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ストック・オプション会計を学ぶ 【第9回】「ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定①」

ストック・オプション会計を学ぶ 【第9回】 「ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定①」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 今回と次回において、「ストック・オプション等に関する会計基準」(企業会計基準第8号。以下「ストック・オプション会計基準」という)及び「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第11号。以下「ストック・オプション適用指針」という)にしたがって、ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定について解説する。   Ⅱ ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定 ストック・オプション会計における各会計期間の費用計上額は、ストック・オプションの公正な評価額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他の合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額として算定される(ストック・オプション会計基準5項)。 これは、ストック・オプションの公正な評価額を、これと対価関係にあるサービスの受領に対応させて費用計上することを示している(ストック・オプション適用指針17項)。 その対応関係は、ストック・オプションに係る企業と従業員等との間の契約によって決まり、その合理的な解釈によって判断すべきものと考えられている(ストック・オプション適用指針50項)。 各用語は、次の図表のように定義されている(ストック・オプション会計基準2項(6)(7)(9))。   1 権利確定日 ストック・オプションには、権利行使により対象となる株式を取得することができるというストック・オプション本来の権利を獲得すること(権利の確定という)について条件が付されているものが多い。 権利の確定についての条件(権利確定条件)には、「勤務条件」や「業績条件」がある(ストック・オプション会計基準2項(2))。 権利確定日は次のように判定する(ストック・オプション適用指針17項)。 ① 勤務条件が付されている場合 勤務条件を満たし権利が確定する日 ② 勤務条件は明示されていないが、権利行使期間の開始日が明示されており、かつ、それ以前にストック・オプションを付与された従業員等が自己都合で退職した場合に権利行使ができなくなる場合 権利行使期間の開始日の前日(ストック・オプション会計基準2項(7)) この場合には、勤務条件が付されているものとみなす。 ③ 条件の達成に要する期間が固定的ではない権利確定条件が付されている場合 権利確定日として合理的に予測される日   次のことに注意する(ストック・オプション適用指針51項)。 2 権利確定条件が付されていない場合及び権利確定日を合理的に予測することができない場合 権利確定条件が付されていない場合(すなわち、付与日にすでに権利が確定している場合)には、対象勤務期間はなく、付与日に一時に費用を計上する(ストック・オプション適用指針18項)。 このようなケースは、付与日以前のサービス提供に対する対価としてストック・オプションが付与されたものと理解されるためである(ストック・オプション適用指針56項)。 ストック・オプション適用指針17項(3)の場合(上掲③の場合)において、株価条件が付されている等、権利確定日を合理的に予測することが困難なため、予測を行わないときには、対象勤務期間はないものとみなし、付与日に一時に費用を計上する(ストック・オプション適用指針18項、56項)。 3 複数の権利確定条件が付されている場合 複数の権利確定条件が付されている場合、権利確定日は次のように判定する(ストック・オプション適用指針19項)。 ① 複数の権利確定条件のうち、いずれか1つを満たせばストック・オプションの権利が確定する場合 ⇒ 最も早期に達成される条件が満たされる日 ② 複数の権利確定条件のすべてを満たさなければストック・オプションの権利が確定しない場合 ⇒ 達成に最も長期を要する条件が満たされる日   ストック・オプションの権利が確定するために、ともに満たすべき複数の条件と、いずれか1つを満たせば足りる複数の条件とが混在している場合には、上記①と②を組み合わせて判定する。 また、株価条件等、条件の達成に要する期間が固定的でなく、かつ、その権利確定日を合理的に予測することが困難な権利確定条件(ストック・オプション適用指針18項後段)が付されているため、予測を行わない場合については、ストック・オプション適用指針19項の適用上は、当該権利確定条件は付されていないものとみなすことになる(ストック・オプション適用指針19項また書き)。 次のことに注意する(ストック・オプション適用指針52項)。 (a) これは、勤務条件が付されているストック・オプションについて、さらに株価条件が付されており、その株価条件を達成すれば、勤務条件の達成を待たずにストック・オプションの権利が確定することとされている場合であって、株価条件による権利確定日の予測を行わない場合には、勤務条件のみが付されているものとして会計処理を行うということである。 (b) ただし、この場合でも、勤務条件の達成を待たずに権利確定した場合には、対象勤務期間のうち、残りの期間に計上する予定であった費用を権利確定時に一時に計上することになる。   (了)

