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プロフェッションジャーナル No.437が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年9月22日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.437を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/09/22

組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第2回】「持分会社の組織再編成」

組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第2回】 「持分会社の組織再編成」   公認会計士 佐藤 信祐   1 支配関係及び完全支配関係 持分会社を前提とすると、支配関係とは、一の者が法人の出資の総額の100分の50を超える金額の出資を直接若しくは間接に保有する関係(以下、「当事者間の支配関係」という)又は一の者との間に当事者間の支配関係がある法人相互の関係をいい(法法2十二の七の五、法令4の2①)、完全支配関係とは、一の者が法人の出資の全部を直接若しくは間接に保有する関係(以下、「当事者間の完全支配関係」という)又は一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいう(法法2十二の七の六、法令4の2②)。 このように、持分会社には株式という概念がないことから、出資金の額により支配関係及び完全支配関係の判定を行うという特徴がある。そして、持分会社では、定款にそれぞれの社員の出資金の額を記載する必要があることから(会社法576①六)、原則として、定款に記載されている出資金の額により支配関係及び完全支配関係を判定することになる。 ただし、定款に記載されている社員が単なる名義人である場合にも同様に判定してしまうと、税制の適用が恣意的に行われる恐れがあることから(※1)、名義人と実際の権利者が異なる場合には、実際の権利者により支配関係及び完全支配関係の判定を行うことになる(法基通1-3の2-1)。 (※1) 佐藤友一郎『法人税基本通達逐条解説(九訂版)』44頁(税務研究会出版局、令和元年)。   2 按分型要件 分割型分割を行った場合において、按分型要件を満たすためには、分割対価資産が分割法人の発行済株式又は出資の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式又は出資の数又は金額の割合に応じて交付されることが必要になる(法法2十二の十一柱書)。 そして、会社法622条1項では、「損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める」と定められていることから、定款の定めにより、出資金の額に応じずに損益分配割合を定めることができる。すなわち、持分会社を分割法人とする分割型分割を行った場合において、出資金の額に応じない損益分配割合を定めているときは、分割対価資産も出資金の額に応じないで分配されることになる。 しかしながら、法人税法上、出資金の額に応じないで分割対価資産を交付した場合には、按分型要件に抵触するものとされている。そのため、持分会社を分割法人とする分割型分割は、按分型要件に抵触しやすいということが言える(※2)。 (※2) 会社法上、合同会社を分割法人とする分割を行うことはできるが、合名会社又は合資会社を分割法人とする分割を行うことはできない(会社法2二十九、三十)。さらに、会社法上、分割に伴って剰余金の配当を行うことができる分割法人は株式会社に限定されているが(会社法758八、760七、763①十二、765①八)、分割法人が合同会社である場合において、同様の効果をもたらすためには、分割の日に分割法人が取得した分割承継法人株式を剰余金の配当として株主等に分配する必要がある。このような場合であっても、法人税法上、分割対価資産のすべてが分割の日において分割法人の株主等に交付されている事実は変わらないため、分割型分割として取り扱うことができる。   3 事業規模要件 (1) 基本的な取扱い 吸収合併を行った場合において、事業規模要件を満たすためには、被合併法人の被合併事業とそれに関連する合併法人の合併事業のそれぞれの売上金額、それぞれの従業者の数、被合併法人と合併法人のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないことが必要になる(法令4の3④二)。 そして、合名会社及び合資会社では、資本金の額が登記事項とされていないものの、合同会社では、資本金の額が登記事項とされている(会社法914五)。それでは、合名会社及び合資会社に資本金の額がないのかと言えば、会社計算規則30条において持分会社の資本金の額について定められていることから、合名会社及び合資会社にも資本金の額は存在するのである。 歴史的な経緯を見てみると、平成17年改正前商法においては、合名会社及び合資会社には資本金の額という概念はなかった。持分会社において資本金の額が定められている理由は、合同会社の財源規制上の控除額として資本金の額を利用する必要があったからである(※3)。これに対し、合名会社及び合資会社には無限責任社員がいることから、資本金の額を定める必要性は乏しいものの、合名会社及び合資会社と合同会社を一括して規制したことから、資本金の額についても定められている。 (※3) 相澤哲『立案担当者による新・会社法の解説(別冊商事法務295号)』164頁(商事法務、平成18年)。 (2) 被合併法人及び合併法人のいずれも持分会社である場合 そのため、被合併法人及び合併法人のいずれも持分会社である場合には、出資金の額だけでなく、資本金の額という概念もあることから、いずれにより事業規模要件を判定するのかという点が問題となる。