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《速報解説》 財産評価基本通達改正に伴うパブリックコメントの公募について

 《速報解説》 財産評価基本通達改正に伴う パブリックコメントの公募について   税理士 小幡 修大   国税庁では、現下の社会経済の実態等を踏まえ「財産評価基本通達」の改正を予定しており、以下の点について平成26年5月2日までパブリックコメントを公募している。   1 上場新株予約権の評価 (1) 新株予約権無償割当て及び上場新株予約権 会社の資金調達手段の一つとして、株主にその有する株式の数に応じて当該会社の株式の交付を受けることができる新株予約権を無償で付与し、その権利行使を受けて株式を交付する、「新株予約権無償割当て」(会社法277)という制度がある。 その新株予約権は、会社の申請により新株予約権証券を金融商品取引所に上場することができ(上場新株予約権)、その事例が増加しているが、この場合の新株予約権の評価が明らかにされていないことから、次のとおり評価方法を明らかにする。 (2) 評価方法 新株予約権無償割当てにより株主に割り当てられた新株予約権で、①金融商品取引所に上場されているもの、及び②上場廃止後権利行使期間内にあるものを「上場新株予約権」と定義し、①と②の期間の別に、それぞれ次のように評価する。 ① 上場期間内にある場合 その新株予約権が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期の最終価格と上場期間中の毎日の最終価格の平均額のいずれか低い金額 (注) 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した場合には、金融商品取引所が公表する課税時期の最終価格 ② 上場廃止後権利行使期間内にある場合 課税時期におけるその目的たる株式の価額から権利行使価額を控除した金額に、新株予約権1個の行使により取得できる株式数を乗じて計算した金額 (注) 権利行使期間内に権利行使されなかった新株予約権について発行法人が取得する旨の条項が付されている場合には、上記②の金額と取得条項に基づく取得価格のいずれか低い金額   2 ストックオプションの定義 上記「上場新株予約権の評価」を新設することに伴い、ストックオプションの定義(評基通168(8))から上場新株予約権に該当するものを除く改正を行う。   3 証券投資信託受益証券の評価 証券投資信託受益証券のうち、上場されているものについては、上場株式における権利落や配当落に相当する現象が生じることを踏まえ、これらを評価方法に反映させる内容の改正を行う。 具体的には、上場株式と同様に以下の定めに準じて評価する。   4 受益証券発行信託証券等の評価 (1) 受益証券発行信託 受益証券発行信託とは、受益証券という有価証券を発行する信託のことで、委託者から拠出された信託財産を信託受託者が管理し、信託財産からの収益や信託財産を受領する権利等(受益権)を受益証券という形にして発行される。その受益証券は証券取引所に上場され、株式と同様に金融商品取引所で売買されている。 このような金融商品取引所に上場される受益証券発行信託の受益証券(具体的には「ETN」と呼称される「指標連動証券」等)が増加しているが、このような受益証券発行信託の受益証券の評価方法が明らかにされていないことから、次のとおり評価方法を明らかにする。 (2) 評価方法 上場されている受益証券発行信託の受益証券については、ETFと呼称される「上場証券投資信託」と同様に評基通199《証券投資信託受益証券の評価》の(注)と同様、この取引相場を基に評価することとする。 また、株式における配当期待権に相当する金銭分配期待権については、評基通193《配当期待権の評価》に準じて評価する。   5 公開途上にある株式の評価 「公開途上にある株式」とは、株式公開が明らかにされた日から株式公開(上場)の前日までの間にある株式をいうところ、現在は金融商品取引所が株式公開(上場)を承認した旨を対外的に公表する手続とされている。 株式の公開価格については、現在、競争入札方式とブックビルディング方式のいずれかの方法により決定することとされている。 これらのことを踏まえ、公開途上にある株式の評価は公開価格(金融商品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われる競争入札方式又はブックビルディング方式のいずれかの方式によって決定される公募等の価格)により評価する。 (了)

