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《速報解説》 民泊新法による住宅宿泊事業の所得は原則雑所得に~宿泊者への提供面積によっては住宅ローン控除の適用要件を充たさなくなるケースも~
《速報解説》 民泊新法による住宅宿泊事業の所得は原則雑所得に ~宿泊者への提供面積によっては住宅ローン控除の適用要件を充たさなくなるケースも~ Profession Journal編集部 急増する外国人観光客への対応等を目的として、本年6月15日から住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が施行され、個人が都道府県知事等への届出手続を経ることで、住宅宿泊事業者として自己が居住する住宅を宿泊者へ提供できるようになった。 民泊というと一般的なホテルや旅館に比べ宿泊料がリーズナブルなイメージもあるが、この住宅宿泊事業を行うことで一定の収入も見込まれ、この所得に対する課税の取扱いが気になるところだ。 国税庁が公表している「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」では、住宅宿泊事業を行うことによる所得税の取扱いを7問のFAQで解説している。 本情報では、まず、不動産の貸付けによる所得は原則として不動産所得に区分されるものの、住宅宿泊事業者には宿泊者の衛生・安全の確保義務や一定の設備要件が定められていること等から、住宅宿泊事業は一般的な不動産の貸付け(賃貸)とは異なるとし、また住宅宿泊事業に利用できる家屋は次のものに限定され宿泊日数も制限されている(年間180日を超えないもの)ことを説明している。 これらを踏まえ、住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されるとし、住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料や宿泊者用の日用品等購入費、水道光熱費、通信費など、必要経費として差し引くことのできるものの例を紹介している。 ただし、不動産賃貸業者が賃貸契約期間満了後、次の賃貸契約が締結されるまでの間に行う住宅宿泊事業による所得は不動産所得に含めることとして差し支えないとし、また専ら住宅宿泊事業による所得で生計を立てているなど所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合は事業所得に該当するとした。 ここで上述の居住要件に基づき、いわゆる自宅を宿泊者に提供するとした場合、必要経費として例示された水道光熱費や通信費など、1つの支出が業務用部分と生活用部分の両方に関わりのある費用については、その取扱いに留意が必要だ。 本情報では、これら家事関連費のうち必要経費として認められる範囲について、住宅宿泊事業における届出書等に記載した事業に利用している部分の床面積の総床面積に占める割合や、実際に宿泊客を宿泊させた日数を基にするなど、合理的な方法により按分して計算する必要があるとし、計算例を示している。 さらに、住宅宿泊事業を行う住宅について住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けようとする場合、住宅ローン控除は床面積の2分の1以上に相当する部分を専ら自己の居住の用に供しているなどの要件を満たす必要があるため、本情報ではこの点について、対象となる住宅の総床面積のうち生活用部分に占める割合が2分の1を超えるか否かで判断するとし、具体的な区分の仕方や生活・業務の併用部分の判定が難しい場合の算出方法、計算例などを紹介している。 このように、積極的に住宅宿泊事業に参画した結果、上記面積要件を充たさず、昨年まで受けられていた住宅ローン控除が受けられなくなるといったことのないよう、宿泊者への提供部分の面積についても気をつけておきたい。 本情報によると、自宅を特定の期間(年間合計で1ヶ月未満程度)に限って住宅宿泊事業に供している場合には、その家屋の全体を生活用部分として住宅ローン控除の適用が受けられるとしている。 ちなみに、年末調整済みの給与所得を有する方で、住宅宿泊事業を営むことで生じる所得が 20 万円以下の方については、その他に所得がない場合、確定申告は不要となる。 (了)
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《速報解説》 IFRS9号を踏まえた金融商品会計基準の改正検討を前に会計士協会より信用損失の会計処理に関する研究資料が公表される~19の論点で日本基準と国際基準を比較、見直しに当たっての課題一覧も~
