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11月3日(月)開催:笹岡宏保氏セミナー【裁決事例から学ぶ】相続(贈与)税、財産評価に関する実務重要事項の確認
プロフェッションネットワーク主催の税理士 笹岡 宏保氏による【1日で理解する】セミナーシリーズ。 TAC八重洲校にて11月3日(月(祝日))開催のお申込受付を開始しました! テーマは【裁決事例から学ぶ】相続(贈与)税、財産評価に関する実務重要事項の確認 。 今回も皆さまからご要望の多かったテーマを取り上げました。 セミナー内容の詳細やお申込方法など、くわしくは下記からご覧ください。
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《速報解説》JICPAから 「『経営者保証に関するガイドライン』における法人と経営者との関係の明確な区分等に関する手続等について」が公表~「公認会計士等の検証に関して合意された手続業務」の手続例を示す~
《速報解説》 JICPAから 「『経営者保証に関するガイドライン』における法人と経営者との関係の明確な区分等に関する手続等について」が公表 ~「公認会計士等の検証に関して合意された手続業務」の手続例を示す~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成26年9月3日付で、 日本公認会計士協会は、「『経営者保証に関するガイドライン』における法人と経営者との関係の明確な区分等に関する手続等について」(中小企業支援対応プロジェクトチームによる報告。以下「PT報告」という)を公表した。 平成25年12月に「経営者保証に関するガイドライン」及び「『経営者保証に関するガイドライン』Q&A」が公表されており、その中で、公認会計士等が行う検証について記載されている箇所がある。 PT報告は、公認会計士等が行う検証に関して合意された手続の業務を行う際の手続を例示するものである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 経営者保証に関するガイドライン 中小企業・小規模事業者等においては、経営者による個人保証が行われていることがあり、経営への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する側面と、保証後において経営が窮境に陥った場合における早期の事業再生を阻害する要因となっているなどの企業の活力を阻害する側面があり、経営者保証の契約時及び履行時等において様々な課題が指摘されている。 「経営者保証に関するガイドライン」は、中小企業・小規模事業者等の経営者による個人保証の契約時及び履行時等における様々な課題に関して、中小企業、経営者及び金融機関による対応についての自主的自律的な準則として策定されたものである。 2 公認会計士等による検証 「経営者保証に関するガイドライン」の「4.経営者保証に依存しない融資の一層の促進」の中の「(1)主たる債務者及び保証人における対応」において、主たる債務者が経営者保証を提供することなしに資金調達することを希望する場合には、まずは、以下のような経営状況であることが求められるとされている(「『経営者保証に関するガイドライン』Q&A」のQ4-1からQ4-4)。 PT報告において例示している手続は、下記の①の「法人と経営者との関係の明確な区分・分離」において、公認会計士等の検証に関して合意された手続の業務を行う際の手続である。 3 公認会計士等の検証に関して合意された手続 公認会計士等の検証に関して合意された手続の業務を行う際の例示として、以下の各項目について実施する手続を示している。 公認会計士等は、PT報告に例示される合意された手続契約書(PT報告の「3.本報告が前提とする契約書等」)を債務者である会社等と締結し、その契約の中で規定され、また、合意された手続実施結果報告書に記載される手続が想定されている。 4 公認会計士等の検証に関して合意された手続に関する報告書 公認会計士等の検証に関して合意された手続を実施した結果を示す報告書は、法人と経営者との関係の明確な区分・分離について、いかなる評価や結論を報告するものでも、保証の提供をするものではないと述べられている(PT報告1)。 また、経営者保証の要否等に関する融資条件についての意見を述べるものではなく、経営者保証を融資条件に付すか否かに関しては、債権者が与信手続において判断するものと考えられると述べられている(PT報告1)。 (了)
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《速報解説》 ASBJから「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い」(公開草案)が公表~地方法人税の創設により記載内容を改正~
