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会計事務所 “生き残り” 経営コンサル術 【第3回】「社長は会計の素人なのに、なぜ会計人は難しい専門用語を使って話をするのか」

会計事務所 “生き残り” 経営コンサル術 【第3回】 「社長は会計の素人なのに、 なぜ会計人は難しい専門用語を使って 話をするのか」   株式会社 経営ステーション京都 代表取締役 京セラ株式会社 元監査役 公認会計士・税理士 田村 繁和   バリバリ仕事をされている社長の中にも、会計が苦手な方がたくさんおられます。 商学部出身で学生時代は簿記を受講されていたのですが、勉強不足だったのか、P/L、B/Sそのものをわかっていない方も多いようです。 そんな社長に対して、難しい専門用語を使って話をしている会計人がいます。社長はP/LやB/Sの見方もわからないし、それらをベースにした経営分析なんて、とんでもない話なのです。 本当のところは、そんな難しい話より、勘定科目の意味そのものがわからないのです。 例えば、租税公課の科目の中にどんなものが入っているのかや、会議費と交際費、未払金と未払費用の違いなども聞きたいのです。 しかし、こんな基本的なことは恥ずかしくて誰にも聞けないようです。 私たちにとっても、そんな当たり前のことを説明することはマイナーな仕事のように思ってしまい、難しい話をすることが社長に役立つことと考えてしまうのです。 私も若い頃は、少しでも自分のレベルの高さを他人に認めてもらうために、難しい話をしていました。 そして、本で書いてあるような難解な分析手法で、決算書を分析し説明していたのです。当時売れていた「会計の基本」とかの本を小馬鹿にしていたものでした。 しかし、年齢とともにキャリアも付いてきて余裕が生まれ、肩の力が抜けてきました。 そんな時、ある社長から「賢い人は難しいことをやさしく話し、馬鹿な人はやさしいことを難しく話す。社長のほとんどは、会計をよくわかっていない。わかったフリをしているだけだ。絵や図で難解な文章がわかるようなものをつくれば面白いよ」とアドバイスされました。 私は目が覚めました。 そこで当時数十万部売れていた京セラの稲盛名誉会長の『実学』(日本経済新聞出版社)という本を読んで、この本を絵や図で解いていけば、もっと会計に興味をもってもらえるのではと思いました。 そして、京セラの稲盛名誉会長にお願いして書かせていただいたのが『京セラに学ぶ 新・会計経営のすべて』(実業之日本社)という本でした。この本では、左ページにイラストを描き、右ページに文章を記載しました。 この本は13年前に出版されたものですが、結構好評でした。 これに味をしめたのか、私の本や連載は、難しい文章を絵や図・イラストを使ってわかりやすく解説していく手法に変わっていったのでした。 (了)