#No. 206(掲載号)
#阿部 光成
2017/02/16

[平成29年1月1日施行]改正育児介護休業法のポイントと実務対応 【第6回】「改正への実務対応②」

[平成29年1月1日施行] 改正育児介護休業法のポイントと実務対応 【第6回】 (最終回) 「改正への実務対応②」   特定社会保険労務士 岩楯 めぐみ   今回(最終回)は、改正育児介護休業法の実務対応として、どのような管理体制が必要となるか考えていきたい。   1 対象家族の範囲拡大への対応 【第1回】で述べたように、今回の改正により、介護休業等の介護に関わる制度の対象となる家族(対象家族)の範囲が拡大されている。 祖父母、兄弟姉妹、孫については、これまで「同居かつ扶養」の要件が付されていたが、この要件が廃止されたため、従業員一人につき対象となりうる家族の数は、家族構成にもよるが、かなり増えることになるだろう。 介護に関わる制度は、対象家族一人につき、一定期間・一定回数について利用できるものであるため、従業員それぞれについて、対象家族ごとに、期間や回数を管理する体制が必要となる。 当面は、Excelファイル等で管理表を作成して対応するケースが多いと思われるが、会社規模等によってはシステム構築が必要となる場合もあるだろう。   2 半日単位への対応 【第2回】【第3回】で述べたように、子の看護休暇・介護休暇の半日単位での取得が可能となったことにより、0.5日単位での残日数管理が必要となる。これらは、対象となる子・家族ごとに付与されるものではなく、従業員ごとに付与されるものであり、また、最大でも従業員一人につき年10日÷0.5日=20回であるため、管理はそれほど煩雑ではないだろう。特に半日単位で年次有給休暇の取得を認めている会社においては、それと同様に管理すればよいことになる。 ただし、子の看護休暇・介護休暇時の賃金が「無給」である場合には、賃金計算においては年次有給休暇と同様に取り扱うことはできないため、賃金計算体制の構築が必要となる。 半日単位といっても、例えば、始業9時~終業18時(休憩12時~13時)の会社で、午前3時間と午後5時間をそれぞれ半日として取り扱う労使協定を締結している場合では、午前半休と午後半休では休暇取得により勤務しなかった時間数が異なり、控除すべき賃金額が異なる。このため、半日単位を勤務しなかった時間数に置き換えて当該時間分の賃金を控除する計算体制の構築が必要となる。 なお、勤務しなかった時間数を超える時間分の賃金を差し引くことはできないため、注意が必要となる。   3 相談への対応 【第4回】で述べた育児休業等に関するハラスメントの防止にあたっては、まずは相談窓口を定め、従業員への周知が必要となる。 ハラスメントには、セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメント、平成29年1月1日より男女雇用機会均等法の改正により防止措置が義務化された妊娠・出産等に関するハラスメント等さまざまなものがあるが、それぞれ別に相談窓口を設置するのではなく、ハラスメント全般の相談窓口として設置する方がよいだろう。 また、相談窓口の担当者が、相談を受けて適切に対応することができるよう、相談を受けてどのようなステップで対応するかをまとめた対応フローの作成や、対応時の各部署・各人の役割を決めておく等、相談対応時のマニュアルを作成しておくことをお勧めしたい。   4 研修の実施 大切な人材が育児・介護等を理由に退職を選択することがないよう、育児休業等に関するハラスメントが生じない組織を構築するため、どのような言動がハラスメントに当たるのか等についての研修の実施をお勧めしたい。 育児休業等に関するハラスメントは、上司だけでなく同僚からのものも多くあることが想定されるが、「まわりに迷惑をかけるから制度を利用できない」と考える従業員がいる可能性があるとすれば、会社はそれを排除するための対策を講ずる必要がある。 研修は、育児休業等だけでなく、その他のハラスメント全般を対象に、幹部・一般の従業員も含めて継続的に実施することをお勧めしたい。   5 働き方の見直し 今回の改正により、介護のための所定外労働の制限が新設されているが、これにより要介護状態にある対象家族を介護する従業員が申し出た場合は、原則、所定外労働であるいわゆる“残業”を命ずることはできない。育児については、同制度は子が3歳になるまでであるため最大でも3年となるが、介護については終わりがなく、介護が必要な間はずっと残業を命ずることができないことになる。 よって、長時間労働が前提の会社では、育児介護休業法で定める短時間勤務や所定外労働の制限等の制度を利用する従業員が生じた場合、職場で混乱が生じることが予想される。 長時間労働については、昨年よりさまざまな事件が新聞紙上等で取り上げられているが、長時間労働による健康障害を防止することに加えて、介護に関わる従業員が増加する可能性を踏まえてそれらに対応できるよう、恒常的な長時間労働が生じている会社においては、この機会に、ぜひ働き方の見直しを行っていただきたい。 *   *   * 以上、全6回にわたり、改正育児介護休業法のポイントと実務対応について取り上げてきた。法改正にあたり、短期的に対応が必要なものもあれば、中・長期的に対応が必要なものもあるが、会社ごとに必要な対策を講ずる際の参考にしていただければ幸いである。 (連載了)

