〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第98話】 「所得税と法人税の違い」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一 昼休みに、中尾統括官と浅田調査官は、雑談をしている。 「・・・ところで・・・浅田君は、税務署に入るときに、所得税部門を希望したの?」 中尾統括官は、コンビニで購入したコーヒーを飲みながら訊ねる。 「・・・いいえ、僕は法人税部門を希望したのですが・・・どういうわけか所得税部門に配属されました」 浅田調査官は、少し不満そうに言う。 「そうだろうなあ・・・法人税部門は、企業に対する税務調査だから、個人事業者を相手にする所得税部門とは違う・・・個人事業者は、自分の財布を直接調べられるような感じだから、税務調査に対して、抵抗が強くなると思う・・・」 中尾統括官は少し間を置いて続ける。 「もっとも、中小企業も『社長=企業』だからあまり変わらないかもしれない・・・しかし、帳簿書類等は、一般的に、個人よりも法人の方がきっちりしているから、調査がしやすいのかもしれない・・・それに、法人の方が税務調査に対して紳士的な対応をしてくれるところが多い・・・」 中尾統括官は、薄笑いをしながら頷く。 「・・・しかし、僕は法人税よりも所得税の課税理論の方が複雑で面白いと思う・・・浅田君はどう思う?」 中尾統括官は、浅田調査官を見る。 「・・・そうですねえ・・・」 浅田調査官は、頸を傾けながら、思案顔になる。 「法人税の所得は一つだけで単純だけれど、所得税は10種類の所得に区分され、各種所得の損益通算の有無が細かく規定されている・・・」 そう言うと、中尾統括官は、「損益通算の順番①~⑮」の図表を机の引き出しから取り出す。 「・・・複雑だなあ・・・僕も損益通算の順番を間違えそうだ・・・」 浅田調査官は、苦笑いをしながら、図表を見詰める。 中尾統括官は、続けて説明する。 「・・・所得税の形態としては、各種所得ごとに別々に課税する『分類所得税』と全所得を合算して課税する『総合所得税』があるが・・・日本の所得税は、原則、総合所得税と言われている・・・」 そのとき、浅田調査官は、口を挟む。 「・・・しかし、一部、利子所得、配当所得、株式譲渡、土地等の譲渡等で『分離課税』を採っている・・・」 中尾統括官は、浅田調査官の言葉に頷く。 「・・・日本の所得税は、ドイツに倣って基本的に『総合所得税』を採用しているが、一部、利子配当など『分離所得税』を採っている・・・ヨーロッパでは、フランス、イタリアなどの国は、『分離所得税』を採用している・・・」 「中尾統括官は、国際税務も詳しいですね」 浅田調査官は、尊敬の眼差しを中尾統括官に向ける。 「・・・ところで、何故、法人税は、所得を分類しないのですか?」 浅田調査官が訊ねる。 「・・・個人の場合、所得を獲得する背景(原因)は、いろいろとあり、その担税力も所得の種類によって異なることから、課税上、所得の分類が必要となる・・・」 中尾統括官は、少し考えてから続ける。 「それに対して、株式会社などの法人は、もともと利益を求めるために作られた組織であるから、法人の所得は、個人と違って、一つだけで十分であると考えられたんだと思う・・・」 そう言うと、中尾統括官は、罫紙に図を描く。 「・・・そうですねえ・・・所得税は、個人が得た所得が、どの所得に該当するのかという問題があります・・・過去の判例などを見ても、所得区分についての争いは、沢山あります・・・」 浅田調査官は少し間を置いて続ける。 「われわれ税務署は、所得の種類の中で比較的、雑所得が好きだと思うのです・・・雑所得のポイントは、損益通算ができないということです・・・航空機リース事件(【第17話】)なども、不動産所得(納税者)と雑所得(税務署)の争いです・・・」 浅田調査官は、航空機リース事件を思い出しながら続ける。 「なお、この事件の後、航空機リース事件の納税者は、航空機購入に係る借入金がノンリコースローンであったため、航空機売却に際して債務免除され、その経済的利益を『一時所得』として申告したところ、税務署から『雑所得』として、再度、更正処分等を受けました・・・ 「もっとも、訴訟では、この二つの事件とも、納税者が勝訴し、税務署は負けましたが・・・」 浅田調査官は、苦笑いを浮かべる。 「・・・その点、法人税には、所得税のような所得の区分についての争いはない・・・所得に関しては、単純なんだ・・・」 中尾統括官は、言葉を続ける。 「・・・以前、法人税でも租税回避の事件について、臨時的な損失は、経常的な所得とは通算を認めないようにしたら良いという意見があった・・・」 中尾統括官は首を横に振る。 「しかし、僕は一般的、包括的な規定を設けることは難しいと思う・・・だから、個別的に否認規定を設けるしかない・・・例えば、令和4年度の税制改正で、少額の減価償却資産制度の対象資産から、租税回避を防止するため、貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものを除外するような規定を設けることになるだろう・・・」 浅田調査官は、大きく頷く。 「そうです・・・租税回避を否認するためには、法律で具体的に否認するしかない」 浅田調査官は、力を込めて言う。 「世界的な潮流と言われている『一般的否認規定(GAAR/General Anti-Avoidance Rule』は、我が国では設けるべきではないと思います・・・」 (つづく)
