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《速報解説》 ASBJが、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方を更新~四半期決算における開示について取り上げる~

《速報解説》 ASBJが、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方を更新 ~四半期決算における開示について取り上げる~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年6月26日、企業会計基準委員会は、「新型コロナウイルス感染症への対応(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)」を更新し、ホームページに掲載した。 「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」に関する企業会計基準委員会の議事概要については、4月10日に公表後、5月11日に追補を公表しているが、今回は、四半期決算における考え方を扱うものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 四半期決算における取扱い 第436回企業会計基準委員会(2020年6月26日開催)の議事概要では、次のことを述べている。 (了)

#No. 375(掲載号)
#阿部 光成
2020/06/29

《速報解説》 国税庁、「所得金額調整控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公表、年末調整に向け注意喚起を行う

《速報解説》 国税庁、「所得金額調整控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公表、年末調整に向け注意喚起を行う   Profession Journal編集部   平成30年度税制改正では基礎控除額の一律10万円の引上げ等、給与所得控除額及び公的年金等控除額の一律10万円の引下げと控除上限見直し等が行われ、本年(令和2年)以後の所得税から適用されている。またこれらの改正により子育て世帯や介護世帯の負担増が生じないための措置として「所得金額調整控除」制度が創設された。 この制度について、国税庁は6月26日に「所得金額調整控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公表、年末調整に向け注意喚起を行っている。 所得金額調整控除は、①子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除と②給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除に分けられ、いずれも確定申告において適用されるが、①(所得金額調整控除(子ども等))については年末調整で適用することができる。 このため月々の源泉徴収に影響はないものの、年末調整では、上記の要件に該当する場合、その従業員等の所得金額調整控除(子ども等)に係る控除額を計算し、給与所得の金額から控除することとなる。なお、従業員等は年末調整で所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとする場合には、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに「所得金額調整控除申告書」に上記の要件に該当する旨等を記載して、給与等の支払者に提出する必要がある。 今回公表されたFAQでは、制度内容から扶養親族、給与収入等の各要件に関する説明のほか、「所得金額調整控除申告書」を提出する時点で本年の給与等の収入金額が850万円を超えるかどうかが明らかでない場合の「所得金額調整控除申告書」の提出の可否について、給与等の収入金額が850万円を超えるかどうかが明らかではない場合であっても年末調整で所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとするときは「所得金額調整控除申告書」にを提出する必要がある(問14)など、年末調整を前に実務上注意すべき事項が22問の質疑事例としてまとめられている。 なお「所得金額調整控除申告書」の様式は、新たに加わる「給与所得者の基礎控除申告書」とともに、従前の「給与所得者の配偶者控除等申告書」と一体となっている。 他に本年の年末調整では、保険料控除申告書に係る保険会社等からの控除証明書等を電子データで受領し国税庁ホームページ等で年末調整申告書の電子データを作成できるようになるなど「年末調整手続の電子化」が実施される。 さらに今年度の税制改正では下記のとおり、ひとり親控除の創設と寡婦(寡夫)控除の見直しが行われ、本年の年末調整から改正後の規定が適用される(※)など、実務上、昨年からの変更点が多くなっている。毎年各団体が行っている年末調整の説明会がコロナ禍の影響で開催が危ぶまれる中、早めの情報収集と従業員等への周知を心がけたい。 (※) 本改正については5月に国税庁ホームページにて「ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公表されている。 (了)

