検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10562 件 / 8831 ~ 8840 件目を表示

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第10回】「賃貸等不動産の注記」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第10回】 「賃貸等不動産の注記」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 今回は、賃貸等不動産の注記について解説する。中でも賃貸等不動産の時価の算定を中心に解説する。 賃貸等不動産の注記の検討は、以下の5つのSTEPに分けることができる。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (次ページ【STEP1】へ進む) (前ページ【はじめに】へ戻る) 賃貸等不動産とは、棚卸資産に分類されていない不動産であって、賃貸収益又はキャピタル・ゲインの獲得を目的として保有されている不動産(ファインス・リース取引の貸手における不動産を除く)をいう(企業会計基準第20号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準(以下、「基準」という)」4(2))。 具体的には、賃貸等不動産の範囲は以下の順に決定する。 なお、連結財務諸表において賃貸等不動産の注記を行う場合、賃貸等不動産に該当するか否かは、連結の観点から行う。例えば、連結会社間で賃貸されている不動産は、連結貸借対照表上、賃貸等不動産に該当しない(企業会計基準適用指針第23号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針(以下、「適用指針」という)」3)。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 (1) 棚卸資産に該当するか 不動産のうち、流動資産に分類されている棚卸資産(販売用不動産、開発事業等支出金等)は、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」で評価基準が定められているため、賃貸等不動産には含めない(基準19)。 (2) 貸借対照表の投資不動産に該当するか 貸借対照表において投資不動産(投資の目的で所有する土地、建物その他の不動産)として区分されている場合、賃貸等不動産に該当する(基準5(1))。ここには、現在のみならず、将来において投資不動産として使用される予定で開発中の不動産や継続して投資不動産として使用される予定で再開発中の不動産も含まれる(基準6)。 (3) 将来の使用が見込まれていない遊休不動産に該当するか 将来の使用が見込まれていない遊休不動産は、売却が予定されている不動産と同様に、処分によるキャッシュ・フローしか期待されないため、時価が企業にとっての価値を示す(基準23)。そのため、将来の使用が見込まれていない遊休不動産も賃貸等不動産に該当する(基準5(2))。 (4) 不動産は賃貸を目的として所有しているか 上記、(2)及び(3)以外の不動産で、賃貸を目的としている不動産は賃貸等不動産に該当する(基準5(3))。ここには、現在のみならず、将来において賃貸不動産として使用される予定で開発中の不動産や継続して賃貸不動産として使用される予定で再開発中の不動産も含まれる(基準6)。さらに、賃貸を目的として保有されているにもかかわらず、一時的に借手が存在していない不動産も含まれる(基準6)。 ① 不動産全部を賃貸しているか 不動産の全部を賃貸している場合、当然に不動産の全部が賃貸等不動産に該当する(基準5(3))。 ② 不動産の一部を賃貸している場合で、その賃貸部分の割合は低いか 不動産の一部を賃貸している場合、賃貸している部分のみ賃貸等不動産に含める。ただし、賃貸部分の割合が低い場合、賃貸等不動産に含めないことができる(基準7)。賃貸部分の割合が低いか否かにより賃貸等不動産の範囲が異なるため、その割合の基準を各社で定める必要がある。 また、賃貸部分の割合が低くなく、賃貸部分の時価又は損益を、実務上把握することが困難な場合、賃貸している部分とそれ以外の部分を区分せずに、当該不動産全体を注記の対象とすることができる。この場合、その旨を注記し、かつ、【STEP5】の注記を他の賃貸等不動産とは別に注記する(適用指針17)。 具体的な勘定科目としては、以下のものが賃貸等不動産に該当する(又は、該当する可能性がある)。 (次ページ【STEP2】へ進む) (前ページ【STEP1】へ戻る) ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 賃貸等不動産がある場合、必ずしも注記が必要なわけではない。賃貸等不動産の総額に重要性が乏しい場合、注記を省略することができる。 重要性が乏しいか否かは、以下の算式で判定する(適用指針23)。重要性が乏しいか否かの水準は、基準や適用指針で定められていないため、各社で重要性が乏しい水準を決定する必要がある。 (※) 賃貸等不動産の総額の重要性が明らかに乏しいと判断される場合、上記の算式で判定せずに、注記を省略することができる(適用指針23)。 上記の算式に用いる賃貸等不動産の時価には、以下のものを用いることができる。 重要性が乏しいと判定した場合、【STEP3】以降の検討は不要である。 (次ページ【STEP3】へ進む) (前ページ【STEP2】へ戻る) 賃貸等不動産の総額に重要性がある場合、個々の賃貸等不動産の時価の算定を行うことになるが、賃貸等不動産によっては、時価を把握することが極めて困難な場合もある。 そのため、時価を把握することが「極めて困難な場合」と「極めて困難とはいえない場合」で検討過程が異なる。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 (1) 個々の賃貸等不動産について時価を把握することが極めて困難か否か ここでは、個々の賃貸等不動産について時価を把握することできるか否かを判断する。