の経費を費目別集計だけによって管理することは、経費の発生要因を捉えることができないだけでなく、権限委譲をしている状況を考えれば困難であると分かる。 むしろ、権限委譲された機能やセグメントに応じて、経費を集計し、一義的には権限委譲された部下に経費管理を委ね、経営者は機能やセグメントを横断した全社的な管理を担う方が経営管理上は効率的であるし効果的である。いわゆる責任会計の考え方である。すなわち、経費を使う権限のあるところに経費を管理する責任があり、その責任を全うするためには責任の外延に応じた経費集計の情報が必要ということである。 そこで、スコアリングモデルでは、経費管理における経理財務部門が担う戦略性を比較するため、経費集計の視点の数をKPIとした。 この視点の数が大きい会社が小さい会社よりも相対的に望ましいと考えている。   顧問先のKPIを測定してみる では、実際にどのような手続でKPIを測定するのか。 まず、読者は、顧問先の経理財務業務を観察し、経費の予算実績管理において経理財務部門が一定の分析を行う業務プロセスが組み込まれていることを確認していただきたい。 それを前提に、例えば、経理財務部門が作成する業績管理用報告資料を閲覧し、費目別集計以外に、経費が集計される視点の数を確認していただきたい。 さて、読者の顧問先において、費目別以外の経費集計の視点は何個になったであろうか。 *  *  * 次回は、「予算管理」を構成する複数のKPIから、会社全体の計画統制プロセスを確立するにあたり経理財務部門が担うべきサービスレベルを評価するKPIを取り上げる。 (了)

#No. 53(掲載号)
#島 紀彦
2014/01/23

女性会計士の奮闘記 【第13話】「M子が知った社長の“思い” 」

女性会計士の奮闘記 【第13話】 「M子が知った社長の“思い” 」   公認会計士・税理士 小長谷 敦子   〈所得拡大促進税制の見直し・拡充〉 ◆ワンポントアドバイス◆ 会社の社長の言葉に耳を傾け、社長の思いを実現させるにはどうすればよいか、そのためには、どのような情報を提供すればいいかを考えましょう。 常にアンテナを張り、どんな些細なことでも聞き逃さず、「あの制度が使える」とピンと来ることが必要です。 そうすれば、お客様にとって“かゆいところに手が届く”頼もしい存在となるはずです。 (了)

#No. 53(掲載号)
#小長谷 敦子
2014/01/23

《速報解説》 公益法人等に寄附をした場合の譲渡所得等の非課税制度(措置法40条)の見直し~平成26年度税制改正大綱~

 《速報解説》 公益法人等に寄附をした場合の 譲渡所得等の非課税制度(措置法40条)の見直し ~平成26年度税制改正大綱~   弁護士 木村 浩之   1 はじめに 平成26年度税制改正大綱では、個人所得課税に関する改正として、公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例について、一定の要件の見直し等の措置が講じられることになった。 本稿では、現行制度の概要を解説するとともに、主な改正の内容について概説することとしたい。   2 現行制度の概要 個人が不動産や株式などの現物資産を法人に寄附した場合、その寄附をした時点において時価で譲渡されたものとみなされ(みなし譲渡)、譲渡所得税が課されるのが原則である(所法59①一)。 これに対して、公益法人等(公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的として事業を行う法人)に財産を寄附した場合は、一定の要件の下で国税庁長官の承認を受けることにより、譲渡所得税を非課税とする特例が認められている(措法40)。 ただし、公益法人等が寄附財産を他に移転するなどして、公益目的に使用しないことになる場合には、承認の取消しがなされて、その公益法人等を個人とみなして譲渡所得税が課されることになる(いわゆる「取戻し課税」)。 今回の改正では、寄附財産が他に移転したとしても、この取戻し課税を受けない場合が拡充されるなど、承認(の取消し)に関する要件が整備されることになる。   3 主な改正の内容 (1) 株式交換等が行われた場合の非課税特例の継続 公益法人等が寄附財産を他に譲渡した場合でも、それが収容等の一定の事由による譲渡であり、その譲渡対価で代替資産を取得したときは、承認の取消しはなされず、その代替資産について非課税特例が継続するものとされている。 今回の改正では、この一定の事由に株式交換等(税制適格のものに限る)が追加されることになる。これにより、株式交換等によって交付を受けた株式についても、非課税特例の継続対象とされることになる。 なお、この改正は、平成26年4月1日以後に行われる株式交換等について適用されることになる。 (2) 寄附財産が株式である場合の非課税特例の適用 非課税特例の承認を受けるための要件のひとつとして、「寄附者の所得税等を不当に減少させる結果とならないこと」が定められている。これが認められるための具体的な条件として、寄附を受ける公益法人等の公益性が確保されていることといった条件が定められている。 今回の改正では、寄附財産が株式である場合に、上記条件に加えて、公益法人等が株式の2分の1超を保有することにならないという株式保有制限が追加されることになる。 これにより、株式の寄附の場合は、非課税特例の適用を受けるためには、上記株式保有制限に抵触しないように留意する必要がある。 なお、この改正は、平成26年4月1日以後に行われる株式の寄附について適用されることになる。 (3) 買換えや合併等による移転をした場合の非課税制度の継続 公益法人等が寄附財産について一定の要件の下での買換えや合併等による移転をした場合、国税庁長官に事前届出をすることで、非課税特例の継続が認められている。 今回の改正では、この事前届出の便宜を図るために、非課税特例の承認対象財産であるかどうかの確認を申請することができるようになるとともに、合併等による移転の場合に事前届出を欠いていたとしても、承継法人が引き継いだ財産の中に非課税特例の承認対象財産があることを知ってから2ヶ月以内に届出をすることにより、非課税特例の継続が認められることになる。 なお、この改正は、平成26年4月1日以後に行われる申請又は届出について適用されることになる。 (了)

