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《速報解説》 会計士協会が「事後判明事実への対応に関する周知文書」を公表~要求事項等に従った事後判明事実への対応例を5つに区分して説明~
《速報解説》 会計士協会が「事後判明事実への対応に関する周知文書」を公表 ~要求事項等に従った事後判明事実への対応例を5つに区分して説明~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2025年4月17日、日本公認会計士協会は、「事後判明事実への対応に関する周知文書」(監査基準報告書560周知文書第1号)を公表した。 これは、事後判明事実への対応について、日本公認会計士協会の会員の理解に資するために公表するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 事後判明事実に関しては、「監査意見不表明及び有価証券報告書等に係る訂正報告書の提出時期に関する周知文書」(監査基準報告書705周知文書第2号)が公表されている。 しかしながら、「監査意見不表明及び有価証券報告書等に係る訂正報告書の提出時期に関する周知文書」では、進行年度につき意見不表明とした後において、十分かつ適切な監査証拠が入手できず、過年度の有価証券報告書等を訂正すべき内容が確定できない場合については取り扱っていなかった。 「事後判明事実への対応に関する周知文書」は、事後判明事実に関連する監査基準報告書560「後発事象」の要求事項を概説し、次のように、当該要求事項等に従った事後判明事実への対応例を5つに区分して説明している。 (了)
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令和7年度税制改正に関する《資料リンク集》(更新)
令和7年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和7年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
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プロフェッションジャーナル No.615が公開されました!~今週のお薦め記事~
2025年4月17日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.615を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
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日本の企業税制 【第138回】「ガソリンの暫定税率をめぐる三党協議の行方」
日本の企業税制 【第138回】 「ガソリンの暫定税率をめぐる三党協議の行方」 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部副本部長 魚住 康博 〇経緯 国会における「所得税法等の一部を改正する法律案」の審議が終盤に差し掛かった令和7年3月27日、自由民主党、公明党、日本維新の会による「ガソリンの暫定税率」に関する三党協議が開始された。 元々、令和7年度税制改正の議論が行われていた昨年12月、自由民主党、公明党、国民民主党の間で三党税調協議が進められ、12月11日には自公国幹事長同士による合意文書が作成されていた。そこでは、「いわゆる『ガソリンの暫定税率』は、廃止する」と明記されるとともに、「具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める」ことで合意に至っている。 ここでは、いわゆる「103万円の壁」の問題については令和8年から引き上げる旨が明記された一方で、「ガソリンの暫定税率」の廃止時期については記載されず、与党の令和7年度税制改正大綱では合意文書の引用に続いて、「自由民主党・公明党としては、引き続き、真摯に協議を行っていく」と記載された上で、自動車関係諸税の見直しについては、車体課税・燃料課税を含む総合的な観点から検討し、産業の成長と財政健全化の好循環の形成につなげていく旨とともに、車体課税については令和8年度税制改正において結論を得ることとされていた。 【自由民主党・公明党・国民民主党の幹事長合意文書(2024年12月11日署名)】 〇自公国三党税調協議の再開 このように、「103万円の壁」と「ガソリンの暫定税率」の両論点ともに幹事長合意以上の具体策までは自公国の三党税調で年内合意に至らず、年明けに議論が持ち越されていた。令和7年2月4日には、第217回国会の閣法第1号議案として、与党税制改正大綱を踏まえた「所得税法等の一部を改正する法律案」が衆議院に提出され、税制改正法案と予算の年度内成立を目指す与党は野党の協力を得るために、2月18日から自公国の三党税調協議を再開した。 協議において、国民民主党としては、ガソリンの値段が上がることで手取りを減らし、生活を圧迫する要因になっている状況にあることから、「ガソリン税の暫定税率」について、時期を明示して、できるだけ早く暫定税率を廃止することを主張していた。一方で与党としては、仮に暫定税率を廃止した場合に、国と地方を合わせて約1.5兆円とも言われる財源の手当ても考慮する必要があることから、令和8年度税制改正の自動車関係諸税全体の見直しの議論の中で、あわせて「ガソリンの暫定税率」廃止に向けての課題や解決策を明確にしていくスタンスを維持していた。 