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プラス思考の経済効果 【第26回】「2024年お花見の経済効果」
プラス思考の経済効果 【第26回】 「2024年お花見の経済効果」 関西大学名誉教授・大阪府立大学名誉教授 宮本 勝浩 1 はじめに 日本におけるお花見の歴史は古く、奈良時代には桜ではなく中国から伝来した梅がお花見の対象でした。 しかし、平安時代になり894年に遣唐使が廃止されたことなどから、お花見の対象は日本の桜に変わっていきました。源氏物語(文献初出は1008年)にも桜のお花見のことが書かれています。そして、当時の貴族たちには桜が「春を象徴する花」として鑑賞されるようになりました。 さらに、鎌倉時代になると武士や町人も桜を楽しむようになり、京都では山や寺社などに桜が植えられるようになりました。安土桃山時代には、武士たちの間で桜のお花見が盛んになり、豊臣秀吉が行った「吉野の花見(1594年)」「醍醐の花見(1598年)」は特に有名です。 江戸時代に入ると、貴賤に関係なく大勢の人々がお花見を楽しむようになり、女性は着飾り、また大勢で飲食を楽しむようになりました。「ソメイヨシノ」は江戸時代後期に開発され、徐々に日本中に広がり、桜と言えば「ソメイヨシノ」を指すまでになったのです。 今や、日本人が「桜」を愛でる「お花見」は日本の国民的行事であり、外国人観光客を呼び込む観光資産にもなってきています。 そして、今年のお花見は新型コロナが5類に移行してから初めての行動規制のないお花見だったため、多くの人出があったと推測されます。今回は、今年のお花見の経済効果を推計しました。 2 日本在住の人たちのお花見の総支出額 (1) お花見に行く日本在住の人たちの総数 ① 日本の総人口 最初に日本に在住していて今年お花見に行った人の数を推定します。総務省統計局の2024年2月20日の発表によると、2023年9月1日時点の日本の総人口(日本人+在日外国人)は約1億2,435万人で、詳細は以下の通りです。 〈日本の総人口〉 本稿では、自主的にお花見に行って1人分の経費がかかる年齢層を10~79歳と仮定します。その人数は10~19歳の約1,076万人と20~79歳の約9,207万人の合計約1億283万人となります。 ② お花見の人数 このうち何人がお花見に行くのでしょうか。天気予報アプリケーションの「ウェザーニュース」の調査(2023年5月30日発表)によると、2023年にお花見に行った人の割合は50.9%でした。 今年は、新型コロナによる行動規制がなくなり、人々の旅行や外出が増えていることから、お花見に行く人の割合が増えたと予想されます。株式会社NEXERが運営する日本トレンドリサーチの調査(2022年3月11日発表)では、「コロナが収束したらお花見に行きたい人」の割合は68.4%でしたので、「ウェザーニュース」と日本トレンドリサーチの平均値約59.7%が今年のお花見に行った人の比率と仮定しました。 以下には〈日本の総人口〉のうち、実際にお花見に行くと推定される59.7%の人数が示されています。合計人数は約6,139万人となります。これら以外の人たちは小さい子供や高齢者のため、費用がほとんどかからないか、同行者全体で費用を負担すると仮定します。 〈お花見に行く推定人数〉 (2) お花見における1人当たりの消費額 株式会社インテージの調査(2023年3月13日発表)によると、お花見の1人当たりの予算は1人平均6,935円となっています。本稿では学割を使用できる場合があることや飲酒をしないことを踏まえ、19歳以下の花見客の1人平均消費額は、6,935円より2,000円少ない約4,935円と仮定します。 その結果、今年の日本在住の人たちのお花見の総支出額は約4,128億9,965万円となります。 3 訪日外国人のお花見の総支出額 (1) お花見に行く訪日外国人数 ① 春に日本を訪問する外国人数 ここ数年、新型コロナにより観光目的で訪日する外国人の数は激減しました。しかし、訪日外国人の規制撤廃と円安の効果により、今後訪日外国人はかなり増加するものと考えられています。株式会社JTBは2023年12月20日に、2024年の訪日外国人の数は、過去最多の約3,310万人になると予想しています。 日本政府観光局(JNTO)は、2023年の訪日外国人は約2,507万人であったと発表しています。株式会社JTBは、2024年は2023年を約803万人(対前年比32%増加)上回る外国人が来日すると予想しています。その結果、2024年の春の訪日外国人数のうちの観光客数は以下のようになります。 〈春に訪日する観光客数〉 ② お花見に行く訪日外国人数 日本の桜は、南から北まで、3月下旬から5月上旬まで咲き誇るので、訪日外国人は長期にわたって日本の桜を楽しむことができます。これらの桜を楽しむ外国人観光客は3月下旬(1ヶ月の1/3)、と4月の1ヶ月、5月上旬(1ヶ月の1/3)にお花見に行くと仮定すると、訪日外国人の総数は約373万人となります。 (2) お花見に行く訪日外国人の支出額 国土交通省観光庁の「2023年1-3月期報告書 訪日外国人の消費動向」によると、観光・レジャー目的の訪日外国人観光客の1人当たり平均宿泊数は6.6日(本稿では延べ7日と仮定します)でした。 