《税務必敗法》
【第11回】
「3割特例の適用可否の判断を誤った」
公認会計士・税理士 森 智幸
【事例】
AはWeb制作会社に勤務していたが、令和6年4月に独立し個人事業者として開業した。Aは開業後、X会計事務所と税務顧問契約を締結し、初回面談において「開業後2年間は免税事業者とし、令和8年からインボイス登録を行い課税事業者となる予定である」旨を担当税理士甲に説明し、あわせて簡易課税制度選択届出書を提出した。
【開業後の課税売上高】
●令和6年分
前職からのWeb制作サービスに関する委託業務に加え、大型のスポット業務があったため、課税売上は1,100万円となった。なお、特定期間の課税売上高及び給与等の支払額はいずれも1,000万円以下であった。
●令和7年分
大型スポット業務がなく、課税売上は800万円であった。
●令和8年分
基準期間(令和6年分)の課税売上高が1,000万円超であったことからAは課税事業者となり、予定通りインボイス登録を行ったものの、2割特例の適用は受けることができなかった。なお、特定期間の課税売上高及び給与等の支払額はいずれも1,000万円以下であった。
●令和9年分
令和9年に入り個人事業者を対象にして3割特例が開始されたが、甲はAに対して次のように説明した。
ところが、確定申告期限後、Aから「別の税理士に確認したところ、インボイス登録時にすでに課税事業者であっても、令和7年分の課税売上高と令和8年分の特定期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、令和9年分は3割特例の適用は可能との説明を受けた。再確認してほしい。」との申し出があった。
X会計事務所内で調べたところ、Aの主張通り、令和9年分については3割特例の適用が可能であり、納付額が過大であることが判明した。
そこで、所轄税務署に対して更正の請求を行ったが「この場合、更正の請求は認められない」と却下された。
その結果、X会計事務所はAから過大納付相当額について損害賠償請求を受けることになった。
1 はじめに
本連載は、税務を行う上で「これをやったら失敗する」という必敗法を紹介するものである。今回は「3割特例の適用可否の判断を誤った」である。
令和8年税制改正では、個人事業者についてはいわゆる2割特例の終了後も、令和9年及び令和10年分について「3割特例」が経過措置として適用されることになった。
3割特例の経過措置期間中に想定されるミスとしては、2割特例の時と同様、3割特例の適用が可能であったにもかかわらず、その適用を失念するケースが考えられる。2割特例の時と同様の論点ではあるものの、もう一度確認しておきたいところである。
また、3割特例よりも簡易課税の方が有利になるケースも増える可能性があるので、この点も注意が必要である。
なお、本稿は私見であることにご留意いただきたい。
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