時価を把握することが極めて困難ではない場合、【STEP4】以降を検討する。時価を把握することが極めて困難な場合、以下の(2)について検討する。 ここで、時価を把握することが極めて困難な場合とは、例えば、現在も将来も使用が見込まれておらず売却も容易にできない山林や着工して間もない大規模開発中の不動産などが考えられる(適用指針34)。 (2) 時価を把握することが極めて困難な場合 時価を把握することが極めて困難な賃貸等不動産のうち、重要性が乏しい場合と乏しくない場合で注記内容が異なる。重要性が乏しいか否かの水準は、基準や適用指針で定められていないため、各社で重要性が乏しい水準を決定する必要がある。 ① 重要性が乏しくない場合 時価を把握することが極めて困難な賃貸等不動産で重要性が乏しくない場合、時価を注記せず、その事由、当該賃貸等不動産の概要及び貸借対照表計上額を他の賃貸等不動産とは別に注記する(適用指針14)。なお、損益が発生している場合、その損益については、他の賃貸等不動産と一緒に注記することになると考えられる。なお、【STEP4】以降の検討は不要である。 ② 重要性が乏しい場合 時価を把握することが極めて困難な賃貸等不動産で重要性が乏しい場合、当該賃貸等不動産の概要、貸借対照表計上額及び時価については注記を省略することができると考えられる。なお、損益が発生している場合、重要性を考慮して注記を省略することできると考えられる。なお、【STEP4】以降の検討は不要である。 (次ページ【STEP4】へ進む) (前ページ【STEP3】へ戻る) 時価を把握することができる賃貸等不動産について、重要性に応じて用いる時価を変えることができる。重要性が乏しいか否かの水準は、基準や適用指針で定められていないため、各社で重要性が乏しい水準を決定する必要がある。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 (1) 個々の賃貸等不動産の重要性が乏しい場合 重要性が乏しい賃貸等不動産については、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標に基づく価額(例えば、公示価格、都道府県基準値価格、路線価による相続税評価額÷80%、固定資産税評価額÷70%)等を時価とみなすことができる。建物等の償却資産については、適正な帳簿価額をもって時価とみなすことができる(適用指針33)。 (2) 個々の賃貸等不動産の重要性が乏しくない場合 重要性が乏しくない賃貸等不動産については、第三者からの取得時(連結子会社の保有する賃貸等不動産については、当該子会社を支配した時を含む)又は直近の原則的な時価算定(下記①参照)を行った時から、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標の変動の度合い(①重要な変動が生じている場合、②軽微な場合、③それ(①、②)以外の場合)により、用いることができる時価が異なる(適用指針12、32)。 なお、ここでの判断は、あくまでも適切に市場価格を反映している固定資産税評価額等の指標をもとに行う必要がある。適切に市場価格を反映していない指標をもとに判断してはならない。 ① 重要な変動が生じている場合 第三者からの取得時(連結子会社の保有する賃貸等不動産については、当該子会社を支配した時を含む)又は直近の原則的な時価算定を行った時から、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標に重要な変動が生じている場合、原則的な方法で時価算定を行う(適用指針12、32)。 ここで、原則的な方法で算定した時価とは以下のものをいう(適用指針11)。 ② 変動が軽微な場合 第三者からの取得時(連結子会社の保有する賃貸等不動産については、当該子会社を支配した時を含む)又は直近の原則的な時価算定を行った時から、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標の変動が軽微な場合、取得時の価額又は直近の原則的な時価算定による価額を時価とみなすことができる(適用指針12)。 ③ 上記①、②以外の場合 第三者からの取得時(連結子会社の保有する賃貸等不動産については、当該子会社を支配した時を含む)又は直近の原則的な時価算定を行った時から、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標に重要な変動ではなく、かつ、軽微な変動でもない場合、当該評価額や指標を用いて調整した金額を時価とみなすことができる。 (次ページ【STEP5】へ進む) (前ページ【STEP4】へ戻る) 賃貸等不動産の注記では、以下の内容を注記する(基準8)。注記例は下記参照。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。   (1) 賃貸等不動産の概要 賃貸等不動産の概要には、主な賃貸等不動産の内容、種類、場所を含めて注記する(適用指針9)。 (2) 賃貸等不動産の貸借対照表計上額及び期中における主な変動 賃貸等不動産の貸借対照表計上額を注記する。また、期中の変動に重要性がある場合、その事由及び金額を注記する(適用指針10)。 (3) 賃貸等不動産の当期末における時価及びその算定方法 賃貸等不動産の当期末における時価金額及びその算定方法を注記する。 (4) 賃貸等不動産に関する損益 重要性が乏しい場合を除き、賃貸等不動産に関する賃貸収益と賃貸費用による損益、売却損益、減損損失及びその他の損益等を適切に区分して注記する(適用指針16(2))。 なお、賃貸収益と賃貸費用による損益については、収益と費用を総額で記載することができる。また、賃貸費用は、主な費用に区分して注記することができる(適用指針16(3))。 【賃貸等不動産の注記例】 *   *   * 以上、5つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)