この点については、「被合併法人と合併法人(括弧内省略)のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額」と規定されていることから、資本金の額で事業規模要件を判定することもできるし、出資金の額で事業規模要件を判定することもできると解さざるを得ない。その結果、出資金の額では事業規模要件を満たさなくても、資本金の額では事業規模要件を満たす事案も想定される。 (3) 被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合 これに対し、事業規模要件の判定上、被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合には、資本金の額により事業規模要件を判定するのか、出資金の額により事業規模要件を判定するのかという点が問題になる。 この点については、①売上金額、②従業者の数、③資本金の額、④出資金の額若しくは⑤これらに準ずるものと規定されずに、①売上金額、②従業者の数、③資本金の額若しくは出資金の額若しくは④これらに準ずるものと規定されていることから、持分会社である被合併法人の資本金の額若しくは出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較すべきであると考えられる。この場合には、法人税法施行令8条に定められている資本金等の額に係る規定において、①資本金の額若しくは出資金の額、②前事業年度までの資本金の額若しくは出資金の額以外の増減額、③当事業年度の資本金の額若しくは出資金の額以外の増減額を合計した金額とされており、資本金の額と出資金の額を同様に取り扱っていることから、持分会社である被合併法人の出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することができると解すべきであると考えられる。 もちろん、持分会社である被合併法人にも資本金の額という概念があることから、持分会社である被合併法人の資本金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできると解さざるを得ない。そのため、被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合には、①持分会社である被合併法人の出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできるし、②持分会社である被合併法人の資本金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできると考えられる。   4 特定役員引継要件 例えば、吸収合併を行った場合において、特定役員引継要件を満たすためには、合併前の被合併法人の特定役員のいずれかと合併法人の特定役員のいずれかとが当該合併後に合併法人の特定役員になることが見込まれていることが必要になる(法令4の3④二)。 そして、特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役、常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。しかしながら、持分会社には取締役という概念がなく、原則として、社員が持分会社の業務を執行することになる(会社法590)。そして、定款により業務を執行する社員を定めることも認められている(同法590、591)。さらに、業務を執行する社員は、原則として、持分会社を代表することになる(同法599①本文)。ただし、持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、その定められた者が持分会社を代表することになる(同法599①但書)。 このように、代表取締役に準ずる者で法人の経営に従事している者に代表権を有する業務を執行する社員が含まれると解することに問題はないと思われる。さらに、社員が法人である場合には、業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任する必要がある(同法598①)。このように、法人である社員が代表権を有する場合には、選任された職務執行者が当該法人に代わって職務を執行することから、当該職務執行者の行為も代表権者の行為であると認められる。そのため、代表社員である法人社員の職務執行者も、原則として、代表取締役に準ずる者で法人の経営に従事している者として特定役員に含まれることが多いと思われる。   5 株式継続保有要件 例えば、吸収合併を行った場合において、株式継続保有要件を満たすためには、合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資(議決権のないものを除く)のうち支配株主に交付されるものの全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていることが必要になる(法令4の3④五)。 株式継続保有要件の判定上、以下に掲げる株式については、議決権のないものに含まれないこととされている(法規3の3②)。 これらは、所有者のステータスによって議決権が一時的に行使できないものは議決権のないものに含まれないという考え方によって整理されている(※4)。そして、上記(2)に掲げられている属人的定めのある株式と同様に、明文規定はないものの、持分会社に対する出資のうち所有者のステータスによって議決権が行使できないものがあったとしても、議決権のないものに含めるべきではないと考えられる。 (※4) 佐々木浩ほか『平成18年度改正税法のすべて』292頁(平成18年、大蔵財務協会)。   (了)