同じく国土交通省観光庁の2024年1月17日発表の【訪日外国人消費動向調査】によると、訪日外国人(一般客)1人当たりの旅行支出額は21万2,000円でしたので、訪日外国人観光客の1人1日当たりの消費額は約3万286円と仮定します。その結果、訪日外国人のお花見の総支出額は約1,129億6,678万円となります。 4 お花見の総消費支出額(直接効果) 以上の計算より、日本在住の人たちと訪日外国人のお花見の消費支出の総額は約5,258億6,643万円となりました。 5 お花見の経済効果(経済波及効果) これまで計算してきたお花見の直接効果約5,258億6,643万円を基にして経済効果を推計すると、以下のように約1兆1,358億7,149万円となります。 〈お花見の経済効果〉 6 まとめ 2024年のお花見の経済効果は約1兆1,358億7,149万円となりました。これは、2023年のお花見の経済効果約6,158億1,211万円の約1.8倍です。これだけ今年のお花見の経済効果が大きくなったのは、次の理由によるものと考えられます。 昨年セリーグでの阪神優勝の経済効果は約872億円でした。今年のお花見の経済効果約1兆1,358億7,149万円と同等の経済効果を生むには、阪神は13回優勝する必要があることになります。いかにお花見の経済効果が大きいかがお分かりいただけるでしょう。 たった2ヶ月足らずで、日本にこれだけ大きな経済効果をもたらし、世界に誇れる観光資産の美しい「桜」を、長年にわたって守り育ててこられた関係者の方々に心から感謝したいと思います。 (了)
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《速報解説》 監査役協会が「主要監査業務のポイントと事例研究」の最終報告を公表~監査役の会計監査の最重要事項は最終責任を負っていることにあると記載~
《速報解説》 監査役協会が「主要監査業務のポイントと事例研究」の最終報告を公表 ~監査役の会計監査の最重要事項は最終責任を負っていることにあると記載~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2024年7月18日付で(ホームページ掲載日は2024年7月23日)、日本監査役協会 本部監査役スタッフ研究会は、「主要監査業務のポイントと事例研究-監査の実効性と効率性の向上を目指して-(最終報告)」を公表した。 2023年7月20日付で(ホームページ掲載日は2023年8月1日)、中間報告が公表されていたところである。 これは、監査役スタッフの誰もが関わる重要業務を対象にして、その趣旨・目的、業務上のポイント及び留意点、実務上の課題に対応した工夫事例について研究したものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 次のテーマを取り扱っている。 ①から⑪までは中間報告の内容であり、⑫から㉒までが最終報告で記載されたものである。 以下では、⑫から㉒までのうち、主なものについて解説する。 1 監査役会議事録 趣旨・目的として、監査役会議事録は、監査役会議事の記録のため、書面又は電磁的記録をもって作成が義務付けられたもの(会社法393条2項、3項)で、監査役の職務遂行及び監査役会の運営が適正になされていることの記録・証拠ともなり得るものであると記載している。 業務上のポイント及び留意点として、議事録に記載すべき事項については法律の定めがあるため、抜け漏れが生じないよう、監査役会の場において、スタッフは議事をしっかりと書き留める(必要に応じて議事の録音を活用)必要があるほか、複数のスタッフが出席した場合には、正確性及び網羅性を確保するために、監査役会の議事の経過及び結果を相互に確認し合うことも有効であると記載している。 実務上の課題に対応した工夫事例として、例えば、会社で購入している文字起こしソフトを活用していることが記載されている。 2 事業報告、計算関係書類の受領及び監査 事業報告等の監査は、事業報告等が取締役の当該事業年度における職務執行のまとめとして株主に提供される書類であるという性質上、監査役監査の集大成として位置付けられるものであり、監査役のみが監査することから、監査役の責任は重大であり、注意深い監査が求められると記載している。 また、監査役の会計監査の最も重要なことは、会計監査人監査の相当性を判断することを通して、計算関係書類の適正な開示を確保するという、会計監査の最終責任を負っていることにあると記載している。 3 会計監査人の監査の相当性判断、再任の適否の審査 会計監査人設置会社における監査役は、会計監査人が適正な監査を実施していることを監視・検証することにより、株主・会社債権者に対して、計算書類等が会社財産及び損益の状況を適切に表示していることの信頼性を確保することと記載している。 日本公認会計士協会の倫理規則の改訂により、2023年4月から会計監査人が非保証業務を提供する場合には監査役の事前了解を得る必要がある。 この運用状況の確認でも監査役は会計監査人の独立性を評価することができる。 監査役は、財務・経理等の執行部門や金融商品取引法内部統制システムに係る監査を行う内部監査部門等から会計監査人の再任に関する意見を聞き、意見交換を行うと記載している。 会計監査人の監査の相当性判断に関して、会計の専門知識を持たない監査役も含めて合理的な判断が行われる必要があると記載している。 