#No. 376(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2020/06/29

《速報解説》 持続化給付金、本年1月~3月に創業した事業者など支給対象を拡大~新たな対象者の受付は6月29日(月)から~

《速報解説》 持続化給付金、本年1月~3月に創業した事業者など支給対象を拡大 ~新たな対象者の受付は6月29日(月)から~   Profession Journal編集部   新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者などへ最大200万円が支給される持続化給付金について、令和2年度第2次補正予算により、その支給対象に以下の事業者を加えることとされた。 新たに対象となった者の申請は来週6月29日(月)より受付が開始され、申請はWEB・スマホからの電子申請の他、全国に設置された申請サポート会場でも申請が可能となっている。 申請にあたっては、次の証拠書類等の提出が必要となる(③⑥が新たな対象者に対し追加された書類)。 (※) 経済産業省「申請要領(主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等向け)」P17より なお、雇用契約によらない業務委託契約等に基づく事業活動からの収入を給与として受け取っているため、確定申告義務がなく確定申告していない者に限り、上記①の確定申告書第一表の控えを、税理士の確認を受けた「確定申告を要しないこと及び収入金額に係る申立書」で代替することができるとされており、日本税理士会連合会でも会員税理士に対し、顧問先及び該当する事業者等から申立書の確認依頼があった場合には協力するよう呼びかけている。 経済産業省の下記特設ホームページでは6月29日以降の申請要領等が公開されているため参考にされたい。 また、先週17日からは第2回の申請受付が始まっている「東京都感染拡大防止協力金」に関しては、税理士や公認会計士、中小企業診断士、行政書士などの専門家の事前確認が推奨されており、確認に係る費用の一定額(申請1件につき8,000円(税込))を東京都が負担することとされている。この費用の請求については各専門家からの事績報告に基づき、東京都から直接専門家へ支払われるが、昨日(6月25日)に、これら事績報告を行うための「専門家謝金申請サイト」が開設されている。 (了)

#No. 375(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2020/06/26

プロフェッションジャーナル No.375が公開されました!~今週のお薦め記事~

2020年6月25日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.375を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2020/06/25