#No. 437(掲載号)
#佐藤 信祐
2021/09/22

〔令和3年度税制改正〕中小企業経営強化税制におけるD類型(経営資源集約化設備)の追加 【前編】

〔令和3年度税制改正〕 中小企業経営強化税制における D類型(経営資源集約化設備)の追加 【前編】   税理士 坂井 晴行   1 はじめに M&Aによる中小企業の経営資源の集約化を図ることを目的に、令和3年度税制改正により中小企業経営強化税制(以下「本税制」という)の対象にD類型(経営資源集約化設備)が追加され、適用期限が2年延長された。 正確に述べると、本税制の対象資産及び手続きに関しては、中小企業等経営強化法に規定されており、中小企業等経営強化法の改正によりD類型が対象資産に追加された。 税務上の取扱いは、従来からあるA・B・C類型と同様に対象資産につき、即時償却又は税額控除の選択適用となり、主務大臣の認定を受けた経営力向上計画の申請書等の写しの添付が要件となる。よって、中小企業等経営強化法に従った手続きをスケジュールに則り申告期限内までに行う必要がある。 本稿では前後編の2回にわたり、新たに追加されたD類型を中心に、①税務面(租税特別措置法)と②手続面(中小企業等経営強化法)から解説していく。   2 税務面(租税特別措置法) (1) 内容 青色申告書を提出する中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定(強化法17①)を受けた中小企業者等が平成29年4月1日から令和5年3月31日までの期間内に、認定を受けた経営力向上計画に基づき新品の特定経営力向上設備等を取得又は製作若しくは建設して、国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、即時償却又は取得価額の7%(一定の法人は、10%)相当額の税額控除の選択適用ができる(措法42の12の4①②)。 (2) 対象者「中小企業者等」 適用対象者となる「中小企業者等」とは、次の法人等のうち、中小企業等経営強化法の認定を受けた「特定事業者等」(※)に該当するものをいう(措法42の4⑧七、八、強化法2⑥)。 (※) 「特定事業者等」とは、「経営力向上計画」を提出できる事業者で、常時使用する従業員数が2,000人以下の法人又は個人、協同組合等、医療法人等、社会福祉法人、特定非営利活動法人が該当する(詳細については【後編】の3の(1)参照)。 (3) 対象資産「特定経営力向上設備等」 中小企業等経営強化法に規定する「経営力向上設備等」のうち、政令で定める一定の取得価額以上のものが「特定経営力向上設備等」として対象となる(詳しくは【後編】の3の(2)参照)。 特定経営力向上設備等に該当するものであることを証するために、確定申告書に経営力向上計画の写し及び経営力向上計画に係る認定書の写しを添付しなければならない(措令27の12の4②③⑤、措規20の9①②、強化規16②)。 (4) 指定事業 この制度の適用対象となる指定事業は、次に掲げる事業をいう(措法42の6①)。 (注1) 電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等は対象外。 (注2) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条5項に規定する性風俗関連特殊営業に該当するものを除く。 (注3) 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業は、生活衛生同業組合の組合員が営むもののみが指定事業。 法人の営む事業が指定事業に該当するかどうかは、当該法人が主たる事業としてその事業を営んでいるかどうかを問わない。指定事業は、おおむね日本標準産業分類(総務省)の分類を基準として判定する(措基通42の12の4-6)。 (5) 特別償却 特別償却限度額は、取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額とされ、普通償却限度額と併せその取得価額の全額を償却(即時償却)することができる。 なお、所有権移転外リース取引により取得した特定経営力向上設備等については、特別償却を適用することはできず、税額控除のみ適用を受けることができる(措法42の12の4①⑥)。 (6) 特別償却不足額の1年間の繰越 特別償却限度額まで償却費を計上しなかった場合に生じる特別償却不足額は、1年間繰り越すことができる(措法52の2)。 (7) 税額控除 税額控除限度額は、特定経営力向上設備等の取得価額の7%相当額(中小企業者等のうち、資本金又は出資金の額が3,000万円以下の法人は10%)となる。 ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合には、控除を受ける金額は、その20%相当額が限度となる。 なお、租税特別措置法42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)の税額控除額及び繰越税額控除限度超過額の金額がある場合には、その20%相当額からこれらの金額の合計額を控除した残額が限度となる(措法42の12の4②)。 (8) 繰越税額控除限度超過額の1年間の繰越 税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額(繰越税額控除限度超過額)について1年間繰り越すことができる(措法42の12の4③④)。 (9) 留意点 以下、税務面に係る主な留意点についてまとめたので参考とされたい。 *  *  * 次回は手続面(中小企業等経営強化法)を中心に解説を行う。 (【後編】に続く)