#No. 92(掲載号)
#西田 友洋
2014/10/30

第三者行為災害による自動車事故と企業対応策 【第5回】「実務上のポイントQ&A(後半)」

第三者行為災害による自動車事故と企業対応策 【第5回】 (最終回)  「実務上のポイントQ&A(後半)」   社会保険労務士 井下 英誉   はじめに 第5回は、前回に引き続き第1回から第3回まで解説した内容を踏まえた実務上のポイントについてQ&Aを用いて解説する。 (連載了)

#No. 92(掲載号)
#井下 英誉
2014/10/30

〔小説〕『東上野税務署の多楠と新田』~税務調査官の思考法~ 【第1話】「定期異動」

〔小説〕 『東上野税務署の多楠と新田』 ~税務調査官の思考法~ 【第1話】 「定期異動」 税理士 堀内 章典   税務署に定期異動の日がやってきた。 毎年7月10日に行われる定期異動は、国税の年中行事で税務署によっても異なるが、例年3割程度の職員が異動するのが通例である。 平均すると、職員一人がひとつの署に在籍するのは3年、ということになる。 今年の東上野税務署の定期異動は職員210名のうち74名。74名とは東上野署から国税局や他の税務署に異動する人の数であり、多楠調査官のように、署内の法人課税第1部門から法人課税第5部門に異動する人は含まれない。 昨年私立大学を卒業し、国税専門官で国税局に採用された多楠は、3ヶ月の税務大学校和光校舎での研修を経て、昨年7月、東上野署に配属された。24歳、褐色の肌、身長175㎝、幼いころから水泳で鍛えた体育会系の青年である。 1年間は法人課税第1部門において、会社税務である法人税、消費税、源泉所得税などの内部事務を担当、縁の下の力持ち的な仕事を経験した。 そして今年は晴れて念願の調査部門への配属になった。 定期異動の数日前、法人担当副署長の安倍から法人課税第5部門に配属されるとの内示を受けた。 ▼   ▲   ▼ 多楠には、5部門の中で気になっている先輩調査官がいた。 その調査官の名は、新田。 法人課税全部門は同じフロアにあるため、新田調査官と上司の田村統括官が勤務時間中よく大きな声を張り上げてやりあっている姿をこの1年間、多楠はよく目にした。 この新田と田村が5部門メンバーの残留組であった。 田村と多楠は内部事務の関係で会話をする機会が多かった。定年まであとわずかと聞いている田村統括官は小太りで人当たりが良く、多楠にも気さくに声をかけるなど、多楠は田村が直属の自分の上司になることで安心していた。 一方、気になるのは新田である。 小柄で細身、眼光がやたら鋭く、1部門の先輩から聞いたところによると、自分より8歳年上32歳。 多楠は、新田とは普段からあいさつを交わす程度。しかも、あいさつをしても、いつも面白くなさそうにソッポを向きながらあいさつを返す新田に対して、多楠は良い印象を持つことができなかった。 副署長から内示を聞いた多楠は、そのあとこっそり5部門へ、同じ部門になったということであいさつに行った。 田村はいつもどおりの笑顔で、 「期待しているよ、多楠君。頑張ってね。君は若手でウチの署のホープだからね。」 と言葉をかけられた。 一方の新田は 「・・・・・。」 いかにも関心がないといった感じで、軽くうなずく程度であった。 多楠は気が重くなった。 ▼   ▲   ▼ さらに追い打ちをかけるような出来事があった。 異動日当日、5部門の自席に座った多楠を見るなり、すかさず田村がいつもの笑顔で多楠を呼んだ。しかも新田にも声をかけた。 さっそく何事かと思って田村のデスク前に立った多楠と新田に対し、田村が改まった声で 「多楠君、君は専科生(国税専門官のこと)で去年税務署に配属なったばかりだから、会社の調査は初めてだよね。