山本守之の法人税“一刀両断” 【第72回】「日本とドイツのコロナ対策費用のあり方」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第72回】 「日本とドイツのコロナ対策費用のあり方」   税理士 山本 守之   1 赤字国債は誰が負担するか 新型コロナ対策で行った第一次補正予算約25兆7,000億円に対して、第二次補正予算は31兆9,114億円と第一次を上回っています。 第一次では、国民1人当たりに10万円の給付を行い、バラマキと言われていますが、第二次では、大幅に減収した事業者に対して月100万円を上限に、家賃の一部を最大6ヶ月分支給するという制度で、2兆242億円を使います。 また、政府系金融機関などの無利子融資を拡大し、資本注入も行うことで、企業への資金繰り支援策として11兆6,390億円を盛り込んでいます。 ほかにも雇用調整助成金の日額上限を1人当たり1万5,000円に増額するほか、労働者が直接申請できる給付金を創設して、4,519億円を使用することや医療体制を強化(重点医療機関の収入を保障)し、患者に対応する医療・介護従事者らに最大20万円の慰労金を支給するなどして、2兆9,892億円を使います。 また、地域に応じた支援のため臨時交付金を2兆円増額するほか、持続化給付金はすべてのフリーランスの人や今年創業した事業者を含め、1兆9,400億円を支給します。 さらに、児童扶養手当の受給世帯などに5万円支給し、収入が激減している場合はさらに5万円を支給することで1,365億円使います。 上記のような使い道が予定されていますが、この予算の特異なことは、予備費を10兆円もとっていることです。 なお、コロナ対策費用は、あくまで予算として31兆9,114億円であり、政府が強調している事業規模117兆1,000億円とは異なります。この事業規模117兆1,000億円を額面通りに受けとるわけにはいきません。 事業規模117兆1,000億円には、民間や自治体がお金を出すことを見込んだ分が44兆6,000億円あり、低金利の資金を集めて民間に貸し付ける「財政投融資」が39兆3,000億円も含まれています。国が本当に投ずる国費(真水)は33兆2,000億円程度です。 〈事業規模117兆1,000億円の内訳〉 第一次及び第二次補正予算は巨額ですが、政府はこれを赤字国債で借金を日銀に負担させることを決め、現実に誰が負担するかを決めていません。日銀は赤字国債を無制限に引き受ける皿なのです。 これらはいずれ税で返済することになるでしょう。その目途はあるのでしょうか。こうなると「広く薄く」としていたわが国の税制や資本主義の考え方から問い直してみなければなりません。   2 ドイツのコロナ対策費 ドイツでは、6月4日に1,300億円ユーロ(約16兆円)の景気対策を発表しました。 ドイツではコロナ対策費として、3月に1,560億円ユーロの国債発行などを決めましたが、今回のは第二次分です。 これに対して、日本の対策はどうなのでしょうか。 日本には政治家がいないのかと言いたいです。   3 役員報酬を減額する企業 コロナ対策で役員報酬を減額する企業に対して、課税庁が定期同額ではないとして損金算入を否認する動きがあります。 定期同額給与は、役員に対して支給する給与で、その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであるものであり、かつ、その事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与その他これに準ずるものです(法34①一)。 ところで、課税庁では、増額分を遡及して支給することについて、次のとおりとしています(国税庁質疑応答事例「定期給与の増額改定に伴う一括支給額(定期同額給与)」)。 課税庁がこのような考え方をするのは、法人税法では、「役員給与がその職務執行前にあらかじめ支給時期・支給額が定められていたものに基づくものであるか否かによって損金算入の可否を区別することとされている。」(『税務弘報』Vol.54/No.7、66頁、小崎純弥稿)とされており、「定期同額給与は、その支給形態から事前の定めに基づいて支給されているものと認められる給与」(同上)とするからです。 しかし、定期同額の給与を「事前の定めに基づいて支給されるもの」と頭から決め付けることには異論があります。 平成18年の税制改正前までは支給形態という外形基準によって役員給与の損金性を判断していましたが、改正後は損金性はあらかじめ支給時期・支給額が定められているか否かで判断することとなっており、定期同額はこれらの基準を満たすから損金性があるのだと強調されていますが、納得できる説明ではありません。 また、筆者としてどうしても納得できないのは、国税庁のQ&Aで次のような記述があることです。 ここでは、給与の減額要件を「経営状況の著しい悪化」としており、悪化ではあるが、著しい悪化ではない場合は減額要件に該当していないとしています。 給与を減額する理由を「法人の経営状況が著しく悪化したこと」としていますが、これは給与減額の典型的理由として例示しているだけであるなら理解できますが、この理由を限定的なものとしている国税庁の解釈は承諾できません。 国税庁は「経営状況の著しい悪化」が給与を減額する限定的な要因としていますが、法人は利益操作ではなく、さまざまな事情で役員給与を減額する場合があります。これを税の立場から制限する必要はありません。 例えば、経営状況は悪化していないが、設備投資の増大により資金繰りが悪化し、役員の給与を引き下げる必要がある場合もあります。このような経営判断を税の立場から規制することはいかがなものでしょうか。法解釈をする者は、税の限界を承知しておかなければなりません。 また、このようなことを考えれば、新型コロナ対策として会社を一時休業した場合も、「経営状況の著しい悪化」とすべきです。 定期同額給与の範囲等(令69①一ハ)に規定する「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのですから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれない(法基通9-2-13)としています。 例えば、鉄鋼会社が高炉を建設したり、自動車会社が自動運転装置付の自動車を開発するなど画期的な新型車を開発する場合などは、巨額の開発費用が必要になります。このような場合には、企業の業績(経営状況)に関係なく、役員の給与を減額して全社一丸となって経営に当たります。役員の給与の減額が「経営状況の著しい悪化」に限るというのは、経営を知らない役人の発想なのです。 非上場会社が役員報酬を上下させるのは、利益操作だとする税務運営(特に国税局特別調査班の執行)が良いか否かは、考え直さなければなりません。 (了)

#No. 375(掲載号)
#山本 守之
2020/06/25

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第38回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-不当性要件と経済的合理性基準(4)-

