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〔会計不正調査報告書を読む〕【第8回】株式会社クロニクル・ 過去の会計処理の訂正に係る「第三者委員会調査報告書(最終報告)」
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第8回】 株式会社クロニクル・ 過去の会計処理の訂正に係る 「第三者委員会調査報告書(最終報告)」 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 【概要】 【株式会社クロニクルの概要】 株式会社クロニクル(以下「クロニクル」という)は昭和55年、宝石貴金属製品の卸売業者として創業。平成12年から投資事業を開始。その他の事業として子会社においてWEB情報事業を手がける。連結売上高2,108百万円、連結経常損失△697百万円。従業員49名(数字はいずれも2012年9月期)。平成16年12月JASDAQ上場。 【報告書のポイント】 1 調査結果により判明した事実 (1) 営業貸付金等 平成20年6月、前代表取締役会長が中心となって進めた会社買収に絡み、契約書を作成することなく、買収予定会社及びその親会社に対して608百万円の貸付金が発生することとなった。 クロニクルは、買収予定会社の株式を親会社が売却した代金300百万円を受け取り、残額を債権放棄することで合意していたにもかかわらず、当該損失を平成21年9月期に計上することを避けるため、日付を遡って金銭消費貸借契約書を作成し、会計監査人からの残高確認依頼に対しては虚偽の返信を行わせた。 その上で、平成23年9月期に貸付金308百万円に対して個別引当で全額につき貸倒引当金を設定すべく、債務免除を依頼する書面を作成させた。 その結果、本来、平成21年9月期に計上すべき債権放棄による損失308百万円が貸付金として計上されたまま、有価証券報告書が作成された。 (2) 営業出資金 前代表取締役会長は、シンガポールにおいて組成したファンドに、クロニクルから出資させ、当該ファンドから自らに資金を流して私的に流用することを計画し、懇意にしていたファンドマネージャーにファンドの組成を依頼し、合計約904百万円の投資をさせた。 ファンドマネージャーは、受け入れた資金について運用を行わず、前代表取締役会長の指定する口座に送金する一方、ファンドの投資内容について定期的に報告書を提出して投資実体があるかのように装い、評価損の計上を免れていた。 クロニクルがファンドへ送金した資金については、営業出資金ではなく、前代表取締役会長に不法に領得されたものであり、ファンドへの送金時点で財産上の損害が生じており、当該年度に損失を計上すべきであった。 (3) 預在庫 子会社における時計販売において委託販売を行っているところ、帳簿上の預在庫として計上されている商品のうち410百万の商品について実在性がないことが判明した。 その原因は、以下のとおり前代表取締役会長が主導したものであるが、実務処理は、現代表取締役社長及び取締役(子会社の代表取締役)が担当していた。 2 関係者に対する厳しい処分の提言 最終報告書は「第4 改善策」の冒頭において、関係者に対する厳しい処分を提言している。 クロニクルの会計処理の訂正を要する可能性がある事象については、いずれも、平成23年8月3日に死亡した、前代表取締役会長が主導して行ってきたものであり、現任の取締役4名も平成23年12月に就任した1人を除いて、その行為に加担又は実務処理を行い、前代表取締役会長の行為に異議を唱えたり、止めたりすることはなかったものである。 前代表取締役会長の行為の一部には、業務上横領罪又は特別背任罪が成立しているものもあると考えられ、同人に対する損害賠償請求権が発生しているが、同人はすでに死亡し、死亡時点においての正味財産はなかったものと推察されることから、損害賠償請求権に対する未収入金は現時点では計上せず、請求金額の実現可能性が高まった時点での認識を行うことが妥当であると考えられる。 〔関係者の処分の提言内容〕 3 会計監査に対する問題点の指摘 会計監査人は、以下の対応を実施すべきであったとし、「会計監査が調査対象事項のような事象への抑止力につながらなかったこと自体は否定しない」として、問題点を指摘した。 4 調査報告書の特徴 現任の取締役4名のうち3名、監査役3名全員に対して、「辞任のうえ報酬の自主返納」を迫る非常に厳しい報告書が公表された事案である。 また、3月26日には、証券取引等監視委員会が、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、クロニクルに対し6,443万円の課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。 法令違反の事実は、以下の「重要な事項につき虚偽の記載がある」有価証券報告書等を、関東財務局長に対し、提出したものである。 