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《速報解説》 国税庁公表の「新型コロナFAQ」、昨年末より続く「追加・更新情報」に留意

《速報解説》 国税庁公表の「新型コロナFAQ」、昨年末より続く「追加・更新情報」に留意   Profession Journal編集部   新型コロナウイルス感染拡大が国内で深刻化し始めた昨年3月に、当面の税務上の取扱いとして国税庁が公表した「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」は公表当初35問で構成されていたが、その後、設問の追加・更新が繰り返され、本稿公開時点で56問と大幅に増問されている。 既報のとおり昨年10月にはPCR検査費用等、医療費控除の適用に係る設問が追加されていたが、所得税等の確定申告や3月決算法人の申告時期を前に、昨年12月、本年1月に続き本日(2月2日)と続けて設問の追加・更新が行われ、新たな取扱いが示されている。 昨年12月15日に追加された「問1 令和元年分の確定申告について」では、期限を区切らず、期限後であっても柔軟に確定申告書を受け付けるとしていた「令和元年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付」について、その期限を令和2年分の確定申告を行うまで(令和2年分の確定申告と同時でも可)とすることが明らかにされている。 また本年1月13日に追加された「問9-2 助成金等の収入計上時期の取扱い」では助成金等の収入計上時期について、所得税の計算上、ある収入の収入計上時期については、「その収入すべき権利が確定した日の属する年分」となるとしつつ、その助成金等が、支給要綱などで定められた特定の支出(例:医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業の補助金におけるマスクや消毒液の購入費用や清掃委託費用等)を補填するものについて、その支給を受けるために必要な手続をしているときには、その支出と同時に、実質的に、助成金を受給する権利が確定していると考えられることから、その収入計上時期は「その支出が発生した日の属する年分」として取り扱うとしている。 本日(2月2日付)の更新では新たな設問の追加はないものの、特例猶予の申請期限が2月1日までとされていたことによる一部表記の見直しや、令和3年度税制改正大綱に明記され1月22日付け官報第417号で改正政令が公布された「特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税」の期限延長(令和3年1月31日→令和4年3月31日)に伴う記載変更が行われている。 今後も設問の追加・更新により新たな取扱いが示される可能性があるため、ホームページに掲載された最新の情報を確認するよう十分留意されたい。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 404(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/02/02

《速報解説》 会計士協会より「内部監査人の作業の利用」等の改正が公表される~ダイレクトアシスタンス防止のため海外の構成単位の監査人との意思疎通の必要性を示す~

《速報解説》 会計士協会より「内部監査人の作業の利用」等の改正が公表される ~ダイレクトアシスタンス防止のため海外の構成単位の監査人との意思疎通の必要性を示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年1月14日付で(ホームページ掲載日は1月29日)、日本公認会計士協会は、監査基準委員会報告書610「内部監査人の作業の利用」等を公表した。これにより、2020年10月21日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。公開草案に対するコメントの概要及び対応も公表されている。 従来から、我が国では内部監査人による監査人の直接補助(ダイレクトアシスタンス)を禁止しているが、海外の構成単位の監査においても内部監査人が構成単位の監査人を直接補助することがないようにする。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 我が国では、法令により、監査人がその職務を行うに当たり、被監査会社の使用人等を補助者として使用することが禁じられている。 このため、本報告書は、監査人が監査手続を実施するに当たり、内部監査人が監査人を直接補助する場合を取り扱わないこととしている。 そこで、構成単位の監査においても内部監査人が構成単位の監査人を直接補助することがないようにするため、海外の構成単位の監査人とコミュニケーションを行うことが必要になることがあるとしている(A4-1)。   Ⅲ 適用時期等 改正後の本報告書は、2022年3月31日以後終了する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。 (了)

#No. 404(掲載号)
#阿部 光成
2021/02/01

《速報解説》 会計士協会、「プロフォーマ財務情報の作成に係る保証業務に関する実務指針」の公開草案を公表~プロフォーマ財務情報作成時の注意点や保証業務実施上の留意事項等を示す~