#No. 437(掲載号)
#坂井 晴行
2021/09/22

〔令和3年度税制改正〕中小企業事業再編投資損失準備金の手続と税務処理 【前編】

〔令和3年度税制改正〕 中小企業事業再編投資損失準備金の手続と税務処理 【前編】   公認会計士・税理士 荻窪 輝明   令和3年度税制改正で創設された中小企業事業再編投資損失準備金制度(措法55の2)(以下「本制度」という)について、改正中小企業等経営強化法による認定手続から準備金積立額(損金算入・益金算入)に係る税務処理までを2回に分けて解説する。 なお、本制度の把握に有用と思われる範囲で補足しているが、これらはあくまで現時点で公表済みの情報によるものであり、今後の更新情報に留意されたい。また、文中の意見に関する部分は、所属する団体や組織の公式見解ではなく筆者の私見であることを申し添える。 本制度の概要や全体像の理解にあたっては、令和3年度税制改正大綱の公表時点の記事であるが、以下の拙稿を参照されたい。   1 改正中小企業等経営強化法による認定手続 2021年8月2日付で「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)」の活用について」が公表され、本制度の手引きやQ&Aなどが示された。 今回は、この内容を踏まえて、改正中小企業等経営強化法による認定手続について解説する。   2 本制度の申請の流れ 本制度の申請の流れは、次のフロー図のとおりである。 (出所) 中小企業庁「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)の活用について」 計画に従って取得した株式が本制度の対象となるため、既に株式譲渡を行っているM&Aについては、計画の申請はできない(本制度の対象とならない)。   3 経営力向上計画の申請・認定(上記2で示したフロー図の①の段階) 経営力向上計画の申請様式など申請の詳細については、中小企業庁ホームページの「経営力向上計画の申請について」より入手、確認できる。 (1) 経営力向上計画の申請にあたって必要となる記載事項 本制度の活用にあたっては、通常の経営力向上計画の記載内容に加えて、以下の2点の記載が必要とされる(Q&A 2ページ)。 (※1) 事業承継等事前調査とは、M&Aの買い手側が売り手側に対して行う調査で、法務、財務、税務等の観点から、引き継ぐ経営資源について損害が生ずる恐れがないか調査を行うものをいう。一般的にデューデリジェンス(DD)と呼ばれる。 また、「10 事業承継等事前調査に関する事項」の記載例は次のとおりである。「法務に関する事項」「財務・税務に関する事項」は必ず記載(必須記載)する点(「その他の調査」については任意記載)に留意したい。製造業を例に記載例を紹介する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「経営力向上計画の申請について」1-3.申請書記載例 製造業(2021年8月13日更新)8ページ。 (2) 経営力向上計画の申請に必要な添付書類 申請書(様式第1、第2)に加えて、以下の書類を添付する(Q&A 2ページ)。 なかでも「事業承継等事前調査チェックシート」は、中小企業事業再編投資損失準備金(「以下、準備金」)の活用を予定する場合に、M&Aの実施にあたって十分なDDが行われているかの確認を行うために提出する書類であり、①経営力向上計画の申請時と、②M&Aの報告時の2回提出する。 作成にあたっては、中小企業庁ホームページの「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」を参考にするとよい。 このうち、①計画申請時の「事業承継等事前調査チェックシート」では、「財務・税務DD」シート、「法務DD」シートの両シートについて、小項目ごとに実施予定があるかどうかを確認し、実施予定の場合はシートのF列に〇(そうでない場合は✕)を記載し、実施予定でない場合はG列に実施しない理由を記載する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」1ページ。   4 M&Aの報告・確認書の発行(上記2で示したフロー図の②の段階) (1) 経営力向上計画認定後に提出する書類 M&Aの実施後、主務大臣に対してM&Aを行ったことを、事業承継等報告書(様式第5)を用いて報告する必要があり、併せて「事業承継等事前調査チェックシート」を添付する必要がある。 ① 「認定経営力向上計画に係る事業の承継及び事業承継等事前調査報告書(様式第5)」(事業承継等報告書) 実施した事業承継等の概要及び事業承継等事前調査の内容を記載する。株式を取得した日及び買収対象法人の名称の記載は必須となる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」2ページ。 ② M&A実行後の報告時における「事業承継等事前調査チェックシート」 「財務・税務DD」シート、「法務DD」シートの両シートについて、小項目ごとに実施したかどうかを確認し、実施した場合はシートのH列に〇(そうでない場合✕)を記載し、実施しなかった場合はその理由をI列に記載する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」3ページ。 「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」には、事業承継等事前調査チェックシートQ&Aが掲載されているため、必要に応じて参考にするとよい。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等事前調査チェックシート作成の手引き」4ページ。 (2) 事業承継等の報告に必要な資料 事業承継等報告書(様式第5)に加えて、以下の書類を添付する(Q&A 2ページ)。 また、事業承継等事前調査についての実施主体が、有資格者(※2)でない場合、以下の資料についても添付が必要となる。 (※2) 法務DD:弁護士、財務・税務DD:税理士又は公認会計士。 この点に関して、「事業承継等事前調査チェックシート」の内容を満たすような調査であれば、自社でDDを実施した場合にも対象となるが、調査の実施主体が、有資格者でない場合、事業承継等の報告時に、追加的に以下の資料についても添付が必要となる(Q&A 4ページ)。 なお、事業承継等事前調査報告書と、チェックシートとの対応関係を示す資料は、中小企業庁ホームページの「経営力向上計画の申請について」に、EXCEL形式の例が示されており、ダウンロードが可能である。   5 主務大臣に対する事後報告 提出する部数は1部(郵送可)であり、初回の提出期限は、M&Aを行った事業年度の翌事業年度終了後4ヶ月以内となっている。また、事業承継等状況報告書の受理にあたって、必要に応じてヒアリングの実施があり得る。 「事業承継等状況報告書(各年度・最終年度)」、「事業承継等状況報告書作成の手引き」は下記参考資料より入手、確認できる。「事業承継等状況報告書作成の手引き」には、個別Q&Aが掲載されており、必要に応じて参考にするとよい。 〇事業承継等状況報告書作成に際しての記載方法 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出所) 中小企業庁「事業承継等状況報告書作成の手引き」を筆者加工。 *  *  * 次回は、本制度について、準備金積立額(損金算入・益金算入)に係る税務処理を解説する。 (【後編】に続く)