#No. 64(掲載号)
#小幡 修大
2014/04/15

《速報解説》 「『不服審査基本通達(審査請求関係)の制定について』の一部改正」

 《速報解説》 「『不服審査基本通達(審査請求関係)の制定について』の一部改正」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   1 はじめに 平成25年12月に公表された与党による平成26年度税制改正大綱には、「国税不服制度の見直し」が含まれているが、その多くは、本稿執筆現在、国会にて審議中の行政不服審査法の改正が実現した後に改正される内容となっている。 その中で、唯一、去る3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」(法律第10号)の中に含まれていた国税通則法第99条の改正を受けて、3月31日付けで「不服審査基本通達(審査請求関係)」の一部が改正された。 本稿では、公布された通則法99条の規定とともに、国税不服審査手続における変更点を検討する。   2 国税通則法第99条の改正事項 改正後の国税通則法第99条は以下のとおりである(下線部分が改正点)。 まず、見出しが、「国税庁長官の指示等」から「国税庁長官の法令の解釈と異なる解釈等による裁決」に改められた。 次いで、「国税庁長官による国税不服審判所長への指示を」という文言が削除されるとともに、国税審議会への諮問は、これまで国税庁長官が単独で行っていたところを、国税庁長官と国税不服審判所長が共同して行うこととなり、審判所長は、国税審議会の議決に基づいて裁決しなければならないという条項が加わった。   3 不服審査基本通達(審査請求関係)の改正 上記の国税通則法第99条の改正を受け、不服審査基本通達(審査請求関係)の一部改正が、3月31日付け、国税庁長官から発遣された(4月9日に国税庁ホームページにて公表)。 具体的には、通達から、以下の規定を削除するというものである。   4 国税不服審判所による説明 本改正に伴い、国税不服審判所が公表した新しいパンフレット「審判所ってどんなところ? 国税不服審判所の扱う審査請求のあらまし」には、以下のような表記がある(7ページ)。   5 改正による影響 本改正により、国税庁長官の発遣した通達に縛られていると言われ続けてきた不服審査のあり方がどのように変わるか、注目される。 よく引き合いに出されるように、内閣府(行政救済制度検討チーム)資料によれば、これまで、国税通則法第99条の規定による国税不服審判所長の申出はわずか9件に過ぎなかったため、国税不服審判所が国税庁から独立していないことの証左の一つとされてきた。 今回の通則法改正によって、国税庁長官の指示が削除され、国税不服審判所長は、国税庁長官が国税不服審判所長の意見を認めない場合でも、国税庁長官と共同して国税審議会に諮問できることとなった。 とすれば、次は、国税審議会がどのように運営されているかが課題となるのではないだろうか。 本制度の透明化、実効性の向上にあたっては、国税庁長官と国税不服審判所長が共同して国税審議会に諮問した場合には、諮問内容と審議結果を適時に開示すべきであろう。 (了)

#No. 64(掲載号)
#米澤 勝
2014/04/15

《速報解説》 監査基準委員会報告書800 「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」 等の確定について

《速報解説》 監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」等の確定について   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年4月4日付(常務理事会の承認は3月19日)で、日本公認会計士協会は次のものを、新たに公表した。 これは、平成26年2月18日付けで企業会計審議会から公表された「監査基準の改訂に関する意見書」に対応するものである。 これらについては公開草案が公表されていたものであり、今回、確定することとなる。 これらに関連して、品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」、監査基準委員会報告書(序)「監査基準委員会報告書の体系及び用語」、監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」など多くのものが改正されている。 また、改正に関して「公開草案に対するコメントの概要及び対応について」が公表されているので、参考にしていただきたい。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「一般目的の財務報告の枠組み」及び「特別目的の財務報告の枠組み」と「適正表示の枠組み」及び「準拠性の枠組み」 1 適用される財務報告の枠組み 平成26年2月18日付で公表された「監査基準の改訂に関する意見書」では、従来の適正性に関する意見の表明の形式に加えて、準拠性に関する意見の表明の形式を監査基準に導入している。 改訂された監査基準では、一般目的の財務諸表と特別目的の財務諸表とのそれぞれについて適正性に関する意見の表明と準拠性に関する意見の表明とがあり得る。 監基研Q&Aの「Q2 適用される財務報告の枠組み」では、財務報告の枠組みは次の2つの視点から分類されると述べられている。 財務報告の枠組みが上記のそれぞれの視点においていずれに分類されるかは、監査契約の新規の締結又は更新や監査報告に影響するため重要となる。 一般目的の財務報告の枠組み及び特別目的の財務報告の枠組みは、いずれも、適正表示の枠組みであることもあれば、準拠性の枠組みであることもある(監基研Q&AのQ7)。 監基研Q&AのQ7では、Q4及びQ6に対する回答に記載したそれぞれの分類の性質から、以下の傾向が生じると述べられている。 監基研Q&AのQ7において、次の図が示されている。 2 特別目的の財務報告の枠組みの具体的な例 監基研Q&Aの「Q5 特別目的の財務報告の枠組みの具体的な例」は、特別目的の財務報告の枠組みの具体的な例として、次のものを挙げている。 監査基準委員会報告書800の付録には、以下の特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表の監査報告書の文例が示されている。 特別目的の財務報告の枠組みを理解するうえで参考になるものと考えられる。   Ⅲ 公開草案からの主な変更点 (了)