#No. 206(掲載号)
#岩楯 めぐみ
2017/02/16

預貯金債権の遺産分割をめぐる最高裁平成28年12月19日決定についての考察 【第4回】「今後の対応・方向性及び本件決定に対する疑問点」

預貯金債権の遺産分割をめぐる 最高裁平成28年12月19日決定についての考察 【第4回】 (最終回) 「今後の対応・方向性及び本件決定に対する疑問点」   弁護士 阪本 敬幸   前回は、最高裁平成28年12月19日決定(以下、「本件決定」という)における双方の主張・補足意見等、本件決定の内容をより詳細に確認した。最終回となる今回は、本件決定を踏まえた今後の対応・方向性、本件決定における疑問点等について論じる。   1 今後の対応・方向性 (1) 総論 本件決定を含め、近年、遺産分割の対象となる範囲を広げる方向の最高裁判例が続いている。その実質的な理由は、当事者間の公平にあると思われ、今後もこうした方向は続くものと思われる。 ただし、本件決定は預貯金債権に限定した判断であり、可分債権全般については、近々予定されている民法改正・新たな最高裁の判断を待つことになる(なお、国債・投資信託・定額郵便貯金等については、【第2回】で紹介した通り、当然分割とはならないとする最高裁の判断が既に出されている)。したがって、可分債権全般については、従前の当然分割を前提にした処理を行うべきであろう。 以下、本件決定の影響が生じると思われる点について述べる。 (2) 遺産分割前の預貯金払い戻しについて (ア) 遺言がない場合 本件決定によれば、遺産分割が終了するまで預貯金債権(本件決定は「預金契約上の地位」と呼んでいる)の準共有状態が続くということであり、相続人全員の同意がない限り、金融機関が払い戻しに応じることは原則として禁止されると解するほかないだろう。 金融機関が、被相続人死亡の事実を知りつつ、相続人全員の同意を得ないまま一部の相続人に払い戻しを行うようなことは、違法となる可能性が高く、非常に危険である。 なお、前回紹介したように、裁判官大谷剛彦ほか4名の補足意見では、特定の相続人の急迫の危険の防止(同居の家族が生活費不足に陥ったにもかかわらず、相続財産である預金の払い戻しについて共同相続人全員の同意が得られないような場合が考えられる)の際には、当該相続人において仮分割の仮処分申立等を行うことが提唱されている。しかし本稿執筆現在、このような仮処分申立は、一般的に利用されてはいない。 家庭裁判所において、仮処分申立を容易・迅速に利用できるような運用が行われ、仮処分申立が一般的になることを期待したい。 (イ) 遺言がある場合 「相続させる」旨の遺言がある場合、遺産分割方法の指定がされていると考えられ(最判H3.4.19)、相続財産である預貯金も遺言によって分割されることになると考えられるから、本件決定は影響しない。 一方、法定相続分と異なる相続分を指定する遺言(子2人が相続人のときに、1人に4分の3、もう1人に4分の1を相続させるといった遺言)がある場合には、本件決定を前提とすれば、預貯金債権は遺言で指定された相続分に応じて準共有となり、これまでのように当然に分割されることはない。 したがって、遺言がない場合と同様、遺産分割前に金融機関が預貯金の払い戻しに応じることは、原則としてできない。遺言執行者がいても同様である。 (3) 口座振替・振込入金受入れ等について 本件決定は、普通預金・通常貯金契約は、口座振替・振込入金受入れ等の委任ないし準委任事務処理の性質をも有するものであることをも考慮し、共同相続人全員で普通預金・通常貯金契約を解約しない限り同一性を保持しながら常にその残高が変動し得るものとして存在すると述べている。 裁判官岡部喜代子の補足意見では、この点を更に敷衍し、口座振替・振込入金受入れといった委任ないし準委任契約を解約することは、性質上不可分な形成権の行使であり、処分行為であるから、民法251条に従って相続人全員で行う必要があると述べられている。 これまで、多くの金融機関においては、金融機関が被相続人の死亡を知った場合、生前に行われていた口座振替・入金受入れも停止するという取扱いが行われてきたのではないかと思料する。しかし本件決定によれば、普通預金・通常貯金契約は、相続人全員で解約されない限り同一性を保持しながら存続するというのだから、金融機関は、被相続人の死亡を知った後も、相続人全員で解約されない限り、契約上、口座振替・入金受入れを継続すべき義務を負うということになるだろう。 (4) 遺産分割の対象となる預貯金の範囲について 本件決定は、普通預金・通常貯金債権は、1個の債権として同一性を保持しながら常にその残高が変動し得るところ、預金者が死亡した場合も、預金契約上の地位を準共有する相続人全員で普通預金・通常貯金契約が解約されない限り同様の状態が継続するから、当然分割とはならないという趣旨のことを述べている。 すなわち、普通預金・通常貯金契約は、相続人全員で解約されない限り、同一性を保持しながら存続するというのであるから、相続開始後の入出金による預貯金の変動部分を相続財産から区別する必要は無いと理解するのが素直と思われる。 裁判官鬼丸かおる補足意見でも、同様に、相続開始後の入金部分を含めて遺産分割の対象となると考えるべきと述べられている。 (5) 遺言書の作成・遺言執行について 上記2(2)(イ)でも触れたが、相続分を指定する内容の遺言書を作成した場合、相続人間で遺産分割が必要であり、預貯金であっても同様ということになる。 したがって、遺言執行者も、遺産分割がないまま、遺言書記載の相続分に応じて預貯金を解約して分配するなどということはできない。 せっかく遺言書を作成したのに、預貯金の遺産分割に争いが生じてしまうようなことがないよう、遺言者はこの点を考慮して遺言書を作成する必要がある。 遺言執行者は、遺言の執行に過誤があったなどと言われないように注意する必要がある。   2 本件決定の疑問点について 本件決定は、主として相続人間の実質的公平を理由に、預貯金債権の当然分割を否定した。相続人間の実質的公平という価値判断については理解できるところである。 もっとも、本件決定の普通預金・通常貯金に関する判断の法的な理由付けについて、その中心部分は というものであるが、以下の点については疑問も残る。   3 終わりに 現在、民法改正が進められているところでもあり、今後も、預貯金のみならず、遺産分割における取扱いについては変更の可能性がある。相続実務に携わる者としては、今後の動きにも十分注意しておくべきであろう。 (連載了)

