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税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第71回】「底地取引をめぐる新しい動向と鑑定評価」

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第71回】 「底地取引をめぐる新しい動向と鑑定評価」   不動産鑑定士 黒沢 泰   1 はじめに 旧借地法の下で締結された土地の賃貸借契約で長期間にわたり継続しているものについて、地代の利回り(=年額地代÷更地価格×100%)を計算した場合、経済合理性という観点からみて著しく低いものとなっているのが一般的な傾向です。 その理由は、旧借地法による借主保護という観点から、地価が上昇してもこれに見合う十分な地代に改定することが難しいという事情が大きく影響していたことが様々な方面から指摘されています。 そのため、土地の賃借人がいる状態でその土地の所有権(すなわち、底地の所有権)を取得しようと考える人は、一般市場においてはきわめて限られているのが実情です。 しかし、平成4年8月1日から新しい借地借家法が施行され、事業用定期借地権が活用されるに伴い、ここ最近、従来とは異なるスタイルでの底地取引が見受けられるようになってきました。 例えば、J-REITによる事業用不動産の敷地の取得です(ここで取得の対象とされているのは、あくまでも土地の賃借人がいる状態における土地の所有権であり、これがまさに底地に他なりません)。 このような新しい動向は、2025年9月29日付日本経済新聞朝刊にも「『底地ビジネス』10兆円市場」(※1)という大きな見出しで掲載されています。 (※1) この記事では、土地と建物の所有権を分離し、土地のみを取引する「底地ビジネス」が拡大しているとし、それは企業が資産の効率化に向けて土地の売却を進めていることが要因であり、米投資ファンドのKKRやイオンリテールが活用している旨が紹介されています。 そこで、今回はこのような動向を鑑定評価という視点も交えながら分析してみたいと思います。   2 J-REITによる底地取得の状況 J-REITによる投資不動産の用途は、2001年3月に東京証券取引所に上場市場が創設されて以来しばらくの間は、そのほとんどがオフィス、共同住宅、商業施設であったといわれています。しかし、現在では、物流施設、ホテル、ヘルスケア施設、工場だけでなく、底地に至るまで幅広い領域にわたっています。 ちなみに、底地に関しては、J-REITの投資全体に占める割合は少ないものの、以下の〈資料1〉及び〈資料2〉にみられるとおり、(年度により変動があるものの)ここ最近、J-REITが底地を積極的に取得している傾向にあることが読み取れます。 〈資料1〉 J-REITの価額増加分に係る用途別の割合の推移 (注) J-REITの各年における取得価額の合計から売却物件の取得価額の合計を差し引いた価額分の用途別の割合を示したもの。 (出所) 一般財団法人土地総合研究所「土地総研リサーチ・メモ『J-REITにおける不動産投資の動向~2024年の状況』(2025年3月4日)」から抜粋。 〈資料2〉 J-REITの物件数増加分に係る用途別の割合の推移 (注) J-REITの各年における取得物件数の合計から売却物件数の合計を差し引いた物件数の用途別の割合を示したもの。 (出所)上記〈資料1〉と同様。   3 J-REITによる底地取得の動機 それでは、従来のわが国の借地事情に照らし、流動性がきわめて乏しく、投資利回りの著しく低い底地に対し、J-REITが積極的な取得の姿勢を示している動機にはどのようなものがあるのでしょうか。 旧借地法の制約下で、貸主にとって将来返還を受けることがきわめて難しく、しかも地代改定もままならない底地であれば、それが新たな投資対象として着目されることなどないはずです。現在、J-REITが底地取得に関心を示している背景には、従来の底地事情とは全く異なる考え方が存在していると思われます。 その主なものとして、次の点が各方面から指摘されています。 (※2) 併せて、次の指摘も見受けられます。 「敷地のみの保有であれば、建物整備コストがない分初期投資が小さくなり、投融資による新たな資金調達の必要性が相対的に低くなるほか、テナント退去等による賃料減収リスクが低く(実際、底地物件に立地する建物の大部分は商業施設である)、減価償却や維持・修繕がないため建物に比べて管理コストが低く、災害等による資産価値の下落リスクも低い(建物からのテナント退去は相当程度の確度で想定されるが、土地から建物を整備・保有するテナントが退去することは、建物等に係る初期投資や建物撤去費用などを勘案すれば、建物からの退去に比べ、かなり確度が低くなる)。」(一般財団法人土地総合研究所「土地総研リサーチ・メモ『J-REITにみる不動産証券化市場における取引主体の傾向(前編)』」、2022年12月1日) なお、〈資料3〉は、上記のような動機によって底地が生じるイメージを表わしたものです。 〈資料3〉 底地が生ずるイメージ 上記のように、土地建物から敷地のみが分離して売却された場合(結果としてその土地は底地に変化します)、売主はその後、当該土地を借地することにより建物を継続使用することとなります(いわゆる「セール・アンド・リースバック」です)。このような状況を踏まえれば、J-REITの底地取引はファイナンス的色彩が強いという捉え方もできると思われます。   4 J-REITが保有する事業用不動産の底地の利回り水準 J-REITが保有する事業用不動産の底地の利回り水準についての調査資料(ただし、公表されているもの)としては、三菱UFJ信託銀行不動産コンサルティング部作成の「不動産マーケットリサーチレポート(VOL.210(2022年6月17日))」があげられます。 これは、J-REITが情報開示している物件運用のデータを基に、同行が事業用不動産の底地の利回りの水準等について分析したものであり、概略は以下のとおりです。ただし、調査時点からやや期間が経過していることもあり、現時点においては利回りの数値自体が変動していることも考えられます。そのため、(これは筆者の見解ですが)ここに掲げた割合は絶対的な尺度というよりも、(後掲する)旧借地法下における底地の利回りとの相対的な比較をする際の物差しという意味で参考にしていただければと思います。 ちなみに、上記レポートによれば、投資家側の視点では、事業用不動産の底地の地代と取引価格の関係は期待する利回りによって決まるが(底地の地代(純収益・NOI(※3))÷利回り=価格)、NOIを(当時の)鑑定評価額で割り戻して求められた利回りの平均は4.4%、中央値は4.3%と報告されています。 (※3) 地代収入-固定資産税・都市計画税-管理費用=純収益(NOI) さらに、ここでは特記すべき事項として次の点が併せて指摘されており、留意が必要と思われます。 (※4) 筆者注。価格が高くなれば利回りが低くなるという逆相関の関係にあるためです。 (※5) 筆者注。このような場合、(※4)に掲げたケースと同じく利回りは低くなる傾向にあります。   5 旧借地法下における土地賃貸借契約の底地の利回り水準 日税不動産鑑定士会(税理士と不動産鑑定士の2つの資格保有者で組織する会)では、継続地代の実態(ただし、東京都23区を中心として)を昭和49年から3年ごとに調査し、その結果を「継続地代の実態調べ」(成果物)として刊行しています。 以下、同会ホームページに掲載された「令和6年版(第18回)『継続地代の実態調べ』をめぐって」のなかから調査結果の一部を参照させていただき、旧借地法下における底地の利回りの水準について振り返ってみます。   6 まとめ 旧借地法の下で締結された土地賃貸借契約に関しては、「底地の利回りは著しく低い」というのが従来からの傾向であり、このことは現在でも変わりはありません。しかし、J-REITが取得し保有している物件に関しては事情が異なることは、今まで述べてきたことから理解できると思います。 不動産鑑定士としても、従来の常識だけに捉われず、新しい知識を吸収するとともに市場の動向を見極めながら鑑定業務に携わる必要があることを痛感させられます。 (了)

