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《速報解説》 平成28年7月1日施行の中小企業等経営強化法、固定資産税が半減される対象設備要件を確認~経営力向上設備等のうち一定の機械装置
《速報解説》 平成28年7月1日施行の中小企業等経営強化法、 固定資産税が半減される対象設備要件を確認 ~経営力向上設備等のうち一定の機械装置 Profession Journal編集部 既報の通り7月1日の施行が決まった中小企業等経営強化法だが、ここで固定資産税が3年間半減される対象設備の要件について確認しておきたい(取得時期や計画認定等についてはこちらを参照)。 注意したいのは、中小企業等経営強化法で定められた経営力向上設備等を取得すれば適用されるわけではないという点。施行期日政令の公布から1日遅れて本日(7月1日付官報第6808号)公布された「地方税法施行規則の一部を改正する省令(総務七〇)」(本稿末に掲載)まで読まなければならない。 〇経営力向上設備等の要件を確認 まずは経営力向上設備等の規定を確認したい。中小企業等経営強化法では13条4項において として対象となる資産の種類が示されており、さらに同省令である中小企業経営強化法施行規則(以下、強化省令)では のいずれかであるとされている。この(ア)及び(イ)は、それぞれ生産性向上設備投資促進税制におけるA類型(先端設備)、B類型(生産ラインやオペレーションの改善に資する設備)に近い規定となっている。 〇地方税法及び政省令で対象を限定 上記で示した経営力向上設備等のうち固定資産税が半減される対象設備は、 において規定が設けられている。 具体的には、上記①の改正法により経営力向上設備等のうち対象となる資産を機械及び装置(一定のリース含む)に限定し、②の改正政令で1台又は1基あたりの取得価額が160万円以上のものに限られるとしたうえで、③の改正省令により10年以内に販売開始されたものであって生産性が旧モデルと比べ年平均1%以上向上するものとして上記強化省令の(イ)が除かれる形となっている。 つまり経営力向上計画に則り経営力向上設備等を取得したとしても、例えばその資産が機械装置ではなく建物附属設備であれば、固定資産税の半減特例は適用できないことになる。 このように、今回の固定資産税の半減特例が適用される対象設備については、中小企業等経営強化法及び同政省令、地方税法及び同政省令にわたっており、上記①②のように地方税法関係の改正法令が強化法関係の改正法令の中に織り込まれているという複雑な規定ぶりとなっているため、読み間違えのないよう注意が必要だ。 この点、まずは生産性向上設備投資促進税制の要件を元にした下記の中小企業庁資料の記述が参考になるだろう。 (※) 中小企業庁「中小企業等経営強化法について(平成28年7月)」p5より一部抜粋 なお上記の生産性1%向上の要件については、生産性向上設備投資促進税制におけるA類型(先端設備)と同様に、各工業会からの証明書を入手し申請時に添付しなければならない。このため、既報のようにその工程を踏まえたうえで認定申請及び対象設備取得に係るスケジュールを立てる必要がある。 上記を踏まえ固定資産税の半減特例に係る対象設備をまとめると、次のようになると考えられる。 〈固定資産税半減特例の適用判定フロー〉 〇基本指針及び事業分野別指針も公表 既報の通り中小企業等経営強化法では国が定めた事業分野別指針及び基本指針に基づき経営力向上計画を策定し認定を受ける必要があるが、7月1日付けで経済産業省ホームページ上にてこれらの指針が公表された。 本稿公開時点では、このページではパブコメに付されていた11分野のうち外食・中食産業、旅館業を除く9分野の事業分野別指針が公表されている。仔細は下記のリンクより参照されたい。(追記:7月1日日付官報号外第147号において、外食・中食産業、旅館業の事業分野別指針が公布されている。) (了)
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2016年上半期(1月~6月)掲載分の目次(PDFファイル)をアップしました!