#No. 206(掲載号)
#阪本 敬幸
2017/02/16

税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第3回】「不当な不動産売却がなされた直後の救済方法」-審判前の保全処分-

税理士が知っておきたい [認知症]と相続問題 〔Q&A編〕 【第3回】 「不当な不動産売却がなされた直後の救済方法」 -審判前の保全処分-   クレド法律事務所 駒澤大学法科大学院非常勤講師 弁護士 栗田 祐太郎   [設問03] 私には2年前より認知症となっている父がおります。 元々、父は、自身が土地・建物を所有する大阪の実家で一人暮らしをしていました。私は東京に住んでいましたが、認知症が進行し一人では生活できなくなった父の面倒を看る必要があるということで、昨年より実家に戻って生活をしています。 私には神戸に住む妹が一人おりますが、妹は大阪の実家にはほとんど寄りつかず、父の世話もしようとはしません。 ◆  ◆  ◆ そのような妹が、「たまには私も父と話がしたい」ということで、珍しく実家を訪ねてきたのです。私も、気を遣って、半日ほど外出し、2人だけで話ができる時間を作ってあげました。 ところが、それから2週間ぐらい経ったころ、神戸の不動産業者より我々の所へ電話があり、「先日の売買契約ではお世話になりました。ついては建物からの退去日と取壊し工事の開始をいつにしましょうか」という問合せがあったのです。 ◆  ◆  ◆ 突然のことでまったく事情を飲み込めなかったので相手に確認したところ、「妹が父の元を訪ねてきた日に、父みずからが実家の土地・建物を不動産業者に売却するとの売買契約書に署名捺印していたこと」が判明しました。 私は大変驚き、すぐ妹に電話したところ、「お父さんは、長年離れて暮らしている私のことが気がかりだということで、実家を売ったお金の半分を私にくれると言っていた。もう半分はお父さんの口座に入ったのだから、別にいいじゃないの」と完全に開き直っていました。そのため、売買契約をすぐに取り消すよう強く迫りましたが、妹は全く聞く耳を持ちません。 ◆  ◆  ◆ 父は常々、「先祖代々の不動産をこの先も守っていきたい」と私に話していたことから、父が売却を了解するなどということはあり得ない話と思います。 実家の不動産を取り戻し、建物の取り壊しを防ぐために、私はどのような方法が取れるでしょうか。   1 緊急対応の必要性 【設問03】において、相談者の父は実家の売買契約書に署名捺印している以上、このままの状態で放置すれば、最悪の場合には、実家の建物が強制的に取り壊され、父や相談者が路頭に迷う事態ともなりかねない。 この点、状況的に見て、父の財産が判断能力を欠いた状態で売却された可能性が高いというのであるから、本来であれば元の不動産の所有者、すなわち父自身が売買契約の無効を主張し、不動産を取り戻していく必要がある。 実際には、父は認知症に罹患して判断能力に難がある以上、相談者が家庭裁判所に対して成年後見人の選任を求める申立てをし、選任された成年後見人が買主や妹に対して売買契約の無効を主張していくというのが本来の進め方である。 しかし、本件では、買主が実家の取り壊しを迫ってくるなどして時間的余裕がなく、緊急の対応を必要とする。 では、相談者としては、どのような対応を取るべきであろうか。   2 審判前の保全処分について 【設問03】のような場合に有効であるのが、「審判前の保全処分」による財産管理者選任の制度である。 通常、成年後見の申立てがされてから実際に後見人が選任されるまで、裁判所の審理にはどうしても1~3ヶ月前後の期間がかかる。 