#No. 10(掲載号)
#田村 繁和
2013/03/14

事例で学ぶ内部統制【第14回】「内部統制の開示すべき重要な不備の判断をめぐる実務」

事例で学ぶ内部統制 【第14回】 「内部統制の開示すべき 重要な不備の判断をめぐる実務」   株式会社スタンダード機構 代表取締役 島 紀彦   はじめに 今回は、内部統制の開示すべき重要な不備の判断をめぐる実務の実態を紹介する。 3月決算企業であれば、5回目の内部統制報告書の提出に向けてとりまとめに奔走している最中であり、時季に合ったテーマであろう。 実施基準によれば、①金額的重要性と質的重要性の判断基準を設定し、②不備がもたらす虚偽記載の影響額、③虚偽記載の発生可能性を勘案して、内部統制の不備が開示すべき重要な不備に該当するか否かという重要性の判断を行うことになる。 筆者(株式会社スタンダード機構)主催の実務家交流会でも、この順序で意見交換を行った。 各社の実務の実態を見てみよう。   金額的重要性の判断基準の事例 多くの参加企業は、実施基準に基づき、連結総資産、連結売上高、連結税引前利益などの指標に対する比率で金額的重要性を判断していた。対応が分かれたのは、連結税引前利益の取扱いについてであった。 参加企業Aは、「連結税引前利益に対する比率は決めていない」(資材メーカー)と話した。 参加企業Bは、「連結税引前利益の金額の概ね5%にした」(商社)と話した。 参加企業Cは、「過去の連結税引前利益の金額の平均値の概ね5%とし、過去5年の平均値をとった」(食品メーカー)と話した。 参加企業Dは、「C社さんと同じく、過去の連結税引前利益の金額の平均値の概ね5%としたが、過去3年の平均値にとどめた」(情報通信)と話した。 もっとも、参加企業Eは、「連結税引前利益の金額の概ね5%としているが、別途、運用評価において、不備件数率20%以上、もしくは金額影響度が1件当たり1,000万円以上のエラーを重要な不備とした」(食品メーカー)と、独自の金額的重要性の判断基準を設けていた。 また、参加企業Fは、「連結総資産の3%、連結売上高の3%、連結税引前利益の3%」(食品流通会社)と、3つの指標に対して比率を設定していた。   質的重要性の判断基準の事例 多くの参加企業が、「上場廃止基準や財務制限条項に関する記載事項などが投資判断に与える影響の程度、関連当事者との取引や大株主の状況に関する記載事項などが財務報告の信頼性に与える影響の程度で判断する」と、実施基準の定めをそのまま自社の判断基準としていた。 前出の参加企業Fは、「計算の複雑性、恣意的判断・見積りの有無、不正リスク、例外・特殊取引、過去の内部監査と外部監査での重要な指摘の有無などを考慮し、財務報告の信頼性に与える影響の程度で判断する」と、実施基準よりも詳しい判断基準に落とし込んでいた。   重要性判断の実態 参加企業Gは、「皆さんの話を聞いていてちょっと言いにくいが、内部統制報告制度が始まって以来、エラーが年度末の有効性を評価する時点まで残ったことがないため、金額的重要性、質的重要性の具体的な判断基準は決めていない」(情報通信)と、いささか遠慮を交えて実情を吐露した。 これに呼応するかのごとく、多くの参加企業が、「期中に発見されたエラーは必ず期末まで何としてもつぶしてきた経験から、経営者評価に関与する責任者の意識としては、開示すべき重要な不備を判断するなどという異常な局面を想定していない。だから、いわば平時に重要性の判断基準を定めてはいるものの、深く考えたことがない」と話した。 このように、重要性の判断基準を定めつつも、重要性の判断が迫られるような開示すべき重要な不備は発生しないというアプリオリな予断を持って経営者評価にあたっている実態が浮かび上がった。   不備がもたらす虚偽記載の影響額の算定方法の実態 次に、不備が発見された場合、その不備がもたらす潜在的な影響額の算定方法を議論した。 この論点でも、多くの参加企業が、「エラーが発見された場合には、期末までに改善を行うことに注力するため、そのエラーが与える金額的な影響を吟味した経験がなく、具体的定めがない」と話した。 もっとも、前出の参加企業Cは、「まず、発生した不備がどの勘定科目に影響するかを判断する。次に、不備となった業務が対象となる勘定科目に横断的に影響しない場合については、勘定科目の数値のうち影響を及ぼす部分を特定する。もし、補完的統制によりリスクが低減されると考えられる場合には、その金額を控除する。以上により算出した数値に、サンプリングの結果を用いて統計的に導き出した発生確率を乗じて影響額を計算する」と、具体的な手順を定めていた。 また、前出の参加企業Eも、「その不備が他でも起きていると予測される場合、あるいは追加で評価したサンプルに許容範囲を超える不備が発見された場合、これを加味して算定する」と、独自の基準を定めていた。   虚偽記載が発生する可能性の検討方法の実態 では、不備により重要な虚偽記載が発生する可能性の検討方法はどうなっているのだろうか。 この論点は、全社レベルの内部統制(ELC)の場合、プロセスレベルの内部統制(PLC)の場合、ITに係る全般統制(ITGC)の場合に分けて議論した。 ① ELCの不備による虚偽記載の発生可能性の検討方法 参加企業の対応は、ELCの不備に対する基本的な考え方の違いに基づき、次のように分かれた。 前出の参加企業Cは、「ELCの不備は、内部統制の有効性に重要な影響を及ぼす可能性が高いために発生可能性を検討する意味はなく、その不備そのものが重要な虚偽記載を発生させる欠陥と考える」と話した。 前出の参加企業Gは、「ELCの不備のうち、経営者のガバナンスに関する項目の不備は、その不備そのものが重要な虚偽記載を発生させる欠陥と考えるが、それ以外の不備は、PLCにどのような影響を及ぼすかも含め、財務報告に重要な虚偽記載をもたらす可能性について検討する」と、発生可能性を検討するメルクマールとして経営者のガバナンスとの関連性を挙げた。 前出の参加企業Dは、「ELCの不備が必ずしも虚偽記載を発生させる欠陥ととらえるのではなく、発生した不備については内部監査員による毎年の見直しと経営者確認を実施し、虚偽記載が発生する可能性を検討する」と、個別に対応していた。 ② PLCの不備による虚偽記載の発生可能性の検討方法 前出の参加企業Bは、「勘定科目などに虚偽記載が発生する場合に、その影響が及ぶ範囲を推定する。さらに、内部統制の不備による影響額を推定するときに、虚偽記載の発生可能性も併せて検討する。また、内部統制の不備が複数存在する場合には、それらの内部統制の不備が単独で、又は複数合わさって開示すべき重要な不備に該当していないかを評価する」と、実施基準に沿った内容を定めていた。 前出の参加企業Eは、「不備集計表により全体状況を把握し、内部統制の是正措置とその是正結果を総合的に勘案し検討する」と話した。 ③ ITGCの不備による虚偽記載の発生可能性の検討方法 基幹会計システムのITGCについて、参加企業の対応が分かれた。 前出の参加企業Cは、「基幹会計システム自体に発見されたITGCの不備は、財務諸表数値に影響を及ぼし、重要な虚偽記載を発生させるものと考える」と、厳格な姿勢を示した。 他の複数の参加企業は、「基幹会計システムであっても、その他のシステムであっても、ITGCの不備は、財務報告の重要な事項に虚偽記載が発生するリスクに直接に繋がるものではないと考え、代替的又は他の内部統制により、財務報告の信頼性という目的が達成されているかを検討する。そして、ITGCの不備がITアプリケーションにより自動化された内部統制(ITAC)の有効な運用に影響を及ぼす場合については、PLCの不備と同様に対象となる業務への影響度を算定する作業の中で、虚偽記載の発生可能性を検討する」と話した。 次回は、平成23年度に取り組んだ内部統制の簡素化事例を取り上げる。 (了)