《速報解説》 ASBJから「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する 当面の取扱い」(公開草案)が公表 ~地方法人税の創設により記載内容を改正~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成26年9月26日、 企業会計基準委員会は次の公開草案を公表し、意見募集を行っている。 平成26年度税制改正において、地方法人税が創設されたことを受けて、連結納税制度に関する実務対応報告の見直しを行ったものである。 平成26年度税制改正に関連して、平成26年3月31日付で、企業会計基準委員会は、「第284回企業会計基準委員会議事概要(平成26年度税制改正に伴う会計処理の周知を含む)」をホームページに掲載していた。 意見募集期間は、平成26年11月26日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な改正事項 平成26年度税制改正における地方法人税の創設に伴い記載内容を改正しているが、連結納税制度を適用している場合の税効果会計の考え方を変更するものではない。 地方法人税法では、連結納税制度を適用している場合、地方法人税の課税標準である基準法人税額は、連結事業年度の連結所得の金額から計算した法人税の額とするとされている。 1 連結納税主体における連結財務諸表上の取扱い 地方法人税に係る繰延税金資産の回収可能性の判断は個別所得見積額だけでなく、連結所得見積額も考慮して行うこととなるため、連結財務諸表において、地方法人税に係る繰延税金資産の回収可能性は、連結納税主体を一体として判断する。 2 連結納税会社における個別財務諸表上の取扱い 連結納税制度を適用する場合の地方法人税の個別帰属額は連結納税会社ごとに把握できるため、連結納税会社の個別財務諸表において、地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額は、連結納税会社ごとに計算する。 Ⅲ 適用時期 (了) お薦め連載記事↓↓
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Profession Journal No.87が公開されました!~今週のお薦め記事~
2014年9月25日(木)AM10:30、Profession Journal No.87 が公開されました。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
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山本守之の法人税“一刀両断” 【第3回】「寄附金課税と贈与の立証」
山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第3回】 「寄附金課税と贈与の立証」 税理士 山本 守之 〔事例の内容〕 〔検 討〕 (条文の分析) この事件で国側が更正処分で適用したのは法人税法第37条第8項で、ここには次のように書かれています。 この条文の主文は、最後の文章の「・・・と認められる金額は、」の後に出てくるものですから、「(贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は)寄附金の額に含まれるものとする」ということです。 また、条文の最後に「含まれるものとする」と書かれているので、条文は『確認規定』であって、『創設的規定』ではないということです。 税法条文は、次の2つに分類されます。 『創設的規定』とは、その条文が存在することで、規定の内容が法規定の適用を定めるものをいい、『確認規定』とは、その条文がなくても条理上当然の解釈ができるが、念のため規定しているというものです。 上記の法人税法第37条第8項では、時価よりも低い価額で譲渡した場合、「寄附金の額に含まれるものとする」としながら、時価よりも高い対価で譲渡した場合(高価買入れ)については何も書かれていません。この場合も寄附金となるはずですが、事例が少ないから書いていないだけです。 寄附金が生ずるのは時価と対価の差額がある場合のうち、「実質的に贈与又は無償の供与をした場合」でなければなりません。時価との差額が存在するだけでは、寄附金と認定することはできず、課税庁は「時価との差額」と「実質的贈与」と「経済合理性の不存在」を立証しなければならないのです。 (高額・低廉譲渡=寄附金・受贈益ではない) 冒頭の事例において、筆者が東京地方裁判所に出した意見書には次のように述べています。 寄附金の課税要件は、「実質的贈与であること」ですから、必ず「経済的合理性の不存在」が立証されなければなりません。 法人税基本通達9-4-1は、「子会社のために債権放棄等をしなければ、今後より大きな損失を被ることになることが社会通念上明らかであると認められる場合、その供与した経済的利益の額は寄附金の額に該当しない」ものとしています。 