-お知らせ- いつもプロフェッションジャーナルをご愛読いただきありがとうございます。 2016年上半期(1月~6月)掲載分の目次をアップしました。 2016年上半期(1月~6月)掲載目次ファイル ※PDFファイル PDFファイルを開いて各記事タイトルをクリックすると、該当の記事ページが開きます。 (※) お使いのブラウザによって開かないものがあります。 パソコンやクラウド等に保存していただくと、PDFファイルから各記事ページへすぐに移動できますので、ご活用下さい(PDFファイル内の文字検索もできます)。 Back Number ページからもご覧いただけます。
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プロフェッションジャーナル No.175が公開されました!~今週のお薦め記事~
2016年6月30日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.175を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
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金融・投資商品の税務Q&A 【Q1】「上場外国株式(外貨建)を譲渡した場合の譲渡損益及び為替差損益の取扱い」
金融・投資商品の税務Q&A 【Q1】 「上場外国株式(外貨建)を譲渡した場合の 譲渡損益及び為替差損益の取扱い」 PwC税理士法人 金融部 ディレクター 税理士 箱田 晶子 ●○ 検 討 ○● 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に当たっては、株式等の譲渡対価の額が外貨で表示されて、当該対価の額を日本円又は外貨で支払うこととされている場合は、外貨で表示されている対価の金額を約定日の為替レートで換算した日本円の金額により譲渡収入を計算することとされています。 この場合に使用する為替レートは、対価の支払をする者(本件の場合、国内証券会社)の主要取引金融機関(その支払者がTTB(電信買相場)を公表している場合にはその支払者)の当該外貨に係るTTBにより日本円に換算した金額によります。一方、取得価額は、取得した株式の外貨金額を取得時のTTS(電信売相場)で円換算した金額となります。 したがって、為替差損益部分については、株式等の譲渡に係る譲渡所得の金額に含められることになり、別途雑所得として区分する必要はありません。 おたずねの場合、以下の金額が上場株式等に係る譲渡所得等の金額として取り扱われます(購入手数料や売却手数料はないものとします)。 譲渡所得等とされる金額が、上場株式等に係る譲渡所得等として申告分離課税20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の対象となります。 (了)
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空き家(被相続人の居住用家屋)に係る譲渡所得の特別控除の特例のポイント 【第2回】「他の特例制度との重複適用・選択適用」
空き家(被相続人の居住用家屋)に係る 譲渡所得の特別控除の特例のポイント 【第2回】 「他の特例制度との重複適用・選択適用」 税理士 内山 隆一 1 適用期間に係る留意事項 本特例の譲渡期間は、『相続日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで』、とされており、かつ、その期間が『平成28年4月1日から平成31年12月31日まで』の適用期間内であることが必要となる。 したがって、相続開始時期に応じそれぞれ次のような適用関係となる。 2 他の特例制度との適用関係の整理 本特例は、被相続人の居住用財産の譲渡による所得を、譲渡者の居住用財産の譲渡による所得であるかのごとく3,000万円の特別控除を認めるものであるが、このことが譲渡者自身の居住用財産を譲渡した場合の特例の適用にどのように影響するかについて整理しておく必要がある。 (1) 本特例との重複適用が認められていない特例 (2) 本特例との重複適用が認められている特例 【参考図】 (※) 国土交通省ホームページより 3 相続税額の取得費加算との選択適用に当たっての注意点 相続税額の取得費加算額は、相続開始時期により、次のように計算が異なるため注意を要する。 相続開始時期が平成26年12月31日までである場合には、相続で取得した土地等を1つでも譲渡すれば、相続で取得したすべての土地等の相続税評価額に対応する相続税額を取得費に加算して譲渡対価から控除できるため、相続財産の大半が土地等である場合には3,000万円の特別控除よりも有利になる可能性は充分あると考えられる。 なお、相続税額の取得費加算の特例は、本特例の適用期間とは異なり、「相続の開始があった日の翌日から、その相続に係る相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」の譲渡について適用される (1) 相続開始時期が平成26年12月31日までである場合 ① 家屋に係る取得費加算額 ② 土地等に係る取得費加算額 (2) 相続開始時期が平成27年1月1日以後である場合 ① 家屋に係る取得費加算額 ② 土地等に係る取得費加算額 ▷まとめ (連載了)