#No. 645(掲載号)
#黒沢 泰
2025/11/20

《税理士のための》登記情報分析術 【第30回】「株式会社の設立登記について」~依頼者からヒアリングすべき事項~

《税理士のための》 登記情報分析術 【第30回】 「株式会社の設立登記について」 ~依頼者からヒアリングすべき事項~   司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎   2025年も残すところ1か月程度となったが、年末に差し掛かると増えてくるのが設立登記の依頼である。新年の1月に設立をしたいという依頼者が多いためである。本稿では、株主も少数で取締役会を設置しない小規模な株式会社を念頭に設立登記のポイントについて複数回に分けて解説を行う。   1 設立登記にあたってヒアリングが必要な情報 司法書士が株式会社の設立登記の依頼を受けるにあたって、依頼者からヒアリングをする主な情報とポイントは次のとおりである。 筆者の場合、ヒアリングシートを用意して依頼者に記載をしてもらうようにしている。 (1) 商号 会社名のことであり、ひらがなやカタカナ、漢字以外にもローマ字や一定の符号(「&」や「・」など)も使用することができる。ただし、使用できない文字や符号もあるため、特殊な文字を利用したい場合には、事前に司法書士に相談するとよいだろう。また前株(株式会社〇〇)なのか、後株(〇〇株式会社)なのかについても決定する必要がある。 商号が決まったら法務局に届出する会社実印も作成する必要がある。手配を忘れていると設立登記が遅れることがあるため注意したいところである。 (2) 本店の所在場所 本店の所在場所がビルの一室にある場合でも、ビル名や部屋番号まで登記することは求められていない。ビル名等を省略すると郵便物が到達しない場合は登記した方がよいが、ビル名等が変更されると登記申請を行う必要があるため検討の余地がある。設立登記の申請にあたって、法務局に賃貸契約書など、本店の所在場所を使用する権限があることを証明する書類を提出する必要はない。 (3) 目的 会社の事業目的のことであるが、依頼者自身ではやりたいことは決まっていてもどのような記載ぶりとすればよいかわからないことが多い。筆者はまず自由に依頼者に記載してもらい、登記に適する形で記載ぶりを整えるようにしている。許認可が必要になる事業の場合は、事前に行政書士に目的の記載ぶりについて相談することもある。 (4) 役員 取締役の氏名、代表取締役の氏名・住所など情報が必要になる。役員については印鑑証明書等の書類を準備してもらう必要があるため、役員構成は早めに決定することがスムーズに設立登記を進めるコツといえる。 (5) 役員の任期 役員の任期は原則として選任から2年間であるが、発行するすべての株式に譲渡制限を設定する株式会社については、役員の任期を選任から10年間と伸長することができる。小規模な株式会社の設立の場合は、任期を10年間とすることが多いが、10年後に役員の改選登記を失念している事例も散見されるため検討の余地がある。 (6) 公告方法 公告方法には、官報、日刊新聞紙、電子公告の方法があるが、圧倒的に官報を選択する事例が多い。特にこだわりがなければ、官報として差し支えないだろう。 (7) 資本金の額 資本金の額の下限に制限はなく、極端な例では1円とするような事例もあるが、筆者の経験では100万円程度とすることが多いように思われる。 (8) 発起人 設立後に株主となる人のことであり、氏名・住所と出資額の情報が必要になる。発起人には、印鑑証明書等の書類を準備してもらうことや資本金を入金する手続をしてもらう必要になるため、発起人についても役員と同じく早めに決定するとスムーズである。 (9) 事業年度 事業年度については、会社で自由に決めることができる。必ずしもよくある3月末や12月末などにする必要はないため、業務の繁閑を考慮して決定するとよいだろう。 (10) 設立日 設立登記を法務局に申請した日が設立日となるが、法務局が閉庁している土日や祝日、年末年始期間は設立日とすることができない。1月1日を設立日としたいとするニーズは多いが、法務局が閉庁しているため設立日とすることはできない。   2 1月1日を設立日にすることが可能に? 法務局が閉庁している土日や祝日、年末年始期間の日を設立日とすることができないという問題については改正が予定されている。商業登記規則等の一部改正により2026年2月2日以降は、1月1日などの法務局が閉庁している日でも設立日とすることが認められる方向である。細かい論点整理はこれからとなるが、設立予定があるときは事前に司法書士に相談をしておくとよいだろう。   (了)