#No. 437(掲載号)
#荻窪 輝明
2021/09/22

〔令和3年度税制改正における〕株式交付に係る課税繰延べ措置 【第2回】「旧租税特別措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置」

〔令和3年度税制改正における〕 株式交付に係る課税繰延べ措置 【第2回】 「旧租税特別措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置」   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   【第2回】は、旧租税特別措置法(以下「措置法」という)における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置について確認する。 なお、旧措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置については、令和3年3月31日までの期限の到来をもって廃止されている。   1 旧措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置(概要) (1) 法人株主の取扱い ① 譲渡損益の繰延べ 法人株主が、買収会社(認定特別事業再編事業者(※1))の行った産業競争力強化法の認定に係る特別事業再編計画(※2)に係る特別事業再編によりその有する対象会社(特別事業再編対象法人)の株式を譲渡し、買収会社株式の交付を受けた場合には、対象会社株式の譲渡について算入すべき益金の額又は損金の額はないこととされている(旧措法66の2の2①)。 (※1) 「認定特別事業再編事業者」とは、産業競争力強化法第25条第1項に規定する特別事業再編計画について認定を受けた法人をいう。 (※2) 「特別事業再編計画」とは、特別事業再編に関する計画をいい(産競法25①)、特別事業再編とは、産業競争力強化法第2条第11項に規定する事業再編のうち、2以上の事業者が、それぞれの経営資源を有効に組み合わせて一体的に活用して、それぞれの事業の全部又は一部の生産性を著しく向上させることを目指したものであって、一定の要件に該当するものとされている(産競法2⑫)。 《特別事業再編のイメージ》 ② 買収会社株式の取得価額 特別事業再編により交付を受けた買収会社株式の取得価額は、譲渡した対象会社株式の譲渡直前の帳簿価額(交付を受けるために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)に相当する金額とされている(旧措令39の10の3①一)。 ③ 対象会社株式が売買目的有価証券に該当していた場合 譲渡した対象会社株式が売買目的有価証券とされていた場合には、交付を受けた買収会社株式も売買目的有価証券として処理する(旧措令39の10の3①二)。 (2) 個人株主の取扱い ① 譲渡損益の繰延べ 個人株主が、買収会社の行った産業競争力強化法の認定に係る特別事業再編計画に係る特別事業再編により対象会社株式を譲渡し、買収会社株式の交付を受けた場合には、その株式譲渡はなかったものとみなし、その譲渡に係る事業所得、譲渡所得及び雑所得の課税を繰り延べられる(旧措法37の13の3①)。 ② 買収会社株式の取得価額 特別事業再編により交付を受けた買収会社株式の取得価額は、譲渡した対象会社株式の取得価額(交付株式の交付を受けるために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)となる(旧措令25の12の3)。 (3) 買収会社の取扱い ① 対象会社株式の取得価額 対象会社株式の取得価額は、次の場合の区分に応じそれぞれ次の金額となる(旧措令39の10の3②一)。 〔特別事業再編計画認定の日における対象会社の株主数〕 (※3) 「前期期末時」とは、特別事業再編対象法人の取得の日を含む事業年度の前事業年度終了の時をいう(旧措令39の10の3②一)。ただし、同日以前6ヶ月以内に中間申告書を提出し、かつ、提出の日から取得の日までの間に確定申告書を提出していなかった場合には、取得の日を含む事業年度開始の日以後6ヶ月の期間終了の時とされている(旧措令39の10の3②一)。 (※4) 「簿価純資産価額」とは、資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額をいい、前期期末時から取得の日までの間に資本金等の額又は利益積立金額が増加し、又は減少した場合には、増加した金額を加算し、又は減少した金額を減算した金額とされている(旧措令39の10の3②一)。 ② 増加資本金等の額 買収会社において増加する資本金等の額は、その特別事業再編により移転を受けた対象会社株式の取得価額(取得をするために要した費用の額が含まれている場合には、その費用の額を控除した金額)とされている(旧措令39の10の3②二)。 買収会社が2以上の種類株式を発行している場合には、増加した資本金等の額を交付株式の交付直後の価額の合計額で除し、これにその交付株式のうちその種類株式の交付直後の価額の合計額を乗じて計算した金額(時価比で按分した金額)を、その種類株式に係る種類資本金額に加算する(旧措令39の10の3②三)。   2 旧措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置の適用 認定期限である令和3年3月31日の到来をもって、制度自体は廃止されたが、令和3年4月1日前に特別事業再編計画の認定を受けた場合の株式譲渡については、旧措置法の課税繰延べ措置が適用されることとなる(改正法附則54)。 《課税関係のまとめ》 *  *  * 次回は、株式交付に係る課税繰延べ措置について解説していきたい。 (了)