《速報解説》 会計士協会、「プロフォーマ財務情報の作成に係る 保証業務に関する実務指針」の公開草案を公表 ~プロフォーマ財務情報作成時の注意点や保証業務実施上の留意事項等を示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年1月29日、日本公認会計士協会は、保証業務実務指針3420「プロフォーマ財務情報の作成に係る保証業務に関する実務指針」(公開草案)」を公表し、意見募集を行っている。 これは、保証業務実務指針3000「監査及びレビュー業務以外の保証業務に関する実務指針」(2017年12月19日)等の公表に伴い、東証意見表明業務に関する従来の監査・保証実務委員会研究報告第17号「東京証券取引所の有価証券上場規程に定める結合財務情報に関する書類に対する公認会計士又は監査法人の報告業務について(中間報告)」に代わるものである。 意見募集期間は2021年3月1日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 プロフォーマ財務情報 プロフォーマ財務情報とは、重要な事象又は取引が未調整財務情報に及ぼす影響を示すために、それらが実際よりも早い日付で発生又は行われたという仮定に基づく調整とともに示される財務情報をいう(11項(3))。 実務指針は、プロフォーマ財務情報は、①未調整財務情報、②プロフォーマ調整及び③調整後のプロフォーマ財務情報欄から成る表形式で表示されると仮定している。 目論見書に記載又は添付されるプロフォーマ財務情報は、事業体の未調整財務情報に重要な影響を及ぼす事象又は取引について説明することを目的として、選択された基準日以前に当該事象又は取引が発生したという仮定に基づき作成されるものである(4項)。 次のことに注意する(4項、5項)。 2 適用範囲 実務指針は、主題に責任を負う者によって目論見書に記載又は添付されるプロフォーマ財務情報の作成に関して、監査事務所が、合理的な保証を提供する保証業務に関する実務上の指針である(1項)。 また、実務指針は、プロフォーマ財務情報の作成に関して、監査事務所が限定的な保証を提供する保証業務に関する実務上の指針も提供する(1項)。 実務指針は、以下の場合に適用される。 3 業務実施者の責任 実務指針に準拠して実施される保証業務において、業務実施者は、主題に責任を負う者のためにプロフォーマ財務情報を作成する責任を負わない。当該責任は、主題に責任を負う者が負うものである(2項)。 業務実施者の責任は、プロフォーマ財務情報が、すべての重要な点において適用される規準に準拠して作成されているかどうかについて報告することにある。 実務指針は、業務実施者が、主題に責任を負う者のために過去財務情報を調整する非保証業務については取り扱わない。 4 保証業務を実施する上での留意事項 次の事項に関する留意点が記載されている。 (了)

#No. 404(掲載号)
#阿部 光成
2021/01/29

《速報解説》「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」が公布~ウェブ開示によるみなし提供制度及び「その他の記載内容」等に係る監査基準の改訂に対応~

《速報解説》 「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」が公布 ~ウェブ開示によるみなし提供制度及び「その他の記載内容」等に係る監査基準の改訂に対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021(令和3)年1月29日、「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」(法務省令第1号)が公布された。これにより、2020年12月4日から意見募集されていた省令案が確定することになる。省令案に寄せられた意見に対する法務省の考え方も公表されている。 これは、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、事業報告に表示すべき事項の一部並びに貸借対照表及び損益計算書に表示すべき事項をいわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の対象とするため、及び、「その他の記載内容」等に関する監査基準の改訂(2020年11月6日、企業会計審議会)を受けたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ ウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正 ウェブ開示によるみなし提供制度に関して次の改正を行うほか、所要の整備を行う(会社法施行規則133条の2、会社計算規則133条の2)。   Ⅲ 監査基準の改訂を受けた改正 会社計算規則126条1項各号に掲げる事項に「第2号の意見があるときは、事業報告及びその附属明細書の内容と計算関係書類の内容又は会計監査人が監査の過程で得た知識との間の重要な相違等について、報告すべき事項の有無及び報告すべき事項があるときはその内容」を追加するほか、所要の整備を行う。   Ⅳ 施行時期等 1 施行期日 2 失効 3 会社計算規則の一部改正に伴う経過措置 (了)

#No. 404(掲載号)
#阿部 光成
2021/01/29

《速報解説》ASBJ、「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」等の確定を公表~適用は「会社法の一部を改正する法律」の施行日(2021年3月1日)以後に生じた取引から~

