公開日: 2013/04/04 (掲載号:No.13)
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NPO法人 “AtoZ” 【第1回】「NPO法人とは何か」

筆者: 岩田 聡子

NPO法人 “AtoZ”

【第1回】

「NPO法人とは何か」

 

税理士 岩田 聡子

 

1 NPO法人とは?

平成24年4月に改正特定非営利活動促進法(以下、「NPO法」という)が施行された。

これは、特定非営利活動法人(以下、「NPO法人」という)を新しい公共の担い手として、医療、福祉、子育て、その他様々な分野の市民活動をさらに公益活動に生かしていくことが期待されており、そのための法整備を行う改正である。
その前段階として、平成22年7月にNPO法人会計基準が公表されたことにより、それまでNPO法人ごとに異なっていた会計基準も統一されていた。

現在のNPO法人数は47,000余(H25/1/31現在、内閣府NPOホームページより)であり、その活動も介護から市民イベントまで多種多様であるが、これからもその数が増えていくことが予想されている。

【参考】 内閣府NPOホームページ
特定非営利活動法人の認定数の推移」 ※PDFファイル

ただし、「NPO法人」という名称は知っていても、「NPO法人とは何か」を知っている読者は少ないかと思われる。また、すでにご存知の読者も、本連載により、改めてNPO法人の活動について、理解を深める一助としていただければと思う限りである。

NPOとはNonprofit Organizationの略語で、非営利組織の総称であり、ここでいう非営利とは「収益を分配することを目的としないこと」である。
NPO法人とは、このNPOのうち、特定非営利活動を行うことを主たる目的として、NPO法による要件を満たし、法人格を与えられた社団で、正式名称を「特定非営利活動法人」という。

 

2 特定非営利活動とは?

特定非営利活動とは、以下のいずれにも該当するものをいう。

(1) NPO法2条1項別表で定める20分野に該当する活動であること

(2) 不特定かつ多数のものの利益(以下、「公益」という)の増進に寄与することを目的とするものであること

上記(1)で定める20分野は、以下のものをいう。

一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動

二 社会教育の推進を図る活動

三 まちづくりの推進を図る活動

四 観光の振興を図る活動

五 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動

六 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

七 環境の保全を図る活動

八 災害救援活動

九 地域安全活動

十 人権の擁護又は平和の推進を図る活動

十一 国際協力の活動

十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

十三 子どもの健全育成を図る活動

十四 情報化社会の発展を図る活動

十五 科学技術の振興を図る活動

十六 経済活動の活性化を図る活動

十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

十八 消費者の保護を図る活動

十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

二十 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

なお、上記(2)の「公益の増進に寄与することを目的とするもの」とは、法人の活動により利益を受ける者が特定の者のみに限定されず、広く一般の利益となる活動である。

 

3 NPO法人となるための要件

NPO法人となるための主な要件は、次のとおりである。

(1) 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること(NPO法2②)

(2) 営利を目的としないものであること(NPO法2②一)

※利益を社員で分配しないこと

(3) 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと(NPO法2②一イ)

(4) 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること(NPO法2一ロ)

(5) 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと(NPO法2②二イロ)

(6) 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと(NPO法2②二ハ)

(7) 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと(NPO法12①三)

(8) 10人以上の社員を有するものであること(NPO法12①四)

(9) 役員として、理事3人以上、監事1人以上を置くこと(NPO法15)等

 

4 NPO法人となるメリットと情報公開

任意団体での活動では、公的な法人格がないため、NPO名での銀行口座の開設や不動産の契約、登記等ができないが、NPO法人となって法人格を持つことにより、これらをNPO名義で行うことが可能となる。
また、法人格を持つことにより、任意団体での活動に比べ、社会的な信用も増すことが期待できる等のメリットがある。

ただし、NPO法に従って法人を運営しなければならず、その運営上、NPO法人の主たる事務所や所轄庁において、情報公開をしなければならない。
なお、税法上では、人格のない社団等と同様に収益事業を行った場合、納税義務が生ずることとなるので、収益事業に該当するかしないかについては、特に注意を払うべきである。

次回は、NPO法人の認証申請から登記までの流れについて紹介する。

〔凡例〕
NPO法・・・特定非営利活動促進法
(例)NPO法2②一イ・・・特定非営利活動促進法2条2項1号イ

(了)

NPO法人 “AtoZ”

【第1回】

「NPO法人とは何か」

 

税理士 岩田 聡子

 