《速報解説》 IFRS9号を踏まえた金融商品会計基準の改正検討を前に 会計士協会より信用損失の会計処理に関する研究資料が公表される ~19の論点で日本基準と国際基準を比較、見直しに当たっての課題一覧も~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成30年6月29日、日本公認会計士協会は、「我が国の銀行等金融機関の会計実務を踏まえた信用損失の会計処理に関する研究資料」(業種別委員会研究資料第1号)を公表した。 企業会計基準委員会では、今後、IFRS第9号「金融商品」の内容を踏まえた「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。以下「金融商品会計基準」という)の改正に着手するか否かを判断することとし、2018年夏を目途に意見募集文書を公表する予定である。 研究資料は、今後、金融商品会計基準の検討を議論する際に、関係者が現状を理解した上で議論に臨めるよう、我が国における会計基準及び実務上の取扱いとIFRS及び米国基準における取扱いの違いが理解できるよう比較調査したものである。 表紙を含めて74ページあるので、以下では、主な内容について解説する。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 信用損失の会計処理 信用損失の会計処理は、我が国の会計基準においては、金融商品会計基準に「貸倒見積高の算定」として定められているが、IFRS及び米国基準のような国際的な会計基準改正の動向を踏まえた見直しは、現時点では行われていない(5項)。 なお、研究資料は、債務保証等に係る信用損失も範囲に含めるため、対象とする論点を「信用損失の会計処理」としている(7項)。 Ⅲ 論点の識別 次のように信用損失の会計処理に関する論点の識別を行っている。 以下では、基本的に、IFRS9号と比較しており、米国基準については割愛している。 なお、付録3として、「会計基準等の見直しに当たっての課題の一覧」が記載されている。 (了)
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《速報解説》 会計士協会、「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」を公表~ICO含むすべての仮想通貨を対象に~
《速報解説》 会計士協会、「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」を公表 ~ICO含むすべての仮想通貨を対象に~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成30年6月29日、日本公認会計士協会は、「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」(業種別委員会実務指針第61号)を公表した。これにより、平成30年3月23日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 これは、平成28年6月3日に資金決済法が改正され、仮想通貨交換業者が事業年度ごとに内閣総理大臣へ提出する財務に関する報告書に対して、公認会計士又は監査法人の監査報告書を添付することが求められたことを受けたものであり、仮想通貨交換業者の財務諸表監査に固有と考えられる留意点について述べている。 「業種別委員会実務指針『仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針』(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について」が公表されており、実務指針の理解に資するものと考えられる。 仮想通貨に関しては次のものが公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 適用範囲 実務指針は、仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務上の指針を提供するものである(1項)。 次のことに留意する(3項、4項、6項)。 実務指針では、次の付録が記載されている。 Ⅲ 仮想通貨交換業者 1 仮想通貨交換業者の行う取引 仮想通貨交換業者は、資金決済法が求める登録(資金決済法63条の2)を受けた者をいい、資金決済法2条7項に定められる以下の行為のいずれかを業として行う者である(実務指針10項(2)(3))。 実務指針は、《付録1 仮想通貨交換業者の理解に関する事項》において、仮想通貨交換業者の理解に関する事項を記載している。 2 財務諸表監査 仮想通貨交換業者の財務諸表監査においては、通常、仮想通貨の取引記録又は残高に関する監査証拠としてブロックチェーン等の記録を利用する(7項)。 公認会計士又は監査法人による監査の目的は、仮想通貨交換業者の作成する財務諸表の適正性に関する意見を表明することであり、仮想通貨交換業者が保有又は取引する仮想通貨及びその基盤となるブロックチェーン等の記録に関して何ら保証を与えるものではない(9項)。 監査契約の締結、企業及び企業環境の理解と重要な虚偽表示リスクの評価、内部統制の理解などについて記載されている。 3 特別な検討を必要とするリスク 仮想通貨交換業者の財務諸表監査では、実務指針15項に記載されている事業特性等に関連して識別された以下のアサーション・レベルの重要な虚偽表示リスク(16項)は、通常、特別な検討を必要とするリスクであると判断される(23項)。 4 会計処理の検討に関する留意事項 仮想通貨交換業者の事業活動が変化している状況において、新しい会計事象や取引が発生し、適用すべき会計基準等が明確でない場合が想定される。 例えば、自己(自己の関係会社を含む)が発行した資金決済法に規定する仮想通貨に関しては、実務対応報告5項から15項における会計処理の対象外となっている。 監査人は、仮想通貨交換業者の財務諸表利用者が適正な判断を行うために必要と認められる場合には、会計処理の方法及びその他の説明情報が適切か否かについて検討しなければならないことに留意する(26項)。 実務対応報告3項において対象外となる自己(自己の関係会社を含む)の発行した資金決済法に規定する仮想通貨に関しては、次のことに留意する(27項)。 Ⅳ 適用時期等 実務指針は、平成30(2018)年6月29日以後に行われる監査から適用する(28項)。 (了)
