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《速報解説》 国税庁、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を公表~在宅勤務で生じた通信費等のうち非課税となる「業務のために使用した部分」の合理的な算定方法を示す~

《速報解説》 国税庁、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を公表 ~在宅勤務で生じた通信費等のうち非課税となる「業務のために使用した部分」の合理的な算定方法を示す~   Profession Journal編集部   長期化するコロナ禍により大企業を中心に在宅勤務(テレワーク)が浸透しており、在宅勤務を行う従業員に対し在宅勤務に必要な費用として在宅勤務手当を支給する企業も増えつつある。 国税庁はこのたび1月15日付けで「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を公表、企業が従業員に上記手当を支給した場合や費用負担を行う場合の給与課税の有無について、その取扱いを明らかにした。 FAQではまず、企業が従業員に対し在宅勤務に必要な費用を支給する場合、その費用の実費相当額を精算する方法によるものであれば、従業員に対する給与として課税する必要はないとした(一方、例えば企業が従業員に対し毎月5,000円を渡切りで支給するなど精算不要とするような場合については給与課税される)。 また、その精算方法については、①企業が従業員に仮払いした後、その費用に係る領収証等とともに従業員が精算する方法(超過分は企業へ返還)と、②従業員が立替払いした後、その費用に係る領収証等とともに実費を精算する方法が考えられるが、事務用品費はともかく通信費や電気料金については、業務のために使用した部分を明確に算定するのは難しい。 FAQでは「インターネット接続に係る通信料(基本使用料やデータ通信料など)」のうち「業務のために使用した部分」として、例えば以下の【算式】により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えないとしている。 なお、「電話料金」のうち「通話料」については通話明細書等により「業務のための通話に係る料金」が確認できるとしているが、「基本使用料」や、「業務のための通話を頻繁に行う業務(営業担当等)に従事する従業員の通話料」については、上記【算式】により算出したものを「業務のための通話に係る料金」として支給する場合には給与課税されない。 次に、従業員が負担した「電気料金(基本料金・電気使用料)」のうち在宅勤務に要した部分を企業が支給する場合に、例えば次の【算式】のように床面積割合で算出したものを「業務のために使用した部分」として支給した場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えないとしている。 なお上述したそれぞれの算式によらず、より精緻な方法で業務のために使用した金額を算出し、その金額を企業が従業員に支給している場合についても、給与課税はされないとしている。 いずれにせよ企業としては、在宅勤務に係る費用について、定額で渡切り(精算不要)として給与課税されるか、上記の管理を行って業務使用部分を精算(非課税)するかの判断が求められよう。 (了)

#No. 402(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/01/18

《速報解説》 本日が申請期限の「持続化給付金」及び「家賃支援給付金」、緊急事態宣言の再発令により書類準備が間に合わない等特段の事情がある場合は、2月15日まで期限を延長

《速報解説》 本日が申請期限の「持続化給付金」及び「家賃支援給付金」、 緊急事態宣言の再発令により書類準備が間に合わない等特段の事情がある場合は、2月15日まで期限を延長   Profession Journal編集部   新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対し政府から支給される「持続化給付金」及び「家賃支援給付金」は、申請期限が本日1月15日(金)とされているが、経済産業省はこのたびの緊急事態宣言の再発令を受け、申請期限に間に合わない特段の事情がある場合については、2月15日(月)まで申請期限を延長することを明らかにした。 なお、持続化給付金については、本日(1/15)から1月31日までに、書類の提出期限延長の申込みを行う必要がある。 期限延長に伴う手続についてはそれぞれのポータルサイトで詳細が明らかにされているが、上記の通り持続化給付金については事前の申出が必要といったように手続が異なるため、十分注意されたい。 なお経済産業省は、緊急事態宣言の再発令に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出自粛などにより影響を受ける中小事業者に対する支援策をまとめたページを公表している。 (了)

#No. 402(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/01/15

プロフェッションジャーナル No.402が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年1月14日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.402を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/01/14