《速報解説》 国税庁、「インボイスの取扱いに関するご質問」を10/28付けで更新 ~免税事業者等からの仕入れの時期と経過措置の適用に関する2問を追加~ 税理士 石川 幸恵 令和7年10月28日、国税庁はホームページ上で「インボイスの取扱いに関するご質問(令和7年10月28日更新)」を掲載し、新たに2問を公表した。 なお、公表された質問は次の通り。 いずれも、免税事業者等からの仕入れに係る経過措置に関するもので、80%控除から50%控除への切替え(令和8年10月1日)まで1年を切ったことを踏まえ、想定される疑問点を整理した内容である。 1 免税事業者からの仕入れに係る経過措置の確認 令和5年10月1日の適格請求書等保存方式開始から一定期間、免税事業者等からの課税仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられている(インボイスQ&A問113、28年改正法附則52、53)。 一定割合は次のとおり。 2 追加された2問の概要 今回追加された2問では、免税事業者等を相手方として、次の(1)~(4)の取引を行った場合について説明されている。取引の時期と控除割合の適用の関係については、下に図示したので、参照されたい。 (1) 令和8年9月21日から提供を受け、10月20日に完了した役務(問Ⅷ) 役務の提供を受けた場合の課税仕入れの時期は、原則として「その約した役務の全部が完了した日」となる。したがって、10月20日が課税仕入れを行った日となり、控除割合は50%を用いて計算することとなる。 (2) 上記(1)が役務の提供ではなく商品仕入れである場合(問Ⅷ) 商品の仕入れの場合の課税仕入れの時期は、原則として引渡しのあった日である。そのため、 となる。 実務上は、9月30日までの請求書と10月1日からの請求書の2枚に分けてもらうなどの対応が望ましい。 (3) 令和8年1月中に支払った短期前払費用(問Ⅸ) 法人税において、短期前払費用につきその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入している場合(法基通2-2-14)には、消費税の計算についてもその支出した課税期間の課税仕入れとして取り扱う(消基通11-3-8)。 免税事業者等に対して支払った短期前払費用についても経過措置の適用があり、令和8年1月中に支払った短期前払費用については、役務提供を受ける時期が令和8年10月1日以降にまたがる場合でも、全額について80%の割合により経過措置の適用を受ける。 (4) 短期前払費用の金額が契約変更等により変動した場合(問Ⅸ) 例として、9月末決算である法人が令和8年9月中に免税事業者等に対し、短期前払費用10万円(税込)を支払い、後に契約変更で11万円に増額されたので、10月に追加で支払った1万円について確認する。 9月末決算であるので、10月に払った増加分については翌課税期間の課税仕入れに係る消費税額に加算する(インボイスQ&A問96)。この増加分1万円に適用する控除割合は当初の申告時に経過措置の適用を受けた80%となる。 (了) ↓お勧め連載記事↓
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令和7年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和7年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
《速報解説》 ASBJ、「金融商品に関する会計基準(案)」等を公表 ~金融資産の減損に予想信用損失モデルを導入~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2025年10月29日、企業会計基準委員会は、「金融商品に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第89号。以下「金融商品会計基準(案)」という)等を公表し、意見募集を行っている。 これは、IFRS第9号「金融商品」の予想信用損失モデルを基礎として、金融資産の減損に予想信用損失モデルを導入するものである。 意見募集期間は2026年2月6日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 債権、満期保有目的の債券 金融商品会計基準(案)14項、16項では、次のように規定する。 