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《速報解説》 ディスクロージャーWG、報告書(「資本市場における好循環の実現に向けて」)を公表~MD&A等の非財務情報、役員報酬等のガバナンス情報の開示充実を促す~
《速報解説》 ディスクロージャーWG、 報告書(「資本市場における好循環の実現に向けて」)を公表 ~MD&A等の非財務情報、役員報酬等のガバナンス情報の開示充実を促す~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成30年6月28日、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」は、「ディスクロージャーワーキング・グループ報告-資本市場における好循環の実現に向けて-」を公表した。 これは、有価証券報告書における開示を念頭に、その他の開示(会社法開示、上場規則、任意開示等)との関係にも配意しつつ、企業情報の開示の包括的な検討を行ったものである。 以下では、主な内容について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 「財務情報」及び「記述情報(非財務情報)」 投資判断に必要と考えられる記述情報が、有価証券報告書において、適切に開示されることが重要であると述べられている。 1 経営戦略・ビジネスモデル 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A) 3 リスク情報 英国でみられる開示実務も参考に、経営者視点からみたリスクの重要度の順に、発生可能性や時期・事業に与える影響・リスクへの対応策等を含め、企業固有の事情に応じたより実効的なリスク情報の開示を促していく必要がある。 4 その他 ①人的情報等(ジェンダーを始めとする多様性の確保、労働環境といった従業員に関する情報など)、②重要な契約、③分かりやすい開示が議論されている。 5 「財務情報」及び「記述情報」の充実 自社の経営戦略・財務状況・リスク等に関する議論を促し、我が国企業における経営戦略・ビジネスモデル、MD&A、リスク情報、重要な契約、ガバナンスに関する情報等の記述情報の開示の充実を実現していくことが重要である。 そこで、次のことが述べられている。 Ⅲ 建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供 1 役員報酬に係る情報 2 政策保有株式 3 その他のガバナンス情報の充実と提供 Ⅳ 提供情報の信頼性・適時性の確保 1 会計監査に関する情報 2 開示書類の提供の時期 投資家と企業の対話の促進、議決権のより実効的な行使という観点から、各企業において、投資家との対話の状況等を踏まえつつ、有価証券報告書の株主総会前提出への取組みが求められる。 四半期開示については、現時点において見直すことは行わず、今後、四半期決算短信の開示の自由度を高めるなどの取組みを進めるとともに、引き続き、我が国における財務・非財務情報の開示の状況や適時な企業情報の開示の十分性、海外動向などを注視し、必要に応じてそのあり方を検討していくことが考えられる。 3 英文による情報提供 以下の取組みを実施すべきであるとしている。 (了)
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2018年上半期(1月~6月)掲載分の目次(PDFファイル)をアップしました!
-お知らせ- いつもプロフェッションジャーナルをご愛読いただきありがとうございます。 2018年上半期(1月~6月)掲載分の目次をアップしました。 2018年上半期(1月~6月)掲載目次ファイル ※PDFファイル PDFファイルを開いて各記事タイトルをクリックすると、該当の記事ページが開きます。 (※) お使いのブラウザによって開かないものがあります。 パソコンやクラウド等に保存していただくと、PDFファイルから各記事ページへすぐに移動できますので、ご活用下さい(PDFファイル内の文字検索もできます)。 Back Number ページからもご覧いただけます。 ▷半年ごとの目次一覧 2018年 1月~6月(No.251~274)⇒[こちら] ★ 2017年 7月~12月(No.225~250)⇒[こちら] 1月~6月(No.201~224)⇒[こちら] 2016年 1月~6月(No.151~175)⇒[こちら] 7月~12月(No.176~200)⇒[こちら] 2015年 1月~6月(No.100~125)⇒[こちら] 7月~12月(No.125~150)⇒[こちら] 2014年 1月~6月(No.51~75)⇒[こちら] 7月~12月(No.76~100)⇒[こちら] 2013年 1月~6月(No.1~25)⇒[こちら] 7月~12月(No.26~50)⇒[こちら] 2012年 創刊準備1号~5号⇒[こちら]