令和2年分 確定申告実務の留意点 【第2回】「新型コロナ税特法の措置と申告書様式の変更」

令和2年分 確定申告実務の留意点 【第2回】 「新型コロナ税特法の措置と申告書様式の変更」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   連載第2回は、令和2年4月30日に公布・施行された「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(令和2年法律第25号)(以下、「新型コロナ税特法」という)」による措置のうち、令和2年分の確定申告に関係する主なものを解説する。 また、令和2年分の確定申告書の様式は、令和元年分から一部変更されている。主な変更点について解説する。   【1】 新型コロナ税特法による措置 新型コロナ税特法による措置のうち、令和2年分の確定申告に関係する主なものは、次のとおりである。 (1) 給付金の非課税 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を鑑み、市町村又は特別区から給付される給付金のうち次のものについては、所得税は課されない(新型コロナ税特法4①)。 (2) 指定行事の中止等により生じた権利を放棄した場合の寄附金控除等の特例 指定行事の中止等により生じた入場料金等の払戻請求権の全部又は一部の放棄を、令和2年2月1日から令和3年12月31日までにした場合には、その年において放棄をした部分の払戻請求権の価額の合計額(最高20万円)について、寄附金控除又は税額控除(公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除)の適用を受けることができる(新型コロナ税特法5、所法78、措法41の18の3)。 指定行事とは、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに行われた又は行われる予定であった文化芸術・スポーツに関する行事のうち、新型コロナウイルス感染症が発生したことによる国又は地方公共団体からの要請を受けて、中止、延期、規模の縮小を行った行事として文部科学大臣が指定するものをいう(新型コロナ税特令3①⑦)。 指定行事は、文化庁及びスポーツ庁のホームページに公表されている。 なお、この特例の適用を受ける場合には、確定申告書に指定行事の主催者から交付を受けた次の書類を添付する必要がある(新型コロナ税特令3②⑤、新型コロナ税特規3)。 (3) 住宅借入金等特別控除の適用要件の弾力化 ① 中古住宅:入居期限要件(取得日から6ヶ月以内)の緩和 中古住宅を取得し、居住の用に供する前に増改築等を行った場合、住宅借入金等特別控除の適用を受けるには、その住宅を取得日から6ヶ月以内に居住の用に供することが要件とされている。 新型コロナ税特法ではこの入居期限要件が緩和され、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、住宅を取得日から6ヶ月以内に居住の用に供することができなかった場合でも、次の要件を満たすときは住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる(新型コロナ税特法6①②③、新型コロナ税特令4①②)。 (※) 取得日から5ヶ月を経過する日又は令和2年4月30日から2ヶ月を経過する日のいずれか遅い日 ② 控除期間13年間の特例措置:入居期限(令和2年12月31日)の延長 住宅借入金等特別控除の控除期間13年間の特例措置について、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、その住宅を当該制度の入居期限である令和2年12月31日までに居住の用に供することができなかった場合でも、次の要件を満たすときはその適用を受けることができる(新型コロナ税特法6④⑤、新型コロナ税特令4③)。 (※) 新築:令和2年9月30日 中古住宅の取得、増改築等:令和2年11月30日   【2】 様式の変更 令和2年分の確定申告書の様式は、一部変更されている。 以下、B様式の第一表と第二表の主な変更点について解説する。 (1) 第一表の主な変更点 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 ① 収入金額等の「給与」欄 令和2年分の様式では、収入金額等の給与欄に「区分」欄が設けられた。「区分」欄には、所得金額調整控除の適用がある場合に、次のとおり記入する。 ② 雑所得の区分 令和2年分の様式では、雑所得の内訳として新たに「業務」欄が設けられた。 「業務」欄には、原稿料、講演料又はネットオークションなどを利用した個人取引若しくは食料品の配達などの副収入による所得について記入し、「その他」欄には生命保険の年金(個人年金保険)や互助年金等の所得について記入する。 ③ 「寡婦、ひとり親控除」欄 ひとり親控除の創設及び寡婦控除の見直しにより、「寡婦、寡夫控除」欄から「寡婦、ひとり親控除」欄へ変更された。 なお、令和2年分の様式において、「寡婦、ひとり親控除」欄に「区分」欄が新たに設けられている。この「区分」欄には、ひとり親控除の適用を受ける場合に「1」を記入する。 ④ 「公的年金等以外の合計所得金額」欄 令和2年分以後の公的年金等控除額は、公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額に応じて金額が異なることとなった。公的年金等の収入金額がある納税者は、公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額を本欄に記入する。    (2) 第二表の主な変更点 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 ① 「保険料控除等に関する事項」欄 令和2年分の様式では、「支払保険料等の計」と「うち年末調整等以外」の2つの欄が設けられた。「支払保険料等の計」欄には、控除の適用を受ける保険料等の金額を記入し、「うち年末調整等以外」欄には、「支払保険料等の計」欄に記入した金額のうち、年末調整で控除の適用を受けていない金額を記入する。 なお、給与所得者が、すでに年末調整で控除を受けた金額を記入する場合には、「保険料等の種類」欄(生命保険料控除及び地震保険料控除の場合には「支払保険料等の計」欄)に「源泉徴収分」と記入する。 ② 「本人に関する事項」欄 令和2年分の様式では、本人に関する事項(寡婦、ひとり親、勤労学生、障害者)をまとめて記入する「本人に関する事項」欄が設けられた。 ③ 「配偶者や親族に関する事項」欄 令和2年分の様式では、配偶者や親族に関する事項をまとめて「配偶者や親族に関する事項」欄に記入することとされた。令和元年分まで「住民税・事業税に関する事項」欄に記入していた同一生計配偶者や16歳未満の扶養親族に関する事項も、令和2年分では本欄に記入する。 「障害者」、「国外居住」、「住民税」、「その他」の各欄の記入方法は、次のとおりである。 (※) 別居の場合には、「住民税・事業税に関する事項」欄にある「上記の配偶者・親族・事業専従者のうち別居の者の氏名・住所」欄への記入が必要である。 *  *  * 次回(最終回)は、第1回及び第2回の内容を踏まえ、確定申告実務に関する留意点をQ&A方式で解説する予定である。 (了)   