証券取引等監視委員会が虚偽記載と認めた事実は、調査委員会の報告とも一致しており、クロニクルも異議を申し立てていないことから、有価証券報告書等の虚偽記載は事実として認めているようである。 そうすると、第三者調査委員会が提言を行った「関係者の処分」についても、クロニクルの見解が出されるべきではないかと思料するのだが、本稿執筆時点においては、調査委員会の提言に対する反論はもちろん、辞任するかどうかも含めて、何らコメントは出されていない。 一方、訂正報告書をめぐっては、監査法人との間で協議がまとまらず(3月14日付リリース)、その後、会計監査人の異動が発表され(4月5日付リリース)、「早急に提出する予定で作業を進めて」いる(4月19日付リリース)ということであるが、こちらも本稿執筆時点においては、訂正報告書は出されていない。 (了)
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〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第5回】「産後8週間経過後の対応(2)」―短時間勤務、時間外労働・深夜業の制限―
〔時系列でみる〕 出産・子を養育する社員への 対応と運営のヒント 【第5回】 「産後8週間経過後の対応(2)」 ―短時間勤務、時間外労働・深夜業の制限― 社会保険労務士 佐藤 信 1 はじめに 前回は子を養育する従業員の休業取得について触れたが、今回は働きながら子を養育する従業員に対し、会社が実施する支援策、法で定められた短時間勤務等の各種制度について触れていくこととする。 2 職場復帰の支援 (1) 復帰支援制度を設ける 長期休業をしていた従業員は、「能力や技術を維持できているだろうか」「社内体制や環境の変化に対応していけるだろうか」など、職場復帰にあたり不安や悩みを抱えることも多いと思われる。 このようなことから、職場復帰をスムーズにし、仕事と家庭の両立をしやすくするためにも、会社が積極的に職場復帰を支援する制度を構築、運用していくことは重要といえる。 なお、後述する短時間勤務制度の利用、時間外労働・深夜労働の制限のため育児休業前と異なる業務への転換を伴うときは、情報提供(例:職務マニュアル)を行いながら、新しい業務内容について復帰前から理解を促しておくとよいであろう。 (2) 各種情報の取扱い 電子メール等による情報提供や在宅講習を実施するときは、情報の取扱いについて気を付けなくてはならない。 例えば、能力・技術の維持を図るための業務情報、社内体制の変更や施策を伝達する電子メールは、在宅支援を受ける者のPCのセキュリティ、書類の保管(鍵の付いたキャビネットを用意させる)など一定の基準を設けた上で運用し、機密情報が外部に漏洩しないルール作りが不可欠である。 3 仕事と家庭の両立の実現に向けて 少ない人数で事業を営む会社については、従業員からの短時間勤務等の希望を受け入れることが困難なこともあると思われるが、両立支援のため何らかの取組みを実施し有能な人材を確保・流出防止に努めることにより、将来の会社の発展につなげていきたい。 両立支援のため会社が取り組む施策の例を掲げると、以下のようなものが考えられる。 職場復帰をした従業員は、通常の労働時間より短時間勤務等で復職した方が仕事と家庭の両立をしやすいことがある。 以下、育児・介護休業法により定められている短時間勤務等について触れていくこととする。 4 短時間勤務・所定外労働の制限(3歳に満たない子を養育する従業員) 以下の制度については、平成24年6月までは、従業員数が100人以下の事業主は適用が猶予されていたが、平成24年7月以降は企業規模にかかわらず実施をしなければならない点に注意を要する。 (1) 短時間勤務制度 事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければならないとされている。 対象となる従業員は、次のいずれにも該当する者である。 短時間勤務制度は、次の①~③に該当する者は労使協定を締結することにより適用除外とすることができる。 なお、③に該当する従業員を労使協定により適用除外とした場合、事業主は、代替措置として、以下のいずれかの制度を講じなければならない。 中小企業であって、短時間勤務制度がなじまない職場については、労使協定を締結した上で時差出勤制度を導入するなど代替措置をとる必要がある。 (2) 所定外労働の制限 3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはならないとされている。 原則として3歳に満たない子を養育するすべての従業員(日々雇用者を除く)が対象となるが、労使協定がある場合、次の者は適用除外とすることができる。 近年は、長時間労働に伴う心身の故障が増加傾向にある。 子を養育する従業員のためだけではなく、職場全体の労働時間を見直すことも併せて実施していくと良いであろう。 参考までに、現在の短時間勤務等の導入状況について見てみると以下の通りである(「平成23年度雇用均等調査結果」P21~)。 