1 NPO法人とは?

平成24年4月に改正特定非営利活動促進法(以下、「NPO法」という)が施行された。

これは、特定非営利活動法人(以下、「NPO法人」という)を新しい公共の担い手として、医療、福祉、子育て、その他様々な分野の市民活動をさらに公益活動に生かしていくことが期待されており、そのための法整備を行う改正である。
その前段階として、平成22年7月にNPO法人会計基準が公表されたことにより、それまでNPO法人ごとに異なっていた会計基準も統一されていた。

現在のNPO法人数は47,000余(H25/1/31現在、内閣府NPOホームページより)であり、その活動も介護から市民イベントまで多種多様であるが、これからもその数が増えていくことが予想されている。

【参考】 内閣府NPOホームページ
特定非営利活動法人の認定数の推移」 ※PDFファイル

ただし、「NPO法人」という名称は知っていても、「NPO法人とは何か」を知っている読者は少ないかと思われる。また、すでにご存知の読者も、本連載により、改めてNPO法人の活動について、理解を深める一助としていただければと思う限りである。

NPOとはNonprofit Organizationの略語で、非営利組織の総称であり、ここでいう非営利とは「収益を分配することを目的としないこと」である。
NPO法人とは、このNPOのうち、特定非営利活動を行うことを主たる目的として、NPO法による要件を満たし、法人格を与えられた社団で、正式名称を「特定非営利活動法人」という。

 

2 特定非営利活動とは?

特定非営利活動とは、以下のいずれにも該当するものをいう。

(1) NPO法2条1項別表で定める20分野に該当する活動であること

(2) 不特定かつ多数のものの利益(以下、「公益」という)の増進に寄与することを目的とするものであること

上記(1)で定める20分野は、以下のものをいう。

一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動

二 社会教育の推進を図る活動

三 まちづくりの推進を図る活動

四 観光の振興を図る活動

五 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動

六 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

七 環境の保全を図る活動

八 災害救援活動

九 地域安全活動

十 人権の擁護又は平和の推進を図る活動

十一 国際協力の活動

十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

十三 子どもの健全育成を図る活動

十四 情報化社会の発展を図る活動

十五 科学技術の振興を図る活動

十六 経済活動の活性化を図る活動

十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

十八 消費者の保護を図る活動

十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

二十 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

なお、上記(2)の「公益の増進に寄与することを目的とするもの」とは、法人の活動により利益を受ける者が特定の者のみに限定されず、広く一般の利益となる活動である。

 

3 NPO法人となるための要件

NPO法人となるための主な要件は、次のとおりである。

(1) 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること(NPO法2②)

(2) 営利を目的としないものであること(NPO法2②一)

※利益を社員で分配しないこと

(3) 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと(NPO法2②一イ)

(4) 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること(NPO法2一ロ)

(5) 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと(NPO法2②二イロ)

(6) 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと(NPO法2②二ハ)

(7) 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと(NPO法12①三)

(8) 10人以上の社員を有するものであること(NPO法12①四)

(9) 役員として、理事3人以上、監事1人以上を置くこと(NPO法15)等

 

4 NPO法人となるメリットと情報公開

任意団体での活動では、公的な法人格がないため、NPO名での銀行口座の開設や不動産の契約、登記等ができないが、NPO法人となって法人格を持つことにより、これらをNPO名義で行うことが可能となる。
また、法人格を持つことにより、任意団体での活動に比べ、社会的な信用も増すことが期待できる等のメリットがある。

ただし、NPO法に従って法人を運営しなければならず、その運営上、NPO法人の主たる事務所や所轄庁において、情報公開をしなければならない。
なお、税法上では、人格のない社団等と同様に収益事業を行った場合、納税義務が生ずることとなるので、収益事業に該当するかしないかについては、特に注意を払うべきである。

次回は、NPO法人の認証申請から登記までの流れについて紹介する。

〔凡例〕
NPO法・・・特定非営利活動促進法
(例)NPO法2②一イ・・・特定非営利活動促進法2条2項1号イ

(了)

連載目次

筆者紹介

岩田 聡子

(いわた・さとこ)

税理士
特定非営利活動法人 NPO支援の税理士ネットワーク理事
ファイナンシャルプランナー

1960年(昭和35年)東京都出身。
1980年(昭和55年)東洋英和女学院短期大学卒
産業振興(株)経理課を経て千代田国際公認会計士共同事務所勤務。
平成23年5月岩田聡子税理士事務所開業。

関連書籍

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