#No. 10(掲載号)
#島 紀彦
2013/03/14

鵜野和夫 平成25年度税制改正を読む① 「教育資金をまとめて贈与して一安心」

鵜野和夫 平成25年度税制改正を読む① 「教育資金をまとめて贈与して一安心」 ~父母・祖父母等からの教育資金の一括贈与には、 1,500万円までの非課税の特例~   税理士・不動産鑑定士 鵜野 和夫   (一) さる有名大学の医学部長を勤め上げ、定年退職してから、自宅を改装して個人医院を開業したところ、その高名のたまものか、患者は引きも切らず繁盛。 「親の心、子知らず」ともいうが、この医院を息子に引き継がせようと夢に見ていたところ、ままならぬのが世の習いとか。 息子は病人の顔を見て一生を送るのは、まっぴらとのこと。それより人を笑わせてと、お笑いタレントの道に足を突っ込む。 これでこの医院もオレ一代で終わりかと、つぶやいていると、庭先から聞こえる、なにやら孫のキャキャと、楽しそうな声。 なんだろうかと、窓ごしに見ると、幼稚園に通い出した孫が、隣の女の子と、お医者さんごっこ。 ありゃ「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」「門前の小僧習わぬ経を読む」とは、このことか。 この孫こそ、おれの後継者だ。   (二) ところで、この孫が、めでたく医学部に入学、卒業、インターンを経て、一人前の医者になるまで、どれくらいの金がかかるか、胸算用したところ、まあまあ、俺の目の黒いうちは大丈夫として、しかし、オレももう歳だしなぁ、その後、頼りない息子がこの孫に教育資金を払ってやれるくらい稼いでくれるのかなぁ。どうも心許ない。 では、今のうちに、それだけの学費を孫に贈与しておくとして・・・・。少なくとも1,500万円は必要だろうな。 ところで、贈与をしたら贈与税がかかるというが、いくらくらい課税されるのか。顧問の税理士先生に電話して聞いてみよう。   (三) えっ。1,500万円を贈与すると、贈与税が、525万円も課税される。 だけど、毎年110万円ずつ贈与したのなら課税されない。 じゃぁ、そうするか。でも、14年もかかる計算か。 それまで生きていられればいいが。なに、医者の不養生ってこともあるな。 と、悩みが絶えない。 数日後。 孫の学資金に一括して贈与しても、1,500万円までなら贈与税は課税されないという税制が創られることになりそうだよと、税理士から連絡。 それなら、と。   (四)   (五)   (六)   (七)   (八)   (九) (了)