5 時間外労働・深夜業の制限(小学校就学前の子を養育する従業員への対応) 「4 短時間勤務・所定外労働の制限」では「3歳」に満たない子を養育する従業員への対応を述べたが、次は小学校就学前の子を養育する従業員に対し会社が講ずべきものについて触れていく。 (1) 時間外労働の制限 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員から請求があった場合、制限時間(1月24時間、1年150時間)を超えて労働時間を延長してはならない。 3歳未満の子を養育する従業員に対する措置は、所定労働時間を超える労働をさせないものであった。一方、小学校就学前の子を養育する従業員の場合、時間外労働を行わせることは構わないが、月又は年間で定められた一定時間を超過しないように気を付けた上で労働させる必要がある。 ただし、次のいずれかに該当する者は対象外とされている(労使協定の締結は不要)。 (2) 深夜業の制限 小学校就学前までの子を養育する従業員が申し出た場合には、その従業員を深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはならない。 ただし、次のいずれかに該当する者は対象外とされている(労使協定の締結は不要)。 なお、(1)(2)のいずれも事業の正常な運営を妨げる場合は、請求を拒むことも可能である。 これらの制度を上手に運用していくためには、時間外労働や深夜業の制限について全従業員に周知していくだけでは足りず、本来であれば時間外労働等の制限を請求した従業員が担当するはずであった作業をどのようにして分担していくか、あるいは従業員の補充を行うのかといった職場内の業務全体の見直しをしていく必要がある。 ※見直しの例については、前述の「3 仕事と家庭の両立の実現に向けて」を参照していただきたい。 6 おわりに 前回解説した育児休業と同様に、短時間勤務制度等についても、導入にあたっては周囲の従業員の協力が欠かせない。 各社員に理解を求めることのほか、長時間労働の改善や業務の見直しについて全従業員からの提案を受け入れるなど、全社一体となって取り組んでいくことが望ましい。 次回は、子の看護休暇その他の両立支援策について触れていくこととする。 (了)
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残業代の適正な計算方法 【第5回】 「残業代の支払方法」
残業代の適正な計算方法 【第5回】 「残業代の支払方法」 社会保険労務士 井下 英誉 1 はじめに 第1回から第4回の内容に基づいて残業代が正しく計算されても、支払方法に問題があれば、未払賃金問題としてトラブルになる可能性がある。 そこで連載最終回となる今回は、残業代の正しい支払方法について解説する。 2 残業代の支払方法 ① 法所定計算方式 毎月の実時間外労働時間数(第1回から第3回までを参照)に時間外労働単価(第4回を参照)を乗じて算出した時間外労働手当(残業手当)を支払う方式である。 残業代の支払方法として、法に則した最も一般的な方法である。 ② 定額支払方式 残業代を定額で支払う場合、「基本給とは別の手当として支払う方法」と「基本給に含めて支払う方法」の2種類がある。 イ 定額残業代として別手当で支払う方法 残業代を予め固定で支払う方法で「定額残業代として時間外労働○○時間分を支払う(時間設定)」と「定額残業代として○○円を支払う(金額設定)」の2種類がある。 第1回から第4回までの内容を理解していれば、実務上も導入しやすい方法といえる。 ロ 基本給に定額残業代を含めて支払う方法 基本給の一部に残業代を含めて支払う方法で、「基本給=本来の基本給+固定残業代」という考え方になる。 ハ ○○手当の一部に定額残業代を含めて支払う方法 「営業手当に残業代を含める」、「職務手当に残業代を含める」という方法である。○○手当=固定残業代であれば、イの方法と同様の考え方になる。 3 定額支払方式の留意点 定額支払方式で支払う場合は、上記イからハのいずれの場合も、時間設定か金額設定かを就業規則で明確にし、定額に含まれる具体的な時間や金額は個別に労働条件通知書等で明示する必要がある。 また、この方法により支払いが行われる場合、当該賃金計算期間の残業時間が予め定めた時間(金額設定の場合は、当該月の残業時間に残業単価を乗じた額が予め設定された金額)に満たない場合でも、その時間分に相当する残業代を基本給や手当から控除することはできない。 一方、当該賃金計算期間の残業時間が一定の時間(金額設定の場合は、当該月の残業時間に残業単価を乗じた額が予め設定された金額)を超えた場合は、超過した時間(金額)分の残業代は当該計算期間分の賃金支払期に精算して支払わなければならない。 以上、定額支払方式を導入する場合の留意点を解説してきたが、法所定計算方式から定額支払方式に変更する場合は、次の2つの点も留意しなければならい。 (連載了)