そのため、設問のような場合には、売買契約の存在が発覚してから急いで申立てをしたとしても、成年後見人の選任までに時間がかかり、その間に建物が取り壊され、土地は転々譲渡されてしまうという事態にもなりかねない。 そこで、家庭裁判所が成年後見を開始するかどうかの審理を行っている最中に、緊急的に仮の財産管理者を定めてもらうことで認知症患者の財産を保全しようとするのが「審判前の保全処分」による財産管理者の制度である。 設問の場合には、相談者は、成年後見の申立てをするのと同時に、審判前の保全処分を申し立てるべきであろう。 これに伴い、裁判所は、成年後見の開始の是非に関する審理に先立ち、財産管理者の選任を認めるか否かにつき短期間で申立人らから事情を聴取する等して審理を急ぎ、これを認める必要があると判断すれば、財産管理者(弁護士や司法書士等の専門職管理人が選ばれることも多い)の選任を決定することになる。   3 発令後の流れ 設問における父に対して財産管理者が選任された場合、将来的に成年後見人が選任されるまでの間は、この者が父の所有財産につき管理権を有する。 そして、管理者の選任前に父がなした売買契約については、「この契約は、父が判断能力を有しない状況で署名捺印したものである」と財産管理者が判断した場合には、買主や妹等の関係者に対して契約の無効を主張し、売却した不動産の取り戻しと受領した代金の返却という精算を行っていくことになる。 したがって、相談者としては、本件の経緯や売買契約の異常性等につき、財産管理者によく説明をし、必要な措置を取ってもらうよう促すべきである。 ここで問題となるのが、買主が、実家建物の取り壊しを進めようとしていることである。 買主としては、現実に売買契約が締結され、代金も既に支払い済みである以上、現時点では既に自分が土地・建物の所有権を取得しているとして、取り壊しを強制してくる可能性もないわけではない。 仮にそのような兆候が見られるようであれば、財産管理者は、地方裁判所に対して「建物取壊し禁止仮処分」の申立てをなし、裁判所の仮処分命令を得て、建物取壊しを阻止するといった手段を取る必要がある。   4 防止策 以上で説明したように、妹の主導により物件の売却が行われてしまった場合には、その取り戻しには大変な労力と手間がかかる。 これを阻止するためには、最低限、高齢者の身の回りの世話をする者が、①予め本人の了解も得た上で、実印や通帳、また各種契約書等の重要書類を取りまとめ、責任を持って保管しておくほか、②財産リストを作成し、財産管理の状況が一元化できるよう整理して管理する、③既に判断能力を喪失あるいは著しく減弱していることをすぐに立証できるよう、予め医師に診断書を発行してもらっておく(この点に関しては、解説編【第5回】の内容が参考となるだろう)等の準備を普段から励行する必要があろう。 なお補足するが、前述した「成年後見の申立て」及び「審判前の保全処分の申立て」ですら、申立ての準備にはそれなりの時間もかかる。 そこで、まずは緊急の権利確保のため、相談者としては、父の身の回りの世話をし、財産の管理を事実上していた立場として、妹及び買主に対し、「今回の売買契約は、判断能力を有しない父が締結したものであり無効であること、よって、売買代金を返却するので、土地の登記名義を復帰させる登記手続を至急行ってほしいこと、今後、買主からさらなる売却はしないこと、妹においては、受領した売買代金の半額をすぐに買主に返還すべきであること、仮に万一、これらに応じないということであれば、後日に買主及び妹を被告とした損害賠償請求をせざるを得ないこと」等を記載した警告書(内容証明郵便での送付が好ましいであろう)を送付し、先方が転売したり強行的手段に出ないよう、クギを刺しておくべきであろう。 (了)

