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《速報解説》 事業再編を促進するための税制措置の創設~民間投資活性化等のための税制改正大綱~

 《速報解説》 事業再編を促進するための税制措置の創設 ~民間投資活性化等のための税制改正大綱~   OAG税理士法人 税理士 辻 喜子   1 事業再編を促進するための税制措置の概要 産業競争力強化法(仮称)に規定する特定事業再編計画(仮称)の認定を受けた法人は、事業再編を行う際に取得した株式等の取得価額の70%を準備金として積み立て、損金算入することができる。   2 制度趣旨 我が国では、欧米等と比べて1つの事業分野に複数の企業が存在するために、結果として収益力や海外市場を開拓する力が弱いケースが多く、事業統合による収益力や国際競争力の強化が急務となっている。 このような中、事業部門の分離・他社事業部門等との統合等、潜在力ある事業の成長事業化や国際競争力強化に向けた事業再編を行う企業は、再編で誕生する新会社が軌道に乗るまで資金の支援を行うことが多く、その財務上の負担が再編の障害の一つとなっている。 本制度は、事業部門の分離・統合により設立される会社の成長に必要な資金負担を行う出資会社に対し、財務負担の軽減を図る趣旨で設けられたものである。   3 制度の内容 (1) 適用要件 以下のすべての要件を満たす必要がある。 (2) 損金算入限度額 特定株式等の取得価額 × 70% (3) 益金算入額 積立期間終了の日を含む事業年度終了の時における準備期間残高について翌事業年度から5年間で均等額を取り崩す。 なお、特定会社が解散等をした場合には、準備金を一括で取り崩すこととなると考えられる。   4 適用時期 本制度は、平成26年4月1日以後に終了する事業年度について適用される予定である。 なお、平成26年4月1日前に終了する事業年度において、産業競争力強化法(仮称)の施行日から平成26年3月31日までの間に特定株式等の取得をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度においてその準備金積立相当額の損金算入が認められる。 (了)

#No. 39(掲載号)
#辻 喜子
2013/10/16

《速報解説》 事業再編等に係る登録免許税の税率の軽減措置の創設~民間投資活性化等のための税制改正大綱~

 《速報解説》 事業再編等に係る登録免許税の税率の軽減措置の創設 ~民間投資活性化等のための税制改正大綱~   OAG税理士法人 税理士 新村 育代   1 事業再編等に係る登録免許税の税率の軽減措置の概要 産業競争力強化法(仮称)の認定を受けて事業再編や中小企業の事業再生を行う場合、会社の設立・不動産の取得等について、現行の産活法(※)と同等に登録免許税の負担を軽減するものである。 (※) 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(平成11年法律第131号)   2 制度趣旨 我が国では、一事業への集中による利益率の低下が問題視される一方で、他社との経営融合を図ることでさらなる成長が期待できる事業が多く存在するとされ、戦略的、抜本的な組織再編・事業再編を推進することにより、国内の過剰供給・過当競争構造を解消し、産業の競争力の強化を図る必要がある。 また、財務や事業の見直しにより再生可能な中小企業・小規模事業者について、債務超過の解消、収益性の向上等に向けた再生計画の策定を地域の関係機関や専門家等が連携して支援することにより、産業の新陳代謝を活性化させ、産業競争力の強化を図る必要がある。 本制度は、事業再編や中小企業の事業再生を行う場合のトランザクションコストである登録免許税の負担の軽減を図る趣旨で設けられた。   3 制度の内容 産活法では認定対象として4計画(事業再構築計画、経営資源再活用計画、経営資源融合計画、資源生産性革新計画)を掲げていたが、戦略の実行、加速化を図るための見直しが行われ、産業競争力強化法では2計画(事業再編計画及び特定事業再編計画)に統合された。なお、中小企業承継事業再生計画については現行のまま継続して措置されている。 これらの計画の認定を受けた事業者については、以下のとおり登録免許税が軽減される。   4 適用時期 産業競争力強化法の施行日から平成28年3月31日までの間に、同法に基づく上記計画の認定を受けた事業者に限り適用される。 (了)