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プロフェッションジャーナル No.274が公開されました!~今週のお薦め記事~
2018年6月28日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.274を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
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山本守之の法人税“一刀両断” 【第48回】「収益認識基準の制定に伴う通達」
山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第48回】 「収益認識基準の制定に伴う通達」 税理士 山本 守之 1 はじめに 収益認識に関する新会計基準に伴う改正法人税基本通達は平成30年5月に公表されました。国税庁では改正通達の考え方を「「収益認識に関する会計基準」への対応について」と題する資料で明らかにしています。 以下では、筆者が把握している新通達の内容に従って解説をしてみます。 2 考え方 新会計基準に対して、法人税基本通達は次のような改正方針によっています。 3 収益の計上の単位の通則 【新会計基準の取扱い】 同一の顧客(その顧客の関連当事者を含む)と同時又はほぼ同時に締結した複数の契約について、一定の要件を満たす場合には、その複数の契約を結合し単一の契約とみなして処理します(結合した契約に複数の履行義務(※)がある場合には、それぞれ履行義務を識別し、取引価格を配分します)。 (※) 履行義務・・・顧客との契約において、次の(ア)又は(イ)のいずれかを顧客に移転する約束をいいます。 (ア) 別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束) (イ) 一連の別個の財又はサービス(特性が実質的に同じであり、顧客への移転のパターンが同じである複数の財又はサービス) (出所) 国税庁「「収益認識に関する会計基準」への対応について」より一部抜粋。以下、本稿内の図表において特に断りのない場合は同資料からの出所による。 また、契約における取引開始日に、顧客との契約において約束した財又はサービスを評価し、別個の財又はサービスを顧客に移転する約束のそれぞれについて履行義務として識別します。 (出所) 国税庁資料 (※) 国税庁「法人税基本通達等の主要改正項目について」より。以下、本稿内において同様。 上記のように、複数の契約において約束した取引を結合して初めて単一の履行義務となる場合には、その結合した単位を収益計上の単位とすることができることとします。また、履行義務の識別の要件により区分した単位を収益計上の単位とすることができることとします。 なお、請負工事が長期大規模工事に該当し、強制工事進行基準になるかどうかについては、その結合した(区分された)単位で判定します。 複数の契約を結合して収益を認識する場合と1つの契約を複数の履行義務に分けて収益を認識する場合があるので、改正通達もそれに合わせています。 4 資産の販売等に伴い保証を行った場合の収益の計上の単位 【新会計基準の取扱い】 (出所) 国税庁資料 5 ポイント等を付与した場合の収益の計上の単位 【新会計基準の取扱い】 既存の契約に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合、そのオプションが、その契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するとき(例:通常の値引きの範囲を超える値引き)にのみ、そのオプションから履行義務が生じます。 事 例 商品Aの売上10,000円に対し、自社で利用されるポイント1,000を付与する場合を図解すると、新会計基準では次のようになります(消化率は100%と仮定する)。 商品の販売ポイントに独立販売価格に基づき配分します。 (出所) 国税庁資料 6 資産の販売等に係る収益の額に含めないことができる利息相当部分 【新会計基準の取扱い】 契約の当事者が明示的又は黙示的に合意した支払時期により、財又はサービスの顧客への移転に係る信用供与についての重要な便益が顧客又は企業に提供される場合には、顧客との契約は重要な金融要素を含むものとします。 事 例 A株式会社は顧客Bとの間で商品の販売契約を締結し、契約締結と同時に商品を引き渡しました。顧客Bは契約から2年後に対価2,000千円を支払います(対価の調整として用いる金利は1%)。 これを図解すると次のようになります。 (出所) 国税庁資料 7 資産の引渡しの時の価額等の通則 【新会計基準の取扱い】 履行義務を充足した時又は充足するにつれ、取引価格(※)のうち、その履行義務に配分した額について収益を認識します。 (※) 取引価格・・・財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額(第三者のために回収する額を除く(後述の《参考2》を参照))をいいます。 取引価格を算定する際は、次の①~④の全ての影響を考慮します。 