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空き家をめぐる法律問題 【事例79】「再転相続が生じた場合の相続放棄と空き家の管理責任について」

空き家をめぐる法律問題 【事例79】 「再転相続が生じた場合の相続放棄と空き家の管理責任について」   弁護士 羽柴 研吾   - 事 例 - ある日、遠方の自治体から、空き家の老朽化への対応を求める通知が届きました。通知は疎遠だった兄名義の建物に関するもので、私はその時初めて、単身の兄が3年前に亡くなっていたことを知りました。父は私と同居していましたが、兄の死亡を知らないまま昨年夏に亡くなっています。 私は父の相続を放棄していませんが、兄名義の空き家について責任を負いたくありません。どのように対応すればよいでしょうか。   1 問題の所在 親族関係が疎遠な場合、自分が相続人になったことに気づかないことがある。その場合でも通常、相続人は、自己のために相続が開始したことを知った時(民法第915条第1項)から熟慮期間内に、相続放棄をするかどうかを判断すれば足りる。 これに対し、ある相続(一次相続)が発生し、その相続人が承認又は放棄をしないまま死亡して次の相続(二次相続)が発生した場合には、二次相続人について、一次相続の承認又は放棄に関する熟慮期間の起算点が問題となりうる。 本事例では、同居していた父は昨年夏に死亡しているため、兄の相続放棄について、父の相続時を基準にすると熟慮期間が経過している可能性が高い。そこで、本事例ではいわゆる再転相続に関する熟慮期間の起算点を中心に検討する。   2 再転相続について 再転相続とは、被相続人Aの相続人Bが熟慮期間内に相続(一次相続)の承認又は放棄をしないままBの相続(二次相続)が発生し、Bの相続人C(二次相続人)が、一次相続について承認又は放棄を選択する地位を承継する場合をいう。 民法第916条は、再転相続人に一次相続について承認又は放棄をする機会を確保するため、熟慮期間の起算点を規定している。同条がなければ、Cは、Bが有していたAの相続に関する熟慮期間上の地位をそのまま承継することになる。しかし、一次相続を放棄するかどうかは、自分が一次相続の相続人となっていることを知って初めて判断できるものであるため、CにBの地位をそのまま承継させることは相当でない。そこで同条は、一次相続に関するCの熟慮期間について、「その者(B)の相続人(C)が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する」と規定している。 問題は、再転相続人(C)の一次相続の熟慮期間の起算点を、一次相続と二次相続のいずれを基準に判断するかである。この点について、最判令和元年8月9日は、民法第916条の「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続の承認又は放棄をしないまま死亡した者(一次相続人)の相続人(二次相続人)が、一次相続人の相続により、一次相続人が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を自己が承継した事実を知った時をいう、と判示し、いわゆる一次相続基準説を採用している。また、同判決は、一次相続人が一次相続の相続人となったことを認識していなかった場合にも、民法第916条が適用されることを前提にしている。 そうすると、再転相続人は、二次相続の放棄をしていない場合でも、一次相続人が一次相続の事実を認識しないまま、あるいは熟慮期間内に死亡したときは、自分が一次相続の発生と一次相続人の相続人としての地位を承継したことを知った時から3か月以内に、一次相続について承認又は放棄をすることができる。   3 相続放棄が認められた後の対応 相続放棄をすると、その者は初めから相続人ではなかったものと扱われる。もっとも、民法第940条第1項は、相続放棄をした者が、放棄時に相続財産に属する財産を現に占有している場合には、相続人又は相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産と同一の注意をもって保存しなければならないと規定している。したがって、相続放棄後の管理義務の有無は、放棄時に相続財産を直接又は間接に占有していたかによって判断される。 相続放棄により相続人がいなくなり、かつ相続放棄者が管理義務を負う場合には、利害関係人として相続財産清算人の選任を申し立て、空き家を含む相続財産の管理を引き継がせることが考えられる。これに対し、相続放棄者が管理義務を負わない場合には、利害関係がないことを理由に相続財産清算人の選任申立てが認められない可能性がある。後者の場合、空き家が放置されれば、近隣被害や行政対応の問題は残るため、自治体や近隣住民など、法律上の利害関係を有する者による相続財産清算人の選任申立てが現実的な解決手段となりうると考えられる。   4 本件において 相談者は、父と兄の各相続について、それぞれ相続放棄の可否を検討する必要がある。もっとも、父の相続放棄については、相談者が父と同居していたことから熟慮期間が経過しており難しいものと考えられる。他方、兄の相続放棄については、父が兄の死亡を知らないまま死亡していることから、相談者は、自治体から通知を受けた日を基準として、兄の相続放棄をすることができると考えられる。 相談者は、自治体からの通知によって初めて空き家の存在を認識しているため、相続放棄後の管理義務を負う可能性は低いと考えられる。もっとも、相続放棄によって空き家が誰にも管理されない状態が続く可能性は否定できない。相談者としては、通知を送付した自治体に対し、相続放棄をしたことや空き家を占有していないことを伝え、自治体が相続財産清算人の選任申立て等を検討できるよう、必要な情報を提供しておくことが望ましい。 なお、相談者が鍵を保管していた、固定資産税を継続的に支払っていた等の空き家を管理していた事情がある場合には、相続放棄後の管理義務を負う可能性がある。その場合には、利害関係人として相続財産清算人の選任を申し立て、空き家の管理を引き継ぐことになる。 (了)