また、会計監査人の評価・再任の適否の審査に関して、再任されることを前提とした形式的な手続にならないように、毎期に十分な判断材料を揃えて、適正な評価を行うべきであると記載している。 4 有価証券報告書・内部統制報告書の監査 監査役による有価証券報告書等の監査については、法令上規定されていないが、これらの書類の作成・提出は法遵守に係る取締役の重要な職務執行行為であると記載している。 有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載や重要な記載の欠落があった場合、監査役にも損害賠償責任が生ずる可能性がある(金商法24条の4)。 実務上の課題に対応した工夫事例として、例えば、監査人から監査役への金商法監査報告の際に、担当部署から有価証券報告書作成のプロセスについても併せて報告を受けていることが記載されている。 (了)
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《速報解説》 監査役協会及び会計士協会、「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正を確定~合わせて「会計監査人との連携に関する実務指針」も改定~
《速報解説》 監査役協会及び会計士協会、 「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正を確定 ~合わせて「会計監査人との連携に関する実務指針」も改定~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2024年7月23日、日本監査役協会と日本公認会計士協会は、「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正を公表した。 これにより、2024年4月22日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も公表されている。 これは、倫理規則(2022年7月改正)、四半期開示制度の見直し(金融商品取引法(2023年11月改正))などに対応するものである。 なお、日本監査役協会 会計委員会は、上記の共同研究報告の改正を受け、「会計監査人との連携に関する実務指針」を改定している。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な改正内容 1 監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告 主な改正内容は次のとおりである。 2 会計監査人との連携に関する実務指針 「倫理規則と監査役等」において、公認会計士の倫理規則に対する監査役等の対応について記載している。 また、第1・第3四半期決算短信に添付される四半期財務諸表に対する監査人によるレビューは原則任意であり、レビューの有無によって四半期決算時における対応に差が生じることが想定されるが、いずれの場合においても監査人と適切な連携を図る必要があるとしている。 非保証業務の提供に対する事前の了解に係る事項についても記載している。 (了)
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《速報解説》 2024年版「上場会社等における会計不正の動向」をJICPAが公表~会計不正の業種別公表件数は38社でサービス業がトップ~
《速報解説》 2024年版「上場会社等における会計不正の動向」をJICPAが公表 ~会計不正の業種別公表件数は38社でサービス業がトップ~ 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2024年7月16日付けで経営研究調査会研究資料第11号「上場会社等における会計不正の動向(2024年版)」を公表した。 「上場会社等における会計不正の動向」(以下「研究資料」と略称する)は、2018年から毎年公表されているものであり、研究資料における分類項目を当初から変化させることなく、比較可能性が維持されている。 本稿では、公表された研究資料の概要を紹介するとともに、2018年3月期以降の会計不正の動向の変化について検討をしたい。 1 会計不正の定義 研究資料では、過去の研究資料と同様に、会計不正(Accounting fraud)の類型を、主に「粉飾決算」と「資産の流用」に分類したうえで、「粉飾決算」と「資産の流用」とに明確に区分できないものは「粉飾決算」に含めて集計している。 巻末に【参考】として記載されているそれぞれの定義の一部を引用する。 なお、定義については、2018年版から変更されていない。 2 会計不正の動向 研究資料で集計、分析を行っている項目は次の9つに分類されている、この分類についても、上述のとおり、2018年版以降、変更はない。 3 集計・分析結果の特徴 (1) 会計不正の公表会社数 会計不正を公表した会社の数は、2020年3月期から2024年3月期までの5年間で187社となっている。当該5年間では、2020年3月期の47社が最大であり、2024年3月期における会計不正の公表社数は45社で、前年同期の34社を上回った。 (2) 会計不正の類型と手口 会計不正を「粉飾決算」と「資産の流用」に分類した場合、2024年3月期までの5年間の平均で「粉飾決算」の割合が80.2%となっている。