#No. 64(掲載号)
#阿部 光成
2014/04/14

《速報解説》 協会公表物デュー・プロセスについて

《速報解説》 協会公表物デュー・プロセスについて   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年4月8日付で、日本公認会計士協会 協会公表物デュー・プロセス検討プロジェクトチームは、「協会公表物デュー・プロセス検討プロジェクトチーム報告-協会公表物のデュー・プロセス透明化に向けた施策について-」を公表した。 日本公認会計士協会が果たすべき役割の拡大、公表物の利用者が会員のみならず広く一般社会へと拡がり、また、その影響もますます大きなものになってきているなどの社会情勢を踏まえ、デュー・プロセスの透明化について検討を行ってきたものである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な提言の内容 1 コメント対応について 早急に対処すべき課題として「公開草案に対して寄せられたコメントへの対応」(以下「コメント対応」という)の方法について、提言として取りまとめられている。 公開草案に対して寄せられたコメントへの対応としては、すでに次のものが公表されている。   2 その他 上記のコメント対応のほか、当面実施が可能でかつ委員会の実務指針等の検討内容の透明化に効果的と考える施策として、次のものの実施が提言されている。 (了)

#No. 64(掲載号)
#阿部 光成
2014/04/14

《速報解説》 税理士法改正に伴う「税理士法基本通達」の一部改正について

 《速報解説》 税理士法改正に伴う「税理士法基本通達」の一部改正について   弁護士 木村 浩之   1 はじめに 平成26年度税制改正に伴う通達改正の一環として、平成26年3月31日付けで、税理士法基本通達の一部改正がなされた。 税理士法については、平成26年度税制改正で大幅な改正がなされているが、今回の通達改正は、改正項目のうち、「登録拒否事由」(税理士法24条)に関するものが中心となっている。 なお、平成26年度税制改正については、平成26年3月31日に所得税法等の一部を改正する法律(平成26年法律第10号)が公布されており、それと同日で、関係する政省令の改正についても公布がなされている。 特に税理士法の改正については、一部の重要な内容が省令に委任されていることから、改正全体を正確に把握するためには、法律改正のみならず、省令改正の内容も確認する必要があるので、留意されたい。   2 登録拒否事由に関する税理士法の改正 税理士登録の申請がなされた際に、登録を受けることができないとされる登録拒否事由として、欠格条項(税理士法4条)に該当していた者(税理士となる資格を喪失していた者)が一定の年数経過によって欠格条項に該当しなくなった(税理士となる資格が復活した)場合に、なお税理士業務を行わせることがその適正を欠くおそれがあるとき、というものが追加された。 従前は、いったん欠格条項に該当したとしても、一定の年数を経過することで特に要件なくして登録が認められるものとされていた。 ところが、今回の改正では、適正を欠くおそれがないという要件が加重され、一定の場合に登録拒否が認められることとなった。 なお、今回の改正では、欠格条項に該当する者として、懲戒免職の処分を受けた公務員のほか、懲戒免職相当で退職手当等の支給を制限する処分を受けた公務員が追加されており、これらの場合は、処分から3年を経過するまで、税理士となる資格を喪失するものとされている。   3 通達改正のポイント 今回の税理士法の改正で追加された登録拒否の要件は、「おそれがある」という不確定概念であり、処分をする側に一定の裁量が認められる余地がある。 そこで、その裁量が適正に行使されるようにするために、税理士法基本通達の一部改正として、「おそれがある」と認められるための一定の基準が定められた。 具体的には、非行の性質や内容、経過期間、本人の反省や謹慎などの具体的状況等を総合的に勘案して判定するものとされており(新税基通24-7)、その基準自体は適切なものといえる。 ここでのポイントは、なお書きとして、懲戒免職された税務職員などを念頭において、期間の経過というごく形式的な基準のみによって安易に登録を認めることのないようにすべきとされていることに意義があるといえよう。 なお、これと平仄を合わせて、税理士の信用又は品位を害する「おそれがある」(税理士法24条7号前段)との要件に該当するための基準も新たに定められている(新税基通24-8)。 (了)