その後、2月26日までの短期間で都合5回にわたる自公国三党税調協議が行われたものの、結果的には合意に至らず、今後も協議が継続されることとなった。 〇国会審議 他方、自公国の三党税調協議の中では、壁となる「103万円」を「160万円」に引き上げる修正案を公明党が提示し、これを自由民主党が了承することで3月4日に与党修正案が衆議院に提出された。その後、参議院での審議も経て、3月31日に与党修正案が国会で成立している。 なお、「ガソリンの暫定税率」について国会審議では、「揮発油税及び地方揮発油税の『当分の間税率』は廃止に向けた検討を速やかに行うとともに、その廃止に当たっては、流通への影響や関係事業者の事務負担等に配慮するとともに、国及び地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことがないよう、安定的な財源を確保するなど必要な措置を講ずるものとすること」との附帯決議が行われている。 【揮発油税等の税率と税収】 〇自公維三党協議 その背景として、与党修正案については、自民党と公明党だけでなく、日本維新の会が賛成したことにより、国会での成立に至った。予算を含めて年度内成立を目指した与党としては、国民民主党とは別に日本維新の会との交渉を重ねていた中、教育無償化や社会保険・社会保障改革に加えて、「ガソリンの暫定税率」についても自公維の協議体を設置し、3月27日から三党での協議を正式に開始している。 第1回の自公維三党協議には、自民党から森山裕幹事長、小野寺五典政調会長、宮沢洋一税調会長、後藤茂之税調小委員長、上野賢一郎議員が、公明党から西田実仁幹事長、岡本三成政調会長、赤羽一嘉税調会長、竹内譲税調副会長、杉久武税調事務局長が、日本維新の会から岩谷良平幹事長、青柳仁士政調会長、斎藤アレックス議員、萩原佳議員がそれぞれ参加した。日本維新の会では、責任ある野党として真摯に協議をするためとした上で、今夏を目途にした暫定税率の廃止を主張している。 4月11日には第2回の自公維三党協議が開催され、実務者による建設的な議論を行う主旨で、自民党から後藤税調小委員長と上野議員が、公明党から竹内税調副会長と杉税調事務局長が、日本維新の会から青柳政調会長と萩原議員がそれぞれ参加した。 協議後の与党による説明では、会合ではまず、「ガソリンの暫定税率」が制定された経緯や現状の問題のほか、ガソリンの価格高騰対策について、政府から説明が行われている。その上で三党による議論を行い、地方財政との関係、地球温暖化対策との関係、社会インフラ整備の財源確保の問題のほか、流通に与える影響に関して、手持ち品還付の問題と交付金の問題が検討すべき課題として整理された。 次回以降、これら5つの点について、政府から深く掘り下げた資料が提出される予定である。また、日本維新の会からは、課題についての党としての考え方、あるいは早期に暫定税率を引き下げていくことの可能性について提言が行われる予定である。ただし、当初、4月14日の週にも第3回協議が開催されるとされていたが、先延ばしになりそうな見込みである。 今夏に実施される参議院議員選挙を睨んで、今後も与野党の議論が活発化することが予想される一方で、米国による関税の問題に起因する市場の混乱への対処も含めて補正予算の必要性も指摘されており、今後の自公維三党協議の行方から目が離せない。 (了)
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法人税
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〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第71回】「法人名義の車両に係る使用料と経済的利益の供与」
〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第71回】 「法人名義の車両に係る使用料と経済的利益の供与」 税理士 中尾 隼大 ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 社用車の利用と経済的利益の供与 法人が所有する車両を法人の経営者やその家族がプライベートで使用していたことが、税務調査の場で調査官に指摘されたという話は、しばしば見聞するところである。 税務上の取扱いにおいては、法人が購入等した車両を当該役員らに無償で貸与していたという形となるため、役員に対する経済的利益の供与の有無を検討する必要がある(※1)。この点、実務上はこのような指摘がなされないよう、車両をプライベートで使用するのであれば適正な使用料を収受すべき、又は定期同額給与となるようにすべきである(法令69①二)と助言する場面となり、通常は所得税法施行令84条の2も念頭に置くべきである。 (※1) 役員に対する経済的利益の供与について【第9回】参照。 このような内容について示された裁決例があるので、以下にその概要を紹介する。 (2) 法人所有の車両を代表者の妻が使用していたことが経済的利益の供与とされた事例 このように示された例として、国税不服審判所平成24年11月1日裁決がある(※2)。 (※2) 裁決事例集89集208頁、TAINS:J89-3-12。 本件裁決例で認定された主な事実は、以下の通りである。 