#No. 402(掲載号)
#篠藤 敦子
2021/01/14

金融・投資商品の税務Q&A 【Q59】「暗号資産(仮想通貨)の売買に係る収益の認識時期」

金融・投資商品の税務Q&A 【Q59】 「暗号資産(仮想通貨)の売買に係る収益の認識時期」   PwC税理士法人 金融部 ディレクター 税理士 西川 真由美   ●○ 検 討 ○●   1 暗号資産(仮想通貨)の売却により生じた総収入金額の収入時期 暗号資産(資金決済に関する法律第2条第5項に規定するものをいいます)は、原則として、雑所得に区分することとされています。雑所得の総収入金額の収入すべき時期は、その収入の態様に応じて、他の所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期の取扱いに準じて判定した日とされていますが、これは、雑所得に該当するものの収入の態様には様々なものがあり得るため、他の9種類の所得の収入金額、総収入金額の計上時期に関する取扱いに準ずるという趣旨であると考えられています。 暗号資産の売買による収益は譲渡所得には該当しないものの、当該収益は、暗号資産を購入し、それを売却することによって得られる値上がり益であるため、譲渡所得の総収入金額の計上時期の取扱いに準ずるのが相当であると考えられます。ここで、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日が原則とされていますが、納税者の選択により、その資産の譲渡に関する契約の効力発生の日によることも認められています。 したがって、暗号資産の売却により生じた総収入金額の収入時期は、原則として、暗号資産の引渡しがあった日の属する年であり、納税者の選択によって、暗号資産の売却に係る約定日の属する年とすることも認められるものと考えられます。このことは、国税庁が公表している「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」の問7においても、明らかにされています。   2 暗号資産の売買により生じた雑所得の金額の計算 暗号資産の売買により生じた雑所得の金額は、総収入金額から必要経費を控除して算出します。必要経費には譲渡原価、売却に際して暗号資産交換業者に支払った手数料等が含まれますが、この譲渡原価は、その年1月1日において有する暗号資産の価額とその年中に取得した暗号資産の取得価額の総額の合計額から、その年12月31日において有する暗号資産の価額を控除して計算します。 そして、暗号資産の価額は、総平均法と移動平均法のいずれかの方法を選択して評価することができますが、法定評価方法は総平均法ですので、納税者が選定手続きを行わない場合には、総平均法を適用することになります。   3 本件へのあてはめ 暗号資産の売却により生じた総収入金額の収入時期は、原則として、暗号資産の引渡しがあった日の属する年であると考えられますので、約定日が12月31日、引渡日が翌年1月2日である取引に係る売却収入については、翌年の総収入金額に含めて確定申告することになります。ただし、納税者の選択によって、暗号資産の売却に係る約定日の属する年の総収入金額とすることも認められますので、当年の総収入金額として取り扱うことも可能です。 引渡日が翌年1月2日である取引に係る売却収入を翌年の総収入金額に含める場合の、当年における雑所得の金額の計算(総平均法)は下記のとおりです。   (了)