#No. 645(掲載号)
#北詰 健太郎
2025/11/20

《顧問先にも教えたくなる!》資産づくりの基礎知識 【第29回】「安心して資産の成長を見守るための「スイッチング」と「配分変更」の活用」

《顧問先にも教えたくなる!》 資産づくりの基礎知識 【第29回】 「安心して資産の成長を見守るための 「スイッチング」と「配分変更」の活用」   株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 一般社団法人公的保険アドバイザー協会 理事 日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー(CFP®) 山中 伸枝   〇株価の上昇に伴う不安 株式市場が堅調な動きを続けています。2025年10月末時点の日経平均株価は52,411円でした。2025年の始まりは約40,000円でしたから、1年弱で約12,000円の上昇となっています。また、S&P500も2025年10月末時点で6,840ドルと、年初から1,000ドルほど値上がりしています。 しかしこれだけ株価の上昇が続くと、「そのうち一気に下がるかもしれない」という不安も広がってきます。実際、お客様からは「今のうちに利益確定をした方がよいでしょうか」という問い合わせも増えています。 例えば人気の投資信託eMaxis Slimシリーズの日本株式(日経平均)については、2025年9月末時点の運用報告書による直近1年の騰落率が+20.8%です。同じく米国株式(S&P500)は+22.4%、全世界株式(いわゆる「オルカン」)は+22.1%となっています。オルカンは米国株が6割程度を占めるため、米国市場の影響が大きい一方、新興国株式も堅調であったことが報告書で触れられています。 特に投資経験が浅い場合、評価益が+10%、+20%、あるいはそれ以上になると、「これはいつまで続くのか」「大きな下落が来るのでは」と不安になる気持ちも理解できます。   〇長期投資では「気持ちと折り合いをつける」ことも大切 もちろん、今後の株価動向を正確に予想することはできません。もっともっと上がるかもしれないし、リーマンショック級の暴落が来るかもしれません。保有が正解か、売却が正解か誰も分からない中、長期投資では「気持ちと折り合いをつける」ことも大切ではないかと考えます。 特に今後の運用期間が1年ないし3年程度しか見込めないという方であれば、利益の確定を考えるのも良いかもしれません。 特定口座あるいは一般口座で運用をしている方の場合、売却をすると税金がかかりますが、もし塩漬けにしていた運用商品があるのであれば、その売却損と利益を通算することができます。損益の発生が異なる証券会社の場合は、確定申告で通算します。 NISA利用の場合は、いつ解約をしても問題ありませんので、履歴を確認しながら売却を実施します。もし一般NISAで運用している商品がある場合は、非課税期間内に売却を行うことも重要です。 NISAの投資はいつお休みしても、いつ再開しても構わないので、市場が過熱しすぎていると感じるのであれば、少し積立を中止する、あるいは積立の金額を減額して継続するなどの対策も有効です。   〇スイッチングの手続き方法 iDeCoはご存じの通り、60歳まで資金を引き出すことは原則できませんが、口座内の運用商品の売買(スイッチング)はいつでも可能です。つまり、利益が大きくなってきたと感じたら、その一部または全部を売却し、定期預金などの元本確保型商品へ預け替えることができます。ただしiDeCoの手続きは少し複雑ですから、詳しく説明します。 スイッチングは、今ある資産を売却して、その売却資金で別の資産を購入するということです。この時、資産を全部売却しても良いですし、一部売却することもできます。 例えば、利益が出ている日本の株式に投資をするインデックスファンドを全部売却するとしましょう。まず、iDeCoの管理画面で「スイッチング(預け替え)」を選ぶと保有中の運用商品が一覧で表示されます。そのうち売却したい日本株インデックスファンドを選び売却を選ぶと、全部売却するのか一部売却するのかの選択が示されますので、全部を選択します。 すると今度は、その売却資金で何を購入するかを問う画面に変わります。加入中のプランの運用商品一覧が表示されるので、そこで購入する商品を選びます。確認の行程を経て操作は完了です。名称や画面構成は金融機関によって多少異なりますが、流れは概ね同じです。 投資信託の売却には通常4営業日程度かかり、次の商品を購入するまでにはさらに数日かかる場合がありますので、表示されるスケジュールは必ず確認しましょう。 例えば、1つの運用商品を売却して、その資金で2つの運用商品を購入したいという場合もあるでしょう。その時は、2回に分けて手続きをした方が分かりやすいです。例えば、最初に日本株インデックスファンドを半分売却し、その資金で定期預金を購入する。その後、残り半分を売却して、年金保険を購入する、というような流れです。 一部売却する場合は「口数」で指定します。投資信託は基準価額(=1口あたりの価格)に保有口数を掛けて評価額を算出します。たとえば「20万円分だけ売却したい」といった場合には、売却したい金額を基準価額で割ることで、目安の売却口数が計算できます。画面のヘルプやコールセンターでもサポートが受けられますので、落ち着いて進めれば難しくありません。 ここまでは、今保有している運用商品を売却する手順です。この操作だけを行うと、日本株インデックスの売却はあくまでも現在保有資産のみですから、翌月にはこれまでと同様に日本株インデックスの買い付けが行われます。   〇配分変更の手順 そこでもうひとつ大切な設定が「配分変更」です。配分とは、毎月の掛金でどの運用商品を購入するかという割合のことです。先に配分変更をしておくことにより、「もう購入したくない運用商品」を売却したあとも、翌月以降に再度積み立て買付が行われてしまうことを防ぐことができます。 そのため、(1)配分変更で今後の購入先を元本確保型に変更 ⇒(2)その後スイッチングで保有資産を売却・預け替え、という順番にすると意図通りの運用ができます。 手順としては、まず配分変更のタブを開き、翌月購入する運用商品を変更します。最初は現在購入中の運用商品にチェックが入っていますので、積立購入を中止する運用商品のチェックを外し、元本確保型商品にチェックを入れ、資金の配分割合を設定します。その後翌月の買い付けが実行されてからスイッチングを行います。   〇最後の確認は忘れずに 作業の仕上げは、確認です。思った通りに配分が変更されたのか、思った通りに売買が行われたのかの確認は必ず実行しましょう。どうしても時間差が発生する行程なので、どこかで指示がうまくいかず、配分変更が行われていなかった、スイッチングができていなかったということもありますので、忘れずに確認することをお勧めします。 このようにiDeCoは、口座内での運用商品の売買はいつでも可能です。iDeCo内の投資信託は購入時手数料がかからず、売却時に信託財産留保額が発生する商品も現在は多くありません。さらに、利益を確定しても非課税で全額を次の運用に回せるという点は、iDeCoならではの大きなメリットです。   〇まとめ 市場が活況な今こそ、一度ご自身の評価益と向き合い、今後のライフプランと照らし合わせながら、運用リスクの取り方を見直す良い機会かもしれません。スイッチングと配分変更という機能を知り、上手に活用することで、資産の成長をより安心して見守ることができるようになるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。 (了)

#No. 645(掲載号)
#山中 伸枝
2025/11/20

《速報解説》 会計士協会、「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」の改正に関する公開草案を公表~タックス・プランニング業務及びサステナビリティ保証業務に係るQ&Aを改正~