Ⅲ 予想信用損失、貸付金代替性私募債 予想信用損失とは、信用損失を確率加重したものをいう(金融商品会計基準(案)(注5−2))。 信用損失とは、企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額(すなわち、すべてのキャッシュ・フローの不足額)を現在価値に割り引いたものをいう。 貸付金代替性私募債とは、貸付金の代替として銀行が引き受けて保有する私募債をいう(金融商品会計基準(案)(注5−3))。 Ⅳ 金融保証契約 金融保証契約の規定を新設する(金融商品会計基準(案)26−2項)。 金融保証契約とは、特定の債務者が金銭債務の当初又は変更後の条件に従って期日の到来時に所定の支払を行わないことにより契約保有者に発生する損失等を補償するために、当該保有者に対して所定の支払を行うことを契約発行者に要求する契約をいう。ただし、デリバティブに該当するものは除く(金融商品会計基準(案)(注8-2))。 Ⅴ 予想信用損失の算定方法 予想信用損失の算定にあたっては、期末において、債権、満期保有目的の債券、金融保証契約及び貸出コミットメント等(「債権等」という)の発生の認識以降におけるデフォルト発生リスクの変動に基づいて債権等に係る信用リスクが著しく増大しているかどうか判定する(金融商品会計基準(案)27項)。 予想信用損失は、以下を反映する方法により算定する(金融商品会計基準(案)27−2項)。 「金融資産の予想信用損失に係る会計上の取扱いに関する適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第88号。以下「予想信用損失適用指針(案)」という)において、詳細な規定及び設例が設けられている。 一般事業会社の通常の営業取引から生じる受取手形及び売掛金等、並びにリースにより生じた債権については、IFRS第9号において定められている営業債権、契約資産及びリース債権についての単純化したアプローチに関する定めを取り入れる。 Ⅵ 注記事項 信用リスクに関する情報として、次の事項を注記する(予想信用損失適用指針(案)72項)。 予想信用損失適用指針(案)では開示例が示されている。 Ⅶ 補足文書(案) 実務に資するように、信用リスクの著しい増大に関する判定、簡素化された予想信用損失の算定方法における信用リスクの著しい増大に関する判定などについて、補足文書(案)を公表する。 Ⅷ 適用時期等 20XX年改正の本会計基準(以下「20XX年改正会計基準」という)は、20XX年4月1日[公表から3年程度経過した日を想定している]以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。 上記の定めにかかわらず、20XX年4月1日[公表後最初に到来する4月1日を想定している。]以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から20XX年改正会計基準を適用することができる。なお、この場合には、20XX年改正会計基準と同時に公表又は改正された一連の会計基準等についても同時に適用する必要がある。 また、経過措置にも注意する。 (了)
《速報解説》 会計検査院、ストック・オプションに関する多額の課税漏れの可能性を指摘 ~国税庁が調査体制を厳格化へ~ 太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 吉本 壮介 1 概要 会計検査院は、役員及び従業員等がストック・オプションの権利行使によって取得した株式の売却益等に関し、多額の課税漏れが発生している可能性が高いとして、国税庁に対し対応の強化を求めた。これを受け、国税庁は令和7年8月に、ストック・オプションに係る課税漏れ防止策として、法定調書の情報等を活用した調査体制の強化を全国の税務署に指示したとみられる。 会計検査院の調査によると、過去2年間でストック・オプションの権利行使益課税や権利行使で取得した株式の譲渡益課税に関し、延べ150人・約60億円に及ぶ課税漏れが想定される事例が確認された。税制適格ストック・オプションでは116人・約18.8億円の譲渡所得申告漏れ、税制非適格ストック・オプションでは34人・約41.5億円の給与課税漏れの可能性が高いと指摘されている。 2 ストック・オプション税制 ストック・オプションのうち、譲渡制限があり無償で付与されるなど、租税特別措置法上の要件を満たすものは「税制適格ストック・オプション」とされる。この場合、権利行使時には課税されず、売却時に譲渡所得として申告(申告分離課税・税率20.315%)する。 一方、要件を満たさない「税制非適格ストック・オプション」では、権利行使時点で給与所得等として課税され、会社には源泉徴収義務が生じる。その後、売却時には改めて譲渡所得として課税される仕組みであり、両者で課税時期や態様が異なる点に留意が必要である。 