#No. 402(掲載号)
#西川 真由美
2021/01/14

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第12回】「居住用家屋の敷地の一部を譲渡した後に家屋を取り壊した場合」-居住用家屋の敷地の一部の譲渡-

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第12回】 「居住用家屋の敷地の一部を譲渡した後に家屋を取り壊した場合」 -居住用家屋の敷地の一部の譲渡-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、30年前に取得した家屋とその敷地300㎡を居住の用に供していましたが、昨年1月に、その家屋と一体として利用してきた庭部分100㎡を売却したところ、多額の譲渡損失が発生しました。 昨年3月に、その家屋を取り壊し、銀行で住宅ローンを組んで、残地部分に新たな家屋を取得し、昨年12月から居住の用に供しています。 他の適用要件が具備されている場合に、Xは当該譲渡ついて、「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。 A 「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることはできません。 ●○●○解説○●○● 居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等の一部を区分して譲渡した後に同家屋が取り壊されていることから、「居住用財産買換の譲渡損失特例」適用対象の譲渡資産には該当しません(措通41の5-5(居住用土地等のみの譲渡)、措通41の5-9(居住用家屋の敷地の一部の譲渡))。 なお、この取扱い規定は、「特定居住用財産の譲渡損失特例(措法41の5の2)」についても準用されます(措通41の5の2-7(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例に関する取扱い等の準用))。 (了)

#No. 402(掲載号)
#大久保 昭佳
2021/01/14

組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の現行法上の問題点と今後の課題 【第18回】「スピンオフ税制等」