また、同通達9-4-2は、子会社に対してやむを得ず行う無利息貸付け等の経済的利益の供与は寄附金と認定していません。これは、たとえ単純贈与であったとしても、経済的合理性があれば、寄附金とはならないことを意味します。 したがって、寄附金認定をする場合は、「時価を証明すること」と「経済的合理性の不存在を証明」しなければならないのです。 私的自治の下に行われている経済取引の価格に対して、課税庁は安易に介入してはいけませんから、法人税法第37条第7項及び第8項と通達や判例は、寄附金認定について厳しい要件を課しているということです。 税実務において、課税要件を知らない課税庁職員が、高額、低廉譲渡に対し、単純な発想で寄附金又は受贈益と認定しようとする場面がありますが、「実質的に贈与又は無償の供与がある場合(又は高額譲受け)」だけ、寄附金の額が生ずるのです。 したがって、適正な原価計算によって取引した場合は、たとえ親子会社であっても寄附金課税が発生する余地はありません。 この事例について東京地方裁判所では、判決文で としました。納税者勝訴です。国側は控訴を断念しましたから、この判決は確定しています。 この事例で筆者から読者の皆様に申し上げたいのは、税理士は決して会計の専門家ではなく、租税法という法律の専門家ですから、税務調査に当たっては、納税者に対して課税要件を具備しているか否かを検討しなければならないということです。 この事例でも国側の更正処分は、「本件売上値引き及び本件単価変更に係る金額は、法人税法第37条第7項所定の寄附金に該当する。」としているだけで贈与の立証がないので、寄附金となるわけはないのです。 (了)
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「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例18(法人税)】 「所得拡大促進税制の適用を満たしていたにもかかわらず、税理士がこれを適用せずに申告したため、「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」の適用が受けられなくなった事例」
「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例18(法人税)】 税理士 齋藤 和助 《事例の概要》 平成26年3月期の法人税につき、依頼者の給与支給額が5%以上は増加していないとの思い込みから、「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」を適用せずに申告を行った。 申告書提出後、来期の経過措置の適用の有無を確認するため、給与データを依頼したところ、今期の適用要件を満たしており、経過措置の適用は受けられないことが判明した。 これにより、過大納付となった法人税額等500万円につき賠償請求を受けた。 《賠償請求の経緯》 H26.3.31 平成26年3月期が「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」の適用を満たして終了。 H26.5.30 平成26年3月期につき上記特別控除の適用をせずに申告。 H26.6.19 来期の経過措置の適用の有無を確認するため、平成26年3月期の給与データを入手。 H26.7.3 平成26年3月期が旧要件を満たしていたことが発覚。 《基礎知識》 ◆雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(措法42の12の4①) 青色申告法人が、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その法人の雇用者給与支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上(平成26年4月1日以後終了事業年度は2%)などであるときは、雇用者給与等支給増加額の10%相当額の税額控除が受けられる。ただし、法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額が限度となる。 ◆税額控除限度額及び税額基準額の経過措置(平成26年改正法附則82②) 法人が経過年度(平成25年4月1日以後に開始し、かつ、平成26年4月1日前に終了する事業年度で、改正前の制度の適用を受けていない事業年度をいう)において改正後の要件のすべてを満たすときは、その経過年度について改正後の規定を適用して算出される税額控除相当額を翌事業年度の税額控除額に上乗せして法人税額から控除できる。なお、税額基準についても経過年度の月数に応じて上乗せできることとされる。 