《速報解説》 ASBJ、「取締役の報酬等として株式を無償交付する 取引に関する取扱い」等の確定を公表 ~適用は「会社法の一部を改正する法律」の施行日(2021年3月1日)以後に生じた取引から~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年1月28日、企業会計基準委員会は、次のものを公表した。これにより、2020年9月11日から意見募集を行っていた公開草案が確定することになる。 これは、「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号)により、会社法202条の2において、金融商品取引法2条16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社が、取締役等の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないと規定されたことを受けたものである。 基本的に、ストック・オプション会計基準に準じた会計処理となっている(38項)。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い 1 適用範囲 実務対応報告は、会社法202条の2に基づく、取締役の報酬等として株式を無償交付する取引を対象とする(3項)。 ここで注意すべきことは、実務対応報告は、いわゆる現物出資構成により、金銭を取締役等の報酬等とした上で、取締役等に株式会社に対する報酬支払請求権を現物出資財産として給付させることによって株式を交付する取引については適用されないことである(3項、26項)。 実務対応報告の適用対象としている取締役の報酬等として株式を無償交付する取引については、①事前交付型と②事後交付型が想定されている(35項)。 2 事前交付型の会計処理 事前交付型とは、取締役の報酬等として株式を無償交付する取引のうち、対象勤務期間の開始後速やかに、契約上の譲渡制限が付された株式の発行等が行われ、権利確定条件が達成された場合には譲渡制限が解除されるが、権利確定条件が達成されない場合には企業が無償で株式を取得する取引をいう(4項(7))。 なお、事前交付型において、権利確定条件が達成されなかったことによって、企業が無償で株式を取得することが確定することを、「没収」という(4項(16))。 次のように、①新株の発行により行う場合と②自己株式の処分により行う場合に分けて会計処理を規定している。 3 事後交付型の会計処理 事後交付型とは、取締役の報酬等として株式を無償交付する取引のうち、契約上、株式の発行等について権利確定条件が付されており、権利確定条件が達成された場合に株式の発行等が行われる(会社法における割当日)取引をいう(4項(8))。 「割当日」とは、会社法202 条の2第1項2号に基づいて定められる株式の発行等が行われる日(会社法209条4項)である(4項(6))。 なお、「失効」とは、事後交付型において、権利確定条件が達成されなかったことによって、取締役等に株式が交付されないことが確定することをいい、「失効」と前述の「没収」を合わせて「失効等」という(4項(16))。 次のように、①新株の発行により行う場合と②自己株式の処分により行う場合に分けて規定しており、純資産の部の株主資本以外の項目に「株式引受権」が新設されている。このため、「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」等において、株式引受権が新設されている。 なお、2020年11月27日に「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(令和2年法務省令第52号)が公布されており、改正会社計算規則2条3項34号において、「株式引受権」が新たに定義されるとともに、純資産の部における区分などの関連する規定が改正されている。 4 注記 次の注記項目を定める(20項、21項、52項)。 5 1株当たり情報 6 関連当事者との取引 関連当事者との取引に関する開示は要しない(55項)。 7 適用時期等 (了)

#No. 404(掲載号)
#阿部 光成
2021/01/29

《速報解説》 監査役協会・会計士協会より「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正案が公表される~監査基準の改訂等を反映し、KAMや「その他の記載内容」等について記載~

《速報解説》 監査役協会・会計士協会より「監査役等と監査人との 連携に関する共同研究報告」の改正案が公表される ~監査基準の改訂等を反映し、KAMや「その他の記載内容」等について記載~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年1月27日、日本監査役協会と日本公認会計士協会は、「「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正について(公開草案)」を公表し、意見募集を行っている。 これは、監査基準の改訂等を反映させるためのものである。 意見募集期間は2021年2月26日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 1 監査基準における規定 監査役等と監査人の連携に関連する規定として、「監査基準における規定」を追加し、「監査上の主要な検討事項」(KAM)などについて記載している。 2 「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」関係 監査基準委員会報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」に関連して、次の記載を行っている。 3 「監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容」関係 監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」が2021年1月に改正される予定である。 「その他の記載内容」(監査人が監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容)に関して、「4.連携の時期及び情報・意見交換すべき基本的事項の例示」に、「その他の記載内容」に関するコミュニケーション項目(入手時期等)を記載している。 (了)

#No. 404(掲載号)
#阿部 光成
2021/01/29

プロフェッションジャーナル No.404が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年1月28日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.404を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/01/28