組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の 現行法上の問題点と今後の課題 【第18回】 「スピンオフ税制等」   公認会計士 佐藤 信祐 《第11章:スピンオフ税制の拡充》 一般社団法人日本経済団体連合会『令和3年度税制改正に関する提言』(2020年9月15日)では、「経営・資本・上場の独立を通じた企業価値の向上を図る観点から、100%未満の子会社のスピンオフも課税の繰延を認める等、スピンオフ税制を拡充すべきである。」としている。 これに対し、『平成29年度税制改正の解説』317-318頁では、「『移転資産に対する支配が再編成後も継続している』かどうかについて、現行の組織再編税制は、グループ経営の場合には、グループ最上位の法人がグループ法人及びその資産の実質的な支配者であるとの観点に立って判断しているという側面もあり(例えば、適格組織再編成における株式の保有関係に関する要件)、この考え方を踏まえれば、グループ最上位の法人(支配株主のない法人)の実質的な支配者はその法人そのものであり、その法人自身の分割であるスピンオフについては、単にその法人が2つに分かれるような分割であれば、移転資産に対する支配が継続しているとして、適格性を認めうると考えられます。このような整理から、分割法人が行っていた事業の一部を分割型分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割が適格分割とされました。また、これと同様の効果があると考えられる完全子法人の株式の全部の分配について、株式分配として組織再編成の一類型として位置づけた上、適格要件に該当するものについては現物分配法人における完全子法人株式の譲渡損益について課税しないこととするとともに、株主において帳簿価額の付替えをすることとされました。」としている。 すなわち、現行法上のスピンオフ税制では、①グループの最上位の法人を2つに分ける分割型分割と、②それと同様の効果がある完全子法人の株式の全部の分配が対象とされている。これに対し、グループ法人税制の対象にならない100%未満の子法人の株式を分配する行為をグループの最上位の法人を2つに分ける分割型分割と同様の効果があるというのは困難であり、現行法上の組織再編税制において、100%未満の子法人の株式の分配に対してスピンオフ税制を認めるべきではない。 これに対し、第6回で解説したように、支配関係の定義を「発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を保有する関係」としたうえで、グループ法人税制の対象を支配関係のある法人との取引にまで広げた場合には、100%未満の子法人であってもグループ法人税制の対象になることから、グループ法人税制の対象となる子法人の株式の全部の分配をスピンオフ税制の対象にすることができるし、また、そのように取り扱うべきであると考えられる。   《第12章:グループ法人税制の代替案》 1 他の者による支配関係が生じたことに伴う時価評価課税と繰越欠損金の使用制限 第16回で解説したように、グループ通算制度と異なり、グループ法人税制は親族等が保有する株式を含めて判定することから、グループ法人税制の加入に伴う時価評価課税を導入することは困難であると考えられる。 さらに、グループ通算制度と同様に、内国法人による完全支配関係が生じた場合に限定してしまうと、外国法人や個人が被買収会社株式を取得する場合には課税されずに、内国法人が被買収会社株式を取得する場合に課税されるという制度になってしまい、課税の公平が保たれなくなる。 これに対し、支配株主が変わったのであれば、今までの課税関係を精算するために、子法人が保有していた資産に係る時価評価損益を計上させ、繰越欠損金の使用制限を課すということに合理性は認められる。なお、本稿では、支配関係の定義を「発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を保有する関係」とすべきであると考えていることから、他の者により発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を取得された時点で、「他の者による支配関係が生じたことに伴う時価評価課税」を適用すべきということになる(※1)。 (※1) 当然のことながら、「他の者」は最上位の株主で判定すべきである。 第4回で解説したように、他の者による支配関係が生じたことに伴う時価評価課税が導入された場合には、株式交換、スクイーズアウト、株式交付及び相対取引による株式購入との間で整合性の取れた制度にすることができる。そして、第6回で解説したように、事業譲渡方式の場合には、被買収会社において事業譲渡損益が発生するとともに、事業譲渡代金を株主に分配した時点で被買収会社の株主において受取配当金が発生し(※2)、株式譲渡方式の場合には、被買収会社において時価評価損益が発生するとともに、被買収会社の株主において株式譲渡益が発生することから、課税の公平が保たれていると言える。 (※2) 事業譲渡代金を株主に分配せずに、内部留保した場合に対する措置として、同族会社等の留保金課税が設けられている(法法67)。 このように、他の者による支配関係が生じたことに伴う時価評価課税を導入することについては、一定の合理性が認められるが、すべてのケースにおいて時価評価課税を課してしまうと円滑な組織再編成を阻害してしまうことから、税制適格要件を設ける必要がある。しかしながら、グループ通算制度と異なり、共同事業要件を検討する相手先がいないことから、共同事業要件を検討するわけにもいかない(※3)。そうなると、現行法における支配関係内の適格合併(法法2十二の八ロ)のように、支配関係継続要件、従業者従事要件及び事業継続要件のみを課すという考え方もあり得るが、移転資産に対する支配の継続に該当するためには、事業を営んできた当事者が引き続き事業を営む実態が継続する必要があるのに対し(※4)、他の者による支配関係が生じたことに伴う時価評価課税は、事業を営んできた当事者が変わることから、移転資産に対する支配の継続では説明しがたいという問題がある。 (※3) 他の内国法人による支配関係が生じた場合にのみ共同事業要件を認め、それ以外の場合には、税制適格要件を認めないという考え方もあり得るが、それでは、外国法人又は個人による支配関係が生じた場合に比べて有利になってしまうため、課税の公平が保たれなくなる。 (※4) 『平成19年版改正税法のすべて』271頁(大蔵財務協会、平成19年)参照。 これに対し、事業を営んできた当事者が変わったとしても、今まで営んできた事業の実態が変わらないのであれば、今までの課税関係を精算する必要はないことから、他の者による支配関係が生じたことに伴う時価評価課税を適用する必要はないという考え方も成り立つ。そのため、支配関係継続要件、従業者従事要件及び事業継続要件を満たす場合には、時価評価課税を適用すべきではなく、かつ、繰越欠損金の使用制限も課すべきではないということが言える(ただし、第13回で解説したように、グループ通算制度と同様に、グループ法人税制が適用される他の内国法人がある場合において、みなし共同事業要件を満たさないときに、新たな事業を開始した事案に対して、繰越欠損金の使用制限及び特定資産譲渡等損失額の損金不算入を導入する余地は考えられ、その場合には、欠損等法人の規制(法法57の2)との整合性が保たれた制度にする必要がある)。 そのように考えた場合には、他の者による支配関係が生じたことに伴う時価評価課税が課されなかったとしても、共同事業要件の判定が行われていないことから、支配関係が生じてから5年以内に適格組織再編成を行った場合において、みなし共同事業要件を満たさないときは、繰越欠損金の引継制限、使用制限及び特定資産譲渡等損失額の損金不算入を課す必要があるという整理になる。 2 他の法人による支配関係がなくなったことに伴う時価評価課税と帳簿価額修正 第14回で解説したように、グループ通算制度の離脱に伴う時価評価課税が導入された制度趣旨は、資産の譲渡損と株式の譲渡損による損失の2回控除を防ぐためである。すなわち、所得税においては、株式譲渡損と他の所得との通算が制限されていることから(措法37の10①)、個人による支配関係がなくなったことに伴う時価評価課税を導入する必要はない。そして、法人税法と所得税法は課税体系が異なることから、所得税法において帳簿価額修正を導入すべきではない。 そのため、他の法人による支配関係がなくなった場合にのみ、時価評価課税と帳簿価額修正を適用すべきであると言える。なお、この場合における支配関係は最上位の法人株主により判定すべきであるため、X氏がP社を支配しており、P社がA社を支配しており、A社がB社及びC社を支配している場合において、A社がB社株式を外部に譲渡したときには、他の法人による支配関係がなくなったことに伴う時価評価課税と帳簿価額修正を適用すべきであるが、A社がB社株式をP社に譲渡したときには、時価評価課税と帳簿価額修正を適用すべきではないと考えられる。 3 子法人株式に係る譲渡損益の繰延べ 第15回で解説したように、グループ法人税制が適用される子法人の株式を譲渡した場合には、繰り延べられた子法人株式に係る譲渡損益を実現させないという制度を導入すべきである。 なお、前述の帳簿価額修正の制度を導入した場合には、X氏がA社及びB社を支配しており、B社がC社を支配している場合において、B社がC社株式をA社に譲渡した後に、A社がC社株式を外部に譲渡したときは、A社におけるC社株式の帳簿価額がC社の簿価純資産価額ということになるため、B社において譲渡損益を実現させるべきではないということになる。そのため、個人による支配関係がある他の内国法人に対して子法人株式を譲渡した場合にも、子法人株式に係る譲渡損益を実現させないという制度を導入すべきであると考えられる。 *   *   * 次回は最終回であり、本連載についてのまとめを行っていきたい。 (了)