2024年3月期においては、件数ベースでは77.5%が「粉飾決算」で、前年同期の78.8%から少し減少して、調査対象の5年間で最も少なくなっている。また、粉飾決算の割合は、年度によってばらつきが見られるものの、77.5%から83.8%の範囲内に分布している。 粉飾決算の公表が80%程度で推移していることについて、研究資料では、「資産の流用による財務諸表への影響額よりも、粉飾決算による影響額の方が多額になる」ことから、「上場企業等が適時開示基準に準拠して公表する数は、粉飾決算の方が多くなると考えられる」と分析しており、この分析は2018年版以降、ほぼ同じ表現となっている。 不正の手口としては、収益関連の会計不正(売上の過大計上、循環取引、工事進行基準)の割合については5年間平均で35.9%、2024年3月期は33.9%であり、前年同期の38.5%を下回っている。 (3) 会計不正の主要な業種内訳 2024年3月期までの5年間で、会計不正が行われた事業を基に分類した業種別の公表件数では、サービス業が38社でトップ、以下、卸売業28社と上位2業種の順位に変動はなかったものの、3番目に情報・通信業20社と続き、以下、建設業の16社、電気機器は12社と続いている。 (4) 会計不正の上場市場別の内訳 会計不正を公表した会社が上場している市場別に分類したところ、2024年3月期においては、東証プライム市場20社(前年同期11社。以下括弧内の数字が前年同期を示す)、東証スタンダード市場15社(17社)、東証グロース市場7社(7社)、その他3社(1社)となり、前年度と比較すると、プライム市場に分類される会社において、会計不正の発覚が大きく増加している。 また、東証において市場区分の見直しが行われた後の上場会社数の割合と会計不正発覚会社の割合を図示すると、次のとおりである。 昨年の分析では、プライム市場に関して、上場会社数の割合と会計不正発覚割合との差異が△8.6%と他の市場区分に比較して顕著に少なかったが、2024年3月期は、大きな差異は見られない。 (5) 会計不正の発覚経路 2024年3月期までの5年間における会計不正の発覚経路は、当局の調査等が42社(前回調査時は32社。以下括弧内の数字が前年調査時を示す)、内部統制等が34社(38社)、内部通報が29社(22社)、取引先からの照会等が28社(24社)、公認会計士監査が16社(18社)となっていて、前回調査との比較では、当局の調査等が前回報告書の2位から1位へと増加し、内部通報と取引先からの照会等も増加傾向にある一方、内部統制等と公認会計士監査は減少している。一方、調査報告書に発覚経路が公表されていないケースは27件(構成比14.8%)を占めている。 (6) 会計不正の関与者 2024年3月期までの5年間における会計不正の主体的な関与者、共謀の有無などを分析した結果、関与者の役職や共謀の有無については年度ごとのバラつきが見られるものの、役員と管理職については、共謀して会計不正を行うことが多く(共謀が94社、単独が43社)、非管理職については、単独30社、共謀16社と、単独での会計不正が共謀を上回っていることが明らかになった。 (7) 会計不正の発生場所 2024年3月期までの5年間における会計不正の発生場所を上場会社(本社)、国内子会社及び海外子会社の別に分類して集計した結果、上場会社本体が81社、国内子会社が73社、海外子会社が23社となった(複数の場所で発生している会社については、それぞれ集計している)。2021年3月期及び2022年3月期は、上場会社本体での会計不正の発生社数(7社及び12社)を国内子会社(12社及び17社)が上回った状態が続いていたが、2023年3月期以降は、上場会社本体が国内子会社を上回る傾向が続いている。一方、海外子会社における会計不正の件数は、2021年3月期以降、6社➡4社➡3社➡3社と少ない状態が続いている。 会計不正が発覚した海外子会社の所在地については、中国が50.0%、北米・南米が23.3%、中国を除くアジアが16.7%となっている。 (8) 会計不正の不正調査体制の動向 2024年3月期までの5年間における会計不正発生時の調査委員会の組成を、「社内のみ」「社内+外部専門家」「外部専門家のみ」の3つに分類して集計したところ、それぞれ、25社、73社、83社となった。2022年3月期及び2023年3月期は、「外部専門家のみ」の調査委員会設置数が過半数を超えていたが、2024年3月期は43社中20社と過半数を割り込んでいる。 会計不正の分類別に不正調査体制を比較すると、「粉飾決算」では「外部専門家のみ」で組成されている調査体制を採用する会社が多く(48.2%)、「資産の流用」では「社内のみ」または「社内+外部専門家」で調査に当たる会社が多くなっている(「社内のみ」が36.8%、「社内+外部専門家」が42.1%)ことがわかる。 (9) 会計不正と内部統制報告書の訂正の関係 2024年3月期までの5年間において、会計不正の発覚に伴って、過年度の内部統制報告書を訂正した上場会社は76社であった。訂正を行った会社のうち64社は、会計不正の類型が「粉飾決算」であった。 内部統制報告書の訂正割合の変化に注目すると、2020年3月期の44.7%をピークに、2021年3月期は26.9%に減少したものの、2022年3月期以降は、42.4%➡38.9%と推移し、2024年3月期は44.4%となり、2020年3月期のピークに近似してきている。こうした状況について、2024年版の報告書では、「内部統制報告書の訂正理由として資産の流用、粉飾決算とも増加し、会計不正を防止する内部統制を構築できていなかったことが与える影響が高まっている」とコメントしている。 (了) ↓お勧め連載記事↓
