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《速報解説》 「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」等の改正案が公表

《速報解説》 「企業内容等の開示に関する留意事項について (企業内容等開示ガイドライン)」等の改正案が公表   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年6月30日、 金融庁は「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」等の改正案を公表し、意見募集を行っている。 これは、金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」報告書の提言及び同ワーキングにおける議論を踏まえた改正案である。 意見募集期間は、平成26年7月30日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 次のガイドラインを改正する提案である。 1 届出前勧誘に該当しない行為の明確化 有価証券の募集・売出しに係る届出の前において、「勧誘」は禁止されているが、上記のワーキングにおける議論に従い「勧誘」に該当しない行為を明確にする。 企業内容等開示ガイドラインの改正案の「取得勧誘又は売付け勧誘等に該当しない行為」2-12では、有価証券の取得勧誘又は売付け勧誘等には該当しないケースについて例示されている。 2 「特に周知性の高い企業」による届出の効力発生までの待機期間の撤廃 「特に周知性の高い企業」による有価証券の募集・売出しに係る届出の効力発生までの待機期間を撤廃することとし、上記のワーキングにおける議論に従い「特に周知性の高い企業」に該当する者の要件を定める。 企業内容等開示ガイドラインの改正案の「特に周知性の高い者による届出の効力発生日の取扱い」8-3では、金融商品取引法8条3項の規定により、直ちにその届出の効力を生じさせることができる要件が規定されている。   Ⅲ 公表日 改正後の規定は、本年8月下旬以降に公表する予定である。 (了)

#No. 75(掲載号)
#阿部 光成
2014/07/01

《速報解説》 「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」(確定)について

《速報解説》 「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける 借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」(確定)について   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年6月30日付で、 企業会計基準委員会は、「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第31号)を公表した。 これは、経済産業省が制定した「リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業事務取扱要領」(平成26年3月3日制定)3条7号におけるリース契約に基づくリース取引について、借手の会計処理及び開示に関する実務上の取扱いを示したものである。 これにより、平成26年3月7日に意見募集が行われていた公開草案が確定することになる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 基本的に、「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号。以下「リース会計基準」という)及び「リース取引に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第16号。以下「リース適用指針」という)に従って会計処理及び開示を行うことになる。 実務対応報告第31号の検討の対象に含まれなかった、契約変更時の借手の会計上の取扱いについては、別途、定める予定であることが述べられている(実務対応報告第31号、13項)。 1 特徴 本スキームは、次の特徴をもっている。 2 範囲 経済産業省が制定した「リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業事務取扱要領」(平成26年3月3日制定)3条7号におけるリース契約に基づくリース取引であり、「リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業実施要領」(平成26年3月3日制定)第4の4に基づき基金設置法人とリース事業者(貸手)により締結された先端設備等導入支援契約に基づくものに係る借手の会計処理及び開示を対象としている。 3 会計処理 ① ファイナンス・リース取引の判定基準は、他のリース取引と同様に、リース適用指針に基づいて行う。 ② 再リースに係るリース期間又はリース料を解約不能のリース期間又はリース料総額に含めるかどうかについても、他のリース取引と同様に、リース適用指針に従う。 ③ リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定を再度行う(これ以外の場合、当該判定をリース期間中に再度行うことは要しない)。 ④ 変動リース料については、リース取引開始日において、借手により示されている合理的な想定稼働量を基礎とした金額により、リース会計基準及びリース適用指針に定めるリース料総額に含めて取り扱い、次のような場合に考慮されることになる。 ファイナンス・リース取引の判定 ファイナンス・リース取引と判定された場合の、リース資産及びリース債務として計上する価額の算定 リース料は、以下のいずれかとして設定される。 なお、実務対応報告第31号に定めのない事項については、リース会計基準及びリース適用指針の定めに従って会計処理する。 4 開示 変動型又はハイブリッド型について、オペレーティング・リース取引と判定された場合、リース会計基準22項に定める解約不能のものに係る未経過リース料の注記に、貸借対照表日における借手による合理的な見積額に基づく変動リース料の未経過分を含める。 なお、実務対応報告第31号に定めのない事項については、リース会計基準及びリース適用指針の定めに従って開示する。   Ⅲ 適用時期 適用時期は、公表日(平成26年6月30日)以後適用する。 (了)