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〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!─ 【第9回】「緩和ケア病棟の魅力」
〔知っておきたいプロの視点〕 病院・医院の経営改善 ─ポイントはここだ!─ 【第9回】 「緩和ケア病棟の魅力」 東京医科歯科大学医学部附属病院 特任講師 井上 貴裕 1 緩和ケア病棟の地域差と充足率 がん対策基本法が制定されるなど、がん医療は今日の医療政策の重点課題であり、今後さらに重要な領域となることが予想される。 かつてはがん医療といえば手術を想起させることが多かったが、今日は集学的治療がその中心である。また、価値観の多様化により、緩和ケアはがん医療にとって不可欠な領域であり、ホスピスによるケアを希望する患者も少なくない。 このような状況で、緩和ケア病棟は地域差が大きく人口当たり病床数及び病院数の最大と最小の都道府県には、それぞれ8.3倍と12倍の差がある(図表1)。 図表1 都道府県別の緩和ケア病棟の充足率 このような地域差は、地域の競争状況と密接に関係する。急性期病院の競争が激しい地域ほど、緩和ケア病棟が多いという傾向が顕著にみられる。激戦区に立地する地域一般的な医療を提供する急性期病院が経済性を向上させるための手段として緩和ケア病棟を選択しているものと予想される。地域によっては入院待ちする患者が後を絶たない。 そこで、2012年度診療報酬改定において、緩和ケア病棟入院基本料の評価体系が見直され、入院初期の緩和ケアに対する評価が行われた。 図表2に示すように、改定前の緩和ケア病棟は包括払いであり、かつ診療報酬が逓減しない定額の仕組みであったため、特にターミナル期においてはDPC/PDPSを算定する病床よりも収益性が高い傾向があったものと予想される。 図表2 緩和ケア病棟入院料 しかしながら、2012年度診療報酬改定で逓減制が導入されたため、入院期間が短く、在宅復帰を推進してする緩和ケア病棟が高く評価されることになる。 ちなみに、緩和ケア病棟の平均在院日数は、全国平均で35.7日(公私病院連盟 経営概況調査報告書)であるため、今回の点数設定では、増収になる病院が多いものと予想される。 今後、急性期病院でも緩和ケア病棟を新設しようとする動きが盛んになるであろう。 2 緩和ケア病棟が適する病院 緩和ケア病棟が適する病院は、地域一般的な急性期医療を提供する急性期病院である。 緩和ケア病棟を有する病院の診療機能を分析すると、がん診療連携拠点病院未承認(全体の約72%)、地域医療支援病院未承認(全体の約95%)、300床未満の病院(全体の約57%)、DPC病院(全体の約61%)、民間病院(約61%)となっている。しかしながら、がんの手術を実施する病院であることが注目される(全体の約72%)。 がんに対する知見が深いことに加え、末期がん患者が入院するので、疼痛コントロールができることが必須になる。緩和ケア病棟が包括払いだからといって、何の処置もせずにただ寝せておけばいいというわけではない。適切な医療行為が行われる前提で、高い点数設定がなされていると解釈すべきである。 ただし、地域中核病院で緩和ケア病棟を設置することは政策的な理由がない限りは、望ましくないと筆者は考えている。これらの病院はがん診療連携拠点病院の承認を受けていることが多く、高額な放射線機器を有している。放射線機器を保有していれば、緩和ケア病棟に入院する患者にも放射線治療をして痛みを和らげてあげたいと考えるのが医療人の思いであろう。採算を度外視して、最良の医療を提供したいと思う気持ちに駆られるのは当然のことであり、放射線治療を行わないことに対してスタッフは悩みを抱えてしまうことも十分に考えられる。 しかし、放射線治療には多額のコストがかかり、設定されている点数では大幅な赤字に陥るはずである。赤字でも実施すべき医療があるのは事実だが、緩和ケア病棟のように積極的な治療をしない前提の病棟の患者に対して、このような治療を継続していけば、やがて破綻してしまうことは目に見えている。 だからこそ、高額医療機器を保有しない、悪性腫瘍に対応できる中小規模の病院が適している。 3 緩和ケア病棟の経済性 緩和ケア病棟は、中小規模の病院にとって、一般病院の中では高い収入が期待できる。一般病院全体の入院収入よりも、緩和ケア病棟は高収入である。収入が多いだけではなく利益率も優れており、概ね5%程度が期待できる。2012年度改定で、入院初期の点数が増加したことから、適切な運営を行えばさらに業績は良くなることであろう。 がんの末期患者は、ターミナル期が近付くにつれて医療資源の投入量が多くなるのが一般的である。従来は、収入が逓減しない仕組みであったが、改定により状況が変わったことには留意しなければならない。 4 成功するための要件 緩和ケア病棟の設置に成功するためには、2つの必須要件がある。 まず1つ目は、優秀なスタッフを集めることである。 緩和ケア病棟では、全国平均で15床に1名の専従医師を配置しており、理想的には12床に1名が望ましいといわれる。さらに看護師は1床に1名程度が必要になり、15床を開棟する場合には15名を集めなければならない。