民法改正(中間試案)
─ここが気になる!─
【第3回】
「売買」
弁護士 中西 和幸
1 売買に関する改正の概要
売買契約に関する改正の特徴は、法律構成の明確化と整理である。すなわち、特に新しく規定するというよりは、判例等を明確にし、また、解釈を整理するものが中心である。
もっとも、こうした明確化や整理について、ビジネス法務上は、契約書に反映することで既に行われていることが少なくない。言い換えると、本改正に意義があるのは、契約書において明確に定めない場合、すなわち、個人的な売買や契約書を重視しない事業者による売買であろう。
2 義務等の明確化
(1) 売主の義務
(ア) 売主の基本義務
中間試案では、売主の基本義務として、財産権移転義務、目的物引渡義務及び登記・登録等の移転義務を定めている。これらの義務のうち、引渡しなどは、事業者であろうが個人であろうが、明文がなくとも履行義務に含まれることに異論はないであろう。また、登記・登録等の手続も、現行法では特段明記されているわけではない。
しかし、読者が関わるビジネス実務においては、事前の交渉においてどのような登記・登録等が必要かをあらかじめ確認し、かかる確認に基づき各種契約書面において明確に定めることが通常である。また、事業者対消費者の取引であっても、自動車や不動産売買契約書のように事業者団体によりひな型が作られて登記・登録の手順が契約上明確化されるなど、トラブルの発生を防止するための方策が執られる場面が多い。
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