谷口教授と学ぶ 税法の基礎理論 【第38回】 「租税法律主義と租税回避との相克と調和」 -不当性要件と経済的合理性基準(4)-   大阪大学大学院高等司法研究科教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに 前回は、ユニバーサルミュージック事件・東京地判令和元年6月27日(未公刊・裁判所ウェブサイト)を素材にして不当性要件に関する同判決の判断枠組みを検討し、同判決は、不当性要件の趣旨解釈によって導き出した経済的合理性基準について、その新たな展開として、会社法における経営判断原則の「応用」により、相応性基準ともいうべき、会社による行為計算の選択に関する広範な裁量に基づく判断を尊重する判断基準(裁量尊重基準)を判示した旨の理解を示した。 今回は、前記東京地判に関するこのような理解の妥当性を検証する作業の一環として、会社法における経営判断原則についてその意義・根拠等を整理しておくことにしたい。経営判断原則については、会社法の領域で会社に対する取締役の責任、とりわけ取締役の善管注意義務(民法644条、会社法330条)に関して膨大な学説・判例の蓄積があるが、以下では、そのごく一端を筆者の問題関心に基づき紹介し概観するにすぎないことを予めお断りしておく。   Ⅱ 学説における経営判断原則 1 経営判断原則の意義と判断基準 会社法の分野では、取締役は、会社との関係では、委任に関する規定に従い(会社法330条)、善良な管理者の注意をもって職務を執行する義務(善管注意義務)を負い(民法644条)、これに違反した場合には、債務不履行責任を負い(民法415条)、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(会社法423条1項)。このような会社に対する取締役の善管注意義務違反の責任に関して、戦後、アメリカ法の研究を通じて、経営判断原則をめぐる議論が学説上展開されてきた(経営判断原則に関するわが国の学説の展開については、吉原和志「取締役の経営判断と株主代表訴訟」小林秀幸=近藤光男『新版・株主代表訴訟大系』(弘文堂・2002年)78頁、90頁以下、宮本航平「取締役の経営判断に関する注意義務違反の責任(一)」法学新報115巻5・6号(2008年)37頁、48頁以下参照)。 経営判断原則の意義については、比較的多くの文献において引用・参照されている定義として次のものがある(吉原・前掲論文80頁)。 経営判断原則は、19世紀以来アメリカの判例法として生成・発展してきた法理であるが(川浜昇「米国における経営判断原則の検討(一)(二・完)」法学論叢114巻2号(1983年)79頁、同巻5号(1984年)36頁参照)、わが国でも、「いわゆる日本版ビジネス・ジャッジメント・ルール(経営判断原則——裁判所は経営判断には事後的に介入しないというルール)が認められている〔ただし、アメリカと異なり日本では裁判所は判断の内容その他すべての事情を審査する〕。」(神田秀樹『会社法〔第21版〕』(弘文堂・2019年)228-229頁)ところ、学説の「総括」としては、次のような整理がされている(堀田佳文「経営判断原則とその判断基準をめぐって」飯田秀総ほか編『商事法の新しい礎石 落合誠一先生古稀記念』(有斐閣・2014年)253頁、279頁)。 もっとも、近年、次の見解(森本滋「経営判断と『経営判断原則』」一般社団法人金融財政事情研究会編『田原睦夫先生 古稀・最高裁判事退官記念論文集 現代民事法の実務と理論(上巻)』(一般社団法人金融財政事情研究会・2013年)654頁、676-677頁)の解くように、取締役の業務執行事項を類型化し個々の類型ごとに経営判断に係る裁量の幅に応じた判断基準を明らかにしようとする試みもみられる。 2 経営判断原則の実質的根拠と法的根拠 ところで、経営判断原則はなぜ認められるのであろうか。まず、その実質的根拠ないし正当化根拠については、次のように説明されている(落合誠一『会社法要説〔第2版〕』(有斐閣・2016年)104-105頁)。 この説明を、「経営者の常識」と「裁判官の常識」とを対比させながら「最も重要である二点」(以下では①②として引用する)について敷衍すると、以下の見解の説くようになるであろう(落合誠一「アパマンショップ株主代表訴訟最高裁判決の意義」商事法務1913号(2010年)4頁、10-11頁)。経営判断原則の「思想」ないし「政策的な考慮」ともいうべき部分(森田果「わが国に経営判断原則は存在していたのか」商事法務1858号(2009年)4頁参照。その部分は、次々回において、同族会社の行為計算否認規定の不当性要件に係る経済的合理性基準の意味内容について経営判断原則の「応用」を検討する際に、重要であると考えるところである)に関わるように思われる見解であるから、長くなるが、そのまま引用しておこう。 次に、経営判断原則という「法ルール」の現行会社法上の法的根拠は、「現行法が定める経営に関する株主と経営者の権限分配の趣旨」(落合・前掲論文12頁)に求められるが、その趣旨は、「典型的には、いわゆる所有と経営が分離された会社、たとえば、上場会社においては、株主が現実に経営を行うことは不可能であり、また合理的でもないから、経営者が経営を行うことを認め、他方、株主が経営者の経営決定に関与できる株主総会の権限は、会社の意思決定に限られ、しかも法律上定められた事項に限定される(会社法295条2項・3項)。」(同)ところに見出される。   Ⅲ 判例における経営判断原則 経営判断原則は、わが国でも、「膨大な下級審裁判例の蓄積によってその内容が定式化されてきた」(堀田・前掲論文256頁)といわれている(経営判断原則に関する判例については、差し当たり、江頭憲治郎『株式会社法〔第7版〕』(有斐閣・2017年)471-472頁参照)。その定式化について、今日では、次のように述べられている(神田・前掲書229頁)。 これは、末尾の括弧書で引用されているアパマンショップホールディングス事件・最判平成22年7月15日判時2091号90頁(下掲①。下線筆者)の判断基準を定式化したものであるが、その判断基準は、同事件・原審東京高判平成20年10月29日金判1304号28頁(下掲②。下線筆者)の判断基準とは異なるものと解されている(吉原和志「判批」会社法判例百選〔第3版〕(別冊ジュリスト№229・2016年)104頁(50事件)、105頁。下掲③)。 前掲②の判断基準は、基本的には、従来の裁判例が採用してきた判断基準(吉原・前掲「判批」105頁参照)と同じものであるように思われるが、前掲①の判断基準との違いは、最高裁が経営判断一般についてではなく「事業再編計画の策定」という取締役の業務執行事項を念頭に置いて前掲①の判断基準を示したこと(前掲③参照)とも相俟って、次の見解(落合・前掲論文13頁注5)が指摘するような経営判断原則に基づく司法審査の「姿勢」の違いに、基因するように思われる。そして、より根本的には、その「姿勢」の違いは、前記Ⅱ2で経営判断原則の実質的根拠に関してみた同原則の「思想」ないし「政策的な考慮」に根ざすように思われる。   Ⅳ おわりに 以上、今回は、会社法における経営判断原則についてその意義・根拠等を整理したが、同族会社の行為計算否認規定の不当性要件に係る経済的合理性基準に関して経営判断原則の「応用」を検討するのは、次回、行政法における裁量審査基準としての比例原則を紹介し概観した上で、次々回の課題としたい。ただ、経営判断原則の紹介・概観を終えるに当たって、最後に、経営判断原則と租税回避論との親和性についてごく一般的な指摘を行っておくことにする。 経営判断原則は会社・株主に対する経営者の責任問題に関する「法ルール」であるが、「経営者の責任のあり方は、剰余権者である株主全体の共通の利益の最大化を目指すべき経営者行動に対する規律となるから、コーポレート・ガバナンスの中核的な課題となる。」(落合・前掲書99頁)といわれる。ここで、次の見解(中里実「タックス・シェルターからタックス・コンプライアンスへ——会社法と租税法の融合の必要性」ジュリスト1496号(2016年)14頁、16-17頁。下線筆者)が指摘するような「国際的課税逃れとCorporate Governanceとの関係」に着目すると、経営判断原則と租税回避論との間に一定の親和性を見出すことができるように思われる。 (了)