特に看護師が重要な鍵を握るのが緩和ケア病棟の特徴である。この他にも心理的なケアのために臨床心理士を置くことも有効であり、そのような病院も緩和ケア病棟を有する病院の12%程度ある。 なお、患者に対する精神的なケアだけではなく、スタッフに対する良き相談相手としてもぜひ採用を行うことをお勧めしたい。 過酷な勤務となる緩和ケア病棟の看護師はバーンアウトしやすい。優秀なスタッフが適当な人数いなければ、設備だけあっても、患者を入院させることはできないのは言うまでもない。 もう1つは、病床利用率を70%以上に維持することである。 緩和ケア病棟は、急性期病床と異なり午前退院、午後入院というような運用は難しい。そもそもいつ空床が出るか予測できない側面もあり、入院予約中の患者に事前連絡することも難しい。また現場からは、たとえ空床があったとしても、1日1人しか入院させられないという声も出てくるであろう。さらに、繊細な患者の気持ちにも配慮した病床コントロールが求められる。 収益性は、病床利用率に大きく左右される。 (了)
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NPO法人 “AtoZ” 【第9回】「認定NPO法人①」~優遇措置について~
NPO法人 “AtoZ” 【第9回】 「認定NPO法人①」 ~優遇措置について~ 税理士 岩田 聡子 1 認定NPO法人とは? 認定NPO法人制度とは、NPO法人に対する税制上の優遇措置であり、会費、寄附金等で運営されるNPO法人を支援するために設けられた。 これは、NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であって、公益の増進に資するものは所轄庁の認定を受けることにより、認定NPO法人となることができる制度である(NPO法44①)。 平成23年6月から、認定NPO法人となる要件であるパブリックサポートテスト(以下「PST」という)に新たな要件が追加された。 さらに平成24年の法改正により、所轄庁が国税庁から都道府県(一の指定都市内にのみ所在する場合はその指定都市)となり、PST以外の要件をすべて満たしている法人に対して、3年以内にPSTを満たし、認定NPO法人に移行することを目標に仮認定制度が設けられた。 この改正により、認定NPO法人制度に対する関心も高まり、新たな制度により認定NPO法人が増加することが期待されている。 2 認定NPO法人に対する優遇措置 (1) 個人が認定NPO法人等へ寄附金を支出した場合 個人が認定NPO法人等に寄附をした場合には、次のいずれかの寄附金控除を適用することができる(NPO法71) 。 ① 寄附金控除(所得控除) 認定NPO法人に対する寄附金は、特定寄附金として次の金額を総所得金額から控除することができる。 特定寄附金の額の合計額-2,000円=寄附金控除額(所得控除額) ただし、特定寄附金の額の合計額は、総所得金額等の40%相当額が限度となる。 ② 認定NPO法人等寄附金特別控除(税額控除) 認定NPO法人に対する寄附金は、他の税額控除の対象となる寄附金と合わせて、控除対象寄附金として次の金額を所得税額から控除することができる。 (控除対象寄附金額-2,000円)×40%=税額控除額 ただし、控除対象寄附金額は総所得金額等の40%が限度、また、税額控除額は所得税額の25%相当額が限度となる。 (2) 法人が認定NPO法人等へ寄附金を支出した場合 法人が認定NPO法人等に寄附をした場合には、一般寄附金の損金算入限度額とは別に、特別損金算入限度額が認められる(NPO法71、法法37④、措法66の11の2②)。 法人の寄附金の損金算入限度額=一般寄附金の損金算入限度額+特別損金算入限度額 ・一般寄附金の損金算入限度額 (資本金等の額×0.25%+所得金額×2.5%)×1/4 ・特別損金算入限度額 (資本金等の額×0.375%+所得金額×6.25%)×1/2 (3) 相続人等が認定NPO法人に相続財産等を寄附した場合 相続又は遺贈により財産を取得した者が、その取得した財産を相続税の申告期限までに、認定NPO法人に対し寄附をした場合には、その寄附をした財産は相続税の非課税財産となり、相続税の課税の対象からは除かれる(NPO法71、措法70⑩)。 ※仮認定NPO法人(次回解説)には、この規定の適用はない。 (4) 認定NPO法人のみなし寄附金制度 認定NPO法人が収益事業を行っている場合、法人税の申告をしなければならない。 この場合、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額は、その収益事業に係る寄附金の額とみなし(みなし寄附金)、寄附金の損金算入限度額までを損金の額に算入できる(措法66の11の2①)。 損金算入限度額は、次のいずれか多い金額である。 3 認定NPO法人のデメリット 認定NPO法人は、通常のNPO法人より多くの閲覧書類等を備え付けなければならず、毎年の所轄庁への報告、5年ごとの認定の更新においても様々な書類の提出を行わなければならない。 そのため、事務量が増え、法人の負担が増加することとなる。 また、認定の更新のためには、常にPST要件等を意識しながら、法人の運営を行うことも必要となってくる。 認定を受け、優遇措置を受けるということは、NPO法人自体の内部管理体制の充実や、より一層の情報公開等が求められることであり、結果的にそれが社会的信用につながっているのである。 (了)