#No. 684(掲載号)
#羽柴 研吾
2026/09/03

《税務必敗法》 【第15回】「預かった資料の管理をしていなかった」

《税務必敗法》 【第15回】 「預かった資料の管理をしていなかった」   公認会計士・税理士 森 智幸   【事例】 クリニックを営むAは個人事業者である。税務についてはX会計事務所と顧問契約を締結しており、記帳代行と税務申告書の作成を依頼している。 Aのクリニックでは、毎月、記帳のための資料は紙の状態で一式をX会計事務所に郵送している。なお、現在使用中の預金通帳はコピーを送付し、繰越済みの通帳は原本を送付していた。しかし、X会計事務所では預り証は発行していなかった。 ある月、Aから「α銀行の通帳が返ってきていないが、そちらに残っていないか? β銀行から運転資金の融資を受けようと思っているが、保有している口座の通帳すべての提示を求められているので。」という電話がかかってきた。 そこで、担当税理士の甲が、記帳代行担当の職員乙に伝えて調べてもらったが、手元にα銀行の通帳はなかった。そのため、甲は「調べてみましたが、こちらにはありませんでした。資料はすべて返却したため、そちらにあるはずですが。」と回答した。 しかし、約3週間後、乙が自宅で掃除をしていた時、机に置いた書類の中からα銀行の通帳があることを発見した。 X会計事務所では在宅勤務が可能であるが、乙は記帳代行に使用する資料の一部を自宅に持ち帰っていたのだった。 翌日、甲はAに電話をかけて「α銀行の通帳の件ですが、こちらにありました。」と謝罪した。 すると、Aは「こちらは診療の合間に、事務員全員でクリニックの中の書類を全部出して探したんだぞ。その時間はどうしてくれるんだ。β銀行からの融資も遅れてしまっている。資金繰りも大変なんだよ!」と激高した。 後日、X会計事務所の所長と甲の2名がAのクリニックを訪れ謝罪したが、「預けた資料の管理はどうなっているのか。今後の契約も考え直さないといけないな。」というクレームを受けた。   1 はじめに 本連載は、税務を行う上で「これをやったら失敗する」という必敗法を紹介するものである。今回は「預かった資料の管理をしていなかった」である。 近年はデジタル化が進んでいるが、記帳代行を行っている会計事務所においては、記帳のための資料を顧問先から紙で送ってもらっているところがまだ多いと推測される。また、相続税においても個人からの資料は紙で預かることが多いと推測される。 このように顧問先から紙の資料を預かったときは、当然のことながら確実に返却する必要がある。しかしながら、【事例】のように、預かった資料の管理を行っていないと返却したつもりが返却されていないといったことも起こりうる。このようなことが起こると紛議にもなりかねない。 そこで、今回は会計事務所が紙の資料を預かった場合の注意点や対策を紹介する。 なお、本稿は私見であることにご留意いただきたい。   2 返却を忘れる原因 預かった資料の返却を忘れてしまう原因は「うっかり」が多いであろうが、これを原因と考えたままだと具体的な解決策にならない。そこで、後述の対策につながるよう、その原因を具体的に挙げることとする。 (1) 事務所として返却する仕組みがない 会計事務所の中には、顧問先から預かった資料を必ず返却するという事務所としての仕組みがないところがある。 このような事務所は、資料の返却が担当者任せとなっている。顧問先から預かった資料は返却するという当然のことが上司から指示されず、スケジューリングもされていないので、担当者は何も気づかず、例えば3年前に預かった資料が事務所内に保管されたまま、という具合である。 (2) 預かった資料の記録をしていない 顧問先から資料が送られてきたにもかかわらず、それを記録しておらず、資料使用後も多忙が重なり、そのままになっているということもある。記録をしていないと、いつ、何が送られてきたかを誰も把握できず「そんな資料ありましたっけ?」ということにもなりかねない。 (3) 預かった資料の保管場所を定めていない 預かった資料の保管場所を定めていないと、どこに保管したかがすぐにわからない、他の預かり資料と混在する、事務所内で行方不明となるということにもなりかねない。   3 影響 (1) 顧問先から信頼を失う原因となる 資料を漏れなく速やかに返却しないと、顧問先から信頼を失いかねない。顧問先としては、送った資料が会計事務所内で適切に管理されていないとなると不信感を抱くようになる。 (2) 顧問先の業務に影響が出る可能性がある 【事例】のように、金融機関から融資を受けるときに通帳などの資料が必要となるときもある。また、税務調査や会計監査の際に資料一式が返却されていないと調査等ができなくなってしまう。このように資料が返却されていないと、顧問先の業務に影響が出ることがある。 (3) トラブルとなり契約解除の原因となる 「資料を返却した、しない」の水掛け論となり、トラブルになる可能性もある。場合によっては顧問契約の解除にもつながりかねない。 (4) 法令に抵触する可能性がある 仮に預かった資料を紛失したとなると、税理士法38条の守秘義務に抵触する可能性がある。また、個人情報が含まれている場合、個人情報保護法にも抵触する可能性がある。   4 対策 (1) 預り証を発行する 資料を預かった時は預り証を発行することが有効な手段である。預り証のひな型は日税連の業務対策部のページ(※)に掲載されているので利用するとよいであろう。返却時には受領印やサインをいただくことも必要である。 (※) リンク先の閲覧には、日税連の会員ID等が必要となる。 また、日税連「税理士の専門家責任を実現するための100の提案」(令和5年7月最終更新)においても、預り証の発行が推奨されているので、併せて読んでいただきたい(「83.重要書類の管理はしっかり」など)。 (2) 返却期限を管理する 資料を預かった場合は、返却期限を決めて管理しておくことも必要である。また、デジタルカレンダーやAIエージェントによる自動通知などを活用して、デジタルやAIで期限を管理する方法もある。 (3) 保管場所を決めておく 事務所内で管理するときは、保管場所を決めておき、鍵のかかるキャビネットなどで厳重に保管することも重要である。 (4) デジタル保存を進める 紙の資料を預かった場合、すぐにスキャンしてPDF化してデジタル保存しておくとよい。また、PDFはオンラインストレージに保存すると消滅リスクは小さくなり、事務所メンバーで共有できる。なお、アクセス権限の管理も忘れないようにする必要がある。 (5) 顧問先のデジタル化を推進する そもそも紙の資料を預かるのではなく、顧問先からはデジタルデータを送っていただくと紛失リスクは大きく低減する。データの送付もオンラインストレージで行えば、情報漏洩リスクを低減できる。 なお、これは顧問先のデジタル化の推進につながるものであるが、この点については、会員向けに発行された日本税理士会連合会と一般社団法人日税連税法データベース(TAINS)が作成した「税理士事務所のデジタル化に係るFAQ(2026年4月版)」(※)において留意点が示されているので参考にしていただきたい。 (※) リンク先の閲覧には、日税連の会員ID等が必要となる。 このFAQの「Q8-1:デジタル化に対応できない関与先や事務所職員へのアプローチや対応策を教えてください。」では「デジタル化を強制することは関係悪化を招くリスクがあるため、無理をせずに関与先のレベルに合わせて対応します。」というアドバイスが記載されている。 顧問先に「何でこんなこともできないのか」といった態度を見せてしまうと関係悪化につながりかねない。所長は担当者にもこの点を伝えていただきたいところである。 (6) 事務所からの持ち出しを禁止する 在宅勤務を行っている会計事務所では、紙資料は絶対に事務所から持ち出さないことをルール化しておくことも必要である。 なお、オンラインストレージで資料をデジタル保存しておくと、在宅勤務でもパソコン上で資料を閲覧できる。   5 もし失敗したら・・・ 最後に、もし【事例】のような失敗をしてしまった場合は、事実関係と経緯を説明し、今後の改善策を示して謝罪を行うことが考えられる。また、確証がない段階で「返却した」と断定しないようにすることも重要である。   6 おわりに 今回は、顧問先から預かった資料の管理に関する注意点と対策を解説した。 顧問先から預かった資料の管理不備や紛失は、顧問先からの信頼を失う原因となる。そのため、担当者任せにするのではなく、会計事務所全体で品質管理を行うことが重要である。 本稿が実務の参考になれば幸いである。 (了)