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連結納税適用法人のための平成28年度税制改正 【第2回】「欠損金の繰越控除制度の見直し」
連結納税適用法人のための 平成28年度税制改正 【第2回】 「欠損金の繰越控除制度の見直し」 公認会計士・税理士 税理士法人トラスト パートナー 足立 好幸 [2] 連結欠損金の繰越控除制度の見直し (1) 連結欠損金の控除限度額の段階的引下げの見直し 連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額の段階的引下げについて、次のとおり見直しを行う(法法81の9①、平成27年所法等改正法附則30②、平成28年所法等改正法18)。 (2) 繰越期間の見直し 平成27年度税制改正において講じた次の措置(平成29年4月1日施行)について、平成30年4月1日から施行し、同日以後に開始する連結事業年度において生じる連結欠損金について適用することとする(法法81の9①、法規37の3の2①、国通23①・70②、平成23年12月所法等改正法附則22①、平成27年所法等改正法附則30①、53①③、平成27年法規改正法規附則2③、平成28年所法等改正法18、平成28年法規改正法規3)。 連結欠損金の繰越期間を10年(改正前:9年)に延長する措置 連結欠損金の繰越控除制度の適用に係る帳簿書類の保存要件における保存期間を10年(改正前:9年)に延長する措置 法人税の欠損金額に係る更正の期間制限を10年(改正前:9年)に延長する措置 法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を10年(改正前:9年)に延長する措置 この改正によって、連結欠損金の繰越期間は、次のようにまとめられる。 [3] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し (1) 控除限度額の段階的引下げの見直し 連結納税適用法人は、事業税については単体納税適用法人と同様の取扱いとなり、事業税に係る繰越欠損金についても、法人税に係る繰越欠損金と同様に、控除限度額の段階的引下げが見直されている(地法72の23①③④、地令20の3②③、21①)。 (2) 繰越期間の延長の見直し 事業税に係る繰越欠損金の繰越期間についても、法人税に係る繰越欠損金と同様に、繰越期間を10年に延長する措置の施行日(対象となる発生事業年度又は連結事業年度)の見直しが行われている(地法72の23③④、平成23年12月地法改正法附則7②、平成27年地法改正法附則1九の二、9②、平成28年地法改正法6)。 [4] 控除対象個別帰属調整額及び 控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し (1) 控除対象個別帰属調整額 控除対象個別帰属調整額は、連結納税開始又は加入に伴い切り捨てられた連結納税開始前又は加入前の繰越欠損金に連結子法人の最初連結事業年度終了日における連結法人税率を乗じて計算することとなるが、平成28年4月1日以後に開始する連結事業年度から連結法人税率が段階的に引き下げられたことに伴い、控除対象個別帰属調整額を計算するための連結法人税率も段階的に引き下げられることとなる(地法53⑤⑥、321の8⑤⑥)。 また、控除対象個別帰属調整額の繰越期間についても、法人税に係る繰越欠損金と同様に、繰越期間を10年に延長する措置の施行日(対象となる発生事業年度)の見直しが行われている(地法53⑤、321の8⑤、平成23年12月地法改正法附則6④・9④、平成27年地法改正法附則1九の二・7④・16⑤、平成28年地法改正法6)。 なお、控除対象個別帰属調整額は、法人税又は事業税に係る繰越欠損金のように、控除限度額はなく、法人税割から全額、控除することが可能となる(地法53⑤、321の8⑤)。 (2) 控除対象個別帰属税額 控除対象個別帰属税額の繰越期間についても、法人税に係る繰越欠損金と同様に、繰越期間を10年に延長する措置の施行日(対象となる発生事業年度)の見直しが行われている(地法53⑨、321の8⑨、平成23年12月地法改正法附則6④・9④、平成27年地法改正法附則1九の二・7④・16⑤、平成28年地法改正法6)。 なお、控除対象個別帰属税額は、法人税又は事業税に係る繰越欠損金のように、控除限度割合はなく、法人税割から全額、控除することが可能となる(地法53⑨、321の8⑨)。 (了)