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神田ジャズバー夜話 「1.ジャズバー店主のひとりごと」
町名の頭に神田がくっついた、いくつもある町のひとつ。立ち飲み屋やもつ鍋屋の赤い提灯が灯る裏道の古い小さなビル。その地下へ途中で折れ曲がった階段を降り、黒い扉を開けると内側の真っ黒な箱がある。ここはジャズ・バー「G」。客のひとりもいない店内には、バド・パウエルが弾く半世紀前のピアノの音が流れている。 「来ないなあ」 ひとりごとは、ピアノの音と混ざって一旦店内に響くとすぐに消えたが、虚しい余韻はいつまでも漂っている。言わなきゃよかったと思う。 今夜はまだひとりも客が来ていない。閉店までもう1時間もない。 ボックス席のひとつで後悔している50代も後半になる小太りのおやじ。それが私で、ここでは「マスター」と呼ばれる。客が来ればだが。 私は本を読むのにも疲れ、トランプ占いにも飽き、ジンを飲み、たばこを吸っている。ジンはボトルの3分の1ぐらい、たばこは2箱空にした。 店主の一番の仕事は客を待つことだと気付いてからもう随分になる。 天井も壁も床も真っ黒な店内に、赤っぽいカリン材の重厚な5人掛けのカウンターと4人掛けのボックス席が2つあり、バックバーに並ぶ酒ビンは宝石のように輝いている。初めて訪れた客は一様に感嘆の声を上げるが、ここまで辿り着くには些か勇気がいる。 裏道にあり、ジャズで特化され、地下にあって中が見えないバー。隠れ家的でいいじゃないか。といったら聞こえはいいが、客が入り難い条件がみごとに揃っているという見方が正しい。客がいないのが常体と化し、客が来ると私はいつも驚いてしまう。 とはいえ、私は「私の時間」を楽しんでいる。悩んでたって客が来るわけじゃない。来るときは来る。こうして酒に酔い、バドのピアノに身を任せていられるのだからいいじゃないか。誰に煩わされることもなく私ひとりの貸切状態、なかなかの贅沢だ。もしかしたら私はこの時間を求めてジャズバーを始めたのかも知れない。などと酔っぱらった頭で考えている。 しかし、月末も近いのに家賃分も稼げていないってのは情けないね、どうも。 「来ないなあ」 またひとりごとが洩れてしまった。いや、泣きごとだなこれは。 電話が鳴って眼が醒めた。いつの間にか寝ていた。 「は、はい、Gです」私はあわてて受話器を取り、耳にあてたままアンプへ駆け寄り、音楽のボリュームを下げた。 「これから5人で行こうと思うんだけど、空いてます?」 飲んでいる店かららしく、背景音がうるさくて聴き取りづらい。 「ええ、今来れば貸し切りみたいなもんです」 「え、貸し切りなの?そうかあ、貸し切りじゃしょうがないね。うん、わかった」 「いえ、そうじゃなくて、来てくれれば貸し切りみたいなもんだって・・・」 言い終わらないうちに電話は切れてしまった。余計なこと言うんじゃなかった。 「まいったなあ」 思わず声が出ていた。 (了)
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《速報解説》 財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令の改正ポイント
《速報解説》 財務諸表等の監査証明に関する 内閣府令の一部を改正する内閣府令の 改正ポイント 宝印刷総合ディスクロージャー研究所 顧 問 小谷 融 (大阪経済大学教授) 研究員 増田 美和 Ⅰ 改正された内閣府令 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成25年内閣府令第35号)が、平成25年5月24日に公布、同日付で施行された。 Ⅱ 主な改正内容等 平成25年3月26日に「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」が公表されたことを踏まえ、「監査における不正リスク対応基準」の適用範囲及び適用時期を明確化するための改正が行われた。 【一般に公正妥当と認められる監査に関する基準の明記】 財務諸表等の監査証明に関する内閣府令(以下、「監査証明府令」という)3条2項に規定する「一般に公正妥当と認められる監査に関する基準」に該当するものとして、企業会計審議会により公表された「監査基準」「中間監査基準」「監査に関する品質管理基準」「四半期レビュー基準」及び「監査における不正リスク対応基準」が明記された(監査証明府令3条3項)。 【監査における不正リスク対応基準の適用範囲】 このうち、「監査における不正リスク対応基準」については、監査証明を受けようとする者が次のいずれかに該当する者であるときに限り適用されるものと定められた(監査証明府令3条4項)。 【様式の一部改正】 第1号様式(監査概要書)中、「重要な欠陥」を「開示すべき重要な不備」に改める。 Ⅲ 適用時期 第1号様式の一部改正については、公布の日から施行する。 改正後の監査証明府令3条3項及び4項の規定は、 から適用する。 (了)
