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事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第32回】「紅麹関連製品による健康被害と問題公表の遅延(下)」

前回は、K製薬が2024年1月15日から2月1日までのわずか半月で6件もの腎障害の報告を受けたにもかかわらず、2月21日までの間、原因や因果関係の究明ばかりを優先し、消費者への注意喚起や行政報告の要否についてはほとんど議論されなかったことを述べた。
今回も、引き続き紅麹関連製品による健康被害と、2月22日以降のK製薬の対応について分析する。

#No. 594(掲載号)
# 原 正雄
2024/11/14

事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第31回】「紅麹関連製品による健康被害と問題公表の遅延(上)」

K製薬は1919年に設立され、東京証券取引所プライム市場に上場し、医薬品や医薬部外品などを製造販売する企業である。
K製薬は、紅麹を用いて「悪玉コレステロールを下げる」機能性表示食品(本件製品)を販売していたが、2024年1月中旬以降、相次いで「本件製品を摂取した顧客に腎障害等が発生した」との連絡を受けた。後に判明したことだが、紅麹の培養タンクに青カビが混入し、腎毒性のある天然化合物「プベルル酸」が生成されたことが原因であった。
K製薬が本件製品を回収するとリリースしたのは、3月22日である。既に最初の症例連絡から2ヶ月強が経過していた。そうしたこともあり、本件との関連が疑われる被害は、医療機関を受診した者2,556名、入院516名、死亡397名にまで拡大した(2024年10月20日付K製薬からの速報値)。また、結果として代表取締役会長が辞任し、代表取締役社長も代表を降りて補償担当の取締役へと降格となった。
K製薬では、なぜ迅速なリリースができなかったのか。K製薬が設定した事実検証委員会の2024年7月22日付「調査報告書」に基づいて分析する。

#No. 592(掲載号)
# 原 正雄
2024/10/31

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例98】株式会社ファーマフーズ「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」(2024.9.24)

今回取り上げる開示は、株式会社ファーマフーズ(以下「ファーマフーズ」という)が2024年9月24日に開示した「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」である。同社の株主から、「最低でも向こうの5年間は配当を増額し株主の信用を取り戻すため」という理由により、1株当たり年間50円の配当を実施せよという提案がなされ、これに対して次のように反対している(赤い下線は筆者による)。

#No. 591(掲載号)
# 鈴木 広樹
2024/10/24

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例97】株式会社エルアイイーエイチ「代表取締役の異動(解職)及び社長交代に関するお知らせ」(2024.8.23)

今回取り上げる開示は、株式会社エルアイイーエイチ(以下「エルアイイーエイチ」という)が2024年8月23日に開示した「代表取締役の異動(解職)及び社長交代に関するお知らせ」である。福村康廣氏(以下「福村氏」という)を代表取締役から解職し、取締役経理部長の下岡寛氏(以下「下岡氏」という)を代表取締役に選定したという内容だが、その代表取締役の「異動の理由」は次のとおりである(下線は筆者による)。同社がこれまでどのような会社であったのかがよく分かる。

#No. 587(掲載号)
# 鈴木 広樹
2024/09/26

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例96】ENECHANGE株式会社「公認会計士等の異動に関するお知らせ」(2024.7.5)

今回取り上げる開示は、ENECHANGE株式会社(以下「エネチェンジ」という)が2024年7月5日に開示した「公認会計士等の異動に関するお知らせ」である。同社の会計監査を担当する有限責任あずさ監査法人(以下「あずさ監査法人」という)が退任することになったのだが(この時点で後任は未定。同年7月30日に「一時会計監査人の選任に関するお知らせ」を開示)、その「異動に至った理由及び経緯」の記載は次のとおりである(下線は筆者による)。

#No. 583(掲載号)
# 鈴木 広樹
2024/08/29

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例95】昭和ホールディングス株式会社「第122回定時株主総会終結及び第123回定時株主総会における定数を必要とする議案の結果について」(2024.6.26)

今回取り上げる開示は、昭和ホールディングス株式会社(以下「昭和ホールディングス」という)が2024年6月26日に開示した「第122回定時株主総会終結及び第123回定時株主総会における定数を必要とする議案の結果について」である。タイトルにあるとおり、この開示では「第122回定時株主総会終結」と「第123回定時株主総会における定数を必要とする議案の結果」の2つが記載されている。

#No. 579(掲載号)
# 鈴木 広樹
2024/07/25

事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第30回】「電話会社グループからの顧客情報の流出」

2023年7月13日、電気通信事業者NN社の子会社であるBS社は、警察による捜索差押えを受けた。同じくNN社の子会社であるPR社が委託元から預かり保管中の顧客情報が外部流出しており、BS社がその流出元であるとの疑いに基づく捜査であった。
上記を契機として、BS社の派遣社員Xが顧客情報を持ち出していたことが判明した。NN社は、2023年11月16日、社内調査委員会を立ち上げ、2024年2月19日、調査報告書を受け取り、同月29日、それを公表した。
本件は、システムの保守運用上の不備が原因で発生した事案である。企業経営者の多くはシステムについて専門的な知識を有していない。そのため、運用等を現場に任せてしまっていることが多い。しかし、それは極めて危険な経営判断である。経営陣が責任を負うべき管理体制の観点から、システムの運用保守を考える必要がある。そうした観点から本件を分析する。

#No. 577(掲載号)
# 原 正雄
2024/07/11

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例94】ニデック株式会社「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」(2024.5.24)

今回取り上げる開示は、ニデック株式会社(以下「ニデック」という)が2024年5月24日に開示した「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」である。同社は、2023年3月期の内部統制報告書において自社の財務報告に係る内部統制は有効であるとしていたのだが、開示すべき重要な不備があり、有効ではないと訂正した。

#No. 575(掲載号)
# 鈴木 広樹
2024/06/27

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例93】ウエルシアホールディングス株式会社「代表取締役及び取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」(2024.4.17)

今回取り上げる開示は、ウエルシアホールディングス株式会社(以下「ウエルシアホールディングス」という)が2024年4月17日に開示した「代表取締役及び取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」である。同社代表取締役社長の松本忠久氏(以下「松本氏」という)が代表取締役だけでなく取締役も辞任するという内容だが、主文は次のとおりである(下線は筆者による)。

#No. 570(掲載号)
# 鈴木 広樹
2024/05/23

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例92】ENEOSホールディングス株式会社「コンプライアンスに関する取組みの再徹底に係る進捗について」(2024.2.28)

今回取り上げる開示は、ENEOSホールディングス株式会社(以下「ENEOSホールディングス」という)が2024年2月28日に開示した「コンプライアンスに関する取組みの再徹底に係る進捗について」である。タイトルの中に「コンプライアンスに関する取組みの再徹底」とあるが、それは、同社が2023年2月27日に開示した「人権尊重・コンプライアンスに関する取組みの強化・再徹底について」で示されたものである。

#No. 566(掲載号)
# 鈴木 広樹
2024/04/25

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