#No. 75(掲載号)
#阿部 光成
2014/07/01

《速報解説》 相続税法基本通達の一部改正が公表~単独での管理処分不適格財産も組み合わせにより物納可能に~

 《速報解説》 相続税法基本通達の一部改正が公表 ~単独での管理処分不適格財産も組み合わせにより物納可能に~   税理士 齋藤 和助   国税庁はこのたび、「相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」を公表した(平成26年6月2日、徴管6-17)。 具体的には、相続税法基本通達42-5に以下のアンダーライン部分が追加された。 物納は、その財産ごとに許可又は却下の判断が下されることとされていたが、上記アンダーライン部分の追加により、単独であれば管理処分不適格財産に該当してしまい、物納が認められない不動産であっても、他の不動産と併せて申請することにより、管理処分不適格財産に該当しなくなれば、これらを併せたところで物納が認められることが明示された。 なお、不動産のうち、管理処分不適格財産とは以下をいう(相令18①)。 例えば、借地権が設定されていない敷地にある建物単独では上記(ト)により、管理処分不適格財産となり、物納は認められない。しかし、その敷地とともに物納申請を行えば不適格財産に該当しなくなり、物納が認められることになる。 管理処分不適格財産は上記相続税法施行令第18条と相続税法施行規則第21条に限定列挙されていることから、物納が想定される相続人が存在する場合には、これらの内容を熟知し、組み合わせによる物納も視野に入れたアドバイスが必要である。 (了)

#No. 75(掲載号)
#齋藤 和助
2014/06/27

《速報解説》 日本再興戦略について-企業会計に関連して-

《速報解説》 日本再興戦略について -企業会計に関連して-   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年6月24日、「日本再興戦略」改訂2014が閣議決定され、「「日本再興戦略」改訂2014―未来への挑戦―」が取りまとめられている。 「日本再興戦略」では多くの事項が取り上げられているが、本稿では、企業会計に関連する部分を紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話の促進 「持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話の促進」において、次の事項が記載されている(第二、一、1(3)ⅰ)⑥)。   2 IFRSの任意適用企業の拡大促進 「IFRSの任意適用企業の拡大促進」として次の事項が記載されている(第二、一、5-2(3)ⅰ)④)。   3 企業の競争力強化に向けた取組 監査の質の向上、公認会計士資格の魅力の向上に向けた取組を促進することが記載されている(第二、一、5-2(3)ⅰ)⑤)。 (了)

#No. 75(掲載号)
#阿部 光成
2014/06/27

《速報解説》 新規上場時の有価証券届出書・IFRSによる有価証券届出書に関する「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正(公開草案)」について

《速報解説》 新規上場時の有価証券届出書・IFRSによる有価証券届出書に関する 「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正(公開草案)」について   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年6月25日、 金融庁は「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、意見募集を行っている。 主な改正内容は、①新規上場時の有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数短縮と②非上場のIFRS適用会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げる連結財務諸表の年数についてである。 意見募集期間は、平成26年7月25日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 以下についての改正案であり、第二号様式、第二号の四様式、第二号の六様式、第三号様式、第四号様式、第四号の三様式、第五号様式が改正される。 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」も改正され、IFRSに準拠して作成した連結財務諸表の監査における、比較情報に係る意見表明の方法に関して規定される予定である。 1 新規上場時の有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数短縮 有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数を5事業年度分から2事業年度分に短縮する改正案である。 これは、平成25年12月に公表された金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」報告書の提言を踏まえたものである。 2 非上場のIFRS適用会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げる連結財務諸表の年数 非上場会社が初めて提出する有価証券届出書にIFRSに準拠して作成した連結財務諸表を掲げる場合には、最近連結会計年度分のみの記載で足りるとする改正案である。 3 その他 「企業内容等の開示に関する内閣府令」の「臨時報告書の記載内容等」に関して、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」(19条2項19号)へ改正したり、第二号様式の「主要な経営指標等の推移」における「当期純利益金額又は当期純損失金額」を「親会社株主に帰属する当期純利益金額又は親会社株主に帰属する当期純損失金額」へ改正したりする予定である。   Ⅲ 適用時期 改正後の規定は、本年8月下旬に公布・施行する予定である。 (了)