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〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第5回】「別表8(1) 受取配当等の益金不算入に関する明細書」-平成28年4月1日以後終了事業年度分-
〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第5回】 「別表8(1) 受取配当等の益金不算入に関する明細書」 -平成28年4月1日以後終了事業年度分- 公認会計士・税理士 菊地 康夫 Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、複数の書き方パターンがある様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第5回目は、平成28年度税制改正を受けて、法人税申告書(別表)様式を定める改正法人税施行規則が4月15日付で公布されたことにより、第3回目で採り上げた「別表8(1) 受取配当等の益金不算入に関する明細書」と「別表8(1)付表 受取配当等の額の明細書」が統合され、新様式の「別表8(1) 受取配当等の益金不算入に関する明細書」となったので、あらためてこれを採り上げ解説する。 Ⅱ 概要 この別表は、法人が内国法人から受ける配当金等の額について、「受取配当等の益金不算入」の規定(法人税法第23条等)の適用を受ける場合に作成する。 別表8(1)は、そもそも平成27年4月1日以後開始する事業年度からの改正で持株比率基準等の見直しが行われ、昨年度の様式変更で改正前後の取扱いが同じ様式内にまとめられたことにより、別表8(1)と8(1)付表に分割されていた。しかし、改正前の記載が不要となる事業年度からは、関連法人株式等以外の負債利子計算欄が不要となることもあり、本年度の様式変更では付表がなくなり、再び別表8(1)として1つの様式に統合される新様式となった。 なお、平成27年4月1日以後開始する事業年度からの改正事項の概要は以下のとおりであるが、詳しい内容は連載【第3回】を参照されたい。 〈益金不算入の対象となる株式等の区分及びその配当等の益金不算入割合〉 (注) その他にも、通常の株式投資信託の収益の分配金については、改正前は収益の分配金の2分の1の金額の50%相当額が益金不算入であったが、その全額が益金不算入とされるなどの改正が行われている。 〈受取配当等の益金不算入額を計算するときの負債利子の取扱い〉 (注) 同時に、負債利子控除額の計算における簡便法の基準年度が、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度とされる改正が行われている。この結果、平成27年4月1日以後最初に開始する事業年度は、原則法のみしか採用できないことに留意する。 Ⅲ 「別表8(1)」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 別表8(1) [当年度実績により負債利子等の額を計算する場合]欄 〔受取配当等の額の明細〕 [各区分共通] [完全子法人株式等] [関連法人株式等] [その他株式等] [非支配目的株式等] (了)
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理由付記の不備をめぐる事例研究 【第14回】「交際費と福利厚生費」~福利厚生費ではなく交際費等に該当すると判断した理由は?~
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第14回】 「交際費と福利厚生費」 ~福利厚生費ではなく交際費等に該当すると判断した理由は?~ 中央大学大学院商学研究科 博士後期課程 (酒井克彦研究室所属) 泉 絢也 今回は、青色申告法人X社に対して、一部の役員及び従業員が酒食するために支出した費用を、福利厚生費ではなく交際費等に該当するものとした法人税更正処分(再更正処分)の理由付記の十分性が争われた、東京地裁昭和56年4月15日判決(税資117号4頁。以下「本判決」という)を取り上げる。 1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記) (注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。 2 本件理由付記から読み取ることができる関係図 3 本判決の判断 本判決は、次のとおり、理由付記に不備はないと判断した(控訴審である東京高裁昭和57年7月28日判決・訟月29巻2号300頁もこの判断を維持している)。 (1) 求められる理由付記の程度 (2) 理由付記の十分性 4 私見 (1) 関係法令等の確認 ア 交際費等の3要件 一般に、次の3つの要件すべてを満たす支出は交際費等に該当すると解されている(東京高裁平成15年9月9日判決・判時1834号28頁等参照)。 イ 交際費等から除かれる費用 ただし、「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」など一部の費用については交際費等から除かれている(措法61条の4④一~三、措令37の5)。 (2) 本件理由付記において前提とされている交際費等の要件 本件理由付記には、課税庁が交際費等の要件をどのように捉えているのかについて明記されていないが、課税庁は、素材とした本判決に係る訴訟において、措置法の規定によれば、法人の支出が交際費等に該当する要件は、次の2点であると主張している。 かかる主張によれば、本件更正処分は、交際費等の要件について、上記(1)の3要件ではなく、この2要件であることを前提として行われたものであると推測される。 そして、課税庁は、本件支出額が交際費等から除かれる「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」に該当するか否かという点に関連して、このような交際費等から除かれる福利厚生費の意義について、次のとおり主張している。 課税庁は、交際費等から除かれる福利厚生費と交際費等の区分に係る判断基準として、従業員の全体が参加することが予定されたものであること、かつ、社会常識上一般に福利厚生の範囲と認められる内容及び程度の給付のために必要な限度のものであること、を要するという解釈を明らかにしているのである。 この点、本件理由付記には、課税庁がこのような解釈を採用したものであることは明記されていないが、少なくとも本件との関係では、このような法解釈まで理由付記に記載を要するものではないと解しておく。 (3) 求められる理由付記の程度 本件再更正処分は、X社が福利厚生費として経理処理した支出の中から、交際費等に該当すると認められるものを支払年月日、支払先及び支払金額によって具体的に特定し、それが一部の役員及び従業員の社外のバー及び小料理店における飲食代であることから福利厚生費ではなく交際費等に該当すると判断したものであると解することができる。 このように、本件再更正処分は、X社の帳簿書類記載の事実そのものを否定したものではなく、帳簿書類に記載の支出があったこと自体を認めた上で、当該支出についての法的評価を異にし、当該支出が福利厚生費ではなく交際費等に該当するとしたものであるから、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当する。 したがって、理由付記の程度としては、更正通知書記載の更正の理由が、そのような更正をした根拠について帳簿記載以上に信憑力のある資料を摘示するものでないとしても、更正の根拠を更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の付記として欠けるところはないことになる(最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁等参照)。 (4) 求められる理由付記の程度 次のとおり、本件理由付記は、法の求める理由付記として十分なものであると考える。 本件理由付記は、本件更正処分の理由として、X社が福利厚生費として損金経理した△△△円のうち、①一部の役員及び従業員(前記(2)の「課税庁主張の交際費等の要件」の〔1〕に対応)が、②社外のバー及び小料理店で飲酒した行為(前記(2)の「課税庁主張の交際費等の要件」の〔2〕に対応)につき支出したものは、③租税特別措置法61条の4第4項の括弧書で示される通常要する費用に該当しないので(前記(1)イの「交際費等から除かれる費用」に対応)、福利厚生費でなく交際費等になることを明らかにしている。 このように、本件理由付記は、その記載内容から法令上の根拠が明らかになるものであり、かつ、法令上の要件に対応する具体的な事実を記載するものであり、これによって課税庁の判断過程が明らかとなるものであるから、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという理由付記の趣旨目的に適うものであると考える。 * * * 次回は、前代表取締役に対する役員退職給与の額が過大であるとして、その一部の損金算入を否認した法人税更正処分の理由付記の事例を取り上げる。 (了)
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裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第10回】「募集株式の発行等⑨」