#No. 10(掲載号)
#鵜野 和夫
2013/03/14

《速報解説》 グリーン投資税制(環境関連投資促進税制)の拡充について─平成25年度税制改正─

 《速報解説》 グリーン投資税制 (環境関連投資促進税制)の 拡充について ─平成25年度税制改正─   公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎   1 はじめに 平成25年3月1日、「所得税法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され国会に提出された。 今回の税制改正では、「成長による富の創出」を一つのキーワードとして、一定の投資促進を図るための減税措置がいくつか講じられている。 本稿ではその中でも、再生可能エネルギーと省エネ設備の導入を最大限推進するための減税措置である「グリーン投資税制(環境関連投資促進税制)」の拡充について解説を行う。   2 改正前のグリーン投資税制の概要 青色申告書を提出する法人が、指定期間内に、事業の用に供されたことのない対象資産(エネルギー環境負荷低減推進設備等)の取得等をして、その取得等の日から1年以内にその法人の事業の用に供した場合には、事業供用年度において特別償却ができる(措法42の5①)。 また中小企業者等については、特別償却に代えて税額控除を選択することができる(措法42の5②)。 (1) 指定期間と適用対象資産 本税制の適用対象資産及び指定期間は、下表の通りである。 対象資産の詳細については、資源エネルギー庁のHPを参照されたい。 (2) 適用要件 指定期間内に対象資産を取得等(取得、製作若しくは建設)し、取得等の日から1年以内に法人の事業の用に供することが必要である。 対象資産を所有権移転外リース取引により取得した場合には、同税制の適用を受けることができない(措法42の5⑥)。 (3) 特別償却限度額 通常の特別償却については、取得価額の30%相当額を限度とする。 即時償却については、取得価額から普通償却限度額を控除した金額が特別償却限度額となる。すなわち普通償却限度額と特別償却限度額を合計すれば、取得価額の全額について償却することができるということである。 (4) 税額控除限度額 中小企業者等は、(3)の特別償却に代えて、取得価額合計額の7%相当額を法人税額から控除することができる。ただし、その事業年度の法人税額の20%を限度とする。   3 改正の概要 即時償却の対象資産に「コージェネレーション設備(熱電併給型動力発生装置)」が追加された上で、その適用期限が2年延長される。 すなわち通常の特別償却及び即時償却に係る指定期間末日が、それぞれ平成28年3月31日及び平成27年3月31日まで延長される。 また対象資産から、交付を受けた補助金をもって取得等をしたものが除外される。 コージェネレーション設備は、従前は「二酸化炭素排出抑制設備等」に含まれ、通常の特別償却の対象となっていたものであるが、本改正により即時償却の対象資産として追加されたものである(改正法案による措法42の5①一・⑥)。 なお、税制改正大綱及び経済産業省公表資料においては、通常の特別償却の対象資産に「定置用蓄電設備等」(中小水力発電設備、下水熱利用設備、LED照明、高効率空調等)を加えるとの記載が見られるが、改正法案においては明らかとされていない。これは、具体的な対象資産の範囲については政令に委任されており(措法42の5①)、さらにその細目については「財務大臣が指定するもの」とされている(措令27の5①~⑤)からである。 この部分については今後、改正法及び政省令の成立後に、「財務大臣の指定」として財務省告示により明らかにされるものと考えられる。 (了)

#No. 9(掲載号)
#鯨岡 健太郎
2013/03/12

《速報解説》 文書回答事例(東京国税局)「小規模企業共済契約者の死亡に伴い小規模企業共済掛金及び掛金納付月数を相続人が承継通算した場合の相続税の課税関係について」