これからの国際税務 【第23回】「令和3年度税制改正における国際金融都市対応の項目」

これからの国際税務 【第23回】 「令和3年度税制改正における国際金融都市対応の項目」   千葉商科大学大学院 客員教授 青山 慶二   1 はじめに 2021年は、我が国にとっても国際金融を巡る税務環境が変わる潮目となる年となるかもしれない。その背景としては、コロナ禍による経済不況やデジタル化を含めた産業構造の変革に対応するため、積極的な財政・金融政策を支えるための金融インフラへの期待が挙げられるが、それに加えて、欧州ではBrexitに誘発されるロンドンからの金融にかかわる機能・人材の流失と、アジアでは一国二制度の下で発展してきた香港からの金融にかかわる機能・人材の流失への対応といった、グローバル金融拠点の流動化への対応が重要課題となっている点も付加せねばならないからである。政府は、昨年7月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」で、世界中から優秀な人材や資金、情報を集めアジアの国際金融ハブとしての「国際金融都市」の確立を目指す方針を掲げた。この目的に沿った税制改正案が、今回提示されている。 租税競争に対しては、BEPSプロジェクトの下で、デジタル課税の第2の柱の施策(低課税国事業体へのミニマムタックス課税)等によって、「法人税の税率引下競争」を抑制する方向でのコンセンサスは強化されているが、他方で、グローバルな金融ハブ機能の育成・支援という政策目標の遂行の観点からは、立地候補国間での、法人税率にとどまらぬ多面的な租税競争が依然として展開されてきた。我が国税制は、ファンドマネージャーをはじめとしたグローバル投資を担う人材とこれを活用する運用会社にとって、税率以外にもフレンドリーとはいいがたい面があると評価されてきたが、法人税・相続税・所得税にまたがる今回のパッケージの提案は、そのような障害の除去を目指すいわば租税競争支援策でもある。 租税競争についてのこのようなダブルスタンダードは、足の速い金融所得の特徴に対応するための租税政策をリードする「二元的所得課税論」によって、正当化されてきた。税制改正大綱が提案する「国際金融都市に向けた諸改正」も、二元的所得課税論に依拠する現行制度をさらに補完する文脈で捉えることができ、ライバルとなる立地国税制への我が国のキャッチアップの具体化と評価できよう。本稿では、その改正内容を確認し、若干のコメントを付加する。   2 法人税関連 資産運用会社は非上場会社であることが多く、有価証券報告書の提出がないため、役員に対し業績連動給与を支払った場合、法人税法上損金算入できないという課題が、我が国では指摘されてきた。海外で資産運用を行う人材を国内に呼び込む上で、雇用契約に業績連動給与支給対象である旨の記載があり、加えて、同給与の算定方法等が記載された事業報告書が金融庁ウェブサイトへ掲載されることを条件に、特定投資運用業者に該当する青色申告法人について、業績連動給与の損金算入を認める特例が提案されている。 なお、この人材活用の特例に加えて、投資組合契約(LPS)で設立されたファンド(仮に「第1ファンド」と呼ぶ)への投資家(有限責任組合員)もまたLPS契約で設立されたファンド(仮に「第2ファンド」と呼ぶ)である場合に、投資家レベルで我が国でのPE課税等が免除される要件(第1ファンドに対する持分割合が25%未満等)を、これまでの第2ファンド単位ではなく、それに投資する個別投資家単位で認定するという、実定法面での外国投資家課税の軽減策も提案されている。   3 所得税関連 日本での資産運用を担うファンドマネージャーの所得課税軽減策として、当該マネージャーが出資持分を有するファンドからその出資割合を超えて受け取る組合利益の分配(キャリード・インタレスト)について、分配割合が経済的合理性を有する(具体的には利益の配分が恣意的でなく、ファンドマネージャー20%、他の投資家80%などの一般的な商慣習等に基づいていること)など一定の場合には、役務提供の対価として総合課税の対象となるのではなく、株式譲渡益等として金融所得の分離課税の対象となることの明確化等を行うことが提案された。 海外からの人材に不評であった最高55%にも達する累進税率に服する総合課税のリスクを排除し、一律20%の分離課税を保障するものであり、米国の制度(キャピタルゲインとしての20%課税)と同等のものである。併せて、その際のファンドマネージャーによる申告の利便性・適正性を確保する措置も付加されている。   4 相続税関連 高度外国人材の日本での就労等を促進する観点から、就労等のために日本に居住する外国人に係る相続等については、その居住期間にかかわらず、国外に居住する外国人や日本に短期的に滞在する外国人が相続人等として取得する国外財産を相続税等の対象としないこととされた。 従来は、日本に居住する期間が10年以下の外国人が死亡した際に、相続税の課税対象を国内財産に限定するとされていたが、被相続人の居住期間にかかわらず国外財産への追及をなくすことにより、諸外国に比べ重いとされる相続税の負担から解放し、安心して国内就労できる環境を保障するものである。   5 若干のコメント 金融に対する課税は、経済状況などの時代背景によって大きく振れてきた。リーマンショックの際には、欧米を中心に、不当な利益を保持した金融機関に対し、ボーナス税を課したり、金融安定化のための拠出を求める世論が高まった。今回の税制改正をサポートする状況が現在認められることは否定しがたい事実と思われるが、2017年のトランプ税制改革の際には、キャリードインタレスト課税の特例廃止案(未実現)が、格差是正の観点から議会で検討されていたことも忘れてはならないであろう。 また、先進国の中で高いとされる相続税負担水準については、日本の優秀な金融人材の海外流失リスクを防止する観点からの改正ニーズについても、今後の金融のグローバル化の進展の下で念頭に置く必要があると思われる。 (了)