8 変動対価 【新会計基準の取扱い】 顧客と約束した対価に変動対価(※)が含まれる場合、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ることとなる対価の額を見積もります。見積もられた変動対価の額については、変動対価の額に関する不確実性が事後的に解消される際に、解消される時点までに計上された収益の著しい減額が発生しない可能性が高い部分に限り、取引価格に含めます。 (※) 変動対価・・・顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分をいいます(例:値引き、リベートなど)。 事 例 販売契約に売上高に対してリベートを15%支払う条件が付いている場合 (出所) 国税庁資料 9 相手方に支払われる対価 【新会計基準の取扱い】 相手方に支払われる対価(キャッシュバック等)は、相手方から受領する別個の財又はサービスと交換に支払われるものである場合を除き、取引価格から減額します。 「財又はサービスの移転に対する収益を認識する日」若しくは「企業が対価を支払う日」のいずれか遅い方が発生した時点で収益を減額します。 事 例 (出所) 国税庁資料 10 棚卸資産の販売等に係る収益の帰属の時期 【新会計基準の取扱い】 一定の期間にわたり充足される履行義務の要件のいずれも満たさない場合は、資産に対する支配を顧客に移転することにより履行義務が充足されるときに収益を認識しますので、割賦基準は認められないこととなります。 代替的取扱いとして、出荷基準等の取扱いも認められます。 (出所) 国税庁資料 11 役務の提供に係る収益の帰属の時期の原則、履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに係る収益の額の算定の通則、請負に係る収益の帰属の時期 【新会計基準の取扱い】 一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、その進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識します。 進捗度の見積り方法は次のようになります。 (出所) 国税庁資料 12 知的財産ライセンスの供与に係る収益の帰属の時期、知的財産のライセンスの供与に係る売上高等に基づく使用料に係る収益の帰属の時期、工業所有権等の使用料の帰属の時期 【新会計基準の取扱い】 ライセンス(※)を供与する約束が、独立した履行義務である場合には、ライセンスを顧客に供与する約束が、顧客に次の①又は②のいずれを提供するものかを判定します。 (※) ライセンス・・・企業の知的財産に対する顧客の権利を定めるものをいいます。 (出所) 国税庁資料 売上高又は使用量に基づくロイヤルティについては、次の(イ)(ロ)のいずれか遅い時に認識します。 13 商品引換券等の発行に係る収益の帰属の時期、非行使部分に係る収益の帰属の時期 【新会計基準の取扱い】 財又はサービスを顧客に移転する前に顧客から対価を受け取る場合、顧客から受け取る対価について契約負債を貸借対照表に計上し、履行義務を充足したときにその契約負債の消滅を認識し、収益を認識します。 非行使部分について、企業が将来において権利を得ると見込まれる場合には、その非行使部分の金額について、顧客による権利行使のパターンと比例的に収益を認識します。 事 例 A株式会社は商品券1,000千円分を現金で発行しました。そのうち、100千円について、顧客が権利を行使しないと見込みました。翌年度に450千円分使用されました。この場合の仕訳を図解すると次のようになります。 ※権利行使部分900千円のうち、450千円が使用された(50%)ため、非行使部分の100千円のうち50%の50千円分を収益として認識します。 (出所) 国税庁資料 14 返金不要の顧客からの支払の帰属の時期 【新会計基準の取扱い】 顧客から返金が不要な支払を受ける場合には、その支払が約束した財又はサービスの移転を生じさせるものか、あるいは将来の財又はサービスの移転に対するものかどうかを判断します(スポーツクラブ会員契約の入会手数料など)。 そして、その財又はサービスの移転を生じさせるものでない場合には、将来の財又はサービスの移転を生じさせるものとして、その将来の財又はサービスを提供する時に収益を認識します。 (出所) 国税庁資料 15 返品権付き販売 【新会計基準の取扱い】 事 例 1個200円の商品(原価120円)を100個販売し、その返品予想は2個と見込みます。 返品権付き販売の仕訳を図解すると、次のようになります。 (出所) 国税庁資料 【法人税基本通達の対応】 返品の可能性があっても収益の額を減額しません。返品調整引当金制度の廃止に伴う対応を行います。 新会計基準を適用した場合についても、現行の返品債権特別勘定(※)で認められていたものと同様の取扱いを維持します。 (※) 返品債権特別勘定・・・特殊な特約が結ばれていることにより、過去実績により見積られた返品率により、期末に見込まれる貸倒れを確定債務として損金算入するものをいいます。 * * * 《参考1》 本人と代理人の区分 【新会計基準の取扱い】 「本人に該当するかどうか」を考慮するための指標は、次の3つです。 《小売業における消化仕入》 (出所) 国税庁資料 【法人税基本通達の対応】 法人税は、利益に対して課する税金であるため、総額表示か純額表示かによって課税所得が変わることは、基本的にはありません。 また、販売するのが本人であっても代理人であっても、履行義務の充足のタイミングについては変わらないと考えられますので、対応は行いません。 《参考2》 第三者のために回収する額 【新会計基準の取扱い】 収益の額には、第三者のために回収する額は含まれません。つまり、税込方式は認められないこととなります。 事 例 10,000円の商品を販売した場合の商品販売時の仕訳を図解すると、次のようになります(消費税率は8%)。 (出所) 国税庁資料 【法人税関係個別通達の対応】(※) 引き続き、法人の選択により税抜方式と税込方式のいずれも適用可能とします。 (※) 消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて 3 (了)