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《速報解説》 「会社計算規則の一部を改正する省令」(退職給付関係)の解説
《速報解説》 「会社計算規則の一部を改正する省令」 (退職給付関係)の解説 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成25年5月20日付けで、法務省は「会社計算規則の一部を改正する省令」(以下「省令」という)を公表した。 これにより、平成25年3月8日付けで、「会社計算規則の一部を改正する省令案」を公表し、意見募集を行っていたものが確定することとなる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 省令の主な内容 省令は、企業会計基準委員会の「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号)の公表等を踏まえて、会社計算規則を改正するものである。 改正内容は次のとおりである。 Ⅲ 法務省の考え方 省令の改正に際して、「意見の概要及び意見に対する当省の考え方」が公表されている。 以下では法務省の考え方の概要を述べる。 1 定義規定等 省令では、「前払年金費用」と「退職給付に係る資産」、「退職給付に係る負債」と「退職給付引当金」について、定義規定は設けられていない。 ただし、これらの定義は、「退職給付に関する会計基準」をはじめとする一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行により、意義は明確である。 また、「その他退職給付に係る調整累計額に計上することが適当であると認められるもの」(省令76条9項3号ハ及び96条9項3号ハ)には、会計基準変更時差異の未処理額が含まれる。 2 連結計算書類における退職給付に係る負債の計上基準に関する注記 従来、「引当金の計上基準」において「退職給付引当金の計上基準」を記載している。 「退職給付に関する会計基準」では、個別財務諸表と連結財務諸表において会計処理等を分けており、連結貸借対照表上、「退職給付引当金」の表示が「退職給付に係る負債」へと変更されることになる。 これにより重要性がある場合に「その他連結計算書類の作成のための重要な事項」の項目に、「退職給付に係る負債の計上基準」等の項目で記載することになるのかどうかの論点が考えられる。 これについて、法務省は、退職給付に係る負債の計上基準について、重要性がある場合には、「その他連結計算書類の作成のための重要な事項」(会社計算規則102条1項3号ニ)に該当し、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項に関する注記(同項)として(「退職給付に係る負債の計上基準」等の項目を付すことは妨げられない)、記載することとなると述べている。 3 退職給付に関する注記 「退職給付に関する会計基準」では、退職給付に関して詳細な注記事項を規定している。 次の意見が寄せられた。 今回の改正では、現行のとおり、会社計算規則に退職給付に関する注記に係る明文の規定は設けられていない。 しかしながら、上記に関して、法務省は次のように述べているので、開示に際しては注意が必要であると思われる。 Ⅳ 適用時期等 改正後の会社計算規則については、公布の日(平成25年5月20日)から施行する。 ただし、経過措置として、平成25年4月1日前に開始した事業年度に係る計算関係書類については、なお従前の例による。 (了)
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「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント 【第1回】「制度の全体をおさえる」
「生産等設備投資促進税制」 適用及び実務上のポイント 【第1回】 「制度の全体をおさえる」 マネーコンシェルジュ税理士法人 税理士 村田 直 ◆「生産等設備投資促進税制」新設の背景 平成25年3月29日に「所得税法等の一部を改正する法律案」が国会で成立し、同3月30日に公布された。今回の税制改正は、平成24年12月の衆議院選挙の結果を受けた政権交代により、自民党が中心となって作成した「平成25年度税制改正大綱」が基となっている。 平成25年度税制改正大綱の冒頭においては、今回の税制改正の基本的考え方として、その1つに、「成長による富の創出に向けた税制措置」を挙げている。景気の底割れを回避し、「成長と富の創出の好循環」を実現するため、特に日本経済再生に向けた緊急経済対策の施策については、その効果が最大限に発揮されるよう、期限を区切り、大胆かつ集中的に税制上の措置を講ずる、としている。 