裁判例・裁決例からみた 非上場株式の評価 【第10回】 「募集株式の発行等⑨」 公認会計士 佐藤 信祐 【第2回】から【第9回】までは、募集株式の発行等が有利発行に該当するか否かについて争われた事件をいくつか紹介した。 これに対し、本稿で紹介するアートネイチャー事件は、今までとは異なる判断がなされているだけでなく、最高裁まで争われた事件であるため、実務における重要性の高い事件である。 15 最高裁平成27年2月19日判決・金判1465号16頁 (1) 事実の概要 本事件は、株式会社アートネイチャーが、平成15年11月に自己株式の処分を、平成16年3月新株発行を、それぞれ1株当たり1,500円で行ったことに対し、有利発行に該当するものとして争われた事件である。 第1審、控訴審ともに、自己株式の処分は有利発行に該当しないものの、新株発行は有利発行に該当するものと判断したのに対し、上告審では、いずれも有利発行に該当しないと判断した。 なお、平成18年3月に行われた募集株式の発行についても、別訴(東京高裁平成26年11月26日判決・公刊物未登載(商事法務2053号68頁で紹介)、東京地裁平成26年6月26日判決・金判1450号27頁)にて争われていたが、本最高裁判決と同じロジックであるため、本稿では解説を省略するものとする。 (2) 第1審の判断(金判1414号15頁) (3) 控訴審の判断(金判1414号8頁) 第一審と同様の判断がなされているため、本稿では解説を省略する。 (4) 上告審の判断 (5) 評釈 このように、第1審、控訴審では、自己株式の処分は有利発行に該当しないものの、新株発行は有利発行に該当するものと判断したのに対し、上告審では、いずれも有利発行に該当しないと判断した。 第1審、控訴審で、自己株式の処分と新株発行で判断が分かれた理由は不明であるが、会社法下では、募集株式の発行等として1つの手続きにまとめられていることから、同様の結論になるかどうかは明らかではない(※)。また、新株発行に対して、DCF法に一部修正を施したうえで株価の算定をしているが、7,897円から7,000円への修正内容はほとんど理解不能である。これは、損害額の算定であることから、裁判所がやや保守的に判断したということであろうか。 (※) 徳本穣「判批」私法判例リマークス47号93頁(平成25年)、杉田貴洋「判批」法学研究87巻11号51-52頁(平成26年) さらに、上告審では、「客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額を決定していた」という理由により有利発行に該当しないと判断した。この点については、従業員持株会の間で財産評価基本通達に定める配当還元法により売買がなされていた場合には贈与税の問題はないにしても、募集株式の発行等でこれを用いた場合には有利発行に該当すると考えている実務家も多いことから、かなり違和感がある。また、アートネイチャーが平成19年2月14日に上場をしてしまっていることから、その3年前に配当還元方式で第三者割当を行っていることはIPO実務としての違和感がある。 そのため、このような裁判所の判断に対しては容易に批判が考えられるが、専門家の鑑定意見書を入手しておくことが取締役の損害賠償責任を回避するために重要な手続きになると考える実務家も少なくないであろう。 【第2回】から【第10回】まで、募集株式の発行等について争われた事件をそれぞれ解説した。次回以降は、譲渡制限株式の譲渡について争われた事件について解説をしていく予定である。 (了)
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税務判例を読むための税法の学び方【85】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その13:「一時所得の計算における所得税法34条2項の「その収入を得るために支出した金額」の範囲③」(最判平24.1.13))
税務判例を読むための税法の学び方【85】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む (その13:「一時所得の計算における所得税法34条2項の 「その収入を得るために支出した金額」の範囲③」(最判平24.1.13)) 立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘 7 考察 第一審及び控訴審と最高裁で判断が最も大きく異なったのは、所得税法34条2項の「その収入を得るために支出した金額」の「支出」の主体が、明記されていなくとも当然の前提として、所得者本人とされているか否かという点である。 第一審及び控訴審は、法律上明らかではないとして、施行令から判断しており、施行令183条2項2号に「当該生命保険契約等に係る保険料又は掛金の総額は、その年分の一時所得の金額の計算上、支出した金額に算入する。」とあること及びその解釈通達である所得税基本通達34-4の柱書きに「令第183条第2項第2号・・・に規定する保険料・・・の総額には、その一時金又は満期返戻金等の支払を受ける者以外の者が負担した保険料又は掛金の額(略)も含まれる。」