【図】譲渡制限付ストック・オプションに係る課税の概念図 (出典:会計検査院ホームページ「ストック・オプションに係る課税の状況等について」より抜粋) 3 企業側における留意点 法定調書は、権利行使や譲渡の際に会社や金融機関が作成・提出するものであり、従来も国税当局はこれらを所得申告データと突合して課税状況を確認し、各種照会や実地調査等を通じて課税漏れ防止を図ってきたが、今回の指摘を受け、より詳細な照合や状況確認の厳格化が進められるとみられる。 企業側にとっては、非適格ストック・オプションにおける源泉徴収漏れが特にリスク要因となる。課税漏れが発覚した場合、企業側に多額の追徴課税や不納付加算税、延滞税の支払義務が生じる可能性があるため、経理・人事・法務部門等の連携強化が不可欠である。具体的には、権利付与・行使時点の株価把握、源泉所得税の計算・納付の確実な実施、役員及び従業員等への申告義務周知、そしてストック・オプション事務のマニュアル化やチェックリスト整備などを進めることが望ましい。 ストック・オプションは報酬制度として定着しつつあるが、その税務上の取扱いは制度区分や適用要件等によって異なるため、十分な理解と適切な運用が不可欠である。今後、国税庁による調査体制の強化に伴い、企業側は「ストック・オプションの今までの処理の確認」と「社内体制の整備」を進めることが一層重要になるだろう。 (了)
2025年10月30日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.642を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
谷口教授と学ぶ 税法基本判例 【第53回】 「給与所得該当性判断に関する「判断の一応の基準」の意味と展開」 -外国親会社ストック・オプション[所得分類]事件・最判平成17年1月25日民集59巻1号64頁- 大阪学院大学法学部教授 谷口 勢津夫 Ⅰ はじめに 前回は、弁護士顧問料事件・最判昭和56年4月24日民集35巻3号672頁(以下「昭和56年最判」という)において示された、事業所得と給与所得の区分に関する「判断の一応の基準」の意味について検討した結果、「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」という事業所得の定義で示された基準は「判断の完全な基準」である(したがって、弁護士の顧問料が事業所得に該当すると判断した同判決については、この基準がレイシオ・デシデンダイである)のに対して、「雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付」という給与所得の定義で示された基準は「判断の一応の基準」にとどまるという見解を述べた(そこでは前者の基準を「労務の提供等の独立性」基準、後者の基準を「労務の提供等の従属性」基準と呼んだ)。 今回は、米国親会社がその100%子会社である内国法人の代表取締役に対して付与したストック・オプションに係る権利行使益(以下「本件権利行使益」という)の給与所得該当性を認めた外国親会社ストック・オプション[所得分類]事件・最判平成17年1月25日民集59巻1号64頁(以下「本判決」という)が「所論引用の判例[=昭和56年最判]は本件に適切でない。」と判断したことの意味を検討しながら、昭和56年最判が示した給与所得該当性の判断基準(「労務の提供等の従属性」基準)が「判断の一応の基準」であることの意味をもう一度確認し、本判決におけるその基準の展開を検討することにしたい。 なお、過少申告加算税の賦課以外は本件と類似の事実関係の下で過少加算税につき「正当な理由」が認められるか否かが争われた外国親会社ストック・オプション[加算税]事件については最判平成18年10月24日民集60巻8号3128頁がある(第34回Ⅱ参照)。 Ⅱ 本判決と昭和56年最判との関係 本判決は本件権利行使益の給与所得該当性について次のとおり判示し(下線筆者)これを認めた。 ここでは、本稿の前記の目的に従って、まず、上記の引用判示の末尾の「所論引用の判例[=昭和56年最判]は本件に適切でない。」という判示の意味から検討を始めることにする。 上記の判示にいう「所論」は、上告人が上告受理申立て理由(民集59巻1号68頁、109-114頁)において、昭和56年最判に照らして「給与の支給者と使用者の同一性」を給与所得の要件とみて、「指揮命令者と支給者のかい離」を前提とする本件権利行使益が給与所得に該当するとした原審・東京高判平成16年2月19日訟月51巻10号2704頁の判断は昭和56年最判に違反する旨を主張するものであるが、本判決の調査官解説は、上記の判示を次のような考え方によるものと解説している(増田稔「判解」最判解民事篇(平成17年度(上))39頁、52頁。下線筆者)。 確かに、昭和56年最判の判示のうち「給与所得とは雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。」