#No. 75(掲載号)
#阿部 光成
2014/06/27

Profession Journal No.75が公開されました!~今週のお薦め記事~

2014年6月26日(木)AM10:30、Profession Journal  No.75 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。

#Profession Journal 編集部
2014/06/26

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例15(相続税)】 「「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」の提出を失念したため、「配偶者の税額軽減」及び「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用が受けられなくなった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例15(相続税)】   税理士 齋藤 和助   《事例の概要》 被相続人甲の相続税の申告に際し、遺産の範囲及び分割の方法について相続人間(A、B、C、Dの4名)で分割がまとまらず、当初申告を未分割で行い、同時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出した。 その後、遺産分割が裁判に持ち込まれ、長期化してしまい、審判確定までに3年超を有してしまったため、3年を超えた場合に提出する「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出すべきところ、これを失念した。その結果「配偶者の税額軽減」及び「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用が受けられなかった。 これにより、特例により減額できた金額400万円につき損害賠償請求を受けた。   《賠償請求の経緯》 平成X0年5月に被相続人甲死亡。 平成X1年3月に相続人Aの弁護士より相続税申告業務を受任。 平成X1年3月に相続税の申告及び「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出。 平成X4年5月が期限の「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」の提出を失念。 平成X5年7月に審判確定により遺産分割が確定。 平成X5年9月に相続人B、C、Dの税理士より連絡があり失念が発覚。   《基礎知識》 ◆遺産が未分割の場合 「配偶者の税額軽減」(相法19の2)及び「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(措法69の4)は、未分割遺産については適用がない。ただし、申告書提出時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば、3年以内に分割が整えば適用を受けることができる(相規1の6③二)。 さらに、3年経ってもなお分割が整わない場合には、3年を経過する日の翌日から2ヶ月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出し、分割が整ってから4ヶ月以内に更正の請求等をすれば、その適用を受けることができる(相法19の2②、相令4の2②、措令40の2⑬)。   《税理士の落とし穴》   《税理士の責任》 税理士は、期限内申告書提出時に「申告期限後3年以内の分割見込書」は提出したが、その後、裁判が長期化したにもかかわらず、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出することを失念してしまい、結果として「配偶者の税額軽減」及び「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用が受けられなくなってしまった。 税理士は審判確定後に、他の相続人らの税理士から連絡を受けて、初めてその事実に気づいた。提出期限までに上記申請書を提出していれば上記特例の適用は受けられたことから、税理士に責任がある。   《予防策》 [ポイント①] 依頼者又は弁護士から定期的に連絡をもらう 毎年申告がある所得税や法人税と比べると、相続税の申告業務は、納税者たる相続人との関係が希薄であることが多い。したがって、分割されるまで定期的に分割協議や調停等の進捗状況を確認する方法や、相続人から報告を受ける方法を決めておく必要がある。これにより、上記申請書や更正請求書の提出失念を防止することができる。   [ポイント②] 契約書等を取り交わす 相続税の申告のような、継続的な関与が行われない単独の業務を受任する場合には、口頭での約束だけで、契約書等の書面による契約を取り交わさないケースも散見される。 しかし、本事例のように、当初申告だけで完結せず、その後3年以上もの長期にわたるような場合には、必ず契約書等を取り交わし、受任範囲を明確にしておく必要がある。 その際、上記の報告を、依頼者が税理士に対してすべきこと、及びその報告方法も明記しておくべきであろう。さらに、依頼者から報告がなかった場合や報告が誤っていた場合の責任についても明記しておけば、その後の賠償請求を回避できる可能性もある。 (了)