#No. 404(掲載号)
#青山 慶二
2021/01/28

令和2年度税制改正における国外財産調書制度の見直し 【第1回】

令和2年度税制改正における 国外財産調書制度の見直し 【第1回】   税理士 谷口 勝司   -はじめに- 令和2年度税制改正において国外財産調書制度の見直しが行われている。 この国外財産調書制度については、過少申告加算税又は無申告加算税(以下「過少申告加算税等」という)の軽減措置又は加重措置が設けられているが、この軽減措置・加重措置についても、併せて改正が行われている。 また、この税制改正に伴い、平成25年3月29日付課総8-1ほか「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外財産調書及び財産債務調書関係)の取扱いについて(法令解釈通達)」(以下「調書通達」という)について、令和2年12月15日付課総9-91により改正が行われ、併せてFAQも改定されている。 国外財産調書制度は、少し馴染みの薄い制度であることから、その全体像が把握できるよう、制度概要とともに改正内容等についてご紹介することとしたい。 Ⅰ 改正前の制度概要 最初に、改正前の制度概要について紹介したい。   1 国外財産調書の提出 居住者(非永住者を除く)は、その年の12月31日においてその価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合には、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書(以下「国外財産調書」という)を、その年の翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければならない(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(以下「調書法」という)5①)。 ただし、国外財産調書の提出期限(その年の翌年の3月15日(注2))までに、国外財産調書を提出しないで死亡し、又は出国したときは、国外財産調書の提出は要しない(調書法5①ただし書)。 (注1) 適用対象者、国外財産の意義及び価額、国外財産調書の記載事項、提出先税務署長等の詳細については、国税庁HPのFAQ等を参照いただきたい。 (注2) 〔編集部追記:2021/2/5〕令和2年分の国外財産調書の提出については、令和3年4月15日(木)まで延長されている(国税庁HPのFAQ)。   2 過少申告加算税等の軽減措置又は加重措置 国外財産調書制度は、自己の保有する国外財産に関する情報を納税者本人から提出を求める仕組みであることから、適正な調書提出に向けたインセンティブとして、以下に述べるように、特例として、過少申告加算税等の軽減措置又は加重措置が設けられている。 ごく簡単に言えば、①国外財産調書を提出した場合には、記載された国外財産に関して所得税(復興特別所得税を含む。以下同じ)又は相続税の申告漏れ等による修正申告等があったときは、その修正申告等による過少申告加算税等を5%軽減する一方、②国外財産調書の提出がない場合又は提出された国外財産調書に修正申告等の基因となる国外財産の記載がない場合(重要事項の記載が不十分な場合を含む)には、当該国外財産に係る所得税の修正申告等の過少申告加算税等を5%加重するというものであった(旧調書法6)。 (1) 国外財産調書の提出がある場合の過少申告加算税等の軽減措置 国外財産に係る所得税又は国外財産に対する相続税に関し申告漏れ(過少申告)又は無申告(以下「国外財産に係る事実」という)による修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は更正若しくは決定(以下「修正申告等」という)があり、過少申告加算税又は無申告加算税の適用がある場合において、提出期限(翌年3月15日まで)内に提出された国外財産調書に、その修正申告等の基因となる国外財産についての記載があるときは、この修正申告等につき課される過少申告加算税等の額については、その「国外財産に係る事実」に基づく本税額(加算税の計算の基礎となる本税額)の5%に相当する金額を控除した金額とする(旧調書法6①)。 