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〔平成30年度税制改正対応〕非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例制度(事業承継税制の特例措置) 【第2回】「贈与税の納税猶予制度の特例(その1)」
〔平成30年度税制改正対応〕 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例制度 (事業承継税制の特例措置) 【第2回】 「贈与税の納税猶予制度の特例(その1)」 太陽グラントソントン税理士法人 パートナー 税理士 日野 有裕 パートナー 税理士 梶本 岳 今回から2回にわたり、非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除(措法70の7の5)について解説していく。 贈与税の納税猶予及び免除の特例を受けるにあたっての手続きは、以下のとおりである。 ① 特例承継計画の提出・確認 ↓ ② 非上場株式等の贈与・円滑化法の認定 ↓ ③ 贈与税の申告 ↓ ④ 事業の継続(贈与後5年間) ↓ ⑤ 株式の継続保有(5年経過後) ↓ ⑥ 猶予贈与税の免除(先代経営者の死亡・事業継続が困難な場合等) 1 特例承継計画の提出・確認 贈与税の納税猶予において特例措置の適用を受けるためには、まず「施行規則第17条第2項の規定による確認申請書(特例承継計画)」【様式第21】を平成35年3月31日までに都道府県知事に提出する必要がある(円滑化規則17①一)。また、平成35年3月31日までに贈与を行う場合は、贈与後に、後述する2(2)の認定申請書と特例承継計画を併せて提出することも可能とされている。 特例承継計画には、以下の事項を記載するとともに、別紙において認定経営革新等支援機関による所見等(指導・助言の内容)を記載することが求められている。 さる5月16日に、中小企業庁のWEBサイトに特例承継計画マニュアル及び記載例が公表されているので、記載例等については以下のページを参照されたい。 2 非上場株式等の贈与・円滑化法の認定 (1) 非上場株式等の贈与 ① 特例認定贈与承継会社 特例措置の対象となる特例認定贈与承継会社とは、円滑化法の認定を受けた会社で、以下の(a)~(f)のすべてを満たすものをいう(措法70の7の5②一)。 一般措置の対象となる認定贈与承継会社の要件についても同様である。 上記(f)に掲げた「円滑な事業の運営を確保するために必要とされる要件」は以下のとおり(措令40の8の5⑨)。 (※) 特定特別関係会社とは、次の(ア)、(イ)、(ウ)が所有する議決権の合計が総議決権数の50%を超える会社をいう(措令40の8⑧)。 また、納税猶予の対象となる非上場株式等は、一般措置においては議決権総数の2/3まで(措法70の7①)であったが、特例措置においてはその上限が撤廃されている。 ② 特例贈与者の要件 今回の特例措置創設により、先代経営者以外からの非上場株式等の贈与においても納税猶予の適用を受けることができるようになったが、先代経営者以外の者が特例贈与者となるためには、贈与の直前において以下のいずれかに該当する者が存在することが必要とされており(措令40の8の5①二)、代表権を有していたことのない代表者の配偶者等が最初の特例贈与者にはなれないことが規定されている。 (※) 贈与者については、一般措置においても複数名からの贈与を可能とする改正が行われており、特例措置と同じ要件が追加されている(措令40の8①)。 上記の要件が満たされない状況、つまり、初めて特例措置による贈与が行われる際には、代表権を有していた個人で以下の(a)~(c)のすべてを満たす者が特例贈与者となる(措令40の8の5①一)。したがって、最初に特例措置による贈与を実行する者は先代経営者でなければならない。 例えば・・・ この場合、妻Yの持ち株40株を子Zに特例措置により贈与するためには、先代経営者Xが先に子Zに贈与を行い、特例措置の適用を受けておく必要がある。つまり、先代経営者Xからの特例措置による贈与を子Zが受けていれば、先代経営者以外からの特例措置による贈与が可能となるのである。 ③ 特例経営贈与承継期間 特例措置による贈与が認められる期間は、先代経営者からの贈与については、平成39年12月31までである。 そして、先代経営者以外からの贈与については、先代経営者の贈与の日から特例経営贈与承継期間の末日までの間に贈与税の申告期限が到来する贈与に限るとされている(措法70の7の5①)。 