#No. 39(掲載号)
#新村 育代
2013/10/16

《速報解説》 「アンケート調査結果報告-国際財務報告基準の適用における実務上の対応(製造費用関係)に関する調査-」の解説

《速報解説》 「アンケート調査結果報告-国際財務報告基準の適用における実務上の対応(製造費用関係)に関する調査-」の解説   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成25年10月11日、日本公認会計士協会は「アンケート調査結果報告 -国際財務報告基準の適用における実務上の対応(製造費用関係)に関する調査-」(会計制度委員会研究資料第5号。以下「研究資料」という)を公表した。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「研究資料」利用の際の留意点 研究資料は、国際財務報告基準(以下「IFRSs」という)を適用した場合に、我が国企業の原価計算における製造費用項目に含まれる範囲やその会計処理に与える影響について、企業へのアンケート及びヒアリングを実施した結果をもとに取りまとめたものである。 我が国では、「原価計算基準」(昭和37年11月8日 企業会計審議会)において原価に関するルールが規定されている。一方、IFRSsでは、原価計算を直接的に取り扱う基準はなく、国際会計基準第2号「棚卸資産」の中で、棚卸資産の測定に関連してその取扱いが定められているだけである。 アンケート調査の結果はIFRSsを適用した際の会計処理に与える影響に関する一般的な傾向を示すものではなく、一つの見解や結論に到達することを意図したものではないと述べられている。また、研究資料で述べられている日本基準とIFRSsの取扱いの比較は現時点における考え方の一つを示したものにすぎないとのことである。 IFRSsの任意適用を考えている企業において、棚卸資産及び原価計算に関するIFRSs適用上の留意点を検討する際に、研究資料は有用なものになると考えられる。   Ⅲ 「研究資料」の主な内容 研究資料では、IFRSs を適用した場合における製造費用項目として、次の事項を取り上げている。 このほか、「個別財務諸表と連結財務諸表での調整」、「連結グループの内部管理に与える影響」、「付録:製造費用項目に関する日本基準とIFRSs の比較」についても取り上げている。 (了)

#No. 39(掲載号)
#阿部 光成
2013/10/15

《速報解説》 「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告(公開草案)」の解説

《速報解説》 「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告(公開草案)」の解説   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成25年10月7日、日本公認会計士協会と日本監査役協会は、「監査役若しくは監査役会又は監査委員会と監査人との連携に関する共同研究報告」(最終改正平成21年7月9日)の見直しを行い、公開草案を公表した。表題については「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」とすることを提案している。 公開草案は、日本監査役協会における監査役監査基準等の改正、日本公認会計士協会における新起草方針に基づく監査基準委員会報告書、不正リスク対応基準への対応などを踏まえたものである。意見募集期間は平成25年10月21日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 公開草案の内容 公開草案は、監査役もしくは監査役会又は監査委員会(以下「監査役等」という)と監査人がそれぞれの職責を果たす上での相互連携の在り方を示すことにより、両者の連携を強化し、企業のコーポレート・ガバナンスの一層の向上を目的として取りまとめられたものである。 1 不正リスク対応基準における規定(金商法の関連規定) 公開草案は、不正リスク対応基準における規定として次の事項を述べている。 2 監査役等と監査人との連携の方法、時期及び情報・意見交換事項 監査役等と監査人は、コミュニケーションに際して関係者全員に適切に情報が伝わるよう努めるとし、監査役等は、監査人の業務執行責任者に情報が伝わるよう配慮し、監査人は、常勤監査役だけでなく、必要な場合は監査役会・監査委員会にコミュニケーションを行うよう配慮するように述べている。また、監査役・監査委員は、職務上知り得た情報を他の監査役・監査委員と共有するよう努めると述べている。 「連携の時期及び情報・意見交換すべき基本的事項の例示」の「(7)不正リスク対応基準に基づく対応」において、次の規定が提案されている。 (了)

#No. 39(掲載号)
#阿部 光成
2013/10/15

《速報解説》 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限の2年間延長~民間投資活性化等のための税制改正大綱~