#No. 375(掲載号)
#谷口 勢津夫
2020/06/25

令和2年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第1回】「「グループ通算制度とは」「グループ通算制度と連結納税制度と単体納税制度の比較」」

令和2年度税制改正における 『連結納税制度』改正事項の解説 【第1回】 「「グループ通算制度とは」 「グループ通算制度と連結納税制度と単体納税制度の比較」」   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   ~はじめに~ 令和2年度税制改正において、現行の連結納税制度が見直され、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から「グループ通算制度」に移行する所得税法等の一部を改正する法律(法律第8号)及び地方税法等の一部を改正する法律(法律第5号)(以下、2つを併せて「改正税法」という)が令和2年3月31日に公布された。 連結納税制度の見直しのポイントは、拙稿「《速報解説》「連結納税制度」の見直しと「グループ通算制度」の創設~令和2年度税制改正大綱~」で解説したため、今回はグループ通算制度の概要について解説したい。 なお、本稿は、改正税法及び令和2年度税制改正大綱に基づいて記載しており、改正税法で定めているものは条文番号を記載している(したがって、条文番号が記載されていないものは今後公表される政令で定められることになる)。 また、本稿の意見に関する部分は、筆者の個人的な見解であることをあらかじめお断りする。   [1] グループ通算制度とは グループ通算制度とは、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、その中で、損益通算及び欠損金の通算等のグループ調整計算を行う制度となる。 また、通算グループ内の1法人に後発的に修正・更正事由が生じた場合でも、原則として他の法人の税額計算に反映させない(遮断する)仕組みとしている。 なお、グループ通算制度の開始・加入時の時価評価課税及び繰越欠損金の持込み等については組織再編税制と整合性の取れた制度としている。   [2] グループ通算制度と連結納税制度と単体納税制度の比較 「グループ通算制度」の基本的な仕組みについて、「連結納税制度」及び「単体納税制度」と比較すると、以下のようにまとめられる。   (了)

