社外取締役の教科書
【第11回】
「社外取締役としての法的責任(その3)」
クレド法律事務所
駒澤大学法科大学院非常勤講師
弁護士 栗田 祐太郎
前回に引き続き、(社外)取締役の法的責任について、具体的なケースを説明したい。
今回は、「取締役として期待された何らかの活動を、しなかった」という監視・監督義務違反が問題となったケースと、内部統制システムの構築義務違反が問題となったケースの具体例を取り上げたい。
1 監視・監督義務違反が問題となったケース -その目的とは?
-事案-
電気製品修理業を営むA株式会社では、Bが代表取締役、C及びDが取締役、Eが監査役に就任していた。
ところが、A社の事業活動は、オーナー株主でもあるBが独断専行して行い、創立総会や株主総会は開かれたことはなく、正式な取締役会も開かれたことはなかった。また、監査役の監査も受けてはいなかった。
そのような状況下で、Bは、事業拡張のための資金を得るため、900万円に及ぶ融通手形を振り出したが、結局、関係者にだまされ、資金を得ることができずにA社は倒産した。
A社に対して手形金支払債権を有しているFらは、Bを始めとした役員ら全員に任務懈怠があったとして、それぞれに対して損害賠償請求訴訟を提起した。
▷主な争点
FらがA社の倒産により手形金の支払いを受けられなかったことについて、当時の役員であったB~Eにはそれぞれ任務懈怠(善管注意義務違反ないし監視・監督義務の違反)があったか。
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