#No. 684(掲載号)
#森 智幸
2026/09/03

〈小説〉『国税審査官エイトの勤務日誌』~ある国税不服審判所の記録~【第8話】「合議体②」

〈小説〉 国税審査官エイトの勤務日誌 ~ある国税不服審判所の記録~ 第8話 合議体② 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「・・・一度・・・請求人に来てもらい・・・『鬼ババ』と社長の関係を訊きましょうか・・・」 永途が田中審判官に訊ねる。 「・・・そうだなあ・・・もう少し、質問を整理してから、請求人に話を聞こう・・・」 田中審判官が応える。 「・・・ところで・・・社長の個人的な支出を交際費に紛れ込ませる行為は・・・隠蔽・仮装に該当しないのですか?」 所得税出身の南川副審判官が訊ねる。 「・・・法人税についてですか?」 徴収出身の木下国税審判官が確認する。 「・・・法人税は、損金不算入となっている交際費を認定賞与にしても増差税額が出ないから、重加算税を課することはできない・・・」 田中審判官が言う。 そのとき、永途が「事務運営指針」を見せる。 「・・・この源泉所得税等の事務運営指針では・・・二重に重加算税の対象にしない旨を定めていますが・・・」 そう言うと、永途は読み上げる。 「・・・これに対して、消費税と重加算税の取扱いは、異なっています・・・」 「これって・・・どうして異なるのでしょうか?」 永途は、田中審判官に訊ねる。 「・・・事務運営指針では、法人税又は所得税で重加算税が課せられた場合には、積極的に消費税においても重加算税を課することを定めている・・・これは、明らかに重加算税については、源泉所得税と消費税の取扱いは異なっていることになる・・・」 田中審判官は、会議室の白板に、図を描く。 「・・・消費税について、源泉所得税と異なる跛行的な、そして厳しい取扱いをしているのは、課税庁において、消費税は一時的な『預り金』であるという認識が強く、それに対する『隠蔽・仮装』の行為に対しては、より厳しく罰しなければならないという考え方があるのかも知れない・・・」 田中審判官は、腕を組んで、思案顔になる。 そのとき、突然、永途が発言する。 「しかし、一片の『事務運営指針』によって、このような跛行的な取扱いをしても良いのでしょうか・・・」 永途は、田中審判官を見る。 「・・・これは課税庁サイドの取扱いを統一的にするための指針だから別に問題はないと思う・・・そして、原則的には、一つの『隠蔽・仮装行為』によって、二つ以上の税目が影響する場合、二つの税目に重加算税を課するということは酷であると、課税庁は考え、ただ、消費税については、先ほど言ったようにその税目の性質によって、より厳しく取り扱うということなんだろう・・・」 喋り終えると、田中審判官は、南川副審判官をみて、「どう思う?」と訊く。 「・・・そうですねえ・・・」 南川副審判官は、資料を見ながら、思案顔になる。 「・・・私の知っている・・・次の事例ですが・・・法人税と相続税について、共に重加算税が課せられています・・・」 「・・・ただ、相続人がA社の社長ではなく、法人の『隠蔽・仮装』を知り得なかった立場にいたときには、相続税については、重加算税が課せられないでしょう・・・」 南川副審判官は、説明する。 (つづく)

#No. 684(掲載号)
#八ッ尾 順一
2026/09/03

令和9年度税制改正に関する《資料リンク集》(更新)

  令和9年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和9年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。   - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2026/09/01

プロフェッションジャーナル No.683が公開されました!~今週のお薦め記事~

2026年8月27日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.683を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2026/08/27

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第60回】「《補論》所得税の譲渡所得課税に対する法人税基本通達13-1-7(権利金の認定見合せ)の波及効果」-「第2のタキゲン事件」・大阪高判令和8年5月14日(未公刊・LEX/DB25629872)-