#No. 375(掲載号)
#足立 好幸
2020/06/25

居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度の適正化-令和2年度税制改正- 【第3回】「取得の日の属する課税期間の翌課税期間以後の取扱い」

居住用賃貸建物の取得等に係る 消費税の仕入税額控除制度の適正化 -令和2年度税制改正- 【第3回】 「取得の日の属する課税期間の翌課税期間以後の取扱い」   税理士 石川 幸恵   前回解説したように、令和2年度税制改正により、令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除できない(消法30⑩)。ただし、仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間以後に課税賃貸用に供した場合、又は譲渡した場合のために、消費税額の調整計算の規定(消法35の2)が設けられている。以下ではこの調整規定について解説する。 また今回の改正で、高額特定資産である棚卸資産等について、棚卸資産に係る消費税額の調整を受けた場合の納税義務の免除の特例の規定が新設された(消法12の4②)。居住用賃貸建物が棚卸資産である場合には適用されるので、併せて解説したい。   1 居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整 (1) 課税賃貸用に供した場合(消法35の2①) ① 要件 ② 調整方法 ③の調整額を、第三年度の課税期間の仕入控除税額に加算する。 ③ 調整額 (※) 分母・分子からは対価の返還等の金額(消費税額を含まない)を控除する(消令53の2①)。 ④ 居住用賃貸(非課税賃貸用)へ供した場合の調整は設けられていない 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなものは、仕入税額控除できる(消基通11-7-1)。 仕入税額控除した建物を住宅の貸付けの用に供した場合の調整の規定は設けられていない。 棚卸資産であるため、課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整(消法34)の規定の適用もない(【第1回】参照)。 (2) 譲渡した場合(消法35の2②) ① 要件 ② 調整方法 ③の調整額を譲渡した日の属する課税期間の仕入控除税額に加算する。 ③ 調整額 (※) 分母・分子からは、対価の返還等の金額(消費税額を含まない)を控除する(消令53の2②)。 (3) 各期間の意義(消法35の2①③) 本調整規定に係る各期間について可視化すると、下図のとおりである。 〈各期間の意義〉 ① 居住用賃貸建物の仕入れ等の日 調整計算の起点となる「居住用賃貸建物の仕入れ等の日」とは、その居住用賃貸建物の課税仕入れの日をいう。自己建設高額特定資産である場合には、建設等が完了した日である。 ② 第三年度の課税期間 「第三年度の課税期間」とは、居住用賃貸建物の仕入れ等の日の属する課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間をいう。 ③ 調整期間 「調整期間」とは、居住用賃貸建物の仕入れ等の日から第三年度の課税期間の末日までの間をいう。 ④ 課税譲渡等調整期間 「課税譲渡等調整期間」とは、居住用賃貸建物の仕入れ等の日からその居住用賃貸建物を他の者に譲渡した日までの間をいう。 (4) 設例 国税庁公表の「消費税法改正のお知らせ(令和2年4月)」を参考に、居住用賃貸から課税用賃貸に転用した後に譲渡した場合の取扱いについて、設例を用いて検討する。 ① 調整額の計算 上記算式により、962.5万円を令和5年3月期の仕入控除税額に加算する。 ② 調整期間に課税賃貸用に供した場合(消法35の2①)と譲渡した場合(消法35の2②)との適用関係 本設例では、譲渡の前に課税賃貸用に供しているが、第三年度の課税期間の末日において居住用賃貸建物を有していない。このため、居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整の規定(消法35の2①)は適用されない(消基通12-6-2)。 ③ 調整対象固定資産を非課税業務用から課税業務用に転用した場合の調整(消法35)との適用関係 調整対象固定資産を非課税業務用から課税業務用に転用した場合の調整規定は、個別対応方式によりその他の資産の譲渡等にのみ要するものとして、仕入税額控除がないこと(消法30①②)とされた調整対象固定資産について適用される。 1億円で取得した居住用賃貸建物は調整対象固定資産に該当し、用途としてはその他の資産の譲渡等にのみ要するものである。この居住用賃貸建物を課税賃貸用に転用したが、取得時の仕入控除税額の計算において、個別対応方式でその他の資産の譲渡等にのみ要するものとして計算されていないので、転用の調整を受けないと考えられる。 ④ 高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例(消法12の4①)との関係 居住用賃貸建物の取得については仕入税額控除できないが、高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例(消法12の4①)は適用される。このため、高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年間、免税事業者になることができない(消基通1-5-30)。   2 高額特定資産である棚卸資産等について棚卸資産に係る消費税額の調整を受けた場合の納税義務の免除の特例等 (注) 以下の改正については、4月30日公布の新型コロナ税特法により適用の異なる場合がある。詳しくは次回を参照されたい。 (1) 改正の内容 高額特定資産である棚卸資産等について棚卸資産に係る消費税額の調整(消法36①③)を受けた場合に、次の規定が新設された。 ① 納税義務の免除の特例 納税義務が免除されないこととなった課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については免税事業者になることができない(消法12の4②)。 ② 簡易課税制度選択届出書の提出制限 納税義務が免除されないこととなった課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までは、簡易課税制度選択届出書が提出できない(消法37③)。 ③ 適用時期 令和2年4月1日以後に棚卸資産に係る消費税額の調整の適用を受けることとなった場合から適用される(R2所法等附42)。 (2) 棚卸資産である居住用賃貸建物の場合 下図は(1)の適用関係を可視化したものである。 〈棚卸資産に係る消費税額の調整〉 ① 居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額の取扱い 納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整(消法36)の規定は、棚卸資産である居住用賃貸建物についても適用がある。 居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額を、納税義務の免除の規定の適用を受けないこととなった課税期間の課税仕入れ等の税額とみなしたうえで、消費税法第30条第10項の規定により仕入税額控除されない。 ② 翌課税期間以後の調整 上記1(1)の課税賃貸用に供した場合、1(2)の譲渡した場合の調整がある。調整期間や課税譲渡等調整期間の始点となる仕入れ等の日は、実際の仕入れ等の日ではなく、次のとおりとなる。 (了)