調査1年目の調査官には必ず指導育成する先輩調査官を付けることになっている。 その指導役を新田調査官にお願いすることになった。 新田君はこの署に来る前、築地税務署で特別調査部門に所属していて、だいぶん事績を挙げた人だから、新田君に調査を教わればいろいろ勉強になると思うよ。」 「新田調査官、そんなわけで多楠君の面倒を見てあげて。」 新田はいつもどおり無表情のまま 「で、いつまで指導すればいいんですか。」 いかにもやりたくないという質問のように多楠は感じ取れた。 田村 「副署長からは特に言われなかったが、とりあえず半年間、今年の12月までかな。 いずれにしても新田君、よろしくね。 多楠君、いろいろと教わるといいよ。良い機会だから。」 “確かに新田調査官は田村統括官が言うように、頭が切れて調査ができそうだ。”でも、自分に対する冷たい態度、変人のような振る舞いの新田と半年間も付き合わなければいけないのかと思うと、さらに落ち込み、この先が不安になる多楠であった。 (続く)

#No. 92(掲載号)
#堀内 章典
2014/10/30

お申込み期限せまる! 11/3(祝・月)開催:笹岡宏保氏セミナー『【裁決事例から学ぶ】相続(贈与)税、財産評価に関する実務重要事項の確認」

株式会社プロフェッションネットワーク主催の笹岡宏保氏セミナー「【裁決事例から学ぶ】相続(贈与)税、財産評価に関する実務重要事項の確認」の開催が、11月3日(祝・月)とせまってまいりました。 お申込みは、11月2日(日)17時まで受け付けておりますが、銀行振込をご利用の場合、お申込み・入金期限は 10月30日(木)までとなりますので、ご注意ください。 ※このセミナーのお申し込みは終了しました。 セミナー内容の詳細やお申込方法など、くわしくは下記からご覧ください。

#Profession Journal 編集部
2014/10/29

《速報解説》 「企業会計審議会総会」が開催(10/28)~IFRS任意適用拡大の取組み強化に向け「会計部会」の設置を提示~

《速報解説》 「企業会計審議会総会」が開催(10/28) ~IFRS任意適用拡大の取組み強化に向け「会計部会」の設置を提示~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年10月28日、企業会計審議会総会が開催され、「国際会計基準をめぐる最近の対応及び審議会の今後の運営」について協議が行われた。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 会計部会の設置 企業会計審議会に「会計部会」を設置し、次の事項を審議する案が提示された。 会計部会の設置に伴い、従来の企画調整部会は廃止されることとなる。 このため、企業会計審議会の組織図は次のようになる。    (出所:企業会計審議会の組織(案))   Ⅲ IFRSをめぐる最近の対応 金融庁と企業会計基準委員会から、「国際会計基準をめぐる最近の対応」が説明されている。 金融庁による資料(「国際会計基準をめぐる最近の対応」(資料1))では、「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」、IFRS任意適用要件の緩和、「修正国際基準」の公開草案の公表、ASBJによる国際的な意見発信の取組み、IFRS任意適用会社(適用予定会社を含む)などが述べられている。 「IFRS任意適用会社(適用予定会社を含む)」では、2014年10月9日時点で、48社の任意適用会社が紹介されている。 内訳は次のとおりである。 (了)