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《速報解説》 四半期開示制度の見直しを受け、監査基準報告書等の改正案が公表される~表現等を中心に見直し~
《速報解説》 四半期開示制度の見直しを受け、 監査基準報告書等の改正案が公表される ~表現等を中心に見直し~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2024年7月16日、日本公認会計士協会は、「四半期開示制度の見直しに伴う監査基準報告書等の改正及び品質管理基準報告書の改正」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、今般の四半期開示制度の見直しを受けて、関連する監査基準報告書等について所要の見直しを行うものである。 意見募集期間は2024年7月29日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 監査基準報告書240「財務諸表監査における不正」など多岐にわたる改正となっている。 例えば、「四半期レビュー」を「期中レビュー」とする改正である。 Ⅲ 適用時期等 2024年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する予定である。 「後発事象に関する監査上の取扱い」(監査基準報告書560実務指針第1号)は、2024年6月30日以後終了する中間会計期間に係る中間監査又は期中レビューから適用する予定である。 このように、各報告書において規定されているものもあるので、注意が必要である。 (了)
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《速報解説》 会計士協会、四半期決算短信及び第1種中間連結財務諸表に係るチェックリストを公表~期中レビューにおいて表示の確認を実施する際に有用~
《速報解説》 会計士協会、四半期決算短信及び第1種中間連結財務諸表に係るチェックリストを公表 ~期中レビューにおいて表示の確認を実施する際に有用~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2024年7月12日付で(ホームページ掲載日は2024年7月16日)、日本公認会計士協会は次のものを公表した。 これは、監査事務所が期中レビューにおいて、表示の確認を実施する際の参考となるチェックリストである。 いずれの研究報告も監査事務所における利用を想定しているが、財務諸表の作成者も利用可能である。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 「第1四半期又は第3四半期の四半期決算短信に含まれる四半期連結財務諸表等に関する表示のチェックリスト」は次の構成となっている。 「第1種中間連結財務諸表等を含む半期報告書に関する表示のチェックリスト」は次の構成となっている。 いずれのチェックリストについても、「本研究報告利用上の留意点」が記載されているので、実際の利用に際しては注意が必要である。 (了)
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プロフェッションジャーナル No.578が公開されました!~今週のお薦め記事~
2024年7月18日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.578を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
消費税・地方消費税
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日本の企業税制 【第129回】「新リース会計基準の導入による消費税への影響」
日本の企業税制 【第129回】 「新リース会計基準の導入による消費税への影響」 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴 企業会計基準委員会(ASBJ)では、昨年5月の企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等へのコメント対応の審議が進められ、最終化に向けた詰めの作業が行われている。 〇貸手の会計処理 昨年の会計基準案等では、連結財務諸表のみならず個別財務諸表も含め、借手のリースの費用配分の方法について、IFRS第16号と同様に、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、すべてのリースを金融の提供と捉え、使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルによることを提案しており、その方向に変更はないものとみられる。 