#No. 206(掲載号)
#栗田 祐太郎
2017/02/16

顧客との面談が“ちょっと”苦手な税理士のための面談術 【第5回】「まずは雑談からはじめましょう」

顧客との面談が“ちょっと”苦手な 税理士のための面談術 【第5回】 「まずは雑談からはじめましょう」   有限会社コーディアル 代表取締役 坪田 まり子   皆さん、こんにちは。坪田まり子です。 先日、某セミナー会社主催の弁護士の方々を対象にしたセミナーで講演をしてまいりました。 テーマは、ズバリ、『弁護士のためのビジネスマナーと面談術』です。 ありがたいことに、予約は満席、97.7%の参加者から「とても役に立つ」という前向きな評価をいただくことができました。主催者曰く「これほど高い満足度のセミナーは、過去に10名程度の小規模セミナーを実施したとき以来です。今回のように50名をはるかに超える人数で多種多様な先生方がいらっしゃるセミナーでのこの高い満足度は、奇跡的な結果です!」とのこと。 常に、“誰かのお役に立ちたい”と思っている私にとって、非常に有意義な嬉しい機会となりました。 さて、私はこの話を通して、単なる自慢話をしたいのでありません。 弁護士こそ、「話す・説明する」ことのプロフェッショナルですが、法的な観点で話す(実務に関すること)ことは得意でも、面談やビジネスマナーについては少なからず苦手意識を抱いているということを皆さんにお伝えしたいと思ったからです。 2時間にわたるセミナーでしたが、お客様との良好な関係を築くための「話す・聞く」という理論と演習を通して、その重要性をしっかりと体感していただきました。 こちらの連載でも、重要な場面を想定し、皆さんが自分自身で振り返りつつ、適宜、トレーニングができるようにサポートしているつもりです。 改めて、日々のお仕事にしっかりと活かしていただければ幸いです。 ◆  ◆  ◆ 今回は「雑談を得意にする方法」についてお話します。 そもそも「面談」とは、「面会して話す」ことですが、このたった6文字で表される行為の中に、お客様と良好な関係を築くためのポイントがたくさん潜んでいます。 その一つが既にお話した「第一印象の重要性」で、次に大事なのが今回の、「本題に入る前の雑談シーン」です。 まずは、この面談や雑談が、いかにビジネスチャンス拡大のために重要であるかどうかを認識していただくために、次のフローチャートをご覧いただきましょう。相談者が皆さんの事務所を訪問し、面談を終えて事務所を出るまでの相談者側の心理を表しています。 いかがでしょうか。このような流れの中で相談者にご満足をいただくことができれば、ある相談者がスポット的な依頼者となり、スポット的な依頼者が顧客へと変わっていく理想的なケースにつながるはずです。 まさに面談とは、相談者に対する単なるマニュアル的作業ではなく、説明の内容自体よりももっと大切な場面であるということ。すなわち、皆さんご自身の接し方、話し方、立ち居振る舞いなどから、皆さんの人となりや仕事ぶりまでが相手に評価されるということです。 さあ、このフローチャートの中の『名刺交換後』にやるべきことが、『雑談』です。 どんな話で切り出せばいいか、まずはご自分で考えてみてください。頭の中で考えるだけでなく、お手元にペンがあれば、話題の項目だけでも書き出してみましょう。 ◆  ◆  ◆ さあ、書き出していただけましたか? 話題としてどれくらい思いつかれましたでしょうか。天気や交通手段などのテーマは、誰もが考えやすいことだと思います。とりたてて難しい話題や特別なことでなくてもよいのです。面談前の雑談時は、まだお互いが初対面であればなおさら、まずは相手を労うような会話がベストです。 例えば、 こんなふうに発展させることができます。 また、天気が悪い日であれば、 そんな言葉を受けた皆さんは、いかがなさいますか? 「ハハハ」と笑うだけではダメですよ。 さっと内線電話で職員さんに電話をしましょうか。 「悪いんだけど、〇〇様に新しいタオルをお持ちしてくれる?」と。 そんなさりげない配慮と温かい思いやりに、相談者は嬉しい驚きを感じるはずです。 さらにもう一つ忘れてはならない、大事な切り出し方があります。 それは、名刺交換後を見計らい職員さんがお茶を出してくれたときです。 案外、出されたお茶をお客様に勧めないまま、会話を続けてしまう士業者が少なくないのではないでしょうか。マナーをわきまえている相手なら、勧められるまで口をつけないはずです。寒い中、温かいお茶が目の前にあるのに、勧められないとちょっとイライラしてしまうものです。 そこで皆さんは「冷めないうちに、どうぞ」とさりげない口調でお茶をすすめて差し上げましょう。 たったそれだけでも、訪問者に対する労いの気持ちを表すことができます。 ◆  ◆  ◆ 雑談で大切なことは、皆さんがずっとイニシアチブをとって話し続けるということではありません。迎える側の皆さんが一人で勝手にだらだらと話したり、相手に矢継ぎ早に質問を投げかけるだけでは失礼です。 会話や雑談は、互いの会話が上手なキャッチボールのようにテンポよくなされることが重要です。そのためにも、皆さんが切り出した会話が、相手にとって興味のないことのようであれば、いつまでも引きずらないで、さっと切り上げてしまうのも一案です。 雑談の効果は、上手に相手の気持ちをほぐしてあげることにあります。そうすれば、初の訪問で緊張している相手の心を開かせ、“この先生を選んでよかったかもしれない”という安心感を、“本論に入る前に”与えることができます。 だからこそ雑談は、相談に訪れたお客様が来所して間もないタイミングですることが大切です。年齢や出身県など、相手との共通点を事前にさりげなく見つけておくことも、相手と打ち解けるきっかけになるはずです。また紹介者がいれば、互いが知っているその紹介者の“良い”面などを話題になさることもいいでしょう。 ここで雑談のポイントをまとめてみましょう。 ◆皆さんは、気の効いた質問を投げかけるだけです(きっかけを与えるだけ)。 ◆そのあとは、皆さんが話すのではなく、相手に話をさせましょう。 ◆雑談中はできるだけ互いにたくさん笑い合いましょう。 雑談の主役は皆さんではなく、来訪者側であることをしっかりわきまえることをお忘れなく。そして、相手の話を聞くときは、皆さんの感じの良い表情や声音で優しく受けとめましょう。 皆さんの税理士としての印象や存在感を、“本論に入る前”のこの雑談の場面で、相手の心に“心地良く”捉えてもらうことが大切だからです。相手との共通点を見つけるなど、早い段階で相手との距離を縮めるためにも、ぜひ雑談を得意にして、ビジネスシーンでご活用くださいませ。 *  *  * 次回は、「傾聴」にチャレンジしていただきます。 どうぞ次回もお楽しみに。 (続く)