 《速報解説》 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の 適用期限の2年間延長 ~民間投資活性化等のための税制改正大綱~   税理士 伊村 政代   Ⅰ 概要 この制度は、青色申告法人である中小企業者等が30万円未満である減価償却資産を取得した場合に、その取得価額相当額をその事業年度の損金の額に算入することができる制度である。 通常の減価償却であれば、取得価額相当額を耐用年数に応じた率で按分した金額を当期の減価償却費として損金算入するが、この制度では、取得事業年度での即時償却が認められる。 この制度の適用を受けるためには、事業供用日の属する事業年度において取得価額相当額を全額損金経理し、明細書を確定申告書に添付することが必要である。   Ⅱ 改正の沿革 平成15年の税制改正において創設された制度であり、創設以来、適用期限が延長されてきたものである。現在、平成15年4月1日から平成26年3月31日までの間に対象資産を取得等し、事業の用に供した場合に適用することができることとなっている。 今回の「民間投資活性化等のため税制改正大網」によれば、この適用期限が平成28年3月31日まで2年延長される。   Ⅲ 適用にあたっての留意点 1 適用対象となる法人 青色申告法人である中小企業者(※1)又は農業組合等に限られる。 2 適用対象となる資産 取得価額(※2)が30万円未満(※3)の減価償却資産(※4)である。 【参考図】 [措置の内容] (中小企業庁ホームページより) 3 適用除外となる資産 取得価額が10万円未満であるものは、法人税法上の少額の減価償却資産に該当し、その規定が優先的に適用される。また、一括償却の適用を受けるものについても、この制度の適用はない。 なお、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳との重複適用はできない。 (了)

#No. 39(掲載号)
#伊村 政代
2013/10/15

《速報解説》 既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設~民間投資活性化等のための税制改正大綱~

 《速報解説》 既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設 ~民間投資活性化等のための税制改正大綱~   公認会計士・税理士 新名 貴則   平成25年10月1日付で自由民主党と公明党が「民間投資活性化等のための税制改正大綱」を公表した。 この中で法人税及び所得税に係る改正案として、「既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設」が盛り込まれた。 本稿においては、当該税制措置の概要、位置づけ及び実務上の注意点を解説する。   1 税制措置の概要 当該税制措置の概要は次のとおりである。 (*) 耐震改修促進法において既存耐震不適格建築物に該当する建築物のうち、同法により耐震診断結果の報告が義務付けられるもの   2 当該税制の位置づけ 耐震改修促進法は、平成7年に発生した阪神大震災を受けて、建築物の耐震化を促進することを目的として制定された法律である。平成23年の東日本大震災の発生を受け、建築物の耐震化を促進する必要性がさらに高まっていることから、平成25年において耐震改修促進法の改正が行われた。 この建築物の耐震化促進を税制面からも支援するために、今回の税制改正大綱において当該税制が盛り込まれることとなった。   3 実務上の注意点 耐震改修対象建築物の部分について「耐震改修」を行うことによって取得又は建設した設備が対象となるが、ここでいう「耐震改修」とは次の要件を満たす必要があることに注意が必要である。 (了)