上記の点が決め手となり、「本件車両は代表の妻が専属的に利用していたと認められるところ、それは、代表が実質的経営者としての権限を利用して請求人が所有する本件車両を代表の妻に使用させていたと認めるのが相当である。そして、代表は、請求人に対し、本件車両関連費用に相当する金員の支払をしていないのであるから、本件車両は、請求人から代表に対して無償で貸与されていたと認められる」として、本件車両関連費用については役員給与に当たると示されている。そして、あん分取得価額、自動車保険料及び支払利息の額はいずれも継続的に供与される経済的な利益であるため定期同額給与とされたのに対し、自動車税等の額は継続的に供与される経済的な利益ではないため、その全額が損金の額に算入されないとされた。 なお、隠ぺい仮装行為性については否定されている。 (3) 本件裁決例の意義 (2)で確認した内容に加え、本件裁決例で注目すべきは、車両について、役員に対して継続的に供与される経済的利益の算定についてまで言及したことである。 示された具体的な内容は、以下の通りである。 これらをまとめると、 こそが、経済的利益の供与とされる額であると示している。 このような経済的利益の供与に関しては、税務上の定期同額給与となるという整理を行うことが、最も合理的であると考えられる。 法人が有する車両を役員が使用する場合には、このような整理ができるよう、継続性が認められるかどうか及び経済的利益の算定について注意したい。 (了)
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相続税・贈与税
税務
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相続税の実務問答 【第106回】「贈与税の期限後申告における配偶者控除及び住宅取得等資金贈与の特例の適用可否」
相続税の実務問答 【第106回】 「贈与税の期限後申告における配偶者控除及び住宅取得等資金贈与の特例の適用可否」 税理士 梶野 研二 [答] あなたは、贈与税の期限後申告において住宅取得等資金贈与の特例を適用することはできませんが、お母様については、期限後申告により配偶者控除の特例を適用することはできます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 住宅取得等資金贈与の特例 令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」といいます)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額(省エネ等住宅の場合には1,000万円、それ以外の住宅の場合には500万円)までの金額について、贈与税が非課税となります(措法70の2①②六)。 この特例を適用することができる者は、次の要件のすべてを満たす者です(措法70の2①②一)。 また、対象となる住宅用の家屋は、次に掲げる要件を満たすもので、日本国内にあるものに限られます(措法70の2②二・三・四、措令40の4の2②③④⑤⑥)。 この非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります(措法70の2⑭、措規23の5の2⑩)。 なお、この期間内に贈与税の申告書が提出されなかった場合に、救済をする宥恕規定は設けられていません。 2 配偶者控除の特例 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の申告をすることにより、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円のほかに、最高2,000万円まで控除(配偶者控除)することができます(相法21の6①)。 この特例の適用を受けるための要件は、次のとおりです。 この特例の適用を受けるためには、次に掲げる書類を添付して、贈与税の申告書(期限後申告書及び修正申告書を含みます)を提出するか、又は更正の請求書を提出する必要があります(相法21の6②、相規9)。 (※) 金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合、課税当局では、その居住用不動産の評価明細書を提出していただきたいと周知しています。 なお、上に掲げる書類の添付がない申告書又は更正の請求書の提出があった場合においても、その添付がなかったことについて「やむを得ない事情」があると税務署長が認めるときは、これらの書類が提出された場合に限って、配偶者控除の特例を適用することができることとされています(相法21の6③)。 3 申告期限の延長 災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、その理由のやんだ日から2月以内に限り、当該期限を延長することができることとされています(通法11)。 この「やむを得ない理由」として、申告等をすることができなかったことに直接因果関係を有する事実で、例えば申告をする者の重傷病など自己の責めに帰さないやむを得ない事実が該当するとされています(通則法基本通達第11条関係1)。 4 ご質問の場合 お母様は、必要書類を添付した期限後申告書を提出することにより贈与税の配偶者控除の特例を適用することができます。 一方、あなたは、期限後申告において、住宅取得等資金贈与の特例を適用することはできません。 自主的に贈与税の期限後申告を行った場合には、算出された贈与税(本税)に加えて、原則としてその5%の無申告加算税が賦課され、また、本税の納付までの期間に対する延滞税を納める必要があります。 なお、一定のやむを得ない理由により期限内申告をすることができなかった場合には、申告書の提出期限を延長する制度がありますが、あなたの場合、申告の手続きを任せていたお父様が入院されたとしても、申告義務のあるあなた自身が税理士に依頼するなどして期限内申告をすることができたと認められますので、お父様の入院は、申告書の提出期限を延長することができる「やむを得ない理由」には当たらないと考えられます。 (了)