《速報解説》 会計士協会、「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」の 改正に関する公開草案を公表 ~タックス・プランニング業務及びサステナビリティ保証業務に係るQ&Aを改正~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2025年11月18日、日本公認会計士協会は、倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」の改正に関する公開草案(タックス・プランニング業務及びサステナビリティ)を公表し、意見募集を行っている。 2025年10月15日に、日本公認会計士協会は、「倫理規則」の改正に関する公開草案を公表し意見募集を行っているが、これを受けて、「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」の改正に関する公開草案を公表するものである。 意見募集期間は2025年12月18日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 倫理規則の改正内容とIESBAから公表されているスタッフQ&Aを踏まえ、「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」について、次の項目に関する改正を行う。 Q&Aの各項目では、その内容が詳細に規定されているので、実際の適用に際しては、Q&Aを確認する必要がある。 (了)

#阿部 光成
2025/11/19

《速報解説》 「所得税法施行令の一部を改正する政令」が11月19日付官報:号外第254号にて公布~通勤手当の非課税限度額の引上げ~

《速報解説》 「所得税法施行令の一部を改正する政令」が 11月19日付官報:号外第254号にて公布 ~通勤手当の非課税限度額の引上げ~   Profession Journal編集部   Ⅰ はじめに 令和7年11月19日、「所得税法施行令の一部を改正する政令」(政令第380号)が官報号外第254号に掲載され、公布された。 この改正は、令和7年8月7日に人事院が行った「令和7年人事院勧告」において、自動車などの交通用具使用者に対する通勤手当の額の引上げが勧告されたことを受けたものである。 人事院勧告に基づく通勤手当の改正は、民間企業の所得税法上の通勤手当の非課税限度額にも連動するのが通例であり、今回の政令改正により、令和7年4月1日以降に受ける通勤手当について、新たな非課税限度額が適用されることとなった。 なお、今回公布された政令は、令和7年8月の人事院勧告における改正内容のうち、②に該当する部分(現行の「60㎞以上」までの距離区分の引上げ)のみを対象としている。人事院勧告における①(65㎞以上から100㎞以上までの区分の新設)及び③(駐車場等の利用に対する通勤手当の新設)については、令和8年4月実施予定とされており、今後別途政令改正が行われる見込みである。   Ⅱ 改正の内容 今回の政令改正による通勤手当の非課税限度額の変更内容は、以下のとおりである。 1 改正の対象 所得税法施行令第20条の2第2号に規定する、自動車等の交通用具を使用して通勤する者に係る非課税限度額について、距離区分に応じた引上げが行われた。 2 具体的な改正内容 各距離区分における非課税限度額の改正内容は、以下のとおりである。 今回の改正により、10㎞以上の距離区分において、200円から7,100円までの幅で非課税限度額が引き上げられた。特に、45㎞以上の距離区分においては、4,300円から7,100円と大幅な引上げとなっている点が注目される。   Ⅲ 施行日及び経過措置 1 施行日 この政令は、令和7年11月20日から施行される。 2 適用関係 改正後の非課税限度額は、令和7年4月1日以後に受けるべき通勤手当(以下「新通勤手当」という。)について適用される。 ただし、令和7年4月1日前に受けるべき通勤手当の差額として追給されるもの(「特定差額追給手当」)については、従前の例による。すなわち、特定差額追給手当については、改正前の非課税限度額が適用される。 3 施行日前に受けた通勤手当の取扱い 新通勤手当のうち、この政令の施行日(令和7年11月20日)前に受けたものに係る所得税法第4編第2章第1節(源泉徴収)の規定の適用については、なお従前の例による。 これは、施行日前に既に源泉徴収が行われた通勤手当について、改正後の非課税限度額を遡及適用しないことを意味している。   Ⅳ 年末調整における実務上の留意点 今回の改正は、令和7年4月1日に遡及して適用されるため、令和7年4月から11月19日までに既に支払われた通勤手当については、改正前の非課税限度額を前提として源泉徴収が行われている。 したがって、令和7年12月に実施する年末調整において、改正後の非課税限度額を適用した再計算と、過納付税額の精算処理が必要となる可能性が高い。 なお、年末調整における具体的な処理方法や留意点については、本誌連載「〈令和7年分〉おさえておきたい年末調整のポイント」(公認会計士・税理士 篠藤敦子)において、今後、追補として詳細に解説する予定である。 また、国税庁は、令和7年8月の人事院勧告を受けて、「通勤手当の非課税限度額の改正について」と題する特設ページを公開しており、年末調整における対応を呼びかけている。今回の政令公布を受けて、同ページには更なる詳細情報が追加されることが予想されるため、年末調整実務に当たっては、最新の情報を確認することが重要である。   Ⅴ 今後の改正予定 前述のとおり、人事院勧告においては、以下の2点についても改正が予定されている。 これらは令和8年4月実施予定とされている。実務担当者においては、これらの改正動向についても引き続き注視する必要がある。   Ⅵ  おわりに 今回の通勤手当の非課税限度額の引上げは、令和7年4月に遡及して適用されるため、年末調整において差額調整が必要となる可能性が極めて高い。 給与支払者においては、従業員の通勤実態を改めて確認するとともに、年末調整における適切な処理を行うため、国税庁の特設ページ等を通じて最新情報を入手し、適切に対応していただきたい。 (了)