ただし、上乗せ控除はあくまでも平成26年3月期に旧要件を満たさないが、新要件を満たす場合に適用できる措置であるため、平成26年3月期に旧要件を満たしている場合には平成27年3月期に上乗せ控除を適用することはできない。 (※) 税額基準額も2倍の20%(中小企業者等については40%)となる。 《税理士の落とし穴》 《税理士の責任》 依頼者はこの特別控除の適用要件を満たしていたにもかかわらず、税理士はこの特別控除の適用をしないまま申告し、申告後に来期の経過措置の適用の有無を確認していて自らそのミスに気づいている。決算作業において、特別控除の適用要件を確認し、必要なデータを依頼者から入手していれば、適用は受けられたことから、税理士に責任がある。 なお、本件事故は平成26年3月期において、平成26年度改正前の適用要件を満たしていることから、経過措置の適用はないため、平成27年3月期に回復する控除額はない。 《予防策》 [ポイント①] 主な税制改正事項については事前に説明を行う 主な税制改正項目は事前に説明を行う。特に本事例のような納税者にとって有利な新設税制は、事前に一通り説明を行った上で依頼者が適切な判断を行えるようにすべきである。 なお、本事例のように会計データ以外のデータが適否の判断材料になる場合には、余裕をもって依頼するように心がけたい。 [ポイント②] 文章等による証拠を残す 十分な説明を行った場合でも、依頼者から説明を受けていないとして、損害賠償請求される場合もある。そこで、将来紛争になった場合に、必要な説明を行ったことを証明できるように、メール、FAX等文章による証拠を残しておくことが重要である。 (了)
相続税・贈与税
税務
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マンション保有者のための相続税対策とその留意点 【第2回】「マンション購入検討者のための対策」
マンション保有者のための相続税対策とその留意点 【第2回】 「マンション購入検討者のための対策」 ミレニア綜合会計事務所 代表税理士 甲田 義典 【はじめに】 本稿では、前回に続き、相続税を中心とした税金対策のうち居住用・投資用のマンションの購入検討者に焦点を当てたものを中心に解説する。 1 『居住用マンション』の購入を検討している場合 居住用のマンションを購入するケースとしては、 が想定される。 検討可能な税金対策としては、主に「マンション取得時」と「買換えする際の譲渡時」において、以下のような特例の適用が考えられる。 ◆新規取得の際の特例 ① 住宅ローン控除(マンション取得の際の特例) 居住用マンションに関して住宅ローンを組んだ場合には、一定要件のもと平成26年4月1日以降に居住すれば最大で年40万円の所得税等(住宅借入金4,000万円×1%、認定長期優良住宅の場合には、対象となる住宅借入金がさらに1,000万円上乗せされ、最大年50万円)の控除を10年間受けることが認められている(措法41)。 また、住宅ローン控除との選択により、一定の認定住宅に関しては、平成26年4月1日以降に居住すれば、認定基準に適合するために必要とされる所定の費用の10%相当額について、居住年のみ最大65万円の所得税の税額控除が認められている(措法41の19の4)。 なお、居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の措置法上の特例(措法31条の3、35条、36条の2、36条の5若しくは37条の5他旧措置法の特例)を受けている場合には、住宅ローン控除の適用は認められないため留意が必要である(措法41⑮⑯)。 ② 住宅取得資金の贈与と相続精算課税制度の特例(子・孫による取得の際の特例) 相続税対策として子や孫へマンションの購入資金を贈与する場合には、その贈与を受けた子や孫は、贈与税の基礎控除110万円(相法21の5、措法70の2の3)のほか、一般の住宅であれば平成26年中は500万円(取得する住宅が「省エネ等住宅」の場合1,000万円)までの贈与について一定要件を満たし所定の手続きをすることで贈与税が非課税となる(措法70の2)。 つまり、住宅を取得することを前提とすれば、平成26年中は最大1,110万円の資金を子や孫へ無税で贈与することが可能と考えられる。 なお、相続時精算課税制度(相法21の9)との併用が可能であるため、例えば、相続時精算課税制度を選択している子供が、父親から住宅取得資金とその他の贈与を受ける場合には、最大で3,500万円(省エネ等住宅の住宅取得等資金1,000万円+相続時精算課税の特別控除2,500万円)の財産を無税で贈与することが可能と考えられる(措法70の3)。 ◆買換え時の特例 ③ 居住用財産の買換え(譲渡の特例) 居住用マンションを買い換えた際に生じた譲渡益は、原則として譲渡所得課税が行われる。しかし、譲渡年の1月1日において所有期間10年超の居住用マンションを平成27年12月31日までに売り、代わりのものに買い換えたときは、一定要件の下、譲渡益に対する課税を将来に(すなわち、買い換えた居住用マンションを売却する時まで)繰り延べることが可能となる(措法36の2)。