その具体的項目として、「民間投資の喚起による成長力強化」、「人材育成・雇用対策」、「中小企業対策・農林水産業対策」を挙げ、「民間投資の喚起による成長力強化」については、以下のように、「生産等設備投資促進税制」を新設する、としている。 (「平成25年度税制改正大綱」第一 平成25年度税制改正の基本的考え方より) 上記の根底には、いわゆる“アベノミクス”と呼ばれる安倍政権の経済政策がある。 アベノミクスは、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の“3本の矢”で構成されており、今回の税制改正はまさに、この「民間投資を喚起する成長戦略」を税制面で後押しするもので、その中でも「生産等設備投資促進税制」は、今回の“アベノミクス減税”の目玉政策の1つとして注目されている。 ◆「生産等設備投資促進税制」の全体像 「生産等設備投資促進税制」の概要については、平成25年度税制改正大綱において、以下のように記載されている。 (「平成25年度税制改正大綱」より) また、地方税の項目においては、中小企業者等に限り、「法人税の特別償却又は税額控除を法人住民税及び法人事業税に適用する」と規定されている。 ◆「生産等設備投資促進税制」の条文構成 「生産等設備投資促進税制」の概要は上記のとおりであるが、実際の条文では、租税特別措置法において、法人及び個人向けにそれぞれ規定されている。 法人については、「国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は法人税額の特別控除」として第42条の12の2(連結納税に対応する条文は、第68条の15の3)に、個人については、「国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は所得税額の特別控除」として、第10条の5の2に規定がある。 政省令も既に公布されており、租税特別措置法施行令において、法人については第27条の12の2(連結納税に対応する条文は、第39条の45の3)、個人については第5条の6の2に規定されている。なお、「生産等設備投資促進税制」に関する法令解釈通達などについては、現時点(執筆5/4)でまだ発表されていない。 この「生産等設備投資促進税制」は、該当すると税効果のインパクトがかなり大きくなるケースが想定される。 ただし、設備投資を前提とする減税措置ということは、当然、事前に周到な計画が必要になる。また、適用事業年度の前事業年度の設備投資も、本税制の適用にあたって大きく影響する。 専門家としては、今後、相談やアドバイスを求められる場面が増えると予想されることから、適用要件等をしっかり把握し、的確に助言することが必須となる。 次回からは、本制度の詳しい要件の検討に入りたい。 (了)
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交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第1回】「交際費の範囲」
交際費課税Q&A ~ポイントを再確認~ 【第1回】 「交際費の範囲」 公認会計士・税理士 新名 貴則 はじめに 平成25年度税制改正により、中小企業の交際費課税の特例が拡充された。 これについては、本誌に寄稿した2013年2月7日公開の拙稿「《速報解説》交際費課税の特例拡充について-平成25年度税制改正大綱-」において、以下のとおり解説している。 〔平成25年度改正後の交際費課税(平成25年度末まで)〕 *資本金1億円以下の法人(資本金5億円以上の大法人の完全子会社を除く) 〔改正後の中小企業の特例のイメージ〕 この特例拡充により、実務の現場において交際費等に係る判断及び処理を行うケースが増えることが予測されることから、本連載では、今回の改正に係るポイントだけでなく、改正前から存在する交際費課税に係るさまざまな論点についても、Q&A形式で改めて確認していくこととする。 税務上の交際費等は、以下のとおり定義されている(措法61の4③(抜粋))。 上記を読んで分かるとおり、税務上の「交際費等」の範囲は、一般的な交際費のイメージよりも広いといえる。 そのため、会計上は「会議費」「福利厚生費」などといった「交際費等」以外の勘定科目に計上している支出であっても、上記の「交際費等」の定義に該当する場合、税務上はあくまで交際費等として扱われることに注意が必要である。 また、この定義の中に「通常要する費用」という表現があるとおり、交際費等の範囲には明確な線引きがあるとは限らず、むしろ曖昧であることの方が多い。 社会通念上「交際費」なのか?そうでないのか?という微妙な判断が必要なケースは多々ある。 そこで、租税特別措置法関係通達において、税務上の交際費等として扱われる支出が以下のとおり例示されているので、まずは基本として確認しておきたい(措通61の4(1)-15)。 (了)