という部分だけを一見すると、上告受理申立て理由にいう「給与の支給者と使用者の同一性」が給与所得の要件であるようにも思われる。しかしながら、上記の調査官解説が述べるとおり、その判示部分がそもそも「判断の一応の基準」として示されたものにすぎず、しかも昭和56年最判の事案及び争点が本件と異なる以上、「労務提供の相手方と給付者のかい離の問題については、何らの判断もしていないもの」と解される昭和56年最判を、「本件に適切でない」とする本判決の判断は妥当である。 ただ、そうであるからといって、本判決が昭和56年最判の判断内容の全てについて「本件に適切でない」と判断したわけではないことに注意すべきである。本判決は本件権利行使益の給与所得該当性の判断に当たって昭和56年最判の判断内容を部分的には踏襲して判断を行ったものと解されるのである。 そこで次に問題になるのは、本判決が踏襲した部分は昭和56年最判の判断内容のうちどのような部分であるかであるが、その部分の判断内容については、次のⅢで、本件権利行使益の給与所得該当性に関する本判決の判断内容を検討しながら、明らかにしていきたい。 Ⅲ 「労務の提供等の非独立性」基準による「判断の一応の基準」の限定解釈 本判決については、本件権利行使益の給与所得該当性を認める根拠を示していないとする次のような批判がある(大淵博義「親会社株式によるストック・オプションの権利行使益を給与所得とした最高裁判決の波紋(上)~給与所得判決の疑問と伝統的課税理論への影響~」税経通信60巻4号(2005年)17頁、18-19頁。傍点原文・下線筆者)。 このような批判については、本判決の調査官解説は、下記の引用文(増田・前掲「判解」53頁。下線・傍点筆者)にみられる「実質的な観点」(同頁)から、支配関係にある親子会社間で親会社が子会社の従業員等にその子会社への労務提供を理由として経済的利益が与えるという場合に関する限りにおいてではあるが、その場合については「一般的に」当該経済的利益の給与所得該当性の根拠を解説し、もってその批判に応えようとしたものと解される(その根拠の解説は正当であると考えられる)。なお、筆者が上記の意味で「一般に」という表現を用いたのは、「本判決は事例判断の形を採っているが、・・・・・・同種事案との関係でも先例的価値を有するものと考えられる」(増田・前掲「判解」54頁)との解説を受けたものである。 調査官解説は、上記の「一般論」に基づき、本判決について、「本件事実関係の下においては、本件権利行使益が雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたものとして給与所得に当たるとの判断をしたものと思われる。」(増田・前掲「判解」54頁。下線筆者)と解説している。この解説は、「本件権利行使益は、雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたものとして、所得税法28条1項所定の給与所得に当たるというべきである。」という本判決の判示と同じ内容であるが、この解説・判示について注目すべきは、日本アプライド社における上告人の職務遂行を、「雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された」労務とみるとともに「非独立的な労務」ともみていることである(増田・前掲「判解」56頁(注7)も参照)。このことは、上記の解説・判示が昭和56年最判の示した「判断の一応の基準」としての「労務の提供等の従属性」基準(前回Ⅲ参照)と「労務の提供等の非独立性」基準(同参照)とを併用したものであることを意味すると考えられる。 また、調査官解説は、上記の解説の後、本判決の射程について次のとおり述べている(同頁。下線筆者)。 以上の調査官解説からすると、本判決は、①実質的な支配関係にある親子会社における親会社と子会社の従業員等との関係を、昭和56年最判の示した「判断の一応の基準」(「労務の提供等の従属性」基準)にいう「これ[=雇傭契約]に類する原因」に該当するものとし、かつ、②給与所得該当性の判断については「労務の提供等の非独立性」基準をも援用したものと解される。 この理解の前半(①)と後半(②)を整合的に整理すると、本判決は、昭和56年最判の示した「判断の一応の基準」(「労務の提供等の従属性」基準)にいう「これに類する原因」を「労務の提供等の非独立性」基準によって限定解釈し、もって「上記最高裁判決[=昭和56年最判]に照らして、原判決は給与所得の要件を不当に拡大しているものである。」という上告受理申立て理由(民集59巻1号109頁。大淵・前掲論文「(下)」税経通信60巻6号(2005年)17頁、24頁も同旨)は相当でないことを説示しようとしたものと解することができるように思われる。 Ⅳ おわりに 以上で、本判決に即して、昭和56年最判が示した給与所得該当性判断に関する「判断の一応の基準」の意味と展開を検討してきた。 