#No. 91(掲載号)
#阿部 光成
2014/10/29

《速報解説》 改正金商法を受け「発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」等の改正公開草案が公表~「買付け等の通知書」における押印の不要化など~

《速報解説》 改正金商法を受け 「発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」等の改正公開草案が公表 ~「買付け等の通知書」における押印の不要化など~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年10月27日、 金融庁は「発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」等の改正案(公開草案)を公表した。 「発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」、「発行者による上場株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」など多くの内閣府令等が改正される予定である。 意見募集は、平成26年11月27日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令及び発行者による上場株券等の公開買付けの開示について 次の改正が提案されている。 ②及び③は、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令のみである。   Ⅲ 株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令について 大量保有報告書等の提出者が個人である場合には、当局に対して「番地」及び「生年月日」を記載した書面を提出することを条件に、大量保有報告書等におけるこれらの記載を不要とする。   Ⅳ 適用時期 金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第44号)の施行の日(公布の日から1年を超えない範囲内において政令で定める日)から施行する予定である。 ただし、「金融商品取引法第6章の2の規定による課徴金に関する内閣府令」については、本件に係る内閣府令の公布の日から施行する予定である。 (了)

#No. 91(掲載号)
#阿部 光成
2014/10/28

《速報解説》 「エクイティ・ファイナンスの品質向上に向けて」等が確定~プリンシプル・ベースのアプローチを整備。ライツ・オファリングの規制を強化~

《速報解説》 「エクイティ・ファイナンスの品質向上に向けて」等が確定 ~プリンシプル・ベースのアプローチを整備。ライツ・オファリングの規制を強化~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 日本取引所自主規制法人と東京証券取引所から、それぞれ次のものが公表されている。 これにより、公開草案(平成26年8月26日付け及び平成26年9月3日付けで意見募集)が確定することになる。 ①「エクイティ・ファイナンスの品質向上に向けて」は、プリンシプル・ベースのアプローチの考え方を基礎にして、尊重されるべき原理・原則(プリンシプル)を「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル」として取りまとめている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「エクイティ・ファイナンスの品質向上に向けて」 1 基本的な認識 次の問題意識がある。 そこで、ルール・ベースのアプローチに加え、プリンシプル・ベースのアプローチを組み合わせることが有効であると考えられた。 プリンシプル・ベースのアプローチとは、上場会社や市場関係者が、尊重すべき重要な規範や行動原則(プリンシプル)を確認し、互いに共有したうえで、各自がそのプリンシプルに沿って行動することを通じて、市場全体の質的向上の実現を目指す取組みである(「エクイティ・ファイナンスの品質向上に向けて」2ページ)。 日本取引所自主規制法人は、プリンシプルを浸透させるために、今後、事例解説集の発刊、セミナー、寄稿等による解説などの活動を予定しているとのことである。 2 「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル」 エクイティ・ファイナンスのプリンシプルとして、次の事項が述べられている。 より詳細な部分の記述に関しては「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル」を、ぜひ、お読みいただきたい。 「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル」(案)に寄せられたコメントに対して日本取引所自主規制法人の考え方が示されている。 公開草案から一部修正が行われている部分があること、また、寄せられたコメントのうち現行のルールですでに対応しているものであることなどが述べられている。   Ⅲ 「新株予約権証券の上場制度の見直しについて」 ライツ・オファリングについては、業績が悪く公募や第三者割当等での資本調達が困難な会社が、最後に残された手段として利用しているとの懸念があるなど、問題が指摘されている。 「『新株予約権証券の上場制度の見直しについて』に寄せられたパブリック・コメントの結果について」において、寄せられたコメントとそれに対する東京証券取引所の考え方が示されている。 東京証券取引所は、「改正概要」として次のことを示している。 (出所:新株予約権証券の上場制度の見直しに係る取引参加者規程等の一部改正について)   Ⅳ 適用時期 「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル」は、平成26年10月1日付で確定している。 「新株予約権証券の上場制度の見直しに係る取引参加者規程等の一部改正について」は、平成26年10月31日から施行される。ただし、【改正の概要】の2の「新株予約権証券の上場日は、行使期間の初日以降の日とします。」との規定については、会社法の一部を改正する法律(平成26年法律第90号)の施行の日から実施される。 (了)

