公開日: 2016/01/21 (掲載号:No.153)
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養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第16回】「孫養子の相続税の節税効果」

筆者: 米倉 裕樹

養子縁組を使った相続対策と

法規制・手続のポイント

【第16回】

「孫養子の相続税の節税効果」

 

弁護士・税理士 米倉 裕樹

 

[1] はじめに

相続、遺贈、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む)及び配偶者以外の人である場合には、その者の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算され、これを相続税額の2割加算という。2割加算は、上記のような場合において、一世代飛び越すことで相続税の課税を1回分減らすことができることから、その税負担を調整するために設けられた制度である。

被相続人の養子は、一親等の法定血族となることから、相続税額の2割加算の対象とはならない。ただし、被相続人の養子となっている被相続人の孫は、代襲相続人となっている場合を除き(被相続続人の子が相続開始前に死亡したときや相続権を失ったためその孫が代襲して相続人となっている場合を除き)、相続税額の2割加算の対象となる。

そこで、被相続人の孫を養子とすることで、何ら対策を行わない場合と比べて節税効果がどの程度得られるのか、被相続人の孫を養子とするのではなく、被相続人の子の配偶者を養子とする場合と比較しつつ、具体的事例及び数字とともに以下検討する。

 

[2] 何ら対策を行わない場合

当初の被相続人から孫に至るまで相続がなされた場合、当初の被相続人の相続財産がそれぞれ10億円(赤字)、5億円(黒字)、2億円(青字)であった場合の累計相続税額は以下のとおりである。

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養子縁組を使った相続対策と

法規制・手続のポイント

【第16回】

「孫養子の相続税の節税効果」

 

弁護士・税理士 米倉 裕樹

 

[1] はじめに

相続、遺贈、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む)及び配偶者以外の人である場合には、その者の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算され、これを相続税額の2割加算という。2割加算は、上記のような場合において、一世代飛び越すことで相続税の課税を1回分減らすことができることから、その税負担を調整するために設けられた制度である。

被相続人の養子は、一親等の法定血族となることから、相続税額の2割加算の対象とはならない。ただし、被相続人の養子となっている被相続人の孫は、代襲相続人となっている場合を除き(被相続続人の子が相続開始前に死亡したときや相続権を失ったためその孫が代襲して相続人となっている場合を除き)、相続税額の2割加算の対象となる。

そこで、被相続人の孫を養子とすることで、何ら対策を行わない場合と比べて節税効果がどの程度得られるのか、被相続人の孫を養子とするのではなく、被相続人の子の配偶者を養子とする場合と比較しつつ、具体的事例及び数字とともに以下検討する。

 

[2] 何ら対策を行わない場合

当初の被相続人から孫に至るまで相続がなされた場合、当初の被相続人の相続財産がそれぞれ10億円(赤字)、5億円(黒字)、2億円(青字)であった場合の累計相続税額は以下のとおりである。

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連載目次

養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント
(全25回)

第1部 養子縁組をめぐる法規制と手続

【第1回】 養子縁組の種類と成立要件・養子縁組が認められなかった裁判例
【第2回】 養子縁組の効果
【第3回】 普通養子縁組の手続と虚偽縁組の回避策
【第4回】 特別養子縁組の手続
【第5回】 戸籍の記載~養子の氏と戸籍~
【第6回】 外国人との養子縁組と戸籍・国籍への影響
【第7回】 離縁の要件・離縁を認めなかった裁判例
【第8回】 離縁の手続(普通養子・特別養子)
【第9回】 離縁に伴う復氏・復籍
【第10回】 渉外離縁手続
【第11回】 養子縁組の取消し
【第12回】 離縁の無効・取消し

第2部 養子縁組を使った代表的な相続対策と留意点

【第13回】 民法上の養子と相続税法上の養子
【第14回】 養子縁組のメリットとデメリット
【第15回】 養子縁組前の養子の子が養親の直系卑属に当たる場合と代襲相続権
【第16回】 孫養子の相続税の節税効果
【第17回】 養子と法定相続人(相続税の負担が不当に減少させる結果となる場合)
【第18回】 遺言とその後の協議離縁

第3部 Q&A

【第19回】 普通養子縁組から特別養子縁組への転換
【第20回】 虚偽の嫡出子出生届と養子縁組
【第21回】 離縁と親権
【第22回】 養父母の死亡と親権
【第23回】 遺族年金と養子縁組
【第24回】 離縁と財産分与・慰謝料
【第25回】 養親の離婚と養子の相続権

筆者紹介

米倉 裕樹

(よねくら・ひろき)

弁護士・税理士

【経歴等】
立命館大学法学部卒
1999年大阪弁護士会登録(第51期)
弁護士法人北浜法律事務所 パートナー弁護士
近畿弁護士会連合会税務委員会委員長(平成27年5月~同29年4月)

【著書・論文等】
相続税 税務調査[指摘事項]対応マニュアル」(清文社2018年出版)共著
弁護士と税理士の相互質疑応答集」(清文社2017年出版)編者・共著
税理士が実際に悩んだ相続問題の法務と税務」(清文社2014年出版)
有利な心証を勝ち取る民事訴訟遂行」(清文社2015年出版)
「弁護士は民事裁判をどう見ているか(調査結果の分析)」(日本弁護士連合会「自由と正義」共著、2013年8月号)
「Doing Business in Japan」(53版改訂版以降、執筆担当Consumption Tax(消費税)共著、LexisNexis社、2013年~)
そこが危ない!消費増税をめぐる契約実務Q&A」(清文社2013年出版)等

  
 

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