本判決は本件権利行使益の給与所得該当性の判断に当たって、昭和56年最判の示した「判断の一応の基準」のうち給与所得に係る「雇傭契約又はこれに類する原因に基づき」という部分は踏襲しつつも、そこにいう「これに類する原因」を「労務の提供等の非独立性」基準によって限定解釈し、給与所得該当性の判断基準の拡大に歯止めをかけたものと解される。 本判決に関するこのような理解に関連して興味深いのは、給与所得該当性の判断に係る「雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたもの」という判示に関する調査官解説の次の指摘(増田・前掲「判解」56-57頁(注8)。下線筆者)である。 この指摘については、本判決は給与所得の意義を「非独立的な労務の対価」と解する点では「一般的な法理」(前回Ⅲでは「判断の完全な基準」)としての「労務の提供等の非独立性」基準を採用するものであるが、その基準を昭和56年最判の示した「判断の一応の基準」のうち給与所得に係る「これに類する原因」の限定解釈のために用いているが故に「給与所得の意義につき一般的な法理を述べたものとまで解することはできない」と指摘するものである、というような理解が成り立つように思われる。 このような理解によれば、本判決が示した給与所得の意義に関する解釈のうち「非独立的な労務の対価」の中の「労務」に係っている「雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された」という部分を削除すると(本判決は昭和56年最判の示した給与所得の定義のうち「使用者の指揮命令に服して」という部分は既に削除済みである)、給与所得を「非独立的な労務の対価」と定義することができることになり、したがって給与所得該当性の判断基準を「労務の提供等の非独立性」基準に一本化することができることになる。このことは、本判決が示した給与所得の意義に関する解釈から、昭和56年最判の示した「判断の一応の基準」(「労務の提供等の従属性」基準)の残滓ともいうべき「雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された[労務]」という要素を除去し、給与所得該当性の判断基準を「労務の提供等の非独立性」基準に純化することを意味するといってもよかろう。 このようにして給与所得該当性の判断に係る「判断の一応の基準」を純化すると、給与所得該当性の判断基準を「判断の一応の基準」から「判断の完全な基準」(給与所得の意義に関する「一般的な法理」)に展開することができることになろう。この帰結は、「給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない。」という判示でもって「労務の提供等の従属性」基準を補完しようとしたという、昭和56年最判に関する筆者の前回述べた理解(前回Ⅳ参照)に適合するとともに、給与所得該当性の判断を明確かつ容易にし納税者にとってはその判断について予測可能性と法的安定性を確保することに資すると考えるところである。 (了)
〈令和7年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第1回】 「令和7年分から適用される改正事項」 ~基礎控除・給与所得控除の見直し及び特定親族特別控除の創設等~ 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 11月に入り、今年も年末調整に向けた準備を始める時期となった。 今回から3回シリーズで、年末調整における実務上の注意点やポイント等を解説する。 第1回(本稿)と第2回は、令和7年度税制改正事項のうち、令和7年分の年末調整に関係する内容を取り上げる。 なお、本年分の記事に加え、論末の連載目次に掲載された過去の拙稿もご参照いただきたい。 (※) 本稿では、年末調整で使用する各申告書等を次のとおり表記する。 令和7年度税制改正では、物価上昇局面における税負担の調整の観点から、基礎控除及び給与所得控除の見直しが行われ、長く続いたいわゆる「年収103万円の壁」が引き上げられた。また、就業調整対策の観点から、大学生年代の子等を持つ所得者本人に係る新たな所得控除として特定親族特別控除が創設された。これらに加え、同一生計配偶者や扶養親族等の所得要件の引上げも行われている。 いずれの改正も、令和7年分以後の所得税に適用されるが、改正後の法律の施行日が令和7年12月1日であることから、令和7年分の所得税については、令和7年12月1日以後に行う年末調整又は確定申告で適用されることとなる(※)。 (※) 令和7年11月までの給与の源泉徴収事務は、改正前の制度に基づいて行われる。 以下、各改正事項について解説を行う。 【1】 基礎控除の見直し 所得税の基礎控除について、合計所得金額の区分が3段階から8段階へ変更され、控除額は最大で95万円となった(所法86①②、措法41の16の2①)。 