《速報解説》 文書回答事例(東京国税局) 「小規模企業共済契約者の死亡に伴い 小規模企業共済掛金及び掛金納付月数を 相続人が承継通算した場合の 相続税の課税関係について」   税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   平成25年1月25日付で、東京国税局から事前照会に対する文書回答事例として「小規模企業共済契約者の死亡に伴い小規模企業共済掛金及び掛金納付月数を相続人が承継通算した場合の相続税の課税関係について」が公表された。 本稿では、小規模企業共済の掛金・共済金の課税関係を確認するとともに、本文書回答事例の意義を検討する。   小規模企業共済の課税関係 小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する、小規模企業の個人事業主、法人(会社など)の役員又は共同経営者を対象とした「退職後の生活の安定や事業の再建を図ることを目的とした資金」を準備するための共済制度であり、経営者の退職金共済制度の性質を有する。 加入者は、掛金(月額最高70,000円)を支払い、事業を廃業したなどに共済金を受け取ることができる。また、共済契約の解約によって解約手当金を受け取ることができるが、掛金納付月数が240ヶ月未満では、掛金支払総額よりも受け取る解約手当金は少なくなる。 掛金を支払った個人は、所得税上、支払った掛金全額が、小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となる。生前に共済金を受け取る場合、退職所得もしくは雑所得(公的年金等)として所得税が課税される。死亡後に共済金を受け取る場合、みなし相続財産(死亡退職金)として相続税の課税対象となる。解約手当金を受け取る場合には、退職所得又は一時所得として所得税が課税される。 どのような場合に退職所得、雑所得、一時所得となるのかは、独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページに記載がある。 このように、掛金支払時に、所得税を所得控除することで節税を行い、また、共済金受取時に、退職所得(所得税)又はみなし相続財産(相続税)として有利な課税となるため、個人事業主などの節税の手段として有効なものとなっている。   承継通算の課税関係 小規模企業共済契約に加入していた個人が他界した場合、被相続人は共済金を受け取ることができる。ただし、請求する権利(受給権)には順位があり、相続人であれば誰でも受給権があるというわけではないので、その点は注意が必要である。 この場合、受給権者が、個人事業の全部を相続する等一定の要件を満たす場合には、共済金を受け取る代わりに、小規模企業共済契約の承継通算ができる。 承継通算を行うと、相続人である受給権者は、被相続人が加入していた小規模企業共済契約を承継し、被相続人が加入していた共済契約期間(掛金納付月数)を加えた期間が、相続人である受給権者の共済契約期間(掛金納付月数)となる(掛金納付月数の通算)。 従前、承継通算の課税関係は明確化されていなかったが、本文書回答事例により、承継通算の場合においても、みなし相続財産(死亡退職金)として相続税の対象となること、相続税の対象となる金額は、相続時に一時金の支給を請求した場合に受け取ることができる金額(つまり一時金の金額)であること、が明確化された。 なお、承継通算の場合、一時金相当額が死亡保険金として相続税の課税対象となるため、死亡保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)の適用もあることは言うまでもない。 平成25年度税制改正により、平成27年1月から相続税の増税(基礎控除の圧縮等)が実施される可能性が高い状況となっている。 個人事業主(不動産賃貸業を含む)の場合には、小規模企業共済に加入することで、相続財産となる現預金を死亡退職金へ組み替えることが可能となり(同時に、掛金支払時に所得税の節税も可能)、相続税の計算上、死亡退職金の非課税枠の活用が可能となる。 したがって、今後、小規模企業共済の活用がより多くされていくと思われ、小規模企業共済の課税関係につき、本件文書回答を含め、理解を深めておく必要があると思われる。  (了)