#No. 39(掲載号)
#新名 貴則
2013/10/15

「民間設備投資活性化等のための税制改正大綱」を読む【第1回】

「民間設備投資活性化等のための 税制改正大綱」を読む 【第1回】   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 阿部 泰久   1 はじめに 安倍総理は10月1日(火)、2014年4月1日からの消費税率8%への予定通りの引上げとともに、総額5兆円に上る経済対策(閣議決定「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」)を公表した。 その中では、税制措置として、「日本再興戦略」(6月14日閣議決定)で示されていた投資減税が「生産性向上設備投資促進税制」として創設されたのみならず、平成25年度税制改正で導入された所得拡大促進税制の見直しなど、総額1兆100億円の減税が盛り込まれた。 そこで本稿では、これらの税制措置の内容を、与党「民間設備投資活性化等のための税制改正大綱」に基づき、今週号と来週号の2回にわたり解説する。 なお、本連載の構成は以下のとおりである。   2 「生産性向上設備投資促進税制」の創設 「日本再興戦略」の中では、「思い切った投資減税で法人負担を軽減すること等によって積極姿勢に転じた企業を大胆に支援していく。」として、今後3年間でリーマンショック前の設備投資水準(70 兆円/年)を回復するために、老朽化した生産設備から生産性・エネルギー効率の高い最先端設備への入替え等の生産設備の新陳代謝を促進する取組みを強力に推進し、これに応じて設備の新陳代謝を進める企業への税制を含めた必要な支援策を講じることとされており、その具体化として、「生産性向上設備投資促進税制」が創設された。 国内への積極的な投資を促すための大胆な投資減税として、産業競争力強化法施行の日(平成26年初めを予定)から平成29年3月31日までの間に、産業競争力強化法に規定する「生産性向上設備等」に該当するもののうち、一定規模以上のもの等を取得し、国内での事業の用に供した場合には、以下のように即時償却・特別償却あるいは税額控除(控除限度額:法人税額の20%)の選択が認められる。 なお、産業競争力強化法施行の日から平成26年3月31日までに終了する事業年度で取得した分については、平成26年4月1日を含む事業年度において即時償却・税額控除ができることで、事実上、平成25年度に遡及適用される。 「生産性向上設備等」は、幅広く先端設備への更新投資に向けたものと、生産ラインや生産ラインやオペレーションの刷新に向けたものに分かれる。いずれも、製造業のみならず、物流・流通サービス業等の非製造業も活用できる。 生産等設備に限り、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は該当しない。 (1) 先端設備 先端設備とは、機械・装置、一定の工具、器具・備品、建物、建物付属設備で、一定金額以上のもの(下表参照)のうち、旧モデルと比べ、年平均1%以上の生産性向上要件を満たす最新モデルの導入が幅広く対象となる。中小企業については、これらに加え、サーバー、ソフトウエアも対象となる。 なお機械・装置のうち、中小企業者等が取得するソフトウエア組込型機械・装置については、最新モデルでなく一代前のモデルでも認められる。 対象となる機器等は、産業競争力強化法の実行計画において達成すべき生産性向上目標を示した上で、同法の省令において基準を定め、この基準を満たすものであるかどうかは関係工業会が証明書を発行することで担保される。 