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国際課税
税務
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〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第69回】「「技術上の役務に対する料金」の該当性が問題となった事例(審裁令5.8.15)(その1)」~日印租税条約12条4項~
〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第69回】 「「技術上の役務に対する料金」の該当性が問題となった事例 (審裁令5.8.15)(その1)」 ~日印租税条約12条4項~ 井上 眞一 1 はじめに わが国とインド共和国(以下「インド」という)の租税条約は、1960年に最初の「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定」(※1)が締結された。これは帰属主義を導入した最初の条約である。その後、1989年に「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本政府とインド政府との間の条約」(以下「日印租税条約」という)が締結された。 (※1) 「技術上の役務に対する料金」は1960年租税条約10条(k)に「企業に対して支払われる技術上の役務に対する料金は、その料金が支払われる役務が行われた締結国内の源泉から生ずる所得として取り扱う。」と既に記載されている。 2 本件の概要 本件は、わが国法人の審査請求人(以下「X社」という)が、インド所在企業のJ社、K社及びL社の各社に支払った金員について、原処分庁が、当該各支払金は、日印租税条約12条4項に規定する「技術上の役務に対する料金」にあたり、国内源泉所得に該当するとして、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分等を行ったことに対し、X社が、当該支払金の一部は「技術上の役務に対する料金」に該当しないなどとして、処分の一部取消しを求めた事案である。 (1) X社の主張とJ社、K社及びL社との関係 X社は、エレクトロニクス製品、電気製品、情報関連機器の企画、開発、輸出入、販売、設置、工事及び保守管理並びにアプリケーション・ソフトウエアの企画、開発等を目的とする会社である。 ① J社との関係 J社はリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ(以下「LLP」という)の企業形態であり、X社がJ社の出資持分の99.9%を保有している。主な業務はソフトウエア及びハードウエア製品の開発を行っている。X社の主張は次のとおりである。 ② K社との関係 K社はX社との間に資本関係を持たない。X社とK社の間で、平成31年(2019年)1月4日から契約の効力が生じる「〇〇〇〇Agreement」(以下「本件K社契約書」という) を作成し、「〇〇〇〇Platform」(以下「本件プラットフォーム」という)に関する契約(以下「本件K社契約」という)を締結している。X社は、本件K社契約に基づき金員を支払っている(以下、K社に支払った各金員を「本件K社支払金」という)。X社の主張は、次のとおりである。 ③ L社との関係 L社もX社との資本関係はなく、令和元年(2019年)7月11日「MASTER SERVICES AGREEMNT」(以下「本件L社契約書」という)を作成し、X社がL社に対して、ウェブサイト及びモバイルアプリの設計及び開発に関するサービスを依頼する旨の契約(以下「本件L社契約」という)を締結していた。L社に関する主張は次のとおりである。 〈日本企業とインド企業の業務委託形態〉 (ⅰ) 委託を受けたインド企業が、わが国国内に同社社員・雇用者又は契約した別会社の社員・雇用者を派遣して開発 (ⅱ) 委託を受けた外国企業が、その外国国内で同社社員・雇用者又は契約した別会社の社員・雇用者を派遣し、開発する場合 (2) 原処分庁の主張 原処分庁の主張は次のとおりである。 ① J社との関係 ② K社との関係 X社がK社に依頼した本件プラットフォームの開発はコンピュータ・プログラムに関して専門的な知識を有する技術者によって提供された役務である。日印租税条約12条4項に規定する「技術的性質の役務」であり、当該役務の対価である本件K社支払金は、「技術上の役務に対する料金」に該当する。 ③ L社との関係 X社のL社への依頼は、ウェブサイトの制作やモバイルアプリの開発の一部である。これらの役務はコンピュータ・プログラムに関して専門的な知識を有する技術者によって提供された役務で、当該役務の対価である本件各L社支払金は、「技術上の役務に対する料金」に該当する。 (3) 国税不服審判所(以下「審判所」という)の判断 ① J社との関係 X社とJ社との間には業務に関する契約はないが、X社とJ社の開発担当者は開発フローを共有し、両社開発担当者間で、工程ごとに細分化された業務の一部が割り振られ、協働でソフトウエアの開発作業を行っている。X社へのJ社請求書の適用項目が「ソフトウエア開発、製品開発に関するサービスの料金」と記載されている。その請求書明細には、各J社への支払金は、J社の各月に発生した給与、賃料、旅費交通費等の合計額に〇%の利益を加えた金額で算出している。 これらの事実から、X社とJ社は、X社の指揮管理で、協働でソフトウエア開発を行っている。X社とJ社との間でソフトウエア開発業務に係る役務提供に関する合意があり、ソフトウエア開発を事業目的とするJ社は、当該合意に基づきソフトウエア開発を行っている。 したがって、当該ソフトウエア開発に係る役務は、日印租税条約12条4項に規定する「技術的性質の役務」に該当する。J社は、インドLLP法上、別個の法的主体であるため、X社のインド支店とは認められないので、X社とJ社を一体としてみなすことはできない。両社間の契約書がないとしても、J社はソフトウエア開発に係る役務提供の合意が存在し、J社はこの合意に基づいてソフトウエア開発を行っている。X社とJ社は別個の法的主体であるため、J社社員はX社の雇用する者に該当しない。毎月のJ社支払額計算方法は、当該ソフトウエア開発業務に係る役務の算定方法であり、ソフトウエア開発業務に係る役務の対価として支払ったものと認められ、業務を委託した対価ではない。 ② K社との関係 X社とK社との間の契約書内容は、第1条:X社は、K社が独自に開発したソフトウエアを基にカスタマイズされたプラットフォームを開発するにあたり支援をK社に依頼した。第3条:本件プラットフォームは、X社及びK社を含む第三者がX社のために既に開発した(又は開発中及び開発予定の)ソフトウエア・コンポーネントとアルゴリズムで構成されている。本件プラットフォームは、X社又はその子会社、関連会社が所有し運営するものである。第4条a:本件契約書の付属書A及びBは、本件プラットフォームにおける「定義済み機能」の開発/カスタマイズについて、両当事者が相互に合意した包括的な作業範囲を記述している。当該付属書に定義されているものを超える追加/増分の作業範囲については、K社による実現可能性調査が必要となり、作業範囲に基づいて当事者が相互に合意する追加の費用と時間で実行されることに同意する。第8条5:K社は最終支払までにすべての「定義済み機能」を完成させる。第10条8:K社は本件プラットフォームが記載された機能仕様に適合することを表明し、保証する。業務範囲が完了し、かつ第8条による支払いを受けた時点で、K社は、本件プラットフォームに関するすべてのソフトウエアとソースコードを「現状のまま」譲渡し、K社は、当該ソフトに関する明示又は暗示の保証(商品責任又は特定目的への適合性を含むがこれに限らない)を一切行わない。また、契約書の付属書の内容において、付属書Aにはこれまでに開発された本件プラットフォーム及び平成30年(2018年)8月以降の新規開発要請、付属書Bには本件プラットフォームの基本機能が記載されている。X社とK社契約第1条、第3条、第4条aにより、付属書A及び付属書Bは、X社とK社との間で、本件プラットフォーム開発におけるK社の業務範囲を定めたものである。 さらに、第8条5でK社は、最終支払までに全ての「定義済み機能」を完成させることとされており、第10条8のとおり、当該支払を受けた時点で本件プラットフォームに関するすべてのソフトウエア等をX社に引き渡すこととされている。 上記により、本件プラットフォームの開発に関してK社が行った業務に係る役務は、日印租税条約12条4項に規定する「技術的性質の役務」に該当し、その対価として支払った本件各K社支払金は、「技術上の役務に対する料金」に該当する。また、X社は、当該支出はソフトウエアの譲渡対価であると主張する。しかしながら、本件K社契約は、X社がK社に対して、本件プラットフォームの開発支援を依頼し、K社が本件プラットフォームの開発に関して、定義された範囲の業務を全て完了させるものであって、本件プラットフォームに関するすべてのソフトウエア等をX社に引き渡す旨の条項があったとしても、当該業務に係る役務の対価である本件K社支払金は、ソフトウエア譲渡対価ではないことから、X社の主張には理由がないとされた。 ③ L社との関係 X社は、契約書前文第3条(※2)で、L社に対してウェブサイト及びモバイルアプリの設計・開発に関するサービスの提供を依頼している。依頼した具体的な内容は、①L社付属書「要求事項」(※3)から、L社がX社の要求を満たすようにインターフェースをデザインし、開発することを求められたものと認められる。また、②L社付属書「成果物」(※4)のとおり、これらは、いずれもウェブサイト又はモバイルアプリの作成過程で作成されるものであり、ウェブサイト又はモバイルアプリに関する技術及び知識がなければ作成しえないものと認められる。X社は、アプリケーション及びウェブサイト等の設計・開発サービス等をその専門的知識を使った役務をL社に依頼し、L社は合意し、当該役務を行った。したがって、その対価としての支払いは、日印租税条約12条4項に規定する「技術的性質の役務」に該当し、その対価として支払った本件各K社支払金は、「技術上の役務に対する料金」に該当する。 (※2) 前文第3条:X社は本件L社契約に基づき締結された付属書1に記載されている、ウェブサイトとモバイルアプリの設計及び開発に関するサービスの提供を受けるためにL社に打診した。 (※3) L社付属書「要求事項」:L社は、「ウェブサイトUX/UIデザイン及びフロントエンド開発」及び「モバイルアプリUX/UIデザイン」につき、X社と協働している。L社は、それが使いやすく、専門的、魅力的、かつ、X社のブランドビジョンに合致したものになるように、インターフェースをデザインし、開発する。 (※4) L社付属書「成果物」:タスクフロー、ワイヤーフレーム(ウェブ、モバイル)、UI画面(ウェブ、モバイル等)及びフロントエンド開発・HTML等である。 次に、請求人X社によれば、①L社に依頼した業務のうち、ウェブサイトの制作についてはX社の求める成果物の納品がなかったので、その対価を支払っていない。②当該支払金はウェブサイト等のデザインの対価であり、デザインはコンピュータ・プログラムとは無関係と主張する。しかしながら、裁決によれば、日印租税条約12条4項は、その範囲をプログラミング・サービスの提供に限定していないとX社の主張を否定した。 この結果、「本件各支払金は、いずれも日印租税条約第12条第4項に規定する『技術上の役務に対する料金』に該当する。」と審判所は結論した。 ((その2)へつづく)
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リース
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リース会計基準を学ぶ 【第7回】「借手のリースの会計処理③」-短期リース、少額リースなど-
リース会計基準を学ぶ 【第7回】 「借手のリースの会計処理③」 -短期リース、少額リースなど- 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 【第5回】及び【第6回】に続き、借手のリースの会計処理について解説する。 今回は、短期リース、少額リースなどについて解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 短期リースに関する簡便的な取扱い 「短期リース」とは、リース開始日において、借手のリース期間が12か月以内であり、購入オプションを含まないリースをいう(リース適用指針4項(2))。 借手は、短期リースについて、リース会計基準33項の定めにかかわらず、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することができる(リース適用指針20項、BC37項)。 借手は、当該短期リースに関する簡便的な取扱いについて、対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目ごと又は性質及び企業の営業における用途が類似する原資産のグループごとに適用するか否かを選択することができる(リース適用指針20項、BC38項)。 なお、連結財務諸表においては、個別財務諸表において個別貸借対照表に表示するであろう科目ごと又は性質及び企業の営業における用途が類似する原資産のグループごとに行ったリース適用指針20項の選択を見直さないことができる(リース適用指針21項)。 Ⅲ 少額リースに関する簡便的な取扱い 借手は、次の(1)と(2)のいずれかを満たす場合、リース会計基準33項の定めにかかわらず、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することができる(リース適用指針22項、BC39項、BC40項)。 (2)については、①又は②のいずれかを選択できるものとし、選択した方法を首尾一貫して適用する(リース適用指針22項、BC42項)。 リース適用指針22項の(1)と(2)の簡便的な取扱いの併用が可能であることを明確化するため、同22項については、公開草案から修文されている(コメント対応No.108)。 リース適用指針22項の簡便的な取扱いを適用するかどうか、リース適用指針22項(2)の①又は②のいずれを適用するかについては、企業が会計処理方法を選択することが可能であるため、会計方針の選択に該当するものと考えられている(コメント対応No.108)。 Ⅳ 使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の取扱い 使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合は、次のいずれかの方法を適用することができる(リース適用指針40項、[設例9-1])。 「使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合」とは、未経過の借手のリース料の期末残高が当該期末残高、有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合である(リース適用指針41項、BC68項~BC70項)。 なお、連結財務諸表においては、リース適用指針41項の判定を、連結財務諸表の数値を基礎として見直すことができる。見直した結果、個別財務諸表の結果の修正を行う場合、連結修正仕訳で修正を行う(リース適用指針42項)。 