〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第31回】「外国子会社合算税制と二重課税の排除」
外国子会社合算税制を適用した結果、内国法人に二重課税が発生する可能性があるとのことですが、二重課税とされるもののうち、例えば、合算対象となる外国子会社が我が国に支店等を有しており、我が国で法人税等が課税されていた場合、当該外国子会社の国内源泉所得に係る課税はどのように調整されるのでしょうか。
これからの国際税務 【第37回】「第2の柱:軽課税所得ルール(UTPR)の見通し」
2021年10月にOECD/G20から公表された経済のデジタル化対応の2つの柱から成る国際課税の新ルール合意のうち、2022年中に詳細設計の国際協議が進捗した(※1)第2の柱(15%のグローバル・ミニマム課税、租税条約面の対応も含めて「GloBE税制」とも呼称)の中核をなす所得合算ルール(IIR)について、政府は、令和5年度税制改正で国内法への導入を行った。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第19回】「りそな外税控除否認事件(地判平13.12.14、高判平15.5.14、最判平17.12.19)(その2)」~法人税法69条~
最高裁は、外国税額控除制度を「同一の所得に対する国際的二重課税を排斥し、かつ、事業活動に対する税制の中立性を確保しようとする政策目的に基づく制度である」としている(下線筆者)。外国税額控除制度に関しては、(a)政策目的に基づく制度とする説(※6)、(b)国際租税法の基本的な制度とする説(※7)、(c)国際租税法の基本的な制度でかつ政策目的に基づく制度とする説(※8)がある。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第18回】「りそな外税控除否認事件(地判平13.12.14、高判平15.5.14、最判平17.12.19)(その1)」~法人税法69条~
ここでは都市銀行による外国税額控除余裕枠の利用取引に関する訴訟事案(※1)の1つである「りそな外税控除否認事件」について、その概要及び最高裁の見解を説明した上で主たる論点に検討を加えてみることにする。「りそな外税控除否認事件」に関しては様々な論点があり、それらを検討することは国際租税判例を学ぶ上で意義があると理解する。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第30回】「租税条約における「利得の分配に係る事業年度の終了の日」の取扱いの変更」
前回に取り上げた事案の控訴審判決を受け、国税庁は去る3月30日、租税条約における「利得の分配に係る事業年度終了の日」の取扱いを変更したと聞きましたがその概要を教えてください。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第17回】「ガーンジー島法人所得税の「外国法人税」該当性(地判平18.9.5、高判平19.10.25、最判平21.12.3)(その2)」~法人税法69条1項、法人税法施行令141条1項、2項、3項~
大島訴訟(最判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁)では、「租税は、国家が、その課税権に基づき、特別の給付に対する反対給付としてでなく、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、一定の要件に該当するすべての者に課する金銭給付」とされている。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第16回】「ガーンジー島法人所得税の「外国法人税」該当性(地判平18.9.5、高判平19.10.25、最判平21.12.3)(その1)」~法人税法69条1項、法人税法施行令141条1項、2項、3項~
本件は、英国王領チャネル諸島ガーンジー(ガーンジー島)に本店を有し、再保険を業とする法人であるB(Ark Re Ltd. 以下「B社」という)の発行済株式の全てを保有している原告X(損保ジャパン)に対し、所轄税務署長Yが、B社の負担するガーンジー島の法人所得税は法人税法69条1項に規定する「外国法人税」に当たらないため、B社は租税特別措置法(以下「措置法」という)66条の6第1項(タックス・ヘイブン対策税制)所定の特定外国子会社等に該当するとして、同項に規定する課税対象留保金額に相当する金額をXの所得の金額の計算上、益金の額に算入して本件各事業年度の更正処分等をしたことから、これを不服としたXが、その処分等の取消しを求めた事案である。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第15回】「TDK事件(審裁平22.1.27)(その2)」~租税特別措置法66条の4第2項1号二・2号ロ、租税特別措置法施行令39条の12第8項1号、租税特別措置法通達66の4(4)-5(現行66の4(5)-4)~
本件に関して今後の利益分割法の適用を検討する上で参照意義があると思われる各争点について、審判所判断をもとに検討する。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第14回】「TDK事件(審裁平22.1.27)(その1)」~租税特別措置法66条の4第2項1号二・2号ロ、租税特別措置法施行令39条の12第8項1号、租税特別措置法通達66の4(4)-5(現行66の4(5)-4)~
①請求人がA社及びB社に対して最終製品製造用の部品である棚卸資産を販売した国外関連取引、②A社及びB社が当該棚卸資産を用いて製造した棚卸資産(最終製品)を請求人が購入した国外関連取引、並びに③請求人がA社との間で締結した無形資産供与を主眼とする技術移転契約に係る国外関連取引に関して、東京国税局(以下、「原処分庁」という)はこれら国外関連取引の全てを対象とした残余利益分割法を適用し、独立企業間価格を算定し更正処分を行った。これに対して請求人は、国税不服審判所に審査請求を行った。