【先端設備の対象】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (注1) 販売開始年度が取得等をする年度及びその前年度であるモデルを含む。 (注2) 工具及び器具備品については1台又は1基の取得価額が30万円以上で年間取得合計額が120万円以上のもの、建物付属設備については一の取得価額が60万円円以上で年間取得合計額が120万円以上のもの、ソフトウエアについては一の取得価額が30万円以上で年間取得合計額が70万円以上のものを含む。   (2) 生産ラインやオペレーションの改善に資する設備 機械・装置、工具、器具・備品、建物、建物付属設備、構築物、ソフトウエアで、一定金額以上のもののうち、投資計画上の投資利益率が15%以上(資本金1億円以下の中小企業者等は5%以上)であることを経済産業局が確認した場合に適用される。 具体的には、生産ラインやオペレーションの改善に関し、事業者が通常作成する簡素な設備投資計画上の投資収益率を、公認会計士又は税理士の確認を得た上で、経済産業局に確認申請をすることとなる。 (1)とは異なり、個々の設備等が生産性・エネルギー効率向上基準や最新モデルであることは必要ではない。また、取得価額に関する要件は先端設備に準じる(構築物については、建物と同様とする)。 (3) 中小企業等投資促進税制の延長・拡充 「中小企業等投資促進税制」(措法42の6)を平成29年3月31日まで延長した上で、産業競争力強化法の施行日から平成29年3月31日までに生産性向上設備投資促進税制の対象となる設備等を取得する場合には、即時償却あるいは7%税額控除(資本金3,000万円以下の中小企業者等は10%)が選択できる。税額控除を選択した場合における控除限度(法人税額の20%)超過額は1年間の繰越しができる。 また、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(措法67の5)は、平成28年3月31日まで延長される。 (4) 償却資産課税の減免については改めて検討 以上、法人税においては経済界の要望をほぼ満たす使いやすいものとなり、法人事業税、法人住民税においても、中小法人等については同様な措置が取られる。 しかし、経済界から要望の強かった対象設備等に対する償却資産課税(固定資産税)の減免については減収分の国費補てんを求める総務省との調整がつかず、年末の26年度予算編成過程で改めて検討されることとなっている。   3 研究開発税制の延長・拡充 「研究開発税制」のいわゆる上乗せ部分(増加型・高水準型)を平成29年3月31日まで延長した上で、増加型については、税額控除額を以下のように改める。   4 所得拡大促進税制の視直し 所得拡大促進税制(措法42の12の4)については、適用期限を平成30年3月31日まで延長した上で、企業の賃金引上げを促進するために、要件が以下のように大幅に緩和される。   5 既存建築物の耐震改修投資促進税制の創設 改正耐震改修促進法に基づき耐震診断結果の報告を平成27年3月31日までに行った事業者が、平成26年4月1日からその報告後5年の間に、耐震改修対象建築物の耐震改修により取得し、また建設した耐震改修対象建築物の部分について、取得価額の25%の特別償却ができる。   6 固定資産税の見直し 既存建物の耐震改修等については、固定資産税が以下のように軽減される。  *  *  * 次回は引き続き「民間設備投資活性化等のための税制改正大綱」のうち、下記の事項について解説する。 (了)