#No. 375(掲載号)
#石川 幸恵
2020/06/25

Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第2回】「〔第1表の1〕関連会社株式の株主判定」

Q&Aでわかる 〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第2回】 「〔第1表の1〕関連会社株式の株主判定」   税理士 柴田 健次   Q 経営者甲が所有しているA社株式の全てを後継者乙に贈与する場合において、A社が有しているB社(大会社に該当)の株式の評価方式は、原則的評価方式(類似業種比準価額)が適用されるのでしょうか。それとも特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるのでしょうか。 A A社が保有するB社株式の評価は、原則的評価方式(類似業種比準価額)により評価することになります。 B社の株主判定を行う場合には、A社を納税義務者と考え、下記の通り株主判定を行うこととなります。 【同族株主がいる場合の株主判定の手順】  ◆  ◆  ◆ ① 筆頭株主グループの議決権割合 B社の株主を確認し、同族関係者グループの議決権割合を算定し、筆頭株主グループの議決権割合が「50%超」「30%以上50%以下」「30%未満」のどれに該当するかを判定します。 本問の場合には、丙の同族関係者としてA社も含まれるため、筆頭株主グループは100%となり、筆頭株主グループの議決権割合が「50%超」の区分に該当することになります。 ◎用語の意義と当てはめ ▷同族株主 課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます(評価通達188(1))。 本問の場合には、丙及びA社がB社の同族株主に該当します。 ▷同族関係者 法人税法施行令第4条(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいいます(評価通達188(1))。 特殊の関係のある個人は、例えば株主等の親族などをいいます。 本問の場合には、乙、甲、甲の配偶者は丙の同族関係者となります。特殊の関係のある法人は、例えば、丙及びその親族が直接又は間接に会社を支配(議決権の50%超保有)している場合におけるその会社が該当します。 本問の場合には、A社は甲の支配している会社となり、A社は丙の同族関係者に該当します。   ② 納税義務者の属する同族関係者グループの議決権割合 A社を納税義務者とみなした場合のA社の属する同族関係者グループの議決権割合が、「50%超」か「50%未満」かを確認します。 「50%未満」の場合には、特例的評価方式である配当還元価額となりますが、本問の場合には①で確認した通り、丙の同族関係者としてA社も含まれるため、A社の属する同族関係者の議決権割合が100%となりますので、③の手順に進みます。   ③ 納税義務者の議決権割合 A社の議決権割合は10%≧5%となり、「5%以上」の区分に該当しますので、原則的評価方式(類似業種比準価額)が適用されます。   ☆実務上のポイント☆ 評価会社が有している株式の株主判定については、その評価会社を納税義務者と考えて、株主判定を行うことになります。その判定にあたっては、同族関係者の範囲が重要になります。 (了)

