〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第54回】「第三者割当増資による持分の希釈化と課税機会の喪失」
100%子会社の第三者割当増資による保有株式の希釈化に伴う資産価値の移転は、法人税法22条2項にいう無償による資産の譲渡等に該当するのでしょうか。
日本の企業税制 【第140回】「アメリカの税制改正の行方」
トランプ政権の関税政策が世界中で話題となっている一方、アメリカの連邦議会で審議が進むOne Big Beautiful Bill Act(OBBBA)の行方にも高い注目が集まっている。
既に5月22日には下院で法案が可決されており、現在、ステージは上院での審議に移っている。法案に含まれる「報復措置」による影響が欧州のみならず日本でも甚大になる恐れがあることから、上院での審議を経た上での上下両院での修正作業がどの程度の期間で完了するのか、内容的にどういった修正が施されるのかなどについて、税制関係者の間で話題になっている。
国際課税レポート 【第15回】「2025年トランプ税制改革」~加速する「アメリカ回帰」~
この法案は「One Big Beautiful Bill Act(大きく美しい1つの法案)」と呼ばれ、米議会予算局(CBO)によれば、今後10年間で歳出を1.25兆ドル削減する一方、歳入は3.67兆ドル減少すると見込まれている。その結果、差引で財政赤字は2.4兆ドル拡大し、米国の債務残高はGDP比で123.8%に達する見通しである。なお、CBOは2025年末時点の債務残高を29兆ドル、GDP比101.7%と推計している。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第53回】「タックス・シェルターに対する我が国の対応」
我が国でタックス・シェルターが利用され、課税上問題となったことはあるのでしょうか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第72回】「塩野義製薬事件-現物出資による国外への資産移転-(地判令2.3.11、高判令3.4.14)(その2)」~旧法人税法施行令4条の3第9項(平成28年度改正前)~
東京地裁は、大要以下のように判示してXの請求を認容し、Yによる更正処分を取り消した。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第71回】「塩野義製薬事件-現物出資による国外への資産移転-(地判令2.3.11、高判令3.4.14)(その1)」~旧法人税法施行令4条の3第9項(平成28年度改正前)~
本稿で取り上げる事例(塩野義製薬事件)は、そのケイマン法上のLPSを用いた事業にまつわるわが国課税上の争訟であるが、法人該当性が直接の争点となったわけではなく(法人に該当しない事業体であることに争いはなく)、そのLPSの持分が国内外のいずれに存する資産であるかが問題となったものである。
国際課税レポート 【第14回】「トランプ大統領令への欧州(EU)の対応と今後の動向」
本稿では、トランプ関税及びトランプ国際課税とデジタルサービス税及び15%グローバルミニマム課税を仕掛けたEUの動きについて、本稿執筆時点(2025年5月14日)の限られた情報によるものとはなるが、今後の展望を予想する参考としてまとめておきたい。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第52回】「外国関係会社の決算書の事後的な修正の是非」
税務調査において外国関係会社の租税負担割合の計算誤り、具体的には損金算入されない保険準備金の計上ミスを指摘された内国法人が、事後的に外国関係会社の決算書を修正して、外国子会社合算税制の適用がないと主張することは認められるでしょうか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第70回】「「技術上の役務に対する料金」の該当性が問題となった事例(審裁令5.8.15)(その2)」~日印租税条約12条4項~
わが国事業体が関連する国際的商取引の場合、わが国と取引先国の法律関係が問題となる。審判所は、当該裁決において、インド法に準拠して設立され、インドに所在する事業体J社を「インドLLP法に基づき設立された法人」であるとし、わが国租税法上の法人に該当するとしている。まず、わが国及びインド租税法における法人及びLLPの相違について検討をする。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第69回】「「技術上の役務に対する料金」の該当性が問題となった事例(審裁令5.8.15)(その1)」~日印租税条約12条4項~
本件は、わが国法人の審査請求人(以下「X社」という)が、インド所在企業のJ社、K社及びL社の各社に支払った金員について、原処分庁が、当該各支払金は、日印租税条約12条4項に規定する「技術上の役務に対する料金」にあたり、国内源泉所得に該当するとして、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分等を行ったことに対し、X社が、当該支払金の一部は「技術上の役務に対する料金」に該当しないなどとして、処分の一部取消しを求めた事案である。