法人・個人の所得課税における
実質負担率の比較検証
【第3回】
(最終回)
「累進課税制度の抜け道とは」
(株)よつばコンサルティング
税理士 石渡 晃子
税理士 青木 岳人
はじめに
第1回及び第2回では、“所得”に対する課税について、個人形態で獲得した場合と法人形態で獲得した場合、課税制度にどのような違いが存在し、それぞれ実質負担率はどの程度で、また、有利不利が入れ替わる金額はどのあたりか、といった比較を行った。
同じ課税所得であっても、「個人」という形態又は「法人」という形態、どちらで獲得するかによってその実質負担率が異なることは前回述べたとおりである。
それでは、例えば個人で1,000万円という課税所得を獲得した場合において、それがどのような種類の所得であっても実質負担率は同じになるのであろうか。
答えは否である。
それでは、課税所得が増大するにしたがって、実質負担率は最高税率に限りなく近づいていくのであろうか。
これも答えは否である。
所得税の制度は“総合累進課税”が原則であるが、すべての所得についてこれが適用されるわけではないためである。
所得税には、「超過累進税率」と「比例税率」という2つのシステムが「混在」している。
そこで最終回である第3回では所得税にスポットを当て、所得税の最大の特徴である累進課税制度、その矛盾点について考察をしたい。
1 所得税の制度
所得税とは、個人の所得に対して課される税であり、大まかな税額計算は、
① 所得の発生形態によって10種の所得に区別して各所得の金額を計算し
② 各種所得控除を差し引き
③ 超過累進税率による税率を適用して所得税額を計算する
という流れである。
ここで、10種の各所得分類ごとに課税方法を整理してみよう。
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