#No. 402(掲載号)
#佐藤 信祐
2021/01/14

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第67回】「ヤフー事件」~最判平成28年2月29日(民集70巻2号242頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第67回】 「ヤフー事件」 ~最判平成28年2月29日(民集70巻2号242頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)

#No. 402(掲載号)
#菊田 雅裕
2021/01/14

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第25回】「公益財団法人と一般財団法人の違い」

事例でわかる[事業承継対策] 解決へのヒント 【第25回】 「公益財団法人と一般財団法人の違い」   太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) パートナー 税理士 日野 有裕   相談内容 先日相談(第21回)しました、電気メーカーBを経営しているZです。最近、公益事業を行うために一般財団法人を設立しました。ところで、財団法人には公益財団法人と一般財団法人があるとのことですが、どのような違いがあるのでしょうか。どちらを選ぶべきか、制度の概要とポイントを教えてください。 ■ □ ■ □ 解 説 □ ■ □ ■ [1] 公益認定の概要 公益認定は、一般財団法人(又は一般社団法人)が公益認定申請書を提出し、民間有識者がその申請書を「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(以下、「公益認定法」といいます)に基づき判断し、行政庁が公益認定します。提出先は、活動が2つ以上の都道府県にまたがって行われる場合は内閣府、1つの都道府県内で行われる場合は都道府県となります。 公益認定基準は具体的に公益認定法第5条に列挙されており、主要なものとしては以下の通りです。   [2] 公益法人(公益財団法人、公益社団法人)のメリット・デメリット (1) メリット 〇社会的な信頼 上記のような公益認定法の基準をクリアしないと公益法人にはなれないので、公益法人となることは社会的に信頼しうる法人であることの証明となります。実際、対外的な活動において「公益法人」であると初対面の相手であっても信頼されるため、事業が進めやすいと感じることが多々あることでしょう。 〇税制優遇措置がある 公益認定されると、主として以下のような幅広い税制上の優遇措置が受けられます。 (2) デメリット 〇事務負担の増加 社会的な信用と幅広い税制優遇措置を受けられることから、公益法人となった後も公益認定基準を順守しなければなりません。具体的には、①公益認定申請の内容と同様の事業の運営、②理事会・評議員会の法令に則った開催、③会計帳簿の作成等が必要になります。これらを役員だけで運営・管理するのではなく、事務局を置いてガバナンス体制を構築することが求められます。 〇行政庁による監督・情報公開 行政庁への毎年の報告義務や、行政庁による定期的(3年に1回程度)な立入検査を受ける必要があります。また、公益法人には情報公開も求められており、要請があれば財務諸表、定款、役員名簿等を公開する必要があります(HPにおいて財務諸表や定款、役員名簿を公開している公益法人も多くあります)。   [3] 結論 上記の通り、公益法人になると行政庁による監督や情報公開により、財団の運営に対して一定のけん制効果が働くことが期待されます。例えば、財団が事業会社の株式の寄附を受けるなど重要で多額の財産を持った場合、公益財団であれば財産の流出など不正が起きにくく、一般財団より永続性が高くなると考えられます(結果的に財産の適正な管理につながる)。 まずは、一般財団において何年か実際に事業を運営しながら、公益財団を目指すかどうか判断しても良いのではないでしょうか。 実際の手続きに際しては、税理士等の専門家に相談することをお勧めします。   (了)