谷口教授と学ぶ 税法基本判例 【第60回】 「《補論》所得税の譲渡所得課税に対する法人税基本通達13-1-7(権利金の認定見合せ)の波及効果」 -「第2のタキゲン事件」・大阪高判令和8年5月14日(未公刊・LEX/DB25629872)-   大阪学院大学法学部教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに タキゲン事件・最判令和2年3月24日訟月66巻12号1925頁について、前回は、「譲渡所得課税の趣旨」法理(学説では増加益清算課税説)の観点から検討したが、第6回は、租税通達の「解釈」の問題を検討した。 今回は、法人税基本通達13-1―7(以下「本件通達規定」という)で定められている借地権設定の対価としての権利金の認定見合せという取扱いが、別税目である所得税の譲渡所得課税に対してどのような意味ないし波及効果をもつかが実質的な争点となったと考えられる事件(以下「本件」という)に関する裁判所の判断を検討することにする。 本件・大阪高判令和8年5月14日(未公刊・LEX/DB25629872。以下「本判決」という)は、原則として原審・大阪地判令和7年1月17日(未公刊・LEX/DB25629871。以下「原判決」という)を引用して判断を示している。 本判決が引用する原判決は、本件通達規定及びこれに基づく無償返還届出書の提出の趣旨について次のとおり判示した(下線筆者)。 問題は、本件のように地主が個人で借地人が法人である場合において、「無償返還届出書が提出されている場合の上記のような経済実態」すなわち「借地権部分に相当する経済的価値が借地人に移転していないという経済実態」を所得税の課税関係に反映させることにも、「合理性」があるといえるかどうかである。 この問題について、本件通達規定の「趣旨」を、別税目である所得税の譲渡所得課税にも及ぼし、そこでいう「経済実態」を所得税の課税関係に反映させることの「合理性」を肯定するとすれば、その判断は、論理構成の点はともかく、ある税目の通達規定の定める取扱いを別の税目に係る課税上の取扱いにも波及させるという点では、租税通達の「文理解釈」に基づくタキゲン事件・東京高判平成30年7月19日訟月66巻12号1976頁(第6回Ⅱ)と同じ構造の判断を示すものであると考えられるところ、そのように考えるならば、本件を「第2のタキゲン事件」と呼んでもよいように思われる。   Ⅱ 個人地主の提出に係る無償返還届出書の法的意義 前記の問題について、本判決は、原判決の判示(下記①。下線筆者)を引用した上で、次のとおり判示して(下記②。下線筆者)、無償返還届出書の提出に係る「経済実態」を所得税の課税関係に反映させることを認めた。 本判決(の引用する原判決も含む)の以上の判断についてその論理構成を分析・整理してみると、それは、「地主が個人で借地人が法人である場合であっても、地主(個人)が借地人(法人)との連名で無償返還届出書を提出することは可能である」ことを前提にして、本件通達規定は、借地人(法人)には適用され「相当の地代の額と実際に収受している地代との差額を借地人等に対して贈与したものとして取り扱われ、権利金の認定課税は行われない」のに対して、地主(個人)に対する譲渡所得課税については、同通達規定が「適用されることを前提にするものではない」ものの、「個人の地主による無償返還届出書の届出についても、その性質は、課税関係上、借地権部分に相当する経済的価値が借地人に移転していないという経済実態があることを、地主自らが所轄の税務署長に対して明らかにする趣旨の届出であると解するのが相当である」ので、「借地権部分に相当する経済的価値が借地人(法人)に移転していないという経済実態を前提にした課税上の取扱い」すなわち「地主が自ら届け出た上記の経済実態(借地権部分に相当する経済的価値が借地人に移転していない結果として、当該土地賃貸借契約の相手方である地主(個人)の下に借地権部分に相当する経済的価値が残っているという経済実態)を前提にした取扱い」(以下その前提を「『借地権部分に相当する経済的価値の借地人への不移転・地主の下での残留』という『経済実態』」ということがある)を定める同通達規定の「趣旨」は適用され、したがって、「そのようにして自ら届け出た法人借地人との間の経済実態を、個人の地主の譲渡所得の課税関係においても前提にした取扱いがされるべきであると解釈する」、という論理構成といえよう。 本判決は、要するに、本件通達規定の(本判決も否定する)「拡大解釈」ではなくその「趣旨」を考慮する解釈(「趣旨解釈」)に基づき、「借地権部分に相当する経済的価値が借地人(法人)に移転していないという経済実態を前提にした課税上の取扱い」を個人地主に対する所得税の譲渡所得課税にも波及させる、という論理構成を採用したものといってよかろう。 このような論理構成に従って、本判決は原判決の下記の判示を引用して、「譲渡所得課税の趣旨」法理に基づき、「本件売買契約の売買代金(対価)のうちの原告の所有する本件各土地という資産の増加益が具体化された金額」を、「本件各土地の底地部分に相当する金額」と「借地権部分に相当する金額」の合計額と判断したのである。 以上の検討からすると、本判決は、個人地主の提出に係る無償返還届出書を、「借地権部分に相当する経済的価値の借地人への不移転・地主の下での残留」という「経済実態」を示す証拠(書証)としての意義を有するものと解していることになろう。 そのことは、無償返還届出書が提出された場合その届出書を、借地権に係る課税関係(「借地権部分に相当する経済的価値が借地人(法人)に移転していないという経済実態を前提にした課税上の取扱い」)について一般にこれを基礎づける証拠として、事実認定のレベルで捉えていることを意味すると考えられる。このことは、本判決が引用する原判決が「無償返還届出書の提出がされた場合の借地権に係る課税関係については、法人税のみならず、相続税や贈与税等に係る課税関係においても上記経済実態を前提にした取扱いがされるべきものである。」と説示していることから、明らかであるように思われる。   Ⅲ 本件通達規定の趣旨の再検討 以上で述べた本判決の判断については、本判決による本件通達規定の趣旨の理解を再検討することが必要であるように思われる。そもそも、本件通達規定の趣旨に関する理解の仕方については、以下のとおり、異なる見解が説かれているところである。 一方で、本件における国側の主張は、原判決によると下記のとおりであるが(下線筆者)、本判決も前記のとおり「借地権部分に相当する経済的価値の借地人への不移転・地主の下での残留」という「経済実態」を前提にして認めたものである(以下「見解Ⓐ」という)。 他方で、下記のとおり「権利金の払戻しとしての立退料の不授受」という「経済実態」を前提にして本件通達規定の趣旨について異なる理解を示す税務行政関係者(国税OB)の見解もある(橋本守次『法人・個人の借地権課税のすべて』(税務研究会出版局・2005年)86頁。下線筆者。以下「見解Ⓑ」という)。 以上の両見解は、本件通達規定の趣旨について「借地権部分に相当する経済的価値の借地人への不移転・地主の下での残留」という「経済実態」を前提にするか(見解Ⓐ)又は「権利金の払戻しとしての立退料の不授受」という「経済実態」を前提にするか(見解Ⓑ)の点で、論理構成を異にするものと解され、あるいは本件通達規定の定める取扱いが前提とする「経済実態」の捉え方を異にするものと解されるが、ともかく、いずれの見解が妥当であろうか。 この判断を行うに当たっては、本件通達規定が新設された法人税基本通達の第三次改正(昭和55年12月25日付直法2-15)に関する下記の解説(岡野英夫「総特集・改正法人税基本通達等詳解/第8 借地権の設定等に伴う所得の計算」税理24巻5号(1981年)197-198頁。下線筆者。以下「本件通達規定新設時解説」という)が、有益な示唆を与えてくれるように思われる。この解説は、今日でも、法人税基本通達のいわば「有権的解説書」ともいうべき『法人税基本通達逐条解説』においてほぼ同じ表現で踏襲されている(北田泰隆編著『法人税基本通達逐条解説〔十二訂版〕』(税務研究会出版局・2026年)1434-1436頁参照)。 以上でみた本件通達規定新設時解説は、要するに、借地権は借地法で強く保護された「強い権利」であり「一種の財産権」ではあるが、「しょせんは当事者間の民事上の契約を基礎にして成り立つ権利関係であり、またその契約関係を超越することはできない」ので、「利害の共通する関係会社間等」においては、「全くの第三者間におけるがごとき権利関係の主張がなされるというようなことは、常識的にも考えにく」く「随時の明渡しの合意」が「ごく自然に行われている」というのが「経済実態」であることからすると、「特に、当事者が特殊な間柄であるため、借地人に権利意識が稀弱な場合には、[借地権利金の認定課税という方法ではなく]地代の認定という方法で問題を解決することのほうがむしろ経済実態になじむ」と考えた上で、そのような「経済実態」を踏まえて、「当事者間において将来借地権の主張がされないことがあらかじめ明確にされている場合」には「権利金の認定見合せ」をするとして、本件通達規定の趣旨を説明するものと解される(この要約については、白石満彦『借地権課税百年史』(清文社・1992年)215頁も参照)。 