#No. 9(掲載号)
#根岸 二良
2013/03/12

《速報解説》 印紙税・登録免許税に関する平成25年度税制改正事項

《速報解説》 印紙税・登録免許税に関する 平成25年度税制改正事項   弁護士 木村 浩之   1 はじめに 平成25年3月1日付けで、「所得税法等の一部を改正する法律案」が国会に提出された。 この改正案には、印紙税、登録免許税につき、従来の租税特別措置の延長等が含まれているところであるが、そのほか、消費税引上げに伴う税負担の軽減、デフレ脱却に向けた民間投資の促進などを目的とした政策の一環として、印紙税、登録免許税の軽減措置の拡充についても盛り込まれている。 以下では、その主要な改正内容について解説する。   2 消費税引上げに伴う税負担の軽減措置(印紙税) (1) 不動産売買契約書及び建設工事請負契約書に係る印紙税の軽減 不動産売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書、建設工事請負契約書などの建設工事の請負契約に基づき作成される契約書に係る印紙税については、従来、一定の負担軽減措置が設けられていたところであるが、今回の改正により、さらにその拡充が図られることになる。 その具体的な軽減内容は以下のとおりである。 (「所得税法等の一部を改正する法律案要綱」34頁より) この軽減措置は、不動産の譲渡や建設工事の受注に係る消費税の増加に伴う税負担を軽減し、民間における不動産投資を促進することを目的としたものである。 (2) 領収書等に係る印紙税の軽減 領収書(領収証)、受取書、レシートなどの金銭又は有価証券の受領を証する文書については、現在、その金額が3万円以上のものについて印紙税が課されている。 今回の改正により、印紙税が課される金額を5万円以上に引き上げることにより、印紙税の負担の軽減が図られている。 (3) 適用時期 以上の改正は、消費税の引上げが予定されている平成26年4月1日以後に作成される文書に適用される予定である。   3 不動産投資の促進のための登録免許税の軽減措置 一定の要件を満たす特別目的会社(SPC)が倒産隔離型の不動産共同投資事業(証券化等)を行うことを可能とする法改正(不動産特定共同事業法の一部改正)が予定されていることを受け、税制面においても不動産投資をさらに促進するため、その投資事業において取得される不動産の登録免許税については、一定の軽減が図られる予定である。 また、これに併せて、不動産取得税についても、大幅に軽減が図られる(2分の1とされる)予定である。   4 保育所設置の促進のための登録免許税の非課税措置 全国で不足しているとされている保育所の設置を促進するため、学校法人、公益社団法人、公益財団法人、宗教法人が保育所の用に供するために取得する不動産に係る登録免許税については、非課税とされることが予定されている。  (了)

#No. 9(掲載号)
#木村 浩之
2013/03/08

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#Profession Journal 編集部
2013/03/07

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#Profession Journal 編集部
2013/03/07