なお、以下④の居住用財産の特別控除と軽減税率との併用は認められない。 一方、譲渡損が生じた場合には、その損失の金額を他の土地又は建物の譲渡所得の金額から控除できるが、その控除をしてもなお控除しきれない損失の金額は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することは認められない。 しかし、買い換えたマンションについて住宅ローンがあるなど一定の要件を満たせば、譲渡をした年の事業所得や給与所得など他の所得との損益通算をすることが認められ、これらの通算を行ってもなお控除しきれない損失の金額については、その譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰越控除することが可能である(所法69、措法31、措法32、措法41の5)。なお、この譲渡損の損益通算と繰越控除については、上記①の住宅ローン控除との併用が認められている。 ④ 居住用財産の特別控除と軽減税率の適用(譲渡の特例) 居住用のマンションを売ったときは、一定要件の下、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除が認められている(措法35)。なお、譲渡年の前年、前々年において、上記③の居住用財産の買換えの特例や損益通算及び繰越控除、この特別控除の適用を受けていた場合には適用できない。 また、譲渡年1月1日において所有期間が10年超であれば、一定の要件の下、譲渡所得に対する適用税率が譲渡所得6,000万円までは税率が14%(所得税10%、住民税4%)に軽減される(措法31の3①、地法附34の3)。なお、居住用財産の特別控除との併用は可能であるが、上記③の買換えなどの特例とは重複適用は認められていない。 2 『投資用マンション』の購入を検討している場合 投資用マンションを取得した場合には、家賃収入を得ることになり、税務上は不動産などの貸付けによる所得は不動産所得になる(所法26)。 不動産所得は、その不動産貸付けがの事業的規模に該当するか否かによって、所得金額の計算上の取扱いが異なる。 事業的規模の判定は、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって実質的に判断することになるが、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業的規模として取り扱われる。 事業的規模に該当する、しない(以下「非事業」)の所得計算の特徴は以下のとおりである(所法51、57、64、措法25の2、所基通26-9)。 不動産所得が赤字となった場合には、原則として他の所得との損益通算が認められている。しかし、借入金で投資用マンションを取得した場合には、その借入金のうち敷地利用権に対応する支払利息に相当する赤字については損益通算が認められない(措法41の4)。また、一定の組合や信託から生じた不動産所得の計算上生じた赤字に関しても、損益通算の制限が課せられているため留意が必要である(措法41の4の2)。 なお、サラリーマンなどの給与所得者が投資用マンションを取得した場合には、例えば、1箇所から給与の支払いを受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下であるような場合には、原則として確定申告が不要となる(所法121)。 (連載了)
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組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第10回】「資産調整勘定の計上(東京地裁平成26年3月18日判決)②」
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第10回】 「資産調整勘定の計上(東京地裁平成26年3月18日判決)②」 公認会計士 佐藤 信祐 前回で解説したように、本事件における争点は以下の2点である。 ① 法人税法132条の2の意義【争点1】 (ⅰ) 法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(不当性要件)の解釈について (ⅱ) 「その法人の行為又は計算」の意義について ② 本件計画を前提とした分割承継行為を法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か【争点2】 【争点1】については、第1回目から第8回目に解説した内容と変わらないため、本稿においては【争点2】についてのみ解説を行う。 (5) 当事者間の主張(【争点2】のみ) ① 被告の主張 実質的に、分割後に当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係が継続する分割であるにもかかわらず、特段の事業上の必要のない取引を行うことによって、法人税法上、「非適格分割」としての規定の適用を受けることが容易に許されるとすれば、組織再編成において実態に合った課税を行うため、資産等の移転が形式のみで実質においてはまだその資産等を保有しているということができるものであるとき、すなわち、移転資産等に対する支配が継続している場合には、その譲渡損益の計上を繰り延べて従前の課税関係を継続させるという法62条の2及び62条の3の趣旨は没却されることになる。 分割において、分割法人が期限切れ間近の未処理欠損金額を有していた場合、分割後も、実質的に当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係が維持されるにもかかわらず、それが「非適格分割」と扱われることによって、未処理欠損金額と相殺される分割法人の分割益に対応する形で、分割承継法人に資産調整勘定が新たに生じることとなる。そして、これは、期限切れにより消滅するはずであった分割法人の未処理欠損金額が、完全支配関係にある分割承継法人において、分割された事業から生じる益金と相殺することが可能な資産調整勘定に振り替えられたものと同様に考えることができ、グループ単位で考えれば、未処理欠損金額の使用期限が延長されたのと同様の効果が生じたものと見ることができる。 このようなことを容認すれば、未処理欠損金額を損金の額に算入することができる期限を設けた法57条1項の趣旨を没却することになるし、上記のような取引を行うことができない法人グループ、すなわち、同項の規定により、期限の経過による分割法人の未処理欠損金額の消滅を甘受せざるを得ない法人グループとの間の課税の公平を考えた場合、看過できない課税上の弊害を生じさせることは明らかである。 本件分割は、原告、C社及びA社の間での完全支配関係を実質的に継続することを計画して行われたものであることは明らかであり、これはまさに、実質的には「適格分割」に該当する分割について、「非適格分割」の形式を作出したものというほかない。 ② 原告の主張 法132条の2の「不当」性の判断に当たり、ある行為が私的経済取引の観点からみて「異常ないし変則的」との評価を受けるか否かは、通常の経済人(金子名誉教授の言う平均的事業家)が現に行っている行為との比較により判断するほかない。そして、本件のような連続した組織再編成取引が「異常ないし変則的」と評価されるか否かに関しては、まさに通常の経済人や平均的事業家が現に行っている通常のM&A・組織再編成取引において一般的に行われているスキームとの比較により判断するのが、最も適切である。 本件の事案は、本件分割後に原告株式譲渡を1つ加えただけ(原告株式譲渡を前提に本件分割を行っただけ)であるところ、近時の通常のM&A・組織再編成取引においては、「株式買取(公開買付け含む)+合併」、「全部取得条項付種類株式を用いた完全子会社化+合併」、「配当又は自己株式取得+株式譲渡」など、省略可能な取引〔意図する経済的成果(取引の出来上がり)を達成するためには必須とはいえない取引〕を、税務上の考慮から1つ加えることは、ごく一般に行われている。 原告株式譲渡を前提に本件分割を行えば、適格要件へのあてはめとしては非適格分割にしかなり得ず、原告株式譲渡を行うことを前提に本件分割を行う(もって非適格分割とする)ということは、まさに適格要件に係る法令の規定が正面から予定している完全に想定可能な行為である。 本件取引と同様の経済的効果を達成するために、分社型分割に代えて分割型分割のスキームを用いることが可能である。 すなわち、①C社が分割型新設分割により原告を設立し、C社のデータセンターの営業等に係る事業に関して有する権利義務を原告に承継させる(分割型分割)、②A社が、B社から、C社及び(B社が分割型分割により割当てを受けた)原告の発行済株式全部の譲渡を受ける(原告株式及びC社株式譲渡)、③A社が、C社株式譲渡及び原告株式譲渡によりA社の完全子会社となったC社との間で吸収合併を行う(本件合併)、という三段階の取引から構成されるスキームによって、A社によるB社からのC社の買収を実行することも本件では選択可能であった。かかる分割型分割スキームも、本件のスキームと同様、A社が本件合併の効力発生を待たずに、直ちに原告をその直接の子会社とすることができるスキームであり、かかるスキームは何ら異常でも変則的でもないといえるところ、当該分割型分割のスキームを選択した場合にも、C社による分割は非適格分割となる。すなわち、100パーセントの持分関係にある法人間での分割に係る適格要件(法2条12号の11イ)、50パーセント超100パーセント未満の持分関係にある法人間での分割に係る適格要件(法2条12号の11ロ)、及び共同事業を営むための組織再編成に係る適格要件(法2条12号の11ハ)のいずれも充足しないため、当該分割型分割スキームは非適格分割となる。 