〈基礎控除の額(所得税)〉 (※) 合計所得金額132万円超655万円以下の3つの区分は、令和7年分と令和8年分の所得税のみに適用される。令和9年分以後は、合計所得金額132万円超2,350万円以下の区分の控除額はすべて58万円となる。 【2】 給与所得控除の見直し 給与所得控除の最低保障額が、55万円から65万円に引き上げられた(所法28③)。 〈給与所得控除の額〉 【3】 特定親族特別控除の創設 大学生年代の子等について、控除対象扶養親族としての所得制限を超えた場合にも、一定の所得控除を受けられる仕組みが導入された。この新たな控除を特定親族特別控除という(所法84の2)。 〈特定親族特別控除の対象者及び控除額〉 【4】 同一生計配偶者や扶養親族等の所得要件の見直し 同一生計配偶者や扶養親族等の合計所得金額等の金額要件が引き上げられた(所法2①三十二、三十三、三十四、83の2①、所令11の2②)。 〈同一生計配偶者や扶養親族等の合計所得金額等の金額要件〉 * * * 次回(第2回)は、各改正事項が、令和7年分の年末調整実務に及ぼす影響について解説する予定である。 (注) 上記の記事については、掲載後の税制改正等により、解説内容が現在の規定に基づくものとは異なるケースがある。過年度の記事内に順次コメントを入れるので留意していただきたい。 (了)
〔令和7年度税制改正における〕 中小法人等の軽減税率の特例に伴う法人税率の見直し及び防衛特別法人税の創設 辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健 本稿では、令和7年度税制改正のうち、法人税率に関する改正、具体的には、「中小法人等の軽減税率の特例」及び「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置のうち法人税に関する部分」について解説する。 1 中小法人等の軽減税率の特例 (1) 改正前 内国法人である普通法人に係る法人税率は、原則として23.2%である。ただし、普通法人のうち、資本金1億円以下であるものについては、各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額については、19%となっており、さらに、租税特別措置法により令和7年3月31日までの間に開始する各事業年度については15%に軽減されている(以下、本特例)。 (2) 改正後 本特例については、次の見直しが行われた上、その適用期限が2年延長された(措法42の3の2①②)。この改正は、令和7年4月1日以後に開始する事業年度(通算子法人の同日以後に開始する事業年度のうちその通算子法人に係る通算親法人の同日前に開始した事業年度の期間内に開始する事業年度を除く)分の法人税について適用される(改正法附則39)。 (※1) 中小通算法人等 中小通算法人等とは、中小通算法人又は通算親法人である協同組合等をいい、中小通算法人とは、大通算法人(通算法人である普通法人又はその普通法人の各事業年度終了の日においてその普通法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうち、いずれかの法人がその各事業年度終了の時における資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人又は大法人(資本金5億円以上法人等一定の法人)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等一定の法人に該当する場合におけるその普通法人)以外の普通法人である通算法人をいう(法法66⑥)。 〈留意点〉 【法人税率一覧(通算法人を除く)】 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (※2) 普通法人のうち各事業年度終了の時の資本金(出資金)の額が1億円以下であるもの又は資本(出資)を有しないもの(ただし、相互会社、大法人による完全支配関係がある法人、投資法人、特定目的会社、受託法人を除く) (※3) 協同組合等で、その事業年度における物品供給事業のうち店舗において行われるものに係る収入金額が1,000億円以上であるなどの一定の要件を満たすものの所得金額のうち年10億円超の部分については、22%の税率が適用される。 2 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置のうち法人税に関する部分 我が国の防衛力の抜本的な強化を行うに当たり、安定的な財源を確保するため、令和7年度税制改正において法人税について防衛特別法人税が措置された。 防衛特別法人税の規定(中間申告の規定を除く)は、法人の令和8年4月1日以後に開始する課税事業年度の基準法人税額に対する防衛特別法人税について適用される(改正法附則62①)。中間申告の規定は、法人の令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用される(改正法附則62②)。 (1) 納税義務者 各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、防衛特別法人税を納める義務がある(防確法8)。 (2) 課税の対象 法人の各課税事業年度の基準法人税額について、当分の間、防衛特別法人税が課される(防確法9)。 (3) 課税事業年度 法人の令和8年4月1日以後に開始する各事業年度が課税事業年度となる(防確法11)。 (4) 基準法人税額 防衛特別法人税の基準法人税額は、内国法人の場合、その内国法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、法人税法その他の法人税の計算に関する法令(※4)により計算した法人税の額とされている(防確法10一)。 (※4) 法人税の税額の計算に関する法令の規定には、①所得税額の控除(法法68)、②外国税額の控除(法法69)、③分配時調整外国税相当額の控除(法法69の2)、④仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除(法法70)、⑤税額控除の順序(法法70の2)など一定の規定を含まないこととされている。 (5) 課税標準 防衛特別法人税の課税標準は、各課税事業年度の課税標準法人税額とされており、内国法人の場合、次の場合の区分に応じそれぞれ次の金額となる(防確法13①②)。 (※5) 年500万円(防確法13③一)、課税事業年度が1年に満たない法人は、500万円を12で除し、これにその課税事業年度の月数(1月未満の端数切り上げ)を乗じて計算した金額(防確法13⑧⑨) (※6) 基準法人税額から留保金課税制度により加算された金額を控除した金額(防確法13②二イ) (※7) 基準法人税額のうち留保金課税制度により加算された金額(防確法13②二ロ) (6) 税額の計算 防衛特別法人税の額は、各課税事業年度の課税標準法人税額(各課税事業年度の基準法人税額から年500万円の基礎控除額を控除した金額)に4%の税率を乗じて計算した金額となる(防確法14①、15)。 法人税及び地方法人税において外国税額控除の適用を受ける場合で、法人税の額及び地方法人税の額から控除しきれない金額があるときは、防衛特別法人税においても外国税額控除の適用を受けることができる(防確法16)。 (※8) 外国税額控除のほか、税額控除規定として、分配時調整外国税相当額の控除(防確法17)、控除対象所得税額等相当額の控除(防確法18)及び仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除(防確法19)が設けられている。 (※9) 税額控除は、①分配時調整外国税相当額の控除、②控除対象所得税額等相当額の控除、③仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除、④外国税額控除の順序で行う(防確法20)。 (7) 確定申告 防衛特別法人税確定申告書は、原則として、各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内に納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない(防確法25)。法人税確定申告書の提出期限が延長されている場合には、防衛特別法人税確定申告書の提出期限は、その延長された提出期限となる(防確法25④)。 なお、所得金額が欠損等の理由により基準法人税額がゼロとなる場合や基礎控除額の控除により課税標準法人税額がゼロとなる場合であっても、防衛特別法人税確定申告書を提出する必要がある点に注意が必要である。 (8) 中間申告 令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度において、法人税の中間申告書を提出すべき法人は、防衛特別法人税についても中間申告書を提出する必要がある(防確法21)。 〈計算イメージ〉 (※10) 基準法人税額は、所得税額の控除、外国税額の控除、分配時調整外国税相当額の控除、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除、戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置の税額控除、同措置に係る通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の加算及び外国関係会社等に係る控除対象所得税額等相当額の控除は適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額 (※11) 外国税額の控除、分配時調整外国税相当額の控除、控除対象所得税額等相当額の控除、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除が適用可能 (了)