#No. 75(掲載号)
#齋藤 和助
2014/06/26

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第4回】「みなし共同事業要件の濫用(東京地裁平成26年3月18日判決)④」

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第4回】 「みなし共同事業要件の濫用(東京地裁平成26年3月18日判決)④」   公認会計士 佐藤 信祐   第2回目、第3回目においては、【争点1】及び【争点2】についての原告及び被告の主張について解説を行った。第4回目に当たる本稿においては、裁判所がどのような判断を行ったのかについて解説を行い、次回以降はその評釈を行う予定である。 判決文全体を閲覧すると、最終的には被告が勝訴しているが、被告が主張した理論構成ではなく、異なる理論構成により判決がなされており、法的三段論法のうち小前提たる事実の当てはめについては、どちらかというと原告の主張を一部認めた形となっている。 (7) 裁判所の判断 ① 法人税法132条の2の意義【争点1】 法132条の2が設けられた趣旨、組織再編成の特性、個別規定の性格などに照らせば、同条が定める「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、(ⅰ)法132条と同様に、取引が経済的取引として不合理・不自然である場合〔最高裁昭和50年(行ツ)第15号同52年7月12日第三小法廷判決・裁判集民事121号97頁、最高裁昭和55年(行ツ)第150号同59年10月25日第一小法廷判決・裁判集民事143号75頁参照〕のほか、(ⅱ)組織再編成に係る行為の一部が、組織再編成に係る個別規定の要件を形式的には充足し、当該行為を含む一連の組織再編成に係る税負担を減少させる効果を有するものの、当該効果を容認することが組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるものも含むと解することが相当である。 このように解するときは、組織再編成を構成する個々の行為について個別にみると事業目的がないとはいえないような場合であっても、当該行為又は事実に個別規定を形式的に適用したときにもたらされる税負担減少効果が、組織再編成全体としてみた場合に組織再編税制の趣旨・目的に明らかに反し、又は個々の行為を規律する個別規定の趣旨・目的に明らかに反するときは、上記(ⅱ)に該当するものというべきこととなる。 ② 法人税法施行令112条7項5号の要件を充足する本件副社長就任について、法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か【争点2】 特定役員引継要件は、一般に、合併法人のみらず被合併法人の特定役員が合併後において特定役員に就任するのであれば、合併の前後を通じて移転資産に対する支配が継続していると評価することが可能であるという考え方を基礎として設けられたものと解される。 みなし共同事業要件に係る特定役員引継要件が、特定役員引継要件に形式的に該当する事実さえあれば、組織再編成に係る他の具体的な事情を一切問わずに(すなわち、例えば、①特定資本関係発生以前の時期における当該役員の任期、②当該役員の職務の内容、③合併後における当該役員以外の役員の去就、④合併後における事業の継続性や従業員の継続性の有無、⑤合併により引き継がれる事業自体の価値と未処理欠損金額との多寡、⑥被合併法人と合併法人の事業規模の違いなどの事情を一切問わずに)、未処理欠損金額の引継ぎを認めるべきものとして定められたとはいえず、特定役員引継要件に形式的に該当する事実があるとしても包括否認規定を適用することは排除されないと解することが相当である。 施行令112条7項5号が定める特定役員引継要件については、それに形式的に該当する行為又は事実がある場合であっても、それにより課税上の効果を生じさせることが明らかに不当であるという状況が生じる可能性があることを前提に規定されたものであるというべきであるから、組織再編成に係る他の具体的な事情(上記で例示したもののほか、事案によってはそれ以外の事情も含まれ得る)を総合考慮すると、合併の前後を通じて移転資産に対する支配が継続しているとはいえず、同号の趣旨・目的に明らかに反すると認められるときは、法132条の2の規定に基づき、特定役員への就任を否認することができると解すべきである。 