#No. 375(掲載号)
#柴田 健次
2020/06/25

オープンイノベーション促進税制の制度解説 【第3回】

オープンイノベーション促進税制の制度解説 【第3回】 (最終回)   辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健   9 益金算入 設定法人(特別勘定を設けている法人)が次の①から⑧に掲げる場合(※1)に該当することとなった場合には、特別勘定の金額のうちそれぞれ①から⑧に定める金額は、その該当することとなった日を含む事業年度(※2)の所得の金額の計算上、益金の額に算入する(措法66の13⑪)。ただし、特別勘定に係る特定株式のうちその取得の日から5年を経過した特定株式であることが共同化調査により明らかにされたものに係る特別勘定の金額については、益金の額に算入されることはない(措法66の13⑫、措令39の24の2⑪)。 (※1) 合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人に当該特別勘定を引き継ぐこととなった場合及び当該特別勘定につき共同化継続証明がされず益金の額に算入された場合を除く。 (※2) 下記②に掲げる場合にあっては、その合併の日の前日を含む事業年度。 益金算入される典型的な場合としては、特定株式の取得の日から5年を経過する前に、特定株式を売却、あるいは減損処理(損金算入される場合に限る)した場合が考えられる。下記⑤の剰余金の配当を受けた場合に益金算入されるのは、資本剰余金を減額した場合になるため、利益剰余金から配当を受ける場合には益金算入はないものと思われる。また、特定株式の取得から5年を経過した後は、下記事由に該当しても益金算入されることはない。 上記①から⑧以外にも、特別勘定を設けている法人が青色申告書の提出を取り消され、又は青色申告書による申告をやめる旨の届出書の提出をした場合には、その承認の取消しの基因となった事実のあった日又はその届出書の提出をした日(その届出書の提出をした日が青色申告書による申告をやめた事業年度終了の日後である場合には、同日)における特別勘定の金額は、その日を含む事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入される(措法66の13⑥)。 また、特別勘定を設けている法人の各事業年度について、特定株式を発行した法人と共同して特定事業活動が行われていることにつき共同化の継続に関する証明がされた場合に該当しない場合には、特別勘定の金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入される(措法66の13➉)。   10 申告調整の例 (1) 損金経理による場合 ① 繰入時 ◎会計 ◎税務 別表4 (注) 「特別勘定繰入額の損金算入額又は特別勘定取崩額の益金算入額」は、別表4「46」欄に記載する。 別表5(1) ② 戻入時 (ⅰ) 益金算入の場合 ◎会計 ◎税務 別表4 別表5(1) (ⅱ) 益金不算入の場合 ◎会計 上記(ⅰ)に同じ ◎税務 別表4 別表5(1)   (2) 剰余金の処分による場合 ① 繰入時 ◎会計 ◎税務 別表4 別表5(1) ② 戻入時 (ⅰ) 益金算入の場合 ◎会計 ◎税務 別表4 別表5(1) (ⅱ) 益金不算入の場合 ◎会計 上記(ⅰ)に同じ。 ◎税務 別表4 別表5(1)   (連載了)

#No. 375(掲載号)
#安積 健
2020/06/25
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