この解説は、借地権利金の認定課税に関する昭和36年12月税制調査会答申の下記の考え方(同答申別冊(『答申の審議の内容及び経過の説明』)561頁。下線筆者)をベースとするものと考えられる。なお、同答申を受けて、法人税法施行令137条の前身である法人税法施行規則16条の2(昭和37年政令第95号)が新設された。 この説明によれば、本件通達規定新設時解説にいう「経済実態」がある場合にも「通常は権利金の授受がないと思われる場合にも認定課税を行なわないこととする等の実際上の考慮」を払うことが必要であるということになるように思われるが、ともかく、同解説は、前記のような「経済実態」を踏まえ「当事者間において将来借地権の主張がされないこと」を、将来における明渡しの際に借地権者が明渡しの拒否や立退料の支払要求というような権利主張をしないことを意味するものと解した上で、そのような理解を前提にして、本件通達規定の趣旨を解釈するものであると考えられる。 このように考えると、本件通達規定の趣旨を「権利金の払戻しとしての立退料の不授受」という「経済実態」を前提にして理解する見解Ⓑの方が、本件通達規定の新設時から今日まで踏襲されている本件通達規定新設時解説の内容に適合するように思われる。このことは、本件通達規定の新設時において、「借地関係が終了したときの権利金の裏返しでございます立退料等の課税関係」について「地主に無償返還した場合にも、そうすることが相当な事情に基づくものであるときにおいては立退料等の認定課税を行わないこととするなど、従来の通達に比べて実態的な取扱いの基準の明確化を図つたところでございます。」(四元俊明=渡辺淑夫=内村満男=斉藤奏「座談会/改正法人税基本通達等の重要論点」税経通信36巻4号(1981年)98頁、116頁[四元発言]。下線筆者)との見解が示されていたことに照らしても、妥当であるように思われる。この見解を、無償返還届出書が提出されている場合についてみると、それは、その場合には権利金の認定課税が行われないのであるから、「借地関係が終了したときの権利金の裏返し」としての「立退料等」についても認定課税を行わないとすることが合理的である、との見解であるといえよう。 確かに、将来における明渡しの際に借地権者が立退料の支払を地主に要求しないことについて、それは、無償返還届出書が提出されている場合は土地の経済的価値のうち借地権部分に相当する経済的価値が借地権者に移転していないため、借地権を手放すことによって失う経済的価値がそもそもないので、その補償としての立退料を要求することができないからである、というような論理構成を採用することにすれば、見解Ⓐによって「当事者間において将来借地権の主張がされないこと」を説明することも可能であるかもしれないが、しかし、そのような論理構成は、権利概念の本質的要素を(イェーリングの権利の定義にいう)「法的に保護された利益」(村上淳一『「権利のための闘争」を読む』(岩波書店・1983年)204頁)に見出す場合、これと異なる権利概念を借地権について観念することになり、法理論上成立し難いように思われる。 つまり、見解Ⓐは、「借地契約の当事者が無償返還届出書を提出する場合」において「当該借地権が、借地借家法上の借地権であることは変わりない」としながら「当該借地権は経済的価値を有しないものであ[る]」と主張するが、この主張は、当該借地権から「法的に保護された利益」を基礎とする経済的価値を切り離すものであり、その切離しはその基礎にある「法的に保護された利益」それ自体の切離しを前提とするものであると考えられるので、借地権という借地借家法で強く保護された「強い権利」については、成立し難いように思われるのである。本件通達規定新設時解説は「しょせんは当事者間の民事上の契約を基礎にして成り立つ権利関係であり、またその契約関係を超越することはできない」と述べてはいるが、その解説は、借地借家法によって強く保護された「強い権利」(借地権)から権利概念の本質的要素である「法的に保護された利益」を当事者間の契約で切り離すことまで認めることを前提とするものではないと解される。 見解Ⓐは、原判決によると、前記の主張から、「借地契約の当事者が、無償返還届出書を提出した場合、上記法人税基本通達の趣旨を踏まえれば、当事者の合理的意思としては、借地契約継続中、借地権部分に相当する経済的価値については借地権者に移転せず、借地権設定者(土地所有者。以下「地主」という。)が保持しているものとみるべきである。」(下線筆者)との考え方を導き出し、その考え方に基づき本件について次の主張(下線筆者)を行っている。 しかしながら、以上の主張は、本件通達規定の趣旨に関する見解Ⓐから導き出されたものであるが、その出発点にある見解Ⓐが前述のとおり本件通達規定新設時解説の内容に適合せず、また、法理論的にも成立し難いものである以上、そもそも誤った主張であるといわざるを得ない。 したがって、見解Ⓐの以上の主張を採用した原判決及び本判決はいずれも、無償返還届出書が提出されている場合における地主と借地人との間の「経済実態」に係る事実認定において証拠の評価を誤ったものと考えられる。この点について補足しておくと、本件通達規定の趣旨の理解は、通達が法源でないこと(最判令和4年4月19日民集76巻4号411頁等参照)からして、法解釈の問題ではなく、権利金の認定見合せの前提となる「経済実態」に係る事実認定の問題であると考えるところである。 既に述べたように、本件通達規定の趣旨の理解の仕方ないしこれが定める取扱い(権利金の認定見合せ)の前提となる「経済実態」の捉え方については、見解Ⓐと見解Ⓑという異なる見解がみられるところ、税務行政内部において税務上の取扱いの理解の仕方について異なる見解が存在することがあるということは公知の事実であるが(最判平成18年10月24日民集60巻8号3128頁等参照)、そうである以上、裁判所としては、同通達の趣旨等について公刊の文献資料等に当たり検討を加えた上で、証拠の評価を行うべきであったと考えられる。 以上を要するに、本件において、裁判所は、見解Ⓑを採用し、本件通達規定の趣旨を、「権利金の払戻しとしての立退料の不授受」という「経済実態」を前提にして、理解した上で、そのような「経済実態」を示す証拠として無償返還届出書を評価すべきであったと考えられるのである。 これを本件についてみると、無償返還届出書に関するそのような証拠評価によれば、本件においては、原告(個人地主)及びD(法人借地人)は、本件賃貸借契約において、権利金の授受を行わず、借地借家法上の借地権を設定し、本件各土地の経済的価値のうち当該借地権部分に相当する経済的価値をDに移転しつつ、契約終了時に土地を無償で返還することを定めているのであるから、原告とDとの合意により、将来借地権の主張として権利金の払戻し(「借地関係が終了したときの権利金の裏返し」)としての立退料の授受を主張しないという「経済実態」が生じていると認められる。したがって、本件売買契約における本件各土地の売買代金については、更地価格から借地権の価額を控除するものとして、これを設定するのが借地契約の当事者の合理的意思である、と解するのが相当である。   Ⅳ おわりに 今回は、本判決の検討を通じて、本件通達規定の趣旨を、「借地権部分に相当する経済的価値の借地人への不移転・地主の下での残留」という「経済実態」を前提にして理解し、そのような「経済実態」を別税目である所得税の譲渡所得課税に反映させることの合理性を認めた判断について、その問題性(証拠評価の誤り)を明らかにした。 冒頭のⅠで本件を「第2のタキゲン事件」と呼び今回の副題にもその名称を記したが、ある税目に関する租税通達上の取扱いを同通達の解釈を通じて別の税目に関する課税上の取扱いに波及させることを認めるかどうかが問題とされたという点では、租税通達の「文理解釈」か又は「趣旨解釈」かの違いはあるにせよ、本件はタキゲン事件(第6回及び前回)と共通の構造をもつ事件といえよう。 しかし、本件で裁判所は第一審及び控訴審ともに国側の主張する本件通達規定の「趣旨解釈」をいわば「鵜呑み」にして主体的な判断(証拠評価)をしなかった点において、タキゲン事件・前掲最判とは異なり、司法判断のあり方に関して重大な問題を孕んだ判断を示したものと考えるところである。 (了)