#No. 39(掲載号)
#阿部 泰久
2013/10/10

居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第1問】「「3,000万円特別控除」と「買換えの特例」の適用要件の相違点」

居住用財産の譲渡所得 3,000万円特別控除 [一問一答] 【第1問】 「「3,000万円特別控除」と「買換えの特例」の適用要件の相違点」   税理士 大久保 昭佳   Q 3,000万円特別控除(措法35)と買換えの特例(措法36の2)の適用要件について説明してください。 A 両制度の主な相違点をまとめると、次のとおりである。 (了)  

#No. 39(掲載号)
#大久保 昭佳
2013/10/10

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第7回】「武富士事件(その1)」 ~「住所」の認定はいかにしてなされるべきか?~

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第7回】 「武富士事件(その1)」 ~「住所」の認定はいかにしてなされるべきか?~   国士舘大学法学部教授・法学博士 酒井 克彦   1 はじめに 租税法上で用いられている「ある用語」の意味がその文脈から明確ではない場合、それが私法から借りてきた概念(借用概念)であるとすれば、当該私法上の概念の意味内容に従って解釈をすることが、租税法律主義の要請する法的安定性や予測可能性に資すると考えられている。 このように、租税法の解釈では、多くの場面で、いわゆる「私法準拠」といって、私法の概念に依拠する態度をとっている。 ところで、租税法の解釈適用の場面では、しばしば「住所」の認定が問題となることがある。それは、例えば、「居住者」か「非居住者」かという納税義務者の属性を判断する際にも、また、課税対象の認定をする際にも重要な論点となる。 しかしながら、「住所」について、租税法では、その意味を明らかにする条文上の手当てをしていない。そこで、上記のとおり、「住所」という用語が民法からの借用概念であると考えられるのであれば、民法に従えばその意味は明らかになるし、事実認定も明快になるはずである(借用概念統一説)。 ところが、今回取り上げるいわゆる“武富士事件”においては、民法上の「住所」概念を用いて相続税法上の「住所」の意味をいかにして明らかにするかという点が議論されたのである。租税法上の「住所」の意味は民法と同じように解釈すればよいのであるから、何も裁判において争われるほどのことはないように思われるのにもかかわらず、である。 実は、民法においては、後に述べるとおり、「住所」を「生活の本拠」に規定するだけでそれ以上のことは何も述べていないのである(民22)。 すると、そこにいう「生活」や「本拠」の意味が明らかにされなければ住所の意味もまた明らかにならないのであるが、これらの意味は民法の条文からは判然としない。 そこで、学説をみてみると、民法上の学説は「住所」についてあまり強い関心を寄せているとはいえず、また、これを取り上げる学説においても、住所概念の理解について住所複数説と単数説に分かれているし、住所認定上の問題として客観説と主観説に分かれているなど、見解の一致をみていないのである。 では、民法上の判例はどうであろうか。 残念ながら、民法以外の「住所」概念を争う判例はあるものの、民法上の住所を巡る判例はないのである。 このように、租税法上に用語の定義がない場合であっても、これを民法と同じに理解すれば問題なく解釈できるなどということは到底いえないのである。 そこで、今回から武富士事件を素材として、この租税法上の概念の理解に係る問題につき、考えてみたい。   2 事案の概要 X(原告・被控訴人・上告人)は、亡B及びCから、平成11年12月27日付けの株式譲渡証書(以下「本件贈与契約書」という)により、D社(オランダ王国における有限責任非公開会社)の出資口数各560口、160口(合計720口、以下「本件出資」という)を取得したことについて、平成11年分贈与税の決定処分(以下「本件決定処分」という)及び無申告加算税賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい、本件決定処分と併せて「本件決定処分等」という)を受けた。 これに対し、Xは本件贈与日に日本に住所を有していなかったから、旧相続税法(平成11年法律第87号による改正前のもの)1条の2第1号により納税義務を負わないと主張して、それらの取消しを求めた事案である。 なお、この旧相続税法は平成25年度税制改正によって改正されたが、当時の相続税法は、贈与税の納税義務者について、贈与により財産を取得した個人で当該財産を取得した時において、この法律の施行地に住所を有する者(以下「無制限納税義務者」という)である場合には、その者が贈与により取得した財産の全部に対し贈与税を課すると規定していたのである(相法1の2一、2の2①)。 もう少し具体的な事実関係を、最高裁の判断の前提とする事実認定に従ってみておこう。 Xは、上記贈与の贈与者であるB及びCの長男であるところ、Bが代表取締役を務めていた消費者金融業を営む会社である株式会社T社に平成7年1月に入社し、同8年6月に取締役営業統轄本部長に就任した。