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国際課税レポート 【第20回】「「トランプ関税」と「ピラー2」」~米・欧2つの最高裁審査~

米国と欧州という巨大経済・民主主義圏で、経済政策を巡る重大な訴訟が同時に最高裁の場で審理されている。米国では、トランプ政権が1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に発動した「相互関税」の合憲性が問われ、欧州では、OECD・G20「ピラー2」に基づく15%グローバル・ミニマム税の域内導入を義務づけたEU指令の合憲性が争われている。
いずれも、経済政策目的との関係で政府が選択した「手段」の適法性・均衡性が焦点であると言える。ここでは、両訴訟に取材し、司法が経済主権と国際協調の狭間で果たす役割を考えるとともに、裁判の結果が実務に与える影響について考えてみることとしたい。

#No. 644(掲載号)
# 岡 直樹
2025/11/13

〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第58回】「外国通貨の交換取引に係る為替差損益の年度帰属」

外国の金融機関と投資一任契約を締結し、運用対象資産に属する外国通貨によって他の種類の外国通貨又は有価証券を取得する取引が行われたとしても、同取引は、投資一任契約により、多通貨で資産を保有するという分散投資の目的が継続する中で行われたものであるから、同取引は外貨建取引に該当せず、したがって、所得が生ずることはないという主張は認められるでしょうか。

#No. 643(掲載号)
# 霞 晴久
2025/11/06

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第82回】「三井住友信託銀行特定民間国外債事件 -政令委任による解除条件付利子非課税規定の解釈について-(地判令2.12.1、高判令3.9.30、最判令4.5.26)(その2)」

Ⅳ評釈の見解;争点ごとの要約
1 藤岡裕治「特定民間国外債の利子に対する非課税規定適用のための利子受領者確認書の提出と源泉徴収 東京地裁令和2年12月1日判決」税経通信2021.4 P96~103
❷ 文理解釈
本判決は、規定の中にある文言に関する解釈を示しているわけではない。本判決は措法6条⑦及び同条⑬並びに施行令3条の2の2㉗の関係を示すにとどまっている。
❸ 論理解釈:当然予定説
本判決は、法律関係の確定を重視する実質的な理由を示していない。租税法律関係の安定を納税者の保護より重視する根拠は明らかではない。厳密には、法定納期限後に法律関係が変わることは想定し得る。法律関係を確定するために措法6条⑦が適用要件としての提出期限を設けることを当然に予定しているとする本判決の理由づけにはさらなる論証が必要であろう。
❹ 政令委任
仮に措法6条⑦が提出期限を設けることを当然に予定していないならば、・・・課税要件を政令で定めるものとなり、そのような委任が許されるかという委任の内容が問題となったはずである。
❻ 結果妥当性
源泉徴収義務者が求償権を行使しないことを想定した本判決の解決は、本来の納税義務者である非居住者等の地位を不安定にする点及び源泉徴収義務者の事務負担の点から課題が残る。

#No. 642(掲載号)
# 畠山 和夫
2025/10/30

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第81回】「三井住友信託銀行特定民間国外債事件 -政令委任による解除条件付利子非課税規定の解釈について-(地判令2.12.1、高判令3.9.30、最判令4.5.26)(その1)」

本事件は、民間国外債の利子の非課税の規定により三井住友信託銀行(以下「X」という)が特定民間国外債利子の支払い時に源泉所得税の徴収を行っていなかったところ、課税庁より非居住者等の本人確認書類である利子受領者確認書の提出が期限内に行われなかったため利子の非課税措置が受けることができないとして、源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分を行った事案である。

#No. 641(掲載号)
# 畠山 和夫
2025/10/23

国際課税レポート 【第19回】「第2次トランプ税制改革の新展開:関税・環境税・国際課税」

トランプ第2次政権の経済優先課題を盛り込んだOne Big and Beautiful Act (以下「OBBBA」)は、10年間で税収減▲4.5兆ドルを歳出減▲1.1兆ドルで埋める結果、財政赤字を3.4兆ドル(503兆円(※))拡大する。

#No. 639(掲載号)
# 岡 直樹
2025/10/09

〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第57回】「クロスボーダーの信託に対する外国子会社合算税制の適用」

外国の私法により決定された法律関係が我が国の信託法上の信託の概念に該当するか否かについて、どのように判断するのでしょうか。

#No. 638(掲載号)
# 霞 晴久
2025/10/02

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第80回】「非居住者期間の所得を合算課税することの可否が問題となった事例(地判平28.5.13、高判平29.5.25、最判平30.4.12)(その2)」

外国子会社合算税制に関するこれまでの判例は適用除外要件の充足に係るものが多く、特に正常な海外投資活動を阻害しないこととの関係で管理支配基準と業種判定をどう判断するかが問題になってきた。また、その多くは納税者が日本法人であるケースであり、納税者を個人とするケースは実務的にも少ない。ましてや居住者ステータスが課税年度の途中で変更するという事象は個人の場合でしか起こらないという特殊性が加わる(※1)。

#No. 637(掲載号)
# 柿本 雅一
2025/09/25

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第79回】「非居住者期間の所得を合算課税することの可否が問題となった事例(地判平28.5.13、高判平29.5.25、最判平30.4.12)(その1)」

納税者は日本で生まれたが出国し40年以上にわたり欧州(スウェーデン、デンマーク、英国、ハンガリー)で生活していた。デンマークに居住していた1987年にA社を設立し、ログハウスの輸入代行業を行っていた。
納税者は2000年に英国に移住したが、その際デンマーク税法の適用を受け、出国直前に有していた株式等を譲渡したものとみなしてこれを時価評価課税する出国税を課された(出国税は分割納付により2011年に完納)。2002年には英国からハンガリーに移住した。
2008年1月22日にA社はA社の所有するC社株式のすべてを第三者に売却する契約を締結し、同月31日に当該売買代金の80%に相当する金額の支払いを受け、残り20%相当の代金は同年3月31日に支払いを受けた。
納税者は2008年2月1日に日本に入国し東京都での居住を始めた。納税者は2008年分と2009年分の所得税確定申告書を法定期限までに提出したが、いずれの申告書にも外国子会社合算税制の適用が除外される旨を記載した書類は添付されていなかった。
東京国税局は2012年に納税者と面識する等の税務調査を実施し、2013年2月に外国子会社合算税制を適用する内容の更正処分をした。納税者は同年3月に異議申し立てを行ったが同年6月に異議申し立てを棄却された。さらに、同年7月に国税不服審判所に審査請求をしたが2014年7月に審査請求を棄却する旨の裁決が行われたため、同年10月に裁判を提訴した。

#No. 636(掲載号)
# 柿本 雅一
2025/09/18

国際課税レポート 【第18回】「G7共存システムの具体化とピラー2」

6月28日に発出された「グローバルミニマム課税に関するG7声明」は、多国籍企業の利益に最低限の税負担を求める制度として、米国国内法のミニマム課税ルールと、OECD「ピラー2」のグローバルミニマム課税ルールを、ピラー2をアメリカの多国籍企業の利益に適用しないことにより「共存」させることについての共通理解を示した。

#No. 635(掲載号)
# 岡 直樹
2025/09/11

〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第56回】「実質所得者課税の原則の具体的な判定基準」

国際的な取引における所得の帰属について、通説的な法律的帰属説の立場から、具体的にはどのように判断するのでしょうか。

#No. 634(掲載号)
# 霞 晴久
2025/09/04
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