#No. 91(掲載号)
#阿部 光成
2014/10/28

《速報解説》 女性の登用等の記載義務付けに関する「開示府令の一部改正」が公布~平成27年3月31日以後終了事業年度の有価証券報告書等から適用~

《速報解説》 女性の登用等の記載義務付けに関する「開示府令の一部改正」が公布 ~平成27年3月31日以後終了事業年度の有価証券報告書等から適用~   大阪経済大学教授 小谷 融   Ⅰ 改正された内閣府令 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成26年内閣府令第70号)が、平成26年10月23日に公布され、平成27年3月31日から施行される。   Ⅱ 主な改正内容 有価証券届出書および有価証券報告書の【役員の状況】欄においては、様式に、役員ごとの「役名」・「職名」・「氏名」・「生年月日」・「略歴」・「任期」・「所有株式数」を記載することになっている。 改正開示府令では、下表に示すとおり、その様式の欄外に が設けられ、「役員の男女別人数を記載するとともに、役員のうち女性の比率を括弧内に記載する」こととされた。 〈表〉 開示府令第2号様式(有価証券届出書)第二部第4【提出会社の状況】 なお、パブリックコメントに対する金融庁の考え方によると、次のことが明らかにされている。 また、四半期報告書および半期報告書については、【役員の状況】欄に異動後の役員の男女別人数を記載するとともに、役員のうち女性の比率を括弧内に記載することが追加されている。 この際、「パブリックコメントに対する金融庁の考え方」によると、【役員の状況】欄に役員の男女別人数および女性の比率に変化のない役職の異動のみを記載する場合には、異動後の役員の男女別人数および女性比率を記載する必要はないとしている。   Ⅲ 適用時期 改正後の規定は、平成27年3月31日以後に終了する事業年度を最近事業年度とする有価証券届出書およびその事業年度に係る有価証券報告書等から適用される。 具体的には次のとおり。 (了)

#No. 91(掲載号)
#小谷 融
2014/10/24

Profession Journal No.91が公開されました!~今週のお薦め記事~

2014年10月23日(木)AM10:30、Profession Journal(プロフェッションジャーナル)  No.91 が公開されました。   - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2014/10/23