#No. 64(掲載号)
#木村 浩之
2014/04/11

《速報解説》 「監査及び四半期レビュー契約書の作成例」等の改正について

《速報解説》 「監査及び四半期レビュー契約書の作成例」等の改正について   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年4月9日付(常務理事会の承認は3月19日)で、日本公認会計士協会は次のものを改正し、公表した。 新たに「監査及び四半期レビュー契約書」を締結する際に、実務の参考になるものと考えられる。 研究報告14号は、監査及び四半期レビュー契約書を対象としており、それに限定されない契約書作成のための概括的な内容、例えば、契約書作成の目的、押印、本文の訂正方法等は、上記①の法規委員会研究報告第10号に記載されている。 研究報告第10号の改正については、字句修正のほか、印紙に関する記載が従来よりも詳細になっている(研究報告第10号、Ⅱ3(6))。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 研究報告14号の主な改正事項 1 国際会計基準(IFRS)任意適用会社 「国際会計基準(IFRS)任意適用会社の監査及び四半期レビュー契約書」の作成例が新設されている。 あわせて、「様式4:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査、指定社員制度利用)」が新設されている。 2 任意監査の定義 任意監査について、公認会計士法2条1項業務のうち、法令で求められている業務を除く監査(品質管理基準委員会報告書第1号34-2項)をいうとされている(研究報告第14号、Ⅲ1(3))。 3 グループ監査 「構成単位の監査人の側の監査契約書」において、詳細な事項が述べられており、監査契約書において、「親会社の監査人との間のコミュニケーション」に関する例示が示されている(研究報告第14号、Ⅲ2(10)②)。 ただし、これは一例であり、業務ごとに、その必要性や実情に応じた契約書の形式や文言を用いることが望まれると述べられている。 (了)

#No. 64(掲載号)
#阿部 光成
2014/04/10

Profession Journal No.64が公開されました!~お薦め記事のご紹介~

2014年4月10日(木)AM10:30、Profession Journal  No.64 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。 Web情報誌 Profession Journalは、プロフェッションネットワークのプレミアム会員専用の閲覧サービスです。 Profession Journalについての詳細はこちら。 バックナンバー一覧はこちら。

#Profession Journal 編集部
2014/04/10

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第16回】「建替え建築は『新築』か『改築』か? (その1)」~住宅借入金等特別控除と借用概念~