この特例の対象となる「国外財産に係る所得税」は、国外財産に直接基因して生ずる「所得」に対する所得税である(調書法施行令11①、調書法規則13)。例えば、国外財産から生ずる利子・配当、国外財産の貸付け・譲渡、国外ストックオプション等の行使所得、国外生命保険金・国外年金その他国外財産に基因して生ずる所得がこれに該当する(下記(2)の加重措置においても同様)。この点は、国外財産自体が課税対象となりうる「相続税」と異なることに留意する必要がある。 (2) 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置 国外財産に係る所得税に関し申告漏れ(過少申告)又は無申告による修正申告等(死亡した者に係るものを除く)があり、過少申告加算税又は無申告加算税の適用がある場合において、提出期限内に国外財産調書の提出がないとき又は提出された国外財産調書にその修正申告等の基因となる国外財産についての記載がないとき(重要な事項の記載が不十分であると認められるときを含む)は、この修正申告等につき課される過少申告加算税等の額については、その「国外財産に係る事実」に基づく本税額(加算税の計算の基礎となるべき本税額)の5%に相当する金額を加算した金額とする(旧調書法6②)。 ここで特に留意しておきたいことが、改正前の加重措置は所得税のみが対象とされており、相続税について加重措置は無かったという点である。 (注) 上記(2)のとおり、国外財産調書を提出した場合であっても、修正申告等の基因となる国外財産について「重要な事項の記載が不十分であると認められるとき」は、記載がなかったとき又は国外財産調書の提出がなかったときと同様に加重措置の対象となるが、この「重要な事項の記載が不十分であると認められるとき」とは、申告漏れ等の基因となる国外財産であるかどうかの特定に必要な「国外財産の種類、数量、価額、所在」といった記載事項につき、記載誤り又は記載事項の一部が欠けていることにより、所得の基因となる国外財産の特定が困難である場合をいう(調書通達6-3、調書法規則12①)。 (3) 期限後に提出された調書の取扱い 国外財産調書が提出期限後に提出され、かつ、修正申告等があった場合において、当該国外財産調書の提出が、当該国外財産に係る所得税又は国外財産に対する相続税についての調査があったことにより更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、当該国外財産調書は「提出期限内に提出されたもの」とみなして、上記(1)又は(2)の軽減措置・加重措置を適用する(旧調書法6④)。   3 故意の国外財産調書の不提出等に対する罰則規定 この制度においては、故意に、不提出、虚偽記載による提出、虚偽答弁等の行為をした者に対して、罰則規定(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が設けられている(調書法9、10)。   4 国外財産調書の提出状況等 国税庁HPにおいて公表されている平成30年分(平成30年12月31日時点)の国外財産調書の提出状況は以下のとおりである。 (1) 提出状況 (2) 加算税の特例措置適用件数 (注) また、国税庁は、「令和元年度 査察の概要」において、上記3の国外財産調書の不提出に関する罰則適用について、初めて告発したと公表している。   (了)

#No. 404(掲載号)
#谷口 勝司
2021/01/28

固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第1回】「5年超前の過誤納固定資産税の還付が認められた判例」