#No. 52(掲載号)
#木村 浩之
2014/01/20

《速報解説》 「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」等の改正

《速報解説》 「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」等の改正   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年1月14日付で、日本公認会計士協会は次の実務指針等を公表した。 これらの改正は、平成25年9月に企業会計基準委員会から公表された「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)等の改正を受け、現行の会計基準等との整合性を図るためのものである。 上記①の改正については公開草案を公表しており、その他のものについては用語の修正であるとして公開草案を公表せずに改正するものである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正事項 1 特別目的会社に関するQ&A 特別目的会社の連結及び開示として、次の会計基準等を用いている(Q2等)。 いずれも現行の会計基準等に合わせるものであり、現行実務に影響はないものと解される。 財務諸表等規則8条7項に合わせて「譲渡会社等」の用語に修正している(Q3等)。 財務諸表等規則8条7項の特則は、特別目的会社が資産を譲り受ける場合のみに適用されるので(連結会計基準7-2項、49-3項、49-5項及び54-2項)、特別目的会社の利用として物件の開発行為を行うタイプについては財務諸表等規則8条7項の特則の適用はないことになる。 これも現行実務と同じなので、影響はないものと解される。 そのほか、「連結財務諸表に関する会計基準」及び「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」に従って、特別目的会社に関する開示に関する留意点(Q23)をあらためて整理したり、監査基準委員会報告書の参照箇所について、参照先の改正等に合わせて変更を行ったりしている。 適用は平成26年1月14日からとされている。 2 連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則 「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第52号)が改正されている。 実際に改正された箇所は用語修正の範囲であるが、実務指針第52号1項の最後に次の記載があることに注意が必要である。 平成25年9月に、企業会計基準委員会から「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)などの一連の会計基準等の改正が公表されている。 これらの会計基準等において、当期純利益の表示が改正されており、改正前の会計基準等の「少数株主損益調整前当期純利益」は、改正後の会計基準等では「当期純利益」となっている。また、改正前の会計基準等の「当期純利益」は、改正後の会計基準等では「親会社株主に帰属する当期純利益」となっている。 このように「当期純利益」の内容が変わっているが、実務指針第52号4項の「連結の範囲から除外できる重要性の乏しい子会社について」において、利益基準は、従来と同様に次の算式となっている(持分法については5項)。 これは、平成25年9月に改正された「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)などの一連の会計基準等を考慮しても、従来の利益基準に係る算式を改正する必要がなかったためと解される。 実務上、「連結の範囲から除外できる重要性の乏しい子会社について」及び「持分法の適用範囲から除外できる重要性の乏しい非連結子会社等について」の適用に際しては、上記の利益基準、実務指針第52号4-2項及び5-2項に注意が必要である。 平成25年9月に改正された「企業結合に関する会計基準」等の適用時期について、連結会計基準第39項の表示方法に係る事項については、平成27年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用するものとし、早期適用は認められていない(連結会計基準44-5項)。 しかしながら、実務指針第52号の適用は平成26年1月14日からとされていることにも注意が必要である。 3 「個別財務諸表における関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等の注記に関する監査上の取扱い」などについて Ⅰで述べた③から⑤については、次のような用語修正が行われている。 適用時期については、平成26年1月14日から適用されるものと、平成25年に改正された連結会計基準を適用する連結会計年度から適用するものとがあるので、各実務指針で確認していただきたい。 (了)

