〔税理士・会計士が知っておくべき〕情報システムと情報セキュリティ 【第5回】「IT監査の基礎的な理解」
「IT監査」という用語はしばしば利用されているものの、その意味するところについて明確に説明することは難しい。
IT監査は、何の目的で行われることが多いのだろうか。
ITは情報技術(Information Technology)であり、コンピュータを用いて情報処理を行う一連の仕組みを指す。組織における業務では、現業からバックオフィスに至るまで何らかの形でITを用いている場合が多く、今や組織活動においてITは不可欠な存在である。
そのようなITが突然使えなくなってしまったら?
あるいは、処理の方法が間違ってしまっていたら?
業務処理に与える影響は大きくなる一方である。
改正金融検査マニュアルのポイントと中小企業へ与える影響 【第4回】「債権者区分の判定要件における注意点」
前回、「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」(以下「マニュアル別冊」という)を分かりやすく解説した「知ってナットク! 中小企業の資金調達に役立つ金融検査の知識」(以下「検査の知識」という)及びこの「事例集」があること、そして、マニュアル別冊には金融機関から高く評価されるヒントがあり、これを知っていれば、中小企業等の資金調達に役に立つことを紹介した。
今回は、この「検査の知識」及び「事例集」を用いて、マニュアル別冊の運用上の注意点等について解説をする。
顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第7回】「スコアリングデータから優秀な会社の傾向を読み取る」 ~総合スコア~
今回から3回にわたり、実際のスコアリングデータを紹介しながら、スコアから読み取られた優秀な会社の傾向について紹介する。
今回取り上げるのは、「総合スコア」である。総合スコアは、第3回で述べた「正確性」、「効率性」、「安定性」、「リスク管理」、「戦略性」から見た経理財務のサービスレベルの総合力を表すスコアである。
起業家が求める税理士の役割、税理士が求める経営者の姿勢 【下】「日々の記帳・申告業務における経営者との関係」
前回述べたように、しっかり売上を上げている経営者の方々の中には、資料の整理が苦手な方が意外と多い。
何度お願いしても資料を出していただけない、あるいは半年過ぎてやっとまとめて資料を受け取る場合がある。しかし時間が経っているためか、大抵は歯抜け状態の場合が多い。
時には資料を出していただけないまま年度を超えてしまい、申告できない場合もある。
〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!─ 【第12回】「慢性期DPCの予想される制度概要と影響」
2025年に向けての医療制度改革の一環として2012年度診療報酬改定で急性期医療における医療機関群(Ⅰ群・Ⅱ群・Ⅲ群)が設定されたことは注目されるところである。しかし、今後の高齢社会を考えると、むしろ急性期後の医療が重要になることは明らかであり、その対応策として慢性期医療に関しても新たな方向性が台頭してきている。
会計事務所 “生き残り” 経営コンサル術 【第7回】「“どうすれば利益が出るの?”って聞かれてどう答えますか」
中小企業をクライアントにもっていますと、必ず聞かれることは“どうすれば利益が出るのでしょう”ということです。
その時、あなたはどのように答えられますか?
恥ずかしい話ですが、私はずっと「総資本利益率を高めることだ」とクライアントに説明してきました。
顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第6回】「スコアリングモデルで評価する留意点」 ~いきなり業績評価に使ってはいけない~
スコアリングモデルは、会社の規模の大小を問わず、その経理財務部門のサービスレベルをデータに基づいて客観的に評価することができるが、実際に読者が顧問先にスコアリングモデルを活用して評価を行う場合に問題となるのは、どのような単位で評価を行うのか、評価結果をどのように活用するか、ということであろう。
そこで今回は、スコアリングモデルの評価単位と評価の留意点について解説しよう。
起業家が求める税理士の役割、税理士が求める経営者の姿勢 【上】「アーリーステージにおける税理士の役割」
会社のアーリーステージ(起業準備から起業を経て2、3年程度)の方々をサポートする機会が多いが、そのアーリーステージの過ごし方で、その後の会社の発展もしくは存続可能性が概ね決まってくると言っても過言ではない。
実際、創業して10年後に残っている会社は、ほんの数%にすぎない。
また、アーリーステージにおける経営者の経営スタンスは、自ずと対税理士との関係においても表れてくるものである。
そこで、税理士との人間関係を通して普段接しているアーリーステージの経営者の方々を考察し、我々税理士には何ができるのか、どうあるべきかについて考えてみたい。
改正金融検査マニュアルのポイントと中小企業へ与える影響 【第3回】「マニュアルを使った[債務者区分]の判定」
金融検査マニュアルは、金融庁及び地方の財務(支)局(一部の金融機関については、農林水産省及び厚生労働省も検査を行う)の検査官が金融機関を検査する際に用いる手引書である。
この金融検査マニュアルは、「経営管理(ガバナンス)」、「金融円滑化編」及び「リスク管理等編」で構成されている。
この中で、中小企業等に最も影響があるのが、「リスク管理等編」の「資産査定」である。
顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第5回】「スコアリングモデルの特長」 ~非会計情報を、定量化し、相対評価せよ~
スコアリングモデルは、経理財務部門のサービスレベルを評価する標準的な手法として経済産業省の実証事業により構築された。
おそらくこれより前にも、巷では経理財務部門のサービスレベルを評価する手法は存在していたであろう。それでも、この実証事業に経済産業省が取り組んだのは、スコアリングモデルがこれまでの国内外の取組みと決定的に異なる特長を備えており、国の事業として取り組む意義があると考えたからである。
では、他の取組みと異なるスコアリングモデルの特長とは何か。
これが、今回のテーマである。