Ⅴ 資産除去債務 借手は、資産除去債務を負債として計上する場合の関連する有形固定資産が使用権資産であるとき、「資産除去債務に関する会計基準」(企業会計基準第18号)7項に従って当該負債の計上額と同額を当該使用権資産の帳簿価額に加える(リース適用指針28項、BC58項)。 Ⅵ 建設協力金等 建設協力金等について、差入企業である借手は、差入預託保証金の支払額と時価との差額を使用権資産の取得価額に含める(リース適用指針29項)。 建設協力金等及び敷金については、これらが金融商品に該当する(「金融商品会計に関する実務指針」(移管指針第9号)10項)ことから、関連する定めは金融商品実務指針に記載されていた(リース適用指針BC59項)。 しかしながら、これらの項目は、主にリースの締結により生じる項目であるため、これらの具体的な会計処理の定めについては、金融商品実務指針から削除し、リース適用指針において定めることとした(リース適用指針29項から35項、BC59項)。 Ⅶ 敷金 差入企業である借手は、差入敷金のうち、差入敷金の預り企業である貸手から差入企業である借手に返還されないことが契約上定められている金額を使用権資産の取得価額に含める(リース適用指針34項)。 Ⅷ 使用権資産の減損 リース会計基準においては、これまでオペレーティング・リース取引として資産を計上していなかったリースも含め、借手のすべてのリースについて使用権資産を計上することとしている(「「固定資産の減損に係る会計基準」の一部改正」(企業会計基準第35号)BC4項)。 このため、貸借対照表に計上される使用権資産について減損会計基準を適用することとし、ファイナンス・リースのうち通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行っているリースについて、当該リース資産の未経過リース料の現在価値を当該リース資産の帳簿価額とみなして減損会計基準を適用する定めは、原則として削除している(「「固定資産の減損に係る会計基準」の一部改正」BC4項)。 リース会計基準の開発に際して、「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」の改正についても検討され、その審議の過程では、使用権資産への減損会計基準の適用に関する具体的な取扱いを定めてはどうかとの意見が聞かれたとのことである。具体的には、国際財務報告基準(IFRS)第16号「リース」の適用時において、使用権資産への減損会計の適用に混乱が見受けられた論点について明らかにすることを求める意見である(「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)144-2項)。 当該論点は、使用権資産とリース負債を合わせて減損会計の単位と捉えることで、使用権資産の減損処理が不要であるとする誤解があったというものであるとのことである(「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」144-3項)。 この点について、改正後の「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」144-3項に記載している理由により、使用権資産への減損会計基準の適用時におけるリース負債に関する取扱いを定めないこととしたとのことである(「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」144-3項)。 (了)
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〔まとめて確認〕会計情報の四半期速報解説 【2025年4月】期末決算(2025年3月31日)
〔まとめて確認〕 会計情報の四半期速報解説 【2025年4月】 期末決算(2025年3月31日) 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 3月決算会社を想定し、期末決算(2025年3月31日)に関連する速報解説のポイントについて、改めて紹介する。基本的に2025年1月1日から3月31日までに公開した速報解説を対象としている。 公開草案及び適用時期が将来のものは、基本的に記載の対象外としている。 期末決算でも、すでに公表した四半期決算に関連する速報解説に引き続き注意する必要がある。 具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。 Ⅱ 会計関係 企業会計基準委員会は、次のものを公表している。 ① 補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」 (内容:改正税法が2025年3月31日までに成立した場合を想定し、主として2025年3月31日に決算日を迎える企業における防衛特別法人税の取扱いを明らかにするもの) ② 2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正 (内容:包括利益の表示、特別法人事業税及び種類株式の取扱いについて改正するもの) ③ 改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」 (内容:ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式の時価評価に関するもの) Ⅲ 金融商品取引法関係 次のものが公布・公表されている。 ① 「記述情報の開示の好事例集2024(第3弾)」 (内容:サステナビリティに関する考え方及び取組の開示③(人的資本、多様性及び人権)に関する好事例集。金融庁) ② 「記述情報の開示の好事例集2024(第4弾)」 (内容:コーポレート・ガバナンスに関する開示(コーポレート・ガバナンスの概要、監査の状況、株式の保有状況)に関する好事例集。金融庁) ③ 「記述情報の開示の好事例集2024」の最終版 (内容:重要な契約等、経営方針等、MD&A及び中堅中小上場企業の開示例について議論したものであり、「記述情報の開示の好事例集2024」の最終版として公表するもの) ④ 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第6号) (内容:政策保有株式の開示について改正するもの) ⑤ 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則及び連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第20号) (内容:「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号)等を受けたもの) Ⅳ 会社法関係 次のものが公布・公表されている。 ① 「会社法の改正に関する報告書」 (内容:経済産業省に設置された「「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」の報告書。バーチャルオンリー株主総会、従業員・子会社の役職員に対する株式の無償交付などについて記載している) ② 「会社計算規則の一部を改正する省令」(法務省令第5号) (内容:「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第46号)を受けたものなど) ③ 「会社計算規則の一部を改正する省令」(法務省令第14号) (内容:「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号)等を受けたもの) Ⅴ 監査法人等の監査関係 監査法人及び公認会計士の実施する監査などに関連して、次のものが公表されている。 ① 法規・制度委員会研究報告第5号「インサイダー取引に関するQ&A」 (内容:インサイダー取引事案の発生を受けて、今回、会員に対して改めて注意喚起するもの) ② 監査基準報告書700実務ガイダンス第1号「監査報告書に係るQ&A(実務ガイダンス)」の改正 (内容:報酬依存度に関する取扱いが十分に理解されていないことなどについて補足するもの) ③ 財務報告内部統制監査基準報告書第1号「財務報告に係る内部統制の監査」の改正 (内容:監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」に基づく要求事項と適用指針の明確化などを行うもの) Ⅵ 過年度に公表されている会計基準等 過年度に公表されている会計基準等のうち、2024年4月1日以後に適用されるもの(早期適用を含む)として、次の会計基準等がある。 ① 「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年10月28日、改正企業会計基準第27号)等 (内容:税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)及びグループ法人税制が適用される場合の子会社株式等(子会社株式又は関連会社株式)の売却に係る税効果ついての取扱いを示すもの。2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。ただし、2023年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができる) ② 実務対応報告第46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」等 (内容:グローバル・ミニマム課税について、法人税及び地方法人税の会計処理及び開示の取扱いを示すもの。補足文書がある。2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用) (了)
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給与計算の質問箱 【第64回】「前月に給与の支払が無い場合の賞与の計算」
給与計算の質問箱 【第64回】 「前月に給与の支払が無い場合の賞与の計算」 税理士・特定社会保険労務士 上前 剛 Q 当社では今月入社した新入社員に賞与として700,000円を支給することにしました。社会保険料等を差し引いた実際の支給額及び、その支給額に至るための賞与の計算についてご教示ください。 A 実際の支給額は593,095円となる。具体的な賞与の計算は、以下のとおりである。なお、社会保険料の計算については全国健康保険協会東京支部の保険料率を使用する。 * * 解 説 * * 設例 計算 仮に入社前に入社支度金などの名目で支給する場合は、雑所得となる。契約金として扱われ、10.21%(100万円を超える場合は、超える部分の金額は20.42%)の源泉徴収をする必要がある。ただし、就職に伴う転居のための費用で通常必要と認められるものは非課税とされる。 (了)