「特例経営贈与承継期間」とは、最初に特例措置の適用を受ける贈与に係る贈与税の申告期限の翌日から次のいずれか早い日までの期間をいう(措法70の7の5②七)。 例えば、平成38年10月に特例措置の適用を受ける最初の贈与があった場合、先代経営者以外からの特例措置を受けることができる期限は下図の通りとなる(特例経営承継期間は5年と仮定)。 つまり、特例経営承継受贈者又は特例贈与者の死亡がない場合は、特例措置の適用を受ける最初の贈与に係る贈与税の申告期限の翌日から5年間が特例経営贈与承継期間となるため、上記のように先代経営者以外から特例措置により贈与ができる期間が、平成39年12月31日を超えることがある。 一方、平成33年に特例措置の適用を受ける最初の贈与が行われた場合、下図のように、先代経営者以外の者からの贈与の期限は平成38年12月末となり、平成39年12月末よりも早く期限が到来するので注意が必要だ。 ④ 特例経営承継受贈者(後継者) 特例贈与者から特例認定贈与承継会社の非上場株式等を取得した個人で、次に掲げるすべての要件を満たす必要がある(措法70の7の5②六)。 上記(h)に掲げた「経営を確実に承継すると認められる要件」は、経営承継円滑化法施行規則第17条第1項の確認を受けた特例認定贈与承継会社の当該確認に係る特例後継者であること(措規23の12の2⑨)とされており、特例承継計画に記載された特例後継者であることが要件とされている。 今回の改正により、最大3名まで特例措置の適用を受けることが可能となったが、複数人への贈与は議決権が分散することから、実務上それほどの利用は見込まれないものと予想される。 ⑤ 非上場株式等の取得数要件 特例措置の適用を受けるためには、特例経営承継受贈者は、次の区分に応じた一定数以上の株式を取得する必要がある(措法70の7の5①一)。 ① 特例経営承継受贈者が1人である場合は、次の区分に応じた株数以上 ●A ≧ B×2/3-Cのとき ⇒ B×2/3-C以上の株数 ●A < B×2/3-Cのとき ⇒ Aのすべての株数 A:贈与直前において、贈与者が有していた株式数 B:贈与直前の特例認定贈与承継会社の発行済株式総数 C:後継者が贈与の直前において有していた会社の株式数 ② 後継者が2人又は3人の場合 ⇒それぞれの後継者が10%以上の株式を取得し、かつ、それぞれの後継者が贈与者の株式数を上回ること (2) 円滑化法の認定 非上場株式等の贈与を受けた場合には、その贈与を受けた年の翌年の1月15日までに特例認定贈与承継会社の主たる事務所の所在地の都道府県知事に認定申請書を提出し、認定(円滑化法12①)を受けなければならない(円滑化規則7⑥⑧)。 申請書は2種類からなり、①先代経営者から後継者への贈与については「第一種特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」【様式第7の3】(円滑化規則7⑥)、②先代経営者以外の株主から後継者への贈与については「第二種特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」【様式第7の4】(円滑化規則7⑧)に必要事項を記載して申請することになる。 申請書等の様式等については、中小企業庁WEBサイトを参照されたい。 * * * 次回も引き続き本特例制度について、贈与税の申告以後の制度を解説する。 (了)
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中小企業の生産性向上のための設備投資に係る固定資産税の軽減特例 【第3回】「既存の経営強化法による特例制度との相違から見た注意事項」
中小企業の生産性向上のための 設備投資に係る固定資産税の軽減特例 【第3回】 (最終回) 「既存の経営強化法による特例制度との相違から見た注意事項」 辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健 最終回となる今回は、適用に当たっての留意点や、平成28年度の税制改正で創設された中小企業等経営強化法に基づく軽減措置との違いにも触れてみたい。 (1) 対象者 ① 税法と生産性向上法の相違 本特例の対象者(法人に限る)は、【第1回】で見た通り、中小企業者であり、認定の対象となる者も中小企業者であるが、用語は同じでも、その内容が異なる点に留意が必要である。 すなわち、前者は租税特別措置法上の「中小企業者」であるのに対し、後者は生産性向上法上の〈中小企業者〉である(本稿では、税法は「 」、生産性向上法は〈 〉を付して区別する)。 前者については既に説明済みなので、後者についてその内容を確認すると、中小企業等経営強化法に規定する〈中小企業者〉とされている。具体的には、業種ごとに定められている資本金基準又は従業員数基準のいずれかを満たす会社(下表参照)と、事業協同組合等一定の組合がこれに該当する。 (注) 資本金基準又は従業員数基準のいずれかで判断する。 例えば、資本金が8,000万円で従業員数60人の小売業を営む会社は、「中小企業者」であっても〈中小企業者〉には該当しない。その結果、生産性向上法の認定を受けることができないため、本特例を適用することはできない。 また、資本金が2億円で従業員数400人の製造業を営む会社は、〈中小企業者〉であるが、「中小企業者」には該当しない。