一方、貸手の会計処理については、借手の会計処理とは異なり、基本的に現行のリース会計基準等の定めを維持するとされており、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分及びファイナンス・リースにおける所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースの区分も変更されていない。 しかし、現行のリース会計基準等では、貸手のファイナンス・リースの会計処理について次の3つの方法の選択適用が認められているが、今回の会計基準案等では、収益認識会計基準において割賦基準が認められなくなったこととの整合性を考慮し、②の方法を廃止することが提案されている。 オペレーティング・リース取引については、現行のリース会計基準等では、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことのみを定めており、収益の計上方法に関する具体的な会計処理は示されていない。 会計基準案等では、フリーレント(契約開始当初数ヶ月間賃料が無償となる契約条項)やレントホリデー(例えば、数年間賃貸借契約を継続する場合に一定期間賃料が無償となる契約条項)に関する会計処理を明確にすることにより収益認識会計基準との整合性を図るために、貸手は、リース料についてリース期間にわたり原則として定額法で計上することが提案されている。 〇現行の消費税の取扱い 消費税においては、課税資産の譲渡等が行われた時に納税義務が成立し(通法15②七)、課税標準は課税資産の譲渡等の対価の額となる(消法28①)。 リース取引の貸手の課税関係については、課税・非課税の区分と課税売上を計上するタイミングそれぞれについて規定が設けられている。 課税・非課税の区分は、利子保険部分が契約に明示されているか否かによって決定される(消令10③十五)。 一方、課税売上を計上するタイミングについては、原則的取扱い(リース資産の引渡し時に一括課税)の他に特例が設けられている。 原則的取扱いでは、リース資産の引渡し時にリース資産の譲渡があったものとして(消基通5-1-9(1))、リース料総額から契約に明示されている利子保険部分を控除した金額を一括して課税売上として計上する(消令10③十五)。 特例では、①法人税法上(法法63①、法令124①一・②)の延払基準(賦払金割合)による方法(消法16)、②法人税法上(法法63①、法令124①二)の延払基準(利息法)による方法(消法16、消令32の2)、③法人税法上(法法63②、法令124③・④)の特例的計上基準(20%利息法)による方法(消令36の2)、の3つの方法が認められている。 〇会計基準改定の影響 上記の特例の中で①②については、「確定した決算において政令で定める延払基準の方法により経理したとき」(法法63①)に認められる方法とされている。 前述のように、改定される会計基準等において、貸手のファイナンス・リースの会計処理につき、リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法が廃止されると、法人税及び消費税における延払基準による方法の前提が失われることとなる。 同様のことは、収益認識会計基準の導入によりリース譲渡以外の長期割賦販売等における延払基準の制度が廃止されることとなった際にも生じたが、平成30年度税制改正では、平成30年4月1日以後に終了する事業年度において延払基準の適用をやめた場合に、その時までに資産の譲渡等として計上されていない賦払金の額がある場合に、その額を10年均等で収益計上する等の経過措置が設けられた(平成30年改正法附則44④)。 (了)
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〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第63回】「役員給与と事業所得」
〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第63回】 「役員給与と事業所得」 税理士 中尾 隼大 ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 事業所得の判断 まず、事業所得の判断要素について確認する。この点については、最高裁判所が判示した事例がある。具体的には、最高裁昭和56年4月24日判決にて(※1)、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、これに対し、給与所得とは雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。」と示されており、今日の実務はこれに倣っているといえる。 (※1) 民集18巻8号1762頁、TAINS:Z117-4788。 また、国税庁の参考となる通達に「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)(平成21年12月17日、課個5-5)」がある。これによれば、事業所得か給与所得かその区分が明らかでないときは、①他人が代替できるか、②時間的拘束を受けるか、③指揮監督を受けるか、④不可抗力により滅失等した場合に報酬を請求できるか、⑤材料や用具等が提供されるか、という点から判断すべき旨が示されている。この通達が示すこれらの要素は、上記最高裁判決を汲んだものであるといえる。 