BはXをT社における自己の後継者として認め、Xもこれを了解し、社内でもいずれはXがBの後継者になるものと目されていた。 前述のとおり、当時、贈与税の課税は受贈時に受贈者の住所が国内にあることが要件とされていたため(相法1の2、2の2)、贈与者が所有する財産を国外へ移転し、さらに受贈者の住所を国外に移転させた後に贈与を実行することによって、我が国の贈与税の負担を回避するという方法が、平成9年当時において既に一般に紹介されており、Bは、同年2月ころ、このような贈与税回避の方法について、弁護士から概括的な説明を受けた。 T社の取締役会は、平成9年5月、Bの提案に基づき、海外での事業展開を図るため香港に子会社を設立することを決議した。Xは、同年6月29日に香港に出国していたところ、上記取締役会は、同年7月、Bの提案に基づき、情報収集、調査等のための香港駐在役員としてXを選任した。また、T社は、同年9月及び平成10年12月、子会社の設立に代えて、それぞれ香港の現地法人(以下「本件各現地法人」という)を買収し、その都度、Xが本件各現地法人の取締役に就任した。 Xは、平成9年6月29日に香港に出国してから同12年12月17日に業務を放棄して失踪するまでの期間(以下「本件期間」という)中、合計168日、香港において、本件会社又は本件各現地法人の業務として、香港又はその周辺地域に在住する関係者との面談等の業務に従事した。他方で、Xは、本件期間中、月に一度は帰国しており、国内において、月1回の割合で開催されるT社の取締役会の多くに出席したほか、少なくとも19回の営業幹部会及び3回の全国支店長会議にも出席し、さらに、新入社員研修会、格付会社との面談、アナリストやファンドマネージャー向けの説明会等にも出席した。また、Xは、本件期間中の平成10年6月にT社の常務取締役に、同12年6月に専務取締役にそれぞれ昇進した。 本件期間中に占めるXの香港滞在日数の割合は約65.8%、国内滞在日数の割合は約26.2%である。   Xは独身であり、本件期間中、香港においては、家財が備え付けられ、部屋の清掃やシーツの交換などのサービスが受けられるアパートメント(以下「本件香港居宅」という)に単身で滞在した。そのため、Xが出国の際に香港へ携行したのは衣類程度であった。本件香港居宅の賃貸借契約は、当初が平成9年7月1日から期間2年間であり、同11年7月、期間2年間の約定で更改された。他方で、Xは、帰国時には、香港への出国前と同様、Bが賃借していた東京都杉並区所在の居宅(以下「本件杉並居宅」という)で両親及び弟とともに起居していた。 Xの香港における資産としては、本件期間中に受け取った報酬等を貯蓄した5,000万円程度の預金があった。他方で、Xは、国内において、平成10年12月末日の時点で、評価額にして1,000億円を超えるT社の株式、23億円を超える預金、182億円を超える借入金等を有していた。 Xは、香港に出国するに当たり、住民登録につき香港への転出の届出をした上、香港において、在香港日本総領事あて在留証明願、香港移民局あて申請書類一式、納税申告書等を提出し、これらの書類に本件香港居宅の所在地をXの住所地として記載するなどした。 他方で、Xは、香港への出国の時点で借入れのあった複数の銀行及びノンバンクのうち、銀行3行については住所が香港に異動した旨の届出をしたが、銀行7行及びノンバンク1社についてはその旨の届出をしなかった。なお、T社の関係では、本件期間中、常務取締役就任承諾書及び役員宣誓書には、Xは自己の住所として本件杉並居宅の所在地を記載し、有価証券報告書の大株主欄には、本件香港居宅の所在地がXの住所として記載された。 B及びCは、オランダ王国における非公開有限責任会社であるD社(総出資口数800口)の出資をそれぞれ560口及び240口所有していたところ、平成10年3月23日付けで、同社に対しT社の株式合計1,569万8,800株を譲渡した上、同11年12月27日付けで、Xに対し、Bの上記出資560口及びBの上記出資のうち160口の合計720口の贈与(以下「本件贈与」という)をした。 B及びXは、本件贈与に先立つ平成11年10月ころ、公認会計士から本件贈与の実行に関する具体的な提案を受けていた。また、Xは、本件贈与後、3か月に1回程度、国別滞在日数を集計した一覧表を本件会社の従業員に作成してもらったり、平成12年11月ころ国内に長く滞在していたところ、上記公認会計士から早く香港に戻るよう指導されたりしていた。 本件杉並居宅の所在地を所轄するS税務署長は、本件贈与について、平成17年3月2日付けで、Xに対し、贈与税の課税価格を1,653億603万1,200円、納付すべき贈与税額を1,157億290万1,700円とする平成11年分贈与税の決定処分及び納付すべき加算税の額を173億5,543万5,000円とする無申告加算税の賦課決定処分(本件各処分)をした。   3 本事案のポイント さて、このような事実認定を前提とした場合、Xの住所は国内にあったといえるのであろうか。 これが、本事案における争点である。 そこで、前述のとおり、「住所」とは「生活の本拠」をいうとの理解を前提とすると、次の2つのポイントに関心が集まる。   次回からこの事案について、深く切り込んでみたい。 (続く)