#No. 437(掲載号)
#川瀬 裕太
2021/09/22

〔令和3年度税制改正における〕退職所得課税の適正化 【第1回】「退職所得課税の基本と「短期退職手当等」の取扱い」

〔令和3年度税制改正における〕 退職所得課税の適正化 【第1回】 「退職所得課税の基本と「短期退職手当等」の取扱い」   公認会計士・税理士 新名 貴則   令和3年度税制改正において、退職所得課税の適正化が行われた。平成24年度税制改正において「特定役員退職手当等」が導入されたことに続き、今回は「短期退職手当等」が導入され、退職所得金額の算定において一定の制限が加えられることとなった。本連載では、その内容について解説する。 【第1回】は退職所得課税の基本と、短期退職手当等の取扱いの概要について解説する。   1 退職所得課税の基本 課税対象となる退職所得金額の算定式は次の通りである。 退職所得控除額は退職者の勤続年数に応じて、次の算定式に従って算定される。勤続年数が20年以内か20年超かで、算定式が異なるため注意が必要である。 〔退職所得控除額の算定式〕 《計算例(令和3年度税制改正前)》 ➤勤続年数5年で退職した従業員の場合 勤続5年で退職した従業員が、退職金1,000万円を受け取った場合、所得税額(復興特別所得税を含む)は次の通りになる。 ただし、平成24年度税制改正により、役員等としての勤続年数が5年以下の役員に対する退職手当等は「特定役員退職手当等」とされ、その退職所得金額を算定する際に「2分の1」を乗じないこととされている。 ➤勤続年数5年で退職した役員の場合 勤続5年で退職した役員が、退職金1,000万円を受け取った場合、所得税額(復興特別所得税を含む)は次の通りになる。   2 令和3年度税制改正後の取扱い 特定役員退職手当等に該当して税負担が増加することを回避する目的で、あえて役員等に就任せずに短期間で高額の退職金を受け取るようなケースに対応するため、令和3年度税制改正において「短期退職手当等」が導入され、退職所得金額の算定において一定の制限が加えられることとなった。 具体的には、役員でない従業員が、5年以下の勤続年数に対して高額の退職金を受け取る場合等が該当する。 「短期退職手当等」に該当する場合、退職所得金額の算定において、退職金の額から退職所得控除額を控除した残額のうち、300万円を超える部分については「2分の1」を乗じないこととされた。 この改正は、令和4年分以後の所得税について適用される。 ◆勤続年数5年以下の従業員に対する退職所得金額 ◆勤続年数5年超の従業員に対する退職所得金額 《計算例》 勤続5年で退職した従業員が、退職金1,000万円を受け取った場合、改正の前後で所得税額(復興特別所得税を含む)は次の通りになる。 ➤令和3年度税制改正後 ➤現行制度(令和3年度税制改正前) *  *  * 次回は退職手当の分類の仕方と退職所得の計算について、注意が必要な事例を中心に解説を行う。 (了)

#No. 437(掲載号)
#新名 貴則
2021/09/22

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例102(所得税)】 「事業用買換特例を適用して申告したが、買換取得資産の土地の面積制限の判定を誤ったため、特例が受けられず、修正申告となってしまった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例102(所得税)】   税理士 齋藤 和助     《基礎知識》 ◆特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(措法37) 個人が事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等を譲渡し、一定期間内に特定地域内にある土地等の特定資産を取得し、その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供した場合には、譲渡所得の課税について、譲渡資産のうち、譲渡による収入金額又は買換資産の取得価額に対応する部分の80%に相当する部分については、譲渡がなかったものとする取得価額の引継ぎによる課税の繰延べの特例が認められる。 ◆長期間保有の土地建物等から特定の資産への買換え(措法37①四) 国内にある土地等、建物又は構築物で、譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものを譲渡し、国内にある土地等、建物又は構築物への買換えで、その面積が300㎡以上のものを取得して事業の用に供した場合には、買換えの特例の適用を受けることができる。 ◆長期所有の土地等の買換えに係る面積の判定(措通37-11の14) その者が取得した土地等で特定施設の敷地の用に供されるものの面積が300㎡以上であるかどうかの判定は、その土地等が、共有物である場合には、土地等の全体の面積にその者の共有持分の割合を乗じて計算した面積(当該土地等が独立部分を区分所有する特定施設の敷地の用に供するものである場合には、当該土地等の総面積に当該特定施設に係る建物の独立部分の総床面積のうちにその者の区分所有する独立部分の床面積の占める割合を乗じて計算した面積)を、その者が取得した土地等の面積とする。       (了)

#No. 437(掲載号)
#齋藤 和助
2021/09/22

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第47回】「住宅ローンを繰上返済した場合」-繰上返済等をした場合-