#No. 52(掲載号)
#阿部 光成
2014/01/20

産業競争力強化法の成立について(更新)

産業競争力強化法の成立について 12月4日に産業競争力強化法が第185回国会(臨時会)において可決・成立しました。公布後3ヶ月を超えない範囲内において、政令で定める日から施行されます。 〔追記2014/1/17〕 本日付の官報号外第9号において「産業競争力強化法の施行期日を定める政令」及び「産業競争力強化法施行令」等、関係政省令・告示が公布されました。 〔追記2014/1/14〕 「産業競争力強化法」の施行のための政令が閣議決定されました(経済産業省ホームページ)。 公布 平成26年1月17日(金)、施行 平成26年1月20日(月) 〔追記12/11〕 ◆12月11日付け官報(号外第269号)において、産業競争力法が公布されました。 ◆「産業競争力強化法施行令(案)等に対する意見募集について」(パブリックコメント) 10月1日に公表された「民間投資活性化等のための税制改正大網」における各特例措置については、この法律の施行の日から実質適用されるものもあります。下記に関連記事をまとめましたので、ぜひご覧ください。

#Profession Journal 編集部
2014/01/20

《速報解説》 産業競争力強化法の施行日は平成26年1月20日~関係政省令の公布について~

《速報解説》 産業競争力強化法の施行日は平成26年1月20日 ~関係政省令の公布について~   Profession Journal 編集部   平成26年1月17日付の官報号外第9号において「産業競争力強化法の施行期日を定める政令」及び「産業競争力強化法施行令」等、関係政省令・告示が公布され、産業競争力強化法の施行期日が平成26年1月20日と定められた(同法附則第1条第2号に掲げる規定(特許料の軽減措置等に係る規定)の施行期日は同年4月1日)。 「産業競争力強化法」(以下「本法」)は先の臨時国会において成立したもので、アベノミクス戦略として、日本経済の再生と産業競争力強化を目的に、企業の提案に基づく「規制改革」を実行するための新たな特例措置、「産業の新陳代謝」を促進するためのベンチャー投資や事業再編の促進などの措置が規定されている。 本法は昨年(平成25年)12月11日に公布されたが、附則第1条において「公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」と規定されていたところ、上記政令により施行期日が確定したことになる。 「税制秋の陣」として昨年10月に与党が公表した「民間投資活性化等のための税制改正大網」では、景気刺激策としての企業減税に係る特例措置が織り込まれており、「産業競争力強化法の施行の日から適用する」とされているものがあることから、その施行期日がいつになるのか、実務家の間で注目されていた。 詳しくは下記の解説記事をご覧いただきたい。 なお、上記大綱に関する改正法案は、「平成26年度税制改正大綱」(12月24日閣議決定)と合わせて、1月24日に召集される通常国会において審議される予定となっているが、「事業再編等に係る登録免許税の軽減措置」については、本法の附則第29条(租税特別措置法の一部改正)において既に規定されているので留意しておきたい。 なお、施行期日を定める政令と共に、要件や手続規定を定めた関係政省令等についても官報同号にて公布されており、主に以下のようなものがある。 なお、「経済産業省関係産業競争力強化法施行規則」の第5条においては、本法第2条第13項で定義されていた「生産性向上設備等」についてのより詳しい要件が規定されており(官報同号P49)、上記大綱における「生産性向上設備投資促進税制」の適用にあたり参考になると思われる。 (了)

#No. 52(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2014/01/17
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