養子縁組を使った相続対策と
法規制・手続のポイント
【第13回】
「民法上の養子と相続税法上の養子」
弁護士・税理士 米倉 裕樹
前回(第12回)までは本連載における「第1部」として位置づけ、「養子縁組をめぐる法規制と手続」について解説を行ってきた。
今回からは「第2部」として、これまで解説してきた内容を踏まえ、「養子縁組を使った代表的な相続対策と留意点」について解説を行っていく。なお、本連載の今後の掲載予定については、論末の連載目次をご覧いただきたい。
[1] はじめに-相続税法上の養子縁組の制限-
相続税の計算を行うに当たり、
① 基礎控除額
② 生命保険金及び死亡退職金の非課税限度額
③ 相続税の総額の計算
については、民法の定める法定相続人の数を基準とする。
例えば、①基礎控除額については、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が相続税の基礎控除額となり(相法15①)、②生命保険金及び死亡退職金の非課税限度額についても、「500万円×法定相続人の数」が非課税限度額となることから(相法12①五・六)、法定相続人の数が増えれば増えるほど相続税の負担を減少させる結果となる。
また、③相続税の総額を計算するに当たっては、法定相続分に応じた各取得金額に超過累進税率(高い取得金額部分には高い税率が課せられる)を乗じて計算されることから(相法16)、こちらも法定相続人の数が増えれば増えるほど相続税の負担を減少させることとなる。
このような法定相続人の増加に伴う税効果に着目し、同じく法定相続人の増加となる養子縁組を複数人との間で行うことで、過去、行き過ぎた租税回避行為が行われた。
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