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第16回】 「建替え建築は『新築』か『改築』か?(その1)」 ~住宅借入金等特別控除と借用概念~   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦   はじめに これまでこの連載でも取り上げてきた借用概念の解釈を巡っては、多くの訴訟が提起されている(本連載第7回~9回で取り上げた「住所」の概念、第10~12回で取り上げた「配偶者控除にいう『配偶者』」の概念なども参照)。 例えば、居住者が、現在の居住用建物を取り壊して、新たにその基礎(土台)に新しい家を建てた場合に、かかる家は「改築」された家というのであろうか。あるいは、「新築」された家というのであろうか。 このような話が単なるネーミングの問題であればそれほど深刻なことにはならないが、例えば、建築工事費用のための借入金について、その建築が「改築」に該当すれば、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用対象になり、「新築」に該当すれば、同控除の適用対象にならないという場合には、租税負担に大きな違いが生じるので、その違いを軽視することはできないであろう。 向こう10年以上にわたって、控除を受け続けることができるかどうかは、当初の要件次第であるから、ここで「改築」と解釈されないと納税者にとっては、タックスメリットが完全に否定されてしまうことになるのである。 租税法律主義の下、このことの解決は当然に法律に求めるほかない。しかしながら、住宅借入金等特別控除を規定する租税特別措置法には、「改築」の定義も、「新築」の定義もされていない。では、どのようにして、この問題を解決することができるであろうか。 この問題を解く鍵は、借用概念をどのように理解するか、という点にありそうだ。 ここでは、上記のように、建替えが「改築」に当たるか否かが争点とされた事例である東京高裁平成14年2月28日判決(訟月48巻12号3016頁)を素材として、借用概念についてのより深い理解を得ることとしよう。   Ⅰ 事案の概要 本件は、所有地上の建物を取り壊して新たに建物を建築したX(原告・控訴人)が、平成9年分の所得税について、その建築が租税特別措置法(以下「措置法」という)41条にいう「改築」に該当し、住宅借入金等特別控除(以下「本件特別控除」という)の適用があると考え確定申告したところ、税務署長Y(被告・被控訴人)から、同年分の所得税についての更正処分(以下「本件更正処分」という)及び過少申告加算税の賦課決定(以下「本件賦課決定処分」という。また両者併せて、以下「本件各処分」という)を受けたため、その取消しを求めた事案である。 Xは、S市に宅地及び同地上に鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺2階建店舗兼居宅を所有し、居住していたが、道路拡張のため、上記土地のうち一部が買収され、旧建物をそのまま使用できなくなった。そこで、Xは、旧建物を取り壊し、その残地に鉄骨造アルミニウム板葺3階建店舗兼居宅(以下「本件建物」という)を建築し(この旧建物の取壊しと本件建物の建築を併せて、以下「本件建築」という)、居住の用に供することとした。 Xは、平成10年3月13日、本件建築は「改築」に該当するので、本件特別控除の適用があるものとして納付すべき税額を計算して、Yに対し平成9年分の所得税について確定申告をしたところ、Yは上記控除の適用はないものと判断して、同年5月13日付でXに対し本件各処分をした。   Ⅱ 争点 この事案の争点を整理しよう。 本件特別控除の適用の有無は、措置法41条に規定している要件に従うことになる。ここでは、同条の要件をひとつひとつ抽出して、その適用の有無について検討をすることをしないが、争点となったのは、建替え建築たる本件建築が同法にいう「改築」に該当するか否かである。すなわち、いかに本件建築が他の措置法41条の要件を充足していたとしても、「改築」に該当しない限り本件特別控除の適用はないわけである。 そこで、本件特別控除の適用があるべきだと考えるXとしては、当然に、「本件建築」が措置法41条にいう「改築」に該当すると主張しなければならない。他方、本件特別控除の適用はないと本件各処分をしたYは、Xの主張とは逆に、「本件建築」が措置法41条にいう「新築」に該当すると主張することになるのであろうか。 答えは、NOである。Yは、措置法41条に規定する本件特別控除の適用を認めない立場であるから、同控除の適用要件である「改築」に該当しないと主張をし、その立証に成功すればよいのである。 なお、仮に、措置法41条にいう「新築」に該当するとしても、次に、その「新築」が同条にいう「改築」に該当しないことを主張しなければならなくなるのであるから、結果的には、「改築」該当性の問題に帰着することになろう。 したがって、訴訟上の争点は、本件記事の標題とは若干異なり、「本件建築」が「措置法41条にいう『改築』に該当するか否か」である。   Ⅲ 当事者の主張 1 Yの主張 Yは、次のように、租税法が条文の中で用いる概念(用語)につき、他の法分野で用いられている概念であれば、他の法分野におけると同様の意味で理解すべきとの主張を展開した。 その上で、措置法は税額控除を認める例外規定であり、租税負担公平の原則から不公平の拡大を防止するため、解釈の狭義性・厳格性が要請されると解すべきであり、本件においても厳格な解釈運用が求められると論じている。 また、 に照らして、「措置法41条1項、3項に規定する『改築』とは建築基準法上のそれと同一に解するのが相当である。」と主張した。 さらに、 と主張した。   2 Xの主張 Yが措置法41条にいう『改築』が建築基準法からの借用概念であり、同法と同様に解釈すべきであると主張したのに対して、Xは、真っ向から対立した。 Xは、まず、措置法41条の「改築」概念につき、建築基準法のそれと同義に理解すべきではないという。 そして、Yが建築基準法に従って導出した「改築」であるかどうかは、「著しく異ならない」という要件の充足が必要であるとしている点について、次のように反論している。 このようにして、「措置法41条1項、3項に規定する『改築』については建築基準法のそれと同一に解するのは相当ではない。」と論じるのである。 これらの主張の上で、Xは、 として、 というのである。 このように、当事者は、措置法41条にいう「改築」について、建築基準法上の「改築」と同義に理解すべきかどうかという点で見解が対立しているのをお分かりいただけたであろうか。 さて、どちらの主張が妥当であろうか。 (続く)