#No. 206(掲載号)
#坪田 まり子
2017/02/16

《速報解説》 有価証券報告書等に「経営方針」の記載を定めた改正開示府令等が公布~平成29年3月31日以後終了事業年度の有報等から適用~

《速報解説》 有価証券報告書等に「経営方針」の記載を定めた改正開示府令等が公布 ~平成29年3月31日以後終了事業年度の有報等から適用~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年2月14日、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第2号)が公布され、次の改正が行われた。 これにより、平成28年11月8日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、平成28年4月に公表された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告において、企業と投資家との建設的な対話を促進していく観点から、より効果的かつ効率的で適時な開示が可能となるよう、決算短信、事業報告等、有価証券報告書の開示内容の整理・共通化・合理化に向けた提言がなされたことを受けたものであり、有価証券報告書等の記載を改正するものである。 なお、同報告の提言を踏まえた決算短信・四半期決算短信の記載事項の見直しについては、平成29年2月10日に、東京証券取引所から公表されている。 また、上記②の臨時報告書の改正は、平成28年6月に閣議決定された規制改革実施計画を踏まえたものである。 「「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」も公表されており、「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」について詳細に考え方が述べられているので、実務の参考になると考えられる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 内容 1 有価証券報告書等に関する主な改正の内容 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告において、決算短信の記載内容とされている「経営方針」について、決算短信ではなく有価証券報告書において開示すべきとされたため、以下のように、【対処すべき課題】から【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】へ改正されている。 2 臨時報告書に関する主な改正の内容 「企業内容等の開示に関する内閣府令」19条(臨時報告書の記載内容等)2項1号に、次の規定を加える。   Ⅲ 適用時期等 改正内閣府令は、公布の日(平成29年2月14日)から施行する。 上記改正事項のうち有価証券報告書の記載内容に「経営方針」を追加する部分については、平成29年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書及び同事業年度を最近事業年度とする有価証券届出書から適用する。 (了)

#No. 205(掲載号)
#阿部 光成
2017/02/15

《速報解説》 名古屋局、職務発明制度の導入に伴い発明者たる使用者に支払われる「相当の利益」に係る税務上の取扱いについて文書回答事例を公表

 《速報解説》 名古屋局、職務発明制度の導入に伴い発明者たる使用者に支払われる 「相当の利益」に係る税務上の取扱いについて文書回答事例を公表   公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎   1 はじめに 平成29年1月27日、名古屋国税局より文書回答事例『職務発明による特許を受ける権利を使用者に原始的に帰属させる制度を導入した場合の「相当の利益」に係る税務上の取扱いについて』が公表された。 これは、平成27年の特許法の改正により設けられた職務発明制度に関して「使用者原始帰属制度」を採用する場合において、「相当の利益」として使用者が職務発明を行った従業者等に支払う各種補助金に係る税務上の取扱いについて、事前照会者の求める見解に対して回答されたものである。 本稿では、この文書回答事例について紹介する。   2 使用者原始帰属制度の概要 「使用者原始帰属制度」とは、従業者等がした職務発明について、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生したときから使用者等に原始的に帰属することとされる制度をいう(特許法35③)。 このとき、職務発明をした従業者等は、使用者等から「相当の利益」の支払を受ける権利を有することとされている(特許法35④)。 なお、平成27年改正前の特許法では、職務発明によって生ずる特許を受ける権利は自然人である発明者(従業者等)に帰属することを前提に、使用者等は、従業者等に帰属する特許を受ける権利について、事前に定めた契約・勤務規則等により、従業者等から承継することができるものとし、従業者等は、使用者等から「相当の対価」の支払を受ける権利を有することとされていた。   3 事前照会者の職務発明規程等 事前照会者は「使用者原始帰属制度」を導入することとし、職務発明規程等を見直した上で、以下のとおり、事前照会者の従業員等がした職務発明に係る特許を受ける権利は事前照会者に原始的に帰属することとし、特許法第35条第4項の規定により「相当の利益」の内容として以下の(ハ)の区分に応じた各補償金(以下「本件各補償金」という)を支払うこととする。 なおこれ以後、特に断りのない限り、事前照会者のことを単に「会社」と称する。 (イ) 定義 職務発明とは、発明がその性質上会社の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為が会社における従業員等の現在又は過去の職務に属する発明をいう。 (ロ) 権利の帰属 職務発明は会社が特許を受ける権利を取得する(ただし、会社がその権利を取得する必要がないと認めたときは、この限りではない)。 なお、会社が取得するに当たっては当該職務発明の発明者に対し相当の利益を付与するものとし、次の(ハ)の区分に応じ、本件各補償金を支払うものとする。 (ハ) 補償金の支払 (ニ) 退職等したときの補償 本件各補償金の支払を受ける権利は、当該権利に関わる発明者(従業員等)が退職した後も存続し、また、当該権利に関わる発明者(従業員等)が死亡したときは、当該権利は、その相続人が承継する。   4 事前照会の要旨 本件各補償金について、支給を受けた従業員等及び会社における税務上の取扱いは、それぞれ以下の通りで差し支えないか、照会する。   5 本件各補償金の支給を受けた従業員等に係る所得税の取扱い   6 本件各補償金を支給した会社に係る法人税の取扱い   7 事前照会に対する回答(名古屋国税局審理課長) (了)