#No. 683(掲載号)
#谷口 勢津夫
2026/08/27

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例161(相続税)】 「市街地農地には「地積規模の大きな宅地の評価」が適用できないものと思い込み、これを適用せずに申告し、更正の請求期限後に別税理士の指摘を受けたため、回復不能な過大納付税額が発生し、損害賠償請求を受けた事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例161(相続税)】   税理士 齋藤 和助       《基礎知識》 ◆市街地農地(評通36-4) 市街地農地とは、次に掲げる農地のうち、そのいずれかに該当するものをいう。 ◆市街地農地の評価(評通40) 市街地農地は宅地比準方式又は倍率方式により評価する。なお、その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額については、その農地が宅地であるとした場合において「地積規模の大きな宅地の評価」の定めの適用対象となるときには、これを適用して計算することに留意する。 ◆地積規模の大きな宅地の評価-市街地農地等(国税庁HP) ◆地積規模の大きな宅地の評価(評通20-2) (1) 地積規模の大きな宅地の意義 地積規模の大きな宅地とは次の全ての要件を満たしている宅地をいう。 (2) 評価方法 ① 路線価方式適用地域 (※1) 各種補正率とは、奥行価格補正率・間口狭小補正率・奥行長大補正率・不整形地補正率である。 (※2) 規模格差補正率とは、次の算式より求めた率をいう。 上の算式中の「Ⓑ」及び「Ⓒ」は、地積規模の大きな宅地が所在する地域に応じ、それぞれ次に掲げる表のとおりとする。 イ 三大都市圏に所在する宅地 ロ 三大都市圏以外の地域に所在する宅地 (注) 上記算式により計算した規模格差補正率は、小数点以下第2位未満を切り捨てる。 ② 倍率方式適用地域 次のイとハのうちいずれか低い金額。       (了)

#No. 683(掲載号)
#齋藤 和助
2026/08/27

固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第63回】「遺産分割により各土地の有効な土地利用を図ることができないものとは認められないから、著しく不合理な分割とは認められなかった事例」

固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第63回】 「遺産分割により各土地の有効な土地利用を図ることができないものとは認められないから、著しく不合理な分割とは認められなかった事例」   税理士 菅野 真美   ▷「分割が著しく不合理であると認められるとき」とは 相続税の土地の価額は評価単位ごと(例えば、宅地、雑種地は別のものとして)に評価するとされている(財産評価基本通達(以下「財基通」)7-2)。例えば、住宅の敷地の用に供されている土地と、駐車場の用に供されている土地がある場合、共同住宅の敷地の用に供されている土地は宅地として、駐車場の用に供されている土地は雑種地として別のものとして評価する。しかし、例外として入居者専用の駐車場のような場合は一体評価が認められる。 財産の評価は、取得者ごとに評価することが原則であるが、贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とする(財基通7-2(注))と定められている。この分割が著しく不合理であると認められるときとはどういうときなのか。これに関して、国税庁の質疑応答事例「宅地の評価単位-不合理分割(1)、(2)」でいくつかの事例が紹介されている。 たとえば「不合理分割(1)」の(1)、(6)は次のような事例である。 (※) 国税庁質疑応答事例「宅地の評価単位-不合理分割(1)」より一部抜粋 A部分とB部分を別々の相続人が取得した場合の宅地の評価単位であるが、(1)については現実の利用状況を無視した分割であり、(6)は接道義務を満たさないような間口が狭小な土地を創出する分割だから、分割時のみならず将来においても有効な土地利用が図られず、通常の用途に供することができないため、著しく不合理な分割と認められるとされている。 今回は、相続により共同住宅の敷地や駐車場を相続人らが取得した場合の評価について、駐車場も含めて共同住宅の敷地の用に供されている宅地等に該当するか、また、分割が著しく不合理であると認められるものであるかについて争われた事案を検討する。   ▷事案の概要 相続が開始され、相続人が3人いた。彼らは遺産分割協議を行い、相続人Aは本件1土地(青色と黄色部分の土地)と共同住宅を、相続人Bは本件2土地を取得した。 〈別図 本件1土地及び本件2土地の形状等〉 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (※) TAINSコード:F0-3-861の「別図 本件1土地及び本件2土地の形状等」を筆者一部加筆 相続税の申告において、本件1土地を1画地の宅地(一の評価単位)として、不整形地の評価をして申告を行った。 その後、相続税の調査が入り、本件1土地の価額は、不整形地として評価せず、当初は、本件1土地については、共同住宅の敷地部分(A、B、H、F、Aに囲まれた部分)と、雑種地である駐車場部分(別図のG、H、M、L、Gに囲まれた部分)は、土地の利用の一体性が認められないから、分けて評価することとした。 この更正処分等に不服な相続人らが審査請求をしたが、ここで、課税庁は、共同住宅の敷地部分をA、B、E、C、Aに囲まれた部分(青色)であり、雑種地である駐車場部分はC、E、M、L、G、F、Cに囲まれた部分(黄色)であると主張を変更している。 なお、土地等の状況のうち主要なものは次のとおりである。 共同住宅は、相続開始日において、9室のうち6室が賃貸されていた。 南側部分(「別図のC、E、M、I、Cに囲まれた部分」(黄色の部分と本件2土地の部分))は、相続開始日において、16台の月極駐車場であり、全て貸し付けられていた。そのうちの4か所については、共同住宅の居住者4名に貸していたが、共同住宅の入居者専用ではなかった GとL、FとGの間にフェンスなどはなかったが、CとDの間にはアルミ製の柵があった。さらにLとMの間にもフェンスがあった。 共同住宅の住人は、敷地内を通って南側の駐車場部分に移動することはできなかった。なぜなら東側には玄関と塀の間に植栽が設置され、西側は、塀と共同住宅の間が約47センチと狭かったからである。   ▷争点は 争点は、本件1土地北側部分(青色部分)及び本件1土地南側部分(黄色部分)ごとに土地を評価すべきか。具体的には、本件1土地の地目につき、本件1土地北側部分(青色部分)は宅地、本件1土地南側部分(黄色部分)は雑種地とし、それぞれの評価単位ごとに土地の価額を評価すべきか否か。   ▷裁決は 審判所は相続税の更正処分の一部を取り消し、相続人2人の過小申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消し、相続人1人の賦課決定処分の全部を取り消した。   ▷まとめ 本裁決において、本件1土地を「宅地部分」と「雑種地(駐車場部分)」に分けて評価するという課税庁の主張自体は認められた。しかし、駐車場部分を含む本件1土地南側部分(黄色部分)と本件2土地との分割が著しく不合理であるため、「本件2土地と併せて評価する」という課税庁側の主張は退けられた。 本件1土地南側部分(黄色部分)の形状自体は極めて歪なものだが、分割後においても本件1土地(共同住宅・駐車場)及び本件2土地(駐車場)の利用が著しく制限されることはなかった。共同住宅部分は北側道路に接道しており、本件1土地南側駐車場及び本件2土地(黄色部分)の駐車場も南側道路からスムーズに出入り・利用が可能であったためである。 つまり、財産評価における「不合理分割」に該当するかどうかの判断基準は、単に分割後の形状が歪であるか否かではなく、「分割時のみならず将来にわたっても有効利用が阻害され、通常の用途に供することができないか否か」が本質的なポイントであるといえる。 (了)