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第47回】 「住宅ローンを繰上返済した場合」 -繰上返済等をした場合-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、14年前から住んでいた家屋とその土地を本年1月に売却したところ、譲渡損失が発生しました。 同年3月に、銀行に償還期間20年の住宅ローンを組んで買換資産を購入し、居住の用に供しましたが、父親の相続が発生し、その預貯金を相続したことから、同年11月に繰上返済してその償還期間を7年としました。 他の適用要件が具備されている場合に、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。 A 「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることができません。 ●○●○解説○●○● 「居住用財産買換の譲渡損失特例」における「住宅借入金等」とは、住宅の用に供する家屋の新築若しくは取得又はその家屋の敷地の用に供される土地等の取得に要する資金に充てるために、契約において償還期間又は賦払期間が10年以上の割賦償還又は割賦払の方法により返済することとされている政令(措令26の7⑫)で定める金融機関等からの借入金等とされています(措法41の5⑦四)。 そして、住宅ローンを繰り上げて返済等をした場合については、次の通達により取り扱われます。 租税特別措置法関係通達41の5-17(繰上返済等をした場合) ※下線は筆者による。 したがって、本事例の場合、繰上返済によりその償還期間が10年未満となったことから、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることができません。 (了)

#No. 437(掲載号)
#大久保 昭佳
2021/09/22

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第4回】「贈与税の配偶者控除と小規模宅地等の特例の適用面積」

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第4回】 「贈与税の配偶者控除と小規模宅地等の特例の適用面積」   税理士 柴田 健次   [Q] 被相続人である甲は、100%所有していた土地(100㎡)及び家屋(40㎡は甲の事業用、60㎡は甲と配偶者乙の居住用)について、生前に土地の持分2分の1、家屋の持分2分の1を配偶者乙に贈与を行い、乙は贈与税の配偶者控除を適用して申告を行っています。贈与税の配偶者控除の適用については、相続税法基本通達21の6-3のただし書きの適用を受け、優先的に受贈配偶者の居住用部分として、土地家屋の2分の1相当は居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の申告を行っています。 甲の相続により、甲の土地家屋の持分2分の1について、乙が10分の2、長男である丙が10分の8の割合で相続することになり、最終的な土地家屋の持分は、乙が10分の6、丙が10分の4となりました。 乙は特定居住用宅地等の要件を満たし、甲の事業を承継した丙は特定事業用宅地等の要件を満たしています。 小規模宅地等の特例の適用にあたっては、贈与時の申告状況を考慮し、既に100㎡の敷地のうち、50㎡(100㎡ × 1/2)は居住用不動産の贈与があったものとして、10㎡(100㎡ × 60㎡/100㎡ - 50㎡)が特定居住用宅地等に該当し、残りの40㎡は特定事業用宅地等に該当するものとして小規模宅地等の特例の適用をすることはできますか。 [A] 小規模宅地等の特例(以下単に「特例」という)の面積は、上記質問のように取り扱うことはできず、乙は6㎡(100㎡ × 1/2 × 60㎡/100㎡ × 2/10)が特定居住用宅地等に該当し、丙は16㎡(100㎡ × 1/2 × 40㎡/100㎡ × 8/10)が特定事業用宅地等に該当することになります。 ◆ ◆ ◆[解説]◆ ◆ ◆ 1 贈与税の配偶者控除 贈与税の配偶者控除は、生存配偶者の老後の生活安定に配慮する趣旨から、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合に、贈与税の基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除ができるという特例です(相法21の6)。 店舗兼住宅及びその敷地の用に供されている土地等のように、居住の用に供されている部分と居住の用以外の用に供されている部分がある場合には、原則として、居住の用に供されている部分のみが対象となります。したがって、居住用の割合を算出する必要がありますが、居住の用に供されている家屋の面積及び土地の面積は次の方法により求めることになります(相基通21の6-2)。 (1) 家屋のうち居住の用に供している部分の面積 (2) 土地のうち居住の用に供している部分の面積 本問の場合には、家屋のうち居住の用に供している部分の面積は60㎡、土地のうち居住の用に供している部分の面積は60㎡(100㎡ × 60㎡/100㎡)となります。したがって、家屋の居住用の割合は60%(60㎡/100㎡)、土地の居住用の割合は60%(60㎡/100㎡)となります。 原則的には、上記のように土地等及び家屋について居住用の割合を算定し、居住用部分に贈与を受けた持分を乗じた部分のみが対象となりますが、例外として、下記の方法が認められています。 本問の場合には、贈与を受けた持分の割合50%が夫婦の居住用割合60%(60% ×(1/2 + 1/2))以下となりますので、贈与を受けた部分の全てについて、居住用不動産の贈与があったものとして、贈与税の申告をすることができます。   2 贈与税の配偶者控除と小規模宅地等の特例の関係 自宅兼店舗の贈与税の配偶者控除の適用があった場合において、上記1の例外②の取扱いを受けている場合においても、被相続人等の居住の用に供されていた部分の判定は、相続の開始の直前における現況によって行うこととされています(措法69の4①、措通69の4-9)。共有の考え方は、【第3回】の「共有で取得した場合の小規模宅地等の特例の適用面積」で解説の通り、各共有者は共有物の全部について権利を有することになります。持分の考え方の例外の措置である相続税法基本通達21の6-3のただし書きの適用は、居住用不動産の贈与が夫婦間においては、居住の用に供している部分のみが贈与の対象であるとの認識で通常行われることに鑑み、特別に認められているもので、あくまでも贈与税の配偶者控除の計算をする場合の取扱いとなります。 したがって、特例の適用面積は、贈与時の状況を考慮する必要がなく、相続開始の直前の利用状況に基づき、乙及び丙は、甲の居住用及び事業用の土地及び家屋を持分に応じて取得したものとして、下記の通り、計算することになります。   ★実務上のポイント★ 特例の適用は、相続の開始の直前における現況によります。各共有者は共有物の全部について権利を有することになるという民法の共有の基本的な考え方をもとに、特例の適用面積の算定を行うことになります。   (了)