#Profession Journal 編集部
2025/11/19

《速報解説》 国税庁、「税務行政におけるオンラインツールの利用について」を公表~令和7年10月から一部国税局でMicrosoft Teams等の利用開始、税務調査等の効率化を推進~

《速報解説》 国税庁、「税務行政におけるオンラインツールの利用について」を公表 ~令和7年10月から一部国税局でMicrosoft Teams等の利用開始、税務調査等の効率化を推進~   Profession Journal編集部   国税庁は令和7年11月、「税務行政におけるオンラインツールの利用について」を公表した。 令和7年10月から、金沢国税局及び福岡国税局並びにこれらの管内税務署において、インターネットメール、Web会議システム(Microsoft Teams)、オンラインストレージサービス(PrimeDrive)及びアンケート作成ツール(Microsoft Forms)の4つのオンラインツールを業務に利用することとしている。 その他の国税局及び管内税務署については、令和8年3月以降、順次利用を開始する予定である。 今回公表されたQ&Aでは、これらオンラインツールの利用に関する一般的な事項、セキュリティに関する事項、各ツールの利用に関する事項について、全18問で解説している。   1 オンラインツール導入の概要 (1) 利用する4つのツール 今回導入されるオンラインツールは以下の4つである。 (2) 利用場面 これらのツールは、関係民間団体や調達の契約事業者との連絡において利用されるほか、税務調査、行政指導、滞納整理及び査察調査等において、国税当局の判断により、必要に応じて利用されることとなる。 なお、行政指導には、書面添付制度に基づく意見聴取、事業者等への協力要請及び酒類の免許等関係事務における申請書の補正等が含まれる(問1)。 (3) 利用の基本原則 オンラインツールの利用については、税務署又は国税局の担当者と利用者双方の合意のもとで利用することとされている。 その上で、国税当局において効率的な税務調査等の実施に資すると認められると判断した場合にオンラインツールを利用するため、納税者又は税理士がオンラインツールの利用を希望した場合であっても、対面で税務調査等を実施する場合があることに留意が必要である。 また、事業所等に臨場して質問検査等を行う必要がある場合には、現状のとおり対面で税務調査を実施することとされている(問2)。   2 実務上の重要ポイント (1) 利用開始の手続き オンラインツールを利用するためには、Microsoft Formsのフォーマットから同意事項に同意し、メールアドレス等を登録する必要がある。税務調査等において、関与税理士がいる場合、納税者と税理士の双方がオンラインツールを利用するには、それぞれが利用のための手続きをする必要がある(問6)。 (2) 準備事項 メールアドレスの用意が必要であり、ドメインが「nta.go.jp」からのメールが受信可能となるよう設定の確認が求められている。PrimeDrive及びMicrosoft Forms等は基本的にアプリのダウンロードは不要であるが、Microsoft Teamsについては、スマホ・タブレットからアクセスする場合に事前のアプリダウンロードが必要となる(問7、問8)。 (3) セキュリティ対策 国税当局は「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」のほか独自の対策を実施している。なりすまし防止のためテストメールによる接続確認を実施し、誤送信防止のため事前登録されたアドレスへの送信や管理者による確認等の対策が講じられている(問10~問12)。   3 各ツールの利用に関する留意事項 (1) 申告書等の提出不可 申告書や届出書・申請書などの各種届出書等は、書面又はe-Taxにより提出する必要があるため、インターネットメール又はPrimeDriveにより提出することはできない。この点は、実務上特に注意が必要である(問13)。 (2) データ容量・形式の制限 インターネットメールは1送信当たり最大20MB(exe形式等は添付不可)、PrimeDriveは最大20ファイルで1ファイル当たり1.9GB(データ形式の制限なし)となっている(問14)。 (3) 税務署等からの資料提供 税務署等が納税者等に対して資料を提供する場合、原則として、インターネットメールへのファイル添付又はPrimeDriveを利用することはなく、直接交付や郵送などの手段により行われる(問15)。 (4) Microsoft Teamsの機能制限 税務調査や行政指導において、録音・録画、チャット、文字起こし及びホワイトボード機能の利用は禁止されている。画面共有機能については納税者等の使用は禁止されていないが、税務署等の担当者が画面共有機能により資料を提示することはない(問16)。 (5) インターネットメールでの連絡事項 税務調査等においては、日程調整、資料の提出依頼、Microsoft TeamsやPrimeDriveのURLの連絡、キャッシュレス納付の利用勧奨等についてインターネットメールにより連絡が行われる。なお、税務調査における事前通知は、現状のとおり原則口頭により行われる(問17)。   4 電子データの提出方法 利用者が税務署等に電子データを提出する場合、Microsoft Outlook、PrimeDrive、e-Taxの3つの方法がある(問18)。データの容量や形式等に応じて適宜提出方法を選択することとなるが、書面又はe-Tax(XML形式又はXBRL形式)での提出が求められている申告書、届出書・申請書等については、法令上認められた方法による提出が必要である。 主な特徴として、Microsoft Outlookは送信履歴から事後確認が可能であるのに対し、PrimeDrive及びe-Taxは事後の確認ができない点に留意が必要である。   5 税理士が留意すべき事項 (1) 個別案件ごとの登録が必要 税理士が以前に税務署の税務調査においてオンラインツールを利用したことがある場合でも、同じ税務署において別の税務調査が行われる際には、改めてMicrosoft Formsのフォーマットから、オンラインツールの利用に関する同意事項の内容に同意し、メールアドレス等を登録する必要がある(問5)。 (2) 所轄税務署変更時の対応 納税地の異動等により所轄税務署が変わったことに伴い、調査担当者が変更となった場合には、改めて、Microsoft Formsのフォーマットから、オンラインツールの利用に関する同意事項の内容に同意し、メールアドレス等を登録する必要がある。 納税地等の異動により所轄税務署が変わることとなった場合には、速やかに調査担当者に連絡することが求められている(問4)。 (3) メールアドレスの変更 登録したメールアドレスを変更する場合、再度、Microsoft Formsのフォーマットから登録する必要がある。新たなメールアドレスを登録した場合、変更前のメールアドレスは使用できなくなることに留意が必要である。 メールアドレスの変更を希望する場合には、税務署等の担当者に連絡することとされている(問3)。   6 今後の展開 令和7年10月から、金沢国税局及び福岡国税局並びにこれらの管内税務署においてオンラインツールの利用が開始されている。 その他の国税局及び管内税務署については、令和8年3月以降、順次利用を開始することとしている(問9)。 税務行政のデジタル化が進展する中、オンラインツールの活用により、納税者の利便性向上と税務調査等の効率化が期待される一方で、実務上は申告書等の提出方法の使い分けや、各ツールの機能制限等について十分な理解が求められる。 特に税理士においては、個別案件ごとの登録手続きが必要となることや、所轄税務署変更時の対応など、従来の業務フローとは異なる点に留意し、適切に対応していく必要がある。 (了)