山本守之の法人税“一刀両断” 【第4回】「法人税率引下げの財源課税」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第4回】 「法人税率引下げの財源課税」   税理士 山本 守之   季節が秋になると、そろそろ平成27年度の税制改正が話題になります。 そのうち一番大きな問題は、法人税率の引下げとその財源としての税制改正案です。 安倍首相が記者会見で述べたのは「われわれが目指しているのはまずドイツだ」ということですから、現在の法人税実効税率35.64%を数年でドイツの全国平均29.59%に下げるということでしょう。 財源については決定権を持っている自民党税制調査会の案が決まっていませんが、政府税制調査会の法人課税ディスカッショングループ(座長大田弘子氏)の案は発表されており、その内容は次のとおりです。   (1) 租税特別措置 租税特別措置は次の3つの基準で見直すことになっています。 これらは筆者としては賛成ですが、政治家が中心の党税制調査会で実行できるのでしょうか。それでも設備投資や雇用促進税制の廃止で5,000億円の増収を見込んでいます(経済産業省では1兆5,000億円)。   (2) 欠損金の繰越控除 法人税の理論からすれば、欠損金の繰越控除は無期限で行うのが正しく、イギリス、ドイツ、フランスは無期限で、アメリカは20年です。 これは、黒字の時だけツマミ食い的に課税し、欠損金を控除しなければ、企業の資本が維持できないからです。ただ、欠損金に手を付けるのが一番安易な財源調達方法ですから、課税当局が目を付けます。税制調査会のディスカッショングループ(DG)では、 としており、控除期間を延ばした上で控除額を6割程度とし、3,000億円~3,500億円の税収を見込んでいます。   (3) 減価償却 減価償却の方法では定率法を廃止し、定額法に限定することにより4,500億円の財源を確保する予定です。 定率法に限定する理由について税制調査会のDGでは、 としていますが、実務家からみれば、定率法も定額法もそれぞれの理論を持っており、その方法は企業の選択に委ねているのですが、学者を中心とする政府税制調査会の説明は納得いきません。 実は、この方法は2008年の税制改正でドイツが採った方法ですが、当時、筆者はドイツの首相府のMichael Sell氏(首相府経済総局次長)に「理論的に定率法よりも定額法の方が正しいのか」と質問したところ「法人税率引下げの財源として金が欲しいからで、定率法と定額法はいずれが理論的に正しいとはいえない」と正直に答えてくれました。 税制調査会委員もドイツへ行ってもっと勉強してほしいと思っています。 政府税制調査会の学者委員に聞きたいのは、大学に戻っても学生に「定率法は所得操作のために選択する」と教えるのでしょうか。技術革新が激しい機械を導入した際には、投資を早期に回収するために企業が定率法を選択することをどのように説明するのでしょうか。 なお、財務省では、減価償却を定額法に限定するのは第二段階である2017年から適用することを考えているようです。 (注) 中小企業課税の見直しとアベノミクスの廃止も2017年からとなるでしょう。   (4) 受取配当等益金不算入 受取配当金を益金不算入としていたのは、次の2つの理由からだと説明されていました。 ただ、実際には、法人の受け取る配当等については、持分割合が25%以上の株式の配当等の場合はその全額を、25%未満の場合はその50%を益金不算入としています。 政府税制調査会では、 としています。 現実には、企業の持株の目的を「企業支配か」「資産運用か」で区分することは難しいのですが、持株割合に応じて、益金不算入とするものを決めることになるでしょう。   (5) 地方税の損金算入 わが国の法人税では、法人の納付する法人事業税や固定資産税等は、所得(利益)から納付する法人税や法人住民税とは異なり、事業に関連して発生する税であることから費用性があるものと認められ、税負担額が損金に算入されています。 しかし、2008年のドイツの税制改正では、営業税(日本の事業税)は損金不算入とされました。これに対して日本の政府税制調査会では、 としていますが、理由は明確ではありません。 それぞれの税の損金性については、税の性格、目的、任意性などによって定められるものです。しかし、法人税率引下げの財源として政府の都合がよい理論を構築するのは考えものです。 もっと正直に「税率引下げ」のために財源として金が欲しいと正直に言った方がよいでしょう。   (6) 中小法人課税 「中小法人」は、法人税法上資本金1億円以下の企業とされており、税率のほか各種の優遇措置が適用されています。しかし、所得金額を基準としていないので、会計検査院から「多額の所得を得ながら中小企業向け優遇税制を受けている企業が存在する」と批判されているので、この基準を変えようとしています。 しかし、日本で法人成りが不必要に多いのは法人を優遇し、個人に負担を求めているからですから、これも含めて見直すべきでしょう。   (7) 公益法人課税 政府税制調査会では、公益法人は次の3点の優遇をしているとしています。 しかし、政府税制調査会のDGでは、公益事業を経営形態だけで定義することに問題があるとし、 としています。問題なのは、収益事業について、 としていることです。 この見直しが、「課税要件明確主義」に反する執行にならないことを願っています。   (8) 地方法人課税 政府税制調査会では、地方法人課税については、次のように述べています。 ここでは、中小法人(資本金1億円以下)にも、法人事業税の付加価値割を導入すべきと言うのです。 しかし、中小企業団体からは「中小企業に応能課税の原則(税を納める能力に応じて課税すること)を適用しないのは問題だ」という批判が出ています。 なお、財務省によると、次の2段階で改正することを考えているようです。 (了)

#No. 91(掲載号)
#山本 守之
2014/10/23
#