このような点から、その法人の所得を事業所得とすべきかどうかは上記最高裁判決の判示内容や上記通達に照らし、その実態に鑑みた判断が必要となる。ここで、仮に法人が、法人の役員に対して業務委託として支出した金銭がある場合、その相手が法人と密接な関わりがある役員であるために、「自己の計算と危険において独立して営まれている」かどうかの判断に悩む場合もあるかもしれない。 そこで、以下において、このような事例を紹介する。 (2) クラブを経営する法人がその代表取締役に支払った報酬につき、役員賞与であるとされた事例 クラブを経営する有限会社の代表取締役であり、そのクラブのいわゆるママでもある者に対して法人が支払った報酬が、その者の事業所得ではなく役員給与に該当するとされた事例として、札幌地裁平成25年6月20日判決がある(※2)。以下にその概要を紹介する。 (※2) 税務訴訟資料263号順号12237、TAINS:Z263-12237。なお、この事例は控訴及び上告がなされているが、高裁及び最高裁は地裁の判断を全面的に支持しているため、ここでは地裁判決を取り上げる。 本件裁判例の事実関係を整理すると、以下の事実が認定されている。 このような事実関係において、地裁は、①納税者の株式をすべて取得することが予定されており、②甲が資金繰り等の事情による支払い遅延を甘受していたこと、③衣装費用等を納税者が負担することもあったこと、④甲が認めたつけ払いについて納税者は甲に厳格な責任を追及していなかったこと、等の納税者と一体的に経営的立場からママとして稼働していたとして、第三者的立場でホステスとして業務委託契約があったとはいえない旨を認定した。 その上で、甲が、自己の計算と危険において納税者から独立した立場で個人事業を営んでいたとはいい難いとして、納税者から甲に支払われた本件金員の一部が役員賞与(旧法人税法35条)に該当するとして、損金不算入となる旨を示した。 (3) 本件裁判例の意義 本件裁判例は、上記最高裁判決が示した事業所得の意義に照らして本件金員の一部が事業所得に該当しないために給与や賞与であるとされ、それがすなわち当時の法人税における役員賞与に該当するために損金不算入である旨が示された点に意義を見出すことができると思われる。 役員給与税制が整えられた今日においても、外注委託費等として計上していた法人の代表取締役が、個人事業主を兼ねているケースもあるだろう。このような場合において、当該法人と全く関わりのない事業であれば問題ないといえるところ、当該法人の事業と関わりがある事業を個人が営んでいる場合、特に当該法人から業務委託や外注を受ける形であるならば、「自己の計算と危険において独立して営まれている」等とはいい難いとされる場合も考えられる。 本件裁判例では、ママである甲の衣装を法人が負担していたり、法人から甲に対するつけ払いの追及が無かったりという事情が決定打となったと思われる。仮にこのような事実が無く、甲が事業所得として確定申告をしていた等の場合には異なる結論となった可能性も否定できないが(本件裁判例では、甲が事業所得として所得税の確定申告をしていたかについて言及はない)、法人からのこのような金銭の支給が個人事業であるというためには、最低でも自己による危険負担等について立証できるようにするべきであると思われる。 (了)
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基礎から身につく組織再編税制 【第66回】「適格株式移転(共同事業)」
基礎から身につく組織再編税制 【第66回】 「適格株式移転(共同事業)」 太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太 今回は、共同事業を行うための適格株式移転の要件について解説します。 1 共同事業を行うための適格株式移転の要件 共同事業を行うための適格株式移転の要件は次の7つです。 2 金銭等不交付要件 「金銭等不交付要件」とは、株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人株式以外の資産が交付されないことをいいます(法法2十二の十八)。 ただし、次の①又は②を交付しても金銭等不交付要件に抵触しません。 (※) ①から②の詳細は、本連載の【第64回】を参照。 3 従業者継続要件 (1) 従業者継続要件とは 「従業者継続要件」とは、株式移転直前の株式移転完全子法人の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が株式移転後に株式移転完全子法人の業務((2)参照)に引き続き従事することが見込まれていることをいいます(法令4の3㉔三)。 (2) 株式移転完全子法人の業務について 前回解説した「支配関係がある場合の適格要件」と同様に、株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務と株式移転後の次に行われる適格合併等に係る合併法人等の業務も株式移転完全子法人の業務に含まれます。 4 事業継続要件 「事業継続要件」とは、株式移転完全子法人の株式移転前に行う主要な事業が株式移転後に株式移転完全子法人において引き続き行われることが見込まれていることをいいます(法令4の3㉔四)。 