monthly TAX views -No.2-「今年の課題は法人税改革」

monthly TAX views -No.2- 「今年の課題は法人税改革」   中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹   1 法人税改革の主役は地方税 来年度税制改正の主な課題の一つは、法人税改革である。 そしてその主役は、国(税)ではなく地方(税)である。 なぜ地方が主役なのか。 地方自治体は、法人事業税と法人住民税(法人2税)という2つの税源に悩まされてきた。 法人税特有の税収の振れがある上に、一度赤字になると繰越欠損金が生じ当分税収は入ってこない。一人当たり税収(法人2税)で見た格差は、例えば東京と奈良では6倍もある。 自治体としてはこの税制のために、税収が不安定になり、地域格差が生じている、という認識となる。 そこで08年度税制改正で、法人事業税の半分(当時税収2.5兆円=消費税率1%分相当)を「地方法人特別税」(国税)としてくくり、人口などの基準によって再分配する制度を構築した。 再分配の結果持ち出しになる東京都や大阪府の反対を押し切って、「抜本的税制改革までのつなぎ」として作ったもので、消費税率が引き上がる際には、これを地方消費税と置き換えることになっていた。しかし、消費税が社会保障目的税となったことから、「地方法人特別税」と置き換えることができなくなり、この問題は先送りされた。 しかし、東京都や大阪府などは「地方法人特別税」の廃止を強行に要求しており、消費税率を引き上げる法律の条文(第7条)に、「地方法人特別税及び地方法人特別譲与税について、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置であることを踏まえ、税制の抜本的な改革に併せて抜本的に見直しを行う。」と記されることとなった。 つまり、消費税率の引上げが行われる来年4月までに、この問題の決着を図る必要があるのである。   2 実効税率の引下げも必要 法人税改革が必要なもう一つの理由は、法人実効税率の引下げが必要なことである。 震災復興臨時増税が終わった後(15年度)のわが国の法人実効税率は、現在の40%から5%下がり36%となるが、いまだ先進諸外国と比べて数%高い。 法人税がエネルギーコストなどと並んで企業の立地コストに大きな影響を与え、グローバルに活動する企業の空洞化や雇用の流出を招く一因となっている。一層の空洞化や雇用喪失を避けるという観点から、実効税率のさらなる引下げが必要だといえよう。 自民党は公約(政策集)で、「国際的整合性及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意し、法人税を国際標準に合わせて思い切って減税します。」としている。 実効税率の内訳をみると、国税である法人税率は25.5%で、フランス、英国よりも低く、中国と同水準で、国際的には遜色がない。つまり、実効税率を高止まりさせている原因は、地方税である法人事業税と法人住民税(地方法人2税)ということになる。 そこで、最初に述べた地方税改革と併せて議論していくことになる。 以上が、本年法人税改革が議論となる理由である。   3 必要な国民的議論 しかし、乗り越えるべき壁もまた厚い。 以下の点について、徹底的な議論が必要である。 まず、わが国企業を取り巻く環境が、6重苦(円高、高い法人税率、自由貿易協定への消極姿勢、硬直的な労働規制、環境規制の強化、高い電力価格)といわれる中で、法人税率を引き下げればどこまで空洞化防止に役立つのかという検証である。 赤字法人の割合が70%を超えているなかで法人税率の引下げに効果があるのか、法人にとって負担感があるのは法人税よりも社会保険料(企業負担)ではないか、すでに数々の租税特別措置によって個別企業の実効税率は引き下がっているのではないか、などの疑問に答えていく必要がある。 次に、この議論とも関連するのが、企業の内部留保金の議論である。 法人税負担を引き下げて内部留保(あるいは付加価値)が増加したとしても、それが従業員の給与の引上げ(労働分配率の向上)につながらなければ意味がない、ため込んだ内部留保を吐き出すことが先決で、法人税減税の問題はその後の話ではないか、という疑問への回答である。 最後に、最大の壁は、財源問題である。 法人実効税率を引き下げるためには、代替財源がいる。当初予定していた、一体改革で消費税率が引き上がれば、その一部である(地方)消費税を使って、という余地はなくなったと言っていいだろう。 そうなれば、地方税の見直しをする中で解決するしかないが、それも容易ではない。 したがって、国・地方の仕事の見直しと補助金や交付税など地方を巡るあらゆる財政資金を全面的に見直しながら、かつて三位一体改革で行ったような道を見つけていくしか方法はないだろう。 小泉内閣時に官房長官として経験のある安倍総理には、決して無理な課題ではない。 (了)

#No. 9(掲載号)
#森信 茂樹
2013/03/07

〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕 過大支払利子税制─企業戦略への影響と対策─ 【第1回】「制度導入の背景とは」

〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕 過大支払利子税制 ─企業戦略への影響と対策─ 【第1回】 「制度導入の背景とは」   アースタックス税理士法人 税理士 中村 武   はじめに 平成24年3月の税制改正において、法人の平成25年4月1日以後に開始する各事業年度に、関連者等に対する支払利子等の額がある場合においては、その支払利子等の額のうち一定額の損金算入が制限されるという規定(以下「過大支払利子税制」という)が創設された。 これまで、関連者等に対する過大な利子の支払いについては、移転価格税制及び過少資本税制によって対応が図られてきたが、今後はこの過大支払利子税制を含めた3つの税制により、その対応が図られることとなる。 この過大支払利子税制について、主要先進国において既にその導入が実施されているところもあるが(例えば米国では“Earnings stripping rules”という名称にて既に導入されている)、本邦の法人税においては創設規定となるため、制度自体につき、まだ理解が進んでいない部分も多くあるかと思われる。 また、当該事業年度損金不算入の規定のみならず、その後の事業年度の所得の状況により、過年度にて損金不算入とされた部分が、翌期以降で損金算入される規定も併せて併設されており、複数年にわたってその影響が及ぶ規定となっている。 したがってこの連載では、本制度の理解を深めるために、まずは本制度の導入趣旨を確認し、その後、制度内容、過少資本税制等の現行他規定との適用関係及び既存の案件に対する影響等につき、検討を加えることとする。   1 制度導入の趣旨 (1) 支払利子の損金算入に関する動向 法人の支払利子は、原則として損金に算入されることから、過大な支払利子を損金に計上することで、税負担を圧縮する租税回避が可能となっている。 近年の租税条約の制定及び改定の動向として、主要先進国は、国際的な投資交流の促進の観点から、利子に関して源泉地国での免税又は税率の軽減の方向性を強めてきている。 その反面、金融機関など第三者からの借入れとは異なり、関連者間においては、借入れの実行、期間及び利率等の条件設定が比較的容易に行うことが可能なため、過大な支払利子を通じた税負担の圧縮は、関連者間の租税回避の手段として用いられるおそれがある。 このような背景から、主要先進国では、支払利子の損金算入制限措置を強化する傾向にあり、我が国においても、企業の事業活動の実態にも配慮しながら、関連者間において所得金額に比して過大な利子を支払うことを通じた租税回避を防止するための措置として、過大支払利子税制が導入されることとなった。 (2) 過大な支払利子への課税手段 こうした各国の制度などを参考にすると、過大な支払利子への対応手段としては、以下の3つの手法が考えられる。 〈関連者への支払利子に対応する税制〉 上記のとおり、我が国の現行制度は、①「過大な利率」への対応として「移転価格税制」が、また、②「資本に比して過大な負債の利子」への対応として「過少資本税制」がそれぞれ存在し、租税回避の防止を図っている。 ただし、①「過大な利率」への対応としての移転価格税制は、支払利子の「利率」の水準が独立企業原則に照らして高い場合には対応できるものの、過大な「量」の支払利子には対応が困難であるという側面がある。 また、②「資本に比して過大な負債の利子」への対応としての過少資本税制は、借入れと同時に資本を増やすことで、支払利子の「量」を増やすことが可能であるという側面がある。 このようなことから、①及び②の手法によって対応することができなかった欠点を補完するために、利子を支払った側の法人の利子支払い前の所得と対比して過大な利子を認定し、損金算入を制限する手法として、過大支払利子税制が創設された。 (3) 過少資本税制及びその他の規定との関連 過大支払利子税制の導入が話題になった際、過大な支払利子の損金算入制限については、現行の過少資本税制から過大支払利子税制へ、その対応が引き継がれると考える向きもあったが、これまで述べた通り、そもそも対応する内容が異なるため、両制度は今後も併存することとなる。 したがって、今後、具体的な案件への影響について検討を行う際には、過少資本税制及び過大支払利子税制の両制度の影響を検討する必要がある(過少資本税制との関係及び過大支払利子税制導入に係る過少資本税制自体の改正内容については、以後の連載にて解説する)。 また、外国法人に係る関連者支払利子の額等の計算、受取配当等の益金不算入制度における負債の利子の計算についても、併せて過大支払利子税制導入に伴う所要の整備が行われることとなった。   2 過大支払利子税制の概要 (1) 関連者等に係る支払利子等の損金不算入 法人の各事業年度において、関連者支払利子等の額がある場合、その法人の当該事業年度における関連者支払利子等の額の合計額から当該事業年度の控除対象受取利子等合計額を控除した残額(以下「関連者純支払利子等の額」)が調整所得金額*の50%相当額を超えるときは、その超える部分の金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないこととなる(措法66の5の2①)。 *「調整所得金額」とは、当期の所得の金額に、関連者純支払利子等の額、減価償却費の額及び受取配当等の益金不算入額等を加算する等の調整を行った金額をいう。 ただし、この制度は、次のいずれかに該当する場合には適用しない(措法66の5の2④)。 (2) 超過利子額の損金算入 関連者等に係る支払利子等の損金不算入の制度により損金の額に算入されなかった金額(以下「超過利子額」)がある場合には、翌事業年度以後7年間繰り越し、その後の事業年度の調整所得金額の50%相当額から、関連者純支払利子等の額を控除した残額に相当する金額を限度として、その各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができる(措法66の5の3①)。 次回は、具体的な事例により、損金不算入額の計算イメージについて明らかにする。 (了)

#No. 9(掲載号)
#中村 武
2013/03/07
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