したがって、生産性向上法上の認定を受けることができるものの、本特例を適用することはできない。 ② 生産性向上法と経営強化法の相違 さらに、既存の中小企業等経営強化法(以下、経営強化法という)に基づく固定資産税の軽減措置においても同法に基づく認定を受けることが特例の適用を受ける前提となるが、認定を受けることができるのは、経営強化法上の“中小企業者等”である。この“中小企業者等”は、〈中小企業者〉を含むより広い概念である。 例えば、医療法人や一定の一般社団法人は、〈中小企業者〉には該当しないが、“中小企業者等”には該当する。そして、これらの法人は「中小企業者」にも該当する可能性があるため、該当する場合には、経営強化法に基づく固定資産税の軽減措置の適用を受けることが可能である。 ただし、これらの法人は〈中小企業者〉には該当しないため、仮に、「中小企業者」に該当する場合であっても、生産性向上法に基づく固定資産税の軽減措置の適用を受けることはできない。なお、経営強化法に基づく軽減措置、生産性向上法に基づく軽減措置、いずれにおいても固定資産税の軽減措置の対象となる「中小企業者」の定義は同じである。 (2) 対象設備 既存の経営強化法に基づく軽減措置と、生産性向上法に基づく軽減措置を比較すると、対象設備については、設備の種類(用途又は細目を含む)、最低投資価額、販売開始時期、生産性向上要件のいずれにおいても、その内容は同様である。唯一異なるのは、生産性向上法においては、「直接商品の生産若しくは販売又は役務の提供の用に供するものであること」という要件が必要となる点である。 これは、例えば、製造業を営む法人の工場、小売業を営む法人の店舗などのように、その法人が行う生産活動、販売活動、役務提供活動その他収益を稼得するために行う行動の用に直接供される、という意味ではないかと推測される。そうすると、本店、事務用器具備品、福利厚生施設のようなものは該当しないことになる。いずれにしても、経営強化法では求められていない設備要件があることに留意が必要である。 なお、経営強化法に基づく軽減措置では、機械装置以外の設備については、一定の地域において対象業種が限定されていたが、生産性向上法に基づく軽減措置ではそのような制限はない。 (3) 認定要件 経営強化法、生産性向上法のいずれにおいても認定を受けるためには、一定の労働生産性の向上が求められる。経営強化法では、計画期間が3年ないし5年とされ、労働生産性は5年間の計画の場合、計画期間である5年後までの目標伸び率が2%以上のものが求められる(計画期間が3年間の場合は1%以上の目標を、4年間の場合は1.5%以上の目標が求められる)。 これに対し、生産性向上法では、計画期間は3年以上5年以内とされ、労働生産性は年平均3%以上向上することが要求される。つまり、計画期間が3年の場合は9%以上、4年の場合は12%以上、5年の場合は15%以上の伸び率を設定する必要がある。 したがって、経営強化法におけるよりもより高いレベルの労働生産性の向上が求められているといえる。なお、労働生産性の定義は両制度で変わらない。 (4) 手続 ① 認定経営革新等支援機関による事前確認 生産性向上法において認定を受けるためには、労働生産性が年平均3%以上向上することが求められるが、この点を認定経営革新等支援機関が事前に確認し、確認書を発行することが必要とされ、認定申請に当たっては、確認書の添付が義務付けられる。経営強化法では、このような事前確認は求められていなかったため、留意が必要である。 ② 設備の取得時期 経営強化法、生産性向上法のいずれにおいても、中小企業者が認定を受けた後に対象設備を取得することで特例の適用が認められる。しかし、経営強化法では、設備を取得した後に計画を申請し認定を受ける場合でも、設備取得から60日以内に計画が受理され、取得した年の年末までに認定を受けることを条件に例外的に適用が認められる。 しかし、生産性向上法においてはそのような例外的な取扱いは認められないようなので留意が必要である。 (※) 中小企業庁ホームページより (5) 市町村の対応 経営強化法では、課税標準の軽減割合が2分の1とされているが、生産性向上法では、ゼロ以上2分の1以下の範囲内とされており、具体的には、各市町村の条例により定められることになる。 中小企業庁が各市町村にアンケート調査を行ったところ、特例率をゼロとする意向を示した自治体の数は9割以上となっている。これはアンケート実施時点の各市町村の意向であり、地方議会の審議等により、対応の変更があり得るようであるが、興味深い数字である。 なお、軽減割合だけでなく、対象者や対象設備についても市町村の条例により変更が加えられる可能性があるため、いずれにしろ各市町村の条例を確認することが重要となる。 (6) 経営強化法に基づく軽減措置との共存 平成28年度の税制改正により創設された経営強化法に基づく軽減措置は適用期限である平成31年3月31日をもって廃止される予定である。したがって、生産性向上法の施行日(平成30年6月6)から平成31年3月31日までは、両制度が共存することになる。 単純に軽減割合だけを考えると、新制度が有利になる可能性が高いと思われるが、既に述べた通り、両制度では対象者や対象設備、認定要件、手続等に微妙な違いがあることから、経営強化法に基づく軽減措置しか適用ができない場合も想定されるため、適用に当たっては両制度を比較検討の上、慎重に対応することが肝要である。 (連載了)