#No. 64(掲載号)
#酒井 克彦
2014/04/10

区分所有登記要件をめぐる小規模宅地評価減特例 【第1回】「平成25年度の改正事項と論点の確認」

区分所有登記要件をめぐる 小規模宅地評価減特例 【第1回】 「平成25年度の改正事項と論点の確認」   税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   1 はじめに 平成25年度税制改正において、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(租税特別措置法第69条の4)(以下、小規模宅地評価減特例)に関する改正が行われたが、その改正点の一つとして、特定居住用宅地等(※1)の同居要件がある(措法69の4③二)。   2 平成25年度税制改正前の取扱い(*2) 二世帯住宅について、建物の構造上、内部で行き来ができるか否かにより、同居か否かが判定され、結果、小規模宅地評価減特例の適用が判断されていた(*3)。 つまり、建物の構造上、内部で行き来ができる場合には、被相続人と相続人とは同居していると判定され、他の要件を満たしていることを前提にすれば、特定居住用宅地等として、小規模宅地評価減特例が適用されていた。   3 平成25年度税制改正後の取扱い(*2) 二世帯住宅について、被相続人と相続人とが同一の建物に居住していれば(建物の構造上、内部で行き来ができるか否かには関係なく)、同居として取り扱われ、特定居住用宅地等として、小規模宅地評価減特例が適用される。 ただし、当該二世帯住宅が区分所有(*4)されている場合には、被相続人が居住していた専有部分(区分所有の対象となっている単位)において、相続人が居住(同居)しているか否かで、同居要件を判定する(*5)。   4 適用判定のまとめ 上記で説明したとおり、平成25年度税制改正により、平成26年1月1日以降に他界した被相続人に関する相続税申告については、小規模宅地評価減特例(特定居住用宅地等)の同居要件については、以下のように判定が行われる(措法69の4③二、措令40の2⑩)。 次回(4/17公開)は、上記で整理した論点をもとに、建物の所有権者、相続の発生時期から6パターンの事例を紹介し、小規模宅地評価減特例の適用を検討したい。 (了)

#No. 64(掲載号)
#根岸 二良
2014/04/10

貸倒損失における税務上の取扱い 【第15回】「判例分析①」

貸倒損失における税務上の取扱い 【第15回】 「判例分析①」   公認会計士 佐藤 信祐   第15回目以降は、貸倒損失についての判例のうち重要なものについてそれぞれ紹介する予定である。まず、最初に紹介するのは、日本興業銀行が住宅金融専門会社である日本ハウジングローン株式会社(以下、「JHL社」という)に対する3,760億5,500万円の貸出債権を解除条件付の債権放棄を行ったことにつき、貸倒損失として損金の額に算入することができるか否かが争われた事件である。 本事件は、最終的には納税者の勝訴となったため、国税庁のHPにおいて、「平成16年12月24日最高裁判決を踏まえた金銭債権の貸倒損失の損金算入に係る事前照会について」と掲載されるようになったという意味で、極めて重要な判決である。   1 日本興業銀行事件 (1) 第1審・東京地裁平成13年3月2日判決(民集58巻9号2666頁、訟月48巻3号757頁、判時1742号25頁、税資250号順号8851) ① 判決の概要 本事件における主要な争点は の2点であり、裁判所の判断としては、争点の1つ目については、 としたうえで、原告の主張を認めた。また、争点2つ目については、債権放棄の有無にかかわらず、その全額を損金算入することができるため、もはや判断をする必要がないとしながらも、念のために検討をした結果、納税者の主張を全面的に認めた。 本事件については、債権の全額が回収不能か否かを判断する場合において、債務者側の事情だけでなく、債権者側の事情も考慮すべきであるという点を明らかにした判決として意義のある判決であると言われている。 ② 当事者の主張 本事件についてのそれぞれの主張はかなり長文にわたるため、下記のようにその概要をまとめた。なお、厳密には、国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があったか否かという点についても争われているが、ここではその内容を省略している。 本事件においては、双方から上記のような主張がなされている。上記のように、法人税法の条文ではなく、法人税基本通達に沿って主張がなされているという点が本事件の特徴でもあるが、法的に債権放棄が確定しているか否かについての原告の主張、すなわち、法人税基本通達9-6-1(3)(4)、9-4-1についての主張はやや乱暴に思える。 また、被告側(麹町税務署長)の主張としては、解除条件付債権放棄について、寄附金として損金不算入にするのではなく、解除条件の不成就が確定した翌事業年度において損金の額に算入させるというものであったことが分かる。 そのような中では、法人税基本通達9-6-2に該当するか否かという点が主たる争点であり、法的に債権が消滅していたか否かという点については、あまり重要な論点ではないのかもしれない。 次回においては、上記のような主張を踏まえ、裁判所がどのような判断を下したのか、また、それをどのように考えるべきであるのかという点についてそれぞれ解説を行う予定である。 (了)

#No. 64(掲載号)
#佐藤 信祐
2014/04/10
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