固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第1回】 「5年超前の過誤納固定資産税の還付が認められた判例」   税理士 菅野 真美   ▷固定資産税の課税 固定資産税は、その年1月1日に土地、家屋、償却資産を有する者について、市町村(東京都特別区においては東京都)がこれらの価額に基づいて課税するものである。所得税等は納税者の申告に基づいて課税される制度であるが、固定資産税は賦課決定という課税主体(市町村)が課税標準や納付すべき税額を決める制度である。課税標準となる固定資産の価格は、固定資産評価基準によって決定しなければならない(地方税法403条1項)。どのようにして決めていくかというと、市町村の職員が、納税者とともにする実地調査、納税者に対する質問、納税者の申告書の調査等のあらゆる方法によって、公正な評価をするように努めなければならないとされている(地方税法403条2項)。 固定資産税の課税標準については減額制度がいくつか設けられているが、住宅地については課税標準となるべき価格の3分の1の額とされ、小規模住宅用地については6分の1の額とされる。軽減措置の適用を受けるために市町村は納税者に必要事項を申告させることができ(地方税法384条1項)、もし、納税者が正当な事由がなくて申告しなかった場合は、条例で10万円以下の過料を課す規定を設けることができる(地方税法386条)。 固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合は、期間制限があるが、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができ、価格以外の課税の内容について不服がある場合は、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。市町村は、過誤納金がある場合は速やかに還付しなければならないが(地方税法17条)、過去にさかのぼって還付できる期間は通常5年とされている。それでは、5年を超えた過去の過誤納部分の還付を受けることは可能だろうか。 本件は、国家賠償法1条(国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる)に基づく還付(ただし過失相殺による2割減額)が認められた事案である。   ▷どのような事案か   ▷争点は何か 主たる争点として下記3点があった。 ① 国家賠償法上の違法性があるか 納税者は、東京都が小規模住宅用地及び市街化区域農地として賦課決定すべき職務上の義務を負っていたにもかかわらず、非住宅用地及び一般住宅用地として課税し、過大な固定資産税等を賦課したことは国家賠償法1条1項の違法があると主張した。 東京都は、納税者が申告義務を履行していないから、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく認定を誤ったとはいえないから違法性はないと主張した。 ② 消滅時効は完成しているか 国家賠償法に基づく損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅するとされている(国家賠償法4条、民法724条1号)。 納税者は、平成26年10月頃に指摘されて初めて誤りを知ったが、同時点においても具体的にどのような損害があったのか認識できておらず、平成27年2月に過去5年分の過納付金の還付を受けて初めて具体的な損害の発生を認識した。そのため消滅時効の起算点は、平成27年2月、又は早くとも平成26年10月頃であると主張した。 東京都は、毎年度送られる課税明細書等には「全部非住宅用地」と記載されており、住宅用地の特例の案内や住宅用地所有者の申告義務について注意を喚起する文言が記載された文書を同封していたことから、請求が事実上可能であったのは平成17年分から平成21年分の納税の時点からである。既に3年以上経過しているから、消滅時効は完成していると主張した。 ③ 過失相殺はあるか 納税者は、口頭の説明の形式で申告することも認められるべきであり、平成16年3月又は4月に都の職員が訪問した時に資料を交付して、固定資産税等の評価のために必要な説明をしているから住宅用地の申告をしているし、職員から申告書の提出も求められなかった。また、市街化区域農地について一般住宅用地又は非住宅用地と認定したことは、申告書の提出と無関係の誤った課税であるから、申告書の提出は過失相殺にならないと主張した。 東京都は、住宅地の所有者として申告義務を負っているのに義務を履行しなかったから過失相殺するのが相当と主張した。   ▷裁判所の判断 ① 国家賠償法上の違法性があるか これは違法性があるとした。固定資産税は賦課決定制度であり、小規模住宅用地や市街化区域農地の所有者の申告要件で軽減が認められるものではない。建物の外観から、多数の住居からなる居住用建物であることがわかり小規模住宅用地に該当することが明らかであり、農地であることの判別が外観上困難である事情もなかった。つまり、職員が、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことがなく特例を適用せずに評価・認定したから違法性があるとした。 ② 消滅時効は完成しているか 消滅時効は、平成26年10月頃に職員から連絡が来るまで何らの対応をしていないことから、同月以前に過誤納付による損害を知っていたものと認めることはできないとした。 ③ 過失相殺はあるか 過失相殺として2割控除するとした。納税者の不申告が損害の発生及びその増大に一定程度寄与しているから過失相殺は考慮すべきであるが、申告したとしても、非住宅用地又は一般住宅用地と認定するような誤りが是正されず残った可能性もある。本件は東京都側の複数のミスが重なった結果というべきだから、納税者の過失を過大に評価することはできないとした。 *   *   * このように、5年を超えた固定資産税の過誤納の還付は可能であるが、本ケースにおいて納税者が無申告でも過失相殺が2割であったのは、明らかに手抜きであったと疑われるようなミスが原因の過誤納であったからと考える。それでは、納税者が税理士の場合でも過失相殺2割が認められただろうか。 (了)

#No. 404(掲載号)
#菅野 真美
2021/01/28
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