#No. 39(掲載号)
#酒井 克彦
2013/10/10

「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」の解説 【第5回】「特別償却と税額控除の選択」

「商業・サービス業・ 農林水産業活性化税制」の解説 【第5回】 (最終回)  「特別償却と税額控除の選択」   公認会計士・税理士 新名 貴則   本税制は、中小企業等が器具備品及び建物附属設備を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(当期の法人税額の20%が上限)を認める税制措置である(措法42の12の3)。ただし、下記の要件を満たす必要がある。   連載最終回となる今回は、本制度における「特別償却」と「税額控除」のどちらを選択するか、その判断のポイントについて、事例を用いて解説する。   1 特別償却と税額控除、どちらが有利か 次のような法人が本税制の要件を満たす10,000,000円の器具備品(定率法:耐用年数5年)を期首に購入した場合について、特別償却と税額控除の影響額を検討する。 【初年度の損益計算書(特別償却は計上していない)】 特別償却及び税額控除を考慮しない場合の、この法人の法人税額は次のとおり5,790,000円となる。 【法人税額の算定】(単位:円) 〈初年度の影響額〉 まずは、特別償却又は税額控除を適用した場合の初年度の影響額を検討する。 ① 30%特別償却を選択した場合 特別償却額:10,000,000円 × 30% = 3,000,000円 特別償却を計上することにより、上記の損益計算書は次のように変わる。 【初年度の損益計算書(特別償却を計上している)】 この場合の法人税額は次のとおり5,025,000円となり、当初の5,790,000円と比較すると765,000円税額が減少したことになる。 【法人税額の算定】(単位:円) ② 税額控除を選択した場合 控除できる法人税額:10,000,000円 × 7% = 700,000円 この場合、税引前当期純利益までの損益計算書は当初と変わらないので、次のとおりである。 【初年度の損益計算書(特別償却は計上していない)】 そして、税額控除を反映した法人税額は次のとおり5,090,000円となり、当初の5,790,000円と比較すると700,000円税額が減少したことになる。 【法人税額の算定】(単位:円) この計算結果により、特別償却の方が初年度の節税額は大きいことが判明した。したがって、結論は「特別償却を選択すべき」となるように思える。 ところが話はそう単純ではない。 なぜなら、特別償却と税額控除には次のような特徴があるためである。   2年目の影響額 次に、2年目の影響額を検討する。 当該器具備品に係る減価償却以外の条件は、初年度と全く変わらないものとする。 ① 特別償却を選択した場合 【2年目の損益計算書】 * (取得価額10,000,000円 - 初年度償却額7,000,000円)× 償却率0.4 この場合の法人税額は、次のとおり6,504,000円となる。 初年度に普通償却額4,000,000円及び特別償却額3,000,000円を計上しているため、2年目の減価償却額は大幅に減少し、法人税額は大きく増加することになる。 【法人税額の算定】(単位:円) ② 税額控除を選択した場合 【2年目の損益計算書】 * (取得価額10,000,000円 - 初年度償却額4,000,000円)× 償却率0.4 この場合の法人税額は、次のとおり6,198,000円となる。 定率法を選択しているため初年度よりは減価償却額は減少し、その分法人税額は増加するが、特別償却を選択している場合の法人税額(6,504,000円)よりは少なくなっている。 【法人税額の算定】(単位:円)   2 結局どちらを選択するか 通常、このような税制特例の適用を検討する法人は、多額の課税所得が発生している法人であることが想定される。したがって通常は、1年目は特別償却を選択する場合の方が有利だが、償却期間を通じたトータルで考えると税額控除の方が有利、というケースが多いと考えられる。 とすれば後は、少しでも早く節税効果を得たいのか、年数がかかってもいいからトータルでより大きな節税効果を得たいか、の判断になるといえる。 ただし、次のような法人の場合、より慎重な検討が必要である。 仮に中小企業で課税所得が800万円以下であるような場合、そもそも適用される法人税率が低いため、1年目の特別償却による節税効果は薄れることになる。さらには、特別償却額を吸収できず欠損金となることも考えられる。 またこれに対して、税額控除も法人税額の20%が上限であるため、満額を控除できないことも考えられる。このような場合、特別償却による繰越欠損金は9年間繰り越せるが、税額控除の控除残額は1年しか繰り越すことができない。 一概に「こちらが有利」と決めることはできないので、上記で解説したそれぞれのメリット・デメリットをよく理解した上で、自社の状況に合わせて選択することが必要である。   〔連載終了にあたって〕 本連載では5回にわたって、平成25年度税制改正で創設された「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」について、各要件のポイントを解説してきた。 この解説を参考に、読者各位が適切な意思決定及び税務処理を行われることを願っている。 (連載了)

#No. 39(掲載号)
#新名 貴則
2013/10/10
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