#Profession Journal 編集部
2025/11/18

《速報解説》 日本監査役協会、「監査役等の引継ぎ手引書」を公表~現任の監査役等が監査活動を実施する中で積み上げてきたものなどを引き継ぐためのツール~

《速報解説》 日本監査役協会、「監査役等の引継ぎ手引書」を公表 ~現任の監査役等が監査活動を実施する中で積み上げてきたものなどを引き継ぐためのツール~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2025年11月17日、日本監査役協会関西支部事務局は、「監査役等の引継ぎ手引書」を公表した。 これは、企業が永続的に健全かつ持続的な発展をし続けるため、現任の監査役等が監査活動を実施する中で積み上げてきたものなどを引き継ぐためのツールとして取りまとめたものである。会員に対するアンケートも行われている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 引継ぎで印象に残った事例や引継がれて良かった事項で多く見られたものとして、次のことが紹介されている。 引継ぎ期間、引継ぎ方法、引継ぎ資料など多くの事項について記載されている。 監査役等へ就任したことで得た経験や良かった事例では、「これまでとは違った視点で企業価値向上に貢献」、「現場の課題改善や社員のモチベーションを高められた」などの意見もあるとのことである。 それらを実現するために重要な活動として考えられる経営陣、社外役員、従業員とのコミュニケーションは、後任に実施して欲しい活動として多くの監査役等から示されている。 (了)