#No. 683(掲載号)
#菅野 真美
2026/08/27

グループ企業の税務Q&A 【第8回】「適格株式交換でグループ通算制度に加入した場合」

グループ企業の税務Q&A 第 8 回 適格株式交換でグループ通算制度に加入した場合 太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター/税理士 川瀬 裕太   ◆ ◆ ◆〈解説〉◆ ◆ ◆ 1 共同事業を行うための適格株式交換の要件 資本関係がない法人と株式交換を行う場合、下記の共同事業を行うための適格株式交換の要件を満たす必要があります(法法2十二の十七、法令4の3⑳)。 (1) 金銭等不交付要件 金銭等不交付要件とは、株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人株式以外の資産が交付されないことをいいます。 (2) 従業者引継要件 従業者引継要件とは、株式交換完全子法人の株式交換直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が株式交換の後に株式交換完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていることをいいます。 (3) 事業継続要件 事業継続要件とは、株式交換完全子法人の株式交換前に行う主要な事業が株式交換の後に株式交換完全子法人において引き続き行われることが見込まれていることをいいます。 (4) 事業関連性要件 事業関連性要件とは、株式交換完全子法人の株式交換前に行う主要な事業のうちのいずれかの事業と株式交換完全親法人の株式交換前に行ういずれかの事業とが相互に関連するものであることをいいます。 (5) 事業規模要件又は経営参画要件 事業規模要件とは、事業関連性要件を満たす対象事業それぞれの売上金額、従業者の数若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないことをいいます。 経営参画要件とは、株式交換前の株式交換完全子法人の特定役員の全てが株式交換に伴って退任するものでないことをいいます。 (6) 株式継続保有要件 株式継続保有要件とは、株式交換により交付される対価株式(議決権のないものを除きます)のうち、支配株主に交付されるものの全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていることをいいます。 (7) 完全支配関係継続要件 完全支配関係継続要件とは、株式交換の後に株式交換完全親法人と株式交換完全子法人の間に株式交換完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれていることをいいます。   2 株式交換完全子法人の時価評価 (1) 時価評価 通算制度の承認を受け加入する内国法人が、通算加入直前事業年度(※)終了の時に有する時価評価資産の評価益の額又は評価損の額は、通算加入直前事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入することとされています(法法64の12①)。 (※) その内国法人について通算承認の効力が生ずる日の前日の属するその内国法人の事業年度をいいます。 (2) 時価評価対象外の法人 通算法人を株式交換等完全親法人とする適格株式交換等に係る株式交換等完全子法人については、時価評価の対象にならないこととされています(法法64の12①二)。   3 株式交換完全子法人の繰越欠損金の持込制限 (1) 法人税の繰越欠損金 ① 繰越欠損金の切捨て 通算法人が時価評価対象法人に該当する場合には、その通算法人の通算制度の承認の効力が生じた日以後に開始する各事業年度については、同日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額はないものとされます(法法57⑥)。 ② 繰越欠損金の切捨てがない法人 通算法人で時価評価除外法人に該当する法人が、通算制度の承認の効力が生じた日の5年前の日又はその通算法人の設立の日のうちいずれか遅い日からその承認の効力が生じた日まで継続して通算親法人(その通算法人が通算親法人である場合には、他の通算法人のいずれか)との間に支配関係がある場合に該当しない場合で、かつ、通算制度の承認の効力が生じた後にその通算法人と他の通算法人とが共同で事業を行う一定の場合(下記③参照)に該当しない場合において、その通算法人が通算親法人との間に最後に支配関係を有することとなった日(支配関係発生日)以後に新たな事業を開始したときは、その承認の効力が生じた日以後に開始する各事業年度については、次に掲げる未処理欠損金額はないものとされます(法法57⑧、法令112の2③④)。 なお、通算法人の最初通算事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度において生じた欠損金額で切り捨てられずに持ち込まれたものは特定欠損金となります(法法64の7②一)。 ③ 「共同で事業を行う一定の場合」とは 共同で事業を行う一定の場合とは、イからハまでに掲げる要件、イ及びニに掲げる要件又はホに掲げる要件に該当する場合をいいます(法令112の2④)。 (2) 住民税の繰越欠損金(控除対象通算適用前欠損調整額、控除対象通算対象所得調整額、控除対象配賦欠損調整額) 法人税の未処理欠損金額について切捨てがあった場合においても、切り捨てた未処理欠損金額に対応する住民税の未処理欠損金額(控除対象通算適用前欠損調整額)を認識することとなります。 また、住民税の他の未処理欠損金額(控除対象通算対象所得調整額、控除対象配賦欠損調整額)については、切り捨てる規定はありません。 (3) 事業税 事業税では、通算法人が時価評価対象法人に該当する場合の繰越欠損金の切捨て(法法57⑥)や新たな事業を開始した場合の繰越欠損金の切捨て(法法57⑧)の規定は適用されず、特別の定めをする場合を除き、法人税の所得の計算により算定することとされています(地法72の23①②)。 したがって、法人税の未処理欠損金額が切り捨てられた場合でも、事業税の未処理欠損金額は切り捨てられません。   4 本件へのあてはめ 資本関係がない通算グループ外の法人A社を株式交換完全子法人、P社を株式交換完全親法人とする適格株式交換を行う予定とあり、本件株式交換は、共同事業を行うための適格株式交換の要件を満たす必要があります。 通算法人を株式交換等完全親法人とする適格株式交換等に係る株式交換等完全子法人については、時価評価の対象にならないため、グループ通算制度に加入する株式交換完全子法人A社については時価評価する必要はありません。 株式交換完全子法人A社が時価評価対象外法人に該当し、共同で事業を行う一定の場合には、A社の法人税の未処理欠損金額は持込制限なく、切り捨てられることはありません。また、株式交換完全子法人A社の住民税及び事業税の未処理欠損金額については、法人税の未処理欠損金額の切捨ての有無に関わらず、切り捨てられません。   (了)