そうであるとすると、原告株式譲渡を前提に本件分割を行い本件分割が非適格分割となったからといって、「通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ」たとはいえない。 ③ 総括 このように、当事者間の主張はほとんどかみ合っておらず、上記においては省略したが、原告の主張は、事業目的の存在についてかなり主張を割いている。 無論、原告においては、他の合理的なスキームとの比較という点で租税回避行為とは言えないという点を主張しているが、株式譲渡の前に会社分割を行ったという点が問題になるのに対し、株式譲渡の前に分社型分割ではなく、分割型分割を行った場合と比較しているという点で、やや無理のある主張であるように思える。 本事件の特殊性としては、買収会社であるA社の発行済株式の約42.1%を被買収会社の株主であるB社が保有していたという点であり、株式譲渡、分割、合併という順序を分割、株式譲渡、合併というように入れ替えることについては、さほど違和感がなく、コストが追加的に発生する話でもなかったからであると考えられる。 この点について、原告はC社株式譲渡の4日前にF社株式を譲渡する事業目的について主張しているが、あまり納得感の得られるものではなく、メリットもないけど、デメリットもないから、順番を入れ替えたというのが実情ではないかと推定される。 本事件において思うところとしては、原告が主張しているように、現金交付型合併でもなく、現金交付型株式交換+合併でもなく、「全部取得条項付種類株式を用いた完全子会社化+合併」を行うということを租税回避として取り扱わなかったことがすべての始まりであると考えられる。 他の主張である「株式買取(公開買付け含む)+合併」については、そもそもそれを想定したうえで、繰越欠損金の利用制限、特定資産譲渡等損失の損金不算入の制度をそれぞれ設けているわけであるし、「配当又は自己株式取得+株式譲渡」については、受取配当等の益金不算入の制度趣旨に合致する範囲内で行っているため、実務上、問題になることはほとんどない。 しかしながら、「全部取得条項付種類株式を用いた完全子会社化+合併」については、租税回避に該当するか否かという点について懸念を持ちながらも実務が運用されていった挙句に、「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(現産業競争力強化法)」において略式スクイズアウトを導入し、平成26年度の会社法改正においては、全部取得条項付種類株式、株式併合を用いた完全子会社化についてそれぞれ整備がなされ、もはや、現金交付型株式交換を非適格株式交換とした趣旨は没却されてしまっている。しかも、平成18年度税制改正により、連結納税の時価評価を回避する手法として、適格株式交換による完全子会社化を認めているため、時価評価を回避する手法については、次々に生み出されているというのも実態である。 そうなってくると、この程度のことは、「ごく一般に行われている」と原告が主張をする気持ちも十分に理解できる。 また、別訴のみなし共同事業要件についての事件においては、 とまで判示しており、立法上の問題を包括的租税回避防止規定に委ねる形となっており、本事件については、どうしても一罰百戒的な印象を拭えない。 次回においては、このような当事者の主張を受けて、裁判所がどのような判断を行ったのかについて解説を行う予定である。 (了)
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こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第10回】「匿名組合の配当金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」
こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第10回】 「匿名組合の配当金から源泉徴収する 所得税及び復興特別所得税の処理」 税理士・社会保険労務士 上前 剛 当社は、匿名組合を組成し、不動産ファンドを運営しています。匿名組合の組成にあたり、A社から5,000万円、B社から3,000万円を出資してもらい、不動産を購入しました。匿名組合の営業者は当社、匿名組合員はA社とB社の2社です。当社、A社、B社は、いずれも内国法人です。不動産ファンドの業績は好調で、匿名組合契約に基づき、9月30日にA社に50万円、B社に30万円の配当金を支払う予定です。 匿名組合の配当金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理についてご教示ください。 営業者が匿名組合員に匿名組合の配当金を支払う場合、20.42%の税率で所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければならない。 今回のケースにおいては、匿名組合の配当金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税は、次の通りである。 ① A社 ② B社 また、営業者は、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税163,360円(A社分102,100円+B社分61,260円)を10月10日までに納付しなければならない。 (了)
