民法(相続関係)等改正「追加試案」のポイント
【第4回】
(最終回)
「追加試案で新たに示された改正内容(その3)」
弁護士 阪本 敬幸
ここまで2回にわたり追加試案で新たに示された改正内容について解説を行ってきたが、連載最終回となる今回は最後の論点である「遺留分制度に関する見直し」に係る事項について検証を行う。
(【第2回】参照)
[1] 追加試案の概要
[2] 追加試案の内容
1 ①配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定)
2 ②仮払い制度の創設・要件明確化
(【第3回】参照)
3 ③遺産の一部分割
4 ④相続開始後の共同相続人による財産処分に関する方策
5 ⑤遺留分制度に関する見直しについて
-追加試案の要旨-
(1) 遺留分侵害額の請求
民法第1031条の規律を次のように改めるものとする。
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(遺産分割方法の指定又は相続分の指定を受けた相続人を含む)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
(2) 受遺者又は受贈者の負担額
民法第1033条から第1035条までの規律を次のように改めるものとする。
受遺者又は受贈者は、次のアからウまでの規律に従い、遺贈又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下同じ)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該相続人の遺留分額を超過した額)を限度として、(1)の請求に係る債務を負担する。
ア 遺贈と贈与があるときは、受遺者が先に負担する。
イ 遺贈が複数あるとき、又は同時期の贈与があるときは、その目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思表示をしたときは、その意思に従う。
ウ 贈与が複数あるときは、後の贈与を受けた者から順次前の贈与を受けた者が負担する。
(3) 受遺者又は受贈者の現物給付
次のとおり、金銭債務の全部又は一部の支払に代えて、受遺者又は受贈者が現物給付することができる旨の規律を設けるものとする。
ア 受遺者又は受贈者は、遺留分権利者に対し、債務の全部又は一部の支払に代えて、遺贈又は贈与の目的である財産のうちその指定する財産(以下「指定財産」という)により給付することを請求することができる。
イ アの請求は、一定の時期までにしなければならない。
ウ アの請求があった場合には、その請求をした受遺者又は受贈者が負担する債務は、指定財産の価額の限度において(、その請求があった時に)消滅し、その指定財産に関する権利が移転する。
エ 遺留分権利者は、アの請求を受けた時から一定期間以内に、受遺者又は受贈者に対し、ウの指定財産に関する権利を放棄することができる。
オ 遺留分権利者がエの規定による放棄をしたときは、当初からウの指定財産に関する権利の移転はなかったものとみなす。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。