#No. 205(掲載号)
#鯨岡 健太郎
2017/02/14

《速報解説》 東証、決算短信・四半期決算短信の様式に関する自由度の向上のため有価証券上場規程を一部改正~施行は2017.3.31~

《速報解説》 東証、決算短信・四半期決算短信の様式に関する自由度の向上のため 有価証券上場規程を一部改正 ~施行は2017.3.31~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29(2017)年2月10日、株式会社東京証券取引所は、「決算短信・四半期決算短信の様式に関する自由度の向上のための有価証券上場規程の一部改正について」を公表した。 これは、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループから、会社法、金融商品取引法、上場規則に基づく3つの制度開示について、全体としてより適時に、よりわかりやすく、より効果的・効率的な開示が行われるよう、開示に係る自由度を向上させるという提言を受けたものであり、決算短信・四半期決算短信の様式について使用強制をとりやめることで、自由度を高めるものである。 決算短信・四半期決算短信の様式に関する自由度の向上については、平成28年10月28日から意見募集されていた。意見募集の結果に関して、「「決算短信・四半期決算短信の様式に関する自由度の向上について」に寄せられたパブリック・コメントの結果について」が公表されている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 内容 改正の概要は次のとおりである。 平成29(2017)年2月10日、「決算短信・四半期決算短信作成要領等」についても、決算短信・四半期決算短信の開示の自由度を高めるとともに、速報としての役割に特化するため、改定されている。 具体的な内容については、「決算短信・四半期決算短信作成要領等」(2017年2月版)をご覧頂きたい。 なお、2017年2月版の作成要領は、平成29(2017)年3月末日以後に終了する連結会計年度又は四半期連結累計期間の決算又は四半期決算に係る決算短信又は四半期決算短信から適用する(早期適用はできない)。 前述の「パブリック・コメントの結果」では、次のことが述べられている。   ① 【コメントの概要】 短信の様式(サマリー情報)に関する自由度の向上について 【コメントに対する考え方】 当取引所としては、サマリー情報の様式の使用は、元来、強制ではなく、要請してきたものであるという経緯も踏まえ、今後も引き続き、当取引所の定める参考様式に基づいて決算短信等の作成・開示を行っていただくよう、要請いたします。   ② 【コメントの概要】 通期の決算短信に連結財務諸表を添付する義務がなくなることについて 【コメントに対する考え方】 従来、連結財務諸表等は決算短信等の添付資料としてサマリー情報等と同時に開示することを要請しているだけで、開示を義務付けてはおりません。今後も、原則として、サマリー情報等との同時の開示を要請してまいります。 金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの提言では、それぞれの企業の状況に応じたより早期の決算発表を可能とするため、投資判断を誤らせるおそれがない場合には、サマリー情報等を連結財務諸表に先行して開示ができるようにし、そうした場合でも連結財務諸表は開示ができるようになった時点で直ちに開示を要請することとしています。 通期決算において、連結財務諸表が速やかに提供されることが株主総会における議決権行使のためにも重要であるというご指摘は、上場会社にも周知いたします。   Ⅲ 適用時期等 (了)

#No. 205(掲載号)
#阿部 光成
2017/02/14

記事部分だけ印刷できるようになりました!~印刷機能改善のお知らせ~

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#Profession Journal 編集部
2017/02/09

プロフェッションジャーナル No.205が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年2月9日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.205を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/02/09
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