#No. 683(掲載号)
#川瀬 裕太
2026/08/27

令和8年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第9回】

令和8年度税制改正における 『グループ通算制度』改正事項の解説 【第9回】   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   Ⅳ 投資簿価修正制度の見直し 1 改正の概要 令和8年度税制改正において、投資簿価修正における資産調整勘定等対応金額の加算措置について、通算完全支配関係発生日以前に離脱法人株式の譲渡をした場合の資産調整勘定対応金額等の減額調整の対象となる「譲渡」から、全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化の際における離脱法人株式の「譲渡」が除外されることとなった。 具体的には、次の株式の譲渡が、資産調整勘定対応金額等の減額措置の適用対象から除かれる(法令119の3⑥、法法2十二の十六イ、61の2⑭)。 (※1) 法人税法第2条第12号の16イに掲げる行為とは 全部取得条項付種類株式(注1)に係る取得決議によりその取得の対価として対象法人の最大株主(注2)以外のすべての株主(注3)に一に満たない端数の株式以外の対象法人の株式が交付されないこととなる場合のその取得決議をいう。 (注1) 全部取得条項付種類株式とは、ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(取得決議)によってその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。 (注2) 最大株主とは、対象法人以外の対象法人の株主のうちその有する対象法人の株式の数が最も多い者をいう。 (注3) 最大株主以外のすべての株主からは、対象法人及び最大株主との間に完全支配関係がある者は除かれる。 (※2) 法人税法第61条の2第14項の規定とは 「全部取得条項付種類株式に係る取得決議によりその取得の対価としてその取得をされる株主等にその取得をする法人の株式(注1)以外の資産(注2)が交付されない場合の当該取得決議」により全部取得条項付種類株式を譲渡し、かつ、その取得をする法人の株式又は新株予約権の交付を受けた場合(注3)に、その全部取得条項付種類株式の譲渡について、株式譲渡損益が生じないものとする取扱いをいう。 (注1) その株式と併せて交付されるその取得をする法人の新株予約権を含む。 (注2) その取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産を除く。 (注3) その交付を受けた株式又は新株予約権の価額がその譲渡をした有価証券の価額とおおむね同額となっていないと認められる場合を除く。   2 改正に関係する加算措置の取扱い 今回の改正に関係する加算措置の取扱いは次の2つとなる。 1 資産調整勘定対応金額等の減額の取扱い 法人税法施行令第119条の3第6項では、資産調整勘定等対応金額の計算について、次の取扱いが定められている。 2 資産調整勘定対応金額等の計算対象となる離脱法人株式(対象株式)の範囲 資産調整勘定対応金額等の計算対象となる離脱法人株式(対象株式)は、時価で取得した株式となる。   3 全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化 全部取得条項付種類株式とは、ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会の決議(取得決議)によってその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。 そして、全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化とは、例えば、以下の手順により、買収会社が少数株主を排除し、対象法人を完全子法人とする行為をいう。 手順1 買収会社がTOBを含めた株式の買取り等により、対象法人の株式の一定数の議決権を確保する。 ⇒ ❶株式の取得が行われる。 手順2 株主総会の特別決議により、対象法人の定款変更を行い、普通株式を全部取得条項付種類株式へ変更する。 手順3 全部取得条項付種類株式の取得決議を行い、取得の対価に係る交付比率の調整により、買収会社には普通株式を1株以上、少数株主には1株未満の端数株式を交付する。 ⇒ ❷全部取得条項付種類株式の譲渡と❸普通株式の取得が行われる。 手順4 1株未満の端数株式を合計した整数株式を、裁判所の許可を得て、買収会社又は対象法人へ任意売却し、少数株主に1株未満の端数株式に対応する現金を交付することにより、買収会社が対象法人を完全子法人とする。 そして、買収会社がグループ通算制度を適用している場合、例えば、買収会社が通算親法人である場合、対象法人はグループ通算制度に加入することとなる。 あるいは、全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化後に、買収会社及び対象法人がグループ通算制度を開始すると、その対象法人は通算子法人に該当することとなる。   4 改正の趣旨・目的 全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化について、改正前の法令では以下の取扱いとなる。 このように、改正前の法令では、完全子法人化の際の全部取得条項付種類株式の取得決議による対象法人株式の譲渡と取得は、実質的には、全部取得条項付種類株式から普通株式への株式の内容(種類)の変更に過ぎないにもかかわらず、資産調整勘定対応金額等が消滅してしまう(あるいは、新たに発生しない)という問題が生じていた。 そのため、令和8年度税制改正で、通算完全支配関係発生日以前に離脱法人株式の譲渡をした場合の資産調整勘定対応金額等の減額調整の対象となる譲渡から、全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化の際の離脱法人株式の譲渡を除外する取扱いに見直すことになった。 なお、この取扱いからは、「全部取得条項付種類株式に係る取得決議により交付を受けた離脱法人株式の価額がその譲渡をした株式の価額とおおむね同額となっていないと認められる場合」は除かれる(法令119の3⑥、法法61の2⑭)。この点につき、このような場合の離脱法人株式の取得は、法人税法施行令第119条第1項第18号に該当するものではなく、同項第27号に掲げる株式の取得に該当する。その結果、普通株式の取得に伴い新たに資産調整勘定対応金額等が生じることから、全部取得条項付種類株式の譲渡については、原則どおり減額措置が適用される(法令119の3⑥⑦二、119①十八・二十七・法法61の2⑭)。   5 他のスクイーズアウトの手法との比較 この改正により、全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化について、株式併合による完全子法人化と同様に、完全子法人化前に生じた資産調整勘定対応金額等が消滅しないこととなった。 スクイーズアウトの手法ごとの資産調整勘定対応金額等の取扱いは、次のとおりとなる。 〈図表:スクイーズアウトの手法ごとの取扱い〉 完全子法人化時の資産調整勘定対応金額等の取扱い 現金交付型株式交換 株式売渡請求方式 株式併合方式 全部取得条項付種類株式方式 完全子法人化前の株式取得(買取)分 譲渡に該当しないため、消滅しない。 譲渡に該当しないため、消滅しない。 譲渡に該当しないため、消滅しない。 改正前:譲渡に該当するため、消滅する。 改正後:譲渡に該当するが、消滅しない。 完全子法人化時の株式取得分 法令 119①二十七に該当するため、新たに発生する。 法令 119①一に該当するため、新たに発生する。 株式取得はない。 株式取得はない。   6 適用時期 改正後の取扱いは、内国法人の令和8年4月1日以後に終了する事業年度から適用される(令8改法令附5①)。 〈図表:全部取得条項付種類株式の取得決議による完全子法人化の際における離脱法人株式の「譲渡」と資産調整勘定対応金額等の減額措置からの適用除外〉 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。   (続く)

#No. 683(掲載号)
#足立 好幸
2026/08/27
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