#阿部 光成
2025/11/18

《速報解説》 「会計監査人評価の現状と今後の在り方」に関する報告書が監査役協会から公表される~会計監査人評価の効率化及び実効性向上を目的として研究~

《速報解説》 「会計監査人評価の現状と今後の在り方」に関する報告書が 監査役協会から公表される ~会計監査人評価の効率化及び実効性向上を目的として研究~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2025年8月7日付で(ホームページ掲載日は2025年11月17日)、日本監査役協会関西支部 監査役スタッフ研究会は、「会計監査人評価の現状と今後の在り方」を公表した。 近年、子会社の不正・不祥事が多発していることを背景に、会計監査の信頼性確保が大きな課題となっており、監査役等と会計監査人との連携が重要視されていることから、会計監査人の評価を効率化し、実効性向上を目的として研究したものである。会員に対するアンケートも行われている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 会計監査人評価の実効性向上に向けた考察 会計監査人評価の実効性向上に向けた研究会の意見として、次のことが記載されている。 上記の項目について、例えば、監査法人の品質管理については、直接的な評価が難しいが、監査法人からの報告の受領に加えて、自社として一定の評価プロセスを構築することも一案ではないかなどの分析が行われている。 (了)

#阿部 光成
2025/11/18

《速報解説》 会計検査院、「多額の課税売上げを有する法人に係る消費税の簡易課税制度の適用」について検査~吸収合併法人等に対する簡易課税適用判定見直しの可能性~

《速報解説》 会計検査院、「多額の課税売上げを有する法人に係る消費税の簡易課税制度の適用」について検査 ~吸収合併法人等に対する簡易課税適用判定見直しの可能性~   税理士 石川 幸恵   会計検査院は令和6年度決算検査報告を作成し、令和7年11月5日に内閣に送付した。その中で、特徴的な案件の1つとして「多額の課税売上げを有する法人に係る消費税の簡易課税制度の適用」について、検査の状況と所見等が公表された。   1 これまでの消費税の簡易課税制度に対する検査の実施及び指摘事項の整理 会計検査院はこれまでも簡易課税制度を検査しており、平成24年の報告では次の点を指摘したうえで、消費税率引上げによる益税拡大を懸念している。 ①については不動産業の事業区分の見直し(平成26年度税制改正)、軽減税率制度導入時の農業の事業区分の見直し(平成30年度税制改正)が行われた。一方で、②の点については対応が取られていない。   2 合併又は分割があった場合の簡易課税制度の適用 簡易課税の適用を受けられる課税期間について、新設分割により設立された法人と吸収合併又は吸収分割により事業を承継した法人との間で判定方法に違いがある。 (1) 新設分割 下図のように、A社が事業bを分割により設立するB社に承継する場合、B社のN期の基準期間はない。ただし、簡易課税の適用に関しては、A社のN-2期の課税売上高(事業a+b)で判定する(消法37①、消令55)。 (※) 〈報告のポイント〉の3頁より抜粋 (2) 吸収合併又は吸収分割 下図のように、C社が既存のD社に事業の全部である事業cを承継させる場合、D社の簡易課税の適用については、D社の基準期間における課税売上高(事業d)のみで判定し、C社のN-2期における課税売上高(事業c)は考慮しない。新設合併、吸収分割の場合も同様である。 (※) 〈報告のポイント〉の3頁より抜粋   3 会計検査院による簡易課税制度の検査内容 会計検査院は令和3年度又は令和4年度に簡易課税制度を適用している延べ994,687法人について次のような分析をしている。 まず、簡易課税適用法人994,687法人のうち、課税売上高1億円超の4,796法人を検査対象としたところ、この中に吸収合併・吸収分割により事業を承継した法人が172法人含まれていた。 172法人中、被合併法人又は分割法人の基準期間における課税売上高が5,000万円を超える法人は141法人であった。これらの法人は、新設分割と同様の判定を用いると簡易課税の適用ができない法人である。 次に、この141法人のうち、消費税差額の推計可能な116法人について分析したところ、105法人で益税が発生しており総額は約22.9億円にのぼった。そのうち3法人では1億円超の益税が生じていた。 また、特定期間における課税売上高や、特定新規設立法人の判定(消法12の3)におけるその法人を支配している「他の者等」の基準期間に相当する期間における課税売上高を用いて判定した場合を含めると、さらに益税額が大きくなる。   4 検査結果を踏まえた課題と今後の方向 簡易課税制度は本来、中小事業者の事務負担に配慮した制度である。しかし、今回の検査結果では、吸収合併・吸収分割により事業を承継した規模の大きな法人においても簡易課税制度が適用され、多額の益税が発生しているケースが確認された。こうした状況は課税の公平の観点から検討が求められる。 会計検査院は多額の課税売上高を有する法人に簡易課税制度が適用されることで大きな益税が生ずること、また消費税率の引上げによりさらに益税が増大していくことを懸念している。 これらを踏まえ、会計検査院は財務省に対し、多額の課税売上高を有する法人における簡易課税制度の適用について、様々な視点からより適切なものとなるよう検討を求めている。今後の簡易課税制度の見直しの動向が注目される。   (了) ↓お勧め連載記事↓

#石川 幸恵
2025/11/17

プロフェッションジャーナル No.644が公開されました!~今週のお薦め記事~

2025年11月13日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.644を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2025/11/13
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