とあることから、法人の負担した保険料が所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に含まれると判断している。 一方最高裁は、下位規範である施行令によることなく、所得区分の意義等から、法律自体で解釈が可能なものとして、当然の前提から、所得者本人が支出したものだけが上記34条2項の「支出した金額」に含まれるとしている。 筆者も、最高裁同様、所得税における本件必要経費をはじめ必要経費に算入しうる支出の主体は、当然の前提として、所得者本人とされていると考える。 法34条には「その収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る)」とあり、このカッコ書きにより、「その収入を生じた行為をするため(直接)要した金額」「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に限定しているが、もし所得者以外が支払った金額を認めるとすれば、この限定が無意味なものになるからである。 なお「その収入を生じた行為をするため(直接)要した金額」としているのは、カッコ書き前半の「その収入を生じた行為をするため、」が「直接要した金額」と「要した金額」のいずれにかかるのかは明確ではないためである。これを例えば競馬の払戻金の課税事件である東京地裁平成27年5月14日判決では、何のためらいもなく「その収入を生じた行為をするため直接要した金額」としている。しかし私見であるが、いずれでも読める以上それを「要した金額」にかかるとして「その収入を生じた行為をするため要した金額」という読み方もありえることを記しておく(詳細は最後に改めて記す)。 なおこの所得税法施行令第183条は、法律の委任のない施行令規定であり(所得税法34条には、政令に委任する文言が全くない。そして所得税法施行令第183条の側にも、他の条文に見られるような「法~条に規定する」といった文言が存在しない)、例外を定めることができないものである。所得税法第68条には「この節に定めるもののほか、各種所得の範囲及び各種所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。」とあるが、このような包括委任規定では委任とはいえず、そうである以上、委任命令ではなく執行命令であるから、課税要件を左右するようなことは規定しえないものだからである。 よって同施行令183条に「総額は・・・支出した金額に算入する」との規定が、法律解釈から導き出される結論と異なるとしても、委任がない下位法令と法律の規定が異なる場合には、上位法令優先の原理(【第6回】参照。なお法律の委任に基づく場合には、法律の規定と同視し得る(【第7回】参照))から法律の規定が優先されるのであるから、最高裁が下した、所得者本人が支出したものだけが上記34条2項の「支出した金額」に含まれるという判断は、法律解釈の上では誤りのないものである。 しかし、施行令183条2項2号に「総額は・・・支出した金額に算入する」と、そして所得税基本通達34-4には「支払を受ける者以外の者が負担した保険料又は掛金の額(略)も含まれる。」とあるのであるから、34条2項の「支出した金額」に会社負担分も含まれると解するのが通常の読み方である。 また国側は、この34-4の注書きで、少額非課税とされた保険料が控除しうる保険料又は掛金の総額に算入できる旨定めていることから、これが例外を定めたものであって、自己の負担した保険料以外は控除できない前提がある旨主張している。しかし、本文に「支払を受ける者以外の者が負担した保険料又は掛金の額(略)も含まれる。」とある以上、国の主張するように少額非課税分が例外規定であるから、自己の負担した保険料であることが当然の前提であると読むのは困難である。 * * * ではこの施行令と通達について、どのような判断が為されているのか検討する。 まずは施行令183条2項2号の文言であるが、この点、第一審及び控訴審は、この施行令の「総額」という文言を重視して、34条2項の「支出した金額」に会社負担分も含まれると判断したが、最高裁はあくまでも法律の解釈との整合性が優先する旨、判示している。 なお別件事件(類似の事件の裁判がほぼ同時期に、本件事案と同様の福岡地裁・福岡高裁で争われている。本件事案との相違点を挙げれば、保険料の処理に関して、保険料の半額は法人で損金に算入し、残りの半額は給与として課税され源泉徴収されていた点である。しかしいずれにせよ、保険料の半額は所得者本人が負担している。その他の点では大きく異なるところはない。)