公開日: 2022/03/31 (掲載号:No.463)
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《インボイス制度下に独禁法・下請法違反とならないための》免税事業者との取引における実務対応

筆者: 大東 泰雄、福塚 侑也

インボイス制度下独禁法・下請法違反とならないための》

免税事業者との取引における実務対応

 

のぞみ総合法律事務所
弁護士 大東 泰雄
弁護士 福塚 侑也

 

1 はじめに

2023年10月1日から、消費税の適格請求書等保存方式(以下「インボイス制度」という)が実施される。

インボイス制度の実施後、仕入税額控除を行うためには、仕入先事業者から適格請求書(以下「インボイス」という)の交付を受け、これを保存する必要があるとされる。そして、インボイスは課税事業者でなければ発行できないため、仕入先が免税事業者である場合にはインボイスの交付を受けることができず、結果として、当該仕入先からの仕入れについて仕入税額控除ができないこととなる。

そのため、企業においては、免税事業者からの仕入について消費税額の負担が増えないよう対応策を検討しているところであろう。

しかしながら、その対応の仕方によっては、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という)が禁止する優越的地位の濫用に該当したり、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という)に違反することが懸念される。

そこで、本稿では、インボイス制度下において独禁法・下請法違反とならないための免税事業者との取引における実務対応について、財務省・公正取引委員会(以下「公取委」という)・経済産業省・中小企業庁・国土交通省が連名で公表した「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」(2022年1月19日公表・同年3月8日改正。以下「インボイス対応Q&A」という)の記載を踏まえて解説する。

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免税事業者との取引における実務対応

 

のぞみ総合法律事務所
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弁護士 福塚 侑也

 

1 はじめに

2023年10月1日から、消費税の適格請求書等保存方式(以下「インボイス制度」という)が実施される。

インボイス制度の実施後、仕入税額控除を行うためには、仕入先事業者から適格請求書(以下「インボイス」という)の交付を受け、これを保存する必要があるとされる。そして、インボイスは課税事業者でなければ発行できないため、仕入先が免税事業者である場合にはインボイスの交付を受けることができず、結果として、当該仕入先からの仕入れについて仕入税額控除ができないこととなる。

そのため、企業においては、免税事業者からの仕入について消費税額の負担が増えないよう対応策を検討しているところであろう。

しかしながら、その対応の仕方によっては、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という)が禁止する優越的地位の濫用に該当したり、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という)に違反することが懸念される。

そこで、本稿では、インボイス制度下において独禁法・下請法違反とならないための免税事業者との取引における実務対応について、財務省・公正取引委員会(以下「公取委」という)・経済産業省・中小企業庁・国土交通省が連名で公表した「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」(2022年1月19日公表・同年3月8日改正。以下「インボイス対応Q&A」という)の記載を踏まえて解説する。

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筆者紹介

大東 泰雄

(だいとう・やすお)

のぞみ総合法律事務所 パートナー弁護士

2001年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2002年 弁護士登録
2009年4月~2012年3月 公正取引委員会事務総局審査局審査専門官(主査)
2012年3月 一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻修士課程修了
2012年4月 のぞみ総合法律事務所復帰
2019年4月~ 慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)非常勤講師(経済法BP・WP担当)

【主要取扱分野】
独占禁止法、下請法、消費税転嫁対策特措法、景品表示法その他企業法務全般

【著書等】
◆『独占禁止法と損害賠償・差止請求』共著((株)中央経済社 2018年)
◆『独占禁止法の手続と実務』共著((株)中央経済社 2015年)
◆『ビジネスを促進する 独禁法の道標』共著(レクシスネクシス・ジャパン(株)2015年)
◆『Q&A プライベート・ブランドの法律実務─商品企画・開発から製造、販売までの留意点─』共著((株)民事法研究会 2014年)
◆『実務に効く 公正取引審決判例精選』共著((株)有斐閣 2014年)
◆『Q&A 改正消費税の経過措置と転嫁・価格表示の実務』共著((株)清文社 2013年)
等多数


福塚 侑也

(ふくづか・ゆうや)

のぞみ総合法律事務所 弁護士

2016年 大阪大学法学部卒業
2018年 中央大学大学院法務研究科法務専攻修了
2018年 司法試験合格
2018年 司法修習生(第72期)
2019年 弁護士登録(第二東京弁護士会)
    のぞみ総合法律事務所 入所

【主要取扱分野】
[企業法務]
コンプライアンス・企業不祥事対応、独占禁止法・競争法、下請法、景品表示法、訴訟・紛争解決、公益通報者保護法、その他企業法務全般
[その他]
民商事全般、家事、刑事

【著書等】
◆『内部通報制度の実効性を高める5つの見直しポイント』共著(弁護士法人ほくと総合法律事務所 弁護士 関 秀忠 先生 旬刊経理情報  No.1568 2月1日発行)

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