特定役員引継要件(施行令112条7項5号)の観点からみると、①丙氏が副社長に就任してから本件買収により特定資本関係が発生するに至るまでの期間はわずか約2ヶ月であり、極めて短い。また、②丙氏がC社の副社長に就任したのは本件買収及び本件合併に係る本件提案を受けた後であること、丙氏がC社の副社長として実際に行った職務の内容は本件提案に沿ったものであり、本件提案と離れて、C社における従来のデータセンター事業に固有の業務に関与していたとは認められないこと、丙氏は、副社長就任の約1ヶ月後には本件買収及び本件合併を行う意思を固めつつあったことに照らすと、丙氏は、上記の2ヶ月の間、本件買収後に予定されていた事業の経営とは無関係に、C社の従来のデータセンター事業に固有の経営に関与していたと評価することはできない。③他方、C社がデータセンター事業を開始して以来、C社の経営を担ってきた丁氏などの役員は、いずれも、本件合併後、原告の役員には就任することが予定されておらず、原告の役員に就任する事業上の必要性がないとされ、実際にも就任せず、データセンターの設備投資に関する権限も縮小されたことが認められる。 以上の諸点からすると、本件においては、特定役員引継要件が形式的には充足されてはいるものの、役員の去就という観点からみて、「合併の前後を通じて移転資産に対する支配が継続している」という状況があるとはいえず、施行令112条7項5号が設けられた趣旨に全く反する状態となっていることは明らかである。 本件副社長就任は、特定役員引継要件を形式的に充足するものではあるものの、それによる税負担減少効果を容認することは、特定役員引継要件を定めた施行令112条7項5号が設けられた趣旨・目的に反することが明らかであり、また、本件副社長就任を含む組織再編成行為全体をみても、法57条3項が設けられた趣旨・目的に反することが明らかであるということができる。したがって、本件副社長就任は、法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当すると解することが相当である。 ③ 総括 このように、【争点1】については、従来から言われていた「取引が経済的取引として不合理・不自然である場合」だけでなく、「組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるもの」も含めると判示しており、最高裁において同様の判断が下された場合には、過去の判例・通説と比べると、かなり大きな変化になると考えられる。 しかしながら、【争点1】の判断については、どちらかというと学術的な側面が強く、実務的には、少なくてもストラクチャー構築段階では、制度の趣旨・目的を理解したうえで条文解釈し、保守的な運用を行っていくというのはある意味当然のことであるため、それほど大きな影響はないのかもしれない。 これに対し、【争点2】については、前回解説したように、当事者間においては、副社長への就任の経緯や就任後の実態を争っていたにもかかわらず、裁判所の判断としては、副社長としての実態は認めつつも、実際に行った職務の内容は買収・合併に係る提案に沿ったものであったことから、「合併の前後を通じて移転資産に対する支配が継続している」という状況があるとはいえないという理由により、特定役員引継要件が設けられた趣旨に反するとしたうえで、包括的租税回避防止規定を適用することが可能であると判示しているため、被告の理論構成と異なるものになっているという点で興味深い。 さらに、「副社長就任の約1ヶ月後には本件買収及び本件合併を行う意思を固めつつあった」としているため、逆に言えば、副社長就任時には本件買収及び合併を行うことが確定していなかったことも認めているため、原告の主張の通り、「後付けの結果論」であるともいえ、全体として経済合理性のある取引であったとしても、制度趣旨に反する課税関係になるのであれば、包括的租税回避防止規定を適用することができるとも読める内容となっており、理論構成としてはかなり乱暴であるという印象も受ける。 次回以降においては、判例についての具体的な評釈を行っていく予定である。 (了)