の控訴審判決(後掲)では「生命保険契約等の契約期間は通常複数年に及ぶところ、保険金という収入を得るために支出した金額は、当該契約の全期間で支払った保険料であることからすれば、令183条2項2号が「総額」という文言を用いているのは、一時所得の金額の計算上控除できる保険料について、当該年度に支払った分だけでなく、過去に支払った分をも含むことを示す趣旨と解することができる」と、この「総額」の解釈について別の解釈を提示している。すなわち、本件納税者は、この「総額」を支払者に関係がなく保険会社に払い込まれた保険料の総額と見ているが、そうではなく所得者が支払ったものが当然の前提で、複数の年度の支払金額を含む意味で「総額」としているというものである。 このように解せば、施行令が法律と異なった規定をしていたわけではないことになる。 * * * では、所得税基本通達34-4はどうであろうか。この点に関しても、第一審及び控訴審はその文言を重視して34条2項の「支出した金額」に会社負担分も含まれると判断したが、最高裁は、「所得税法基本通達34-4も、以上の解釈を妨げるものではない」とするのみである。 上記別件控訴審では、上記したような注記からの国の主張を認め、「形式的文言はともかく、一時所得の金額の計算上控除することができる金額は、給与課税等をされることにより所得者本人が負担した金額とする趣旨のものと解するのが相当である」としている。さらに、「通達によって、国民に対し、法令が要求している以上の義務を課すことも、また、納税義務を免除したり軽減したりすることも許されないものと解される」として、この通達がどのように規定しているとしても、租税法律主義の点から、通達が法律による解釈を変えることはできない旨、判示している。 このように施行令183条2項2号及び所得税基本通達34-4について検討がなされ、その一義的に理解し得る文言と異なる結論が導き出されている。 筆者は、上記のごとく、所得税における本件必要経費をはじめ必要経費に算入しうる支出の主体は、当然の前提として、所得者本人とされていると考えており、また法律の委任のない施行令や通達は、法律の解釈を制限し得ないのであるから、この最高裁の判断は正当と考える。 ただし、施行令及び通達の一義的に理解し得る文言を信頼した納税者の保護という点で問題はないわけではないと考える。しかしこの点は、本稿の論点ではないので割愛するが、本事件は、加算税についての「正当な理由」に該当するかについて審理を尽くさせるため、この点につき原審に差し戻しており、この中で論じられている。参照されたい。 * * * さきに法34条のカッコ書きについて、「その収入を生じた行為をするため要した金額」という読み方もある旨記した。この点もう少し詳しく書こう。 もし「直接」が両方に掛かることを明確に意識して立法したなら、これを「その収入を生じた行為をするため又はその収入を生じた原因に伴い、直接要した金額」あるいは「その収入を生じた行為をするため又はその収入を生じた原因に伴って、直接要した金額」と規定することもできたはずである。 もっとも、「直接」が「要する」に掛かるものである以上、これを分離するのは理に合わないという反論もあろう。 また通説的には「一時所得の金額の計算上一時所得に係る収入,支出について総体対応計算によることなく,収入を生じた各行為又は各原因ごとに個別対応的に計算し,その反面収入を生じない行為又は原因に係る支出は控除項目から除かれることを定めたものと解される。(DHCコンメンタール所得税法2653頁)」とされている。 しかし立法者は必ずしも「直接性」にこだわっていないように思える。というのは、この法34条の解釈を示した所得税法施行令183条が、上記のように、個別的対応関係ではなく総体的対応関係によることを明らかにしているからである。 保険契約は一種の射幸契約であるから、競馬の払戻金の課税事件において外れ馬券を除外するという論理による「直接要した金額」の解釈からは、死亡保険金ならばその死亡保険金をえた保険部分の保険料のみが「その収入を生じた行為をするため直接要した金額」になるべきところ、総体的対応関係により他の保険部分の保険料の控除を認めている。これが「その収入を生じた行為をするため直接要した金額」を総体的対応関係で計算し得るからか、直接性が「その収入を生じた行為をするため要した金額」に掛からないことからなのかは議論の余地があるが、総体的対応関係として保険料の総額を控除しうる解釈が施行令で示されている以上(上記したように委任政令ではない以上、この政令は法の範囲を超えることはできず、規定されているものはいわば解釈でしかない。)、「直接」は「その収入を生じた行為をするため」のものとしては強く意識されていないものといえよう。 8 他の関係判決 本件差戻審 上記別件事件の判決 第一審(福岡地裁平成22年3月15日判決) 控訴審(福岡高裁平成22年12月21日判決) 上告審(最高裁第一小法廷平成24年1月16日判決) 差戻審(福岡高裁平成25年5月30日判決) * * * 次回は、退職所得の意義を明らかにした昭和58年9月9日最高裁判所第二小法廷判決を取り上げる。 (続く)