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〈条文解説〉地方法人税の実務 【第8回】「これまでのまとめ」
〈条文解説〉 地方法人税の実務 【第8回】 (最終回) 「これまでのまとめ」 税理士 小谷 羊太 税理士 伊村 政代 ここまで7回にわたり、地方法人税法の条文を元に地方法人税の取扱いについて触れてきたが、今回は最終回として、これまでのまとめを掲載する。 なお、地方法人税は、平成26年10月1日以後に開始される事業年度から適用される。 1 法人住民税法人割の税率⇒【第1回】 地方法人税の創設により、道府県民税及び市町村民税についての税率が変更される。 (再掲) 2 納税義務者、課税事業年度⇒【第2回】 法人税を納める義務のある法人は、地方法人税の納税義務者となる。 地方法人税の課税事業年度は、法人の各事業年度となる。 3 税額の計算⇒【第3回】【第4回】 (1) 課税標準法人税額 地方法人税の課税標準法人税額は、「所得税額の控除」「外国税額の控除」「仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除」を適用しないで計算した法人税の額となる。 【参考】 課税留保金額に係る地方法人税額の課税標準法人税額は、別途、課税留保金額に対する法人税額となる。 (2) 地方法人税額 地方法人税額について、「(1)外国税額控除の規定の適用を受ける場合」、「(2)仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税額の控除の規定の適用を受ける場合」には、「(1)外国税額控除」「(2)仮装経理に基づく控除」の順に、それぞれ地方法人税から控除する。 【参考】 課税留保金額に係る地方法人税額と地方法人税額を合算した金額をもって、所得地方法人税額となる。それぞれの関係は次の図のとおりとなる。 4 納税地⇒【第2回】 地方法人税の納税地は、法人税法第16条から第18条までの規定による法人税の納税地とする。 法人税法第19条の規定は、法人税の納税地の指定の処分の取消しがあった場合における地方法人税について準用する。 5 中間申告⇒【第5回】 地方法人税法には、法人税と同様に中間申告についても規定されている。 中間申告書の提出は、平成26年10月1日に開始する事業年度分の確定申告書を提出する課税事業年度から適用があることに留意する。つまり、改正直後の適用については、地方法人税の確定申告書の提出の後に、その課税事業年度分の地方法人税を基礎として、中間申告分の地方法人税に係る中間申告書を提出することになる。 6 確定申告⇒【第6回】【第7回】 平成26年10月1日に開始する課税事業年度分の確定申告書から地方法人税の申告書を提出することになる。これを受けて、平成26年4月1日以後終了事業年度分の「別表1(1)」の様式は、[30欄]から[37欄]への記載箇所が、平成26年10月1日以後開始事業年度分の「別表1(1)次葉」へ移動となった。 上記の他にも旧別表と新別表では、記載箇所の変更が数箇所ある。 それぞれの別表は、次のとおりである(記載例については【第7回】参照)。 〈旧別表1(1)のひな形〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます(国税庁ホームページへ)。 〈新別表1(1)のひな形〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます(国税庁ホームページへ)。 〈新別表1(1)次葉のひな形〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます(国税庁ホームページへ)。 連載の最後に 今回の地方法人税法の創設により、地方における道府県民税や市町村民税の制限税率は引き下げられた。地方分権と言っておきながら、“地方法人税”と、あたかも地方を尊重したネーミングを使用しているが、筆者としては、中央に税収を集中させることに過ぎないのではないかと、疑問が残る制度のように思われる。 地域格差を是正するといっても、どう計算して配分するのか、国家が力を持つだけのことのように思えてならない部分もあるが、本連載が読者の皆様の参考となれば幸いである。 (連載了)