#No. 437(掲載号)
#柴田 健次
2021/09/22

固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第9回】「行政庁が間違って固定資産税を非課税として処理した過年度分について、遡って課税処分をすることは、「禁反言の法理」により違法とされるか否かが争われた判例」

固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第9回】 「行政庁が間違って固定資産税を非課税として処理した過年度分について、遡って課税処分をすることは、「禁反言の法理」により違法とされるか否かが争われた判例」   税理士 菅野 真美   ▷禁反言の法理 「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」(民法第1条第2項)は信義則ともいわれるが、同じような原則として「禁反言の法理」がある。これは、「人はいったんなした言動をそれが誤りである理由としてひるがえすことができない」という原則である(※)。 (※) 金子宏『租税法(第23版)』(弘文堂、2019年)143~144頁。 この禁反言の法理が問題となるケースの1つとして、課税当局が誤った表示(税の減免)をし、それを納税者が信じて課税処理をしたが、実は、当局の表示内容が間違っており、課税当局が誤りに気付いた時点で過去に遡って是正し、その結果、納税者にとっては想定外の負担を生ずるようなことが考えられる。 この場合、課税当局の表示を信頼した納税者の保護を重視すべきという考え方と、誤った表示は法的根拠がなく合法な処理に是正することを重視すべきという考え方があり、各々の考え方のいずれを選択するかによって答えが変わってくる。 今回は、行政庁が固定資産税非課税の通知をし、その後、非課税となっていたが、突然、過去に遡って固定資産税の賦課決定処分をしたことについて、納税者が不服として裁判所に訴え、禁反言の法理について、地裁と高裁で判断が異なった事例を検討する。   ▷どのような事案か これは、次のような事案である。   ▷禁反言の法理以外の争点 禁反言の法理以外の争点に関して簡単に説明する。 Xは、地方税法第348条第2項第9号の趣旨は、学校教育が公共性を有し非営利的性質のものだから、教育用固定資産を非課税とするものであり、組織形態を問題とするものではない。よって、固定資産税の課税対象から除外されると主張したが、民法上の財団法人であって準学校法人でないから、たとえ、直接教育の用に供されているものであるとしても、固定資産税の課税対象から除外されるものではないと判断された。 さらにXは、非課税の決定は行政処分だから、それが取り消されない限り賦課処分をすることは許されないと主張したが、非課税の決定に何の法的根拠もないことから、この決定を行政処分と解することはできないと判断された。   ▷禁反言の法理と、地裁、高裁の判断 Xは上記の主張に加えて、都税事務所長が非課税決定をして、原告に通知しながら、その後、過年度に遡って固定資産税を賦課することは、禁反言の法理に反すると主張した。 この主張に対して、地裁は次のように考えてXの主張を認めた。 他方、高裁は次のように考えてXの主張を退けた。 固定資産税の通知書に記載された税額が真の税額よりも高い場合は、納税者の更正の請求により5年間(ケースによってはそれ以上の期間)の還付を受けることができる。 固定資産税の通知書に記載された税額が真の税額よりも低い場合、行政庁側から過去5年間にわたって課税処分できるということはバランスを考えると納得できる。しかし、法律が改正されて非課税とならないという情報は昭和25年の段階でわかっていたにもかかわらず、財団法人に対して非課税の通知をしたということは行政側の大きなミスであり、そこを考慮せず、決定通知前から誤解していたから禁反言の法理では認められないと切り捨てる判断は、税理士としては釈然としないところがある。 (了)

#No. 437(掲載号)
#菅野 真美
2021/09/22
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