マンション保有者のための相続税対策とその留意点
【第1回】
「既存のマンション保有者が検討すべき対策」
ミレニア綜合会計事務所
代表税理士 甲田 義典
【はじめに】
来年からはじまる相続税の増税により、相続税対策についての関心が高まっている。
特に近年では、購入代金のうち建物部分の比率の占める割合の高い都心の高層マンションを取得することで、評価の低い建物に組み替えて財産の評価額を減らし節税をはかることを検討しているケースもあるようだ。
このような背景を踏まえ、本稿では相続税対策を中心に居住用・投資用を目的とした区分所有によるマンション保有者または購入検討者に焦点を当てた税金対策について、①既存のマンション保有者と②購入検討者に分け、全2回にわたり解説する。
第1回は、既存のマンション保有者が検討すべき対策について解説したい。
1 『居住用マンション』を保有している場合
居住用のマンションを保有している場合には、主に以下の特例の活用が考えられる。
(1) 贈与税の配偶者控除
贈与税の配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合において、110万円の贈与税の基礎控除のほかに、最高2,000万円までの控除(配偶者控除)をすることで、合計で年間2,110万円までの贈与を無税で行うことが認められている(相法21の6)。
したがって、マンションの評価額が2,110万円以下であれば、マンションの所有権のすべてを無税で配偶者へ移転することが可能である。ただし、この特例を受けた居住用不動産や金銭は、贈与を受けた配偶者の二次相続の相続財産として相続税の課税対象となるため、二次相続対策もあわせて検討する必要がある。
(2) リフォームした場合の所得税の特例
リフォームをする場合においても、相続税対策では、マンションの取得と同様に現金が「修繕費」や「資本的支出」というかたちで建物へ組み替えられるため、財産の評価額を減らす効果が期待できる。
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