前回解説した「支配関係がある場合の適格要件」と同様に株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務と株式移転後の次に行われる適格合併等に係る合併法人等において、株式移転完全子法人の株式移転前に行う主要な事業が引き続き行われることが見込まれる場合も含まれます。 5 事業関連性要件 (1) 事業関連性要件とは 「事業関連性要件」とは、株式移転完全子法人の株式移転前に行う主要な事業のうちのいずれかの事業(子法人事業)と他の株式移転完全子法人の株式移転前に行ういずれかの事業(他の子法人事業)とが相互に関連するもの((3)参照)であることをいいます(法令4の3㉔一)。 (2) 「事業」とは 事業関連性要件における「事業」とは、固定施設を有していること、従業者を有していること、売上が生じていることという3つの要件を満たすものをいいます(法規3①一)。 (3) 「相互に関連する」とは 事業関連性要件における「相互に関連する」というのは、次のような場合をいいます(法規3①二・②・③)。 6 事業規模要件又は経営参画要件 共同事業を行うための適格株式移転の要件として、事業規模要件又は経営参画要件のいずれかを満たすことが求められています(法令4の3㉔二)。 (1) 事業規模要件 「事業規模要件」とは、株式移転完全子法人の子法人事業と他の株式移転完全子法人の他の子法人事業(子法人事業と関連する事業に限ります)のそれぞれの売上金額、従業者の数若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないことをいいます。共同事業を行うための適格合併の要件と異なり、資本金による規模の判定はできませんのでご留意ください。 事業規模要件は、規模があまりにも異なる株式移転は共同で事業を行うものとは認められないという趣旨により設けられたもので、事業の規模の割合がおおむね5倍を超えないかどうかは、いずれか1つの指標が要件を満たすかどうかにより判定します(法基通1-4-6(注))。 (例) (2) 経営参画要件 ① 経営参画要件とは 「経営参画要件」とは、株式移転前の株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人のそれぞれの特定役員(②参照)の全てが株式移転に伴って退任するものでないことをいいます。 事業規模要件を満たさない場合でも、株式移転完全子法人の経営陣が退任することなく、株式移転後に経営参画しているものは共同で事業を行うためのものとして認めるという趣旨により設けられています。 ② 特定役員とは 「特定役員」とは社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者(③参照)で法人の経営に従事している者をいいます。 ③ 「これらに準ずる者」とは 「これらに準ずる者」とは、役員又は役員以外の者で、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役又は常務取締役と同等に法人の経営の中枢に参画している者をいいます(法基通1-4-7)。 7 株式継続保有要件 (1) 株式継続保有要件 「株式継続保有要件」は、株式移転により交付される株式移転完全親法人株式(議決権のないものを除きます)のうち、支配株主((2)参照)に交付されるものの全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていることをいいます(法令4の3㉔五)。 (2) 支配株主とは 株式継続保有要件における「支配株主」とは、株式移転の直前に株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人の発行済株式の50%超を保有する株主をいいます。 上図の株主Aは支配株主に該当するため、対価(株式移転完全親法人株式)を継続保有することが求められます。 支配株主に該当しない株主(株主B、株主C、株主D、株主E)については、対価の継続保有は求められません。 8 完全支配関係継続要件 完全支配関係継続要件は、株式移転後に株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人の間に株式移転完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれていることをいいます(法令4の3㉔六)。 ◆共同事業を行うための適格株式移転の要件のポイント◆ 原則として株式以外の対価を交付しないことが求められています(金銭等不交付要件)。 株式移転完全子法人の株式移転直前の従業者の総数のおおむね80%以上に相当する者が引き続き株式移転完全子法人の業務に従事することが見込まれているかを確認します。 株式移転完全子法人の主要な事業が株式移転後に株式移転完全子法人において引き続き営まれることが見込まれるかを確認します。 事業関連性の判定において、一方の株式移転完全子法人は株式移転前の主要な事業に限定されていますが、他の株式移転完全子法人の事業は限定されていません。 事業規模要件については、事業関連性要件の判定において関連性があるとした事業により判定します。 経営参画要件においては、単なる役員ではなく特定役員が退任しないことが必要です。 支配株主がいる場合のみ、株式継続保有要件の判定を行います。 株式移転後には株式移転によって生じた株式移転完全親法人による完全支配関係が継続することが求められます。 (了)