#No. 75(掲載号)
#佐藤 信祐
2014/06/26

こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第4回】「退職金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」

こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第4回】 「退職金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   当社は、6月30日付で退職する社員に退職金6,753,000円を支給する予定です。退職する社員の入社日は、平成11年4月1日です。「退職所得の受給に関する申告書」は、まだ受理していません。 退職所得の受給に関する申告書の提出が「有るケース」と「無いケース」における退職金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理についてご教示ください。 1 「退職所得の受給に関する申告書」の提出が有るケース ① 勤続年数の計算 したがって、勤続年数は「16年」である。 ② 退職所得控除の計算 退職所得控除は、図表1にあてはめて計算する。 勤続年数(16年)は「20年以下」であるため、退職所得控除は40万円×16年=640万円である。 図表1 退職所得控除の計算 (注) 障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額。 ③ 課税退職所得金額の計算 課税退職所得金額は、退職金から退職所得控除を差し引いた金額を2分の1した金額である。 したがって、課税退職所得金額は176,000円である。 ④ 所得税及び復興特別所得税の計算 所得税及び復興特別所得税は、図表2の速算表にあてはめて計算する。 図表2 退職所得の源泉徴収税額の速算表① したがって、退職金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税は8,984円である。 なお、速算表には下記図表3の形式のものもあるが、当然ながら、図表2、図表3のいずれの速算表を用いても計算結果は等しくなる。 〈図表3で計算した場合〉 課税退職所得金額176,000円×5.105%=8,984円(1円未満切捨) 図表3 退職所得の源泉徴収税額の速算表②   2 「退職所得の受給に関する申告書」の提出が無いケース 退職金の支給額に税率20.42%を乗じて所得税及び復興特別所得税を計算する。 「課税退職所得金額」に税率を乗じるのではなく、「退職金の支給額」に税率を乗じる点、及び、税率が一律20.42%という点で上記1と異なる。 6,753,000円×20.42%=1,378,962円(1円未満切捨) したがって、退職金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税は1,378,962円である。 (了)

#No. 75(掲載号)
#上前 剛
2014/06/26

〈条文解説〉地方法人税の実務 【第2回】「総則(第1条~第8条)の取扱い」

〈条文解説〉 地方法人税の実務 【第2回】 「総則(第1条~第8条)の取扱い」   税理士 小谷 羊太 税理士 伊村 政代   前回は地方法人税の創設趣旨等について解説したが、今回より条文構成に準じ、第一章 総則(第1条~第8条)から詳解する。 Ⅰ 総則 総則(第1条~第8条)の構成は次のとおりである。   Ⅱ 定義(用語の意義)(第2条) 第2条に定める定義(用語の意義)には次のものがある。 ここでは、通常の法人に関係する用語の意義について簡単に触れることとする。   Ⅲ 納税義務者(第4条) 法人税を納める義務がある法人は、この法律により、地方法人税を納める義務がある。 つまり、地方法人税を納める義務がある「者」は、法人税法に定める納税義務がある「法人」とされている。 法人税の納税義務がある法人は、同時に地方法人税についても納める義務があることに留意しなければならない。   Ⅳ 課税の対象(第5条) 法人の各課税事業年度の基準法人税額には、この法律により、地方法人税を課する。   Ⅴ 基準法人税額(第6条) この法律において「基準法人税額」とは、次に定める金額をいう。 なお、法人税法第68条から第70条の2までの規定(税額控除)、及び附帯税の額を除く。 具体的には、「所得税額の控除」「外国税額の控除」「仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除」を適用しないで計算した法人税の額となる。 法人税申告書別表1(1)[10欄]の金額が基準法人税額となる。   Ⅵ 課税事業年度(第7条) この法律において「課税事業年度」とは、法人の各事業年度をいう。 地方法人税においても、法人税の規定による計算期間である「各事業年度」をその計算期間とする、用語としては「各課税事業年度」という名称を用いることで定義されている。   Ⅶ 納税地(第8条) 地方法人税の納税地は、その法人の法人税法第16条から第18条までの規定による法人税の納税地とする。 法人税法第19条(納税地指定の処分の取消しがあった場合の申告等の効力)の規定は、法人税の納税地の指定の処分の取消しがあった場合における地方法人税について準用する。 法人税法第16条においては、内国法人の納税地(本店又は主たる事務所の所在地)が規定されており、第17条は「外国法人の納税地」第18条においては「納税地の指定」について規定されている。 また第19条における「納税地指定の処分の取消しがあった場合の申告等の効力」については、準用規定が設けられている。 (了)

#No. 75(掲載号)
#小谷 羊太、伊村 政代
2014/06/26
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