《税務必敗法》
【第9回】
「設立1期目を7ヶ月以下にすることを忘れた」
公認会計士・税理士 森 智幸
【事例】
X会計事務所の税理士甲は、飲食店を営む個人事業者Aとは約5年間、税務顧問契約を締結している。
×1年1月、Aから「×1年度から法人成りしたい。インボイス登録は行わず、2期間は消費税を免税にしたい。決算月は3月で、できるだけ早く設立したい。」という依頼を受けた。
そこで、甲は「それでは、×1年6月中に設立手続を行い、×1年7月1日から新会社をスタートさせましょう。」と回答した。その後、Aは日本国内において、×1年7月1日を事業開始日とする資本金500万円の株式会社Bを設立した。また、インボイス登録は行わなかった。
しかし、翌×2年2月に、甲が別の顧問先の消費税の確定申告にあたり、税理士会による業務チェックリストを使ってチェックをしていたところ「特定期間における課税売上高を確認したか。」という項目を見て株式会社Bを思い出した。
調べたところ、株式会社Bの特定期間(×1年7月1日から同年12月31日)の課税売上高及び給与支払額は、ともに1,000万円を超えていたことが分かった。そのため、株式会社Bの×2年度は課税事業者となり、消費税の納税義務が生じることがわかった。
これをAに伝えたところ「2期間は免税のはずではないか」と激怒された。結局、株式会社Bの×2年度の消費税は過大納付となり、甲は損害賠償をすることになった。しかし、甲は事前税務相談業務担保特約に入っていなかったため、この損害賠償について保険金が支払われなかった。
1 はじめに
本連載は、税務を行う上で「これをやったら失敗する」という必敗法を紹介するものである。今回は「設立1期目を7ヶ月以下にすることを忘れた」である。
この事故事例は、株式会社日税連保険サービス『税理士職業賠償責任保険事故事例(2023年7月1日~2024年6月30日)』の事前税務相談業務担保特約事例1に紹介されているが、筆者の周囲にも、事例のように設立1期目を7ヶ月以下にする助言を忘れたため損害賠償となった税理士がいた。原因は「うっかりしていた」ということであった。
とはいえ、会社設立業務は頻繁に行うものではないので、消費税法上の落とし穴を失念してしまうことも考えられる。そこで、今回は設立1期目の特定期間の注意点とその対策について説明する。また、税理士職業賠償責任保険の事前税務相談業務担保特約についても説明する。
なお、本稿は私見であることにご留意いただきたい。
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