#No. 402(掲載号)
#太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2021/01/14

収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第45回】

収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第45回】   千葉商科大学商経学部准教授 泉 絢也   (5) 収益認識会計基準との比較 収益認識会計基準が法人税法22条4項の公正処理基準に該当する可能性があることを前提とすると、同項を通じて、同基準の規律が法人税法においても通用する可能性が出てくる。同基準が入り口(穴)を通って、法人税法の世界に流れ込んでくるイメージである(間に会社法によるフィルターを通す見方もあり得る)。 収益認識会計基準の基本となる原則は、次のとおりである(基準16)。 同基準では、顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性に関する有用な情報を財務諸表利用者に報告するために、このような基本となる原則を示している(基準115)。 収益認識会計基準は、この基本となる原則に従って収益を認識するために、5つのステップを適用する(基準17)。その中のステップ3(契約における取引価格の算定)の概要は次のとおりである(本連載第1回参照)。 注目されるのは、次の2点である。 第1に、収益認識会計基準によれば、資産の販売等に係る収益の額(取引価格)を財又はサービスの顧客への移転と交換に「企業が権利を得ると見込む対価の額」としていることである。財又はサービスの顧客への移転と交換に「流入」するものに着目しているといってよいであろう。 これは、法人税法の考え方とは合わない面がある。無償取引からも収益が生じる法人税法は、従来から、資産の販売等に係る収益の額は当該資産等の時価相当額で計上すべきであると解されていたからである。第一次的には、「流入」するものの“時価”そのものに着眼するのではなく、「流出」するものの“時価”に着眼するものであったと言い換えてもよいであろう。 第2に、収益認識会計基準によれば、契約において、顧客と約束した対価に変動する可能性のある部分(変動対価)が含まれる場合には、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ることとなる対価の額を見積もるという点である。すなわち、「変動対価」という契約上の対価の金額をそのまま収益の額(取引価格)とするのではなく、直接的であるにせよ、間接的であるにせよ、値引きやリベート、貸倒れの見込みなどを織り込んで算定する可能性があるという点である。 この変動対価の額の見積りにあたっては、最頻値法又は期待値法のうち、企業が権利を得ることとなる対価の額をより適切に予測できる方法を用いる(基準51)。 変動対価の額の見積りは、①又は②のうち、 企業が権利を得ることとなる対価の額をより適切に予測できる方法を用いる 間接的であるにせよ貸倒れの可能性がある部分を収益として計上しないという点は、種々の観点から、法人税法の立場からすればドラスティックな印象を受けるであろう。 また、法人税法ではこれまで返品権付販売については返品調整引当金を計上していたが、収益認識会計基準においては、変動対価として処理される。つまり、顧客から受け取った又は受け取る対価の一部あるいは全部を顧客に返金すると見込む場合、受け取った又は受け取る対価の額のうち、企業が権利を得ると見込まない額について、返金負債を認識し(基準53)、その分は収益に計上されないことになる。 もっとも、見積もられた変動対価の額のすべてが直ちに収益から減額されるわけではない。 見積もられた変動対価の額については、変動対価の額に関する不確実性が事後的に解消される際に、解消される時点までに計上された収益の著しい減額が発生しない可能性が高い部分に限り、取引価格に含めることになり(基準54)、それ以外の部分が取引価格に含まれない、言い換えれば、収益の額から減額されることになる。 いずれにしても、法人税法の立場からすれば、取引価格の算定に見積りの要素が入ると、同様の取引であっても個々の企業によって収益の額(取引価格)が異なることにつながり、課税の公平に反するのではないかという点に関心が向くことになる。法人税法としては、恣意的な見積りは論外であるが、過度に保守的な算定が行われることもまた認め難い。 法人税法のように「流出」するものの“時価”に焦点を当てて収益を計上する場合には、貸倒れや返品の見込みの影響を加味して収益の計上額を算定することは受け入れることができないという見方もあり得る。権利確定時に収益を計上するという考え方とも衝突する可能性がある。 このような事情があり、法人税法22条の2第4項及び5項の創設という着想が生まれたのであろう。 このように法人税法としては、上記のような収益認識会計基準のステップ3は受け入れ難い面がある。これが法人税法22条4項を経由して、法人税法の課税所得計算の世界にそのまま流れ込んでくることを阻止せねばならないという視点が生まれてくる。 以上を踏まえると、平成30年度改正法は、法人税法22条の2第4項に法人税法独自の益金算入額のルールを明記し、同項の「別段の定め」から22条4項を除き、念には念を入れてであろうか、22条4項にも「別段の定めがあるものを除き」という語句を挿入して、22条の2をここでいう「別段の定め」として位置付けるような措置を施したものといえよう。こうすることで、上記のような流れ込みが起きないように、企業会計から法人税法会計へとつながる入り口(穴)を少なくとも部分的に塞いだというようなイメージである。 ここでは、法人税法22条の2を巡る「別段の定め」論議は議論百出の様相を呈しているが、少なくとも22条の2が22条4項の「別段の定め」であるという理解は学説の支持を得つつあることを指摘しておこう(泉絢也「収益認識会計基準公表に伴う法人税法の改正」千葉商大論叢57巻2号71頁以下参照)。 また、法人税法22条の2第5項において、第4項の引渡しの時における価額又は通常得べき対価の額は、第4項の資産の販売等につき、その対価の額に係る金銭債権の貸倒れが生ずる可能性がある場合、あるいはその販売又は譲渡に係る資産の買戻しの可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合における価額とすることが明記された。このことは、収益認識会計基準のステップ3は受け入れ難い面があることを法人税法が具体的に表明したものであると捉えうることは既に述べた。 もっとも、法人が、これらの見込みを考慮して取引価格を決定する場合に、法人税法22条の2第5項の適用をどのように考えるかという問題は残されている。後で検討するが、例えば、元本債権のみならずその利息債権の貸倒れの可能性も含めて上乗せ金利を設定している場合に、5項はかかる上乗せ部分を「通常得べき対価の額」の算定上考慮しないとすることまでを定めるものであろうか。   (了)

#No. 402(掲載号)
#泉 絢也
2021/01/14
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